画家の卵。 2015-04-16 23:43:46 |
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…あ、はい。
(何とも有り難い夕飯に対する呟きは全く耳に届いておらず、夕飯自体よりも相手が先程“デート”と口にしていた事に自然と頬が緩んでしまっており。一方では相手をいつまでもキッチンに立たせているのは悪いと言う思いから若干焦りがあったものの、一言声を掛けられれば単純にも今までの倍程の時間を掛けて漸く完食し。食器を手にキッチンに向かうと相手を見据え「ご馳走様でした。今日も美味しかったです」律儀にも毎回の如く感想を添えてシンクに食器を置き)
ん、お粗末さま。どうする、この後もう出掛けちまうか?
(相手が持ってきた皿を取り挨拶を返しながら泡を纏わせ洗っていくと、作業を進めながら相手にひとつ問いかけて。デートと言ったからには相手は夕食以外にも何か出歩きたいのだろうと予測しての問いかけだったものの、ここで何だか自分の発言だとまるで此方がデートに浮かれているように聞こえてしまわないか急に心配になって。「…ほら、一応ご褒美のデートってことにしてるし…その、見たいとことかあるなら付き合うって意味で、さ…。」何とも言い訳がましい言葉で誤魔化そうとするものの、言葉を重ねるほど余計に浮かれているように強調されてしまっているような気がしてそれ以上は口を閉ざし。実際問題相手との外出に少なからず浮かれているというか、楽しみにしている部分があるのは確かだがそれを悟らせるとまた相手のペースに乗せられてしまうような気がして面白くなく、皿を洗い終わり濡れた手を拭いてから相手の方に向き直るとどうするとばかりに首を緩く傾げながらそちらを見つめて。)
…良いですよ。もう出ましょうか。
(相手が己の意図を汲み取ってくれたのかは定かでないが、此方が言わんとしていた提案を先に出してもらえた事で何と無く自意識過剰になってしまいそうで。何も言わずとも何やら言い訳のような言葉を述べ始める相手を見詰めていればゆるゆると頬が緩んでしまい、いっそ微笑ましげにその様子を見詰め。相手が口を閉ざしたタイミングで小さく頷きながら言葉を返すと、此方を向いた相手の手を取り訳も無く指を絡めつつ「俺の服選んでください」普段かなり適当な服で出歩く為にこんな時どう言った服装が適しているのか見当も付かず、それならば相手に選んでもらおうと手を引きながらクローゼットへ向かい)
おっ前…服位いい加減に選べるようになれっての。
(目の前で緩んでいく相手の顔を見ていると何を思われているか聊か不安になるものの悪い気はせず、するりとごく自然な流れで指に絡まった相手の手に少しだけ動揺するがいつもの接触に比べれば軽いものだと思うと抵抗することもなくそのまま手を引かれていき。クローゼットの前まで連れられたのち絡んでいた相手の指から抜け出すと大学生という歳に見合わないほど生活力が欠如してしまった彼に小言紛いの言葉を浴びせながらも仕方なしに服を選んでやると相手の可愛い顔立ちに似合いつつ、かつあまりに少女じみた雰囲気が強すぎないようカジュアルポップ調の服をいくつかチョイスし。それを相手の胸に押し付けてやりながら自分も外に出られる服に着替えるためあての部屋から一度出ると、扉の陰から一言忠告を口にしてから自分の部屋へと戻っていき。)
――いつまでも一緒に居てあれこれやってやれるわけじゃねぇんだから、少しは一人で出来る様になれよ。…じゃ、俺も着替えてくるから。
はーい。
(自室へ辿り着けば小言を呟きながらも服を選んでくれている相手の姿を見惚れたようにぼんやりと眺め、気の無い返事をしている辺りこれからも服装には然して気に掛けるつもりは無さそうで。程無くして胸元に押し付けられた服を受け取り「ありがとうございます」と頬を緩めて礼を述べると、早速着替えてしまおうとそれらをベッドへ放り。然し相手が立ち去る間際残した忠告に虚を突かれたように硬直すれば何を答えるでも無く背後に相手の気配が遠ざかるのを感じ、暫くすると酷く落胆した様子でベッドに腰を下ろし。こんな生活がいつまでも続けば良いとは思うのだが、現実を直視している相手を見ていると何だか己だけ一人取り残されるような言い様の無い孤独感に襲われ思わず唇を噛み。緩慢な所作で着替え始めるも先程の相手の言葉が中々頭から離れてくれず、何処か浮かない面持ちで着替えを終えれば暗い思考を振り払うように軽く頭を振り部屋を出て)
――お、随分時間掛かってたな。
(男同士とはいえ相手からは一応デートと言われて出かけるにあたり一応普段より気合の入れたものを身に着けた方がいいか少しだけ迷ったものの、結局気合の入れ過ぎと思われるのも癪なため普段とさして変わらないようなカジュアルな格好で部屋を出て。しかし自分が服を選んでやった以上選ばれた服を身に着けるだけのはずの相手が何故か出て来ず少々心配になるが、程なくして部屋から顔を出した相手に安堵したように息をつくと苦笑を浮かべながら相手の方に近寄っていき。少しだけよれた襟元を直してやってからにっと口角を上げ相手の胸を軽く叩くと玄関へと歩いていき。自分が靴を履きつつ、今日の格好に合うように相手の靴も出してやってからすっと立ち上がるとズボンの尻を軽くたたき、財布が入っていることを確認しながら相手の方を見て。)
…どうした、んな浮かない顔して。お前がデート行きたいって言ったんだろ?もう少し、こう…楽しそうにしてもらわないと、こっちも何か気まずいだろ。
すいません、ちょっと考え事してました。
(己の感覚的には然程時間は経っていないと思っていたのだが、既に着替え終えた相手を待たせてしまっていたようで。微かに眉を下げて適当な言い訳を添えつつ謝罪を述べるも、此方へ近寄って来た相手に襟元を直されると至近距離で見る相手の私服姿に見惚れてしまい。普段着とあまり変わらないものの基本的に相手の私服姿には常に惚れ惚れとしてしまう為、見飽きる事も無く暫く無言で見詰めており。そうして惚けていたが胸を叩かれる事で我に返ると相手に続いて玄関へ向かい、用意された靴に「ありがとうございます」と一言礼を告げてから履き。然し不意に暗い表情で居るなと指摘されれば表情に出てしまっていたのだろうかと一瞬狼狽え咄嗟に俯くが、折角の外出にそんな事ばかりが頭を過っては満喫する事等出来ず。これは素直に相手に言ってしまおうと考えるが先程の重苦しい雰囲気はごめんで、あくまでも自然に、気負った風は決して無く真っ直ぐ相手を見て)
…俺は、ずっと先輩と居たいです。良いですよね?思うだけなら。あと、先輩にもそう思ってもらえるように努力しても。
…ばぁか、いつまでもお前みたいなののお守りなんてやってらんねぇっつの。
(相手が靴を履くのを待つ意味で玄関に留まっていたものの、いざ靴を履き出かけるべく扉に手を掛けた瞬間背後からかけられた言葉に思わず扉を開けられなくなってしまい、ドアノブに手を掛けたまましばし沈黙し。先程自分が相手の部屋を出る際に欠けた一言が相手を悩ませていたという事実に少々罪悪感を抱くものの、実際相手といつまでも一緒になんていられないと思っていて、深い意味はなくとも本心以外の何物でもないその言葉を否定する気にもならず。昼食の時のような重い空気にならないよう相手が神経を使っているのは声を聞いていても分かり、だからこそその程度のこと、とばかりに軽い物言いで相手の言葉に返事をすると扉を開いて玄関を出て。)
思うだけで止めんなよ。俺はお前とずっと一緒なんて御免だけど、お前は違うなら俺にもそう思わせるよう努力の一つでもしやがれ。…思ってますーってだけで流されてやるほど俺は軽くねぇぞ。
…先輩…、
(此方の言葉等殆ど意に介していないような軽い調子での返答に、相手は相手なりの気遣いをしてくれたのだろうと言う事は分かるものの、やはり突き付けられた言葉は重く内に響くようで遣り場を無くした視線を足元に落とし。然し何処か挑発的に続けられた発言は一抹の期待と自惚れを生んでしまう物であり、例えそれが思い違いであったとしても今はその言葉だけで十分過ぎる程で。驚いたように目を見開いて相手を見遣れば改めて己は相手の事が好きなのだと言う実感が喉奥を競り上がり、呆けたような声色で相手を呼んだかと思えば既に扉が開いているにも関わらず人目を憚る事無く唐突に相手に抱きつき。「…好きです」身長差の所為で微かに背伸びをすると相手の耳元に唇を寄せて告白を述べ、満面の笑みを浮かべて直ぐ様離れれば一足先に街へ向かおうと駅の方へ歩き出し)
ッいちいち耳元で喋んな!お前はその顔だからいいけど、こっちにしてみればいい歳した同じ男に囁かれるなんて複雑以外の何物でもないんだぞ?
(男を好きになるなんて自分としては考えられないことで、相手に関してもきっと一時の気の迷いだと今でも思っている。しかしそれでも好いてくれている人間を無下に切り捨てるなんてことも出来なくて生温い自己満足の同情でしかないと感じつつも相手をきっぱりと拒否することもなく意味もなく期待を持たせるような言動をしてしまい。いつかきっと自分への想いは間違いだったと相手が気付くまで、せめてその間違いで相手自身が傷ついてしまわない様にとった中途半端な自分の返事に少しだけ自己嫌悪の念を抱きつつ玄関を出ようとすると不意に後ろから体の前面に腕が回り。その腕が相手のものだと理解するより早く囁かれた言葉の持つ意味、吹きかけられた吐息、身体を抱く男の腕、全てに胸の内の方がかっと熱くなるのを感じ。此方が振り払うより先に離れた相手を軽く睨みながら微かに赤みを帯びた頬を手の甲で押さえると小さな文句を口にし、先を歩く相手の後について行って。)
そうですか?先輩の照れた顔好きですよ。
(耳元で言葉を掛ける事に対し咎められたのだが都合の悪い部分にわざわざ触れるような事はせず、後ろの相手を振り返ると恰も聞こえなかったような素振りでへらっと笑い。何故己の顔ならば良くて相手の顔では複雑になるのかいまいち理解が出来ていないものの、顔に関して言うならば相手が照れている時程愛らしいと思える表情には未だ嘗て出会った事が無く。微妙にずれた返答をすると歩調を緩めて相手の隣に並び、薄暗くなり始めた空を眺めては「一駅分歩きましょう」と相手の手を取り歩き始め)
…何してんだよ、離せ。人目とかあるだろ。
(相手の感覚は今でも理解できず、自分みたいな可愛げも何もない同性に向かって好きなどと口にする彼を見つめながら困ったように眉を寄せて。隣に並んだ相手からおもむろに握られた手に視線を落としながら小さく抵抗の意を示すとわざわざ振り払ったりはしないものの少しだけ自分の方に手を引いて。歩くのは別に構わないが、いくら顔は可愛いといっても傍から見ればどう考えても同性同士で手を繋いでいる異様な風景になってしまうことくらい自覚でき、わざわざ相手に好奇の視線に晒すのは憚られ、歩調を僅かに落としじわじわと相手との距離を離していき。)
誰か来たら直ぐ離しますから。
(現在歩いている住宅街の通りは時間帯もあってか未だ人気は殆ど無く、直ぐに辺りも暗くなるだろうと考え歩調を緩める相手の手をぐいぐい引っ張り。とは言え相手の反応が予想通りの物である事は言うまでも無く、目撃者が通行人だけだとは限らないと言う事も分かっている為に出来る限り影になるようにと此方も僅かに歩調を緩めて隣に並び。然し早めに話題を逸らすに越した事は無く、夕空を見上げながら目を細めては「付き合ってほしいとこあるんですけど良いですか?」夕食を食べる前に私的な用事で立ち寄りたい店があり、それから夕食でも構わないだろうかと相手を見遣り問い掛け)
…別に、端からお前に付き合うつもりで出てきてんだからいいけどよ…。
(結局手を離してはもらえなそうで諦めた様に小さく溜息をつくと恐る恐る相手の手を握り返して。自分の歩調に相手が合わせてきたことに気づき何だかんだ言ってもやはり相手が自分に気を遣ってしまっていることを再認識し、相手の好意を拒んでいる身だというのに何だか複雑な気分になり。握り合った手を見つめながら何となく相手の行く方向に合わせて歩みを進めていたが、明確に食事先ではない行先を口にされたことにより相手の方に顔を上げるとその行先に見当がつかないためか緩く首を傾げた後、ぶっきらぼうな言葉で了承し。)
ありがとうございます。
(手を繋いで歩く事を許容してくれたらしい相手から緩くではあるものの手を握り返されると単純にも鼓動は跳ねてしまい、冷静さを取り戻す為一度視線を足元へ向け。そこへ素っ気無くも返ってきた言葉に笑みを浮かべて礼を述べると、駅へ向かう道をゆったりと歩いていき。然し幸せな時間はそう長くは続かない物で、駅に近付くにつれ徐々に人通りが増してくると名残惜しそうに指を絡めながらそっと手を離し。見れば駅構内は結構な人で混み合っており、そもそも外に出る機会が少ない為あまり人混みに遭遇する事の無い所為かどうにも慣れず、苦々しく表情を曇らせれば相手を振り返り「…先輩、先に行ってくれませんか?」こんな事を頼むのは心苦しい以外の何者でも無く、眉を下げて問い掛け)
…いいよ、別に。背中に隠れてたっていいから、行先だけは指示してくれよ?
(徐々に人通りが増えてきたことにより自分の忠告を守るためかそっと手を離した相手に、先程まで離せと言っていたはずなのになぜだか名残惜しさのようなものを感じてしまい。天邪鬼な自身の想いに小さく溜息をつきながらも手が離れたことにより少しだけ開いた相手との距離に僅かに寂しさを感じ。本来ならば適当なはずの距離感が寂しく思うようになってしまったのは紛れもなく距離感が近すぎる相手のせいであり、あれだけ拒否しておきながらあっさり相手に流されてしまう自身の感覚に少し複雑な気持ちになりながら歩みを進めていると隣からいつもは見られない様な曇った表情が窺え。後輩らしいというか、先輩を頼る弱々しさが庇護欲を擽り表情を歪める相手の頭をくしゃりと撫でてから安心させるようになるべく優しい声色で答えると相手の道を開けてやるように先を歩き始めて。)
すいません…。
(相手の心境は露知らず、此方はただひたすらに相手を盾にして歩くと言う罪悪感が払拭出来ずに浮かない表情でおり。然し不意に頭を撫でられる手と鼓膜を震わす優しい声に胸が締め付けられるようで、礼の言葉の代わりに謝罪を述べながら相手の後ろに付いて歩き。相手が一緒に生活してくれるようになってからはこうして買い物にも付き合ってくれる為に以前のように人混みに悩まされる事も人混みを避けた時間に無理矢理合わせて行動する必要も無く、その上デート気分が味わえるのだから以前は憂鬱で仕方無かった極稀な外出も少なからず楽しみな物となっており。だが今日は休日な事もあってか普段よりも確実に人が多く、ぴったり後ろに付いて行っているつもりでも気付けば目の前に相手の背は見えず。目の前を絶えず人が行き交い相手の背が遠くなるような感覚に目が回り酔ってしまいそうで、実際には然程距離が空いている訳では無いのだが何より相手の存在が直ぐ近くに無い事による不安が強く。「先輩、」駅は喧騒で溢れている所為で普段よりも少し声を張り相手を呼ぶと、はぐれる云々よりも相手の近くに居たいと言う心理に従い一度其方へ身を寄せ。流石に此処で手を繋ぐのが不味いと言うのは言うまでも無く、それでも少しでも距離が空いていると直ぐに引き離されてしまいそうで一瞬躊躇うものの控えめに問い掛け)
…服、掴んでても良いですか…?
…遠慮すんなって言ったろ、そんくらい自分で判断しろ。つか、容赦なく手握ってきた癖に何こんな時ばっか聞いてんだよ。
(夕方だとはいえ休日である以上駅には人がごった返しており、人馴れしていない相手を思い時折背後を気に掛けるように視線を向けるもののなかなか人に流されてついて来れていない様子の相手にどうしたものかと首を捻り。そんな時背後から聞こえたいつもの態度からは想像できない様な控えめな発言に頭を掻くと小さく溜息をつき。遠慮をするなとは伝えたがやはり相手のこういう変なところで此方の反応を窺ってくる癖はまだ直っていないようで、そんな様子に少し困ったように眉を下げてから安心させるように口元に小さく笑みを浮かべるとその申し出を遠まわしに許可し、むしろ何故聞いてくるのかという部分を咎める様に唇を尖らせながら注意すると相手の額を軽く指で弾いてやり。)
…ありがとうございます。
(自分で判断しろ、とは恐らく相手なりの了承なのだろう。敢えて遠回しに言っているのか不器用なのか、どちらにせよそんな些細な言動さえ己の目を通してみれば魅力にしか見えず。向けられる笑みに安堵を覚えながら控えめに相手の服の裾を掴んだところで額に僅かな痛みが走り、そこを片手で擦りながらも頬はゆるゆると緩んでしまい。そんな風に言われると単純な己の思考ではまるで無遠慮に触れる事を許可されているように思えてしまい、そう言う意味では無い、と自らに言い聞かせながら礼を述べ。人波に揉まれながら歩いていると前方に表示が見え、身を乗り出すとそこを指差し)
先輩、あれに乗ってください。
(/お返事遅れてしまっていてすみません!ただいまGWということで実家に帰っておりまして…中々時間が取れず、今の状況に至ってしまっております。
甘えてしまっていることは自覚しているのですが、どうかGW期間中返事を暫しお待ちいただけませんでしょうか?)
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