僕 2015-05-14 13:16:14 |
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(いよいよ当日。今日は何がなんでも仕事を終わらせる。いつもより少しだけ早く目が覚めると、隣に眠る彼を起こさないようにそっとベッドから這い出す。カーテンの隙間から見える光りは願った通りの晴天のようで、こんな日にはもってこいの天気だった。いつものカップにコーヒーを注ぎ、リビングのカーテンも開け放つと、眼前には青空が広がっていた。うんと伸びを一つ。少し凝った肩を回すと次第に目が醒めてくる。淹れたてのコーヒーを口に含みPCの電源を入れて今日の予定の予定を再確認するも、取り立てて急ぎのメールも案件も入っていない。よし。大丈夫だ。買ったばかりの浴衣を横目にニヤける顔を必死に堪えながら、いつものスーツに着替える。少し涼しくなった気候のせいで、この厚ぼったいスーツも苦にはならなくなってきた。皺の無いシャツに袖を通し、ジャケットに合わせて選んだネクタイを首に回す。これだけキレイに整頓されていると着て行く物も選びやすい。自分一人の時ならば、山の中から探し出すという作業だったのだが、彼と暮らすようになってから一転した。こればかりは几帳面な彼に感謝してもしきれない。準備が終わると、未だ寝息を立てる彼の枕元にそっと腕を付き耳元に唇を寄せ)行って来る。会社出る時に連絡入れるから。(言い終わると、唇を寄せていた耳たぶに軽く歯を立て)
(明日は休日だからと目覚ましはオフにしたままで起きなくちゃという緊張感に似た気持ちもなくスヤスヤと熟睡していて彼がベッドから抜け出した事など全く気付く様子もなく、彼が居なくなったスペースに寝返りをうてばさっきまで彼が居た残り香に無意識に安心感を抱き頬を緩める。再び深い眠りへと誘われようと耳に擽ったさを感じては眉間に皺を寄せる。「…ん、…篤…今の、何?」半分程意識が戻って来た所に先程の擽ったさを越えるゾクッとした感覚に意識を取り戻し、寝ぼけ眼で目を開け至近距離にある影を彼だと認識してはまだ正常には回りきらない思考で耳に感じた違和感について尋ねる。)
(/お疲れ様です!レス、気付くのが遅くなり申し訳ありません!お疲れだと思いますので、ゆっくりして下さいね。レスの方もゆっくりで構いませんので。^^*)
(自分が与えた刺激に目を覚ましたようで、ベッドの中で身じろぐ彼にまだ寝てるようにと諭すように髪をそっと撫で、少し寝癖の付いた柔らかい髪に顔を埋める。ぐっすりと眠っている彼を起こすのは少々気が引けたが、気付いてくれれば嬉しいと思い仕掛けた悪戯だ。時刻はまだ7:00を回ったところ)良いよ、まだ寝てて。今日はちゃんと帰って来るから。行ってきます。真尋。(寝ぼけ眼でこちらに反応を返す彼に対して頬に口づけ、いつものように家を出る。あの可愛い寝姿を見れるのは自分だけの特権だ。学校で仲の良いナントカくん…。優くんだっけ?その優くんだとて、こんな姿は見たことあるまい!!ましてや、今日は真尋の浴衣姿が見れるのだ。家を出て駅までの道すがら、下らない優越感に浸りながら歩みを早める。事務所に着くと土曜日と言うこともあって出社している人間もほとんどおらず、社内は静まり返っている。こういう日は問い合わせの電話もならず、溜まっていたデスクワークも順調に片付いていく。予定通りに仕事を終わらせ、一息ついたところで携帯を取り出した)
(真尋くん・背後様、お疲れ様です//良い連休をお過ごしでしたでしょうか?本当に段取りが悪く…槇村以下の進行に情けなく思っております…不甲斐ない自分にいつもお気遣い頂き、ありがとうございます。仰りたいことがあれば何でも行って下さい。)
(眠たい目を擦り彼を見れば優しい手付きで髪を撫でられ、髪に顔を埋められる。上手く回らない頭で彼の行動の理由をぼんやりと考えているとまだ寝ていていいと告げられ、起こした張本人はアンタだろなんて内心悪態つく。頬に口付けを受け今から出社するという彼に「…ん、行ってらっしゃい。」と軽く手を振り見送る。ベッドサイドの時計を見ればまだ午前7時でもう一眠りしようと毛布を被り直し目を閉じる。午前9時過ぎ、再び目を覚ませば身を起こし両腕を頭上に上げ伸びをしては洗面所に向かい身支度を済ませる。今日は浴衣で出掛けるけど取り敢えず服を着替えて朝食にパンと紅茶を摂り、リビングのテーブルで課題に取り組む。勉強が苦手ではない自分にとってはそう難しくもなく課題はスムーズに進み、洗濯、掃除と家事をこなしていく。一通りやり終えると浴衣の着付けの最終確認をしようとソファに腰掛ける。)
(/連休は充実した時間になりました!今日はこうして篤さんや背後様とやり取りも出来ましたし!いえいえ、忙しい時は誰にでもありますよ。背後様がリアルで頑張っておられる事、私はちゃんと知っていますのでその様な事は仰らないで下さい!それより、ご無理はなされませんでしたか?気候も大分涼しくなってきて温度差もありますのでお体に気を付けて下さいね!こちらから背後様にお伝えしたい事と言えば、忙しい中お相手して頂ける事への感謝くらいです!背後様こそ、遠慮なさらずお気軽に何でも仰って下さいね!)
(頬に顔を寄せて囁けば、起ききれないまま舌の回らない口調で返事が返ってきた。突然眠りを妨げられたからか少々恨みがましい思いも込められていたようだが、愛しい彼を置いて家を出る寂しさには変えられない。いつものように何も言わず見送ってくれる彼に甘え、心の中で「ゴメン」と呟きながら、寝室の扉を締め玄関を出る。仕事がひと段落して時計を見れば、予定通りの時間でホッと胸を撫で下ろす。今日は口さがない同僚も後輩もここには居ない。遠慮なく自分の携帯を取り出し、履歴の一番上に鎮座するアドレスにメッセージを送る。時間は正午丁度。昨日は課題があると言っていたが、いまもその最中だろうか。要領の良い彼のことだろうから終わらせているのかもしれないが、邪魔をしては申し訳ない。このまま会社を出れば昼過ぎには家に着けるだろうから、昼飯でも買って帰るか…)TO:真尋/Sub:(non title)/仕事終わったよ。今から帰るところだけど、昼飯一緒に食わない?帰りにデリで買って帰るからリクエストあったら言って
(真尋くん・背後様!良い休日が過ごせたようで何よりです♪先週まで台風などで天候が崩れて随分寒い日が続いておりましたが、風邪など引かれておりませんでしたか?こちらは日常の読みが完全に外れ、真尋くん・背後様にご迷惑をお掛けし…。背後様こそ、お忙しい中レス頂きありがとうございます。自分にとっては、今日お会い出来たことが休日一番のトピックです!お優しい言葉に感謝の仕様もございません。頼りがいの無いヘタレではありますが、こちらに出来ることがあれば遠慮なく仰って下さい。いつも貴方のことを想っております)
(ソファに腰掛け背凭れに凭れては顔を上に向け目を閉じる。まずは浴衣を羽織って、それから…と頭の中でシュミレーションを始めようとしていると携帯が鳴った。課題が出ていたから友人の内の誰かかと思いつつ側に置いていた携帯を手に取り液晶画面を見るといつの間にか正午過ぎでこの時間ならきっと彼だろうと緩む頬をそのままにメールを確認する。予定通り仕事は終わったみたいで帰りにデリに寄ってくれるらしい。そういえばもうお昼だった…いろいろ作業しているうちに時間の事なんてすっかり忘れていた。リクエストを聞かれると売っていそうな物を思い浮かべ暫し悩んでは唐揚げに決めて返信する。宛先:槇村 篤 本文:お疲れ様。お昼、一緒に食べる。リクエストは唐揚げ。後は篤が好きな物買って来て。ご飯は炊いておく。いつも通りシンプルで単調に文字を打てば送信し、ご飯を炊くためにキッチンへ向かう。お米を洗い、炊飯器にセット完了。後は炊けるのと彼を待つだけ。再びリビングへ戻って来ると直ぐに準備出来るようにと置いてある浴衣が視界に入り暫くじっと見詰めてはふっと微笑む。あの時勇気を出して誘って良かった。照れ臭かったけど、緊張したけど、断られたり好きではないと言われたらどうしようかと不安に思ったけど良く頑張った!自分!これからは躊躇せずもっといろんな事に誘ってみよう。それでもっといろんな思い出を沢山作ろう。アルバムを作る、なんていいかも。あ、でもそのためにはカメラで写真を撮らなきゃだなぁ。そんな事を考えながら浴衣の前に座り、嬉しそうに浴衣を眺める。)
(/ご心配ありがとうございます!体調は問題なくいつも通りでございます!迷惑だなんて思っておりませんよ。他の人はどうであれ、私にとってはこのくらいの事、迷惑になんてなりません^^* なので、どうかお気になさらず。こちらも同じ気持ちです!今日お会い出来た事が連休の中で一番嬉しい事になりました!本当にありがとうございます!頼りないなんてとんでもない!頼りにさせていただいてますよ、何時も。お気遣いありがとうございます!では何かありましたら、その時にでもお伝えするようにしますね^^* こちらも同様に、いつも想っておりますよ貴方様の事を。)
(ランチのお伺いを立てたところ早々に返事が返ってきた。この様子だと彼の課題も順調に消化できたのだろう。どうってことは無い日常のやりとりなのに、彼からのメッセージだというだけでつい口元が綻んでしまう。画面に映る文字を見るや否や間髪入れずに返答する)TO:真尋/Sub:RE:/了解。唐揚げね。あと1時間くらいで着くと思うから待ってて(送信ボタンを押して駅までの道を急ぐ。そういや…。今の携帯に買い替えたばかりの時に、彼からメールや電話があった際にすぐわかるようにと彼の写真が出るように設定しようとしたら、速攻で却下されてしまったことがあったことを思い出した。別に常時の待ち受けにする訳でも無かったのに、寝てる時にこっそり盗撮した画像を使おうとしたのがいけなかったのか、なかなかの剣幕で怒られてしまった。その時は彼の機嫌を損ねるのを恐れて止めてしまったが、今日浴衣姿の写真を撮ることが出来れば、こっそり設定してしまおうと固く心に誓った。自宅最寄駅近くのデリで、目的の唐揚げとサラダ、あとは適当におかずになりそうな物を買って家に辿り着き、こんな時間に一緒に居られることが嬉しくてご機嫌な様子で声を掛けながら玄関を開ける)ただいまーっと。ごめん、ちょっと遅くなった。
(浴衣に見蕩れていると再び携帯が鳴り、今度は彼だと確信して浮き足で携帯を取りにソファへと戻る。ボスッと音を立てて腰を下ろしメールを確認すれば、思った通り彼からだった事にふふん♪と一人ご機嫌に笑い内容に目を通し直ぐに返信を打つ。宛先:槇村 篤 本文:早く帰って来てよ! 普段なら送らない様な一言を今日はお祭りの事で浮かれているのか送ってみたりして。さて、彼が帰って来るまでどうしようか。洗濯物はまだ乾いていないだろうし、おかずを買って来てくれるんなら作らなくてもいいし…。背凭れに凭れ天井を仰ぎ見て暫く考えていると、いい悪戯を思い付き寝室の彼の服が入っているタンスへと足早に向かう。タンスの中の彼の服を漁り自分が着れそうな物を探し出せば、自分の着ていたTシャツを脱ぎ彼の私服のシャツを代わりに着る。姿見で服装を確認してはこれで完璧!と口角を上げる。これで出迎えたらびっくりするぞ!絶対!と楽しげににやけては再びリビングのソファでテレビを見る事にした。暫くして玄関の扉が開く音が聞こえ玄関へ小走りで向かえば「ちょっと!遅いんだけどー!」と大して遅れた訳でもない彼へ文句を交えて出迎える。)
(ったく…。「早く帰って来て」なんてメッセージを返されたら、急がない訳にはいかないじゃないか。誰に言うでもなく、携帯に向ってニヤついた表情のまま)はいはい。分かってますよ。(なんて答えながら、返信する時間も惜しくなりジャケットの内ポケットに携帯を仕舞う。買い物を手っ取り早く済ませて家に帰り玄関を開けると、リビングから不満を抱えた声が聞こえてくる。そんなに待たせたつもりは無く、腕時計を見ても伝えた通りの時間に帰って来たつもりだったが…。余程お腹が空いてたのかと合点し、すぐにメシにするかと靴を脱いだところで顔を上げると、腕を組み頬を膨らませた彼の姿が目に入った)悪ぃ!ほら、言ってた唐揚げ買って来t…たし…(荷物を手渡そうとして袋を差し出したが、思わず落としそうになってしまった。俗に言う彼シャツ?!付き合いたての頃に彼の着替えが無くて無理やり着せたことがあり、それはそれは盛大に萌えたのだが。今では彼の衣服が揃っているのでそんな必要も無い。しかもその時はルームウェアとしてTシャツだったのでさほど違和感は無かったが、今彼が着ているのは自分が普段着ている前開きのシャツだ。少し大きめのシャツから見える鎖骨と手首まで覆う余った袖に眩暈がする。真昼間から何してんのこの子は…。ひん剥くぞコラ。痛むこめかみを指で押さえながらなんとか理性を保つことに成功して、眼前に立つ彼の首に腕を回して抱き締める)ハァ…。分かったから…。取りあえず着替えて来なさい。そんな恰好でメシなんて食えないでしょ?
(遅いなんて言ったのは単なる冗談だが、さも怒った風を装っていながら彼の服を着ている自分に対して彼がどんな反応を見せるのかを楽しみに考えた悪戯だ。冗談の文句と共に玄関まで出迎えると、時計を確認する様子を見てニヤリと口角を上げる。早くこちらを見ないかとワクワクしていると顔を上げかけた彼がこちらにデリの袋を差し出してき、それを受け取ろうと手を差し伸べれば彼が硬直した。この状況を見て混乱しているのだと解釈しては悪戯が成功した事への満足感が湧いてきてニヤニヤが止まらない。怒るか困るか戸惑うか、さてどれだろうと様子を窺おうとすれば不意に抱き締められ予想外の事に少し驚くも背中に手を回し「吃驚した?ちょっと驚かせてあげようと思って。」と楽しげに話し掛ける。彼が出張の時、寂しい夜は密かに彼の服を着て寝る事があるから彼の服を着る事にあまり抵抗はない。彼の前ではしなかったけれど。着替えて来いと言われては「え、いいよ。どうせまた浴衣に着替えるんだし。汚さないようにするから。」と平然とこのままで居ると告げる。きっとご飯を食べる時に汚されると思っているのだろうと勝手に思い込み、着替えるのが面倒になっては袖口を捲り上げて心配ないと。)
(驚かせてあげようだなんて事も無げに言ってはいるが、日の高いうちから自分の服を着て出迎えてくれるなんて、一体何のご褒美だよ。こんな時ばかりは、持ち前の妄想力が遺憾無く発揮される。ちなみに少し我儘を言わせて貰えば、前ボタンはあと2つほど外して貰って鎖骨をアピール。左右アシンメトリーな感じで、どちらかが少しずれて肩が露わになっていれば尚良し。ボトムは…。それ以上は望むまい。そして上目遣いで「ちょっと。遅いんだけど(ハート)」なんて言われたら、10秒待たずに押し倒す自信がある。一呼吸入れて自分を落ち着かせるために彼を抱き寄せ着替えて来るように伝えるが、まるで意に介さず「汚さないから大丈夫」と着替える気は更々無いようだ。これ以上言っても無駄だと諦めて、何も言うまいとスーツからルームウェアに着替えるために寝室に向った。着替えた後は何事も無かったようにキッチンに向い、買ってきた惣菜を皿に移しレンジで温める。彼も続いて先に用意してくれていたご飯を茶碗によそってくれ、ささやかな昼食となった。彼には冷えたウーロン茶を、自分には缶ビールを眼前に置き2人手を合わせて)いただきます(何時に出るか何処で花火を見るかなど、他愛も無い話をしながらも食事を進める。なるべく彼の首より下に視線を合わせないように。これさぁ、完全に事後翌日の昼食じゃねぇか)
(体重を掛ける様に抱き締められ支える様に回した腕に力を込める。大量の仕事を急いで片付けて来て脱力しているのだと的外れな解釈しては"お疲れ様"の意を込めて背中をぽんぽんと優しく叩いてやる。勝手に服を着た事には怒っていなさそうだと判断しては、少しスカスカするがどうせまた着替える事になるからそのままで居ると答える。デリの袋を受取れば無言で寝室へと行ってしまった背中を見て、やっぱり少し怒らせたか…と僅かに眉を下げる。キッチンに惣菜を置きつつ考える。彼は基本的に優しいから怒るなんて事は今までにも無く、きっと怒っていても表には出さない様にしているんだろう。今から着替えるか…と考えていると何事もなかった様に彼が現れ惣菜を温め始めたので自分はご飯をよそいながら彼の様子を窺う。…何時も通り、みたい。別に、怒っている訳では無さそうだと密かに胸を撫で下ろす。自分も気を取り直して茶碗を食卓へ運び、二人揃っての昼食となった。少し長い袖を綺麗に捲くり上げ、いただきます。と手を合わせるとふと目彼の前にあるビールに気付き「…もう飲むの?まだお昼なんだけど…仕事が終わって気が抜けたのは分かるけど、解放され過ぎじゃない?」なんて鋭く問いビールを凝視する。)
(温め直した惣菜各種と唐揚げを並べ、あとは彼が用意してくれた炊き立てのご飯。一緒に食べるのだったら何だってご馳走なのだが、彼からのリクエストを受けて用意した品とその他、そして炊き立てのご飯なんて、普段の仕事中なら絶対にあり得ないシチュエーションだ。しかも、目の前にいる愛しい彼が何やら可愛いことをして待ってくれていたことだし。経験上昼間の酒ほど美味いものは無いことも知っている。ここまで条件が揃っていて飲まずにはいられないだろう。それぞれがテーブルに揃えば自ら率先して手を合わせる。まぁ、これは2人で暮らすようになってから、一緒に食卓に着くようになってからの習慣となっている。ご機嫌でプルトップを開けようとした瞬間、冷たい視線と辛辣な言葉が浴びせられた。どうやら自分が飲むことに不満らしい。確かに飲まない人間にしたら昼日中に飲むなんて自堕落な行為だろうと言うことは分かる。だが、昼に飲む酒ほど美味いものは無いことも事実。これ以上説明するのも面倒臭くなり、ニヤリと笑いながら意地悪くこちらから反撃することにした)じゃぁさ、真尋くんは何で昼間から俺のコスプレしてんの?もしかしてそういうの好き?
(丁寧に手を合わせて箸を持てば、リクエストした唐揚げを一番に頬張る。食べたい時に食べたい物が食べられるというのは、なんて幸せな事もあるだろう。炊きたてのご飯と合わされば更に美味しく感じ、何が食べかわざわざ聞いて買って来てくれた彼に感謝しながら食べ進めていく。もぐもぐと動かしていた口を止め、真昼間からビールを飲もうとしている彼に冷ややかな視線を送る。どうせ、ごめんごめんと悪びれもなく軽い謝罪の言葉を並べつつ止めたりはしないのだろうと今までの彼の言動から予想するも、問い掛けには答えずに自分に質問してくる。コスプレなんて言われては急に恥しさが込み上げてくる。そんなつもりでやったのではないと即座に反論する。「コスプレなんかじゃない!篤を驚かせてやろうと思って着てみただけだし!。」彼の意地悪な質問の所為で一気に体温が上がり、心拍数が増える。真っ赤になった顔を背け、不貞腐れた表情で呟く。「…でも、篤の匂いがするから…好き、かも…。」)
(テーブルに着くと真っ先に唐揚げを頬張る姿を見て、その姿を見ながら買ってきて良かったと思い、目の前の缶に口を付ける。その矢先に彼からの指摘が入るものだから、こちらからも今日の悪巧みについて問いかけると、急に口ごもりコスプレでは無いと言われてしまった。そして理由はと言えば、自分の匂いがするからだそうだ。なんだ。コスプレは趣味じゃないのか。もしそうだと言えば、アレもコレもと夢と言う名の妄想が広がったのだが…。じゃなくて、自分の匂いが良いの?いつも一緒に居るし、寝る時も同じベッドじゃないか。よく見れば心なしか頬も赤く、俯いたままこちらを見ようとしない。なに??いつもは小生意気な癖に、可愛いところがあるじゃない。いや、いつも可愛いには可愛いんだよ。もう全部可愛いし。もちろん生意気なところもそうなんだけど、こんなあからさまに恥じらわれると、いつもに無い反応につい調子に乗ってしまう。唐揚げを摘まもうとした手首を取り俯く彼の瞳をじっと見つめながら、その手を自分の口元に寄せてパクリと一口食べ呟く)まだ足りないの?俺のこと。
(唐揚げや他のお惣菜、ご飯を口に入れるため素早く動かしていた手は彼の質問に寄って止められる。ぽっと思い付いただけの悪戯でこんな恥ずかしい思いをするなんて思っても見なかった。しかもコスプレと間違われるなんてっ!男子がメイド服やチャイナ服といった偏ったものを想像しては、自分にそんな変態趣味はない!と断言する。しかし冷静に他人の服を普通に着る事もコスプレになりうるのか…といった未知の分野について考える自分もいる。彼が喜ぶなら…一瞬考えが過ぎるも自分はそのような道に踏み外したりしないと自分を制する。こんなシャツ一枚でコスプレだなんだと言ってくるのだから、これから着る浴衣を着た後はどうなるんだ…。ていうか、彼だって着るんだし人の事とやかく言えないよね。お揃いでコスプレするようなもんだし…お揃い…お揃いのコスプレなら…いい、かも。それに、服でなくてもマフラーとか鞄とか揃えるのもいいかも〜。ってダメダメ!変な想像をしてしまっていた思考を正常に戻すために小さく首を振る。つい口が滑って彼だって匂いがするから好きなんて言ってしまった…。本心だけど、一応隠し気味にしてきた事。変な奴だと、気持ち悪いと思われたくないから。でも、とうとう自らの言葉で伝えてしまった。思わず顔を逸らしたが彼の反応が気になる。嫌そうにしているかな…なんてマイナスな思考が過ぎった所で唐揚げを挟もうとしていた箸を持つ手を捕まれ彼を見れば、そのまま手を食べられた。こちらを見詰める瞳にドキッとするも、彼の行動と質問の意図が分からず戸惑う。足りない?篤が?匂いが好きだと言ったのは安心するからで、寂しさ紛らわす為でも何かを我慢している訳でもない。赤みの引いた顔で真剣に彼を見詰め、彼の不安を解こうとど直球に自分の想いを告げる。「…何勘違いしてるのか知らないけど、僕は今の篤に不満はないよ。コスプレだなんだ煩いし、今だって手を齧られた意味も分からない。こんな昼間からお酒を飲む事も理解出来ない。…だけど、僕は本当に良くして貰ってると思ってる。世界中何処探しても僕以上に幸せな思いしてる人なんて居ないと思うよ。…だから、余計な事考えてないで僕の事だけ考えてればいいの。分かった?バカ篤。」自分が彼の服の匂いを堪能したからって彼が足りてないって結論に辿り着くなんて…この心配症。足りてなかったらもっと構えだの、ああしろこうしろって我儘言ってるよ、ったく。時々バカなんだから。まぁ、そんな所も好きだと思ってしまえる程に惚れてるんだけど。これで彼の勘違いも解けたかと様子を窺い見る。)
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