狐死神 2015-04-25 21:39:34 ID:afe26c679 |
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プロローグ
…もう疲れた。
僕は…何なのだろう…
不良品…ハハッ…僕にぴったりの言葉だ。
…さよなら。僕の居た居場所の無い世界…
-幼い頃のキオク-
?「ママーパパーお姉ちゃーん、お兄ちゃーん」
ママ「なぁに?ヒナ」
姉「チビヒナーどうしたー?」
兄「ハァ…勉強に専念したいが…しょうがない後にしよう…、別にヒナの為じゃな…」
姉「ツンデレお兄、ツンデレが進化したなー!」
兄「うるさい。…ったくヒナ早くしろ。」
ヒナ「あっうん。…えっとね…、くまさんのぬいぐるみ…ありがとう!」
ママ「どういたしましてー」
姉「ヒナー本トかわいい奴だよー」
兄「誕生日にプレゼント…当然の事だ。」
パパ「おっ何か賑やかだなぁ。パパも入っていいか?」
ヒナ「あっパパーくまさんありがとー!」
パパ「ヒナー誕生日おめでとう。テディベア…気に入ってくれたか!」
ヒナ「うん!ありがとー。…テディよろしくね!」
楽しそうな…仲の良さそうな家族。だけど…
うーん…寝れない。テディと一緒にママとパパの所に行こう…あれ?
?「何よ!アナタはあの馬鹿女を育てろって言うの?!」
?「当然だろ!__は僕達の可愛い子供なのに…馬鹿女とは…君の頭はどうなってんだ!」
?「何ですって?…あんないらない子、どっかに棄てて…居なくなれば良いのよ。」
-パシッ-
?「…__に何てことを言うんだ!」
?「…あんたねぇ…元々あんたが悪いのよ!…あんたが産めって脅されたから産んだのよ!たまにはこっちの苦労を…考えなさいよ!子供が増えれば負担やお金だってかかるのよ!…それなのにあんたは何も考えてないんだから!」
ママ…パパ…?私…いらない子?…どういうこと…?テディ…私いらない子なの?怖いよぉ…嫌だよぉ…止めてよぉ!
テディをぎゅっと抱きしめ涙を流す少女。泣き止んだ頃には喧嘩は終わっていた。
-僕はママの子じゃないの?-
ヒナ「朝か…。14歳の朝。」
目覚ましの音で朝に気付く。今日は僕の誕生日だ。少し浮かれながら準備を済ませ階段を下りる。
ヒナ「おはよー…あっママ今日のご飯何?」
ママ「…」
あれ?聞こえて無い…のかな?
ヒナ「ママー!」
ママ「うるさい…、早く朝ご飯食べなさい。」
え?ママ…今日凄い不機嫌。私何かしたかな?ていうか…
ヒナ「朝ご飯無いんだけど…」
ママ「あーもうあんたは…馬鹿女!あんたは本ト馬鹿ね!ご飯ぐらい自分で用意しなさいよ!…あぁそうそう馬鹿女には大切な話があったわね、ちょっと座りなさい。」
ヒナ「うっうん。わかったよママ。」
突然の罵声に驚いたがママから大切な話があるらしい…何だろう。気になりつつも椅子に座りママの大切な話を待つ。
ママ「あんたはね…ママの子じゃないの。」
…え?どういう…こと?
ママ「あんたはいらない子なの。あの忌々しい馬鹿元旦那に脅されて産んだ子よ。…私はね、あんたの事が大嫌いなのよ!」
ヒナ「なん…で?どうして…なの?ねぇマ…」
ママ「汚い醜い顔で呼ぶな!あんたはここの家族じゃないから…本トは出て行って貰いたいけど、まだ14歳。一年だけここで家畜としていきるのよ。…話はそれだけよ、早く学校に行きなさい。」
立ち上がりどこかに行くママ。…家畜…家族として…ううん人間扱いもされないってことなのかな?溢れだす涙…僕は静かに泣いていた。
-お姉ちゃん…-
ハァ…と溜め息を漏らしとぼとぼと家に帰る。友達は大丈夫と言ってくれたけど…。
ヒナ「わかんないよ…」
一軒家…家に着けば少し戸惑い気味に入る。
ヒナ「たっただいまぁ…」
しーん。…こっ怖い
自分の部屋へ向かうと…
ヒナ「お姉ちゃん…」
姉「ヒナか…何?」
何だろうお姉ちゃんも怖い…
姉「ママに言われてたでしょ…」
ヒナ「うっうん…」
姉「私ね……
あんたんことだいっきらいだったのよ」
ヒナ「え?」
姉「お兄も大嫌いって言ってた。ママの言ってたとおり…いらない子だね…じゃっバイバーイ馬鹿女ちゃん」
な…んで…僕…いらない子…なの?
部屋に戻りベッドにダイブすれば枕に顔を埋める。
ヒナ「テディ…」
顔をあげれば幼い頃貰ったテディベア。所々糸がもつれてたり綿が出てたりとボロボロだけど…僕の大切な友達…。
ヒナ「テディ…僕皆に嫌われてた…、これからどうしたら良いのかな?」
テディ「…」
テディは何も言わない。そりゃぬいぐるみだし…当然だよね。
ヒナ「寂しいよ…でもテディ大丈夫だよ?僕友達居るから…あっ今日ね学校で…」
今日1日学校であった出来事を話す。これは僕の日課みたいな…まぁ毎日話し掛けてるんだけど…、あっ変な人じゃないからね!
ヒナ「…があったんだぁ」
ママ「ご飯よー降りてらっしゃい!」
ママが呼んでいる、行かなきゃ。
ヒナ「テディ行ってくるね…」
僕は暗い表情を浮かべ階段を降りた。
-ママ達から罵声-
姉「うわっ…豪華…寿司じゃん」
兄「豪華…」
ママ「今日はじゃんじゃん食べて良いわよー!」
ヒナ「わぁ…お寿司だぁ…」
僕が言葉を発した瞬間、周りがピシャリと凍りついた。
ママ「馬鹿女…何しに来たのかしら?」
姉「家畜らしく餌をあさりに来たんじゃないの?」
兄「…フッ」
賑やかな笑い声…僕への罵声。
ママ「まぁ食べなさいよ…家畜らしく床で」
姉「マ…ママ駄目笑い過ぎて…イヒッお腹痛い」
床に無造作に置かれた皿。しょうがないから床で食べる
姉「ママ見て!豚が私達のお家でご飯食べてるー!」
ママ「あらぁ…本トね…。あっお姉ちゃんみちゃだめよ。あんな豚。」
兄「豚は豚らしく食べてろ。」
ヒナ「…」
じっと三人を下から見つめる。
ママ「何かしら?豚のクセに私達に何か用?」
姉「あぁ…ママ餌が欲しいのよ。ほら…あげるわよ」
投げつけられた寿司。ヒナ「やっやめて…」
パリーン
僕の隣に無造作に割れた皿
ヒナ「ひっ」
恐怖が僕を包む、体が…腰が抜けて動かない。
ママ「お姉ちゃん…だめよー。家畜をいじめちゃだーめ」
姉「ごめんなさーい」
助け…て…助けて!
姉「まぁ…いいわ」
ママ「はぁ楽しい食事が台無し。皿と後片付け…よろしくね」
ヒナ「は…い…」
姉「台無しーじゃん私部屋戻ってるわー」
ママ「私はちょっと出掛けてくるわぁ」
兄「部屋…」
僕を助けてくれる人はここには居ない…
-片付け-
三人が居なくなり静まり返るリビング。
ヒナ「…片付け…しないと。」
テーブルには空っぽの器や皿や箸など…僕はそれらを素早く…じゃないけど出来るだけ早く片付けた。
ヒナ「ふぅ…全部洗ったし片付けたし…いい感じ!」
最後にお姉ちゃんが投げつけた皿を片付ける。
ヒナ「…いっつぅぅ…破片危ない…指結構切っちゃった。…血…かぁ」
破片で切ってしまった人差し指をぼんやりと眺めてた。血が溢れ人差し指をつたい床へ雫が落ちていく。
ヒナ「綺麗…………じゃない破片早く片付けないと!」
しばらくぼんやりと眺めていたが皿の片付けを思い出し急いで破片を片付ける。
ヒナ「ばんそうこうも貼ったし…片付け完了。」
綺麗になったリビング…うん我ながら良い出来だ!時間は…わぁお、一時間半もかかっちゃったんだ。
ヒナ「早く片付けたつもり…なんだけどなぁ…」
ハァと溜め息を漏らす…ツイてないなぁ。
ヒナ「お風呂入るか…」
部屋に戻り風呂の準備をした後お風呂に向かった。
-涙を流した夜-
ヒナ「ふぅ、テディただいまー」
笑顔でテディに話し掛ける。当然返ってはこないが僕にとってそれでも十分だった。
ヒナ「テディ…僕はどうしたらいいのかなぁ…。」
ベッドに寝転がりテディにまた話し掛ける。少なくともまたママ達から色々な事を言われる、それがとても怖かった。
ヒナ「テディ…ヒック…どうすれば…いいのかなぁ…僕は…僕は…」
溢れだす涙、僕は必死に止めようとしたが涙は止まらない。
ヒナ「…テディー…グスッ…ヒック…僕は…テディー!」
涙はもう止まらない。もしかしたらこの涙は明日の分なんかじゃないだろうか、と思える程流していた。
あぁ、多分明日は目が腫れてるだろうな…そう思いながらテディを抱き締めて夜中まで声を殺し泣き続けた。
ヒナ「目…腫れてない。良かったぁ…」
次の日僕は早起きをして洗面所に向かい鏡で顔を見ていた。昨日あんだけ泣き続けたのに全くと言って良い程目は腫れて無かった。多分、あまり目をこすらずにテディに押し付けてたからかなと思った…テディに後でお礼を言わないと…。
ヒナ「…今日も頑張ろう。」
僕はそう呟きリビングへ向かった。
-学校のとある日-
そういえば言って無かったけど、僕は小学校五年生なんだ。…でも友達は…とても少ないんだけど…ね。
ヒナ「おはよー」
皆「ヒソヒソ…クスクス」
ヒナ「?…どうしたの?何がおかし…!」
僕は何を見ているのだろう…。僕は何か皆の嫌がることをしたのだろうか?…してないはず…じゃあ何で…。
僕の机に…、「**」とか「消えろ」とか「馬鹿」とか「ウザイ」とか「クズ」とか…書かれてるの?
ヒナ「酷い…何で…」
クラスメート「だってお前馬鹿じゃん」
クラスメート「それに豚だし…いやばい菌だろ!」
クスクス、アハハ、と笑い声が上がる。口々に飛び出る悪口…、僕は耳を塞いだ。
クラスメート「何耳塞いでんだよ。…豚が」
ヒナ「キャッ冷たい!」
ビシャ…バケツに入っていた水が僕にかかる。びしょびしょになった僕を見てまた笑いだす。「もっとやれ」また皆が手をたたきはやし立てる。
ヒナ「…っ」
この場から立ち去りたくて僕は教室を飛び出した。逃げる場所なんて限られている、僕は一目散に屋上に向かった。
ヒナ「ハァハァ…うぅ…寒い」
腕をさすり寒さをしのいでいるとキィ…と扉が突然開いた。
ヒナ「だっ誰!」
ラン「ヒナ!…大丈夫?」
カエデ「ヒナちゃん!タオル持ってきたよ…寒くない?」
サユリ「ヒナちゃん…もう大丈夫だよ…。」
目の前に僕の親友…、世界で一番大切な三人の親友が居た…。
-作者の時間1-
皆様!はじめまして!か、おはこんばんわ!
東京テディベアにドはまりしたんですよねー。((突然
まぁ半分いやほとんどは僕の妄想((殴
主人公あれですね…ちょっと以上に可哀想過ぎますね…本当に皆様すいません((何が
こんな作者ですがよろしくお願いします(ぺこり
追記
>>28は作者の時間2です。なのでスルーしてくださーい((殴
-慰め-
目の前に3人の親友がいた。嬉しいのか…安心したのかぶわっと涙が溢れた。
ヒナ「…みんなぁぁぁああああ!」
ラン「うるっせぇなぁ…ハァ…泣くなよ。な?」
ポンポンと撫でてくれるラン。口調は荒っぽいけど実は面倒見が良かったりする。
サユリ「ほら涙拭いて…鼻水垂れてるわよ」
カエデ「ヒナちゃん…もう大丈夫…。ぎゅー」
僕の涙を拭いてくれてるのはサユリちゃん、ちなみに僕に抱きついているのはカエデちゃん。実は2人…双子の姉妹なんだ!
サユリ「カエデ…ヒナちゃんに抱き付かない!」
カエデ「何でよ…サユリ姉さん」
ラン「いや濡れるからに決まってん…」
カエデ「分かった!ランちゃんがヒナちゃんを独り占めしたいんだ!」
ラン「はぁぁぁぁぁぁぁ!?んなわけねーだろ馬鹿!」
サユリ「とか言って本当はしたかったりして~?」
ラン「サユリまでヤメろよ!…ったく姉妹揃っていじりやがってー」
?…突然なぜか3人の言い合い…なんでだろう?
ラン「気にするな!…ガチで気にするな!」
カエデ「あらら…顔真っ赤かー」
サユリ「ふふ…本当ね」
ラン「うるせぇ!」
なんかランちゃん可愛い…、お顔が真っ赤だ。
…楽しい…楽しいなぁ。僕は…ずっとそう思ってた。…でも現実はそうはいかない。
-裏切り-
サユリ「もうお昼ね…」
カエデ「ヒナちゃん行こー」
ヒナ「うん!」
ラン「あっやべっ…俺一回帰る…弁当忘れた。んじゃ先行くわ!」
ランちゃん…お弁当忘れたって…サユリちゃん呆れてるよー?
カエデ「行こー!」
ヒナ「うわぁ!」
突然カエデちゃんが僕の手を引いて走り出す。危ない所だったぁ…もう少しで転ぶ所だった。
教室
ヒナ「…」
カエデ「大丈夫…ヒナちゃん。」
サユリ「そうよ…ふふ」
ドンっ…バフッ
え?今何が起き…た…?
カエデ「サユリ姉さん…ヒナちゃん真っ白!」
サユリ「そうね…ふふ」
どっと笑いだすクラスメート。僕は…何がどうなっているのか…分からない…いや混乱していた。
ヒナ「ケホッケホッ…ど…して?親友…なの…に」
カエデ「ヒナちゃん気付かなかったの?」
サユリ「私達、元々親友どころかクラスメートの一員なんて思ってなかったのよ?」
ヒナ「え」
また涙が溢れてくる。何だろう最近泣いてばかりだな…僕。
サユリ「泣いてるわ…カエデ…雑巾持ってきて?」
カエデ「はーい!」
カエデが汚いボロボロの雑巾を持ってきて…僕の顔を拭いた
ヒナ「やっやめて!」
ばっと払いのければ教室を走って出る。今度は屋上じゃなくて学校を出て公園に向かった。
__「……っ」
泣きながら走る僕を誰かが見つめていたことを知らずに。
-唯一の…-
ヒナ「ううっ…ぐすっ…ひっく…」
ベンチに体育座りで座り顔を伏せて泣く。幸い昼間の公園は誰一人居なかった。
僕はどうすれば良かったのだろう…信じてたのに…大好きだったのに…。
__「ヒナ」
ヒナ「!…え」
突然名前を呼ばれ反射条件で顔をバッと上げる。僕の名前を呼んだのは…
ラン「何泣いてんだよ…」
ランだった。
ヒナ「ほっといてよ!…どうせランちゃんも僕の事親友って思ってないんでしょ!」
ラン「はぁ?何言ってんだよ!泣いてるお前をほっとけるかよ!それに俺はお前を…ヒナを親友じゃないなんて思ったことなんて…あるわけねーだろ!…ちっ弁当取りに帰らなきゃ良かった…。」
ヒナ「え?」
ラン「あの糞姉妹だろ!…俺がついていながら…ごめん…」
ぎゅっとランが僕を抱きしめる。僕はまた混乱した。…訳が分からない。
ラン「ううっ…ヒナァ…俺はぜってーぐすっ…お前を守る!」
泣きながら宣言するランに僕はとても嬉しかった。…ありがとう…ラン!
ぐぅー
シリアス…?な雰囲気に間抜けなお腹の虫がなる。そういえば今の時間ってお昼ご飯の時間だ。
ラン「腹減ったなぁ…一緒に飯食わねーか?」
ヒナ「いっいいの?」
ラン「あったりめーだろ!」
ヒナ「ありがとう!ランちゃん!」
ラン「ラン」
ヒナ「へ?」
ラン「ランちゃんじゃなくてラン。呼び捨てで呼んでよ」
ヒナ「…わかった…ラン」
ラン「うん!んじゃ飯食うか。」
ヒナ「うん!」
僕達2人は仲良くランのお弁当を食べた。…ランちゃ…じゃないランにお弁当のお礼あげないとなぁ…
-ボロボロのぬいぐるみ-
ヒナ「…はぁ」
僕は今家へ帰っている…とても嫌だけど。
家の扉、皆にとってはただの扉かもだけど…僕にとっては重々しい雰囲気を放った扉のように見える。
ヒナ「ただいま…」
勇気を出し扉を開け中に入る。
姉「遅い…」
ママ「どこをほっつき歩いてたのかしら?」
ヒナ「え?…普通に帰ってきたし時間は遅くないと思うけど…」
ママ「…っ。」
バッ
ママが僕の髪を強引に引っ張る。
ヒナ「いっ…いたいいたいっ」
姉「アハハ…面白~い!アハハ」
ママ「あんた…まだあの人形持ってたのね…。テディベアでテディだっけ?ボロボロだし切り捨ててあげるわ」
そう言ってママはリビングのテーブルに乗っていたテディをハサミで………切り…刻ん………だ………。
ヒナ「やっやめてー!やめて!いや!やめて!」
姉「だーめ、ヒナーどう?今の気分はぁ?」
テディを助けようと行こうとしたら姉に引っ張られ動けなかった。非力な僕…ただ切り刻まれるテディを涙を流しながらみることしか出来なかった。
テディ…テディ!
-初めての傷-
その後もママはテディを切り刻み…バラバラにしてゴミ箱に捨てて自分の部屋に帰っていった。僕は2人が部屋へ帰った時に急いでテディをゴミ箱から出した。
ヒナ「テディ…」
ボロボロになったテディ。僕はそれを抱き締め…また泣いた。
ヒナ「…テディ…後で直してあげるね…。」
ボロボロのテディを後で裁縫で直すことに決めた。裁縫は普通の人よりは出来ると思うけど…テディが元に戻るか、そこが心配だった。
姉「風呂よ!早く入れ!」
ヒナ「はっはーい!」
もうお風呂の時間らしい準備をして向かわないと…また…言われる…。
ヒナ「ふぅー…いぎがえるぅー…」
お風呂に浸かり目を閉じる。目を閉じれば幼い頃の記憶が、あの時幸せだった時の記憶が映し出される。
ヒナ「…カミソリだ…。…血…かぁ…」
血といえばお姉ちゃんに皿を投げつけられて、その片づけの時指を切ったっけ…。
シュッ
手首に鋭い痛みが走る。その後少しずつじんわりと血が溢れでる。何故か心地がよい…ストレスが無くなっていくように負の感情やそれらが僕の身体から出ていく。
ヒナ「…血…傷…どうしようか…」
ぼんやりとポタリポタリと落ちる血を眺めながら呟いた
テディと私の修復
-自分の部屋-
ヒナ「うーん…こんな感じかな?」
切り傷が残る腕に大きめの絆創膏を張った。深めに切ってしまい血が多く流れたのかお風呂から出たとき貧血になりフラフラになっていた。
ヒナ「さて今度はテディの番だね!」
ベッドの上にあるテディだったもの。上手く修復はできないけどテディを元通りにしたい。
ヒナ「待っててね…」
チクチクと縫い始める。少しずつだが元に戻っていく。後少し…後…少し…。
三時間後
ヒナ「出来たぁ!」
形は歪で変だけどテディが元に戻った。
ヒナ「テディ!ぎゅー!」
テディをぎゅーっと抱き締める。…テディごめんね、大好き…。
ヒナ「って…そろそろ寝なきゃ…、テディお休み。」
今の時刻は深夜2時。そろそろ寝ないと遅刻しちゃう!
電気を消しベッドにはいる。もちろんテディを抱き締めて。
大好きだよテディ、また明日ね
学校の友
ヒナ「…。」
目の前にはマジックペンで殴り書きされた机。書かれた言葉は…お馴染みの汚い言葉。
ヒナ「綺麗にしないと…」
そう呟き雑巾を取りに行く。
取りに行った後机を綺麗にする。…なかなか消えない。朝の休み時間まであと五分、ギリギリ間に合うかどうかの時間だ。
ヒナ「こんな感じか。…やばっ雑巾返さな…きゃ!」
ツルッと何か滑りやすいモノを踏み滑る。危ないと手を出し目を瞑り…
ぼすっ
ん?痛く…な…い?
誰か僕を受け止めたのだろうか、恐る恐る目を開けると……。
ヒナ「…ラン!」
ラン「ヒナ大丈夫か?ったく走ったら危ねーだろ。」
ヒナ「ごめんごめん。でも、ありがとう。」
ランから離れぎゅっと手を握った。僕なりのありがとうを握手で示した。ランは察したのか握りかえしてくれた。
クラスメート1「おい!スケバンラン!お前何笑い潰してんだよー!」
クラスメート2「まっいいじゃん。偶然ランが居たことにして、また仕掛ければ良いでしょ!」
ラン「…てめぇらか…、てめぇら絞めんぞ、あ"?」
クラスメートからのからかいに凄みましてランが睨み付ける。……怖い。
クラスメート2「なっなんだよ。ランはこっち側じゃねぇのかよ。」
ラン「こっち側とかの糞もねぇ。てめぇらヒナに手ぇ出したら絞める。」
しーん。ランの脅しに怯んだのか教室が一瞬にして静かなる。
ヒナ「ラン…」
僕は怖くなりランの手をぎゅっと握った。
ラン「大丈夫。」
そう小さく笑ってぎゅっと握り返してくれた。
ランの脅しが効いたのか二週間は何もされなかった。でもママやお姉ちゃんからの仕打ちはだんだん酷くなっていっていた。だけど今の僕は大丈夫だった。大親友のランがいるから。
だからこそ僕は気付かなかった、標的がランに変わっていたことを…
友と僕
ヒナ「ラ~ン!」
ラン「ヒナ!どうした?」
ヒナ「一緒にご飯食べよー?」
ラン「あーごめんごめん。また明日な、ちょっと用事だわ…じゃあな」
ヒナ「うん………!そうだ!ランについて行こう!」
僕はナイスアイデア!と思いながらランの後をバレないようについて行く。
10分経過
10分歩いてとある人気のない裏道にある工場に入っていった。
ラン「…来た」
__「遅いわよ~」
__「ってことでお仕置きね?」
ラン「…」
数名の笑い声が聞こえる、女の子かな?
__「は~いケツバッド~。」
__「その後水責めー?」
__「タイマンでよく無い?…4対1で?」
ヒナ「え?…ラン?」
まさか…ランがいじめを受けてる?最近僕に来ないなぁと思ったらランに来ていたんだ…。
何で教えてくれなかったのかな…、大親友なのに。
ラン「うわっ!」
ヒナ「…っく、ラン!」
ラン「ヒナ!?何で此処に!?」
ヒナ「ランこそなんでよ!何で教えてくれなかったの!…僕の大切な親友をいじめないでよ!」
キッと睨みながら後ろを見ると……
姉とクラスメート三人がいた。
ヒナ「お姉ちゃん!」
姉「は?お姉ちゃん?黙れクソガキ!」
バシッ!
ヒナ「いっつぅ…」
頭を思いっきり叩かれ痛みで涙がにじむ。
ラン「てめぇ!実の妹に手ぇ出す姉がいるか!」
姉「は?あんた私達があんたの弱み持ってることしらないの?」
ラン「…っ」
姉「あははは、無様ね!所詮、あんたなんてただの暴力女!別に…言ったって大丈夫でしょ?」
ラン「…止めてくれ、止めて…止めて下さい…」
痛みが収まり横に視線を向けるとランが土下座をしていた。
ヒナ「ラン?」
ラン「ヒナ…ごめん…」
突然立ち上がり僕の所に近付き優しく抱き締めた。そして今日この日を境にランを見ることはなかった。
-悲しみ-
クラスメート「ねぇ聞いてー。ランが転校したんだってー。」
クラスメート2「えー何それ本当!」
クラスメート3「親の借金払えなくて夜逃げ、あとランの暴力問題だろ。」
クラスメート2「まっ自業自得ってことね。」
ランが居なくなって四日目になった。先生からランはただの転校らしいけど……、実際はクラスメート達が言っている内容通り夜逃げだ。
まさかこんな事が姉とママが関わっているとは思わなかった。
昨日の夜、会話文のみ
ヒナ「ランが3日間も来てない…どうしたのかな?」
姉「ラン……ランってあの子か…。来てない……ぷっ、あははははは!アイツらの家族夜逃げしやがったか!ママーアイツら破産して夜逃げしやがったぞー!」
ママ「え、そうなの? ……うふふ、まぁそうよねぇ。」
ヒナ「え?なん…で…」
ママ「ママはねあの人達の借金を返済していた……手助けをしていたの。」
ヒナ「手助け?」
姉「簡単に言えば月1に金を貸してたんだよ。でその日がお前と会った日。」
ヒナ「じゃじゃあ何で払ってあげないの!」
ママ「別に…あの人とは幼なじみで親友だっただけで、別に払わなくて良かったのよ。」
ヒナ「そんな…酷い」
姉「あんた馬鹿?そうなったのはあんたの性なんだよ?雌豚?」
ママ「そうよー、あんな暴力女と離れさせるにはこれしか方法が無かったのよ…ごめんね…雌豚ちゃん。」
ヒナ「そんな…」
現在、学校
ということである。その話が広がったのは姉が広げたから。僕は……僕の家族はランに償いきれないことをしてしまった。
どうしよう…!
ヒナ「いった…」
頭を誰からか叩かれた。じーんとした痛みが走る。
クラスメート「お前なんて生きてたって意味ねーんだよ。シ,ネ。」
あぁ…償えるじゃん。ラン…僕、命張って償うよ。
……皆の代わりに……
-飛び降り-
ヒナ「…高い。」
僕がいるのは10建てのマンションの屋上。
あの後僕はすぐに教室を飛び出し此処に向かった。…高い、足がすくんで震えてる。
ヒナ「いかなきゃ…やらなくちゃ!」
一歩一歩前へ進む。
屋上の端まできたとき風がビュゥと吹いた。
ヒナ「きゃあ!…か…風か…。」
大丈夫…怖くない、飛び降りたら楽になる。
ヒナ「…よし…行こう。」
僕はそのまま飛び降りた。そして僕の意識は途切れた。
-優しいママ-
此処はどこ?真っ白な世界?…周りは…分からない、いや周りが見れない。
ヒナ「う……ん?」
ママ「ヒナ!…良かったぁ。」
ヒナ「ふぇ?…いっ痛い痛い!」
突然泣き出したかと思ったら抱きついてきた、痛い!
ママ「あっごめん!強くし過ぎたわね…。」
ヒナ「いっつぅ…。」
先生「お母さん…あまり…ね。嬉しいのは分かりますがあまり…お子さんに無理なさらないように。」
ママ「はい…ごめんなさい。ヒナもう止めないよ!自殺なんて!ママとても心配したんだよ!」ママってこんな感じだったけ?こんな優しいママだっけ?分かんない…。
ヒナ「ママ?…本当にママ?」
ママ「何行ってんのよ。ママよ。変な子ね、フフっ」
ヒナ「ひっく…こわぃ…何で?分からない、分からない!」
ママ「ヒナ!大丈夫!ママがいる。ママが居るわ!」
また僕を抱きしめる。ただ優しく割れ物扱うように僕を抱きしめた。
ヒナ「ひっく…ひっく…ママァ…。」
ママ「大丈夫、大丈夫よ。」
背中を優しくさすって僕を落ち着かせようとしてくれた。
優しいママ。これが皆の所は普通なのだろうけど僕にとっては嬉しい。もしかしたら演技かもしれない…それでも僕は嬉しかった……。
あれから二週間が過ぎた。ママもあれから暴言も言わず昔のママだった。ただお姉ちゃんは来なかった、ママ曰わく
姉「勉強と提出物がヤバい」と言っていた。
ママ「そういえばヒナ……あと4日で退院ね。」
ヒナ「あっ…そうだった。」
ママ「ふふっ…ヒナは忘れんぼさんね。」
ヒナ「えへへ。…わっ」
ぴっとママの人差し指で僕のおでこを強めに押された。
ヒナ「もぉー、何す……!」
ママ「……。」
おでこを抑えママを見ると……、
ヒナ「ママ……?」
今のママ……僕を豚としめ見るママになっていた。
ママ「ヒナ……話があるの…。」
ヒナ「なっ何?」
怖い、僕の心はそれでいっぱいだった。
ママ「…ヒナの退院の日、4日後にね…
パパが帰ってくるのよ!」
ヒナ「………………へ?」
え?ちょっと待って。ママの雰囲気や冷たい目になってたからまた暴言を言われると思いきや…パパが帰って……帰ってくる!?
ママ「ちょっと?どうしたの?ヒナー?おおーい」
放心状態の僕の顔の前でぶんぶんと手を振っている。
ヒナ「…パパが……パパが…帰って……来る……の?」
ママ「そうよ!帰ってくるのよ!」
ヒナ「本当に?」
ママ「えぇ、本当によ。」
ヒナ「ママー!」
あまりの嬉しさにママに抱きついた。パパが5年ぶりに帰ってくる!
ママ「ヒナったらーもう。ヒナの赤ちゃん返りね。」
と言いつつも僕を優しく撫でてくれて……。
ヒナ「あと4日後かぁ…楽しみ!」
ママ「ふふっ…そうね。料理は任せなさい!ママが腕によりをかけて作るわ!」
ヒナ「うん、楽しみにしてるけど…怪我しないでね。」
ママ「大丈夫ー大丈夫ー!」
パパが帰ってくる。とても楽しみでとても待ち遠しい。でもね……
パパが帰って来たことにより……僕が壊れることを…
-パパの帰り-
4日後
ヒナ「ありがとうございました。」
ママ「ありがとうございました、先生。」
先生「いえ、元気になって何よりです。それでは2ヶ月後骨折の状態の確認のためまた来て下さい。」
ママ「分かりました。」
今日は僕の退院日。骨折はまだ治ってないが来月か再来月には治っているだろうと言われた。……はどうでもいいのです! パパが……パパ今日帰って来ます!
ママ「ヒナ今日ご機嫌ねぇ~」
ヒナ「えへへ~。だって久しぶりにパパが帰って来るんだよ!僕楽しみ過ぎて寝れなかったよ。」
ママ「そう、ふふっ。」
いつもより倍の時間をかけて家路につく。
何週間振りの家だろうか? 久しぶり過ぎて少し緊張してしまった。
ヒナ「た…ただいまぁー」
__「お帰りー」
ヒナ「ふぇ!……まさか……。」
パパ「よっ、久しぶりだなぁ~ヒナ。」
ヒナ「パパ!」
やっぱりやっぱりパパだ! 何も変わってなくて前と同じパパだった!
ヒナ「うぅー久しぶりー」
パパ「おいおい泣くなよー。……あぁそういりゃヒナ、前誕生日だったろプレゼント買ってきてやったぞ。」
ヒナ「本当!やったー!ありがとパパ!」
その後パパから誕生日プレゼントを貰った。中身はボロボロで貧乏が着るという印象のワンピース。最初は吃驚したけど最近流行っているらしいです。
今日はとても楽しかった。ママもパパも優しくて、でもお姉ちゃんやお兄ちゃんは居なかった。ただそれがちょっぴり悲しかった。
-戻された日常-
その後パパは2日ほど此処に居たが仕事の為また居なくなった。
今での3日間はとても楽しくて……その分今はとても寂しい。
明日から学校に行くことになったけど……またあのいじめが始まることに少し怖かった。
ヒナ「あっママ。」
寝れなくて下に降りるとママが椅子に座って何か考え事をしていた。
ママ「……。」
ヒナ「? ママ?」
ママ「……黙れ。」
ヒナ「!……え、何で」
ママ「黙れ黙れ黙れ黙れ……黙れ!!」
静かな空間にママの叫び声。僕、忘れていた。
学校のいじめが始まるなら家でのいじめも始まる。……またあの苦しい日々が始まる。
パシンッ
ヒナ「いっつ…」
ママ「醜い顔を見せるな、誰が私と喋れと言った?誰が私をママと言っていいと言った!?」
ヒナ「え…あ…その…」
怖くて震えてしまい泣きたいのを我慢していると……
ガッ…
ヒナ「イタッ!」
髪の毛を思いっ切り引っ張って上を向かせ顔を無理矢理合わせられた。
ママ「聞いてんのか?雌豚ぁああ!」
ヒナ「ヒック…ひゃい…。」
ママ「ちっ…きめぇんだよ、いつも泣いて!」
ママから久々きいた罵声、新しく暴力が入った僕のいじめ。
痛い…苦しい…怖い…嫌だ…
誰か…誰か助けてよ…
作者の時間~
はぁ~い駄作者の放置常連駄作者の狐死神だよ~(ぷぅ←
いやーやっと30手前の28。やっとですよ、やっと。(笑)
30を超え35からは結末へ向けもしかしたら急展開かもしれません。
さて、作者の時間、もしかしたらこれで最後かもしれませんが
『東京テディベア』
よろしくお願いします
m(__)mペコリ
-人-
ヒナ「……っ。」
学校ではやはり私へのイジメが始まった。
クラスメート「おい引っかかったぞー!」
クラスメート2「まっじでーー!おもろっ!」
教室に入ろうとしたら突然黒板消しが落ちてきた。
ヒナ「ケッホケッホ!」
クラスメート2「ざまぁ、アハハハ!」
どっと笑いが起きる。私は黒板消しを置き頭についた粉を払う。
クラスメート3「お前、何で似生きてんの?」
ヒナ「っ!」
クラスメート4「それ俺も思った!」
口々に私もーや確かにーという声が上がった。
ヒナ「……。」
クラスメート「っ、何黙ってんだよっ!」
パシンッ
高らかに音がなった。
ヒナ「いっつぅぅ。」
叩かれた。なんで皆私をいじめるの?私は何かしましたか?
ねぇ…教えて下さい。
痛みと悲しみに涙が頬に伝う。
私は何処でも1人。
仲間は居ない。
誰か私の味方になってよ、嘘でも良いから……。
-雨-
クラスや家で私へのイジメや虐待が始まり、そして暴力というオマケがついてきた。
毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日精神的に体力的に疲労が重なっていく。
ヒナ「雨……。」
今日もクラスで今日も私で遊ばれた。
ヒナというおもちゃをまるで幼児のように叩きつけ蹴りつけそして楽しそうに嗤う。
そして今やっとおもちゃという決定事項から解放され今家に帰っている。
ヒナ「雨、私の心も雨。大雨……いや台風か」
あはは……と乾いた弱々しい笑い声が雨音に溶け込む。
何となく傘を閉じ雨に触れる。
冷たい……、私の心のように。
濡れてく……、私の感情が
溢れてく……、私の涙が
ヒナ「うぅ…ひっく…ひっく…何で…私だけが…私だけがーー!」
雨音が溢れて強くなっていくように私の泣き声が……私の感情が溢れていった。
雨か……、私は…………、何なのだろう………………。
-願い-
ヒナ「いった……!」
ママ「ヒナー?何か言ったかしら~?」
姉「ママー。ヒナさっきねー、クソババァって言ってたよーキャハハ」
ヒナ「そんなこと…言って無い!」
ママ「黙れ!雌豚ァァァァアアアアア!」
バシッ、ドカッ、ガスガスッ
叩かれ蹴られ引っ張り、ヒナを虐待していた。
姉は狂ったように笑って楽しみ、ママはまるで僕を消すために暴力を振るっていた。
ヒナ「いっだい…いだいよ…。」
一体どこまですれば気が済むのかな?……もう嫌だ、疲れたよぉ。姉とママの暴力は0時まで続いた。
~自室~
ヒナ「いっつぅー、痣だらけだねぇーテディ。」
0時きっかりに解放されそのまま自室に戻ってきた。いつもなら解放された後風呂に向かうのだが、いつも以上の暴力と痛みで今日は入らなかった。
ヒナ「テディー、今日は何の日かな?……9かぁ。って七夕過ぎちゃった!」
今更過ぎたことに気付きがっくりする。七夕の日にお願いしまくろうと思ったのにー……いや大丈夫だ。2日だけなら大丈夫!
ヒナ「2日過ぎちゃったけど大丈夫だよねーテディ。よし、テディも一緒にお願いしよ。」
ガラララッと窓を開け空を見る。残念ながらどんより曇り空だったがあえて気にせずお願い事をした。
ヒナ「……この苦しみから解放されますように…。」
一つ目、僕がずっと思っていた願い事
ヒナ「……前みたいにママとパパとお姉ちゃんお兄ちゃんと僕が仲良かった時に戻りますように」
二つ目、僕が心から叶えたかった願い事
ヒナ「…………、ママが元に戻りますようにように…」
三つ目、今僕が叶えたい願い事
ヒナ「これでお終い!さて寝ないとねっ」
窓を閉めてテディを抱き締めて寝る。
僕は朝に怯えながら朝を迎えた
-せんせー、何故…-
ヒナ「きゃっ!」
ザーーと上から水をかけられ小さな悲鳴をあげた。
ヒナ「わぁっ!」
ばふっと濡れ雑巾と黒板消しが頭に落ちてきた。
ヒナ「きゃぁぁあああ!」
ドンッと誰かに階段から突き飛ばされ悲鳴をあげた。
ヒナ「いったた」
足に包帯をくるぶしから太ももの半分位まで両方とた片腕と頭にぐるぐると巻かれた。
ヒナ「せんせーに相談しよっかな」
僕のいじめにもう気付いていると思うけど、改めて今日せんせーに相談することにした。
放課後、教室
先生「どうしたのです?ヒナさん」
ヒナ「せんせー…助けて下さい。僕、いじめにあってて……苦しいんです!」
先生「……ほぉ。……ちっ、俺の負けか……ったく。」
ヒナ「へ?」
穏やかだったせんせーの表情が一瞬で怒りの表情に変わった。
先生「お前、馬鹿か?そんなもん知ってるし。ていうか今日突き飛ばしたの俺。良い悲鳴だったなぁ…なぁ?」
ヒナ「せん…せー?どう…したの?ねぇ?」
バシッ。乾いた音が高らかになる。
ヒナ「いったぁぁああ」
先生「いいねーその表情だよー可愛いねーハハハ。」
ヒナ「嘘…。せんせー…何故…こんな事をするの?」
先生「楽しいからに決まってるだろ。さーてヒナ、たぁ~っぷりいじめてやろうかー」
ヒナ「し…失礼します!」
怖くなって走って逃げ出した。後ろからせんせーが「逃げ出してま無駄だーハハハハ!」
と、言っていた
ヒナ「ハァハァ…僕だけ…何で……。……皆さんさようならせんせーお元気で……。」
息を整え学校を走って出た。
-1人-
~家~
ヒナ「ッハァハァ……。」
全力疾走して息が荒い。足もガクガクする。
ヒナ「……。」
家に帰れば家族からの暴力、暴言。僕の居場所は多分無い。
はぁと溜め息を吐き出し家に入ろうとした時、ぐぃっと服を引っ張られ
幼女「お姉ちゃん!どしたの?」
と小さな女の子に聞かれた。
ヒナ「わぁっ、ん? どうしたの? 迷子? お名前は?」
幼女「迷子違う! あたちナヤ! 4ちゃい!」
……。4歳で1人は絶対迷子でしょう。
ヒナ「そっか…ナヤちゃん宜しくね!」
ナヤ「うん!」
可愛らしくお下げで黄色の帽子に水色のワンピース。幼稚園の服だろうか?
ヒナ「ナヤちゃんは幼稚園からの帰り?」
ナヤ「ううん。ナヤ悪いことしちゃった、だからおしょとで反省。ちゅまらないから出ちゃった!」
つまり……、ナヤちゃんが悪いことをし怒られ反省するまで外、または庭に出され家に入れてもらえなかった。だがつまらなくて家を飛び出し道が分からなくなったってことか……。つまり、僕と同じだ。
ヒナ「そっか……、辛かったね。」
優しく撫でてあげると不思議そうに首を傾げるナヤちゃん。……可愛い。
__「ナヤちゃーん!どこなの!」
__「ナヤー居たら返事しろー!」
ナヤ「あっママーパパー」
だったっと走っていくナヤちゃん。
幸せそうにな表情、僕と違う……。
ナヤ「あっお姉ちゃん、バイバーイ!」
ヒナ「バイバーイ!」
母「ナヤのことありがとうございます!」
父「ありがとうございます!」
ヒナ「いえ大丈夫です。でも目をはなさいよう気を付けて下さいね!」
母「ありがとうございます!」
父「さぁ帰るか。」
ナヤ「うん!」
幸せそうな家族、僕はとてもうらやましかった。そして一気に現実に戻された。
-意外な日-
――ガチャ。
扉を開けて中に入る。
あぁまたあの苦しみに耐えなきゃいけないんだ。
ただ今日は少し違った。知らない人の靴が置いてあった。だけどどこかで見たことのある靴でもあった。
ヒナ「誰だろう……。」
客かなと思い自分の部屋に行こうと思ったその時、見慣れた人が居た。
パパ「ヒナ!」
ヒナ「パ……パ?」
仕事で遠くに居るはずのパパが居た。僕は夢をみているのだろうか?ぶわっと涙が溢れ出す。僕はパパに抱きついた。
パパ「ヒナ……久し振り。」
ヒナ「パパ…パパァ…久し振りっ」
嬉しくて嬉しくて久々に笑顔を作れた。ううん笑顔になった。
ところでパパ、何でここに居るんだろう?
パパ「さて、ヒナ涙を拭いてリビングに行こう。皆に話があるんだ。」
話?一体なんだろうか?
パパ「さてー皆さんが揃った所で大事な話をします!」
姉「待ってましたー。」
兄「大事な話……飛ばされたのかい? 父さん。」
ママ「お兄ちゃん、縁起でもないことを言うんじゃありません!」
ヒナ「パパ、話って何?」
パパ「話と言うのは……。」
ごくり。つばを飲み込みパパの続きを待つ。
パパ「ここで働くことになったんだ……しかも副社長!」
え……えーーーーー!!
ママ「副社長!」
兄「ここで働くってことは……。」
姉「一緒に居られる。」
ヒナ「本当に……?」
パパ「今で迷惑かけてごめんな。今日から皆一緒だ!」
嬉しい。ただただ嬉しかった。またパパと一緒に居られる。
だけど僕は1ヶ月後……。
-幸せ-
小さい頃、僕はパパとよく遊んでいた。パパと一緒に笑ったり泣いたりママに怒られたり。
でも不思議なことに僕には幼い頃、パパ以外と遊んだ記憶はなかった。
その代わり違う子供と遊んでいた。
ママ……幼い頃の記憶だからあんまり思い出せない。でもママはあんなに落ち着いた人だっけ?
気のせいだろう……僕の。
それよりパパが帰ってきたのでパーティーだ!
パパ「うおっ豪華だな!」
姉「そりゃそうよ、何せママと私の料理ですもの!」
兄「ただ味見というつまみ食いだったけどな」
姉「うるっさいわ!」
ヒナ「わぁ……豪華。」
パパ「ヒナ……何で床に座ってるんだい?」
ヒナ「え? だって……」
姉「ちっ……、ヒナ床で食べるのかぁ? 早く座れパパに全部食われるぞー。」
兄「と言いつつ君が食べるのだろう。」
ママ「ふふっ。さぁ食べましょう!」
僕はお姉ちゃんに言われた通り椅子に座った。
見慣れた所から高い景色。僕は何故か突然違う景色を思い出した。
パパと違う人と子供。
どう……いう……こと?
僕はそのまま気を失った。
-決意-
ヒナ「ぅん……ここは……!」
パパ「大丈夫かぁ!」
ヒナ「ぇ……ぁ……きっ」
パパ「き?」
ヒナ「きゃぁぁあああ!」
僕ヒナは目覚めた後思いっ切り悲鳴を上げました。
パパ「ごめんな…」
ヒナ「……起きた瞬間に顔ドアップは怖いよ……。」
パパ「ははっ、気をつけるよ。所で大丈夫なのか?」
ヒナ「うん。大丈夫……だょ……。」
僕は多分気付いた。僕が嫌われている理由、あの記憶のことも……。
さてパパ僕は?を聞く、だからパパは!を答えて……。
-?-
ヒナ「ねぇ……パパ聞いて欲しいの。」
パパ「なんだい?」
ヒナ「僕は……
誰の子なの?」
パパ「っ。」
パパが目を大きく開き焦った表情をした。
ヒナ「……突然さ知らない人と子供を見たことがある。多分気のせいかも知れない……でも……でも……」
パパ「ヒナ。」
ヒナ「パパ? っ!」
突然泣きそうな表情で僕を抱きしめた。
パパ「ごめんな……ヒナ、本当にごめんな。」
ヒナ「パパ……。」
パパ「ヒナ、聞いてくれ。ママとパパのことを……。」
僕は、パパとママの出会いを聞いた。
ヒナ「う……そ……。」
パパ「ごめんな、ヒナ。」
-!-1
~ヒナが生まれる前~
とある裏道。
パパ「麻美さん!」
ママ「雲英君!」
二人は抱きつき甘いキスを交わす。
ママ「ふふっさぁ行きましょう?」
パパ「あぁ、行こうか。」
そのまま二人はホテルに向かった。
ホテルに入るとまたキスを交わす。その後他愛のない話をした。
パパ「麻美はどんな感じだい? 子供は大きくなった?」
ママ「えぇ、可愛いから立派になったわよ~。雲英はどう?」
パパ「うーん、妻がもう一人欲しいって言ってたね。」
ベッドの上で男女が二人絡み合う。甘いキスから深いキス……。
そう、二人は不倫をしていた。
パパ「それじゃあ麻美さん、また電話して。」
ママ「えぇ分かったわ。」
パパ「愛してる」
ママ「私もよ。」
二人は既婚者で二人とも子供もいる。だからなのか馬があい、たびたびこうして隠れて会っていた。
――しかし
パパ「妊娠したぁ!」
ママ「えぇ……妊娠……3ヶ月。今なら下ろせるから……下ろすわ。」
パパ「……いや下ろすな。下ろすな!」
ママ「何を……言ってるの?」
二人を包み込む不穏な空気。
男は狂ったような笑みで女は動揺したような表情。
お腹の中にはヒナがいた。
-!-2
ママ「雲英あなた……言ってることの意味分かってるの?」
パパ「あぁ……分かってるさ! 僕はコレを待っていたんだ、君を麻美を奪う為に!」
ママ「っ……馬鹿じゃないの! あなたにも私にも家族があるじゃない! それを……失えっていうの?」
パパ「僕は君を手に入れる為なら手段を選ばないよ……君の家族に手を出すことも。」
ママ「なっ! …………私には愛する家族がっ……」
パパ「僕は君だけが欲しいんだ。あぁ…分からないから戸惑っているのか……ちょっと待ってて。」
そう男は言うと携帯を持ち出し電話を掛けた。
ママ「……まさか……。」
――プルルプルル…
パパ「あぁ……君に話がある。僕と別れてくれ。は? 何でかって? うーん君より愛する人が出来たからだ。それじゃあ明日離婚届け持って行くよ。」
――ピッ
ママ「あなた……今……。」
パパ「あぁ別れたよ、だから君も。」
ママ「嫌よ! 私はあなたより夫の方がっ……きゃぁっ!」
男は女のカバンを奪い女の携帯を取り出す。そして……。
パパ「麻美さんの夫かい? 僕? 僕は麻美さんの不倫相手だ。だから君別れてくれない? 麻美と。」
ママ「やめて……やめてぇ!」
パパ「ありがとう、それじゃあ明日離婚届け持って行ってあげるよ。それじゃあね。」
――ピッ
ママ「ヒックヒック……どうして……どうしてよぉ……ヒック……うわぁぁあああ!」
女は絶望と悲しみに包まれ絶叫した。
-!-3
一年半後
ママがお姉ちゃんとお兄ちゃんを呼び出し大事な話をする。
ママ「お姉ちゃん、お兄ちゃん!」
姉「何? ママー。」
兄「どうしたんだい?」
ママ「ママね、新しいパパと妹が出来たの。」
姉「え、本当! やったぁ! パパと妹だー!」
兄「……!」
妹が出来て喜ぶ姉と突然過ぎて動揺が隠せない兄。そんな時、パパが赤ん坊を抱いて入ってきた。
パパ「はじめましてー新しいパパだよ。よろしくなー。んでこの赤ん坊がヒナだ。」
すやすや眠るヒナにママは顔が曇る。ヒナは自分の子、だが相手は愛する夫ではなく不倫相手の子。可愛らしい寝顔や笑顔をみるたびに、アイツは私の幸せを奪った憎い奴と見えてしまう。
姉「わぁ……ぷにぷにしてるー。」
兄「可愛い……。」
姉「兄ちゃんデレたー。」
兄「うるさい!」
パパ「まあまあ喧嘩するなって、とりあえず皆よろしくな!」
姉「よろしくー」
兄「よろしくお願いします。」
この日からママとパパの生活が始まり、そしてママが壊れていった。
ヒナの寝室
ヒナ「……僕はパパとママの子、でも不倫の子。」
パパ「違うっ、パパとママの子だ!」
ヒナ「……あの家族。」
パパ「? あの家族?」
ヒナ「パパ、隠さないで全部教えて! お願いだから!」
パパ「……分かったよ。ヒナのあの記憶も説明する……。」
-last answer-
5年前
パパ「ヒナー今からパパの友達に会いに行くよ。」
ヒナ「ともだち?」
パパ「あぁ友達。ヒナと一緒に夜ご飯を食べたいんだって、楽しみだね。」
ヒナ「うん!」
パパの言う友達は元奥さん。その人が腹違いのヒナに会いたいと言いその人の家へ向かっていた。
女「あっいらっしゃい! ヒナちゃんはじめまして、パパの友達の雪と言います。よろしくね」
パパ「ヒナ、挨拶しなさい。」
ヒナ「はじめまして、ヒナです。雪お姉さんよろしくお願いします……。」
雪「うん、よろしくね。……ほら雫も挨拶しなさい。」
雫「雫です、よろしく。」
雪「無愛想な子でごめんね、さて皆入って! 雪特製のシチューが出来てるよ!」
家に入ると美味しそうなシチューの匂いが漂い皆のお腹の虫がなる。
ヒナ「いいにおい!」
雫「シチューだぁ! お母さん早くっ!」
雪「ふふっ分かったわ、ちょっと待ってね。」
パパ「シチューか…旨そうだな! ところで雪、話がある。」
雪「……分かったわ。」
沢山シチューを食べヒナは雫と遊んでいた中、パパと雪お姉さんは話し込んでいた。
雪「ねぇ…よりを戻さない?」
パパ「またその話か。よりは戻さない、俺には最愛なる妻がいる。だから無理だ。」
雪「っ……ならっならヒナを養子として引き取らせてよ!」
パパ「ダメだ、ヒナは……俺とママを結び付ける紐だ。」
雪「……なんで? あんた……なんでそんなに変わっちゃったの?」
パパ「変わった? 変わったのはお前だ。ネチネチと昔のことをまだ言い続けて……帰る。」
雪「えっ……今日は泊まるって……。」
パパ「気が変わった。ヒナー帰るぞー。」
ヒナ「もう帰るの?」
パパ「あぁ。雪、もう来ない。昔のことは捨てろ。それじゃあな。」
と言い捨て帰っていった。
-全ての真実-
ヒナ「そんな……全てパパが悪いんじゃ。」
パパ「ヒナまでそんなことを……パパは悪くない! ママの手に入れる為には仕方が無かったんだ!」
パシン
乾いた音が鳴り響く。
ヒナ「意味分かんないっ……馬鹿!」
部屋を飛び出し廊下に出るとお姉ちゃんがいた。
ヒナ「お姉ちゃん……。」
姉「ヒナ……。」
ヒナ「僕ってお姉ちゃん達と違うんだね……。」
姉「……知ってた。ママから聞いた。あんたは私達の疫病神だ! あんたのせいでママが辛い目に合ったんだ!」
ヒナ「っ…………もう嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁあああ!」
大声で泣き出すヒナ。心配してパパが出てきたがその隙に部屋に入り込んだ。
パパ「ヒナっヒナ!」
ヒナ「……もういやだよぉ……疲れたよ……。」
次の日
パパ「ヒナーご飯だぞー?」
ヒナ「部屋の前に置いといて」
パパ「分かった。」
パパ「ヒナー風呂はー?」
ヒナ「皆が寝たら入る」パパ「分かった。」
あの日を境にヒナは部屋から閉じこもっていた。学校にも行かず誰にも会わないようにしていた。
1ヶ月後
姉「ママーお腹すいた。」
ママ「ふふっ分かったわ。」
パパ「お兄ちゃん、ご飯だよ!」
兄「分かった。」
ヒナのいない事がいつの間にか日常になった。
幸せそうな笑い声が室内を包む。
兄「ヒナは部屋から出て来ないのか?」
姉「んなの別に良いでしょ。」
ママ「さぁーカレーよー。」
パパ「美味しそうだな。」
ママ「ママの自信作よっ! あらヒナ……。」
ママの言葉に皆がヒナへ視線をむける。
ヒナ「……出掛けてくる。夕食はいらない」
赤と黒のワンピースを着て外に出る。
少女は絶望の表情を浮かべていた。
-家出-
暗くなってきた夜道を歩く。人通りは少なく光も少ない。
ヒナ「暗いなぁ……。」
そう呟きながら裏道へ入る。裏道は暗くどんよりとした世界だった。
ヒナ「僕のせいで……皆を……ママを不幸にしたんだ。」
汚れたシャッターにもたれぶつぶつと呟く。ここは高い建物が少ない、高くて3階建て。だから……ヒナはカッターナイフを持っていた。
ヒナ「ふふ……また綺麗なのがでるっ。」
ヒナの腕は1ヶ月間カッターナイフで切った生々しい傷が沢山あった。
――カタカタ
カッターナイフの刃を出す。そして……
――ブスッ
ヒナの腕にまた傷が一つ増えた。
赤い赤い血がツゥーと溢れ出す。痛みと赤い血と傷は、ヒナにとって一瞬の安らぎであった。
ヒナ「……はぁ、これからどうしようかぁ。お金無いし……うーん。」
?「……君……。」
ヒナ「うん?」
どこかで呼ばれた気がする。警察かと思い逃げ出そうとしたが、それは無理だった。
?「ヒナァ!」
ヒナ「うわぁ!」
ギュッと腕を捕まえ笑顔で笑いかけた。
ヒナ「誰ですか!?」
?「ヒナ……大きくなったんだね。」
話が噛み合わない。しかし僕のことを知っているらしい。
ヒナ「……。」
?「ごめんなさい、私ったら。私は……雪。雪っていうのよ。」
ヒナ「雪さん……ですか。」
雪「そうよっ雪! あっ夜ご飯食べて行ってよ! ていうか家来て! よしっ行こう!」
ヒナ「わっちょっ……待ってぇぇぇぇ!」
ズルズルと引きずられてボロボロのマンションについた。
しかし僕はそんなことより雪さんのことが少し気になっていた。
-十八番の料理-
雪「さぁさぁ、入って入って~!」
ヒナ「お邪魔しまーす。」
ボロボロの扉を開けて中に入ると1人の子供が寝転がっていた。……いや死んでいた。
雪「……私の子供だったんだけど、今日……栄養失調で死んじゃったの。」
ヒナ「……。」
雪「今日……最後の晩餐会だよって言ったのに、昨日が最後の晩餐会だった……おかしいわね雫。」
自分の子供の髪をさらりと撫でて悲しく笑う。
ヒナ「……雫……雪……。」
雪「……ヒナ……今から私の十八番料理を食べさせてあげるわね!」
そう言うと綺麗に磨かれたお皿を2枚出した。
ヒナ「あれ? この匂い……。」
雪「ふふっそうよっ、シチューよ!」
お皿にご飯を盛り付けシチューをかける。
ヒナ「美味しそう……。」
ぐぅーとお腹の虫がなる。
雪「ふふっ沢山食べてね!」
ヒナ「ありがとうございます!」
久々にシチューを食べた。久々に人と一緒に食べた。とても温かいとても美味しいシチューを食べた。
ヒナ「ごちそうさまでした!」
雪「ごちそうさま。ふふっおいしかった?」
ヒナ「はいっ!」
シチューをペロリと食べゴロンと横になる。
雪「ふふっ……ヒナ、ヒナは死のうとしたの?」
ヒナ「! うん……。」
雪「……ヒナ、よく聞きなさい。」
ヒナ「は…い…。」
雪さんの真剣な表情にびくりとしながら話を待った。
-生きる希望-
雪「死んではダメよ。」
ヒナ「、、、、え?」
雪「死んではだめ。貴方は私達と違って幸せで素敵な家庭の中で暮らしているのよ。それに、彼の1番の宝物みたいだし、、、ね。」
ヒナ「宝物、、?でもヒナ、雪お姉さんを傷付けた、、、。」
雪「えぇ、、傷付いてこんな事になって、私の我が子は死んでしまったわ。初めは憎くて憎くて仕方なかった。でも気付いたのよ、貴方は彼の幸せの宝物って。だから死にたくても生き続けて欲しいの、、。」
ヒナ「でもっ、、もうヒナ皆から愛されてないしもうボロボロで、、、。」
雪「ねぇ、、、ヒナ。」
名前を呼ばれた瞬間ピリッとした空気が周り覆う。なんだろうこの空気凄く嫌だ。
不安を覚え顔をちらっと上げるとそこには雪お姉さんでは無い女性がいた。
いや、この女性は雪お姉さん。でも何かが違う。
雫ちゃんと抱え貼り付けたかのような笑みを浮かべ、私にこう言った。
雪「どうして、、、、雫は死んじゃったのかな。」
ヒナ「え、栄養失調って、、、」
雪「雫ね、最後にこう言ってたの。"前の生活に戻りたいって。お父さんのいたあの生活に戻りたいよー"って。ねぇ、、、ヒナなんでなんだろう。」
ヒナ「あ、、、え、っと、、、。」
雪「貴方はなんで生きてて雫は死んで、、、アレ、、、?おかしいな、、、、あらららら?」
ヒナ「雪お姉さん、し、失礼します!ご飯美味しかっ、、、た、、で、、、、。」
急いで逃げようとした時雪お姉さんは涙を流して眠っていた。
ううん、、、雫ちゃんを抱えて死んでいた。
安らかな、、、まるで雫ちゃんとねているかのように。愛する人を待つかのような感じだった。
ヒナ「ゆ、、き、、、、おねぇ、、さ、、ん。」
雪「、、、、。」
何も答えない。たださっきみたいな貼り付けたかのような笑みではなく、自然に微笑みを浮かべる雪お姉さん。
これが、、、死ってことなんだ、、、ね、。
ヒナ「、、、私のせいで、、、ヒック、、わた、、しの、、せいだ、、、。」
その日は1時間程そこに座って泣いていた。私のせいで失った家族の最期はとても綺麗で悲しいものだった。
-僕の罪-
真っ赤な鼻と目を擦り家路につく。いつもは重い足取りだけど、今は違う。僕の罪はとても重く償わなければいけないものだとやっと理解した。
ヒナ「僕の罪はこの身体をもって償わなければ、、、ってなんだか厨二病みたいっ。」
変わりなんて沢山いるこの世界。僕が消えた所でなにも悲しむことなんて無い。僕の変わりはテディがいる、、、でも、あの家族の所にいたらテディが可哀想だよね。
ルンルンとスキップしながら歩いて行き家に着く。
インターホンを鳴らし開けてもらう。
パパ「どこに行ってたんだ!!!!心配したんだぞ!!!」
ヒナ「ごめんねパパ。でも、もうパパ、ヒナ疲れたの。この1年?かな体験して考えて苦しんで。気付いちゃったの、代わりは沢山いるってこと。」
転校した友達は私の代わりにいじめを受けていて。
パパは雪お姉さんの代わりにママを見つけてきた。
ママ達はパパへの復讐の代わりに僕を虐待した。
ほらね、代わりは沢山いる。もっと考えたら代わりは沢山見つけれるかな?
ヒナ「あ、そうだテディを持っていこうとしてたんだ。パパどいて。」
パパ「ヒナ、、、?」
パパの声を無視して2階に上がる。ママ達はいつもの通り僕を無視してテレビに夢中だった。
ヒナ「テディ。久しぶり、、?かな?違うかな。もうね僕疲れたの。だからさ、一緒にこの家飛び出そう?それでね、、、幸せな夢を見よ?」
何も答えないテディ。うん、いつも通りのこと。
さて、行かないと。この家にはもう僕は邪魔だし疫病神だし、何よりいい事ないからね。
テディの手を取って新しいカッターをポッケに入れてフードを被って家を出る。パパが僕を呼んだ気がしたけど、もう振り向かない。
バイバイ、幸せだったお家
-最期の夜-
何も無い寂れたシャッター通りをテディと歩く。
お化けが出そうでちょっと怖いけどテディが一緒だから平気だよ!
ちょこちょこボロボロの大人が座っているのがいるけど、僕と一緒で代わりにされ続けた人達なのかなーとか馬鹿らしいことを考えてた。
何時間か歩いて周りに誰もいない所で座る。
カシャッというシャッターの音がとても響いてちょっとびっくりした。
ヒナ「テディ、今日ねとっても嬉しくって悲しかったの。雪お姉さんと雫ちゃんとね久々に出会えてとっても嬉しかった!でも、2人は死んじゃったの。」
目を閉じればあの光景が嫌でも思い浮かぶ。幸せそうに眠る2人になんだかイライラしてくる。
ヒナ「僕ね、みんなが大好きだった。大好きでだーいすきで、馬鹿みたいに信じてた。いじめもただのイタズラでいつか終わる。虐待だっけ。それも明日になったらママやお姉ちゃん、お兄ちゃんがケロッと忘れて、、、ううん。いつも通りヒナー!って感じで話しかけてくれて、それでね!パパが大きくなったなー!ってわしゃわしゃ頭を撫でてくれて、、、それで幸せなところで、暖かい家族。なんか、、文章おかしいけど、そんな感じになるって信じてたの。」
カチカチとカッターを鳴らし刃を出す。
ヒナ「でもね、僕は馬鹿正直過ぎたんだね。そんな未来来るわけなくて、現実はこれだったんだよ。」
テディの手をぎゅっと握りポロポロと涙を流す。
いつの間にか周りが明るくなり始めていて太陽がちょっとだけ頭を出していた。
ヒナ「わぁ!綺麗、、、!テディ見て!すごいきれいだよ、、、。最後のお空がとっても綺麗だなんて、僕はなんて幸せ、も、、の、、なん、、、だろ、、う、、、ね?」
涙で目の前はあまり見えてないけど、私はしっかりとカッターを持ちそして
深く深く腕に傷をつけた。
沢山沢山僕の中の罪を流すために沢山沢山傷をつけた。
最後の傷をつける頃は周りが血だらけでちょっと怖かったなぁ。
ヒナ「ね、、え、、、テ、、ディ。僕、、ね、、。楽し、、、かった、、、よ。たった14年だけど、、、とっ、て、、も、、たのし、、、かっ、、たの。」
朦朧とする意識の中最後の傷を付ける。
あ、、、そういや僕今日で15歳か。
パパ「ヒナ、、、。」
ママ「何ソワソワしてるのよ。あの子は帰ってくるわよ。」
姉「何気にちゃーんと帰ってきてたもんね。」
兄「、、、、、遅すぎたかもな。」
パパ「お兄ちゃん何言って、、、?」
姉「、、、、、私ら警察行きかー。」
ママ「ちょっとあんた達何言ってるのよ!!ヒナは帰ってくるわ!!」
僕はこの日15歳で目を閉じた。
-エンドロール-
『数日前、○○市で女の子の死体を発見しました。腕に無数の深い傷があり、警察は他殺と見て操作しています。』
僕が死んで、3日経った。
やっぱり何も変わってなくて、罪を償うことは失敗したのかな?とか思ったけどこれでいいんだよね。
もう僕は死んじゃったからもう何も思わないけど、最後にランちゃんに会いたかったなぁ、、、。もう叶わない夢だけど、、、、楽しかったな。
ママ達は幸せかな。代わりはいなくなっちゃったけど、疫病神は消えたから絶対幸せだよね。
ねぇ、ママ。僕を産んでくれてありがとう。短い間だったけど、楽しかったよ。
お姉ちゃん、お兄ちゃん。あとパパ。
今までありがとう。
『新しい情報によると血で今までありがとうというメッセージが書かれており、自殺とみて操作を続けております。』
作者の部屋?
4年越し?かな。めっっっっっっちゃ久々に小説書いたから文章ぐっちゃぐちゃ。
あとヒナちゃんの一人称間違えたし、年齢15って間違えたよ!!!!!!
てか昔の私こんな重いのよう書いたな!!!あと完結させて消えろよ!!!とか思ってたりなんだったり。
まだ見てくださる方いたらテキトーにくそ話だの、ぐちゃぐちゃ過ぎて読めない消せだのテキトーに感想下さい。
ありがとうございました。
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