桃亜 2015-04-30 21:55:36 |
通報 |
≫273 の続きです。
「なあおい。また疫病神が飛び降りようとしてるぜ!」
「はは、マジかよ!なんでだろーな?」
「案外、自分が疫病神だって自覚してんじゃねーの?」
『それあるかもなー!』
うん、そうだよ。だって、君たちは俺が嫌いなんでしょ?だったら、いらないもの、嫌いなものは、無くしてしまえばいいんだよ。
そうすれば、みんな幸せでしょう?
そうすれば、みんな笑顔で、不愉快な想いなんてしないで生きていけるでしょう?
___それが、最善なんでしょう?
なにごとも、最善の道を進まなければならない。たとえそれが………己を滅ぼすことだとしても……。
そうでしょ?父さん、母さん。二人が死んだのは、二人が選んだ一つの【最善】。誰かの最善は、だれかの最悪だから、一概に最善なんて言っても、それはたくさんある、もっというと人の数程あると言ってもかまわないくらいには、最善の道は広く、そして深く多い。まるで物事の事象の系統樹のように。
だからこそ、『信じれるのは自らの正義だけ』と口を酸っぱくして父さんと母さんたちに言われてきた。だから、おれは。
俺は、俺自身の正義のために。
___やっぱり**ねえや。
「なぁ、アホ面三人衆」
くるりと振りかえって、俺を散々コケにした3人を真っ直ぐ見据える。
「っ、!な…なんだよ…?」
リーダー格っぽい一人が見つめ返すというより睨み返してきた。随分と小せえ男だとは思ってたけど…驚きだな。矮小過ぎてもはや笑えてくる。
「さっき、俺を疫病神とか言ってたが…」
くく、と喉を鳴らして琥珀色の瞳で奴等の体を射抜く。あーやっぱだめ。笑い堪えらんないw
思考にノイズがかかって、まともな思考がままならない。やっぱ飛び降りるのは辛えなぁ…。つか怖い。
俺は、気丈に振る舞おうと、むりやり口に弧を描く。
「覚えておくといいぜ」
「疫病神も一応だが…」
心を決めて、窓の外に重心をかけた。
「神なんだからよ」
このひ、俺は本物の神様になってしまったようだ
トピック検索 |