僕 2015-05-14 13:16:14 |
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(怒っている様でも悲しんでいる様でもない彼に安堵する。自分は凄く社交的という訳ではなく誰かと温泉に行くなんて事も今までになく、実家でも小さい頃にしか誰かと入った覚えもなく裸を晒す事に少し抵抗がある。彼とは何度も肌を重ねているが薄暗くしているし、こんな明るい所で見られるとなると恥ずかしい。しかし、彼の背中を流すと決めた事は揺るがないし彼となら風呂に入る事も嫌ではなく少し楽しみに思える。シャワーで軽く体を流してから湯船にゆっくりと入って行く。彼と向き合う様に座れば恥ずかしさを紛らわせる様に彼の手を手に取り指を絡めては力を入れたり抜いたりを繰り返す。触れてもいいんだという意味も込めて。「ううん、何時も篤が迎えに来てくれるからって甘えてた、僕からも動かなくちゃね。」と彼が謝る必要はないと首を左右に振り、自分が背中を流すのを待ってくれていたと聞けば明るい表情に変わる。「そっか、良かった。普段洗いにくい分、ゴシゴシ洗ってあげるよ。」冗談半分に告げたが本心は日頃の労いを込めて丁寧に洗ってあげようと考えている。今思えば、家族以外誰かの素肌に触れるのは彼だけだ。)
(濁り湯の入浴剤にして正解だった。やはり彼はあまり肌を晒すことに慣れていないようで、自分にも多分の遠慮を見せる。恥じらいながら足を湯船に差し入れるのを邪魔しないように、そっと身を引いて彼のスペースを開けた。寝室では照明を落としてと言う要求に応えてことに及ぶため、こうやって明るい最中に肌を晒すことはまずない。向かい合うように座ればこちらもつい繋げる言葉を失い、手を取られたまま彼の好きなようにさせる。不器用な言葉で自分に対する思いを紡ぎながら躊躇していたことに対しての謝罪を告げられてしまった。それを言うなら、彼の真意をくみ取れなかったこちらに非がある。デリカシーの無い誘い方をしてしまい、彼を傷つけたのでは無いかと心配したが時既に遅し…。いつかきっとリベンジしようと心に固く決めた。しかしこうやって一緒に風呂に浸かっていると、普段触れ合うのとはまるで違う感じに、情欲というよりなんだか本当に家族になったような気になる。自分の背中を流してくれると言う彼に)よし、任せた。その代り俺のが終わったら真尋の背中も擦ってやるから(そう楽しげに告げると、さも可笑しそうに手で作った水鉄砲で彼の顔を目掛けて湯を飛ばした)
(湯船に足から入っていくと気持ち良い温かさに包まれていく。静かにリラックスした様に息を吐き、握っていた彼の手を両手で弄り始める。自分より少しだけ大きくて厚い、それでいて何時も優しく自分に触れてくれるこの手が大好きだ。綺麗な指も愛しい、何時かお揃いの指輪なんて嵌めたりしてと想像すれば嬉しくも照れる。緊張していた気持ちも落ち着いてくれば自分の言葉に対し、彼も背中を洗ってくれると言う。流石に恥ずかしいと遠慮しようと思うも、折角彼がそう言ってくれたのだしこれも大事なスキンシップであると思えば嫌な気はしなく「ちゃんと丁寧に洗ってよね。」と笑みを浮かべる。自分が弄っていた彼の手が彼によって動かされるのをじっと見ては顔にお湯を掛けられた。「うわっ!…いきなり何するのさ!」と両手で顔を拭いながら文句を告げる。が、彼の行為によって緊張が無くなり「お返しっ!」と目の前の彼へ勢い良く抱き着く。素肌同士が触れる感触は恥ずかしいというよりも心地良い様な感じがする。)
うわっ!こらっ!!(いくら多少の広さはあれど大の大人が2人で動くと、浴槽の湯は盛大に跳ねて大きな水音を立てる。自分の悪戯に乗ってきたことに只々嬉しく思い、無邪気に抱きついてきた彼を受け止めた)あんまり動くと上せるぞ。ほら。大人しくしてな(そのまま背後から抱きしめ、言葉を掛ける。さっきまであんなにお互いに意識していたのに、今となってはこうやって身体を預けてくれていることが自然に思えるほどに密着している。濡れてしまった前髪を背後から耳に掛けてあげながら)はぁ…。気持ち良い。やっぱり風呂は良いよなぁ。今日は最高の1日だ(言い終わると力を込めて抱きしめる。痛いだのなんだの知ったことか。今この瞬間、彼を独り占めしているのは自分だけなのだと実感するために、敢えて全力で抱きしめた。そして勢いよく湯船から上がりバスチェアに腰掛ける)よし!じゃぁ、お願いしましょうか(図々しくも自らボディーソープを泡立てたタオルを手渡して背中を向ける)
(お湯が大きく跳ね流れていってしまいそうだが、今日は一緒に入っているからこの後は誰も入らないし良しとする。彼に背を向ける様に抱かれると顔が見れないと少し不満に思うが背中にぴったりと密着した彼の引き締まった体を意識してしまい少しだけ鼓動が速くなる。邪魔に思っていた前髪を耳に掛けてもらいつつ「もっと柔らかい背凭れだったら気持ちいいのになぁ」と悟られまいと生意気言い。"最高の1日"の言葉と共に抱きしめる彼の腕に力が加わり自分も同じ気持ちだと伝える様に回された腕に自分の手を添える。「…泣かないでよ?篤」とからかい気味に尋ねれば、彼が背後で勢い良く上がる。大きく揺れるお湯に揺らされながら振り向き「任せて、日頃の篤の疲れ吹っ飛ばしてあげるから」と大袈裟な事を自信満々に告げながら自分も湯船を出て用意周到に渡されタオルを受け取り、持ちやすいように握れば彼の背中に当てあまり力を入れずに上下に擦っていく。「どう?痛くない?」慎重に気を遣いながら力加減を尋ねる。)
(背後に抱きしめた際に「もっと柔らかければ良いのに」と言われ、抱きしめたまま困ったように耳元で呟く)う~ん…太った方が良い?そしたら、服全部買い直さないとだめだから、それだけは勘弁なんだよな。つか、真尋が細すぎるんだよ。これからはもっと一緒にメシ食おうな。一人にしとくと心配でたまんない(抱き締めれば、男同士なのだから柔らかさなど微塵も無い。だがどうしてだか、程よく付いた発展途上の筋肉は妙に自分にフィットする。恐らくもう、彼以外を抱きしめることなんて想像出来ないくらいに自分の身体は彼に依存しきっているのだろう。身体を離すことに名残惜しさを感じながらも、背中を流してくれると言う言葉に甘え身を任せる。至極気を遣ってくれているのだろう。その気遣いが嬉しい)痛くないよ。すっげぇ気持ち良い。(人の背中に触った経験など無いだろうに、不慣れながら思考錯誤しながら洗ってくれる姿を背後から想像すると、可愛らしくて堪らない。されっぱなしもなんだから)じゃぁ、次はこっちの番。真尋が座って。(彼を椅子に座らせ、一旦ボディータオルを濯いだ後、新たに泡立てて彼の背中を流すことにする)
何本気にしてんのさ、冗談だよ冗談。
(本気で太れと言った訳ではなく寧ろ彼の引き締まった逞しい体は好きでずっと眺めていられると思う程だ。あれだけお酒を飲んでいて下腹が出ていないのが凄いと思うし、この体に抱かれていると意識してしまえばこれから更に緊張してしまう。自分は確かに逞しいとは言い難い体型をしているがあまり気にした事がなく、心配だと言われるとそんなにか?と自分の腹部や足を見る。篤の美味しいご飯、いっぱい食べてるのになぁ…体質なんじゃないだろうかとも思いつつ「心配し過ぎ。子供じゃないんだから、一人でだってちゃんと食べてるよ。」と自分の事に関しては心配症な彼を安心させるべく淡々と告げる。力加減は難しいと気を配りながら擦っていれば気持ちいいと返ってきた、その言葉にほっとして「そう、なら良かった」と肩の力を抜き擦り続ける。すると交代するよう言われ椅子に座らされる。嬉しいけど緊張する…誰かに背中を流してもらうなんて初めてだ。「て、適当でいいから!」と気持ちを紛らわせる様に告げる。)
良いから良いから(自分の強い押しに断りきれなそうな雰囲気を出しながら、遠慮がちに椅子に腰かける。背後を陣取ると、他人に無防備な姿をさらすことに慣れていないのであろう彼の緊張がこちらにまで伝わってくる。しっかりとボディーソープを泡立てたタオルを手に取り、急に触れると驚かせてしまうことを危惧して先に声を掛ける)よし、じゃぁ始めるか。痛かったら言えよ(そう言いながら、決して彼を傷つけることの無いように慎重に背中を擦っていく。きめ細かい白い肌がどんどん泡に包まれていく。自分の年齢よりも一回り離れていると、こうも肌の張りが違う物かと、眩しい物でも見るように目を細めてしまう。今人生の中で一番輝いている時間を過ごす彼の姿を愛しく思いながらも、これから大人になるにつれてまっすぐな彼がどんな風に成長していくのかも楽しみではある。根本はきっと変わらないような気もするが、知恵を付けてうまく立ち回る彼も見てみたい。まぁどうあれ、どんな風に成長しようとも、ずっと側に居たいと言う気持ちには変わらないのだが。あらかた洗い終わり、適温のシャワーで背中を洗い流していると、もう一つ思いついた)真尋くん、座ったまま上向ける?(彼の返事を待つまでも無く、有無を言わせず顎に手を掛け上を向くような姿勢を取らせる。そのままシャワーを掛けて癖の無い柔らかな髪を濡らすと、手に取ったシャンプーで泡立てはじめた。上を向いたままの彼の顔を覗き込みながら)お客さん。かゆいところはありませんか?
(他人に背中を流して貰うというのはどんな感じなのかと緊張していたが彼が一声掛けてくれたおかげで心の準備が出来た。背中に柔らかく当てられた泡と優しく丁寧に擦られる感覚に緊張も解けてき、段々とリラックスしてきて心地良く思え始めた。「…気持ちいいんだね、背中を洗ってもらうのって。」実感した様に穏やかな声色で体の力を抜き足を少し伸ばす。大切に扱う様な優しい手付きに彼が自分へ気を遣ってくれているのが伝わってくる。こういう小さな仕草一つで自分がどれほど大切にされているのか、愛して貰えているのか感じられる。自分も彼にそんな風に接せられているだろうか…自分の彼を想う気持ちが言葉以外でも伝えられているといいのだが。暖かいお湯を掛けられスッキリとした体に思わず表情が緩む。体を洗って貰う優雅な気分を味わっていれば上を向けるか?と尋ねられ返事をする間もなく上を向かされる。今から何が始まるのかと不思議そうにされるがまま天井を見上げていると、髪型泡立つのが分かった。どうやら髪も洗ってくれるらしい。髪を触られるのは案外好きで気持ち良さに軽く目を閉じて顔の前で聞かれる問いに「ん、ちょうどいいよ。髪洗うの上手だね。…僕専用の洗髪者になる?」とひょっとしたら美容師さん並に上手なのでと思える程で口角を上げるとからかい混じりに問い)
(身体を洗うついでにと思い髪に手を掛けたのだが、予想に反して反応が良いようだ。指の腹で揉むように洗っていると、うっとりと目を細める姿が目に映る。どうやら髪を触られることには、意外に抵抗は無いらしい。取り立てて反発も無いので続けていると、自分専用にならないかとのオファーが来た)それは光栄なお誘いだね。今の給料より良ければ是非に。でもさ、こうやって髪を洗ってると、こっちはトリマーにでもなった気分だよ(普段軽口を叩く彼が、こうやって髪を洗っている間は大人しくされるがままだなんて、トップブリーダーにでもなった気分だ。これからもタイミングを見計らって、手懐けるためにも彼を入浴に誘おうと決めた。それなりに洗い終えた後は、シャンプーの泡が目に入らないように上を向かせたまま洗い流し、トリートメントは上がる直前に流せば良かろうと考え、髪に揉みこんで一応完成とした。長い間外に出ていた間に身体が冷え切ったかと思い、速やかに風呂に入らせて自分の洗髪にかかる。これは本当にどうでも良い作業で、適当に洗ってしまえば、先程とは逆の姿勢で彼に凭れかかるように湯船に浸かった)
(体に触れられるより髪の方が抵抗がないが、もう彼に対しては触れられる事に何の抵抗もなくなってきた。風呂を誰かと話しながら入るなんて経験がなかったが想像以上に楽しい。また時々誘ってみようかな…。自分専属にと言えばまさにそれを職にしている人が答えそうな返答が返ってきて、どこまでなりきっているんだと可笑しく思ったがその後の言葉に不満気な表情を浮かべる。「何それ、子供とかなら分からなくもないけど動物って…篤、僕の事何だと思ってんのさー?」じとりとした視線を向け問い質す様に尋ねるも、殆ど冗談で本気で疑っている訳ではない。丁寧に流す手慣れた様に思える動作に本当に向いてるのではと考えたが、彼が女性を担当するようになったら…髪に触れて、楽しそうに会話して、指名されたり…駄目だ、想像しただけで妬ける。家の中でだけ自分だけの専属で居てくれなくちゃ嫌だ。そう考えていた所で頭から手を離され終わったようだ。自分も彼の髪を…と思っていたが湯船に浸かるよう言われ、自分にした時とは対照的にさっさと終わらせてしまう様子を見ながら大人しく湯船に浸かって待つ。今度は先程とは逆に自分に背を向けるようにして湯船へ入って来た彼の肩に片手を乗せ、空いている片手で彼の背筋をスーッ…と謎る。彼の背後で悪戯を仕掛けた子供のように楽しげに口角を上げる。)
(身体も洗い終えシャンプーも済めば、後は軽く温まって風呂から上がるだけだ。1人で入るよりも随分と長湯になってしまったが、温度も少し温めに設定していたのでのぼせるほどでは無い。普段は彼を背後から抱きしめる姿勢が常なので、こうやって背中を預けることはあまり無いのだが、これはこれでなかなか新鮮だ。わざと体重を掛けて脱力したように凭れかかっていると不意に背中を指先で触れられ、悲鳴ともつかない妙な声を上げて湯が跳ねるほどに身じろいだ。振り返ると悪戯の主がそれはそれは楽しそうにこちらを見つめている)ちょっ!ビックリした!!…これだから真尋はガキなんだよっと(そう言いながら最初に披露した水鉄砲で背後にいる彼に打つと、見事に彼に命中した。振り返り正面を向くように座り直し、こちらも負けじと勝ち誇った表情で)俺に仕掛けようなんて10年早いっつの(これじゃどちらがガキなのか分かりゃしない。自分のせいで濡れてしまった顔を拭ってあげて)そろそろ上がるか。背中拭いてやるからおいで。(自分が先に浴槽から出ると、彼にも立ち上がるよう促すように手を差し出す)
(自分の悪戯に大きく体を揺らし驚いた様子の彼に思わずニヤつく。振り返った彼に"ガキ"と言われ気にしていた部分を突かれ不満気な表情を浮かべると、仕返しとばかりに顔にお湯を掛けられた。本日二度目の攻撃を受け濡れた顔を拭ってもらいながら「篤だってそういう事してくる時点で十分ガキじゃん。いい歳したおじさんの癖に。」と悪態をつく。やっぱりまだ子供だと思われているのかな…体を重ねる様になって大人として見てくれていると思っていたが…。まだまだ歳の差を感じさせない為の努力は続きそうだと密かに息を吐く。湯船から出る彼に差し出された手を掴み続いて脱衣所へ出て「体くらい自分で拭けるから。篤は自分の事しなよ。」とそこまでやってもらわなくてもいいと告げる。世話を焼かれるのは嬉しいやら申し訳ないやら、少し恥ずかしい気持ちにもなる。バスタオルを彼に手渡し自分の分も手に取れば何となく彼に背を向けて上半身から順に拭いていく。)
(相手からの悪戯にやり返したことで一人悦に入っていると「ガキはそっちだ」と言い返された。仰る通り返す言葉もございません…。誰に言うでもなく聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟く)うっせぇ。男は幾つになってもガキなんだよ(痛いところを突かれてしまったが、気を取り直して平常心を装う。差し出した自分の手を取ってくれた彼を浴槽から引き上げると、2人してバスルームを後にした。パントリーからバスタオルを2枚取り出し1枚を彼に手渡す。彼が来るまではスポーツタオルもバスタオルも混在していたのだが、今ではきっちりと分けられていてどこに何が入っているの一目瞭然に整頓されている。自分の身体を手早く拭き取り、用意していた下着を身に付けると、彼から持っていたタオルを取り上げ、背中に付いている水滴を丁寧に拭き取っていく)真尋はなんでも1人で出来ちゃう子だからさ…。たまには俺にも何かさせて。でないと、勝手にどんどん大人になっちゃうでしょ(手に持ったタオルを頭にふわりと乗せて、背後から抱きしめる。若い彼からしたら下らない感傷だろう。彼と一緒に居る限り常に付きまとう感情を吐露してしまった照れ臭さを打ち消すように、乱暴に髪を拭きながら)あとでドライヤーだな。今日は真尋専属のトップブリーダーだから、大人しく言うことを聞くように。
("何時まで経ってもガキ"…なら何時完全な大人になるのだろう…自分は何時大人になれるのだろうか…。そんなこと言う彼も自分からしてみれば立派な大人で、自分に悪戯をしてくる時以外はガキだなんて思った事もない。思考を巡らせながら「何それ。」と呆れた様に返す。涼しい脱衣所でほかほかと湯気の立つ体を拭いているといつの間にか下着まで身に着けた彼にタオルを奪われ「あ、ちょっと…!」と振り向くも遅く背中を拭かれてしまう。仕方無く大人しく拭かれているも頭にタオルを掛けられたかと思えば後ろから抱きしめられる。回された腕に片手を添えると「これくらいの事、一人で出来なくてどうするのさ。それに、何時までも篤に甘えてたら大人にはなれないでしょ、篤と釣り合う為にも早く一人前にならなきゃいけないんだから。」と自分にも言い聞かせる様に自分の思いを口にする。次の瞬間、乱暴に髪を吹かれ「ブリーダーって何?大人しくって何?むかつくんだけど。」と本気ではないが風呂上がりで火照った頬を膨らませ不貞腐れた口調で文句を返す。)
(大人になんてならなくて良いよ。なんて言葉を言いかけたが、胸の内に収めることにした。いつまでも自分の庇護のもとに置いておきたいだなんて勝手なエゴだということは十分に理解しているつもりだ。彼の成長に見合う男に自分もならなければな…。でないとあっと言う間に追い抜かれてしまうかもしれない。彼の伸びしろは自分には想像できないくらいあるのだから。目の前で精いっぱい背伸びをする姿を微笑ましく思いながら、それとは裏腹に膨らんだ頬をニヤついた表情で背後から指で突つく)年上の言うことは聞くもんだぞ。さっき真尋が言ったじゃん。専属になれって。だから実践しようかなぁって。(言い終わるとすぐさまハーフパンツとTシャツに着替えて脱衣所を後にする)はぁ…。喉乾いた。先に行って一杯やってるから早く来いよ。(キッチンに着くや否や冷蔵庫から350mm缶を取り出し、間髪入れずにプルタブを立てると勢いよく煽った)っはぁぁぁ…!!!!美味い!!!(それと同時に彼の為にとグラスを冷凍庫に入れて、いつでも冷たい物が飲めるように準備をしておくことを忘れなかった)
(膨らませていた頬を突つかれながら"歳上"なんて言う彼を不服そうに見る。確かに自分専属になればと言ったのだがここまで引っ張ってくるとは思わなかった。まぁ、頭を乾かすのは正直面倒に思っていたし彼がやってくれると言うならお言葉に甘える事にしよう。ここで断っても構いたがってくれている彼が不機嫌になるか、無理やりやられるかだろうし。「わかったよ、今日はお願いする。」ふっと困った様な笑みと共に頷く。頭からタオルを退けられると下着を履きつつ先にリビングへ行っているとの声に「はいはい、ドライヤー持って直ぐ行くよ。」と返す。脱衣所に一人になると「…案外、楽しかったな…篤とお風呂に入るの…。」と一人呟く。今度は泡風呂とかやろうと誘ってみよう。何時もの寝巻き、大きめのTシャツとジャージを履いてドライヤー片手にリビングへと向かう。廊下のひんやりとした空気が気持ちいい、リビングの扉を開け中へ入りながらキッチンに居る彼へ向けて「篤〜、頭乾かして〜」と声を掛ける。ソファへと腰を下ろし彼が来るのを待つ。)
(良く冷えたビールをが喉を通り胃に染みわたると、火照った身体からスーっと汗が引いていく。しばし余韻を楽しみながら今日一日のことを振り返ってみる。彼と過ごす時間はどうしてこうも早く感じられるのだろうか。まだまだしてあげたいこと、一緒にやりたいことは山積みで、ひょっとしたら一生掛っても消化しきれないかもしれない。そう考えると、2人で過ごす時間をこれまでよりも大切にしたいと思う。余韻に浸っているとドライヤーを手にした彼がリビングに入ってきた。いつも見慣れているにも関わらず、湯上りでほんのり頬が上気している姿は堪らなく色っぽい。なんとなく直視するのも憚られて、さりげなく視線を逸らす。ソファ中央にに陣取っていたが、彼が来ると入れ替わるように立ち上がりキッチンへ向かい、背中を向けたまま話しかける)グラス冷やしといたけどなんか飲む?それにしても、素直にドライヤー持って来るなんて意外だな。てっきり「自分でやる」って言われるかと思った…。まぁ、断られても結果は同じなんだけど(そう言って振り返り、にやりと笑う)
(風呂上がりの彼は妙に色っぽい…湿った髪と火照りによってほんのり染まった頬、凄く格好いいと思う。つい見入ってしまうも彼が自分から視線を逸らした事に気付き不思議に思いながらも特に気にせずソファに腰掛ける。テーブルに置いていた携帯を片手にメール等をチェックしつつキッチンで此方に背を向けたまま話す彼に答える。グラスを冷やしておいてくれたと聞けば「ありがと。なんかジュースがいい。」アルコールよりフレッシュな果物のジュースの気分で確かミックスジュースがあった筈と調理の際に冷蔵庫を開けた時を思い出す。ドライヤーを持って素直に乾かしてもらおうとする自分が珍しいと言う彼に友人から来ていたメールを適当に読み返事を打ちながら「偶にはね。乾かすの面倒だし、やってくれるって言うなら甘えようかと思って。」と素直に答える。送信し終えればテーブルに再び携帯を置きソファの背凭れに肘を付いて「それに篤、僕に構いたいんでしょ?」と先程の風呂の時に言っていた事を掘り返す様ににやりとする。)
(何が良いかと問いかければジュースが良いとのリクエストがあったが、そんなものあったかと思いながら冷蔵庫に首を突っ込むと確かにあった。D○LLのパックを手に取り念のため賞味期限を確認すると問題無いようだった。自分には買った覚えは無いので、恐らく彼が自分で買ってきたものなのだろう。冷えたグラスを取り出して氷を数個落とした後、手に取ったミックスジュースをグラスに注ぐ。リビングに戻りそれを手渡すと、再びソファに腰掛け自分のグラスを軽くぶつけると乾杯の意を示した。先程の携帯を弄っていたのは少々気になるが、ヤキモチ妬きの自分でも流石にそこまで干渉する気にはなれずに、そこはスルーしながら、彼の傍らにあったドライヤーを手に取る。スイッチを入れると熱風が噴出されたが、このまま彼に当てる訳にはいかないので、自分の肌に風を当てながら適温に下げていると、傍らから王子様の不遜な言葉が聞こえて来た。一旦ドライヤーを置いて向き直り)そうだよ。仰る通り。ったく…。真尋はさぁ、最近俺の扱いがやたら上手いよな。(口ではそう言いながら決して嫌とは思っていないようで、自分の方へ背中を向けるように姿勢を取らせながら、背後からドライヤーの風を当て髪を手櫛で梳いていく)
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