とくめー。 2015-05-02 18:48:51 |
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( 電気が消えると先程まで明るかった部屋にすぐに暗闇がおとずれて。速く暗闇に目が慣れないものかと相手がいるだろうと思われる方向をじっと目を凝らすように見詰め。明日は何時なのかと問われ、えーっと、と記憶を辿りながら確かそこまで速くなかったような…と思い返すと相手がいるだろう方向から天井を見るように横向きだった体を仰向けにしながら、 )
多分九時頃に起きれば間に合う、かな
九時頃…、
(相手から聞いた答えをぽつりと繰り返しながらベッドまで辿り着いてはぎしり、という音を立ててベッドに乗って。相手にぶつからないように気をつけながらとりあえず手前の方に座って明日のことについて考えて。九時に家を出る己と完全にすれ違うな、と考えては話が出来るのはこれが最後だと分かり再び心が沈むもそんなことは言葉に出さずに相手がいる方向を向いて、)
じゃあごはん置いておきます。玄関に鍵も置いとくので郵便受けにでも入れておいて下さい。
赤葦何時に出んの?
( ベッドの軋む音をぼんやりと聞き流しながら相手の呟きに対してふと疑問に思ったことを訊ね。自身は九時頃でもいいと言ったわけだが相手はそうもいかないようで僅かに首を傾げつつ。相手の言葉を聞くとやはり時間は違うようでつまりは相手のほうが先に出るということか、なんて考えると相手の言葉への返事を んーと少しだけ考えるような素振りを見せ、暫しの間を開けると へら、と笑いながら、 )
俺赤葦と一緒の時間に出る
俺は九時に出ます、
(相変わらず座ったままで会話を続けているのは相手の横に寝転がるのは緊張するからであり相手の質問に答えては返ってきた返事にぱちぱちと瞬きし。明日も話が出来るということは己にとってこの上なく幸せなのだがそれでは相手に無理をさせてしまうのではないかと考えては軽く苦笑を浮かべつつ、)
…そんな早く出勤してどうするんですか
うわ、まじか、
( 自身が起きる時間に相手が出るという事実にほぼ素でぽつりと言葉吐き出してしまえば何処か難しい顔をし。相手が何故か寝転がってこないこと僅かに疑問に思うがそんなことを聞く勇気も無くて。相手のその疑問と苦笑に対して何と無く相手の頬に腕を伸ばすと むに、とその頬を摘まみながら予想外の言葉に言葉を模索しつつ、)
赤葦と沢山話すことあんだもん、だから俺も明日赤葦と同じ時間に出たい
(相手の反応はいつでも素直であり己の出勤時刻に驚いていることが分かれば思わず小さく吹き出してしまい。相手が眠るまでとりあえず座っていよう、と考えていれば頬を摘まれたため軽く眉を寄せつつその手に己の手を重ねては無理矢理剥がすことはせずに離してくれるのを待って。話すこと、そんなことを言われては気になるのは当たり前で頬を摘まれ上手く言葉を発せない状態のまま問い掛けて。)
何ですか、話すことって。
あっ、もー、笑うなよなー!
( 相手が自身の言葉に吹いたのを目敏く気付き、拗ねたような口調で相手にそう指摘すると むむ、と不服そうに唇尖らせ。相手が手をわざわざ重ねてきたことに一瞬だけ固まると気恥ずかしく感じたのかそそくさと相手の頬から手を離し。それから話すこととは何だと相手に問われると穏やかな笑みを溢しながら、 )
いーっぱい、あるよ。バレーまだやってるのかーとかさ。
っ…、すみません
(相手が拗ねているのが声色で分かるもそんな相手が可愛くてふふ、と小さく笑みを零したあとに謝罪の言葉を述べて。そしてすぐに相手の手が離れていってはそれまでの温もりが頬からなくなり少し寂しげな表情を浮かべて。相手の口からバレーという言葉が聞こえると反射的に体をビクリと揺らして反応してしまうのは高校のメンバーとのバレーが忘れられず社会人のチームに入ることを躊躇っているからであり。相手からは見えないであろうがゆるゆる、と首を振っては、)
探してはいるんですけど、なかなか合うチームがなくて。
まぁ、いーけど、
( 相手が小さく笑ったのに気付くと上記をぽつり、どうやら自分は相手の笑った顔に弱いらしいと再確認してしまえば自分も大概だなぁ、と自身に対して呆れたように小さく溜め息を溢す他なくて。何処か寂しげな顔、暗闇の中から目敏く見付けてしまうと僅かに目を見開いてからほぼ反射的に相手の頭に手を伸ばし、わしゃ、と癖の目立つその髪の毛優しく撫でていると探している、という言葉鼓膜を揺らし。つまりは相手はまだバレーに対してやる気はあるということではないかと解釈するなり寝転がっていた体を勢い良く起き上がらせてから、 )
あ、じゃあさ!俺のいるチーム来て!
(本来ならば失礼にあたる行為なのだろうがそれでも相手は許してくれる、そんな優しさに甘えてしまっている己に気付いては思わず苦笑を浮かべて。寂しさを紛らわそうと己の指を絡めてみたりしていれば相手の温かい手が頭の上に降りてきて、たったそれだけのことがとても嬉しくて微かに口角を上げながら目を細め。そんな心地良い時間を過ごしていると相手がいきなり起き上がったため目をぱちぱちと開閉させて思わずおお、と小さく声を漏らし。相手の言葉を聞いて初めて相手がバレーを続けていることを知り、さらにその唐突な誘いに勢いのまま返事をしてしまい。)
え。あ、はい。
( 先程まで小さく笑っていた相手が苦笑にその笑顔を変えてしまうと何かまずいことをしてしまったのだろうか、とただただ小さく首を傾げて。相手の柔い髪の毛が己は昔から好きで、その触り心地たのしむように子供に対してするような感覚で相手の頭を撫で回し。それが楽しいのか何処か瞳を輝かせてみたりして。相手から了承の言葉を貰ったと思い込めば ぱぁあ、という効果音がつきそうなほどに表情をきらきらと明るくさせて。よっしゃ、という意味も込めてか相手の頭を撫でていたその手で大きくガッツポーズをし。 )
今のセッターも好きなんだけど、やっぱ赤葦のトスが一番しっくりきてさー。
(相手に頭を撫で続けられてはこのまますとん、と眠りに落ちてしまいそうな程心地良さを感じ、きらきらと瞳を輝かせている相手とは対照的に今にも瞼が閉じそうで。それでも相手の声を聞いていたいという思いから何とか意識を繋いでいては己の言葉に相手の手が離れていくのを感じて、その手がぐっと握り締められているのを見ては相手が喜んでくれていることを悟り何処か安心したような表情を浮かべ。さらに相手が己のトスを褒めてくれれば嬉しさが込み上げるも相手がいるとはいえ完成しているチームに入るのには少し抵抗がありぽつりぽつりと呟くように、)
いきなり、迷惑じゃないですか?それに、木兎さんは誰のトスだろうと完璧に決めます。
( 相手の表情見ていれば瞼が閉じかけていることに気が付きハッとすると「あかーし、眠いなら寝ろって、」と何処かハラハラした様子で相手の返事を待ち。ふんふん、と何処か興奮した面持ちで相手を見詰めているとへへっと時たま嬉しそうな声音で笑い声をあげてみたり。相手の呟きに対して迷惑だなんてことないと思うけどなぁ、と何処か不満そうにその言葉を聞いており。そういう遠慮がちなところは嫌いではないのだが、もっとこうノってきても良いだろうと勝手にそう思ってはぶんぶんっとすごい勢いで首を振ってから、 )
そんなこと、ない!確かに俺は誰のトスでも打てるけど俺は赤葦のがいいの!
…起きてたいんです、
(先程は強く言ってしまったからか相手の様子がそわそわしていたので言葉を選んでやんわりと告げつつ閉じそうな瞼をごしごしと擦ってみたりして。相手の楽しそうな雰囲気につられるようにゆるりと口角を上げるもその中には少し戸惑いが混じっており。暗闇でも分かるほどに相手が首をぶんぶんと振って放った言葉が素直に嬉しかったこともあり、これ以上断ることも出来ずこくり、と頷いてとりあえずは了承するも一度バレーをしている相手の姿を見てしまえばやりたくなるのは目に見えているため何処か曖昧な返事をしては、)
じゃあ、今度…見学だけでもさせて下さい。
起きてたいって……
( 瞼を擦る辺り、やはり眠たいのだろうとすぐさま理解を示して。起きていたいなどと相手は言うが見ても解る通り眠たげな相手に何でこんなに意固地になるのかと疑問を抱きつつ戸惑いを見せ。何故か戸惑い気味を見せる相手に はて、どうしたものかと思い至ればきょと、としながら幾度か瞳をぱちくり。見学だけでもという言葉にきらきらと瞳を輝かせたまま「やったっ、何時でも待ってるから!」と大きすぎるのでは、と思われるほどの大きな声でひどく嬉しそうな声音で言葉を放ち。それから付け足すように、 )
楽しみー。
あ。起きてると気になりますか?
(相手の声に何処か戸惑いを感じられたためふと思いついては若干眉を垂らしながら申し訳なさそうに言葉を返し。合宿の時は感じなかったがもしかしたら神経質なのかもしれない、なんて考えていてもしそれならば早く寝た方が、と珍しくそわそわとした面持ちで。しかし相手の大きな声にびくり、と肩を揺らしてはそんな不安が何処かへ飛んでいきそうな勢いで驚いて。相手は楽しみ、なんて言葉に出さなくても分かるような声色で話してくるのでバレーが本当に楽しいことが伝わってきてゆるりと口角を上げては、)
木兎さんは、いつも真っ直ぐですね
へ、いや、そうじゃなくてっ。
( なんだか相手に勘違いをさせてしまったようだと目の前で眉を下げる相手に対してひどく焦った様子で上記を述べ。何度も左右に首を振ると「俺、赤葦と沢山喋りたいけど…赤葦が無理するのも嫌だ、」と理由になっているかは解らないが自身の考えを伝え。にこにこという効果音がつくのではないかと思われるほどに笑っていたのだけれどいっつも真っ直ぐだなんて言い出した相手にはて、それは何のことだろうかと首を傾げてから、 )
そーかな。その方が楽しいからさ!
ん、…わかりました
(相手が焦っているのが分かれば何だろう、と緩く首を傾げてみるも相手が心配してくれていることを悟ってはこくん、と一度頷いてから布団の中へぬくぬくと潜り込んで。寝転がりながらも話は出来るが布団と相手の温もりで眠りにつくのは時間の問題だな、と感じれば「先に寝ても拗ねないで下さいね、」なんて冗談を言ってみたりして。真っ直ぐな方が楽しい、そんな相手らしい言葉が聞けては嬉しそうに目を細めつつ眠気からだんだんと思考が回らなくなっては思ったことをそのままぽつりと声に出して、)
木兎さんの近くにいたら毎日楽しいでしょうね
( 相手がどうやらわかってくれたらしい、そのことに心底安心してはやっと布団に潜り込んでくれたことにふぅ、と小さく息を吐き出して。寝てほしい気持ち半分、もう少し話していたい半分と言った微妙な割合の正反対の気持ち抱えていれば拗ねるな、なんて言葉が聞こえて、何処か気恥ずかしそうに目線を少し相手からずらすなり、「別に拗ねねーよっ、」 なんて述べてから頬を掻き。相手が何気なく吐いた言葉に目を見開くと何処か複雑そうな表情を一瞬だけ見せ。それから少し間を置くと、 )
そーだな。それと同じこと俺もいつも思ってる
…木兎さんも、横になったらどうですか?
(寝転んだあとは暫くもぞもぞと動きながら良い体勢を探していたのだがふと相手が起き上がったままであることに気付いては其方に視線を向けながら問い掛けて。その後相手から反論の言葉が返ってきては楽しそうにくすくす、と小さく笑って。しかし暗闇の中に見えた相手の複雑そうな表情を見ては笑顔は消えてしまい己の言った言葉を酷く後悔し。慌てて弁解しようとするもその前に相手の言葉が返ってきては思わず己の想いを口に出してしまいそうになるもぐっと堪えて。)
木兎さん、俺……、何でもありません。
ん、そーする、
( 隣でもぞもぞと動く相手を暫し観察していたわけなのだが不意に動きが止まった相手と視線が交われば目をぱちぱち。それから相手に横になったらどうだと言われると幾度か頷いたのち上記を述べつつぽふんっと布団に寝転がって。相手の笑い声聞こえるとついぞ、こちらも嬉しくなり、天井を向いているわけであるがニィと口角あげ。そういえばこれほどまでに近くで寝るのは学生の頃の合宿以来だなぁ、と考えていた矢先、相手の言葉が急に途絶え。そのことに、疑問を持ったのとその言葉の先に何が有るのか少しでも知りたくて。 )
…何でもないわけねーだろ?
(相手が寝転がったことに安心し満足しては此方もこくり、と頷いて。横になるように勧めたのは己であるがいざ相手が隣に寝ているという状況になった今、胸の鼓動はどくどくと早くなるのを感じては胸元の服をぎゅっと握り締め落ち着け、と自分に言い聞かせ。そして己の言葉に対して相手が聞いてきては困惑した表情を浮かべゆっくりと寝返りを打って相手に背を向けて。今までも想いを伝えることを先延ばししてきた己であったが今回も同様であり、)
…今じゃ、ないんです
( 寝転がれば欠伸が溢れそうになるのは仕方のないことだろう。しかし今ここで欠伸をしてしまえば眠いと相手に思わせかけないと変なところで機転を利かせ。必死に欠伸を噛み殺してはわずかな緊張に落ち着きのない様子で言葉を模索し。隣の相手の気配が動いたことに気づくとそこにあったのは相手の背中。それと同時に聞こえた今じゃないという言葉に 何が、今じゃねーの、とその背中に問いただしたい気持ちでもあったがなんだか怖くて、そんなこと聞けずに言葉を投げるのを一旦やめ。それから少し間を開けると、 )
…わかった。じゃあ、また今度聞く
(少しの沈黙の間眠くなっても可笑しくないはずなのに相手の返事が怖くて瞳はぱっちりと開いており。己の言葉を相手が深く追求してこないのは優しさなのか、それとも興味がないのか。相手のことになると途端に前向きに考えられなくなる己に小さく溜息を零して。相手の口から今度、という単語が聞こえては今度があると期待してしまっている己がいてそんな自分に戸惑いを隠せずに。何か言葉を返さなければと考えていればいつの間にか瞼は完全に閉じており相手に背を向けたままで穏やかな寝息を立てて眠りについてしまっていて。)
( 相手の口からなにか返事が返ってくるかと思いきや、耳に入ってきたのは相手の小さなため息のみで。その声に小さくぴくりと小さく体を震わせ背中しか見えない相手を恐る恐ると見やり。もしかして何か余計なことを言ってしまったような気がしては えーっと、と小さく声を漏らしたわけだが、そんな心配をよそに相手から聞こえてきたのは穏やかな寝息で。相手が寝たこと確認すると全身の緊張が一気に解けたのもあってか本当に小さく詰めていた息を吐き出して。「おやすみ、」とだけ呟いては相手に背を向けた状態できつく目を閉じ。 )
ん…、
(朝7時、目覚まし時計を使わなくともこの時間になると自然と起きてしまうようになっておりゆっくりと瞳を開いて。いつもと変わらない朝で一つだけ違うのは相手が隣にいることで起こさぬように気をつけながら寝返りを打っては未だ眠っているであろう相手の顔をじっと見つめてみたり。まだ時間に余裕があるためかなかなか起き上がろうとはせずに相手を見続け、相手が寝ているのをいいことに相手の頬へと手を伸ばそうとして。)
( 相手が隣に居るということで寝れないかもしれないなという心配も、ほぼ無用と言うべきか、ギュッときつく目を閉じれば自然と寝てしまうのは仕方無いことなのだろう。すっかり夢の世界に落ちてしまった己は普段はもう少し遅い時間に起きるせいでもあるのか、なかなか目が覚めることはなく。んん、と小さく唸り声に似たような声を出すともぞもぞと掛け布団の中に潜るような素振りを見せ。 )
(相手の頬に手が触れる、その瞬間に相手が唸り声を上げてはびくり、と肩を揺らして驚きその手を勢い良く引っ込めて。そのまま布団に潜っていく相手のことをじっと観察するもどうやら起きてはいないようで安堵の息を吐いてはやっと体勢を起こして両手を上にぐぐ、と伸ばし。そして相手へと視線を向けては隣にいることが相当嬉しいらしくゆるり、と口角を上げつつ再び相手へと手を伸ばし相手の頭にぽふ、と手を置いてみて。)
( 毛布を巻き込むようにその場に丸まったわけだが不意に頭に感じた刺激に夢の中から現実世界に引き戻されると閉じていたその琥珀色の瞳をうっすらと開き。ぱちぱちと何度か瞬きを繰り返すとそういえば今は赤葦の家に居るんだっけと昨日の記憶を掘り起こすと再度眠ろうと目を閉じたのだがハッとすれば相手がいるであろう方向に体をもぞもぞと動かし、へらりと眠たげなまま笑うと、 )
おはよ、
(いつもは強そうに立っている相手の髪が今はへたり、と柔らかくその感触を楽しんでいてはふいに相手が此方を向き直り視線が交じり合って。相手が起きたことを悟っては完全に手を引っ込めるタイミングを失ってしまっており不味い、といった表情を浮かべるも相手の眠そうな笑顔を見てはそんな不安は何処かへ消えてしまい相手の頭に置いた手をぽんぽんと動かしながら目を細めては、)
おはようございます、…眠いんですか?
( 何故か相手に頭を撫でられていたわけだが何処か心地よさそうに目を細めると自身からも相手の手にすり寄るような行動を取り。ふわぁあ、と眠気からか大きな欠伸を一つ溢すと眠いのかという問い掛けに気を抜けば再度夢の中に落ちてしまいそうな重たい瞼と格闘しつつ こくん、と小さく頷いて。潜り込んでいた体を少しだけ上に移動するように動かすと相変わらず眠そうな笑顔を浮かべたまま。 )
ちょっとだけ、
(己の手を振り払われないかと内心不安でいっぱいだったが相手の表情と行動を見てはその愛らしさに思わずゆるゆると頬を緩めつつもまるで子供をあやすようによしよし、と髪を撫でて。そしてひょっこりと布団から顔を出した相手がちょっと、なんて言ってきてはその見え見えな嘘にくすり、と笑ってしまい。ふと時計に視線を送ればまだ時間に余裕はあったため髪を撫でていた手を離しては先程顔を出した相手に布団を掛け直して。)
まだ時間は大丈夫ですから、ゆっくり寝てていいですよ
( 元より背が高いこともあってか人に頭を撫でられるなんてもうずいぶんされたことがなくて、その懐かしい感覚に再度夢の中に落ちかけたが一度強く目をつむるとその目をパチリと開き。何故か相手に笑われるとキョトンとした顔で幾度か瞬きを繰り返して んー? と小さく不思議そうな声音でぽつりと声を漏らして。まだ時間は大丈夫だと相手はいうものの己は相手と同じ時間に起きると決めたわけだし、相手と一緒にいる時間が減るという事実が嫌でゆるゆると左右に首を振ってから。 )
んーん、もう起きる…、
(相手の瞳が閉じられては再び眠りについたのだと思ったがその瞳がぱちりと開いてはおお、と小さく声を漏らしながら瞬きをし。己が笑ったことにより相手が不思議そうな表情をしてはそんな相手を愛らしく感じ目を細め、何でもない、とゆるゆると首を振り。布団を掛けてから朝ご飯でも作ろうかと動き始めようとしたところで布団の中で首を振る相手が目に入り起きる、という言葉を聞いては困惑した表情を浮かべつつも納得して。)
ん、無理はしないで下さいね?
( ごしごしと眠気を退けるためか目を擦るともぞもぞと動いたかと思えば上体をゆっくりと起こし。何処か乱暴に頭掻くと先程よりかは目が大分覚めてきたのもあり幾分かマシであって。何でもないと首を振る相手に一瞬だけ訝しげな顔を見せたが相手がそう言うのならば、と相手を信用することに決めたらしくそれ以上の詮索をするようなことは辞めて。無理をするなと言った相手にこくん、と深く頷けば、相手がベッドから降りたのを確認するなり此方もベッドから降りて。 )
だいじょーぶ、もう目、覚めたから!
(いきなりむくり、と起き上がり頭を乱暴に掻く相手の行動一つひとつに反応し小さく驚きの声を漏らしつつ何となく眠気が覚めてきたであろう相手の顔を覗き込んでみたり。そして訝しげな表情を向けられては困ったように眉を寄せるもそれ以上何も追求してこない相手に安心し小さく息を吐いて。立ち上がった己に引き続きベッドから降りた相手を見ては大丈夫だろうか、と少々不安になるもこれ以上言っては相手がしょぼくれるのは目に見えているため言葉にはせずに、)
先に顔洗ってきていいですよ、…あ。場所分かりますか?
赤葦驚きすぎ、
( 何故か一つ一つの行動に声をあげる相手にたいしてぽつりと可笑しそうに笑いながら上記をぽつりと溢していたのだが、急に顔を覗きこむようなしぐさを見せた相手に うお、と小さく声を漏らして。相手が隠すということは聞かれたくないのか、それとも本当になにもないかの2択であって、わざわざそれを強引に聞くのも申し訳ないし、何て思いつつ相手の問い掛けに あー、と困ったように声を漏らすと幾度か首を振りながら、 )
教えてくれれば……
…そんなことないです、
(相手に己の反応について指摘されてはむ、と少しだけ不機嫌そうな表情を浮かべるも顔を覗き込んだことで驚いた様子を見せた相手に何処か得意げな表情を浮かべて。しかし、そんなに相手の行動に反応していたのかと分かれば若干反省しつつ己の問い掛けに困惑したような声が聞こえてはゆるりと首を傾げて。どうやら相手は場所が分からなかったらしく遠慮がちな言葉が返ってきてはふぅ、と小さく溜息を零し。いつもの相手らしくないと己のことを棚に上げつつ少し物真似を入れて指摘しては意地悪く笑ってみせて、)
何を遠慮してるんですか。いつもの木兎さんならわかんない、教えてって言うと思うんですけどね。
えー、結構驚いてたじゃん、
( そんなことないだなんて否定をしてみせる相手に目をぱちくりさせたものの直ぐ様へらっと穏やかな笑顔で上記を述べ。それから思わず驚いた声を出してしまったのだが視界の先で得意気な顔をした相手に今度は此方が む、と不服げな顔をしてみせる番であり。何故か溜め息を吐かれてしまうと更に不思議そうな顔をしていたわけだが次に相手の口から出てきたらしくないという言葉と相手は似ていると思ってやっているであろうその物真似を聞いていたのだが、そんなにらしくなかったろうかと疑問を抱き。 )
じゃあ、あかーし、分かんないから場所教えて!
それは、木兎さんが動くから…、
(穏やかな笑みを浮かべながら事実を語られては反論したくなってしまうのだが事実を覆すことは出来るはずがなく無茶苦茶な理由を述べて。しかし、先程とは立場が逆転し相手が不満げな表情を浮かべていればふふ、と小さく笑みを零したり。そして己の言葉をすんなりと受け入れて言葉を返してくる相手に瞳を見開いてはぱちぱちと瞬きし。此処まで素直に言われては何だか此方が申し訳ない気持ちになって苦笑を浮かべるもこの何でも受け入れる相手が好きなのもまた事実であり。場所を教えることになってはぐぐ、と大きく伸びをしてから歩き出し、)
こっちです。
俺悪くないしっ、
( 自分が動いただけで驚く相手に本来ならば笑い飛ばすところなのであろうが此方が驚いた様子を見せたときに相手の浮かべたその得意気な笑みで若干であるが拗ねているともとれるような態度をとっているため、上記を早口に述べて。笑うなー、なんていう意味も込めては相手に近づくなり、むに、と相手の頬を優しく掴んで。苦笑を浮かべた相手に何故、と思ったものの口にすることなく心のなかで静かに問い掛けて。それから伸びをする相手を眺めていれば不意にこっちだという言葉が聞こえたがために わずかに反応遅れたもののしっかりと、返事を返し。 )
ん、おー。ありがとな!
(相手が拗ねたような反応をしているのが分かるもそんなものは慣れっこでにこにこと笑みを浮かべていたのだが頬を掴まれては目をぱちぱち。その手を振り払うことはしないもののむむ、と眉を軽く寄せては離してくれと瞳で訴えてみたり。そして己の言葉に対して返事がなければ相手の方を振り向くも遅れて返事が返ってきては「どういたしまして」と口角を上げてみせて。その後廊下をゆっくりと歩きながら洗面台に辿り着くなり棚を漁りながら、)
顔洗ってていいですよ、……っと、タオル…、
( 何故か相手がにこにこしていることに一瞬だけ意外そうな顔をするもののそれにほだされそうになってはそのあとすぐに相手の表情眉を寄せたものに変わり。瞳で訴えてきている言葉それとなく察するとすぐさま相手の頬から手を離してその手、そのまま頭の後ろで組むと へらっと笑って何かを誤魔化すように。ぺたぺたと相手についていくように歩き、それから洗面台に辿り着けば相手の言葉の通り顔を洗おうと水を流していたが、ふと思い付いたこと訪ね。 )
あ、なーなー、歯ブラシってどうすればいい?
(相手に頬を掴まれて若干不機嫌そうな表情をしたものの特に根には持っておらず、誤魔化そうとしている相手にもやれやれといった感情で。水の流れる音を聞きながらごそごそと棚を漁ってようやくタオルを引っこ抜いて相手に渡そうと後ろを振り返ると歯ブラシのことをたずねられぱちぱちと瞬き。そして斜め上を向きながら思考を巡らせては確か棚の中に使っていない歯ブラシがあったはず、と再び棚を漁り始めて。)
ちょっと待って下さいね、…歯ブラシ、…
そんな顔すんなよなー
( 不機嫌そうな顔から一変して、やれやれといった表情を見せた相手にもったいないなあ、なんてそんなこと思えばほぼ無意識に上記をぽつりと述べ。ばしゃばしゃといった水の音BGMに相手の言葉聞いていれば再度棚を漁り始め。とりあえず顔だけは洗っておこうと思った己は流れる水掬うなり顔洗って、幾度かそれを繰り返したのちに濡れた顔についた水、払っては相手が持っているタオルに手を伸ばし。 )
んー、ごめん、ありがと、
え、あ。すみません。
(そんな顔、と言われたとき己は呆れたような表情を浮かべていたため今思い返せば失礼だったかと若干眉を垂らしながら謝罪を述べて。棚の中を漁っていれば水の流れる音が規則的に止まったりばしゃ、と洗面台に落ちたりしては相手が顔を洗っていることを悟り。やっと歯ブラシを見つけて振り返っては相手がタオルに手を伸ばしていることに気付いて手元に差し出すように手渡して。お礼を述べる相手に返事をしてから洗面台に歯ブラシを置いては時計をちらり、と見てからリビングに向かおうとし、)
気にしないで下さい。歯ブラシ置いておきますからね?…ちょっとパン焼いてきますね。
別にいいけどー。
( 相手は笑ってた方が絶対にいい、何てそんなこと言えるわけもないがぼんやりと考えて。相手がわざわざ手元に寄せてくれたタオルを手に取るとそのタオルでぐしぐしと洗い終わった顔の水滴を拭い去り。相手の言葉に おー、と適当な返事を返しては相手が洗面台に置いてくれた歯ブラシ手にとって。シャコシャコ音たてながら相手がリビングに向かうの見送りつつ、ひらひら片手で手を振ってみたり。 )
(相手が顔をタオル拭き、歯ブラシを始めたのを確認してから洗面所を後にしようとすれば相手がひらひらと手を振っていたのでそれに応えるようにゆるり、と口角を上げながら頷いて。そしてリビングにつくなり袋からパンを2枚取り出してトースターにセットしスイッチを入れて。パンが焼き上がる頃には相手も戻ってくるだろうと予測しては珈琲やジャム、食器の準備をしながら相手が来るのを待っており、)
( 顔洗ったことでスッキリと目が覚めたのもあるのか何処か機嫌良さげに鼻歌奏でつつ歯磨き続け。相手が手を振り返してくれた訳ではないが自身の大好きな笑顔を見せてくれたことに心底嬉しそうな雰囲気を纏い。歯磨き終えれば口の中濯ぎ、歯ブラシの置き場に うーん、と少しだけ悩んだもののまぁとりあえず相手の歯ブラシ置いてあるところに入れておけば良いだろうなんて勝手にそう考えれば歯ブラシそこに置いて。ぺたぺたとリビングに移動しつつ、前髪気にしながら、 )
はーら減ったー
(ポットから珈琲を注ぐと香ばしい匂いが鼻を掠め思わず頬を緩めながらカップを昨日相手と一緒に酒を飲んだテーブルへと運んで。すると相手のぺたぺたという足音が聞こえてきたため入り口に視線を向ければお腹が空いた、と言われ言葉を返そうとするとチン、と高々とした音が響いたためトースターに視線を移し。相手に声をかけながらゆっくりとトースターの方へと歩いていけば焼き立てのパンをお皿に乗せて。)
焼けましたからソファに座って待ってて下さい。…あ、ジャム何がいいですか?
( リビング入るなり鼻孔を擽るその珈琲の香りに思わずすんすんと鼻を鳴らし。腹が鳴るとまではまだいかないもののそれなりに空腹な己耳に入ってきたそのトースターから発せられた音と相手の言葉に何度も力強く頷くなり、少々早歩きでソファに腰掛けると何処かワクワクとした面持ちで相手に へらっと、笑い。それからジャムは何にするかなんて問われると少しばかり考えるような仕草を見せたあと、 )
イチゴ!
(キッチンから顔を覗かせて見ると己の言うとおりにソファに座っている相手がいたのだが何故か楽しそうに笑っていたため何か楽しいことでもあったのだろうかと緩く首を傾げてみたり。そして相手の答えを聞いてはイチゴのジャムとトースト、そして一応珈琲に混ぜるミルクとシロップをトレイに乗せて運んで行きその一つひとつをテーブルに並べては小さくよし、と頷いた後に己はソファに腰を掛けずに入り口まで歩いては、)
じゃあ俺は顔洗って来ますから、食べてていいですよ
( 相手の作ったものが食べれることが純粋に嬉しくてへらへらとしまりのない笑顔を溢しつつ、ふへへっと気持ちの悪い悪い声小さく発したりし始めて。目の前に運ばれてきた料理に おぉ、と小さく感嘆の声を漏らしてから「ん、ありがとな、」なんて礼を述べ。相手が今度は顔を洗う番か、なんて相手の言葉に幾度か頷きながらぼんやりとそんなことを思って。 )
ん、りょーかい!
(相手がさらに楽しそうに笑っているので益々分からなくなりむむ、と眉を寄せてみるもそんなものは一瞬であり楽しそうだからいいか、なんて此方もゆるりと微笑んだりして。パンを焼いただけなのに感嘆の声を漏らしお礼を言われてはどこか恥ずかしそうに「そんな、大したもんじゃありませんから」と首を振って。そして頷いた相手を確認してから顔を洗いに行けば己の歯ブラシに並んで相手の歯ブラシが置いてあるのを見つけ、おお、と小さく声を漏らしたあとそんな些細なことが嬉しくて頬を緩ませたり、)
( 相手が洗面所へと向かったのを見届けると目の前にある食事にぱちんと手を合わせてから嬉々とした顔で「…いただきまーす!」なんて軽快な口調で述べ。機嫌良さげに洗面所でも奏でていた鼻歌もう一度最初から奏で始め、とりあえずはジャムに手を伸ばすとトーストにそれらを塗りたくってそれにかじりつけば むぐむぐとそれを頬張って。相手が作ってくれたその食事食べてるだけで幸せそうに明るい笑顔を浮かべつつはやく相手戻ってこないものかとなんとなしにそんなことを思い。 )
(ふと洗面台の鏡を覗くとだらしなく頬を緩めた己が映り目をぱちぱちと瞬きして。こんなにも表情に出ているとは思っておらず相手の前でも表情に出していたのではないかと不安になりつつその頬をぺちぺちと叩いて渇を入れてみたり。叩いた頬は少し赤くなり、その熱を冷ますように顔を洗ってはタオルでごしごしと拭いて。そして相手の歯ブラシの隣にある己のを手に取ってはなるべく無心で歯を磨こうとするも気付けば再び頬は緩んでおり、)
( やはり相手と一緒の空間にいるということは世辞等を抜きしにても心地がいいもので。昨晩に此処に住みたいだなんて言えば、まぁ完全なる否定の言葉が来たわけではないために淡い期待をほんの少しばかり抱き。それからトースト幾度か咀嚼したあとに珈琲のカップに手をつけたもののあまりにも苦いと己は飲めないわけで。相手がわざわざ用意してくれたシロップとミルク入れては混ぜ。それ口内に含みながら ぼんやりと壁を見つめ。そういえば昨日相手が云いかけてやめた言葉を思い返すとまたも気になってしまって。 )
(結局終始頬を緩ませたまま歯磨きを終えれば再び相手の歯ブラシの隣にとん、と己のを置いては満足げに頷いてみたり。しかしふと今日の夜から相手はもういないのに、と考えてしまっては静かに目を伏せて溜息を零し。いつにもなく後ろ向きになってしまっているのは紛れもなく相手に会ってしまったからであり、後悔はしていないが切なさが己を支配し。そこからは元気などは出ずとぼとぼ、といった表現が相応しいような歩き方でリビングに入っては、)
あ、赤葦遅いー。もう食い終わ…る、けど。どーした?
( 空腹であったのも相まってかすぐさま出された食事を平らげる直前までいっていると相手が帰ってきたであろうその足音が聞こえ。上記を言おうと相手がいる方向を見てぽつりと言葉を溢したのだが何故か元気のない相手の姿が視界に入り込み。どうしたのかと聞くなりほんの小さく首を傾げ。相手がどうしてそんなにも元気が無くなってしまったのかと理由を考えようと思案を巡らせたのだが、イマイチ理由がわからない。降参だと言う意味も込めてもう一度相手に問いかけて。 )
…なんか、あった?
すみません、
(リビングに入るなり遅い、と言われては軽く頭を下げながら謝罪しつつ己がへこんでいる理由を問われては何も言葉を発さずに困ったように笑って見せて。するともう一度問い掛けられたが理由など相手に言えるはずがなくゆっくりとソファまで歩いて行けば相手の隣に腰を下ろし。暫くはぼんやりとテーブルを見ていたがふと体を横に倒してはそのまま相手の肩に頭をとん、と置いて寄り掛かってみて、)
木兎さん。
え、いや、謝んなくていい、けど…
( 謝られたあげく、何故か困ったような加尾をさせてしまったことを悔やんだのか あー、と煮えきらないそのような声をぼんやりと吐き出して。自分じゃやはり頼りないのだろうか、なんて相手の前でとってきた行動を思い返すと小さく溜め息を吐く他なくて。相手がテーブルに視線移すと、それにつられるように此方もテーブルの上の空のお皿に視線を移し。そこまでは良かったのだが相手に名前を呼ばれ、返事を返すよりも前に肩に感じたその重みに小さく息を飲み込むと加速する心拍落ち着けつつ、平静装いながら、 )
…なーに?
…梟谷は、エースを皆で支えてるって言われてたんですよ
(相手の小さく漏らした声を聞いてはこの暗い気持ちを伝染させてしまっただろうか、と少々罪悪感を抱き。しかしいつもなら口を開かずにはいられない相手が己の沈黙に付き合うように静かに待っていてくれては心が落ち着いていくのを感じて。そして返事が返ってきては意を決したようにぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めつつ相手の反応をうかがうように一呼吸置いてから再び口を開いて。)
でも俺は、それは違うと思うんです
( 唐突に梟谷にいたころの話が始まっては一体どうしたのかと問いたい気持ちにもなったのだが、なんだかそれは違うような気がして開きかけた口一旦閉じ。相手の口から紡がれた言葉に僅かに拗ねたように眉を寄せたのだが次に相手がいったそれは違うと言う言葉に目を少しだけ見開いてから不思議そうな表情を浮かべ。先ほどまで閉じていた口をゆっくりと開いてから、 )
…うん、
(相手寄り掛かりながらも決して相手の方に視線を送らずに話をしていたのだがなんとなく、拗ねたかな、なんて思ったりして。何も言わずに話を聞いてくれている相手がどう考えているのかは分からないが短く、うん、という返事が返ってきてはとりあえず相手の耳に届いていることは確認出来たためそのまま話を続けて。自分でも何を言いたいのかは分かっておらずただただ口が動いているような状態であり、本来ならばしょぼくれる、という言葉が適応だがそこは配慮して落ち込む、という表現に変えて。)
…どれだけ落ち込んでても木兎さんは必ず戻ってくるって信じてたから、俺は頑張れたんです。
( 体に感じる相手の体温とその重みに形容しがたい感情が心のうち占めるとついぞ口から出たのはたった一言のみで。なんとなく無愛想に見えてしまっただろうかと相手の横顔盗み見たい気分になるがそんなことできるはずもなくて。相手が自身に告げていくその言葉の数々に何で急にそんなことを言うのかという疑問の他に昨日のことのように高校時代の記憶が脳裏を駆け巡ると未だに色褪せない相手への気持ちに ぐ、と込み上げた言葉を飲み込んで。何かもっと別の言葉を、と模索するが当然見付かるわけもなくて。 )
…でも、それは赤葦たちがいたからだ、
(自分でも何でこんなことを話し始めたのかは分からないが過去を過去として捉えられない己がいて、想いを閉じ込めるどころか溢れ出しそうな程に相手が愛おしくて。そして相手の言葉で少しでも己のことを必要としてくれていたのだと嬉しくなればふ、と頬を緩めて。それだけで満足すればいいものの一度口を開いてしまえばあとは想いが次から次へと溢れ出しこのまま想いを伝えてしまいそうになるがふと視界に入った時計と食べていない朝食。時間切れかな、そう心の中で呟いては相手から身体を起こし珈琲を一口含んだあとに相手にゆるりを微笑んで最後に一言、)
俺は木兎さんがいないと、何にも出来ないんですよ
( ただそれだけを述べてはまたもその後は口を閉じてしまって。本来ならば相手にいいたいこと沢山有ったはずなのになんて何故か面と向かって言おうとすればするほどに口から言葉が出てこなくなってしまった事実に辟易しながらそう思い。相手が最後に述べた言葉と、それからその微笑に勘違いしそうになるから辞めてくれと言う気持ち沸き上がると眩しいものでも見るかのように相手の方を見るなりキュ、と瞳を細めて視界に相手が写る面積を狭くするかのような行動をとって。そんな顔されたら何も言えねーじゃん、なんて心の中で相手に小さく悪態つくと幾ばくか左右に首を振ってから至って真面目な顔で。 )
それは、俺も一緒だから、……うん。
(自分の言いたいことも満足に伝えられないままで、しかも一方的に話を終わらせる己の身勝手さに心の中で深い溜息を零し。相手ならきっと笑って流してくれる、そう思っていたのに細められた瞳は決して微笑んでおらず動揺してしまっては瞳をゆらゆらと揺らして。このままでは不味い、そう思い相手から視線を逸らそうとしたのだがその真剣な表情を見てしまっては目が離せなくなってしまい。俺も一緒、そんなことを言われては己の都合の良いように捉えてしまいそうで一言ぽつり、と否定して。)
そんなの、…嘘ですよ。
( 話を強引に切り上げるということは、まぁ話したくない内容なんだろうと直ぐ様割り切ろうと必死に別のことに思考を巡らせようとした、のだが細めていた視界の先で動揺したような姿を見せた相手がどうも気になってしまってゆっくりと目を開いていくと此方も相手を見詰めたままで。それからまたも否定する相手になんでお前は、と言いたくなる気持ちを強引に抑えると先程の真剣な顔とはうってかわって少し困ったように眉を下げて、苦笑を浮かべてから時計を指差し。 )
一旦、この話、辞めようぜ
(瞳を開いた相手とばっちり視線が交わるもこの話を辞めようと言われればゆっくりと瞬きをしてそのまま目を伏せて。一度辞めればもうこの話は出来ないでしょ、そう言いたい気持ちをぐっと堪えながら視界の端に相手の手を捉えれば自然な流れで時計に視線を送り。すると時間は普段ならば家を出ている時間であり此方も苦笑を浮かべては珈琲を一気に飲み干してソファから立ち上がり。朝食を食べる時間はなくパンは会社に持って行くことに決めてはラップを取りに行こうとしながら、)
…また遊びに来て下さいね?
( なんだか自然な形で逃げ道を確保してしまった己の不甲斐なさに呆れたと言わんばかりの表情うっすらと滲ませて。相手が立ち上がったと同時にそれまで交わっていた視線を外れ、相手のまた遊びに来いなんていうその言葉になんとも言えない顔を一瞬だけ見せるとまたいつもの笑顔に戻ってから力強く頷いて「 そーだなぁ、 」何て言ってみせ。ラップを取りに行った相手を見送りながらも先程の自身の発言に溜め息を溢し。 )
なんだかなぁ……
(ラップを取りに行くことで自然と相手に背を向けることになれば今まで抑えていた感情が全て溢れ出すかのように顔をぐしゃりと歪めて強く唇を噛み締めて。それを相手に悟られぬようにぎゅっと手を握り締めると僅かに肩が震えてしまい、日付も決めていない曖昧な約束は余計に己を苦しめて。キッチンにつくなりラップを手に取れば相手の視界から見えぬようにしゃがんでとりあえず落ち着こうと深呼吸を繰り返すが時間がないこともあり気持ちがどんどん焦ってしまい。)
…っ……、
( なんであんなこと言ってしまったのかと悔やめば悔やむほどにどうすればいいのか分からなくなって。別に相手を困らせたいとか傷つけたいとか…あわよくば相手に気持ちが伝えられたら、なんておこがましいこと思っているわけでもなくほぼ反射的にあんなことを言ってしまったと大いに悔やみ。しっかりしなくてはという意味も込めて顔を再度冷水で洗おうなんて思えば少しだけ小走りで洗面所に向かい。食後なのもあってか歯磨き終わらせると冷水掬って顔にぴしゃっと掛けて。 )
…よし、
(高鳴る心臓は落ち着くことはなく、しかし仕事に行かなくてはならないためなるべく平然を装いながらラップを片手にリビングへと戻り。すると相手の姿が見えず辺りをきょろきょろと見渡すがそれでも姿は確認出来ず。行ってしまったのか、そう考えては脱力したようにソファに腰を下ろして深い溜息を零しながらパンをラップに包んでいき。また大好きな人に会えない日々が始まると思うと気が重いがそれよりも何も言わずにいなくなってしまった相手に不機嫌になればぽつりと、)
声くらい、掛けてくれてもいいのに…
( ぐしぐしとタオルで顔を拭えば先程よりかは大分マシになったであろうその顔に小さく納得したように頷いてみせ。それから一つ気付いたのだが普段は髪の毛上げるためにワックス使っているのだけれどそれは此処では出来るわけもなくてそのことに「あ゙……!」と声を漏らし。暫しその場で呆然としていたがそういえば相手はそろそろ出る時間ではなかったかと思い出し、置いていかれる前にいそいそとリビングに戻るべく廊下を少々早歩きして、相手がソファに腰掛けているの視界に入れば言葉を吐きかけたのだが口をつぐみ。 )
あかーし、時間……
(相手がもういないと思っているためか相手の足音や声などは全く聞こえておらずパンを包み終わるなりリビングに掛けてあったスーツに手を掛けて。時間がないとはいうが普段は余裕を持って家を出ているため遅刻の心配などはなく。早速着替えようかと部屋着に手を掛けふと視線を入り口に向けると相手の姿があり思わず二度見してはぱちぱちと瞬きをして。家を出ていったというのは勝手な己の思い込みだったのだがつい言葉に出してしまい。)
あれ…、木兎さん出て行ったんじゃ…
( スーツに着替えようとしている相手にそういえば己が今着ているのは自分の服ではなく相手の服であったなぁ、となんともぼんやりとした調子でそんなことを思い。相手がなぜあんな雰囲気を纏っていたのか疑問であるが問いただすほどの勇気もない。ぐるぐるとした感情抱いておれば相手の言葉が耳に入り込み。何か勘違いしてしまったのだろうかと僅かに首を傾げるが あー…、と小さく声を発してから人差し指で頬を掻くと、 )
あ、いや、洗面所にいた…んだけど。
そう、だったんですか…
(相手の言葉を聞くとまだ家にいた嬉しさと安堵、そして早とちりをして勝手に落ち込んだ己への呆れなど様々な感情が入り乱れては何とも複雑な表情を浮かべ。何はともあれ良かった、と己の中のもやもやが一つ消えては相手が居ようがお構いなしに早々に部屋着からスーツへと着替え、こんなものは部活の時からであるためなんの躊躇もなく。そして着替えが終われば畳んだ部屋着を片手に相手の姿を見ると未だに部屋着で髪もぺたんこであったため子供に言い聞かせるように、)
ほら、木兎さんも着替えて。そろそろ行きますよ?
( そうだったのかと何とも微妙な顔を見せた相手に僅かに眉を寄せるといない方が良かったのかなぁ、なんてあり得ないだろうとは思いつつもそんなこと僅かに思って ふむ、と小さく声を漏らし。急に目の前で着替え始めた相手にギョッとするとカチリとその場で驚いたまま固まり、しかし今思えばそちらの方が不自然かと思い至り小さく咳払いすると相手から視線をそらしてから部屋のなかぐるりと見渡すようなことをして。相手に着替えるように言われると とりあえず返事を返してから昨日着ていた服の所在視線を動かして探ろうと。 )
んー、わかったー。
(着替えている間は相手の視線に気付くことはなかったが相手の咳払いにふと相手を見ると何処か不自然に部屋を見渡していたため頭に疑問符を浮かべながら緩く首を傾げて。そしてソファに部屋着をぱさり、と置いてから相手の様子をうかがうもきょろきょろと何かを探しているので此方も相手の探しているものを考えるとああ、と小さく声を漏らしクローゼットの方へと歩を進めては皺にならないようにと掛けていた相手のスーツを手にしてから相手の元へ向かいスーツを渡して。)
はい、どうぞ。
( 相手のほうをちらりと見たときに相手がこちらを見ていたがために本当に小さく、だがびくりと肩を震わせると あー…と声を発してからがしがしと乱暴に後頭部を掻き。そうこうしている間にどうやら相手は着替え終わったらしい。ソファに部屋着を置いたかと思えば自身と同様に辺りを見渡す相手に目をぱちぱち。クローゼットに相手が歩いていったかと思えば相手の手の中にあるのは昨日、着ていたスーツ。おぉ、と相手の準備のよさに感嘆の声を漏らすとそれを受け取りながら笑顔を見せ。 )
ん、ありがと!
どういたしまして、
(相手にスーツを渡すとその笑顔につられるように此方もゆるりと口角を上げてみせて。すると視界に入ったのは先程見たときよりぼさぼさになっている髪の毛で己が見ていない間に何があったのかと緩く首を傾げてはゆっくりと相手の頭へと手を伸ばし乱れた髪を整えるように髪を撫でてからこれでよし、というように頷いて。それから相手が着替えている間に何をしようか、と考えながら着替えづらいであろうことも知らずに相手のことをぼんやりと見つめていて。)
( 何故か相手が自身の髪の毛に手を伸ばしてきたことにびくん、と大きく肩を震わせ。驚きとなんとも言えない感情の混ざった表情を浮かべつつ相手の顔と言葉に髪型を整えてくれたのだと理解するなり小声で「あ、ありがと…」と礼を述べ。さていざ着替えようと服に手をかけたのは良いのだが相手の視線が気になると えっと…と困ったような声を漏らしてから辺りを視線だけできょろ、と見渡し。 )
…み、見られると恥ずかしいんだけど、
(髪の毛に手が触れたことで相手の肩が揺れればつられたように此方も少しだけ肩を揺らすもお礼を言われれば笑みを浮かべて見せて。しかしその後の相手は何処か困惑した様子を見せたためぱちぱちと瞬きをしては軽く眉を寄せて。そして相手の言葉を聞いてようやくその理由が分かればああ、と納得したような声を漏らすが今更恥ずかしがることではないのでは、なんて思ったりもして。それでも相手が恥ずかしいというので「それじゃあ、終わったら呼んで下さい」と、声を掛けた後でゆったりとキッチンへと向かえばスーツを腕まくりして洗い物をしようとして。)
( 自分ばかり相手の行動にいちいち反応しているなぁ何て自分自身に思わず呆れてしまうともうなんだか溜め息をつく気も失せて、あーあ、なんて本当に小声で溢すと相手から手中のスーツに視線を移し。「あ、わかった、」と相手の言葉に返事を返すと彼のその背を見送りつつ、別に相手の前で着替えるのはなれているのだがどうも気恥ずかしく感じてしまうとはぁあ、なんて普段よりも深めの溜め息を溢し。先程まで着ていた普段着に手をかけるといそいそとそれを脱ぎ始め。 )
(相手が返事をしたのを確認しては何処か安心したようにこくり、と頷いて。洗い物は大した量ではないため相手が着替え終わる前に終わらせようと手慣れた手つきで食器を洗い始めて。全ての食器に泡をつけてあとは濯ぐだけになれば相手の様子を伺おうとキッチンからひょっこりと顔を出してみたりとどことなくそわそわした面持ちで、声を掛けようかとも考えたが急かすのも良くないな、と考え直しては口を噤んで。)
( ついぞいつもの癖で鼻歌歌いながら着替えを進めていくと上脱いでからわざわざ相手が準備してくれたスーツの類いの袖に腕を通して。自分の家ではなく、他人しかも相手の家で着替えているという事実に少なからずそわそわとした落ち着かない面持ちで視線を巡らせながらシャツのボタン止め終われば一つ大きく伸びをしてそれからズボン履き替えている最中にこちらを見る相手に気が付くと目をぱちぱち。きょとんと首を傾げてはどうしたのかと聞こうと口を開きかけて。 )
(キッチンへと微かに聞こえる相手の鼻歌は己にとっては心地良く感じられてふふ、なんて小さく笑ってみたり。そんな相手と目が合ってしまえば此方もぱちぱちと瞳を開閉し、一瞬だけ時が止まっているような感覚にさえ陥り。しかし相手がきょとんとしているのを視界に捉えてはあわあわ、と焦りを顕わにし相手が口を開こうとしているのに気づきつつも「あ、大丈夫ですよ。」と意味の分からない言葉を残してからシンクへと視線を落とせば動揺のせいか蛇口の水を明らかに出し過ぎだと分かる程大量に流し水がシンクにぶつかる音が響き渡り。)
( 此方が何かをいうよりも前に慌てた様子の相手の口から大丈夫なんていう検討ちがいともとれる言葉が投げられて えーっと、と何か気の利いたことを…と言葉を模索するがそれを妨害するかのような大きな水を流す音にびくんと大袈裟とも取れるが大きく肩を震わせて。何故か動揺の色を濃く見せる相手に一度小さく首をかしげ。いそいそとスーツに着替え終われば相手の服丁寧に畳み。借りたのだからやっぱり洗って返すべきなのだろうかと思い至るなり、未だ台所で騒がしい音をたてる相手の方へと近寄りながら、 )
なーなー、服洗って返してもいい?
(相変わらずの大量の水で食器を濯いでいるためスーツにこそ掛からないもののキッチンは水浸しになってしまっており相手がこの音に驚いたことなど知る由もなく。そして急に近くで相手の声がしたと思えば今度は此方が驚く番で肩を大きく揺らしてはそこで冷静になったらしく水道の水の威力を弱めては相手の方を振り返らずに「あ、いえ、」とそこまで言葉を紡いでから一度口を噤み。それから何かを考えるように食器を洗う手を止めてはそちらに視線を向けて。思い浮かんだのは相手の言葉に同意することで再び会える口実が出来るという何とも狡い考えで。)
あー…、じゃあお願いしてもいいですか?
( 自身が声をかけるまで気づかなかった辺り、やはり水を流す音の大きさが大きいのではと思い至り。少しの間の後、お願いしますという言葉が聞こえると「任せろっ、」なんていう言葉を吐いてから へらっと得意気な笑みを相手に向けて。はてさて、相手の服を丁寧に畳んでから鞄に丁度入っていた袋にそれらを詰めて。あとは相手が食器を洗い終われば行けるというところで相手が食器洗い終わるの相手の傍で機嫌良さそうな様子で待機して。 )
(相手の笑顔を見ると当たり前だが己の狡い考えには気付いていないようでほっと胸を撫で下ろしてから此方もゆるりと口角を上げてみせて。どうやら相手は準備万端らしく己の傍で何故か機嫌良さげに立っているのでちょうど良い量になった水で食器を濯いではかちゃかちゃと食器のぶつかる音を立てながら次々と洗い終えていき。やっと全ての食器を洗い終えてはちょうど通勤ラッシュであろう時間で苦い表情を浮かべてからタオルで手を拭いて。)
お待たせしました、…行きましょうか。
( 相手が食器を全て洗い終えたの確認すると相手の行きましょうという言葉にたいして ひどく嬉しそうな笑顔を見せながら大きく頷いて。また服を返す際に相手に会えると理解しては本当に少しだけ嬉しそうな雰囲気をまとい。それから鞄抱えつつどたどたと煩いくらいの足音をたてながら玄関へと向かえば昨晩脱いだ靴を探し出すなりそれを履いて。そわそわと相手が玄関へ来るのを待機しており。 )
はやくー、
(相手の嬉しそうな笑顔を見てはつい此方も頬を緩ませてしまいつつ大きな足音を立てて玄関へと向かっていく相手の背中を驚いたように数回瞬きをしながら見つめるも次の瞬間やれやれ、というように苦笑を浮かべて。鞄を抱えやっと廊下に出るとそわそわしながらはやく、と声を掛ける相手がいてまるで子供のようだと思わずくすり、と小さく笑いそれを隠すように手を口元に添えて。それからは下記のように返事をしつつ玄関へと歩いて行けば己も靴を履いてつま先をとんとんと整えたあとで相手のことを通すように玄関の扉を開けて。)
はい、今行きます。
( 相手の準備が終わるのは今か今かと待っていればやっと聞こえた相手の歩く足音にぴんっと背筋を伸ばし。口元に手を添える相手に一度だけぱちくりと目を瞬かせたがすぐさまそんなことも忘れて靴が履き終わるのを待機しつつ。わざわざ扉を開けてくれた相手に俺がやるのに!なんて内心思いながらも口では「おー、ありがと!!」と軽快か様子で声をかけ。それから玄関から出れば相手と行けるのが嬉しいらしくひどくノリノリな様子で歩みを進め。 )
あかーし、時間大丈夫?
(扉を開けるなり相手にお礼を述べられてはどういたしまして、と緩く口角を上げてみせ、相手が出たのを確認してから己も外に出ては鍵を閉めてこくり、と頷いて。いつもは1人で通勤をしているが今日は隣に人がいて、しかもその相手は想い人。嬉しくないはずがなくいつもより軽快な足取りで歩を進めていては相手の言葉が耳に届き腕時計に視線を落としつつ通勤ラッシュの波に飲まれて相手の姿を見失わないように気をつけながらも苦笑を浮かべ、)
はい、大丈夫です。いつもラッシュを避けるために早く出てるだけなので。
( 家を出てからすぐに眩しい日の光に目を細めてから ぐぐ、と伸びをして大きな欠伸を一つ溢して。何処か落ち着かない自身の様子にただただ自分の思いがバレないことを願うばかり。相手の言葉を聞いていれば大丈夫だと言うが、やはりラッシュ時は避けたかったようで少し申し訳ないことをしたな、と反省の色を見せると眉を下げ。相手の方ちらちらと気にしながら人の波を縫うように歩いていたのだが、ある一点で立ち止まると周りの人気にすることなく相手の方を見てから、 )
あ、あのさ!
(己の言葉に返答がなければ何か不味いことを言ってしまったかと不安になり相手の顔色を伺うと何やら眉を下げておりそこでようやくラッシュにぶつかったことを相手が気にしていることを悟れば「木兎さんのせいじゃないですからね」なんて真っ直ぐ前を見ながらさらり、と言ったりして。そして相手の視線に気付くことなく今日も人が多いな、なんて暢気なことを考えていればいきなり相手の姿が隣から消えたため歩を止めて後ろを振り返ると相手が立ち止まったことが分かり何事かと緩く首を傾げてはなるべく人の邪魔にならぬよう相手との距離を縮めてから、)
どうしました?、
( ごめんな、と相手に謝ろうと思っていた瞬間に相手が自身のせいではないと言い出して。開きかけた口を閉じると安心したような、それでいて苦笑にも見えるような笑顔を見せて、静かに人差し指で頬を掻き。相手がこちらを振り返り、ついでに距離を縮めてくれたのを確認すると えっと、と小さな声を漏らしたのち、周囲の人間のことなど気にした様子を見せることなく ぱっ、と普段通りの明るい笑顔と共に相手に歩み寄ってから相手の手、握りこみ。 )
明後日、借りた服返すついでに話有るから昨日と同じ時間ここに来て!ね!約束!
(真っ直ぐに前を見て歩いていたがちらり、と相手を盗み見てみると苦い笑みを浮かべていたためはて、というように軽く首を傾げて。そして相手の傍に歩み寄るなりえっと、と話を始める相手にこく、と相槌を打てば相手の明るい笑顔が視界に飛び込んできてそれがなぜかとても嬉しく感じられて。しかし、その後手を握られると驚いたようにぱちぱちと瞬きをし相手の瞳と手を交互に見ながらも相手の言葉に耳を傾け。するとそれは次のお誘いで普段なら予定はすぐに手帳に記入するが相手との約束を忘れるはずはなくすぐさま大きく頷くも、)
はい、約束…ですね。でもここだと見つけるの大変じゃないですか、人通りも多いですし…。
( 強引に押しきる形で相手に約束を取り付けてしまったわけだが相手がそれを拒否するような素振りを見せることはなく。そのことに ぱぁあと安堵からか表情明るくさせ。人通りが多いために見付けにくいのでは、と相手に言われると ふむ、と小さく声を漏らし。それから少しだけ考えるような仕草をみせ。あ、と小さく声を漏らすと掴んでいた相手の手をほどくと、 )
あっ、じゃあ俺赤葦の家行くっ、
(相手の明るい表情を見ては此方も嬉しそうに目を細め、次の約束があることに緩みそうになる頬を必死に抑えており。相手の考えるような仕草を見ては此方も斜め上へと視線を逸らしながらんー、と考えてみるも己が思い付くより先に相手の声が聞こえたのでゆっくりと視線を相手に戻して。しかし次の瞬間手が離れてしまえばその感触を忘れぬように1人で手をぎゅっと握ってそのまま手を下ろし、己の家にくるという言葉を聞いてはこくこく、と頷き。)
はい、では待ってますね、
( 待っている、その言葉だけにきらきらと琥珀色の瞳をひどく大袈裟なほどに輝かせて相手を見つめ。家にいくと何とも押し付けがましい言葉にもきちんと接してきてくれる相手のこと やはり好きだと再確認すれば少しだけ泣きそうになり。それ誤魔化すためにも視線を暫し、うろうろとさせてはそういえばまだ礼を言ってないと気が付き、はふ、と小さく息を吐き出すと共に意を決したかのような仕草を一瞬見せた後、またも相手の方にまっすぐな視線を向けると、 )
あ、ありがとな!
(相手のことを此方も見つめていれば琥珀色の瞳が眩しいほどに輝いておりその瞳に惹きこまれるようにじっと視線を逸らさずにいたが、その瞳が己から離れては少し残念そうに目を細めつつ落ち着かない相手の視線に疑問を抱けば緩く首を傾げてみせて。すると再び相手のまっすぐな瞳が己を捉えたため不意をつかれたように背筋をぴん、と伸ばしながら相手のお礼の言葉を受け取り。しかしその言葉が何に対するお礼なのか分からず何かしたかと思考を巡らせながら、)
えっと、…どういたしまして?、
( 困惑したようすの相手に礼を云われた理由がわかっていないのかと理解したらしく あー…と小さく声を溢したがとくに詳細を明かすわけでもなく ニッとただただ笑うだけでいて。それから 「あっ」と大きく声を出すと慌てたような顔を今度は見せ。慌てた様子のまま鞄から携帯取り出すと時刻を確認し、相手の肩を掴むとぐらぐらと揺らしはじめて、 )
ちょっ、赤葦時間!
(笑顔を此方に向ける相手に何がなんだか分からぬままとりあえず此方も困惑した表情のまま苦笑にも見える笑みを浮かべて。しかし相手がいきなり大きな声を出せばびくり、と肩を揺らしつつ携帯を確認する相手をじっと見つめて次の瞬間にぐらぐらと視界が揺れれば「ちょ、落ち着いて下さい…っ」と相手の両腕を掴んで止めようとすれば近くのお店の時計に視線を向けて。すると時刻は出勤の15分前でこれは不味いといった表情を浮かべたあと足首をくるくると軽く回した後で真剣な眼差しを相手に向けこくり、と深く頷けば、)
…走りますよ
( 能天気に次の約束をしている暇ではなかったと自身の軽率な行いを悔やんでは腕を掴まれたことでぴたりと相手の肩を揺らすの辞めて。相手が足首くるくると回したあとに述べた走ろうという言葉にこくんと深々と頷いてみせると此方も ぐぐ、と軽く怪我しないようにと運動してから鞄邪魔にならないようにと抱え直してから、相手の返答を待つわけでもなく相手の手掴むと下記を述べてから人の波をぬうように勢いよく駆け出して。 )
よーし、転ばないようにな!
え、ちょ…!
(走ると言い出したのは己であるが手を掴まれたかと思えばそのまま勢い良く駆け出す相手に慌てながら引っ張られるように走り出し。高校時代、柔な練習はしていなかったため体力にはそこそこな自信はあったものの相手のタフさには到底適わず相変わらずだな、なんて暢気なことを考えつつ相手の足を引っ張らぬように必死に足を動かしだんだんと息が切れてきて額にはじんわりと汗を掻いてきた頃会社のすぐ近くまで辿り着き徐々に足を動かす早さを遅くしては、)
…っは、…じゃあ、俺ここなんで、
あっ、うん、解った!
( なにも考えずにとった行動ではあったのだが無意識とはいえなにも言わずに手を掴み、走り出すなんて行動相手はどう思ったろうかと内心では気にしていたが掌に感じる相手のぬくもりを今更離すことなんて出来なくて。相手がここだ、という言葉吐いたの聞くと此方もスピードを緩め。乱れた呼吸を整えながら にっ、と相手に笑顔を向けると何処か穏やかなトーンではあるがそれなりに元気の良さそうな様子で上記。それからまだもう少し先の場所を曲がる予定である己は相手に手をひらりと振ると、 )
じゃ、また!
(走っているときは必死で気付かなかったものの立ち止まってから相手と手を繋ぐ形になっていることに気が付けばさりげなく手に視線を落としながらもすぐに相手の肩へと視線を戻し。其処には爽やかな笑顔を浮かべる相手がいてそんな笑顔にも目を奪われそうになりぶんぶん、と首を振って己に渇を入れて。また、というその言葉がとても嬉しく感じられれば次があるという思いから別れも辛くなく此方もひらひら、と手を振って。相手の姿が見えなくなった後で相手の温もりを確かめるように手を開閉させ頬を緩めたあとでハッとしては急ぎ足で会社へと入っていき。)
( 相手と別れたわけではあるが掌にわずかに残った相手の体温逃さぬようにと力強くその手握りしめ。暫し歩いてから相手の方を振り返ると握りしめた手とは逆の手で相手にぶんぶんっと手を振り。それから再度相手に背を向けるとにやけそうになる顔俯き気味に隠しながら自身の職場へと急いで足を運び。また会えるという自分が勝手に取り付けた約束を思うと少し、だが未来のことを思ってそわそわする心押さえ付けて。 )
(オフィスへと辿り着けば時刻は朝礼の始まる3分前であり間に合ったという安心から額に薄らと滲んだ汗を拭って小さく息を吐き。珍しいな、なんて上司に言われては苦笑を浮かべながら頭を掻く他なく無事朝礼を終えれば仕事に取り掛かり。相手に再会出来たことで頭の中は相手に支配されており、相手は今どうしてるかな、なんてことを考えながらパソコンの画面と向き合って。)
( 此方もしばらくの後一応職場へとつけば相手に合わせて家を出たがために普段よりもいくぶんも早い時刻に辿り着いて。そういえば相手に連絡先もなにも教えてないことに気がつくと鞄に入れてきた相手に借りた洋服の存在を思いながら、また次会える頃にはちゃんと教えようと静かに胸に秘めて。周りの人間に普段よりも早めの登場を揶揄されつつ自身の席につくと小さくため息を溢しつつ、その場に突っ伏して。 )
(いつも通り会社にはキーボードを叩く音が響き渡っており、相手に会えた幸福感からかいつも以上に仕事は捗り。お昼時間には同期と食堂でご飯を食べつつ、機嫌が良い、なんて言われてしまえば浮かれてしまっていることに気付いてしまい理由こそ言えないものの恥ずかしそうに頬をぽりぽりと掻いて。それからは午後の仕事も順調に進み残業もなく定時に帰宅が出来ることになればふと窓の外を眺めつつもしかしたら今日も会えるかも、なんて淡い期待を抱きながら帰り支度を始めて。)
( 昔に比べればしょぼくれることも、些細なミスをすることも減りそれなりに自分でもなにかをするような努力をするようにはなっていて。相手に会えたこともあるのかいつも以上に好調な様子でいれば相手の服もあるし、ということで仕事早めに切り上げ、支度を終えるなりタイムカードをきると、少々足早に自宅へと帰る道ほんの少しだけいつもよりもゆっくりとした足取りで進み。会えるかなんて分からないものの居ないものかとほぼ無意識に視線は相手を探して。 )
(帰り支度を終えるなり鞄を抱え社員に挨拶をしてから会社を出て。会社の玄関の前の大通りは既に人でいっぱいで思わず一度立ち止まり。人が多いときは裏道を通って帰ったりもするのだがそれをしないのは会えるかもしれないという可能性が少しでもあるからで。しかもその可能性があるからか帰宅ラッシュもそれほど嫌ではなくゆったりとその波に飲まれては相手の姿を意図的に探しながら歩くもその姿はなかなか確認出来ず。)
…うーん、早すぎたかなあ、
( 流石に朝のように立ち止まるようなことはしないものの普段よりも格段に歩みを遅くしつつ自身の周りを通りすぎていく人たちの中に少しでも見慣れた人物を見付けようと必死にキョロキョロ。上記をぽつりと溢すと うーん、と少しだけ唸るような仕草を見せ。くるりと振り向けばぱちりと視線の先に相手に似た人物を見付け、タタッと駆け寄って。 )
(視線だけを忙しなく動かしながら相手の姿を探すもそんなに都合良く会えるわけがないか、と深い溜息を零して。それに無理に探さなくても約束があるため明後日には会えるという安心感からか相手探すことを止めてしまえば人の波の中で後ろを振り向き此方へと駆け寄ってくる人物に気が付かぬままふらり、と人混みを抜けては人通りの少ない裏の細い道へと進路を変更して。)
あっ、ちょっ、
( 確かに相手を見つけたはずなのだが不意に相手が踵を返し、人混みの中に埋もれていくの駆け寄りながら見ておれば必死に人混みを掻き分けて進むが誰かに不意にぶつかって、謝罪の言葉述べたのち相手が確かに消えた方向見るが、もうそこには相手の姿はなく。あーあ、と小さく声を漏らすとうぅん、と悩ましげな顔を見せ、がしがしと頭を掻き。また明日と自身に言い聞かせると今日はすぐに帰って相手に借りた服洗って、乾かさなければと思いいたり、名残惜しそうに相手の進んでいった方向見てから此方も自宅へと足を運び。 )
…ただいま、
(相手の存在に気付くことなく裏の細道へと進路を変更してはそこからはただぼんやりと景色を眺めながら歩いて気付けば家へと辿り着いており。誰も居ない家に挨拶をして入ると少し虚しいような気もするがそれはいつものことでありネクタイを緩めながらリビングに入ればふと視線を移した先には昨日相手と一緒にお酒を飲んでいたソファがあって。ゆっくりとその場所へと歩いていけば腰を下ろして小さく息を吐きつつ頭に浮かぶのは相手のことばかりで。)
( 家にたどり着くまでの間やることの手順簡単に考えて歩いて居れば自然に家へと辿り着き、ただいまあ、なんて誰もいないのは承知で妙に間延びした声を上げつつ靴を脱ぎながら家へと上がると手を洗い簡単に着替えを済ませてからほぼ頭の片隅に追いやりかけていた相手の服の洗濯を思い返すなり やべーやべーなんて独りでに喋りつつ洗濯機回し。きちんと第一の目標を達成したの見届けるとリビングに歩み進めて。 )
(暫くの間ソファでぼんやりとしていたもののふと我に返ればスーツのままであることを思い出し皺が付いては困るためよいしょ、なんて年寄り臭い掛け声とともに重い腰を上げて。朝とは違い急ぐ必要もないためのそのそとゆっくりと部屋着に着替えてはスーツをハンガーに掛けてよし、と言わんばかりに小さく頷いて。それから冷蔵庫へと向かい扉を開けてみると何とも殺風景な光景が広がっており少しの間見つめてみるもものが増えるはずもなくぐう、と鳴るお腹を抑えて。)
コンビニ行くか…、
あー…、電話の番号とか聞けばよかった、
( 聞かなかったのは己が悪いが、高校の頃と電話番号のみならず、連絡の手段である機能のアドレスの殆どが変わっているのは当たり前であり、どうして会ったときに直ぐに聞かなかったのだと少々自分のとった行動に少なからず後悔を覚えて。洗濯機も回せたことだし、はてさて今晩はどうしようかなんて独りで生活するようになってからなんとか身につけた自炊の能力と相談し。とはいったものの疲れているのも本音で、うーんうーん、と悩むそぶりを見せては壁に掛けられた時計を見て時間を確認し。この時間なら何処かで外食するのも可能だろうか、なんて。 )
(暫くの間冷蔵庫とにらめっこをしていたがやはり何も変わらないためゆっくりと扉を閉めれば小さく息を吐いてコンビニへ行くことを決意して。テーブルから携帯と財布だけを持って、スウェットといういかにも部屋着といった服装のまま玄関を出て。戸締まりをしっかりしてはゆったりとした足取りでコンビニを目指すも外へ出るとどうしても相手に会えないかと期待してしまい。携帯で連絡を取るなどといった現代的な思考には至らず偶然会えることばかりを願っていては、)
( くぁあ、と自然とこぼれた欠伸を噛み殺しつつ、時間帯もあるのかそれなりに人通りの多そうな通りを目指して玄関からでるなりノロノロといつも以上にのんびりとした歩みで道を歩き。さっきは相手に会えたのだが、もうそこで運を使い果たしたであろうことを考えると小さく溜め息が漏れ。それでも可能性は諦めたくないのか不審者だと騒がれない程度には辺りを注意深く見渡して。)
(なるべく大きな通りを歩いているもののこの時間だと人通りはさほど多くはなくあまり意識せずに道のほぼ真ん中を軽快な足取りで歩いており。相手のことはしっかり探しつつも空腹には勝てず何を食べようか、なんてぼんやり考えていると前方の街灯の下に人影が見えたため少し道の端に避けて通路を開けるようにしては、)
( このまま晩ご飯を食べたら何をしようかなんてことをぼんやりと考えながらもそれなりに自分の目的地であるお店に向かってしっかりと歩みを進めておれば途中見えた街灯に 僅かに目を細めつつ。不意に遠くに人影見えては おや、と思い相手だろうかと考え、しかしそのまままっすぐに歩みは進めたままで。 )
(コンビニで購入するものを粗方決めつつ夏とはいえ夜は未だ冷えるようでポケットに手を突っ込んで歩み続けて。少し歩くと自然と前方から来る人影との距離は縮まるわけでなるべく目は合わないようにと俯くもさりげなく見てしまうのは人間の性でありちらり、とすれ違い様にその人物を盗み見てから再び地面へと視線を落とし。しかしその人物は髪こそ立っていないものの己の探していた人物とよく似ていてもう一度その姿を確認しようと歩みを止めて振り返り。)
( 目の前から歩いてくる黒髪の人物に何か赤葦に似てるなあ、なんて呑気に考えていればそのまま何事もなくすれ違う予定であったのだが街灯の明かりもあるのか相手の顔俯き気味で正確に見えたかと言われればそうではないが、 しかし自分の見知った相手ににているような気がして。あっ、と小さく声を漏らすとその場で立ち止まり思わず振り返って。)
(振り返った瞬間にその相手らしき人物と目が合ってしまえば相手だという確信もないためしまった、と後悔するも時既に遅しといった状態で。しかし、小さく聞こえた声と街灯に照らされてより一層輝いている琥珀色の瞳でほぼ相手であることを確信しては遠慮なく相手のことをじっと見つめて。少ししてから口を開けば絶対に相手であるとは言い切れないため控えめに確認するかのように名前を呼んで。)
えっと…、木兎さん?
赤葦だ!
( 思わずその場で声を出してしまったが相手と目が合うなりやっぱり会っていたという喜びの方が大きいらしく ぱぁあ、という効果音が付き添うなほどに嬉しそうな表情を浮かべて。それなりに大きな声で相手の名前を呼ぶと嬉々とした顔のまま相手に駆け寄って。その時に、ふと相手がここにいる理由が気になって。聞こうか否かと頭の片隅で思案をし。 )
っ…、声大きいです、
(己の控えめな声とは裏腹に大きな声で名前を呼ばれてはおろおろ、と周りを見渡した後で人差し指を唇に当てて軽く注意をするも怒っているわけではなくむしろ此方も嬉しくて思わず頬を緩ませながらゆっくりとした動作で相手に近付いて。相手が何を考えているのかなんて分かるはずもなく、相手が躊躇している質問を何の抵抗もなくさらりと問い掛けて。)
どこ行くんですか?
あ、悪ぃ悪ぃ、
( おろおろとしながら周りを見る相手に何でそんなに焦っているのかと疑問にふと思い。相手がこちらに歩み寄ってきてくれたことに へらりとひどく嬉しそうな笑顔を浮かべて。相手に聞こうかと そわそわしながら考えていると相手の問いかけがまさに自分がしようとしていた質問であり、あっ、と少しだけ声を溢すと、 )
えっと、ご飯食べに行こうかなーって…赤葦は?
(一応大通り、ということで声の大きさを気にしたのだが軽く謝罪の言葉を述べてきた相手にやれやれ、といった様子で小さく息を吐いて。それでもそんなことはどうでも良くなるくらい相手に会えたことが嬉しくて自然とゆるり、と微笑んでいて。己の質問に返ってきた回答は向かう場所こそ違うものの目的が同じであることを悟るとその奇遇さに少しだけ驚いたように瞳をぱちぱちと瞬きさせたあとでゆっくりと口を開き。)
俺も、冷蔵庫見たら何もなかったんで、夕飯買いにコンビニにでも行こうと思って、
( まさか、ここで会えると思ってなかったが故に驚く気持ちと嬉しい気持ち織り混ざった状態でいれば ふんふんと自身の運のよさに得意気な雰囲気を纏い。相手の返答に ふーん、なるほどなあ、と軽快な様子で此方も変事を返すと 少しだけ考えるような仕草を見せ。うんうん、と唸るとさも名案だとでも言いたげな顔を相手に見せるなり ピンと人差し指をたて。 )
せっかくだから飯一緒に食べよーぜ!
(どこか得意気に見える相手の様子に緩く首を傾げつつ不思議そうな表情を浮かべ、さらに己の言葉に考える仕草を見せた相手に益々疑問を抱くもそんな時は声を掛けないのが一番だ、と何も言わずにじっと相手が口を開くのを待って。すると人差し指が立てられたためその指を見つめると耳に届いた言葉は己にとってはこの上なく嬉しい誘いであり、無意識のうちに明るい表情を浮かべつつこくり、と深く頷いて同意し相手の好物を食べに行こうと提案し。)
いいですね、…焼き肉とかどーです?
( さすが俺運だけは良い!なんて自分の強運さに感心しつつ相手が提案した自分の好物を食べに行こうと言うその誘いに ぱぁあ、と子供みたいにただただ純粋に嬉しそうな顔を見せながら「いいの!?」とまたも興奮ぎみなのか少しばかり大きな声で相手に訪ねると はっとして慌てて両手で口を塞ぐも相変わらず表情は嬉しさからか緩みきっていて。 )
い、いきたい!!焼き肉!
(再び大きな声で訪ねてくる相手だが、その真っ直ぐに嬉しさを表現している姿を見ては声の大きさなどはどうでも良くなってしまい。さらに声を出した後に口を塞ぐという意味の無い行動にさえも愛らしさを感じ此方も頬を緩ませて、昔と好物が変わっていないことに安心したのもまた事実であり。提案し、相手が了承してくれたのはいいものの普段焼き肉を食べに行くことなどあまりないためお店の情報が全く頭に入っておらず苦笑を浮かべては、)
…あの、すみません木兎さん。俺、焼き肉の店知らないです。
( 相手と一緒に食事に行けることが嬉しくてついぞ大きな声を出してしまったわけだが緩む表情隠すことなんて到底無理で。にへらとどこか緩みきったしまりのない顔をしていると相手はどうやら提案したまではいいが店までは知らないようで。んー、と自身が知っている店をいくつか脳内で上げつつ近くの店何個か思い出すと、 )
んじゃ、俺が赤葦つれてく!
(頬を緩ませる相手を見ると此方もゆるりと口角を上げて目をきゅ、と細めつつも己の酷く緩んだ表情に気付くと急に恥ずかしくなってしまいさりげなく手の甲で口元を隠し。己の無計画な提案にも怒ることなく何かを考えてくれている相手を少し申し訳なさそうに見つめつつ連れて行ってくれる、という相手の言葉に表情を明るくし。相手のいつも行っているお店に入れるというだけで幸せを感じればやはりゆるゆるとした表情を浮かべて、)
はい、お願いします
( 相手の目を細めて笑うその顔好きだなあ、とぼんやり思いながらにこにこと笑っていたのだが不意に相手が口元隠したことにきょとん、としてから幾度か琥珀色の瞳を何度もぱちぱちと開閉させ、不思議そうな表情を一瞬だけ見せて。相手の口からお願いしますという言葉が聞こえるや否や相手の手 むんず、とおもむろに掴むと「 よーし、しゅぱーつ! 」なんてひどく機嫌良さそうに述べ。ずんずんと歩みを進めながら相手の様子を気にかけ、 )
(相手の綺麗な琥珀色の瞳が開閉されている姿を見ては口元を隠していた手をゆっくりと下ろしつつ、何でもない、というように今度はやんわりと微笑みながら首をゆるゆると振って。おもむろに手を掴まれると今度は己が驚く番でぱちぱちと瞬きをしつつもその機嫌良さげな声につられるように無意識に相手の手をぎゅ、と握りつつ相手の後ろを着いて行きながらさりげなく普段の相手を探るような質問をして。)
焼き肉、よく行くんですか?
( 相手の行動に ふむ、と何度か頷いてからまあ、相手が何でもないように振る舞うのであれば本当に何でもないのだろうと思って特に気にした様子も見せず。相手の手掴んだまま機嫌の良さそうにぶんぶんっとその手を軽く振り回し。相手の問いかけに んー、と少しだけ考えるそぶりを見せ、あっと小さく声を出すと相手の方を、見やり にへらと笑ってから。 )
んとね、たまーに仕事仲間と行くー。
(繋いだ手を振り回すその姿はまるで幼稚園児のようでとても愛らしく感じられるがそんなことを口にしては相手が拗ねてしまうのは目に見えているため口を噤んで相手が思うがままにさせて。己の問いの答えを考えてくれている相手をじっ、と見つめながら己も最後に食べたのはいつだったかと遠い記憶をぐるぐると脳内を駆け巡らせて。ようやく此方を見た相手の笑顔に癒されつつたまに焼き肉に行くという言葉を聞いては軽い冗談を言って笑ってみたりして。)
そうなんですか、じゃあ焼き肉に関しても先輩なんで今日はご指導お願いしますね。
( ふんふふーん、なんて鼻歌を歌いながら相変わらず相手の手を握ったままぶんぶんっと振り回し。相手を笑顔で見たのち、相手の自身に投げ掛けてきたその言葉に、ふむ、と小さく声を漏らすと またも パッと表情を明るくさせつつ「おうっ!まかせろー!」とひどく楽しそうな声音でキャッキャッと一人で盛り上がり初めて。自身が向かおうとしていた店が見えてくると、あ、と声を発し、 )
あそこあそこ!!!
(鼻歌を歌う相手のことを無意識にぼんやりと見つめていたのだが腕を振り回されては、少し痛い、なんて考えながら苦笑を浮かべて。そんな己とは裏腹に盛り上がり始めた相手を見てはぱちぱち、と瞬きをしつつ自分から振ったにも関わらず何だか可笑しくて思わずふは、と片手で口元を覆いながら吹き出して。すると相手の、あそこ、という言葉に視線の先を追えばそこには己の知らない焼き肉屋さんがあり、ここの道はよく通るのに、なんて考えながらまじまじと建物を見つめつつお腹が空いたのかお肉を目の前にして少し足が早くなり。)
こんなところに、焼き肉屋あったんですね
( 相手と一緒に出歩けることがただただ純粋に嬉しくてぶんぶんっと手を振り回して居たのだが、一人で盛り上がっていたところ、相手が吹き出すのが聞こえ。相手の方きょとんとしながら見詰めると幾度かぱちぱちと瞬きを繰り返し。「な、何笑ってんだよー!」と自分の行動で可笑しかったところをいくつも考えながら少々拗ねたように言葉を吐き。むむ、と思っていたのだが相手の歩みが早くなったのと相手の言葉にすぐ機嫌も元に戻れば相変わらずのどこか得意気な表情のまま、 )
ここはねー、俺のお気に入り!
(相手のきょとんとした視線に気づくなり本当に楽しそうに笑いながらも少々拗ねたような声色で言葉が返ってきたため反省するかと思いきやそんな様子はなく隣を歩く相手の頬へと人差し指を伸ばしてふにふに、とつついて「何でもありません、拗ねないで下さいよ、」と完全にからかい。するとすぐに機嫌を直した相手を若干不思議に思いつつもそこには触れず得意げにお気に入りと言われれば建物の前で一度止まりまじまじと建物全体を見据えているときゅる、とお腹が小さく鳴ってしまい恥ずかしそうにお腹をさすりながら、)
凄く楽しみです……っ、あの、中、入りません?
( 相手の行動とその言葉からして自分のことをからかっているのはそこまで頭がいいとは周りからも言われない自分でもすぐに理解が出来て。拗ねてねーし何て言いながら拗ねそうになったが、そこは大人になったのもあって更に拗ねるということはなく、「それならいいけどー」とけらっと笑って。相手がお腹を擦りながら吐いた言葉に目をぱちくりさせたかと思えば けたけたと可笑しそうに笑い声を上げながら笑い。暫く笑っていたかとおもえば ひぃ、なんて言いながら目尻にたまった涙を拭い。 )
おー、そーだな。赤葦腹減ってるみたいだし?
(もっと拗ねるであろうと相手の反応を楽しみに持っていたのだがけらりと笑うその予想外の反応に不意を付かれたように細い瞳を少しだけ開いて驚きを顕わにして。お腹の音はしっかりと相手に聞こえていたらしく笑われてしまえばむすっ、と今度は此方が拗ねたような表情を浮かべて。暫くの間笑われていれば少し呆れたように目を細めつつ食欲には勝てないため正直に認めつつ不慣れな場所に入るのは少々苦手故に言葉にはしないものの先に入ってくれ、というようにじっと相手を見つめて。)
…そうですよ、もう腹も限界です
( 相手のその目が僅かに見開かれたのが見えると何をそんなに驚くことがあるのだろうか、とこちらも少々驚いたような、それでいて不思議そうな表情を見せて。相手の表情がコロコロと変わる様を可笑しそうに見ていると珍しく相手のすねた表情が見えて、へらへらと悪びれもなく笑っていたわけだが自身が笑い終わる頃にはもう相手の顔も呆れたような顔に変わっており。相手の言葉に、ふむと頷くと相手の視線にこくこくと納得したように頷きながら店内へと続くその扉開き。 )
じゃあ、今日は俺が奢ってやるよー、
(相手の驚きながらも不思議そうな表情の理由を此方も理解出来ずに困惑したように微笑んで。しかし、己の視線の意図には気付いてくれたらしい相手に安堵しつつ相手についていくように開いた扉に向かって歩みを再開すると奢り、と言う相手の言葉に間の抜けた返事をしつつぶんぶんと激しく首を振ってはまだ会計ではないというのに酷く慌てて必死で相手を説得しようとして、ね?、というように首を傾げて。)
え、いや、大丈夫ですから、俺だって働いてますし。
( ふんふんともうすでに奢る気満々でいながら店内に足を運び、空いた席へと向かおうとしていたわけだが、まあ、やはり、というかおおかた予想していた回答が相手の口元から発せられたのを聞いて むむ、と少々不満そうに眉を寄せてから店内であることを配慮した上で なんで!と少しばかり声を荒げると相手と同様にぶんぶんっと何度も左右に首を振りながら、 )
俺が奢るの!
(立ち止まっては他のお客に迷惑が掛かるため空いている席に向かいとりあえず腰を掛けてから相手の表情を見ると不満そうで此方としてもやはり、といった様子であり。相手なりに配慮したであろう声でも周りを気にしてしまうのは仕方のないことできょろきょろと店内を見渡した後でうむ、と悩ましげな表情を浮かべて目を伏せては相手がどうすれば満足してくれるかを考え自分なりの答えが出ては真っ直ぐに相手を見つめて一言きっぱりと。)
……割り勘で。
( いそいそと空いている席についたは良いものの ぶっすー、と不満げな顔は未だ崩すことなく健在であって。それなりに配慮したつもりであったのだがいかんせんもとより声のでかい己のことだ、周りに聞こえている可能性もある、という点で相手が辺りを見渡した理由も簡単に想定ができて。むむ、とさらに悩ましげな素振りを見せる相手に不服を申し立てたそうな顔をして。ついぞ、口を開いた相手から出てきたのは 割り勘、という言葉。えー、と小さく声が漏れては、 )
やーだー!
(折角の焼き肉なのにふてくされている相手を見ればどうすれば機嫌が直るだろうかと頭をぐるぐると回転させており。己の提案は予想通りあっさりと却下されてしまい難しそうに眉を寄せて目を細めれば、ふい、とそっぽを向いて相手が断れないであろう言葉を投げ掛けつつこんなときにお腹が鳴ってしまっては格好が付かないためお腹をぎゅうう、と押さえつけてさりげなくちらちらと相手の様子を伺い。)
……じゃあ、俺食べませんからね。
えっ、
( 自分の放った言葉のあとに相手がそっぽ向いたことにたいしてガーンという効果音が付きそうなほどにショックを受けていたわけだが、その次に相手が自分にたいして発してきた言葉に不満を垂らしていたことなど忘れてほぼ反射的に上記を述べると。先程お腹を鳴らしていた相手がなにも食べないのは流石に不味いのではないかとそう思って、少しばかり焦ったような口調で、 )
そ、それはダメ!
(そっぽを向いていながらも相手がショックを受けていることは何となく分かっており、それでも相手が納得してくれるまでは心を鬼にして其方を見ようとせずにいて。するとついに相手からダメ、という言葉が返ってきたためゆっくりと視線を相手に戻しつつ手荒な手段を使ってしまったので申し訳なさから眉を僅かに下げつつ同意を求めるように首を傾けて。)
じゃあ、割り勘でいいですね?
( むむむ、と相手が此方を見てくれないことに小さく唸りつつショックである気持ちと しょんぼりするような寂しさの混ざった面持ちを相手にダメと言ったあと見せて。それからゆっくりではあるが視線がこちらに戻ってきたことにぱぁあと嬉しそうな顔をして。それから相手のその言葉に今度はぶんぶんっと力強く何度も頷き。相手もお腹が減っていることだし、今回は我慢しようと思い至って。 )
ん、それでいーよ!
…ありがとうございます、
(ゆっくりと視線を戻した先にはしょんぼりとした顔があったためさらに困ったような表情を浮かべるも次の瞬間に明るさを取り戻した相手に安堵したように此方もゆるりと口角を上げつつ同意してくれたことに小さくお礼を述べて。そうと決まればお腹も限界でメニューを手に取ればテーブルへと広げて、いつになく嬉しそうに頬を緩んでいるのはやっと食べれるというのもあるが相手と食事が出来るからであり、そのひどく緩んだ表情のままで顔を上げては相手に問い掛けて。)
どれにしますか?
へへっ、礼なんていーよ!
( 相手にお礼を言われるとへらへらと笑いながら気にしないでほしいという意味も込めて左右に何度か手をひらひら。自分のわがままで相手に気まで使わせてしまったことを悔やむと僅かにだが眉を下げてみたり。それからメニューを手に取った相手の問いかけに 全部!という答えを投げ掛けそうになるもそれが成立するのは身内での食事の時くらいで相手は身内でもなんでもなく。うーんと暫し考えるようなそぶりを見せると まずは無難なところから。とでも思ったらしくピン、と人差し指たてながら、 )
えっとー、まずはタンだろー、それからー、あ、カルビと赤身も食いたい!!
(相手の手を振るその仕草からは優しさと寛大さが感じられて一気に気持ちが楽になり、ゆるりとした笑みを浮かべるも今度は相手が眉を下げていれば何とも複雑そうな表情を浮かべて。それでも己の問い掛けに考える素振りを見せた相手を観察しつつ己もメニューを眺めていればいきなり視界に人差し指が映り込んだため顔を上げて。それから相手の口からお肉の名前が上げられる度にこくりこくりと頷いて、お肉に関してはあまり詳しくない己としては相手が提案してくれるのが有り難くこんなことを言えばまた文句を言われてしまうかもしれないが思ったことをそのまま相手に伝えて。)
ん、…いいですね。木兎さんが食べたいものたくさん頼んでいいですよ、俺もそれ食べるので。
( 相手が複雑そうな顔をしたことに きょとんとすると幾度か瞬きをさせて相手のことだからまた何か余計なことでも考えているのだろうかと思い至り、ふむと小さく声を発して。自分が食べたいものを次から次へと順に並べっていっていた訳だがメニューから顔をあげ何だか頷いている相手の発した言葉に え、と言ってから うーんとどこか唸るような声をあげると相手のことじぃ、と見詰めながらビシッと先程までピン、とたてていた人差し指を相手に向けて。 )
赤葦食べたいの無いの?
(先程まで眉を下げていたかと思えば今度はぱちくり、と不思議そうに瞬きをし始めた相手の考えていることが分からず相手の小さな声に返事をするようにんー、と唸ってみたり。ただ己の言葉に納得していないことだけは理解し、その人差し指が此方を指すと指先を軽く目を寄せながら見つめつつ、相手は己に食べたいものを食べて欲しいのだろうな、と考えてはあまりお肉に詳しくないため知ってる名前を適当に上げてゆるりと首を傾げながら、)
えっと…、ホルモン…とか、
( 珍しく唸るような声を発した相手にきょとんとした顔をすると相手に意味が伝わるかなんてわからないが言わないよりかはマシだろうと思って、「赤葦またなんか色々考えてる?」とだけ訊ねて。相手が自身の指を見詰めているからか目を寄せている様はこれまで見たことがなく。おおぉ、と独りでに感動していると左右にその指を動かしてみたりして。相手の口から出てきたその食べ物に よし、と大きく頷くと相手の要望が聞けたのならそれでいい、とでも思ったのか )
じゃあ、ホルモンも頼も!
え、いや、…まあ、少しだけ。
(相手に唐突に訊ねられては細い目を軽く見開き、そんなにわかりやすかっただろうかと苦笑を浮かべつつ相手にバレたことが少し悔しかったり。見つめていた指先がゆらゆらと動き出せば初めはそれを目で追っていたものの何だか遊ばれているような気がしては最後には真っ直ぐに相手を見て目を細めむむっと眉を寄せて。それでも己の意見を聞いて満足そうな相手を見れば此方も嬉しそうに笑いつつ「じゃあ、店員さん呼びますね」と呼び鈴を押しては、)
あ、飲み物どうしますか?
赤葦は賢いもんなぁ、
( 自分とは違い昔から頭の切れた相手のことだからきっと自分なんかじゃ理解できないことなんだろうなんて一人でそんなことをぼんやりと思えばそれらを含めた上記をぽつり。ゆらゆらと左右に動く指を目でおう相手の姿に楽しげな顔をしていたのだがパチリと視線がかち合ったものの眉を寄せた相手のその顔、誤魔化すように へらっと笑って。呼び鈴押したその音を聞いていたさなか相手の問いかけに対してうーん、と少しだけ考えるようなしぐさを見せてから。 )
どーしよっかなー。赤葦はどうすんの?
…何でそうなるんですか、
(相手から聞こえた賢い、という言葉にさらにむむむ、と眉を寄せてさらに相手の考えていることが分からなくなり、己からすればすぐに表情の変化に気づく相手の方が賢く思えて。目が合ったにも関わらず悪びれもなくゆるゆるとした表情を浮かべている相手をズルい、なんて思いつつも許してしまうのは仕方のないことでやれやれ、と小さく息を吐いてみたり。飲み物に関して悩んでいる相手をじぃ、と見ていたが唐突に己はどうするか聞かれれば此方も少し考える素振りを見せてから、)
俺は…明日仕事なんで、緑茶にしておきます。
だってほんとのことじゃん?
( 何故か眉を寄せている相手に自分は何か変なことを言っただろうかと思わず首をかしげて。相手は自分のことを賢いと思っていないのだろうが此方からすれば相手の姿は見ていても賢いと思えてしまうものが多く。うーん、と少しだけ困ったように声をあげ。小さく息を吐く相手を見ながらなんだかんだいって何も言わない相手は優しいよなぁなんて一人で思い。へへっと楽しそうに声をあげ。ふむふむと相手の頼むらしい飲み物を聞いていると己も明日は休みではないし、さすがに飲むもの悪いかな、と思えば、 )
俺も同じのにする!
…俺、木兎さんが思ってる程賢くありませんから、
(相手が己を賢いと思うのはきっと試合での姿が原因なんだろうと勝手な推測を立てつつ、いつどんなトスが欲しいのか分かるのはずっと見てきたから、なんて言えるはずもなく此方も困ったように笑ってみせて。呆れている己を余所にどこか楽しそうな相手を見ればあとはその雰囲気に飲まれる他なく此方も穏やかな笑みを浮かべ、飲み物に関しては分かりました、というようにこくん、と頷くとちょうど店員さんがテーブルに到着したためメニューとにらめっこしながら淡々と注文をしていき最後にはメニューを閉じて相手をちらり、と見て。)
……、あと、緑茶2つ。以上、…ですよね?
んー…、
( 困ったように笑っている相手に何て言えば良いのか此方も少し困ったように腕を組んでから悩むような仕草を見せて。むむ、とどうしたら相手に言いたいことが伝わるのか検討もつかずにただただ眉を寄せ。相手が穏やかな表情を浮かべているのを見ればどうやらそれなりに相手も機嫌がいいらしいなんて勝手に解釈をし。よしよしという気持ちで何度も頷いてから相手が淡々と店員にメニューを告げていく相手の言葉に確認も含めて うんうんと頷き。相手がちらり、と此方を見るとぱちぱちと何度も瞬きをさせ合っているとでも言いたげにぶんぶんっと何度も上下に首を動かし。 )
(折角相手と食事が出来るというのに相手の眉が悩ましげに寄せられているのをみると余計に暗い気持ちになってしまいそうで、己が先に困惑した笑顔を浮かべたことには気づかぬままで、相手との時間を楽しみたいと思えばゆるりと口角を上げてみたり。何度も何度も首を振る相手に頭が痛くなりそう、なんて思いながら瞬きをしつつ店員さんがいなくなればテーブルに頬杖をついて少し考えるように斜め上を見ながらぽつぽつと話し始めて。)
焼き肉とか、…たぶん合宿のとき以来です。
( 相手がゆるりとした口角を上げたのが見えれば幾度か目をぱちぱちと瞬きをさせて。相手が急に笑みを浮かべた理由は分からないけれど まぁ、別に聞くほどでもない、かなと自己完結するなり へらりとこちらも相手のその笑みにつられるように笑顔を見せて。斜め上を見ながら話始めた相手の言葉に対して「え、」と思わず声を発すると確かに自分自身も毎日、というわけではないがそれなりの回数焼き肉を食べには来ているわけで。相手はそこまで外食をしないたちなのかな、と思い至ればどこか驚いたような面持ちで。 )
えぇ…、そんなに食ってないの…!?
(相手のへらりとした笑みを見ては、その笑顔好きだなあ、なんて暢気なことを考えながらだいぶ緊張が解れたようで片手で頬杖をついてみたり。しかし、己としてはそこまで驚く程のことではないのだが相手には衝撃を与えたようでぱちぱちと瞬きをしてから緩く首を傾げて。己は外で食べるとなるとたいていは和食か居酒屋であるが、確かに相手と会っていない間ずっと焼き肉を食べていないとなるとやはり驚くところなのかな、なんて顎に手を当ててみたり。)
いや、あの…カレーに入ってる肉とかは食べますけど、焼き肉って形で食べたのはあの日以来だと思います。
( へへっ、と相手の行動を見てから にんまりとひどく楽しそうな雰囲気を纏いつつにこにこと笑顔を相手に向けたままでいて。相手の言葉を ふんふんと聞いていたわけではあるがやはり自分と生活の仕方が異なっているのもあるのか相手の口から出てきた言葉は個人的な感情を込みで考えると信じられないものであり。何度も目をぱちくりとさせながら相手の言葉を聞いていて。それからしばらく静かにしていると唐突に んー、と考えるように声をあげ。胸の前で腕を組むと何かを考えているのか首を左に こてん、と傾げ。うーんうーん、と唸っていたかと思いきや、ぱちっと閉じていたらしい目を開き。 )
んじゃあ、今日は赤葦お肉一杯食べよ!そうしないとヒョロヒョロになるし!
(相手の楽しそうな様子を見て、あそこまで素直に表現できないものの此方も機嫌は良さそうであり。己の言葉を聞いていてくれたと思えば暫しの沈黙が流れており、何を言うわけでもなく規則的にぱちり、と瞬きをしており。すると突然何かを悩みはじめた相手に軽く目を見開くもそんな行動にも驚かなくなってきてはただひたすらにじいーっ、と相手のことを見つめて。やがてそのときがきたらしく瞳を開いた相手の言葉を待つように首をゆるく傾げてみせて。それから機嫌良さげに笑っていたのもつかの間、次の瞬間にはむすっと眉を寄せており。)
…はい、もちろんです、……ヒョロヒョロにはなりませんけど。
(相手の楽しそうな様子を見て、あそこまで素直 に表現できないものの此方も機嫌は良さそうであ り。己の言葉を聞いていてくれたと思えば暫しの 沈黙が流れており、何を言うわけでもなく規則的 にぱちり、と瞬きをしており。すると突然何かを 悩みはじめた相手に軽く目を見開くもそんな行動 にも驚かなくなってきてはただひたすらにじいーっ、と相手のことを見つめて。やがてそのと きがきたらしく瞳を開いた相手の言葉を待つよう に首をゆるく傾げてみせて。それから機嫌良さげ に笑っていたのもつかの間、次の瞬間にはむすっ と眉を寄せており。)
…はい、もちろんです、……ヒョロヒョロにはなり ませんけど。
( 相手の機嫌が良いことをそれなりに気づいているのかどこか満足そうな雰囲気を醸し出して。相手がぱちぱちと規則正しく瞬きをしている様、素直に可愛いだなんて思えば柔和に目を細めて。ぱちっと目を開けば相手のあの瞳と目があってその瞳に暫し見とれていたわけだが、どうやら相手は自身の相手に向かって放ったヒョロヒョロという言葉が気にくわなかったようで、周りからでも分かるであろうむすっとした顔に眉を寄せるというなんとも機嫌の悪そうな顔を惜しげもなくこちらがわへと見せ。けたけたとそれに笑いつつ。 )
でも実際細いじゃん!
…俺は、木兎さんみたいになれない体質なんです。
(己の機嫌が悪くなったことに相手が気付いているのかいないのかけたけたと笑い出した相手にむぐぐ、とさらに眉間のシワを深くして、さらにはふいっとそっぽを向いて。学生時代の練習で筋肉は程々についているものの、どれだけ相手と同じ練習をしても相手のようにがたいは良くならずそれが悩みでもあったため拗ねたように唇を突き出して。すると店員さんが注文したものを運んできてくれたためそんな表情隠すように軽くお辞儀をして。)
お、怒った?
( けたけたと笑っていた訳なのだが、眉間に皺を寄せたのち、ぷいっとそっぽを向いてしまった相手に流石にからかいすぎた気がして眉を下げつつどこか控えめに上記をおそるおそると訊ねて。ぱちっと店員の存在に気がつけば相手にならって此方も急いで頭を下げ。ちらちらと相手の様子や態度を伺うような仕草をして。相手には申し訳ないことをしたのだが、やはりお腹は空いてるし、どこかそわそわとした様子も見せ始め。 )
(相手の声からは戸惑いが感じられるも、相手の言葉に機嫌を損ねたのは事実であり相変わらずつん、とした態度を取っていて。次々と料理が並べられていき店員さんがいなくなってはちらり、と相手の様子を伺うと己に対して申し訳なさそうにしながらも運ばれてきた料理も気になっているような素振りに脱力したようにふう、と息を吐いて。大人げなかったかな、なんて年下なりに思えば一度緑茶を口に含んだあとでゆるりと口角を上げてはあえて相手の問い掛けには答えずに軽く首を傾けて。)
…ほら、お肉一杯食べるんじゃなかったんですか?
( 相手からは訊ねたことへの返事は帰ってこず、依然として つん、とした態度を見せており。顔には出さないものの内心相手に嫌われたらどうしようなんてヒヤヒヤしており。うわああ、なんて叫びたい衝動にかられるが今自分がいるのは自宅ではなく、公共の場であり、込み上げた叫び声を飲み込んで。脱力したように息を吐いたあと、緑茶を口にした相手にナゼか ピン、と背筋を伸ばし。相手から質問の答えは返ってこなかったものの、かわりの返事にたいしてはぶんぶんっと大きく頷いて見せて。大好きな焼き肉が食べれるということで緩みそうになるその顔を誤魔化すように左右に首を振ってから、 )
た、食べる!
(ただ緑茶を飲んだだけで背筋を伸ばす相手の姿を視界の隅で確認しては、今後はなるべく怒らないようにしようと、反省しつつ自分に言い聞かせるように小さく頷いて。己の言葉に大きく頷く相手に此方は抑えることなく頬を緩めてその姿を見守るも今度は首を振り始めた相手に食べたくないのだろうか、と逆に相手を怒らせてしまったかもしれないという不安が頭を過ぎり。しかし相手の口からは肯定の言葉が返ってきたため安心したと同時に小さく息を吐いて。それからトングに手を伸ばすとかちかちと小さな音を立てながら、)
…何から焼きます?
( 先程まで相手が怒ったかどうかを気にしてしょんぼりとしていたくせに大好物を目の前にするとそんなことを気にならなくなってしまうのか、と自分で自分にあきれたくなるもなるが腹が減ってはなんたら、という言葉もあるしと自分を正当化するような言葉を心の中でぽつぽつと。それから何から焼くかと訪ねてきた相手に溢れそうになるよだれをこらえながら皿の方をちらり。んん、と考える仕草を見せてから あっ、と声を漏らし。嬉々としたその表情を惜しみ無く見せつつ。 )
カルビから焼くか!
(相手の頭の中は己が怒ったことよりも今は焼き肉のことでいっぱいなのだろう、と何となく察するもそれに対して呆れた様子もなく相手らしいな、なんて思っており。相手につられるようにちらり、と皿の方を見つつ悩むような声が聞こえては今度は相手へと視線を移すと嬉々とした表情を浮かべる相手につい小さく吹き出してしまい。それを隠すように咳払いを一つしてからトングを皿へと運ぶとカルビを一枚ずつ真剣な眼差しで並べていき。)
……あ、カルビですね。わかりました。
( あれも食べたいこれも食べたいと先に食べるものを考えているうちに顔がほころんでにやけたような顔になるのは好きな食べ物が目の前にある場合、それは仕方ないのではないかとぐるぐる考えつつ吹き出した、のかそれとも単なる咳払いなのか、というどちらかわからない相手の行為に目をぱちぱち、と瞬きさせきょとんとしながら真横にこてん、と首を傾げてみたり。何故か真剣な表情みせる相手に ぶふっと笑いかけるのを腕で押さえると、ちらちら見ながら )
おうっ、
(己の行動にきょとん、と不思議そうな表情している相手に吹き出したことが気付かれないようにと空いている片手の拳を口元に添えてそれから幾度か咳払いをしては、ちらちらと様子を伺ってみたり。カルビを乗せ終えると一息ついて緑茶を少し口に含み、相当お腹が空いているのかまだまだ焼けるはずのない肉をちらり、と覗いては戻しを繰り返すとふと腕で口を押さえる相手が目に入っては、)
木兎さん、…煙苦手なんですか?
( 相手が急に咳き込むとそんなに煙苦手な人物だったろうか…もしかして風邪!?なんて色々と脳内でぐるぐると考え。しかし此方をちらちらとうかがってくる辺りどうやら煙が苦手なわけでも、風邪を引いているわけでもなさそうで、では何でだろうと更にむむと眉を寄せて。自分が今まさに相手にたいして考えていたことを相手に問われては え、と小さく声を漏らし。ぶんぶんと何度も左右に首を振ってから口許に寄せていた腕を離すなり、 )
違う違う!
(此方の咳払いに難しい表情を浮かべ始めた相手をちらり、と見てはどうやら吹き出したとは思っていないようでゆっくりとその手を下ろし満足げな表情を浮かべて。自分の問い掛けを何やら必死で否定するその姿にぱちぱちと幾度か瞬きをしつつ、違うのなら安心だと再び焼き肉へと真剣な眼差しを送り先程のようにお肉を覗けば程良く焼けていたためそれらをくるりとひっくり返しながらふと思い浮かんだのか手は止めずに相手に問い掛けて。)
…あ、じゃあ匂いですか?
( 何故か満足げな顔をした相手になおのこと疑問を抱くと果たしてそれは聞いてもよいものなのだろうかと自分なりに色々と考えているようで。少しずつだか肉が焼けていく様にはやく食べたいとお預けをされた犬のような気分になって、じーっと相手がひっくり返していくその手つきを見つめていると何か思い付いたかのように問いかけとして投げられた言葉にたいし、きょとーんとした顔をすると匂い…匂い?と不思議そうに首をかしげ。ふるふると何度も左右に首を振って軽く否定の意味も込めれば、 )
秘密!
(どこか上機嫌にトングを構えつつ、相手同様にじーっと焼き肉を見つめながらその時を今かいまかと待ち続けており。肉を焼くことに集中していたものの己の言葉に対する返答が聞こえなければ不思議に思いちらり、と相手の様子を伺うと不思議そうな表情を浮かべていたため何か変なことを言ったかと、こてん、と首を傾けてみたり。そして、秘密、と言われてしまえば少し拗ねたような表情を浮かべながら焼けた肉を相手の皿へと運んで。)
…そうですか、…肉、焼けましたよ
赤葦さー…、今度の休みっていつ?
( 自分の言葉に拗ねたような雰囲気、というか口調から伝わってきたその子供らしさに一瞬だけ目をぱちぱちと何度も瞬きをさせ。皿に乗せられた焼きたてのお肉に対してきらきらと瞳輝かせてはそれをご飯と共に大きな口で頬張って。もぐもぐと何度か咀嚼した後にそういえば、と何かを思い至ったように上記を問い掛け。相手の答えが来るの待つように右側に首をゆったりと傾げ。 )
(拗ねた表情を浮かべたのもほんの一瞬で、焼けたお肉を己の皿にも乗せてはトングを置いていただきます、と両手を合わせて。それから焼肉を口へと運びもぐもぐと咀嚼しては、久しぶりの焼肉で、しかも大好きな相手と食べているということに自然と頬が緩んでしまい。美味しさを噛みしめていると相手に質問を投げかけられごくり、と焼肉を飲み込むとおもむろに携帯を取り出し予定を確認しては、)
えっと、…明後日、土曜日は休みです。
( 先程まで拗ねた表情であった筈なのだが相手の持ち前の、というか相手からすれば無意識なのだろうが一瞬で表情元にもどって。その切り換えの早さに感心した視線を向けたままむぐむぐと焼き肉のあとにご飯を口内に捩じ込み。もしゃもしゃと何度も咀嚼を相手と同様繰り返して。相手の表情が緩んでいることが素直に嬉しくてにこにこと子供っぽさの残る笑顔を浮かべ。明後日が休みだという言葉に きらきらと瞳を輝かせては口に残っていたご飯を飲み込み。嬉々とした表情のまま、 )
じ、じゃあさ、どっか行かねぇ!?
(口の中いっぱいに詰め込む、なんてことはしないものの1枚食べ終われば箸はすぐに焼肉へと向かい、幸せだなあ、なんて思いつつ相手はどうだろうかとちらりと視線を向けるとその幼い笑顔にぱちぱちと瞬きをした後に此方も瞳をきゅうう、と細めて幸せそうに笑い。それから相手の誘いが耳に届くなり、こくん、と頷いてからそのまま首を右に傾けながら、)
いいですね、…木兎さん行きたいとこあります?
.. 赤葦、御免っ。全然来れなくて、しかも、来れないって、来れなくなるって、前もって言ってなくて、心配かけたよな…。もし、まだ居たら返事して。お願い。
木兎さん、..おかえりなさい。俺が、木兎さん置いて居なくなるわけないじゃないですか。確かに、心配はしましたけど、..また会えて良かったです。
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