狐死神 2015-04-25 21:39:34 ID:afe26c679 |
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-せんせー、何故…-
ヒナ「きゃっ!」
ザーーと上から水をかけられ小さな悲鳴をあげた。
ヒナ「わぁっ!」
ばふっと濡れ雑巾と黒板消しが頭に落ちてきた。
ヒナ「きゃぁぁあああ!」
ドンッと誰かに階段から突き飛ばされ悲鳴をあげた。
ヒナ「いったた」
足に包帯をくるぶしから太ももの半分位まで両方とた片腕と頭にぐるぐると巻かれた。
ヒナ「せんせーに相談しよっかな」
僕のいじめにもう気付いていると思うけど、改めて今日せんせーに相談することにした。
放課後、教室
先生「どうしたのです?ヒナさん」
ヒナ「せんせー…助けて下さい。僕、いじめにあってて……苦しいんです!」
先生「……ほぉ。……ちっ、俺の負けか……ったく。」
ヒナ「へ?」
穏やかだったせんせーの表情が一瞬で怒りの表情に変わった。
先生「お前、馬鹿か?そんなもん知ってるし。ていうか今日突き飛ばしたの俺。良い悲鳴だったなぁ…なぁ?」
ヒナ「せん…せー?どう…したの?ねぇ?」
バシッ。乾いた音が高らかになる。
ヒナ「いったぁぁああ」
先生「いいねーその表情だよー可愛いねーハハハ。」
ヒナ「嘘…。せんせー…何故…こんな事をするの?」
先生「楽しいからに決まってるだろ。さーてヒナ、たぁ~っぷりいじめてやろうかー」
ヒナ「し…失礼します!」
怖くなって走って逃げ出した。後ろからせんせーが「逃げ出してま無駄だーハハハハ!」
と、言っていた
ヒナ「ハァハァ…僕だけ…何で……。……皆さんさようならせんせーお元気で……。」
息を整え学校を走って出た。
-1人-
~家~
ヒナ「ッハァハァ……。」
全力疾走して息が荒い。足もガクガクする。
ヒナ「……。」
家に帰れば家族からの暴力、暴言。僕の居場所は多分無い。
はぁと溜め息を吐き出し家に入ろうとした時、ぐぃっと服を引っ張られ
幼女「お姉ちゃん!どしたの?」
と小さな女の子に聞かれた。
ヒナ「わぁっ、ん? どうしたの? 迷子? お名前は?」
幼女「迷子違う! あたちナヤ! 4ちゃい!」
……。4歳で1人は絶対迷子でしょう。
ヒナ「そっか…ナヤちゃん宜しくね!」
ナヤ「うん!」
可愛らしくお下げで黄色の帽子に水色のワンピース。幼稚園の服だろうか?
ヒナ「ナヤちゃんは幼稚園からの帰り?」
ナヤ「ううん。ナヤ悪いことしちゃった、だからおしょとで反省。ちゅまらないから出ちゃった!」
つまり……、ナヤちゃんが悪いことをし怒られ反省するまで外、または庭に出され家に入れてもらえなかった。だがつまらなくて家を飛び出し道が分からなくなったってことか……。つまり、僕と同じだ。
ヒナ「そっか……、辛かったね。」
優しく撫でてあげると不思議そうに首を傾げるナヤちゃん。……可愛い。
__「ナヤちゃーん!どこなの!」
__「ナヤー居たら返事しろー!」
ナヤ「あっママーパパー」
だったっと走っていくナヤちゃん。
幸せそうにな表情、僕と違う……。
ナヤ「あっお姉ちゃん、バイバーイ!」
ヒナ「バイバーイ!」
母「ナヤのことありがとうございます!」
父「ありがとうございます!」
ヒナ「いえ大丈夫です。でも目をはなさいよう気を付けて下さいね!」
母「ありがとうございます!」
父「さぁ帰るか。」
ナヤ「うん!」
幸せそうな家族、僕はとてもうらやましかった。そして一気に現実に戻された。
-意外な日-
――ガチャ。
扉を開けて中に入る。
あぁまたあの苦しみに耐えなきゃいけないんだ。
ただ今日は少し違った。知らない人の靴が置いてあった。だけどどこかで見たことのある靴でもあった。
ヒナ「誰だろう……。」
客かなと思い自分の部屋に行こうと思ったその時、見慣れた人が居た。
パパ「ヒナ!」
ヒナ「パ……パ?」
仕事で遠くに居るはずのパパが居た。僕は夢をみているのだろうか?ぶわっと涙が溢れ出す。僕はパパに抱きついた。
パパ「ヒナ……久し振り。」
ヒナ「パパ…パパァ…久し振りっ」
嬉しくて嬉しくて久々に笑顔を作れた。ううん笑顔になった。
ところでパパ、何でここに居るんだろう?
パパ「さて、ヒナ涙を拭いてリビングに行こう。皆に話があるんだ。」
話?一体なんだろうか?
パパ「さてー皆さんが揃った所で大事な話をします!」
姉「待ってましたー。」
兄「大事な話……飛ばされたのかい? 父さん。」
ママ「お兄ちゃん、縁起でもないことを言うんじゃありません!」
ヒナ「パパ、話って何?」
パパ「話と言うのは……。」
ごくり。つばを飲み込みパパの続きを待つ。
パパ「ここで働くことになったんだ……しかも副社長!」
え……えーーーーー!!
ママ「副社長!」
兄「ここで働くってことは……。」
姉「一緒に居られる。」
ヒナ「本当に……?」
パパ「今で迷惑かけてごめんな。今日から皆一緒だ!」
嬉しい。ただただ嬉しかった。またパパと一緒に居られる。
だけど僕は1ヶ月後……。
-幸せ-
小さい頃、僕はパパとよく遊んでいた。パパと一緒に笑ったり泣いたりママに怒られたり。
でも不思議なことに僕には幼い頃、パパ以外と遊んだ記憶はなかった。
その代わり違う子供と遊んでいた。
ママ……幼い頃の記憶だからあんまり思い出せない。でもママはあんなに落ち着いた人だっけ?
気のせいだろう……僕の。
それよりパパが帰ってきたのでパーティーだ!
パパ「うおっ豪華だな!」
姉「そりゃそうよ、何せママと私の料理ですもの!」
兄「ただ味見というつまみ食いだったけどな」
姉「うるっさいわ!」
ヒナ「わぁ……豪華。」
パパ「ヒナ……何で床に座ってるんだい?」
ヒナ「え? だって……」
姉「ちっ……、ヒナ床で食べるのかぁ? 早く座れパパに全部食われるぞー。」
兄「と言いつつ君が食べるのだろう。」
ママ「ふふっ。さぁ食べましょう!」
僕はお姉ちゃんに言われた通り椅子に座った。
見慣れた所から高い景色。僕は何故か突然違う景色を思い出した。
パパと違う人と子供。
どう……いう……こと?
僕はそのまま気を失った。
-決意-
ヒナ「ぅん……ここは……!」
パパ「大丈夫かぁ!」
ヒナ「ぇ……ぁ……きっ」
パパ「き?」
ヒナ「きゃぁぁあああ!」
僕ヒナは目覚めた後思いっ切り悲鳴を上げました。
パパ「ごめんな…」
ヒナ「……起きた瞬間に顔ドアップは怖いよ……。」
パパ「ははっ、気をつけるよ。所で大丈夫なのか?」
ヒナ「うん。大丈夫……だょ……。」
僕は多分気付いた。僕が嫌われている理由、あの記憶のことも……。
さてパパ僕は?を聞く、だからパパは!を答えて……。
-?-
ヒナ「ねぇ……パパ聞いて欲しいの。」
パパ「なんだい?」
ヒナ「僕は……
誰の子なの?」
パパ「っ。」
パパが目を大きく開き焦った表情をした。
ヒナ「……突然さ知らない人と子供を見たことがある。多分気のせいかも知れない……でも……でも……」
パパ「ヒナ。」
ヒナ「パパ? っ!」
突然泣きそうな表情で僕を抱きしめた。
パパ「ごめんな……ヒナ、本当にごめんな。」
ヒナ「パパ……。」
パパ「ヒナ、聞いてくれ。ママとパパのことを……。」
僕は、パパとママの出会いを聞いた。
ヒナ「う……そ……。」
パパ「ごめんな、ヒナ。」
-!-1
~ヒナが生まれる前~
とある裏道。
パパ「麻美さん!」
ママ「雲英君!」
二人は抱きつき甘いキスを交わす。
ママ「ふふっさぁ行きましょう?」
パパ「あぁ、行こうか。」
そのまま二人はホテルに向かった。
ホテルに入るとまたキスを交わす。その後他愛のない話をした。
パパ「麻美はどんな感じだい? 子供は大きくなった?」
ママ「えぇ、可愛いから立派になったわよ~。雲英はどう?」
パパ「うーん、妻がもう一人欲しいって言ってたね。」
ベッドの上で男女が二人絡み合う。甘いキスから深いキス……。
そう、二人は不倫をしていた。
パパ「それじゃあ麻美さん、また電話して。」
ママ「えぇ分かったわ。」
パパ「愛してる」
ママ「私もよ。」
二人は既婚者で二人とも子供もいる。だからなのか馬があい、たびたびこうして隠れて会っていた。
――しかし
パパ「妊娠したぁ!」
ママ「えぇ……妊娠……3ヶ月。今なら下ろせるから……下ろすわ。」
パパ「……いや下ろすな。下ろすな!」
ママ「何を……言ってるの?」
二人を包み込む不穏な空気。
男は狂ったような笑みで女は動揺したような表情。
お腹の中にはヒナがいた。
-!-2
ママ「雲英あなた……言ってることの意味分かってるの?」
パパ「あぁ……分かってるさ! 僕はコレを待っていたんだ、君を麻美を奪う為に!」
ママ「っ……馬鹿じゃないの! あなたにも私にも家族があるじゃない! それを……失えっていうの?」
パパ「僕は君を手に入れる為なら手段を選ばないよ……君の家族に手を出すことも。」
ママ「なっ! …………私には愛する家族がっ……」
パパ「僕は君だけが欲しいんだ。あぁ…分からないから戸惑っているのか……ちょっと待ってて。」
そう男は言うと携帯を持ち出し電話を掛けた。
ママ「……まさか……。」
――プルルプルル…
パパ「あぁ……君に話がある。僕と別れてくれ。は? 何でかって? うーん君より愛する人が出来たからだ。それじゃあ明日離婚届け持って行くよ。」
――ピッ
ママ「あなた……今……。」
パパ「あぁ別れたよ、だから君も。」
ママ「嫌よ! 私はあなたより夫の方がっ……きゃぁっ!」
男は女のカバンを奪い女の携帯を取り出す。そして……。
パパ「麻美さんの夫かい? 僕? 僕は麻美さんの不倫相手だ。だから君別れてくれない? 麻美と。」
ママ「やめて……やめてぇ!」
パパ「ありがとう、それじゃあ明日離婚届け持って行ってあげるよ。それじゃあね。」
――ピッ
ママ「ヒックヒック……どうして……どうしてよぉ……ヒック……うわぁぁあああ!」
女は絶望と悲しみに包まれ絶叫した。
-!-3
一年半後
ママがお姉ちゃんとお兄ちゃんを呼び出し大事な話をする。
ママ「お姉ちゃん、お兄ちゃん!」
姉「何? ママー。」
兄「どうしたんだい?」
ママ「ママね、新しいパパと妹が出来たの。」
姉「え、本当! やったぁ! パパと妹だー!」
兄「……!」
妹が出来て喜ぶ姉と突然過ぎて動揺が隠せない兄。そんな時、パパが赤ん坊を抱いて入ってきた。
パパ「はじめましてー新しいパパだよ。よろしくなー。んでこの赤ん坊がヒナだ。」
すやすや眠るヒナにママは顔が曇る。ヒナは自分の子、だが相手は愛する夫ではなく不倫相手の子。可愛らしい寝顔や笑顔をみるたびに、アイツは私の幸せを奪った憎い奴と見えてしまう。
姉「わぁ……ぷにぷにしてるー。」
兄「可愛い……。」
姉「兄ちゃんデレたー。」
兄「うるさい!」
パパ「まあまあ喧嘩するなって、とりあえず皆よろしくな!」
姉「よろしくー」
兄「よろしくお願いします。」
この日からママとパパの生活が始まり、そしてママが壊れていった。
ヒナの寝室
ヒナ「……僕はパパとママの子、でも不倫の子。」
パパ「違うっ、パパとママの子だ!」
ヒナ「……あの家族。」
パパ「? あの家族?」
ヒナ「パパ、隠さないで全部教えて! お願いだから!」
パパ「……分かったよ。ヒナのあの記憶も説明する……。」
-last answer-
5年前
パパ「ヒナー今からパパの友達に会いに行くよ。」
ヒナ「ともだち?」
パパ「あぁ友達。ヒナと一緒に夜ご飯を食べたいんだって、楽しみだね。」
ヒナ「うん!」
パパの言う友達は元奥さん。その人が腹違いのヒナに会いたいと言いその人の家へ向かっていた。
女「あっいらっしゃい! ヒナちゃんはじめまして、パパの友達の雪と言います。よろしくね」
パパ「ヒナ、挨拶しなさい。」
ヒナ「はじめまして、ヒナです。雪お姉さんよろしくお願いします……。」
雪「うん、よろしくね。……ほら雫も挨拶しなさい。」
雫「雫です、よろしく。」
雪「無愛想な子でごめんね、さて皆入って! 雪特製のシチューが出来てるよ!」
家に入ると美味しそうなシチューの匂いが漂い皆のお腹の虫がなる。
ヒナ「いいにおい!」
雫「シチューだぁ! お母さん早くっ!」
雪「ふふっ分かったわ、ちょっと待ってね。」
パパ「シチューか…旨そうだな! ところで雪、話がある。」
雪「……分かったわ。」
沢山シチューを食べヒナは雫と遊んでいた中、パパと雪お姉さんは話し込んでいた。
雪「ねぇ…よりを戻さない?」
パパ「またその話か。よりは戻さない、俺には最愛なる妻がいる。だから無理だ。」
雪「っ……ならっならヒナを養子として引き取らせてよ!」
パパ「ダメだ、ヒナは……俺とママを結び付ける紐だ。」
雪「……なんで? あんた……なんでそんなに変わっちゃったの?」
パパ「変わった? 変わったのはお前だ。ネチネチと昔のことをまだ言い続けて……帰る。」
雪「えっ……今日は泊まるって……。」
パパ「気が変わった。ヒナー帰るぞー。」
ヒナ「もう帰るの?」
パパ「あぁ。雪、もう来ない。昔のことは捨てろ。それじゃあな。」
と言い捨て帰っていった。
-全ての真実-
ヒナ「そんな……全てパパが悪いんじゃ。」
パパ「ヒナまでそんなことを……パパは悪くない! ママの手に入れる為には仕方が無かったんだ!」
パシン
乾いた音が鳴り響く。
ヒナ「意味分かんないっ……馬鹿!」
部屋を飛び出し廊下に出るとお姉ちゃんがいた。
ヒナ「お姉ちゃん……。」
姉「ヒナ……。」
ヒナ「僕ってお姉ちゃん達と違うんだね……。」
姉「……知ってた。ママから聞いた。あんたは私達の疫病神だ! あんたのせいでママが辛い目に合ったんだ!」
ヒナ「っ…………もう嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁあああ!」
大声で泣き出すヒナ。心配してパパが出てきたがその隙に部屋に入り込んだ。
パパ「ヒナっヒナ!」
ヒナ「……もういやだよぉ……疲れたよ……。」
次の日
パパ「ヒナーご飯だぞー?」
ヒナ「部屋の前に置いといて」
パパ「分かった。」
パパ「ヒナー風呂はー?」
ヒナ「皆が寝たら入る」パパ「分かった。」
あの日を境にヒナは部屋から閉じこもっていた。学校にも行かず誰にも会わないようにしていた。
1ヶ月後
姉「ママーお腹すいた。」
ママ「ふふっ分かったわ。」
パパ「お兄ちゃん、ご飯だよ!」
兄「分かった。」
ヒナのいない事がいつの間にか日常になった。
幸せそうな笑い声が室内を包む。
兄「ヒナは部屋から出て来ないのか?」
姉「んなの別に良いでしょ。」
ママ「さぁーカレーよー。」
パパ「美味しそうだな。」
ママ「ママの自信作よっ! あらヒナ……。」
ママの言葉に皆がヒナへ視線をむける。
ヒナ「……出掛けてくる。夕食はいらない」
赤と黒のワンピースを着て外に出る。
少女は絶望の表情を浮かべていた。
-家出-
暗くなってきた夜道を歩く。人通りは少なく光も少ない。
ヒナ「暗いなぁ……。」
そう呟きながら裏道へ入る。裏道は暗くどんよりとした世界だった。
ヒナ「僕のせいで……皆を……ママを不幸にしたんだ。」
汚れたシャッターにもたれぶつぶつと呟く。ここは高い建物が少ない、高くて3階建て。だから……ヒナはカッターナイフを持っていた。
ヒナ「ふふ……また綺麗なのがでるっ。」
ヒナの腕は1ヶ月間カッターナイフで切った生々しい傷が沢山あった。
――カタカタ
カッターナイフの刃を出す。そして……
――ブスッ
ヒナの腕にまた傷が一つ増えた。
赤い赤い血がツゥーと溢れ出す。痛みと赤い血と傷は、ヒナにとって一瞬の安らぎであった。
ヒナ「……はぁ、これからどうしようかぁ。お金無いし……うーん。」
?「……君……。」
ヒナ「うん?」
どこかで呼ばれた気がする。警察かと思い逃げ出そうとしたが、それは無理だった。
?「ヒナァ!」
ヒナ「うわぁ!」
ギュッと腕を捕まえ笑顔で笑いかけた。
ヒナ「誰ですか!?」
?「ヒナ……大きくなったんだね。」
話が噛み合わない。しかし僕のことを知っているらしい。
ヒナ「……。」
?「ごめんなさい、私ったら。私は……雪。雪っていうのよ。」
ヒナ「雪さん……ですか。」
雪「そうよっ雪! あっ夜ご飯食べて行ってよ! ていうか家来て! よしっ行こう!」
ヒナ「わっちょっ……待ってぇぇぇぇ!」
ズルズルと引きずられてボロボロのマンションについた。
しかし僕はそんなことより雪さんのことが少し気になっていた。
-十八番の料理-
雪「さぁさぁ、入って入って~!」
ヒナ「お邪魔しまーす。」
ボロボロの扉を開けて中に入ると1人の子供が寝転がっていた。……いや死んでいた。
雪「……私の子供だったんだけど、今日……栄養失調で死んじゃったの。」
ヒナ「……。」
雪「今日……最後の晩餐会だよって言ったのに、昨日が最後の晩餐会だった……おかしいわね雫。」
自分の子供の髪をさらりと撫でて悲しく笑う。
ヒナ「……雫……雪……。」
雪「……ヒナ……今から私の十八番料理を食べさせてあげるわね!」
そう言うと綺麗に磨かれたお皿を2枚出した。
ヒナ「あれ? この匂い……。」
雪「ふふっそうよっ、シチューよ!」
お皿にご飯を盛り付けシチューをかける。
ヒナ「美味しそう……。」
ぐぅーとお腹の虫がなる。
雪「ふふっ沢山食べてね!」
ヒナ「ありがとうございます!」
久々にシチューを食べた。久々に人と一緒に食べた。とても温かいとても美味しいシチューを食べた。
ヒナ「ごちそうさまでした!」
雪「ごちそうさま。ふふっおいしかった?」
ヒナ「はいっ!」
シチューをペロリと食べゴロンと横になる。
雪「ふふっ……ヒナ、ヒナは死のうとしたの?」
ヒナ「! うん……。」
雪「……ヒナ、よく聞きなさい。」
ヒナ「は…い…。」
雪さんの真剣な表情にびくりとしながら話を待った。
-生きる希望-
雪「死んではダメよ。」
ヒナ「、、、、え?」
雪「死んではだめ。貴方は私達と違って幸せで素敵な家庭の中で暮らしているのよ。それに、彼の1番の宝物みたいだし、、、ね。」
ヒナ「宝物、、?でもヒナ、雪お姉さんを傷付けた、、、。」
雪「えぇ、、傷付いてこんな事になって、私の我が子は死んでしまったわ。初めは憎くて憎くて仕方なかった。でも気付いたのよ、貴方は彼の幸せの宝物って。だから死にたくても生き続けて欲しいの、、。」
ヒナ「でもっ、、もうヒナ皆から愛されてないしもうボロボロで、、、。」
雪「ねぇ、、、ヒナ。」
名前を呼ばれた瞬間ピリッとした空気が周り覆う。なんだろうこの空気凄く嫌だ。
不安を覚え顔をちらっと上げるとそこには雪お姉さんでは無い女性がいた。
いや、この女性は雪お姉さん。でも何かが違う。
雫ちゃんと抱え貼り付けたかのような笑みを浮かべ、私にこう言った。
雪「どうして、、、、雫は死んじゃったのかな。」
ヒナ「え、栄養失調って、、、」
雪「雫ね、最後にこう言ってたの。"前の生活に戻りたいって。お父さんのいたあの生活に戻りたいよー"って。ねぇ、、、ヒナなんでなんだろう。」
ヒナ「あ、、、え、っと、、、。」
雪「貴方はなんで生きてて雫は死んで、、、アレ、、、?おかしいな、、、、あらららら?」
ヒナ「雪お姉さん、し、失礼します!ご飯美味しかっ、、、た、、で、、、、。」
急いで逃げようとした時雪お姉さんは涙を流して眠っていた。
ううん、、、雫ちゃんを抱えて死んでいた。
安らかな、、、まるで雫ちゃんとねているかのように。愛する人を待つかのような感じだった。
ヒナ「ゆ、、き、、、、おねぇ、、さ、、ん。」
雪「、、、、。」
何も答えない。たださっきみたいな貼り付けたかのような笑みではなく、自然に微笑みを浮かべる雪お姉さん。
これが、、、死ってことなんだ、、、ね、。
ヒナ「、、、私のせいで、、、ヒック、、わた、、しの、、せいだ、、、。」
その日は1時間程そこに座って泣いていた。私のせいで失った家族の最期はとても綺麗で悲しいものだった。
-僕の罪-
真っ赤な鼻と目を擦り家路につく。いつもは重い足取りだけど、今は違う。僕の罪はとても重く償わなければいけないものだとやっと理解した。
ヒナ「僕の罪はこの身体をもって償わなければ、、、ってなんだか厨二病みたいっ。」
変わりなんて沢山いるこの世界。僕が消えた所でなにも悲しむことなんて無い。僕の変わりはテディがいる、、、でも、あの家族の所にいたらテディが可哀想だよね。
ルンルンとスキップしながら歩いて行き家に着く。
インターホンを鳴らし開けてもらう。
パパ「どこに行ってたんだ!!!!心配したんだぞ!!!」
ヒナ「ごめんねパパ。でも、もうパパ、ヒナ疲れたの。この1年?かな体験して考えて苦しんで。気付いちゃったの、代わりは沢山いるってこと。」
転校した友達は私の代わりにいじめを受けていて。
パパは雪お姉さんの代わりにママを見つけてきた。
ママ達はパパへの復讐の代わりに僕を虐待した。
ほらね、代わりは沢山いる。もっと考えたら代わりは沢山見つけれるかな?
ヒナ「あ、そうだテディを持っていこうとしてたんだ。パパどいて。」
パパ「ヒナ、、、?」
パパの声を無視して2階に上がる。ママ達はいつもの通り僕を無視してテレビに夢中だった。
ヒナ「テディ。久しぶり、、?かな?違うかな。もうね僕疲れたの。だからさ、一緒にこの家飛び出そう?それでね、、、幸せな夢を見よ?」
何も答えないテディ。うん、いつも通りのこと。
さて、行かないと。この家にはもう僕は邪魔だし疫病神だし、何よりいい事ないからね。
テディの手を取って新しいカッターをポッケに入れてフードを被って家を出る。パパが僕を呼んだ気がしたけど、もう振り向かない。
バイバイ、幸せだったお家
-最期の夜-
何も無い寂れたシャッター通りをテディと歩く。
お化けが出そうでちょっと怖いけどテディが一緒だから平気だよ!
ちょこちょこボロボロの大人が座っているのがいるけど、僕と一緒で代わりにされ続けた人達なのかなーとか馬鹿らしいことを考えてた。
何時間か歩いて周りに誰もいない所で座る。
カシャッというシャッターの音がとても響いてちょっとびっくりした。
ヒナ「テディ、今日ねとっても嬉しくって悲しかったの。雪お姉さんと雫ちゃんとね久々に出会えてとっても嬉しかった!でも、2人は死んじゃったの。」
目を閉じればあの光景が嫌でも思い浮かぶ。幸せそうに眠る2人になんだかイライラしてくる。
ヒナ「僕ね、みんなが大好きだった。大好きでだーいすきで、馬鹿みたいに信じてた。いじめもただのイタズラでいつか終わる。虐待だっけ。それも明日になったらママやお姉ちゃん、お兄ちゃんがケロッと忘れて、、、ううん。いつも通りヒナー!って感じで話しかけてくれて、それでね!パパが大きくなったなー!ってわしゃわしゃ頭を撫でてくれて、、、それで幸せなところで、暖かい家族。なんか、、文章おかしいけど、そんな感じになるって信じてたの。」
カチカチとカッターを鳴らし刃を出す。
ヒナ「でもね、僕は馬鹿正直過ぎたんだね。そんな未来来るわけなくて、現実はこれだったんだよ。」
テディの手をぎゅっと握りポロポロと涙を流す。
いつの間にか周りが明るくなり始めていて太陽がちょっとだけ頭を出していた。
ヒナ「わぁ!綺麗、、、!テディ見て!すごいきれいだよ、、、。最後のお空がとっても綺麗だなんて、僕はなんて幸せ、も、、の、、なん、、、だろ、、う、、、ね?」
涙で目の前はあまり見えてないけど、私はしっかりとカッターを持ちそして
深く深く腕に傷をつけた。
沢山沢山僕の中の罪を流すために沢山沢山傷をつけた。
最後の傷をつける頃は周りが血だらけでちょっと怖かったなぁ。
ヒナ「ね、、え、、、テ、、ディ。僕、、ね、、。楽し、、、かった、、、よ。たった14年だけど、、、とっ、て、、も、、たのし、、、かっ、、たの。」
朦朧とする意識の中最後の傷を付ける。
あ、、、そういや僕今日で15歳か。
パパ「ヒナ、、、。」
ママ「何ソワソワしてるのよ。あの子は帰ってくるわよ。」
姉「何気にちゃーんと帰ってきてたもんね。」
兄「、、、、、遅すぎたかもな。」
パパ「お兄ちゃん何言って、、、?」
姉「、、、、、私ら警察行きかー。」
ママ「ちょっとあんた達何言ってるのよ!!ヒナは帰ってくるわ!!」
僕はこの日15歳で目を閉じた。
-エンドロール-
『数日前、○○市で女の子の死体を発見しました。腕に無数の深い傷があり、警察は他殺と見て操作しています。』
僕が死んで、3日経った。
やっぱり何も変わってなくて、罪を償うことは失敗したのかな?とか思ったけどこれでいいんだよね。
もう僕は死んじゃったからもう何も思わないけど、最後にランちゃんに会いたかったなぁ、、、。もう叶わない夢だけど、、、、楽しかったな。
ママ達は幸せかな。代わりはいなくなっちゃったけど、疫病神は消えたから絶対幸せだよね。
ねぇ、ママ。僕を産んでくれてありがとう。短い間だったけど、楽しかったよ。
お姉ちゃん、お兄ちゃん。あとパパ。
今までありがとう。
『新しい情報によると血で今までありがとうというメッセージが書かれており、自殺とみて操作を続けております。』
作者の部屋?
4年越し?かな。めっっっっっっちゃ久々に小説書いたから文章ぐっちゃぐちゃ。
あとヒナちゃんの一人称間違えたし、年齢15って間違えたよ!!!!!!
てか昔の私こんな重いのよう書いたな!!!あと完結させて消えろよ!!!とか思ってたりなんだったり。
まだ見てくださる方いたらテキトーにくそ話だの、ぐちゃぐちゃ過ぎて読めない消せだのテキトーに感想下さい。
ありがとうございました。
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