竜と鶴 →非募

竜と鶴 →非募

大倶利伽羅  2015-04-14 21:18:45 
通報

募集板で声をかけてくださった、>8339様。

おおくりから と つるまる



コメントを投稿する

  • No.204 by 大倶利伽羅  2015-08-27 06:34:12 

(清々しい程に広く大地に降り注ぐ紺碧色の空模様の下、部隊長である藍色寄りの彼を先頭に後ろには短刀4振り達を挟んで最後尾につく。間もなくして目的地の地を踏み締めるように爪先から確りとその場に立ち、早速隊長である彼に伴って目を凝らして索敵をすると漸く見つかった遡行軍を見逃さずに陣形を整えて抜刀準備をし、戦闘態勢。そんなに難しい場所では無いが些か数が多いのが難点、其処も審神者が均等に練度が上がりやすいように設定しての事だと聞いた。形成有利も助けて次々と打刀と短刀を斬り伏せ、多少の返り血を中に着込んでいる服に浴びるも少量故に気にする事は無く。無事に勝利し、着々と賽は順調に投げられて敵の一番深部の本陣に乗り込み、隈なく抜かりない索敵をした後に察知出来た歴史改正主義者が目の前に現れると中でも一際図体が大きい刀剣が向こう側に潜んでいる、恐らく緑色からして大太刀の部類だろうと察しが付くと気を付けなければと気を張り。然し隊の最後尾は自ずとも攻撃を受ける回数が多く、審神者によると一番練度が高く、且つ中々折れることの無い安心する刀剣を必ず六番目の使命に課すと言う。大太刀を運悪く一番最初に斬り伏せることが出来ず、その自分よりもはるかに長く鋭い刀身を身に受ける前に後ろに退いて避けたが矢張り大太刀と言うのも相俟って切先までもが長い。避けた際に頬へ熱い衝撃、触らずとも頬に走る傷からは掠り傷程度に留まり、道中で受けた口端の傷と共に滲む鈍痛は気にも掛けず。今度は此方の番、己が真っ先に最後に残る太刀へ大きく一閃を描くよう胴体を切り裂いてやるとこの場所での合戦の終結を告げ。短刀達を差し置いて誉を頂き、自分のほかに短刀2振りが軽傷、時計が無い代わりに太陽の位置が知らせるは既に昼間の時刻。さあ帰ろうかとした際に帰路の道が開かれ、其処から足を運ぶとあっと言う間に目の前は本丸に辿り着き、出迎える審神者が軽傷を負った短刀から手入れ部屋に連れて行かれると己も、と催促はされるが頑なに「これくらい、心配には及ばない。」と拒否を示して。中々に食い下がる審神者の横を通り過ぎると宥めるように隻眼の彼が伝え、腹の虫を抑えるように竜を纏う側の腕で腹部を擦りながら足の先は玄関へと向かうと引き戸式のガラスをはめ込んだ柵で縦の縞模様に出来ている和の扉を横に開けると微かな痛みが口端に感じ、僅かに眉が自然と寄り。)

  • No.205 by 大倶利伽羅  2015-08-27 06:48:57 

(おはようございます。葉月も終わりですか、早くも名残り惜しいものです。
台風に関しては今の所被害は蒙っておりませんので、ご心配なさらず。
相変わらず健康さが表に出ていて、夏風邪にも掛からずに済みました。
近頃、雨模様が続いて肌寒さすら薄ら感じますが
是非お身体のほうご自愛をなさってくださいね。
けれども少しずつ、秋が近づいて参りますね…!

某叫び板での件、此方こそありがとうございます!
鶴丸の退屈を持て余している様子が目に浮かぶようで、とても微笑ましい気持ちになりました。
こんなに早く見つかるとは…!嬉しい限りです、何と言葉にしたらよいか。
そして関係ないのですが投稿時間帯が22:22:22だったのは偶然でも凄いなと思いました。
100レスの大きい記念は忘れる訳がありませんな。
数えきれない程の色々な御祝い、大賛成です…!

いえ、此方の方こそどこからどこまで描写に取り入れて良いいのか
分からず、だらだらと長いだけのものになってしまいましたが
其処は長い目で見て頂けると嬉しいです。
御茶の方の何でも見透かしている感、好きです。流石年長さん。(←)

私も、大倶利伽羅も。
素敵な事この上ない御相手様にお逢い出来てとても幸せです。
恥ずかしく思う貴女様もまた愛いですね。
何て口説いている場合じゃない。すみません、お恥ずかしいことを。
長くなってしまいましたがこれからも愛を込めて参ります、どろろん!)

  • No.206 by 鶴丸国永  2015-08-27 20:25:41 

(寄棟屋根の裾の広がったような軒の下、雲一つ無い紺碧の空から降り注ぐ陽光を遮り影が落ちている縁側の廊下にて。肌を撫でてゆく心許無い風も炎暑に上気した身体には心地好いもの、薄ら冷たい床や草木のそよぎにのって流れてくる風鈴の凛とした音色と相俟って徐々に体温を下げてゆく。寝返りを打つように仰向けの体勢に為り、汗に因って額に張り付く前髪を手櫛で梳くように頭頂部へ流しては、足首に草履の踵の部分を擦り付け石畳の上に無造作に脱ぎ落しす。傍らにてその横着さを見下ろす粟田口の太刀の男は眉間に呆れの色を湛えているものの、それを歯牙にも掛けず些細であろうと風を取り込むべく襟元を僅かに緩め扇子に見立てた隻手にて扇ぎ。退屈凌ぎの他愛の無いを交わしていると門の方から漂う喧騒に脳裡を過る思考は一つ、暑さに辟易し重怠い疲労を感じていた身体は驚く程に容易く起き上がり、爪先で跳ねるが如く廊下を駆ける脚は軽やかで。道中、審神者を先頭に手入れ部屋の中へ入りゆく短刀達の姿は今朝彼に声を掛けていた面々、部隊の帰還の事実に体内を血が巡り始めるような胸中の雀躍を抱き。手入れ部屋で無いのならば、恐らく眼帯の伊達男と共に在るのだろう。彼らの間柄を思うと当然の思考だが、小さな火種から燻る黒煙を踏み躙るように表れた仄暗い感情を揉み消しながら玄関へと向かい。折良く引き戸を開く彼と遭遇し安堵から表情を綻ばせるも、小走りに近付くとその精悍な面に付いた刀傷に気付き思わず眉根を薄く八の字の形に。「御帰り。…君が顔を切られるなんて珍しいな。」足袋のまま土間まで降り、向かい合うように立つと申し訳程度に唇の端を上げて。返り血を纏い周囲に香る鉄の臭い、無事な姿とはいえど顔の柔い皮膚を裂く其れは痛々しいもので、浮足立った心地は徐々に落ち着きを取り戻してゆく。)

  • No.207 by 大倶利伽羅  2015-08-28 09:05:19 

(無事江戸元禄年間と言う歴史から帰還し、厳しさ増す陽光から逃れるよう玄関の戸を開けるなり何処か遠い場所から騒がしい足取りが一振り。その足音の主は容易く特定出来、面をやおら上げてみると思惑通りの人物が眼前に現れ、共に些か目に眩しい白一色の内番装束の相貌に目を当て。玄関先まで慌ただしい駆け足でやって来たのだろう、彼の胸元に煌めく自分のものではあるが今や彼の一時の所有物となっている微かに揺れた梵字が鈍く反射したのを感じて双眸を薄く細め。「ああ。…運が悪かった、それだけだ。」彼の不安げな面持ちをどうにかして晴れやかなものに変えたいが、生憎其処まで器用では無い、不意打ちにも程がある敵の攻撃を読むことが出来なかった自分も浅い経験故に罰が悪そうに視線斜め下に向けて。既に無傷の担当2振りは先に屋敷内に入ったのか、靴が脱ぎ捨てられている。後ろに続いていた眼帯の彼も勿論無傷な為、如何やら其の侭昼餉の当番に取り掛かるようで炊事場の勝手口から屋敷内に入るらしく、"倶利伽羅、ちゃんと手入れ受けてからお昼ご飯食べるんだよ!"と言う親口調なお小言まで背中に投げられ、其れには無視をする訳には行かずに短いだけの返事を彼に返し。玄関の土間に漂う鉄の香りは刀の本分である事を思い出させ、同時に玄関先に2振りと言った空間は過去にも似た様な今と違って甘く脳髄が蕩けるような宵闇に染まる夕闇での場面をも思い起こす。胸の奥に響く恋心の鼓動を誤魔化すべく切れた口端を慰めるよう舌先で僅かに固まった血を撫ぜるよう掬ってみると相も変わらずに仄かな独特の味わいと亀裂が走る感覚は拭えずに。)

  • No.208 by 鶴丸国永  2015-08-29 07:10:10 

(昼前の玄関は、帰還した部隊の殆どは既に本丸内に入っている為に穏やかな静寂に包まれており、遠く縁側に垂れ下がった青銅の鈴の伸びやかな調べが風に靡いて届く。彼の纏う血や硝煙の臭いに凍結したかの如く立ち竦むも刹那、前者が彼自身の物で無い事を理解すると強張った肩から力は解け。気不味そうに擦れ違う金糸雀色の眸、石畳の土間から伝わる程良い冷気が蒸した足裏から体温を下げてゆくのを感じていると、玄関外から飛び込んで来る眼帯の男からの釘を刺すかのような苦言に脳裡を過るは審神者と共に手入れ部屋に入っていった短刀達の姿。記憶が正しければ数は四振りで手入れ部屋の許容数と同値である為に今直ぐ彼が手入れを受ける事は困難だろう。傷口を這う艶めかしい舌に心拍が跳ねるも誤魔化すかの如く伏せがちにかぶりを振っては、徐に昇り竜を彫り込んだ側の手首を掴み「よし、じゃあ昼餉前に軽く手当てしておくか。まずは傷を洗いに行こうぜ。」逡巡や彼の疵を放置する心算は皆無、抵抗しようものなら引き摺ってでも洗面場に連行するだろう。今朝方、広間から攫い出すかの如く手を引かれた出来事と逆転した立場と為る事に胸の内を擽られるような面妖な感覚を抱きながら、踵を返すように相手に背を向け平然と上がり框へ足を踏み出し。)

  • No.209 by 大倶利伽羅  2015-08-29 13:29:14 

(帰還したことで本丸の奥部からは様々な刀剣達が彼方此方に滞在している事だろう、朝方とはまた違う賑やかさの喧騒が身体で感じ取れ、特に彼が今し方来た方向からは粟田口の長兄である彼の弟で短刀らの声が仲睦まじく幾つか聞こえる。視線は斜め下に持った侭、後ろ手で開放した玄関の戸を横に引いて閉める方向に持って行った時。肩甲骨から腕まで尾を巻きつけて存在する竜が描かれている側の手にあたたかな温もりを感じたのも一瞬、土間に向けていた視線の先の世界は己とは相違する色白の手に目を転ばせてから其の腕を辿って彼を再び直に視界に入れて。途端に無機質な世界から華やかに彼を中心に鮮やかに色付いたような際立つ存在の背中へ目を暫し奪われるのは束の間の間だけ、「っ、おい、そんなのは自分で出来る…!」あっと言う間に今朝行った行動とは立場が逆転した様子は妙な既視感に近い何かを感じて、掴んでいる手からは華奢ながらも僅かな強引さが窺える。框を踏む前に一度掴まれた腕を自分の方へ微かな力に乗せて引き止めるのを試みつつ、然し完全に此方が強引に彼を止めようと思えば出来る事が思うように行かないのは所謂現世で言う惚れた弱みとでも言うのだろう。引かれるまま土間に靴を行儀悪く急くように脱ぎ捨て、片脚を框に乗せて屋敷内に上がり込み。)

  • No.210 by 鶴丸国永  2015-08-29 18:55:33 

(硝子を嵌め込んだ戸を挟む彼の背後、広い玄関前の敷地から聞こえてくる幾振りもの若さに漲った声は各々に戦績を語っている事だろう。敬愛して止まぬ長兄を取り囲むかの如く、押し合い圧し合い身を寄せる姿は想像に容易く、玄関に漂っていた何処か暗澹たる空気を払拭するようで無意識の内に眉に浮かべていた困惑は緩和されてゆく。持ち上げられる薄い瞼と刹那交じり合う蜜色の眸、動揺を孕んだ言葉は想定通りと言っても過言では無いもので、肩越しに背後を見返ると唇に弧を描き不敵な笑みを浮かべながら、「君は自分の事を後回しにするだろう。…それに、俺がしたいのさ。」現に短刀達に手入れ部屋を譲るという粋な所業に出ている事は慥かであり。溢れんばかりの恋慕だけではないものの、周囲に気を張り何処か脆く映る彼を見過ごす事は出来ず。その場に留まる為に抵抗を見せる力は形ばかりの弱く寸刻のもの、諦めたように弛緩し此方の力に素直に従い何歩か後方を歩む足音を聞きながらも手を解放為す事は無く、其の侭洗面場へと引き連れて行き。道中、「朝は逆だったのになあ?」何て背後へと目線を向け揶揄するかの如く語尾を僅かに上げながら、堪え切れぬとばかりに肩を小さく震わせ空いた側の手の甲を口許に添えながら笑みを逃がし。難度の低い合戦場とは言えど彼の言葉通り油断ならぬ事は事実、掌から伝わる温もりに安堵と世話を焼ける喜びが満ちてゆくよう。洗面場に辿り着くと彼の手を離し、石鹸を手に取り両の掌で挟み擦り合わせるようにして軽く泡立てると、「ほら、君も洗った方がいい。」其れを乗せた隻側の掌を相手の方に差し出して。)

  • No.211 by 大倶利伽羅  2015-08-30 06:44:04 

(屋敷内から聞こえる賑やかさは大方其々の刀派による短刀達の集う声だろう。長兄の周りに付き添う刀剣達は粟田口一派のもの、我先にと長兄の隣を陣取るも上手くその太刀は戦場に赴いていた刀の頭を撫ぜて労をねぎらって上手く宥める事が容易いだろう。不穏に陰を落とす彼の表情は何時の間にか元通り、思い当たる節のある其れに胸中は仄かに薄暗く醜い独り善がりな感情に覆われゆくのを感じて。框へ乗り上げ、彼の後方を手に引かれる侭に何処か怪しさを漂わせる金の眸と視線が噛み合うと一度だけ瞬きをして普段行っている行動に当て嵌まる故か強く反論は出来ず。伊達家の時に共に過ごした時間は決して長いとも言えない中、この刀は変わらない性質である事は百も承知。「甘い。…本当にお前は、俺に甘い。」自惚れにも程があるものの一つ確信めくような真面目な声色を背中に降らせつつも、募る恋情も最早核心を痛いほどに抉る。短刀が手入れを受けている部屋が空くには少々時間を要し、未だに彼の手によって竜の尻尾を捕えられた侭、後方へ景色が移ろい行く瑞々しい緑色を視界の端に捉えながら昼刻特有の高い太陽の光は些か眩しくて眸の視界を細めてしまう。揶揄う語調にて紡ぐ愉しげに企む表情に眉根を寄せ、「うるさい。」今朝攫い出した光景を瞼の裏に思い描くも一蹴するかの如く震わせる彼の背中へと吐き出し。洗面場に辿り着くと漸く解放する手元は夏季と言えども直ぐに冷える其れの名残惜しさを感じるのもほどほどに、両手の異なる手袋の指先から布を取り外すと傍らに置いて露わになった手を軽くすすぐように。彼から石鹸を貰い受けようと掴んだ矢先、「っ!」指の先の力が少々力みすぎたか直ぐに石鹸が手の内から逃れるよう泥濘を利用して洗面所の丸みを帯びた箇所に滑り落ちてしまい、閊えるような声を溢して暫しの沈黙の後に其れを今度は静かに掬うよう手に取って掴む事に成功すると両の手で挟んで泡立てつつ黙殺をしながら石鹸を元ある桶の元に戻し置いて再び蛇口を捻り。)

  • No.212 by 鶴丸国永  2015-08-30 17:23:26 

(数歩後方から聞こえる不揃いの足音と、正鵠を射られ抵抗を諦めたように大人しく連行される男の気配に思わず口許が緩む。彼が周囲を大切にしているが故に自身を蔑ろにする節がある事、そして其処を突けば此方の手当てを拒否出来ぬ事は長年の付き合いから理解しており。少々狡猾な手段を講じてしまった事を内心にて薄ら自嘲しながらも、懸想云々を脇に置いても手負いの竜を放置しておくほど薄情にも為れず。此処数日の内に幾度聞いた分からぬ科白を噛んで含めるような物言いに、呆れ混じりの笑声を漏らすと、「もう分かり切っている事だろう?君は何度言えば気が済むんだ。」背後の彼へと言葉を返しながら肩越しに視線を送り。彼に対し膨れ上がった愛染は断ち難いもので、あれこれと御節介を焼く様を長年の誼と言い張るには少々不自然になりつつある事は自覚しているものの、今はそれを見て見ぬふりをして。淡泊な悪態も慣れたもの、軽快な笑声で受け流しておき。簀子を置いた渡り廊下を経て、中庭に面した洗面場は囲むように嵌め込まれた硝子窓から射し込む白銀の陽光に明るく、馬当番を終えて本丸の建物内に戻って行く窺い見る事が出来る。褐色の掌へと移った矢先、滑り陶器の流し台へと落ちる楕円状の白い洗浄剤に驚いたように薄ら瞠目の色を浮かべ数秒の間を置き、「おっと、活きが良いなあ!」少々間の抜けた光景は彼にとって居心地の悪いものだろう。相反し、込み上げる笑声を堪えるでも無く快濶と響かせながら、此方も捻った蛇口から出る井戸から曳いた冷水で土汚れを浮かべた泡を洗い流し。棚の竹籠から清潔な手拭を二枚取り出して一つは手首に引っ掛けておき、もう片方の端の方を湿らせると水を止めては軽く絞り水気を切って、疵口の汚れを拭うべく彼の方に身体を向け所作が終わるのを待機。)

  • No.213 by 大倶利伽羅  2015-08-31 06:38:37 

(静かに縁側を踏み締める足音、道中障子が空いた状態の一室の壁に掛けられた時計を盗み見ると既に午二つの時刻。炊事場から漂う昼餉の香りは腹を空かせた胃の中に甘い誘惑として滲むよう響き渡り、掴まえられていない側の手で腹部を僅かに擦って。つくづく彼に弱みを握られていると、唇を一文字に噤んで外側へ視線を逃がした先は晴れ間に覗いた陽光と、その恩恵を受ける花々。唇をついて出た先、思わずして喉奥から出た言葉は撤回出来ぬほどまでに来ている其れの言及に、「いや。俺も結局お前には甘い、…そう思っただけだ。」最早隠すのも億劫、包み隠さず返事をしながら時折態々見返る朝方魅入るほどに向けた含む意図と同じように微かな蜜の入る金の眸に焦点を合わせ。彼に触れた箇所から熱が灯る感覚は彼に知られてはならないと言う決意の元、一度掌を握り込んでもどかしさに奥歯を噛み締め。辿り着いた洗面場は非常に見通しが良く、換気性も整った環境は空気を肺に取り入れるたびに清潔な心地の良い石鹸の香りが漂って感じられ、窓の外からは昼餉の時刻に連れて屋敷内に戻り行く本日当番に当たっていた者たちを目で必然に追い掛けて見送り。手元から逃れるよう滑っていった薬用石鹸に対して茶化すようすが窺える隣へ、「やめろ。」揶揄う言葉に単語で簡素に反抗の牙を向けて。洗面台の横に洗浄剤を置き、捻り出た水へ洗い残しのないように流し。既に設置されている乾いた手拭いに水滴に塗れた手元を拭き、彼の元へ顔を向けると未だに首から下がったままの紐から目の先を辿るは手首。此処まで来ると放っておけと逃げる暇も無く、随分と用意の良い姿へ身体の方向を転換すると片側だけ赤みの帯びた襟足を手で掻きながら、「これでいいんだろう。」諦めの境地に達した溜息を無意識にも吐いて簡単な手当てが施される身構えを示し。)

  • No.214 by 鶴丸国永  2015-09-01 21:31:45 

(刻一刻と近付く真昼時、それに伴って本丸内に漂う鼻腔を擽る香りは肉体労働を為した後の空腹を唆る。部隊の無事の帰還に因る安堵から忘れかけていた空腹を思い出すも、献立の内容に意識を向ける程の余裕は残っておらず、脳内を占めるは引き連れている相手の事ばかり。手を離せども付いて来るだろう事は抵抗の意を失した言動から窺えるものの、引き締まった手首を離さないのは彼に触れていたいが為。背後から送られる同色の眸の糸が絡んだかと思うと淡泊ながらも今迄の押し問答紛いのやり取りを肯定するもので、驚いたように僅かに瞠目為すもすぐに眦を下げ喜色を滲ませて。周囲と距離を置こうとする彼だからこそ、垣間見せる甘さや他に見せぬ表情に自惚れてしまいそうになる。浮足立つような鼓動は歩調よりも速く、漸く顔を正面に向けるも僅かに俯きながら湧き出す温かな感情を噛み締めるかのように空いた側の手を胸元に当て緩く擦り。閑散とした洗面場には、審神者の時代から持ち寄られた石鹸や洗濯洗剤の清潔感のある花の香りが漂っており、手を拭った手拭も水分を含むと共に淡い香りが鼻を掠める。簡潔な拒絶の意にも慣れたもの、堪え切れぬ笑声の余韻を零し自身を落ち着かせるべく上擦った吐息を一つ。手洗いを終えて観念したように此方へと向く相手に満足げに口角を上げつつ僅かに顎を引くと創の無い頬に隻手を添え位置を固定させ、濡れた手拭で創傷部の付近を押さえるように出来る限り弱く拭い。それを終えると自然と距離が縮まっていた事に気付き、途端に高鳴り始める脈動は他には無い恋慕を痛感させる。「唾付けときゃ治る、と聞いたんだが…どうなんだろうな。」唇端の疵を眺めた後に緩慢と目線を上げると、兜割りを成し遂げた刀の発言を引用し冗句交じりの語調にて問い掛けながら、態とらしく頭部の角度を少しばかり横に傾けて。)

  • No.215 by 大倶利伽羅  2015-09-03 00:07:33 

(自分の手首に掴まっている彼の腕から辿り見ると内番装束を身に包んだ和装、襷を器用に施した濃紺に近しい色合いが白に美しく際立っていっとう映えて見える。其処で視線を持ち上げた先、金の眸が柔和に緩められていく過程を見守っていると途端に胸の奥に無理矢理押し込んだ慕情の念が燃えさかるよう湧きゆくのが分かり、胸中に燻る想いの火種は徐々に蔓延って心臓が焼き付けられる感覚の正体は既に掴めてはいるものの存在自体が曖昧に暈けすぎていてはっきりと認知は出来ないまま。完全不燃焼のまま薄く微笑んだように見えた表情を認めると、鼓動の的に瞳と言う名の矢に射抜かれたかと錯覚出来るほどに大きく脈打って。暫し縫うような視線を外せない中で漸く前方を向いた姿から見える晒された項に添う後れ毛は異様に艶めかしく見え、其処で初めて余裕が自分の思っている以上に持ち合わせていない事を改めて認識し。手拭で水滴を纏う手元を拭うと恐らく凝ったのだろう華やかで上品な香りが広がり、やがて自分と彼の間に甘美な空気が纏うように漂い。頬に感じられる温もりに少々驚愕の色を滲ませたのも束の間、直ぐに裂傷部付近に感ず水気に棘が刺さったような痛みを感知して思わず片目瞑り手の方角へ頭頂部を緩く傾け逃れるよう動き、やがて周りの細かい土埃を拭い終えた時。彼の視線の先は恐らく唇の端に予想外にも敵部隊から受けた疵だろう。同時に此方も相手の伏せた儚い睫毛から目を辿るは薄く健康的な色合いに色づいた唇、頬に添われた手の内側から煩いほどに脈打つ恋慕の鼓動は最早どちらのものかわからず。このまま暑さに彼と融け合ってしまいたいと思わせるほど、彼の言葉は余計に魅力的に感じられる。期待に満ちた心がまるで惹かれるようにかんばせを僅かだけ相手の元に寄るも、「さあな。…お前のそれは、誘っているのか。」寸前のところで噛み潰す言葉を何とか喉奥から持ち出しつつ、距離が近かった頭を後方に戻して掴まえられていた龍を纏う側の腕を持ち上げるとその手は彼と対になるよう柔らかな肌に手の内を添え、親指の腹で頬骨辺りを慈しみを含んだ指つきにて撫ぜ擦っては洗面場の外側から手入れ部屋が空いたことを知らせる一振りの短刀が声を張っていて。)

  • No.216 by 鶴丸国永  2015-09-04 20:33:24 

(腕を綾なす昇り竜の尾を手中に捕らえた侭、洗面場へと攫い出す。霊犀のようなものは無い為、背後を歩む彼の胸の内など露知らず。歌人が屡々偲ぶ恋を蛍に譬えるが、此方の心中など相手に透けてしまっているのでは無いかと憂慮する程に、胸の内に秘めたる情炎は大きく燃え盛り身を焦がすかのようで。自らは鉄の塊であり仮初の身体だと理解しているにも関わらず人間の真似事の如く、あろう事か彼に対し執着に似た感情を抱いている事実は受け容れざるを得ない。創は浅いと言えど脆い人の器、掌に押し当てられる頬は引き締まっていながらも滑らかで柔らかく、痛みを耐えるように伏せられた隻側の薄い瞼に因って栗色の睫が下りる。そんな何気無い仕草から目が離せず、まるで彼に触れた掌に心臓が移ったかのように脈打つ感覚は真か否か判別出来ぬものとなり。本来の目的を終えてもなお離れがたい為に今の距離感を保った侭、揶揄交じりに紡ぐ期待を織り交ぜた戯れ言葉を素気無く打ち捨てられる事を視野に入れていた為に想定外の返答に刹那僅かに目を瞠り。一度は更に此方に傾く精悍な面に心拍は跳ね上がり喉許で言葉が詰まり、頬に触れる先程捕らえていた側の掌はつい数刻前まで刀を振るっていたとは思えぬ程に堪らなく穏和で、その懸隔はどうしようもなく胸を締め付ける。締めていた蛇口から水滴の余韻が落ちる音など耳にも入らず、周囲に靄が掛かったような甘美な空間に酔いしれていた矢先に飛び込んで来る若さ漲る声に我に返り。普段なら有難い知らせも今や野暮なもの、微かに当惑の眉を顰めるも彼への返答の代わりに今度は此方から緩慢と距離を縮め。生成り色の手拭に滲む血液や土埃は周囲に付着していたものだろう、其れを持つ腕を下ろし双眸を伏せると唇の横の傷へと唇を触れさせて。心臓の音が相手に聞こえてしまうのではないかと懸念する程の緊張と羞恥は耳の辺りに熱を集めるも、「…驚いたか?」はにかむように口許を緩めると口癖と化した科白を、秘め事を語るかのような声量にて紡ぎ。短刀が此処まで呼びに来るのも時間の問題だろう、名残惜しいものの頬の輪郭を撫で下ろすように手を離し。) さて、お呼びだぜ。ちゃんと綺麗にしてもらってきな。

  • No.217 by 大倶利伽羅  2015-09-05 06:28:45 

(洗面場から見える景色の良い青々とした大地に草を生い茂るほどに其処彼処に伸びた雑草から一輪の可憐な花や三つ葉だらけの集う草木は季節を感じさせるほどに十分で。身体同士向かい合った手を伸ばせば触れられることなど容易い距離感は些かもどかしい、このまま壁際まで追い遣って美しく真白い鳥が容易に腕を抜けてしまわぬように閉じ込めることが出来たらとあられもない醜く貪欲な独占欲が今になって大きく彼へ伸びて顔を出す自分の気持ちに多少なりとも一人でに驚いてしまう。思いのままにいっそ唇を奪い去ってしまえたらと思い至るくらいには、自我が段々と強引で欲深な獣に移り変わりつつある心情に戸惑いを隠せずとも胸を締め付ける心地は彼を前にすると一向に潜んではくれない。簡単にこうして彼に触れさせてくれることには自惚れすら抱いてしまい、薄く自嘲気味に口角が上がり。時刻は残酷にも平等に進み、洗面場の向こう側から元気の漲る短刀の声は変わらず声で此方を誘き寄せていることに時が止まってしまえばと言う答えに辿り着くのは難しく無く。ふいに眼前に伏せた長く眩しい白銀の睫毛と共に影が差したと思った先、怪我を患った口端への柔らかい感触に一瞬だけ驚愕に目を瞠り。頬に添えている手の内側が直接と言うのもあってか徐々に体温が高くなりゆくのが分かり、彼のお決まり文句は何処か背徳感を感じながらも鼓動はこれでもかと大きく脈を打って忙しなく身体中に血が送り込まれる。「…くに、」言い掛けた時に既には洗面場の入口で佇む短刀、あどけない少年を感じさせ、一度目の前の彼に視線を寄越して頬から耳裏へ毛の流れに沿って髪へ指を這わせて最後に襟足を一束摘まんだ後に間があってするりと滑り落とさせ。「ああ、今行く。」足早に異なる手袋を引っ掴んで踵を返すよう洗面場から出て直ぐ其処に存在する空いた手入れ部屋の障子を開け、敷居を跨いで勢いよく閉めた障子の梁に背中を預けながら顔を隻手で覆った後触れた余韻の口端に指先を這わせながら、背をそのまま引き摺るようにして座り込んで大きな溜息を一つ吐くとはにかんだ笑顔を思い浮かべるなり胸を更に締めるそれに軽く眉を顰め。)く、そっ…――あれは、反則だろう…!

  • No.218 by 鶴丸国永  2015-09-05 17:47:04 

(艶のある石材の板を敷き詰めた床や水回りという事もあり、漂う空気は微温い外気と異なり涼やかで心地好い。窓の外には先程迄内番仕事に勤しんでいた畑が見え、明日には料理の一部として食事に並ぶであろう赤や紫など色彩鮮やかな実が瑞々しい緑の葉から見え隠れしており。壁一枚を隔てて酷く現実味の無い清廉な空間に良く通る短刀の声が急かすように響く。それに背中を押されるかの如く、逡巡を捨て去り思い切った行為に及ぶは相半ば衝動的と言っても過言では無い。理由付けしなければ容易く口吸をする事など出来ない曖昧な間柄、故にこの好機を逃す訳にはいかず。驚愕に因り些か丸く瞠った金糸雀色の眸に映るのは自分一人、それが堪らなく独占欲を満たす。然しそれも一時に過ぎず、一つ叶えば更に一つ求めてしまう一度は捨てた強慾さに因ってすぐに渇きを覚え完全に満足する事は無いだろう。彼の唇が己の銘を紡ぐ間も無く、出入り口に姿を現す短刀に否応無く意識は其方へと向かい。胸中に渦巻く憂いと溢れんばかりの慕情に早鐘を打ち生を刻む自身の心拍音、然し少々癪に障る程に平然とした対応を為す彼に眉間に不服の色を滲ませるも刹那、余韻を残すかの如く愛嬌毛を後ろへ送るように耳殻を掠めては首許へと下りる細い指の感触に胸の奥が甘く締め付けられる。足早に洗面場を去る二振りを心此処に在らずとばかりの呆けた面持ちにて眺めるも、障子と柱が勢い良くぶつかり合う小気味良い木の音に時間が動き始め。本能的に起こした行為を思い出したように頬や耳の辺りに熱が灯り、崩れ落ちるかの如く其の場に両膝を抱えるように座り込み。膝の間、土粉に汚れた内番衣装にも構わず顔を埋めながら「っ…なんなんだよ、これ。」何て気弱な声色にて漏らす。唇に残る肌理細やかな皮膚とは異なる鈍く引き攣ったような肌の感触を確かめるように自身の人差し指でなぞり吐息を漏らすと、視界に入る梵字の飾りを隻手に取り面妖な背徳感に苛まれながらも恐る恐る口付けを落とし。彼の仄かな香が残る甘美な空間に毒されるような感覚から逃れるべく、跳ねるように立ち上がると手の内にある二つの手拭を洗濯用の籠に放り込み、行く宛てを定めず無我夢中に駆け出す先は今朝も紛いの逢瀬を果たした廊下。)

  • No.219 by 大倶利伽羅  2015-09-05 22:49:31 

(徐々に遠退く洗面場、短刀と並んで歩いたのも手入れ部屋で道程が終わり。視界の端に見える瑞々しい夏野菜の生った畑は午前の時刻に丁寧に手入れされたものだろうと見て窺えるも、忙しなく踏み入れた部屋が外の世界から切り離してくれるようで障子を閉めた事による薄暗い室内が鼓動を落ち着かせるのには最適に思えて。唇の端に触れたもう一つの柔らかく甘い感触、此方の胸中を更に抉る飾り気のない笑顔は頬や耳元にあとあとから確かな熱を集める理由には十分で、治癒を施す付喪神と自分だけしかいない空間にも拘らず隠すよう俯いている間にも頬の裂傷や口端に残る切り傷は数分もすれば元通りにはなるものの感触だけはいつまでも揺蕩うように留まっているように感じられ、数刻前の洗面場で触れた髪の柔らかさも指先に残っている感覚は拭えずに静かに握り込むと幾らか落ち着いた心情のもと、手の内に手袋を掴んだままに隻手で畳を押し上げ体勢を整えて障子を開けると夏日の厳しい昼刻特有の肌を貫く勢いで降り注ぐ太陽の日射しは傾いているが高い位置にいることには変わりが無く。軒下で作られた廊下の影に身を寄せて食事室を目指して歩行を始め、歩いている最中にも脳裡を占めるのは洗面場での秘めやかなる出来事を鮮明にも思い起こさせ、再び彼に対する自惚れやら期待やらを募らせて山となるやり場のない純粋なる想いは息苦しささえ感じてしまう。ぼんやりとした脳内で悶々とし、道中審神者に“夏祭り”の単語が聞こえ、ろくに話も聞かず上の空に返したことで心配はされるも「あんたには関係ない。」と突っ撥ねつつ審神者とすれ違うようにして歩を進めてはやがてやりきれないと大きく溜息を吐いて俯き気味に傾いていた頭をいざ前方に移した先は食事室に向かった筈が無意識にもいつの間に昨晩話し込み、今朝方刀剣らの目も憚らずに攫い出したことのある逢瀬を幾度なく交わした見覚えのありすぎる廊下に辿り着いてしまうと足を揃えて立ち止まってしまっていて。)

  • No.220 by 鶴丸国永  2015-09-06 07:16:59 

(手拭から漂う掠めるような淡い柔軟剤の香りや鼻腔を擽る相手の香、その甘美なる空間に一時でも長く留まったならば己惚れめいた思考が脳内を占め、間近にある手入れ部屋の薄い障子一枚を開き放つ事すら安易に為してしまう事を憂慮し洗面場を飛び出す。一心不乱に駆ける最中でさえ、脳裡を埋め尽くす蜜色の眼差しや銘を紡ぐ声に身体の奥に植え付けられた火種が疼くような感覚を抱き、きつく瞼を伏せて。前方不注意も甚だしく、曲がり角に差し掛かった所で何者かと正面衝突為し反動に背後へと傾いた身体、咄嗟に踏ん張るよう足裏に力を込めるも虚しく、体勢を戻すかの如く腕を引く力に因って難を逃れる。"鶴丸。…君は全く、廊下を走るなと何度言ったら分かるんだい?"呆れ怒る気力も無いのか深く溜息を吐く雅なる打刀の言葉に恐る恐る両瞼を起こしては困惑に眉尻を下げながら誤魔化すかのような力無い笑みを浮かべ「いや、すまんすまん。ありがとう。―…歌仙、それは?」黒の外套に閑麗な和装を纏うにも関わらず涼し気な面持の彼の隻腕には見事な幾輪もの向日葵。中庭に咲いたものを花器に活ける為に切ったとの科白に、不意に過るは一つの思考と褐色の竜の姿。両の掌を合わせ明日の朝餉の準備を手伝う事と引き換えに、入手出来た玲瓏たる一輪の花の長い茎を彼の持つ花鋏にて切り落とし。用途を問う想定外と言わんばかりの言葉には意味深な微笑を一つ返し、御礼の言葉と共に駆け出して。遠目にある広間からは昼餉の為に刀剣達が徐々に集まり始めており、朝のような和やかな談笑を咲かせているだろう。其れに相反し本能の赴くままに辿り着くは比較的閑散とした廊下で、すっかり短くなった緑の茎を持ち広く丸い日輪草を上の空に眺めていると、背後から近付く床が軋むような足音に反射的にッ花を背中に隠すように振り返り。其処に佇むは想って止まぬ相手、刹那こそ微かな瞠目を為すも先程の感情的な行為を思い出し、気恥ずかしさと気まずさ故に視線を下方へと落とし彷徨わせながらぎこちない笑みを浮かべて。) あー…、なんだ、もう終わったのか?随分と早いじゃないか。

  • No.221 by 大倶利伽羅  2015-09-06 14:31:41 

(昼刻をとうにすぎた午三つ時、昼九つの時刻。朝方戦場へ赴いて幾らか疲労が窺える腹部の中の調子を再び隻手で擦るも無意識のうちに足は食事室ではなく寧ろ逆方向へ足を進めていることに、不意に立ち止まることをした目の先に軒下の影を背負う襷の掛かった華奢な彼の背中に運が良いのか悪いのか、どちらにせよ見つけてしまい。後方の方角から今頃襖の取り払われた広大な食事室で机を囲み、思い思いに昼餉を味わって頬張っているだろう自分と眼前の彼除く刀剣らはその味を噛み締めているのだろうと安易に予想が出来、此処までに響く談笑の会話の中心はおおかた大太刀である酒豪な刀と其れに乗っかる威勢の良い刀が昼間からどんちゃん騒ぎ。屋敷内ほとんどの刀剣が其処一か所に集まっていることも相俟って人気が感じられないこの縁側はまたしても秘め事には最適な場面で。審神者から告げられた“夏祭り”の単語が妙に引っ掛かり、ゆっくりと数刻前の言葉を思い出すと“本日の夕方に夏祭りの催しがあるんだ、良かったら行って来ていいよ”確かそんな何気ない一言が彼とはまた別に其れが髄にこびりついて離れず。慌てた様子で何か背に隠す動作は目で認識出来ず、結局その後ろに持つものの正体が掴めないまま不自然なほどに歯切れの悪い物言いはお前のために一刻も早く終わらせたなどとは口が裂けても言えず、「あれくらいの怪我はすぐに治る。」一瞬と間が空いて言葉を懸命に探って勘付かれないように柄にも無く取り繕い。一歩、また一歩と彼の元に近づく度に唇の感触が忘れられずにいる口端が熱を思い出させ、それを振り払うよう冷静さを装いながら「お前の唇も、甘かった。…昼餉、まだなんだろう。さっさと行くぞ。」微妙な距離で足は止まり、熱や想いに揺らぐ眸は恐らく隠せていないにも等しい自覚を持ちつつ気を抜けばその熱のありかを思わず唇から滑って行くような気さえしてしまい、言いたいことを堪えてただ幾度目かの語句を選び、何故こんなところにと言う疑問を発することはなく飲み込んで、此方も気まずさから来る空気に視線だけ少し外側に向けて曖昧に目をせわしなく転ばせてゆき。)

  • No.222 by 鶴丸国永  2015-09-06 19:40:24 

(朝焼けの滲む乳白色の空は刷毛で塗り替えたような鮮やかな紺碧へと色を変え、東の空にあった太陽も天高い位置に鎮座し眩い程の陽光を降らせている。正確な時刻は把握出来ぬものの、普段と比較出来ぬ位に活気に満ちた賑わいが広い食事室から漏れ出し、微温い風に漂い縁側の廊下にまで届く。思えば出陣している部隊は全て帰還している為に顕現為した刀剣の全てが本丸に在る事実を認識し、真昼にも関わらず喧しい程の歓談の内容の大半が日が暮れた後の祭りに関するものだとは露知らず。然しそれらの音は彼が現れる事に因って、耳に膜が張り靄が掛かったように潜まる。彼が紡ぐ誤魔化すかのような違和感の正体には、煩く高鳴る心拍や先程の衝動的な口付けが脳内を占め感付く事は出来ず、「そう、か。そりゃあよかった!」何て上辺だけの快濶な声を上げ。此方へと歩を詰める長い脚許で視線を彷徨わせる事で精一杯。今朝には無かった絶妙な距離は歯痒くも有難く、通り抜けてゆく風すらも不思議と甘やかに感ず程には陶酔しており。不逞を働いた事に対し咎める事も無く、彼らしからぬ科白には思わず硬直し脳内が白紙に為りその意味を頭が理解した頃には頬に熱が蘇る。しかし昼餉を誘う文言に不意に脳裡を過る疑問は相手と同様のもの、双眸を持ち上げ疑問を問うべく薄く唇を開くも首筋を擽るように揺らぐ朱をのせた栗色の髪に言葉は喉許で閊え。相手の視線が外を漂っている事はまさに好機、不自然に開いた間に一歩踏み込み距離を詰めると後ろ手に携えていた向日葵の短い茎を右側の耳の後ろに差し込み、花弁の向きを調節して。想定通り褐色の肌に映える鮮やかな色に満悦の笑みを浮かべ「やはり君は日輪草が似合うなあ。」茎を隠すよう艶やかな毛束を掬い撫で付けると、一歩後退り改めて全貌を眺め。空腹を訴えているのは己とて同じ、腹部を擦りながら目線を送り。) さあて。腹も減ったことだし、そろそろ行こうか。

  • No.223 by 大倶利伽羅  2015-09-07 01:04:16 

(逢瀬が幾度も叶う見晴らしの良い縁側、慈しむよう肌に纏わる生温い微風は距離の出来た互いの間を知らぬ顔で通り抜けてゆく昼の時刻は朝方とは違い、大分時を刻む速度が遅めに感じられ。散り散りな雲が所々に見受けられる晴嵐の空は後には燃ゆる茜が空模様を覆い、やがて宵闇を引き連れゆくのも時間の問題だろう。不自然な程の区切りのつく相槌の意味は探らずとも容易く理解出来てしまう脳内処理の速度は此処ぞとばかりに何時にも増して逡巡が早く、不意に目を向けた彼の挙動不審に思える一挙一動さえも此方の心情を緩く掻き乱していく感覚は優越感か醜悪な独占の欲かも分からずに柔らかで肌理細やかな肌に薄く浮かび上がる朱の彩色、触れることは叶わずも視線の先にある冬の雪が深々と降り積もった箇所から一つ赤く咲くそれはさながら可憐で美しく、強くも儚くも思える藪椿の花を思い起こさせ。審神者の手持ちである現世の書物に目を通したその名と強い色味の花に目を奪われ、強く鮮明に記憶の内に過り。廊下より外側の世界、すっかり緑に色づいた庭先に意識を何とか向けた途端軋む廊下の床から贈れて察知出来たものの耳上の違和感と指先に感情は所作の一つ一つに揺れ動き。何か髪をすり抜けた指先に再び視界の中の風景に彼の破顔した表情を映して「…―椿だ。冬咲きの藪椿が咲いたら、返す。」先程連想させた花の類を唇から科白を滑らせては軽く手を伸ばし、鏡合わせに反対側の耳上を指の甲で撫で付けて独りごち。飾られた見目派手な花を退けることはなく、踵を返して食事室に足を向けながら花と言う一種の贈りものへ微かな喜色を滲ませる口許をらしくもなく隻手の平で覆い。)時刻が夕焼けに移り変わる頃に、縁日があると聞いた。…お前は、行くのか。

  • No.224 by 鶴丸国永  2015-09-08 01:01:12 

―…俺は君から貰ってばかりなんだが、楽しみが増えるのは良いな。
(烏兎怱怱とは良く言ったもの、前の主人の元で数百年共に在った頃でさえ飽く事の無かった存在、彼との時間は幾らあれど物足りぬと感ず程に足早に過ぎ去ってしまう。今は未だ天上にある日輪もあれよあれよという間に西の空へと傾き、薄暮の訪れを示すかのように辺り一面を妖艶なまでの茜色へと染め直す事だろう。先程の大胆な行為だけでなく度重なる逢瀬の記憶や相手との睦言紛いな会話が順不同に脳裡に蘇り、動悸に揺れる胸中の対処法を持て余し戦時に己が求める色を為しているであろう頬に団扇を模した隻手で微風を送る事しか出来ず。栗色と先端の緋を差した髪を飾る艶やかな向日葵は少々派手であり、一般的には女子の装いとも言えるものの推測通り彼に良く映える。斯様な色男を他の者に見せる事は憚られるものの、周囲に曝したいという顕示欲が頭を擡げ伏し目がちに脳内にて葛藤していると、不意に此方へと伸びる腕が視界の端に映り込み相半ば反射的に視線は相手の方へ。髪を撫ぜる指と共に紡がれる贈花の予告には意外性すら感ずもの、見返りを求めていた訳でも無く更に言うならば唯の自己満足であったが故に暫し呆けたようなかんばせを晒すも嬉々と表情を綻ばせて。目的地を同じくする相手に少々小走りに追い付くと歩調を合わせるように歩みを進めながら、掌の裏で端整な口許が仄かに緩んでいる事も露知らず其れを視線にて覗き込むも唐突な問い掛けに我に返るかの如く幾度か小刻みに瞬き。実際に訪れた事は無くも知識として頭にある夏の風物詩の一つであろう催事、興味惹かれる物事に迷うまでも無く選択肢は一つ。) 縁日か、初耳だな。そりゃあ勿論行くさ。…君は?

  • No.225 by 大倶利伽羅  2015-09-08 06:15:40 

…別に、お前の笑顔を見るのは嫌いじゃない。
(初夏もとうに過ぎ去った葉月の月、かんかんと容赦なく廊下に射し込む光は夏の終わりが迫り来る有限の期日など思わせぬほどに体感気温は軽く三十を超えている気候は正に蒸し暑いとも言えよう。夜の帳が落ち行く方角を一瞥してみるとまだまだ、真夏を感じさせるほどにゆっくりと時間と共に太陽が息衝いているような気さえ覚える。綺麗で鮮明な、絵具の画材で絵皿の上に肌色の白と其れに浮かび上がる緋を混ぜ合わせてみると色素に倣って仄かな薄桜色にでも出来上がっているような赤味の差した眼前の頬は今更彼が仮にも暑さの所為にしておいても手遅れに過ぎなく。数刻前の出来事からの熱が醒めることも未だ知らず、何時になく煩く脈打つ鼓動や膨れ上がる愛念も隠すよう心掛けつつ今し方彼から綺麗に顔を出した日輪草に対す感情は単純にも逸る気持ちを抑えきれず。彼の胸中の葛藤までは察することが出来ずとも、一々と四季折々の如く忙しなく移り変わる彼の表情には胸の奥底から現在の季節にそぐわない心地の良い安定感と言う波を纏って滲む此の感情は一体何だったか、笑顔から実感するはもう既に彼の虜。薄く撓らせた唇は落ち着きを取り戻し、漸く手を退け覗く金の眸と己の眸が絡み合うと一度ゆっくりと瞬きをして見せて。夜には蛍が池周りに光るだろう庭先は鯉が泳ぐ事で清涼な音が耳に届きつつ、此方の催事への問い掛けは彼らしく好奇心を煽る単語には予想通りだと息を吐き。「なら俺も行く、お前は目が離せないからな。」祭事には疎いほど興味がないとは言えども、彼ならば彼方此方とふらついて行きかねない事は目に見えているが事実この表面上は口実にすぎない。時折前屈みに傾く耳上の向日葵を落とさぬよう調整をしながら歩いていると何時の間にやら賑やかな食事室に辿り着いた途端に装飾と化した花へ吃驚とした視線を各々に集めるも形振り構わず空いている箇所に腰を落ち着け、机上を見るとどうやら本日の昼餉は素麺のようだ。)

  • No.226 by 鶴丸国永  2015-09-10 06:18:41 

…俺は君の笑顔も見たいんだがなあ。
(黄熟した猛然たる陽光は刺すように燦々と降り注ぎ、瑞々しい深緑の草木を焼いてしまうのでは無いかと憂慮してしまう程。まさに油照とは今のような天候を指すのだろう、土の地面から立ち込める草いきれや粘るように身体に纏わりつく熱気には、屋外に佇んでいるだけで体力が奪われると言っても過言では無い。人の身で初めて経験為す朱夏は規格外に過酷なもので、風鈴の色紙の短冊を揺する涼風があれど風通しの良い縁側でさえ和装を纏った肌は汗ばみ。比較的薄着の己に相反し、学生服を模したような上着は逞しくも引き締まった両腕を肘下迄隠しており、彼に対し抱く行き場の無い恋慕の隙間にその下に潜む左腕の竜が蒸されないかと戯れ紛いの思考を巡らせ。贈花を受用して貰えた事に悦に入りながら、他の刀剣達と合流すべく食事の広間へと歩を向ける。漸く絡んだ視線と緩慢と上下する睫、ただそれだけの事でさえ酷く艶やかに映り視線を逸らす事が出来ず、真似るように一度瞬きを。歩行に伴って傾く生花に手を伸ばすも、落ちぬよう先に処理を為す様子に思わず吐息交じりの笑みを零しながら、彼の言問いに因って脳内に描くは薄暮から始まる賑やかな夏の祭事。目新しいものばかりが並ぶであろう未知の空間に心中は雀躍するも、温かな感情が広がり思い描いた光景は更に華やいだものへ。喧騒や人混みを嫌うであろう彼の同行を意味する呆れ混じりの発言には少々驚きが隠せず、「おいおい、別に騒ぎを起こすつもりはないぜ?…まあ、君も行くんならきっと楽しいな。」理由は如何あれ彼との二度目の外出が叶う事に、今は未だ夕闇の気配すら見せぬ紺碧の空へと思いを馳せ。食事の間、開く障子に何気無く向けられた周囲からの視線は一度外された後に再度動揺と驚愕を伴って注がれる。その対象が相手の髪を彩る夏の花だとは理解しているが故に、込み上げる笑みと些細な優越感に口許は緩み。折良く空いていた彼の左隣の座布団に胡坐を掻くよう腰を下ろすと、視界に映るは氷がのった白い素麺の大皿と葱や茗荷、生姜などの薬味など暑さを和らげる涼やかな献立。配膳当番に因って運ばれてきた麺汁の入った器と握り飯、夏野菜の和え物へと視線を向け嬉々とした声色にて。) おお、素麺か!涼し気でいいな。

  • No.227 by 大倶利伽羅  2015-09-11 13:16:41 

どうでもいいが、生憎俺は易々と愛想を振り撒けないものでね。…見せる相手くらいは、俺が決める。
(夏野菜も新鮮に実り始める夏爛漫、彼の胸元に飾られた華奢な梵字の装飾に時折陽が反射して煌めいている強い光に双眸を細めるばかり。彼に託したままの其れは案外真白の装束に際立って見え、最初から彼の所有物だったかと思わせるほど馴染んでいるようにも見え。短冊を括り枝垂れる銅の響く鈴の音は静かで二人の空間に心地が良く聞こえ、軽やかなる旋律は微かで儚いものにも思う。今し方彼から貰い受けた贈花に今にも至る箇所から誉を取り続けたもののように季節外れの桜の花びらが舞ってしまいそうな事態は何とか避け、胸中で感情を固く結んだ紐の綻びを噛み締めて。真似るよう下ろされた瞼の所作に暫し魅入る視線を向けずにはいられず、睫が完全に降りた彼の愛らしい唇に食らいたい衝動を覚えるも堪えつつ再び金の眸と視線が絡み合うとそのゆっくりとした瞬きをする意味を知ってか知らずか口角が思わず微かにだが持ち上がり。祭事は経験こそないものの、賑やかすぎることだけは理解出来る。審神者によると屋台と言う出店が正中を挟んで幾つも並び、その真上には提灯も幾つか並ぶ其れは祭事を盛り上げる要素の一つなのだと思い返し。一つの行事だと言う社寺の祭りに対す物珍しさに彼方此方駆ける彼の姿を容易に想像出来、「…はぐれたら承知しないからな。」人混みの中姿が忽然と見当たらないとなれば絶望的に過ぎず、念を押すような語調で言葉を紡ぎ出し。二度目の外出が叶う好機の口実、今や鬱陶しいほどの微温い風さえも気にはならずにいて。耳上を華やかに彩る日輪草へ一気に多くの刀剣の目を集めるもさほど気にはならなく、暫くして隣に腰を掛けた彼を横目で一瞥すると手を合わせて割箸袋から引き抜き、一思いに割って葱を器に数個取り入れ揺らぐ麺汁を軽く手に持ちつつ大皿に盛りつけられた素麺に箸を伸ばして。束を纏めるように摘み上げ、それを麺汁に中ほどまで浸すとつるりとした性質を利用して唇から麺を咥内へ滑らせ、徐に咀嚼を始めていき。)

  • No.228 by 鶴丸国永  2015-09-13 05:04:04 

安売りはしない、ということか。…そりゃあいい、笑わせ甲斐がある。
(爛々とした陽光は瓦屋根や中庭に照りかかり、草木や実った夏野菜を一層鮮やかに見せる。梵字を刻んだ彼の大切な首飾りは今朝方から装備している故か、脳内を占める浮付いた慕情の所為か返却を忘れてしまう程。同様に、手袋を強引に交換為している事すらも記憶から暈けてしまっている始末。歩行に従い揺れる朱を帯びた髪と色彩豊かな日輪草、横目に映る夏らしい装いに意識を向けながら、まるで動物が為す意思疎通の方法のような瞬きを送り合うという単純な無言のやり取りさえ、何処か倒錯的に感じ胸中は雀躍するばかり。加えて、瞼を起こした先に映る仄かに和らいだ面持ちに嬉の感情が漏れ出すかの如く口許は緩み。刀生の頃、文献や人伝えで聞き及んでいる縁日の光景は何とも煌びやかな印象が強く、非現実的なものと認識しているが故に真昼の今から黄昏時を待ち焦がれており。相手の気苦労など露知らず、杞憂だと言わんばかりに快濶とした笑声を零し「何とかなるさ。…そういや、縁日というものは浴衣を着て行くものだとあったんだが、どうだろうなあ。」数日前に本丸内の一角にある審神者の自室に驚きの仕掛けを為すべく侵入した際、机上にあった彼らの時代の鮮彩な写真の多い平らな書物から得た情報を思い返し。食事室、障子を外し簾を吊るす事に因って外の涼風を取り込む夏座敷を施しているが故に、人の数は多くあれど火を使わぬ昼餉も相俟って比較的涼しい空間となっており。動揺は寸刻の事、各々がまた歓談へと戻り遅れて現れた者を注視するような目線も緩和される。相手と同様に、汁の中に葱や摩り下ろした山葵を一摘み程加え箸の先で軽く掻き交ぜた後に、大皿から一巻分の細麺を掬い取り汁の器に浸すと少々ぎこちないながらも啜るように口内へと送り。畑当番で火照った身体に心地好い清涼感のあるそれを堪能するよう、上機嫌に目尻を下げ咀嚼していると懸想の相手とは別側の腕を小突かれるような感覚に視線をそちらに向け。其処に座すは薬研通しの短刀、何処か悪戯な微笑を浮かべ"日輪草を送るとは、鶴丸の旦那もやるじゃねえか。"揶揄を含めた耳打ちに刹那こそ目を瞠るも、含羞を目許に添えつつ得意気に唇端を上げておき。)

  • No.229 by 大倶利伽羅  2015-09-13 15:09:19 

単純すぎだろう。…――心配はしなくていい、俺はもう決めているからな。
(刻一刻と暮れ行く無情な時間帯を気にすることよりも、今は縁側にて彼と自分で二振りの刀が逢瀬に相見えていることに一時の秘密裡に耽り込まないほうが可笑しいと言えよう。彼の首に枝垂れるよう掛かっている飾りを態々返却する催促すらする気も起こらず、寧ろ顕現されてから自分の身体の一部だったものを彼が身に着けていると言う現状にただただ胸中に塵となって積もる背徳感や支配の欲を徐々に纏わせゆく。此方の発した物言いに対す彼の今にも笑わせんと向かう雰囲気を何処となく感じ取れ、胸に詰まる吐息を静かに明け暮れ行く空へと逃がすと僅かに呟く小さな声量にて揺れ動く数多くの慕情の中で一つ決意の志を表しておき。連日続く縁側での逢瀬に続いて嫋やかなる彼との視線の逢瀬も叶い、言葉もなく、然し意味はある目線同士の交わりから破顔する崩れた造作もない表情に強く胸を打たれ、彼に向けた眼差しを咄嗟に誤魔化すかの如く前に向き直る自分の気持ちも中々に純朴そのものであることは明確。神仏との有縁でゆかりのある日に祭祀が行われると聞く縁日、審神者の言う現世では締めの最後に花火の大輪を夜空に幾つも咲かせるのだと言う。花火は何だと聞く暇も皆無だった所為か詳細を拝聴出来ず、恐らく名前の通りなのだと解釈しておき。此方の気も知らず愉快な笑声に少しばかり不機嫌気味になりつつ、本日暮れから開始される祭事の催し物に対す召し物の装いは「浴衣?…お前が着ればいい、俺はそれに従う。」あくまで自分のことは後回しに、先に彼だけを催促して。簾を吊るすことで食事室には其々と各地に日陰が畳を覆い、見目と伴って程好い涼感が室内に漂い、簾の隙間から舞う微風は陰によって軽減されて気持ちよく食事を取ることができ。長机を挟んで向かい側で正座にて鎮座する以前、隣にいる彼と皇室御物で顔見知りだと聞く春告鳥の意味深長気味な視線と視線が合い、緩慢に微笑みを此方に向けてから隣に目を掛ける姿は見透かされているような気持ちになり、些か落ち着かない心境にて。一度何度か手をつけた素麺に向ける箸を止め、手に持つ器を机上に置いては次なる矛先は夏野菜の和え物。赤茄子、所謂トマトを摘み上げると其れを咥内に放っては酸味と甘さが緩和された味わいを舌上で感じ、左隣の彼よりも隣の短刀と遣り取りしている言葉は興味が無さげに、「おい、国永。素麺が伸びる。」此方に振り向かせる為に銘の名を呼び、後は簡潔に用件だけを告げては何事も無かったように和え物のレタスを小気味良い音と共に食し始めて。)

  • No.230 by 鶴丸国永  2015-09-15 08:09:48 

何だ、もう決まっているのか。…そりゃあ残念だ。
(互いの持ち物を取り替えて身に着ける、まるでその部分に相手の存在が息衝くような感覚と同様に彼を己に色付けるような、一種の香付け紛いの牽制には陶酔に似た感を抱く。人気の無い場所での彼との逢瀬が日常の一部と成りつつある現状、時折互いの金糸雀色の眸の先を合わせ言葉を交わす何気無い一時は何にも代え難いもの。そう感じ得るは刀剣破壊に至るような傷では無いものの負傷し帰還した彼を見たが故。徐々に過激化していく戦闘、血肉を裂き歴史改変を目論む輩を討つ事こそ顕現された所以であるからこそ、本丸での彼との長閑な遣り取りに胸に温かな灯りが帯びる。彼の破顔を目論み意気込むような文言に対するは杞憂と言わんばかりの確固たる意志を秘めており、其れに淡い期待を抱かざるを得ない。数多ある可能性を考慮し其の対象を問う事はせずとも、落胆を意する言葉とは裏腹に頬の緩みを抑える事が出来ず。広々とした食事の間に集まる本丸に顕現した全刀剣達、最も上座とする位置には珍しくも審神者の姿があり、左右を取り囲み日没後の催事に関し問う短刀達の無邪気な様が何とも微笑ましい。右隣の彼の正面に春見鳥の名を持つ平安太刀と彼との無言の遣り取りや透かしたような視線など露知らず、恐らく花に付いた意味を知るが故に悪戯な微笑を湛えている右隣の短刀に其の真偽を確かめるべく唇を開いた矢先に別側から掛かる声。煮麺で無い料理に彼の指摘のような事が起きる事は無いだろう、其れに気付いたらしい織田の短刀が堪え切れぬ笑みに口許を手で隠し身体を震わせているのを横目に、「ん、ああ。やっぱり暑い日には冷えたものが美味いな。」此方の気を引く為の科白ならば何とも愛らしく、無意識であろうと此方に気を配るような意思に心中が喜色に満ちる事に変わりなく、彼と同様に旬野菜の和え物の中から輪切りの胡瓜に箸を伸ばし歯応えの良い其れを咀嚼して食事を進めていき。)

  • No.231 by 鶴丸国永  2015-09-15 08:20:13 

何だ、もう決まっているのか。…そりゃあ残念だ。
(互いの持ち物を取り替えて身に着ける、まるでその部分に相手の存在が息衝くような感覚と同様に彼を己に色付けるような、一種の香付け紛いの牽制には陶酔に似た感を抱く。人気の無い場所での彼との逢瀬が日常の一部と成りつつある現状、時折互いの金糸雀色の眸の先を合わせ言葉を交わす何気無い一時は何にも代え難いもの。そう感じ得るは刀剣破壊に至るような傷では無いものの負傷し帰還した彼を見たが故。徐々に過激化していく戦闘、血肉を裂き歴史改変を目論む輩を討つ事こそ顕現された所以であるからこそ、本丸での彼との長閑な遣り取りに胸に温かな灯りが帯びる。彼の破顔を目論み意気込むような文言に対するは杞憂と言わんばかりの確固たる意志を秘めており、其れに淡い期待を抱かざるを得ない。数多ある可能性を考慮し其の対象を問う事はせずとも、落胆を意する言葉とは裏腹に頬の緩みを抑える事が出来ず。次いで意識は薄暮の頃に行われる催事へ。人の器を得る等又とない機会であり、折角ならば何事も彼らの真似事を為すのも一興。此方に判断を委ねるような意思を良しとして、「郷に入っては郷に従え、だ。俺は着るぜ。…君も、是非着てくれよ。」内番衣装や戦の装いなど、洋装である事が多い相手の和装を見てみたいという好奇心紛いの我儘を秘め、尤もらしい物言いにて。広々とした食事の間に集まる本丸に顕現した全刀剣達、最も上座とする位置には珍しくも審神者の姿があり、左右を取り囲み日没後の催事に関し問う短刀達の無邪気な様が何とも微笑ましい。右隣の彼の正面に春見鳥の名を持つ平安太刀と彼との無言の遣り取りや透かしたような視線など露知らず、恐らく花に付いた意味を知るが故に悪戯な微笑を湛えている右隣の短刀に其の真偽を確かめるべく唇を開いた矢先に別側から掛かる声。煮麺で無い料理に彼の指摘のような事が起きる事は無いだろう、其れに気付いたらしい織田の短刀が堪え切れぬ笑みに口許を手で隠し身体を震わせているのを横目に、「ん、ああ。やっぱり暑い日には冷えたものが美味いな。」此方の気を引く為の科白ならば何とも愛らしく、無意識であろうと此方に気を配るような意思に心中が喜色に満ちる事に変わりなく、彼と同様に旬野菜の和え物の中から輪切りの胡瓜に箸を伸ばし歯応えの良い其れを咀嚼して食事を進めていき。)

( お祭りの事がすっかり抜け落ちてしまい…申し訳ありません。
寝惚けていたのかもしれませんね(…) 少し追記させて頂きました。
現実世界では秋に入ろうとしておりますが、この一日は夏を満喫致しましょう! )

  • No.232 by 大倶利伽羅  2015-09-17 12:14:27 

くそ、―…無自覚か。
(中庭各地に聳える木々にて羽根を各々に木陰ながらも木漏れ日の狭間にて休めている蝉の時雨も一層と賑やかな喧騒を思わせる昼中、煩くせわしない季節の鳴き声に相反する縁側の穏やかなる時間が流れる雰囲気は人間の身体を審神者に顕現して貰ってからと言うもの、日々刀故に過去である幾つもの戦場を駆け抜けいつ何処で破壊され、何処の時代で重傷を負うやも分からぬ毎日があるからこそ殊更人間である身を受けている以上彼との平穏な時間に対す有難味をしみじみと感じられずにはいられず。彼の口許から暗然とする言の葉よりも裏腹に気落ちさを見せぬ身構えは既に自分の思惑や情熱、密めたる恋の病を患う胸中を看破されたような疑惑を抱き、調子が狂われる心持ちの気配を察すると未だ頬がこれでもかと言うくらいに花が綻ぶような笑みを浮かべたままの美しく、それはもう見る人ぞ振り返らずにはいられないと言った表情が向けられてしまうと思わずと言った形で口許に再び手を持ち、指先で先刻の触れた彼の愛しく柔らかなる口端を微かに擦りつつもその指の隙間をすり抜けるような僅かな小声にて彼へ暗雲とする随分と身勝手な嫉妬と独占欲のままに呟きを残して。その間にも語り継がれゆく伝承のある祭事の決め事は簡素ながらも着々と進み、最終的に彼に主導権を自ら手渡した結果は服装の指定。「勝手にしろ。……お前の浴衣は、似合うだろうな。」彼の提案には二つ返事で了承し、いつもながらに平安時代に打たれた刀である事を思わせる和装の服装を身に纏う彼の姿は毎日、友人にしては不器用にも距離の近い顔を合わせる仲として見慣れたもので、彼の言う浴衣の服装は想像に難くなく容易に脳裡にて思い浮かべると素直な気持ちからまだ見ぬ彼の一面へ感想と言った愛慕含んだ言葉にどうか気づかれぬようにと、願いながら言の葉を紡ぎ。相も変らぬ食事室の間は外の喧騒にも負けじと賑やかなる和気藹藹とした多種多様の声が飛び交い、上座に居座る審神者に迫っては目を輝かせる刀は限られるがそれでも心なしか此処で食事を取る刀剣達は密かに興味津々といった表情が感じ取れる。髪を彩る華やかな顔を覗かせる日輪草、とても気に入っているそれの花言葉と言った粋のある意味合いを唯一知る刀だろう薬研通しの彼との遣り取りは露知らずとも此方が呼び掛けるだけで自分と同じように食事を再開していくさまは何とも変わり映えの無い日常すら単純に気持ちは嬉々として温かみが滲むように帯び始め、「ああ。」どのような言葉を選んで発言したら良いかが分からずに、結果いつものように会話の展開を催促することのない相槌だけで返事を返しては箸を汁の器へ掛けるように置いて次に握り飯を手に取り、三角の頂点からかぶりつくと口端についた米粒を指の腹でもって口に運んでいき。)

  • No.233 by 大倶利伽羅  2015-09-17 12:19:45 

(いえ、お気になさらず…!
此処の所寒いばかりですね、どうか体調等崩されませんようご自愛くださいませ。
是非この一日は夏祭りを満喫し、ぎこちない仲ながらも楽しみましょうね!
本文の方が思わず、あれやこれや欲張った所為でこのようにレスを分けました。(…)
仰る通り現実世界は秋めいていますが、夏を堪能する遣り取りを楽しみにしています。
何卒、宜しくお願い致します…!)

  • No.234 by 鶴丸国永  2015-09-20 20:06:41 

あー…勘違いじゃなかったらいいんだが、…楽しみにしてるぜ?
(遠くから幾つも折重なって聞こえる蝉時雨は薫風と共に本丸内へと運ばれ、十二分な程に盛夏を知らせてくれる。決して合わさる事の無い互いの足音は歩幅の差に因るものだろう、浮足立ったような雀躍とした心中とは裏腹に戦場とは程遠い安穏な時間が流れる縁側、意図的に普段よりも緩慢とした足取りにて目的の場へと歩を進めながら声質の異なる言葉を紡いでいき。鼓膜を擽る穏やかな低音は譬えるなら雨音、酷く心地の好いそれに無意識の内に口許は緩む。自意識過剰を承知の上で一抹の哀愁を漂わせるかのような発言に対し、指の隙間から垣間見える相手の形の良い薄い唇は微かな動きを見せるも大地の音紋に掻き消され其れを拾う事は叶わず。彼の口許へと視線を向ける事に因って脳裡を過る洗面場での遣り取りに胸中が沸き立つような心地を抱き、其の繊細な指先を取り払う代わりに口吸いを為せば如何様な反応を見せるだろうか、等と浮かび上がる不義な好奇心を強引に奥に押し留め。逡巡の後に恐る恐るといった具合に彼の方へ目線を向けると、勘違いであった時の事を見越し微かに眉尻を下げ誤魔化すかの如く曖昧な笑みを唇に浮かべて。短夜を彩る盛大な今晩の催事に花を咲かせている最中、相手の和装を思い描く。己と大差の無い背丈と引き締まった体躯に華奢な腰、恋慕故の贔屓目を差し引いても彼の和装は想像以上に似合うものだろう。此方を褒めるような言葉に胸の内にある水面に水滴が落ちるような穏やかな揺らぎを感じながら「ああ、期待しておいてくれ。…君もきっと似合うぞ。色男間違いなしだ。」上機嫌な笑声を零した後、御墨付を与え。睦まじく語らう刀剣達と其れを扱う審神者と共に取る昼餉は随分と賑やかなもの、彼方此方での話題は専ら祭りに関するものだろう。右隣の短刀との会話もそこそこに清涼感のある献立に箸は進み、冷えた赤茄子に齧り付き肉厚な食感と口内に広がる甘みを楽しみ。箸を置く手に相半ば無意識に視線を向け、次いで握り飯を頬張る様を眺めては艶のある米粒が指先に因ってもどかしく口内に含まれる光景が形容し難くも艶美なものに映り、動揺を察知されないように慌てて目線を外す。真似るように箸を置き海苔を巻いた三角の其れを一つ隻手にて摘み上げては齧り付き、「中身は全部同じか?」何て白飯に包まれた鮭の解し身から相手の手元へと視線を移しながら、平然を装った声色にて他愛も無く問い掛け。)

  • No.235 by 大倶利伽羅  2015-09-23 18:29:38 

(俺から失礼する、どうでもいいお知らせみたいなものだ。
ざっと聞き流すか読み流すくらいでいい、重要なものではないからな。
背後がレスを返す暇を見つけられず、遅れてしまうことがあるらしい。
そのときは待たせてしまうが、必ず返事は書くと言っている。
特に今週土日は暇を確保したもので、そのどちらかにレスが出来たらと思っている。らしい。
決して、俺と背後ともに黙っていなくなることはないから安心してほしい。
…俺とお前、こっちの背後とそっちの背後。
長く続く事を願って、此処にしっかりと知らせたからな。

すまない、今しばらく待っていてくれ。)

  • No.236 by 鶴丸国永  2015-09-25 03:49:43 

(多忙な中、気遣い感謝するぜ。
俺も返信頻度にはばらつきがあるからなあ。
君は、君自身の身体やリアルの方を優先してくれ。

―…何て、居なくなる心配はしていないが
君からの言葉を待ち侘びていたのも事実だ。
だから、嬉しいぞ。有難うな。
背後も俺の後ろで桜の花弁舞わせてるぜ。

退屈は好かないが、君を待つのは嫌いじゃない。
あまり無理をし過ぎるなよ。
それじゃあ、体調に気を付けて。)

  • No.237 by 大倶利伽羅  2015-09-27 05:36:51 

ああ。…まだ、相手がどんな奴かは言えないが。
(平穏な日々、朝方は戦場に赴いたとは言えども所詮は難易度の比較的容易なる過去の場。何処か彼の姿を思わせる時代ならではの独特な雰囲気は一瞬、この時代の何処かの似て非なる彼の姿を探し出そうとしたのもあり。無事見つけ出すことが出来れば、恐らく退屈の天敵である皇室御物に献上される前に駆け落ちの如くこの腕で華奢なる身体を抱いて攫うのにと脳裏をかすめたのもまた、事実。そんな脳裡を振り払うよう夏の日和を感ずる日輪は些か厳しいもので、じんわりと肌の表面が霧雨くらいの小粒が幾つも実をなすものが衣服の中に感じられ。彼が言の葉を紡いだ返答は簡素なもの、その相手は目の前の姿である刀には変わりはなくとも今は人間の姿をしている美麗なる美しい風貌に横目の視線で流し見遣り、すっかりとなりを奥に隠した唇を覆う手を退けながら答えは決まっていると言うのに中々唇から滑り出すことは出来ず、不意に退けた手元で相手の蟀谷に光ったようにも見える肌を指の側面にて優しく擦りながら敢えて曖昧で明確でない言い回しを彼へと言葉を掛けて。暮れる日没の時刻にての装いを脳裡で簡素に思い浮かべ、揺蕩う思考回路の中で現れるまるで水面のように揺らぐ想いをも乗せながら浴衣も違和感なく着こなす背中は思わず手を伸ばしたくなるような心地さえ感じ。逃げ場のない募るものに微かな吐息を溢して自分の首許を軽く隻手にて擦り、序でに御墨付きを貰い受けてしまうと「何だそれは。…それに、色男はお前のほうじゃないのか。」複雑そうなすっきりとしない面持ちにて笑声を小耳に挟みつつ、内番装束の姿に視線と言う額縁の中に緑萌ゆる背景を背にする彼を風景の中に認めては眩しげに双眸を薄め。彼方此方で賑やかなる祭りへの話題は途絶えることを知らず、審神者をいまだに四半刻はゆうに越えても左右に挟んで彼是聞き出す刀剣もいれば気の早い刀は早速とばかりに浴衣を纏いに部屋を出る者も様々。そんな光景を後目に握り飯を頬張って齧っている所へ隣から掛けられる言葉、それに応えるよう白米に覆われるしそ昆布にいりごまを和えた中身をやんわりと擡げるように見せてから彼の手元の握り飯の具材へ目の先を転ばせ。「いや、種類が違う。お前のそれは、鮭の解し身か。」中身の種類が異なるもの、実際彼が食す鮭の具は色鮮やかでありながらまた違った食の欲をそそられると衝動的に反対側の手元で彼の握り飯を持つ側の手首を掴んでは微かに此方側に引き寄せて緩慢と頭を持ち寄らせ、顔を近づけるなり味見の如く鮭の身ごといまだ温もりを持つ白米に齧りつき。)

  • No.238 by 大倶利伽羅  2015-09-27 06:15:43 

(気遣い、感謝する。
此方は無理を働いていないからな、心配には及ばない。
だがお前も体調を懸念することに越したことはないだろう。

…お前のその言葉で背後が花弁散らしてばかりで憂鬱しい。

中秋の名月、十五夜。
どのような姿を見せるのかはどうでもいいが、
俺は、お前の瞳に常に宿る双月で十分だ。
このことは気にしなくて良い。…じゃあ、また。)

  • No.239 by 鶴丸国永  2015-09-27 21:58:52 

(中秋の名月だと聞いて、君に伝えに来たんだが
まさか先を越されているとは、いやはや驚いたぜ。
君がそう言うなら、この月は竜を照らしているさ。
…だが、それでは宵の月が妬いてしまうだろう?
今日くらいはあちらも愛でてやろう。
月見酒というのもオツなものだと思わないか?
いつもより丸くて明るい、これを君と見たいものだな。

…すまない、あまり時間がないんだ。
描写の付いた文は後日になるが、少し待っていてくれ。
嬉しい言葉をありがとう。それじゃあ、また。)

  • No.240 by 大倶利伽羅  2015-09-30 13:23:36 

(中秋の名月とはよくいったものだ。
月見酒、か。
ああ、これくらい綺麗なものであれば独り占めをするのはいささか勿体ないな。

頻度に関してはゆっくりで構わない。
時間がなければないで良いだろう、
お前はお前の都合でやっていけば良い。
俺とて待たせているからな、気にするな。

じゃあ、また。)

  • No.241 by 鶴丸国永  2015-10-01 10:35:52 

なら君から教えてくれるのを気長に待つとするか。
(屋根の下に居ても猶蒸すような熱気が、徐々に馴染み始めてきている人の身体に纏わり付く不快感に慣れる事は些か困難を極め、人の器を得て初めて過ごす朱夏に心身共に困惑を隠せぬ様子。地に降り立った竜が歴史改変に直結するとも言える危げで不義な思考を巡らせている事等露知らず、然し今の慕情を持ち合わせている上で彼と同様の立場ならば、斯様な行動も厭わない所見を持ち合わせている事には似たり寄ったりという所。切れ長の流麗な眸が此方を一瞥したかと思うと、伸びて来る褐色の手に半ば反射的に其方側の瞼を瞑り、慈しむような優しい所作に見過ごす事の出来ぬ心中の揺らぎを感じながら年長者の余裕を見せるべく唇端に微笑を滲ませて。思考は照り付ける日輪が沈み入った宵の祭事に向き、脳裡にて寒色から暖色まで様々な色合いの浴衣を彼に合わせ楽しむ様子。平時こそ天邪鬼とも言える片意地な言動が端々に見受けられるにも関わらず、羞恥の色など皆無で此処ぞとばかりに紡がれる言葉に気も漫ろであり、鼻腔を抜けるような笑みは当惑を秘めたもので。「君なあ…全く、伊達男はこうだから困る。」髪に挿した向日葵の如く紺碧の空が似合う彼を視界に捉えた後、参ったとばかりに小さく肩を竦めてみせて。広間に到着したのは最後であったが故に、早々に食事を終え器を片して行ったかと思うと薄暮の縁日に胸を躍らせて走り出て行く者達、其れらの背中に注意を促す雅を介す打刀の声など普段通りの光景を横目に長閑に食事を進めて行く。然しその穏やかな胸中は想定外に大胆な行動を取る彼に因って終わりを告げ、自らが唇を付けた場所を躊躇い無く齧り付く様にやおら近付く精悍な横顔を映した侭に瞠目。彼の正面に座す古備前刀が何やら感心の声を上げるなど耳にも入らず、唇が間接的に触れ合うような感覚に嬉しいやら気恥ずかしいやら。耳や目尻に熱が籠るようで慌てて顔を伏すも、動揺を悟られまいと「…美味いなら全部食べてもいいぜ。」何て弱弱しく述べてしまうは、胸に満ちる喜色に一杯一杯であるが故。)

  • No.242 by 鶴丸国永  2015-10-01 10:40:00 

(嗚呼、光忠に月見団子でも拵えて貰おうぜ。
君も少しくらいは飲めるだろう?

そう言って貰えると有難い。
月の変わり目は少し遽しくて困るな。
それと、俺の背後からの提案なんだが
ある程度昼餉のやりとりが済んだ所で
縁日まで時間を進めようと思う。
その判断は君が下しても俺がしてもいいんだが
先ずは聞いておこうと思ってな。…どうだろうか?)

  • No.243 by 大倶利伽羅  2015-10-01 22:56:47 

(月見団子、ずんだはあるのか。
飲めないわけではないが、お前は良い歳だろう。
飲むにしてもほどほどにしておけ。

嗚呼、此方も些か性急だ。悪いな。
それでいい、提案をくれて感謝する。
昼餉が済んだら時間を進め、それから興じよう。
お前の浴衣姿はどんなものか見物だな。
描写つきのものはまた、次の非番の時にでも書く。)

  • No.244 by 鶴丸国永  2015-10-04 15:46:07 

(おっ、ずんだか。
いいねえ、あの頃を思い出す。
…心配は有難いが、爺扱いをされる程耄碌もしていないぞ。
ましてや次郎太刀や日本号みたく規格外の量を飲む訳でもないしな。

その言葉、そっくりそのまま返しておくぜ。
君が何色の浴衣を着るのか、楽しみだ。
忙しいみたいだな。あまり無茶はしてくれるなよ?
気は長い方だ、ゆっくり待っているからな。)

  • No.245 by 大倶利伽羅  2015-10-04 22:26:13 

(目許を指で触れた先から綴じられるかたちの良い美麗な睫毛、そのしぐさ一つ一つに胸を強く打たれてはまるで猫を思わせるそれは胸中に確かな慈愛を抱いて。彼らしく唇に滲む微笑、今すぐこの腕に抱き寄せて花弁のように彩られる桃の口許へ竜の暴れるままに噛みつけばどうなるだろう。反応は知れていると言えども怖いもの見たさ故の衝動は秘めたる慕情を募らせる喉奥に飲み込み、目尻を優しく撫でた指で無造作に跳ねる彼の側頭部に掛かる髪を耳殻の裏側に流すよう掛けてから名残惜しげに指先から離れさせ。時折耳上を艶やかに飾る向日葵の茎部分に手を掛け、落とさぬようにしつつ彼の装いについて考え出すもどの模様も背景も白い浴衣を纏う姿しか思い浮かばずに、そのどれもが似合うだろう華奢な体型とそれに合った儚げを醸す出で立ちは中々一つに纏められず。何処か降参したようすを滲ませる雰囲気の彼、矢張りさまざまな彩りを持った衣服を着用していても脳内に出る答えはいくら考え直しておいてもただ一つのもの。「本当のことを言ったまでだ。」恋慕云々を差し置いて戦場でさえ頼りになると言える彼を讃頌するのに余計な言い回しは邪道なもので、明瞭なる言の葉にて唇から滑らせると固定しきった向日葵の茎から指を離し。暑い昼下がりにて取る昼餉、大皿に乗せられていた素麺は大食いなる大太刀と槍と言った刀剣の腹の中に殆ど入ったであろう量は極端に減っていて周りに置かれた氷は暑さゆえにただの水と成り得ている様子が窺える。遠くで打刀なる注意や主命第一の刀が今日ばかりは近侍の仕事がないのか優雅なる暇を持て余すために短刀の虎と珍しく戯れているのを後目に、相手の手元にあった握り飯の端くれを咀嚼すると鮭の解し身が柔らかくふんわりとした塩味を味わいつつ机を挟んで向かいに居住まう鳥太刀に確りとやりとりを見られるのも厭わず、相手の一挙一動は怪しいものこそがあるものの何処かほんのりと色づくか弱そうな耳元を眺めながら邪な思惑を振り払いやっと噛み締めて喉奥に嚥下させ「…、これをやる。交換だ、だからお前のそれをくれたらいい。」ふと手元に持ったしそ昆布入りの握り飯を彼の目の前に差し出しやり、交換などと口実を作り上げて待機してみて。)

  • No.246 by 大倶利伽羅  2015-10-04 23:11:12 

(どうだか、案外お前は潰れるのが早かったりするかもしれないだろう。
酒は飲んでも飲まれるなと、
次郎太刀や日本号に口酸っぱく言っている刀もいるが、無駄だろうな。

待っていてくれて感謝する。
恐らくこの先しばしば待たせることもあるだろう、
その時はすまないが理解のほど分かってくれ。
…縁日はくれぐれもはぐれるなよ、
お前ほど目が離せないやつはいないからな。)

  • No.247 by 鶴丸国永  2015-10-07 17:12:36 

(慈しむように撫ぜる指先、其の手がつい数刻前迄自らの依代である刀を振るい勇ましく合戦場を駆けていたとは夢にも思わぬ程。紡ぐ言葉こそ不遜な部分もあれど、心根の優しさが窺える穏やかな掌が愛おしくももどかしく。言いようの無い緊張感に小刻みに鳴る心拍は彼の手が離れても猶、収まる事を知らず。夜目が効かない為、宵の頃に外出するのは初めてであるという事だけで無く、年に一度の夏の祭りに他でも無い恋慕を傾ける相手と同行出来る事は日の高い内から心中を雀躍させるには十分過ぎるもの。互いの浴衣姿を脳裡に描き、褒め合う光景は傍から見れば如何なる間柄に映るだろうか。昼餉の為に皆が広間に集まっている此の刻、其れを何者かに問う事も出来ず唯々気恥ずかしさのみが積もり、制止するかの如く声を上げ「分かった、分かった!…夕刻、驚かせてやるから覚悟しておけよ?」栗色の髪に挿した色彩豊かな一輪を飾る彼の横顔を視界に捉え、強気に唇を端を上げて笑み。夏の暑さを考慮した昼餉に、比較的食欲も無くなる時期とは言えど爽やかな薬味と冷えた麺はするりと腹に収まるもの。長い座卓に等間隔に置かれた大皿は底が見え、自らの正面に並んだ皿の物も無くなり残すところは手中にある大きな握飯一つ。己と隣の彼が一口ずつ齧った事で質量の減った其れの重さを感じぬ程度には気も漫ろ、喜色や動揺やらの感情が織り交ざった浮付いた思考を打ち破るは漸く唇を開く相手の心地好い声。想定外の提案に無意識の内に面を起こし、相手と自分の手の物に交互に目配せ。ふっくらと炊き上がった白米の粒から覗く佃煮は不思議と食欲を唆り、此方へと近付く其れに視線を落とすと暫し思案を巡らせ。翻弄されてばかりな当方に反し、殆ど変わらぬ声色や表情から心中を汲む事は難い。喜色の余韻を残しつつ声色を弾ませ 「そんなに鮭が気に入ったか!…俺も、そっちを食べてみたかったんだ。君がそう言うなら有難く頂くぜ。」 周囲の目等気にも留めず先の行為を模倣するが如く、黒の手袋を嵌めた手の甲に己の掌を添え口許へ寄せては一口齧り。口内に広がる紫蘇の爽やかな風味と歯応えのある昆布を咀嚼しながら、彼の握飯の海苔の部分を掴み取る代わりに鮭の入った其れを目の前にある手中に収めて相手側へ押し返し。)

  • No.248 by 鶴丸国永  2015-10-07 17:29:45 

(言うねえ。…それも今度の酒宴の席で分かるさ。
あいつらはそうやって止める人が居ないと、際限無く飲むからなあ。
勝手知ったる仲間内で飲むとはいえ、
記憶が飛ぶ程飲むと翌日が恐ろしいだろう。

君たちが俺たちから離れる事が無いなら
時間は有り余る程あるだろう?
だから気にする事はない。ゆっくりやろうぜ。
折角の縁日なのにはぐれるのは困るな。
…まあ、君が俺から離れなければ良いのさ。
連れ回す心算で居るから、楽しみにしていてくれ。)

  • No.249 by 大倶利伽羅  2015-10-09 05:22:05 

(紺碧の夏に融けうる彼の姿は真上に煌めく眩い陽光の所為で攫われてしまいそうな心地を覚え、襷で縛られ上げていてもなお風を含んで靡く裾を捕まえようと腕を擡げるも触れる手前にて指先を掌に握り込んで腕を下ろしゆくと他人事のように彼と自分の間を一際強い微温く暑い夏特有の風が吹き込み。募ってやまない恋着に終点は見えない意識のまま、黄昏の物寂しい時刻にて和気藹藹と相成る賑やかだろう物事に思いを馳せながら戦仲間として良き関係を築いている線引きから必要以上に越えぬよう規律を守りつつ蝉の喧騒の中で張る物言いから何か悪戯を企んでいる彼の薄桃で花びらを思わせる唇が愉快げに撓る所作は異様に心拍を跳ねあがらせ。「どうでもいいな、お前の悪戯は単純なものばかりだろう。」平静を装いながらついと視線は彼と反対側の方向に転ばせ、何度か驚かされた身に覚えがありすぎるそれから出る答えは何ともぶっきら棒に。握飯を食す前の夏野菜の小鉢や漬物の小皿の中身は既に空であり、後は手元の食べ物を完食する事で昼餉は終わりを告げようと言ったところで至近距離にて手元を固定し、紫蘇の香る握飯のかけらを一口頬張って行くさまを瞠目した眸で追い掛け。彼特有の香りが鼻腔を擽るのがなんとも甘い誘惑のように感じられ、次に瞬いた時は既に咀嚼する姿が映り。「っ!嗚呼…――くそ、お前の飯を食べた俺が馬鹿だった。」審神者の書物庫にて拝借して読み耽った禁断の果実のような効果が今更になって表面に現れ、ふいと顔を背けては悪態じみた自己完結よろしくいろんな感情のやり場のないことから自分の中に結論を結び付けると握飯を齧って咀嚼しながら隻手にて陶器の小鉢を重ね合わせ、解し身の塩味と特有の柔らかさを咥内で一頻り堪能した後は雅を愛する打刀と視線が不意にも合い、そのまま隣の彼と自分とで彷徨わせた目は次第に和らいだと思うとにこやかに笑われただけで暮れの浴衣の着付けのためかその場から背を向けるかたちで食事室から短刀達を追い掛けて姿を消して行くのを見つめ、結果として気に掛けるでもなくどうでも良いで些細なことは終いにしておき。いつかの夕食にて薄暗い中傍から見たら重なって一つの影に見えるだろう春の日を思い返すも、重ねた小鉢を手に腰を持ち上げ。)

  • No.250 by 大倶利伽羅  2015-10-09 05:38:23 

(俺は参加しないからな。(…)
光忠や歌仙に任せる、御守は御免だ。
だが、次の日が非番だったら良いんじゃないか。

俺達はお前から離れる事はしない。
これは口約束では心許ないだろうが、
生憎俺は確固たる縁を此処に感じているものでね。
…やっぱり連れまわすのか。
悪くないと思えるのは、お前に毒されすぎたか。
否、毒されているんだろう。
お前と言う刀は、そう言う奴だったな。)

  • No.251 by 鶴丸国永  2015-10-15 05:31:54 

(返事が遅くなっていてすまない。
もう神無月も中旬か、早いものだなあ。
今日か明日中には返せるから、少し待っていてくれ。

取り急ぎ用件だけ。)

  • No.252 by 大倶利伽羅  2015-10-15 22:36:58 

(別に、構わない。
神無月も中旬とくれば紅葉も見頃らしい。
…もみじまんじゅうは、美味い。

時間はたっぷりとあるんだろう。
それに倣ってゆっくりやればいいだけの事だ。
お前の都合の良い時で良い、俺もばらつきがある。
言葉を待ち侘びたのも事実だ、だが急かしたくはない。

お前の、したいようにすればいいだろう。
時間は有り余るほどある。)

  • No.253 by 鶴丸国永  2015-10-16 16:00:37 

(朱夏の真昼、中庭に立ち込める蜃気楼の靄や照り付ける陽光を反射して煌めく池の水、それらを背に負って立つ日に焼けたような褐色の肌を持つ彼は、髪を飾る夏の風物詩とも言える花の存在も相俟って何とも夏が似合うもので。絶妙な距離感は同じ目的地へと歩む物理的なものだけでは留まらないだろう。春に芽吹いた慕情は確実にその頭を擡げ、今や見て見ぬ振りなど到底出来ぬ程。刀のしての本分という確固たる恣意の御蔭で今の関係を保っているものの、その箍が外れてしまうのは時間の問題と言っても過言では無く。宵の喧騒の中、傍らに立つ竜を相伴為す事に意識は攫われており、未知の祭事に対する興味関心だけに留まらず心拍を高鳴らせており。 「悪戯じゃあないさ。勿論、浴衣でだ。…否、君がそっちを御所望なら期待に応えるぜ?」 自分にはない切れ長の眸が動揺を露わに、鼈甲飴の色を逸らす些細な仕草にすら胸を柔らかく締め付けられるような感覚に陥り、顎を引き視線を追うかの如く覗き込んで。食事を終えて部屋を後にする者、閑談に興じている者などで賑やかな広間にて、互いの握飯を齧り合い更には交換まで為す様は周囲には如何様に映るだろうか。喜色めいた感情に浮足立ち漫ろな心中と温みの残る紫蘇昆布の握飯を手に、反応を窺うべく投げた視線に映る狼狽の様にしたり顔を。 「何だ、鮭の方が欲しかったのだろう?」 今自分が為した行為を思い返しては熱が込み上げる事を薄々感付いている故に、今更ながら年長者の余裕を見せるべく平然とした面持ちにて咀嚼に専念して。隣から聞こえる陶器を合わせるような小気味良い音に倣い、空いた器を重ね後は持ち運ぶのみという状態に。あと一口と言ったところで自分に落ちる影、ふと顔を上げると食し終え膳を片そうとする姿があり、無意識にも急く感覚を抱いては咥内に海苔の付いた米粒を押し込んで両の掌を合わせ浅く一礼。文系名刀の意味深な視線など気付く事も無く、彼に付いて重ねた椀を持ち上げ厨へと向かうだろう。)

  • No.254 by 鶴丸国永  2015-10-16 16:06:01 

(葉が色づく仕組みは分からんが、
山が赤や黄色に染まるのは綺麗だわな。
もみじ饅頭、…っはは、君は存外愛らしい事を言う。
俺はくりーむが好きなんだが、君は如何だ?

そうだったな。…否、君から言われると嬉しいもんだ。
待っていてくれる者が居るというのも有難い。
それが他為らぬ君なのだから、こんな幸せな事はないな。

一応食事は終えたぜ。夕刻に飛ばしても良い頃合だとは思う。
だがまあ、その辺りは君の判断に任せよう。)

  • No.255 by 大倶利伽羅  2015-10-21 03:42:46 

違うのか、だが悪戯は必要ない。
(畑には瑞々しい新鮮さを持ったままの夏野菜や果物と言った実が出来上がる頃合い、昼間の時間が長い夏が段々と暮れゆく。顔を背けた視界の端から覗き込む華奢で金糸の彩りと望月をその眸を縁取るどこか幻想的にも感じられる長く秀麗な睫毛を持つ人物が現れると、無視をしようにも出来ず仕方ないと言った具合で背けた目を彼の元へと転ばせてその姿を認めつつ悪戯な驚きと来ればどのようなことが起きるか不可解なものだけに拒否の意を露わに。食事も済ませて各々好きなことをしているのに倣って自室にて審神者から拝借した読み物の続きを読んだり、夕暮れに待つ祭りに備えて読み掛けの書物で顔を覆って昼寝に耽ったりなど自由時間を有効に使っていると時刻などはとうに薄暮の時間帯を指しており。ようやく真昼に煩わしいほどの灼熱の太陽が傾き始めた頃に訪れる喧騒、不意に目を眇めてみるとどうやら審神者の合図でとうの前に準備が始まったらしい屋敷内はより騒がしく感じられ、顔を覆う書物を退けて気怠い身体を起こすとたちまち欠伸が意思とは関係なく溢れて。夕焼けに染まる茜、昼間とはまた違う突き刺すような赤に思い浮かぶはましろき羽衣を纏った鳥の名を冠する想ってやまない恋慕の矛先を向ける刀。その姿が見えないとなれば取る行動は一つ、恋い焦がれる彼の姿を一目見にゆるりと重い身体を引き摺るように腰を持ち上げて隙間を残す程度の障子の片側にに手を掛けると縁側と室内の敷居を一歩踏み出すかたちで跨ぎ。)

  • No.256 by 大倶利伽羅  2015-10-21 03:55:25 

(山や木々が紅に染まるさまは俺も風情があって良いと思う。
この世に四季があるように、山も葉にも季節があるんだな…と。
煩い、どうだっていいだろう。
だが…くりーむか、いかにもと言う感じでお前らしいな。
俺は、くりーむも好きだがその他で言えば餡とちょこれいとだ。

お前のそれは、俺にとっては殺し文句だ。
どう、反応しろと言うんだ。とりあえず俺も幸せだとでも言っておけばいいのか。
待ち焦がれると言った心地の良い感情に苛まれるのも、悪くない。

昼の時刻から夕刻に飛ばしてはみたが、絡み辛かったら言ってくれ。
書き直すなどそれなりの対応をさせてもらう、誤字などは愛嬌だ。
今回も待っていてくれて有難う。)

  • No.257 by 鶴丸国永  2015-10-23 16:35:12 

そうかい。そりゃあ残念だ。
(観念したように向けられた自分のものよりも仄かに影を持つ黄金色の双眸、下がり気味の眉を潜めながらもその眼差しは穏やかで堪らなく胸中を擽る。落胆を指し示す言葉はその恣意を持たず声色は軽快なもので、姿勢を戻し今度は此方から頼りなく繋がった視線の糸を解き進行方向へを見据えて。隣を歩く彼との間を擦り抜けてゆく薫風に互いの髪が靡くのを視界の端に捉えながらひっそりと唇の端を上げ。)

(昼餉を終えた後、片付けを終えると一振り自室の方へ向かう彼を名残惜しげに見送った後に催事に纏う浴衣の相談をすべく藤色の柔髪を持った文系名刀の部屋へと向かい。決して広くはない和室内には既に幾振りもの刀と審神者の姿があり、着付けの方法や帯の結び方等を書物や指南に因って学んでいる様子。此方に気付いた彼の意味深長に柔和な微笑には心当たりも無く首を傾げるものの、此方の要求に嫌な顔一つせず幾つか柄の候補を提示する相手は何とも上機嫌に映り。思考錯誤の後に選び抜いた浴衣と帯に満足顔で。気付けばあれ程猛然と照り付けていた日差しは気怠い残照となり、空も徐々に橙を帯び始めており。序でに着付けを頼み肩幅程に足を開いて真っ直ぐに立つもふと脳裡を過るは彼からの贈り物である薄紅梅の花飾り、一度自室に戻る事を伝えては後ろから注意を促す小言が掛かるも気に留める事も無く逸る気持ちを抑え切れずに駆けていき。折良く廊下に出て来る彼の姿に立ち止まってはたたらを踏み。雀躍する胸中、喜色を頬に浮かべながら彼へと目線を向けて) おっ、君もこれから着付けかい?

  • No.258 by 鶴丸国永  2015-10-23 16:45:27 

(君の口から風情という言葉が出て来るとは、驚いたぜ。
然しその腰布の色と良い、その髪の色といい…君は紅葉が良く似合いそうだ。
まあそう照れなさんな。…くりーむ、美味いだろう?然し白餡も捨てがたいな。
何というか…餡もちょこれいとも色が君らしいな。今度主に頼んで買ってきて貰おう。

おっと、すまんすまん。困らせる心算は無かったんだが…。
確かに、今見返してみると歯の浮くような台詞だ。
存外、俺も余裕がないなあ。…と言いつつ君のそれも殺し文句だぜ?

否、有難う。色々と自由にしてくれた御蔭で書きやすかった。
此方こそ。…っはは、これじゃあきりがないな?
まあいい、それじゃあな。)

  • No.259 by 大倶利伽羅  2015-10-23 21:20:42 

(時刻にして逢魔が時、縁側に一歩踏み出た時に見えた暮れる黄昏が揺蕩う千切れた雲を橙に染め上げる景色は夏ながらも幻想的に映る。同時に目映い燦爛たる太陽は今や優しい光を放つばかり、眠りから目覚めた目には少々眩しいもので額に手の甲を当てて顔へと影を落とすことで西日から逃れるように目を眇めて何度か瞬きを繰り返した中で屋敷内の喧騒とはまた違った何処か軽やかなる足音、段々と此方に近づいている気配に不思議な気持ちのまま其方に目を遣るとまさに目の前を丁度通り過ぎようとした姿は此れから見つけに行こうとしていた人物に相違なく。喜色満面に欣喜とする態度を露わにする彼の姿を改めて見ると普段の戦装束とも言える通常の着物ではなく、着物よりも生地が薄く作られているように見えるそれは浴衣だと言うものに見惚れていたものもあってか気づくまで少し時間を要し。じわじわと上気した頬を焼く日照り、やがて身に染みるほどに温かい気持ちに包まれると心地の良い穏やかな情のままにいつ誰かが通るかも分からぬ場で人目も憚らず彼のほうに視線を向け、普通よりも長めに伸ばされた襟足に手を擡げることで触れ、そのまま耳元に唇を不意に寄せると「ああ。…良く、似合っている。」かなり抑揚を抑えた囁きで姿について褒めては髪に触れていた指先は毛の流れに倣って手元を落とし、約束を違えることはしない性分ゆえに気が進まない身体を持ってして着つけや見目に煩い刀が集まる場へと彼の横からすれ違うように歩を進めてゆき。)

  • No.260 by 大倶利伽羅  2015-10-23 21:31:46 

(どうでもいいだろう。
…紅葉が良く似合うのは、お前のほうなんじゃないのか。
白に赤は映える、いつもお前はそう言っているだろう。
照れてない、好い加減にしろ。
もういっそ全種類買え、勝手にしたらいい。

お前にならば歯の浮く言葉でもなんでも、嬉しいから構わない。
…こんなことは一度しか言わないからな。

それじゃあ。)

  • No.261 by 大倶利伽羅  2015-10-23 21:43:19 

(上の追記をさせてもらう。

饅頭は貰うからな。)

  • No.262 by 鶴丸国永  2015-10-25 10:59:33 

(西側の空から橙の絵具を浸した刷毛で秘色の空を塗り重ねていくかの如く、色味は混ざり合い東雲色に移り変わってゆく。炎陽の熱を保った大地により蒸すような暑さはあるものの、落暉に因って徐々に気温も落ち着き始め吹き抜ける風は真昼の頃と比較すると幾分も穏やかに涼しく。蝉時雨も落ち着き、時折羽を震わせる鳴き声は鼓膜に優しい。本丸内、彼方此方の部屋から聞こえるは催事を待ち切れぬ短刀達の無邪気な声や、彼らを取り纏める審神者と一部の太刀の声。かと思うと此処の縁側で花火を見ながら晩酌をするらしい刀の声も交じり賑やかなもので、其れが更に縁日への期待を昂らせる。伴って胸中の大部分を占める彼への想いをじわじわと膨らませているも、廊下で相手と遭遇するとは夢にも思っておらず、咄嗟に左側上部にある柄模様を隠すべく腕を背に回し。帯も仮止め状態で未だ不完全な姿、然し声を掛けてしまった手前逃げ出す事も出来ず彼と一言でも言葉を重ねたいという欲が其れを許さず。暫し呆けたような面持ち浮かべる彼の切れ長の双眸は寝惚け眼に映り、少し乱れた髪も仮眠後なら頷けるもので思わず口許を緩め。徐に伸び来る褐色の手、怪訝そうに首を傾げながらも優しい手つきを遮る事はせずさせるが侭に。次いだ鼓膜を震わせる柔らかな低音に気の抜けた声を漏らし硬直、それが褒め言葉だと気付いたのは相手が此方に背を向けて遠くを歩んで行った後で徐々に込み上げてくる含羞と痛い程に高鳴る心拍に堪え切れずその場に蹲り、熱を持った顔を膝に埋めて 「あああ、もう…あの色男め…!」 何て八つ当たりめいた悪態。暫しの後、漸く落ち着きを取り戻しては花飾りを取り戻った後に着付けの仕上げに向かい)

  • No.263 by 鶴丸国永  2015-10-25 11:06:23 

(そりゃあ鶴らしくなるからな。然しあれは戦場の話だぜ?
まあ、紅葉を見に行った時に確かめてみよう。
はいはい、素直じゃないなあ。
全部、…そうさな。近くにいる面々に分けて食べればいいか。
先にこっそり餡とちょこれいととくりーむを一つずつ頂戴しておこう。

君はそうやって俺を舞い上がらせるのが上手いな。
…嗚呼、構わないさ。しっかり記憶に焼き付けた。)

  • No.264 by 大倶利伽羅  2015-10-26 05:24:42 

(暮れ泥む東雲を背景にした屋敷は何処か神秘さを思わせる中、宵に向かう最中である本丸の喧騒がいっこうにやまない気配は目的がそれぞれ違えども何処も彼処も感じられる。先程彼の姿を褒め称えたとは言え、姿をよくよく思い出してみるとよれたままの帯と襟が完成していないように見えた身なりは今更其れが耽美なる毒だと言うことに気づいてしまい、寝惚けていたとは言え思い出したことで完全に意識は覚醒するのに難くなく。それにより仄かな熱が目許辺りに集まるものの、邪な気持ちを抱えたまま後方に駆けて行く足音を振り返る気にもなれずに目的地の場所へと歩む足は意識を振り払うべく段々と速さを伴い、やがて狭い一室なれどもそれにそぐわない賑やかしさに気後れをするものの目的地に着いたことには着いたと言うことも相俟って見目などにとやかく口を出される覚悟をしておきながら其の室内へと足を進め。そうすると雅を基調とする文系名刀にましろい髪をした先程の彼の行き先を問われるもののあの後は振り返ってもいないためか「知らん。」手掛かりのないような口振りで返すがその雅たる刀は始終恐ろしいほどにこやかに微笑していて、食事室にも見た顔に少し怪訝そうな面持ちをするもすぐに眼帯の伊達男とで挟まれて自分に合うものを態々見繕ったと言い寄られるままに掲示される浴衣の数々を見るものの勝手に話があれよあれよと決めつけられ、そのまま身ぐるみ剥がれて着つけの指導を教わるままに幾つかの手ほどきに対し「ああ。」やら「わかった。」と相槌を打ち、黒を基調とした装いと紅の彩りがなされた帯にきちんと時間を掛けてされるがまま、時折自分で指南された通りに整えるなどして完成となり、未だ此処に姿を現さない姿に何気なく思いを馳せつつ、普段の装いとは違う格好に違和感を覚えるもののさして気にもせずに一頻り身だしなみを終えると一応待ち人でもある彼と祭事に行く約束のため、下手に動いてすれ違うのも面倒なのか部屋の傍らで立ったまま腕を組みつつ夕日に黄昏れながら背中を寄り掛からせ。)

  • No.265 by 大倶利伽羅  2015-10-26 05:35:05 

(戦場でなければ駄目なのか、お前の鶴らしいと言う彩は。
俺は燃ゆる紅葉でも、お前は似合うと思っている。
嗚呼。もみじ饅頭、秋と言った季節をお前とともに感じられたら良い。
贅沢だ、と笑われてしまうかもしれないが…そんなことはどうだっていいだろう。
どんな理由であれ、俺は何度も巡る季節をお前と見たい。
…――お前の歯が浮きそうな台詞のお返しだ、受け取れよ。

お前は鶴だろう、いつだって美しい羽根で持って舞う。
俺の些細で不器用な言葉でも上手く飛ばせたなら、それでいい。)

  • No.266 by 鶴丸国永  2015-10-28 17:53:52 

(黄昏時の縁側、淡い橙の斜陽を浴びて全てが朱の薄い羽衣を纏ったかのように面妖な郷愁を誘う世界。擦れ違って行った竜の男の頬が仄かに熱を帯びていたように見えたのはその所為か否か、立ち去り遠ざかっていく軽やかな足音に其れを確認する術は残されておらず。未だ冷めやらぬ熱は頬や耳だけでなく胸中までに燻っており、振り切るように駆けていくも切る風は微温く火照りを沈めるには不十分で。自室の籠の中から取り出した花の飾りを両手に収めると春の万屋での出来事が脳裡に蘇り胸を締め付ける。息苦しさに耐えかねて小さく吐息を零すと、頬に触れた柔らかい唇の感触を思い出すように掌で押さえ固く瞼を伏せ。然し縁日の時刻も差し迫りつつある故に、想いに耽っていた自身を叱咤し立ち上がっては着付けの仕上げに向かい。敷居を跨ぐと既に大半の者達の着付けは終わっているものの、浴衣を見せ合ったり髪の長い者は結い上げたりと賑やかで。誤魔化すような笑みを浮かべ軽い謝罪の言葉を述べながら中心に居る之定の打刀に歩み寄ると"遅い!"との小言を頂戴するも、両腕を広げては手際良く着付けの仕上げにかかる所作を感心の眼差しで眺め。模様の無い白い布地に左の肩から袖にかけて墨で描いたような竜が描かれた浴衣に黒の帯を貝の口結びで締めたもの。手中に収めていた飾りを帯に付けて貰うと、腕を伸ばしたり自らの背面を肩越しに見たりと感情の高揚を隠す事が出来ず。不意に視界に入った相手の浴衣姿に目を瞠り硬直するも一瞬の事、嬉々と礼を述べると壁際に立つ彼の元へと駆け寄って。引き締まった痩躯に纏うは漆黒色を主とした落ち着いた浴衣、差し色として緋色の帯が腰の細さを強調しており、普段見る事の出来ない和装姿に漂う色香に恍惚めいた呼気を漏らし、はにかむような笑みと共に感情を抑えるような声色にて) 大倶利伽羅。…本当によく似合っているぜ。思った通り…否、予想以上に色男で驚いた。

  • No.267 by 鶴丸国永  2015-10-28 18:04:55 

(紅葉の赤だと綺麗過ぎやしないかい?
…だが君がそう言うなら、葉にまみれるのも良いかもしれないな。
秋なら紅葉饅頭だけじゃないぞ?
前に言った月見酒だってしたいし、焼き芋なんかも風情があって良い。
贅沢?そんな事は思わないさ。俺だって君と四季折々を過ごしたい。
君としたい事が多すぎて忘れてしまわないか心配なくらいだ。

…君は本当に狡い。そんな小っ恥ずかしい台詞、何処で覚えてきたんだ。
舞い上がらせるのも程々にしておいてくれよ。君の元から飛び立ってしまうぞ。)

  • No.268 by 大倶利伽羅  2015-10-31 15:47:17 

(…俺もお前も、いろいろと欲張りだ。
どれも、お前と過ごしてみたく思う。
大切な思い出として日々をお前と過ごせたら、それでいい。

飛び立たれたら竜を飛ばして迎えに行かせる。
それでいいだろう、元からお前を逃がすつもりはない。

悪いが描写つきのものはもう暫く待っていてくれ。)

  • No.269 by 鶴丸国永  2015-11-01 20:15:17 

(同じ気持ちなら何よりだ。
昨日ははろういんとかいう、南蛮の祭り事だったらしいぜ。
仮装をしてお菓子を貰ったり悪戯をしたりするんだと。
これはまた来年だろうが、君とやってみたいもんだ。

竜を飛ばす位なら君が迎えに来れば良いじゃないか。
…そんな事を言われると何処にも行けなくなってしまうなあ。

今日から霜月。
月の終わりと始まりは慌ただしくなる。慌てる事はないぜ。
冷え込みが激しくなってきたからな、体調には気を付けてくれ。)

  • No.270 by 大倶利伽羅  2015-11-04 05:47:00 

(萌ゆる萌葱の草や木々は今や照りつく西日によって焼けるように赤く見え、眩いほどに突き刺す赤よりも白装束にて血をその身に纏わせるただ一振りだけが頭に強く残る。不意に思い出すは此処に足を運ぶ前、とある一振りの彼に掛けた言葉。無意識の内とは言えどじわりと頬が熱くなるのを感じ、それを誤魔化すように周りの喧騒から遮断すべく双眸をやんわり伏せると其処でも思い浮かぶのは彼の笑顔や切ない顔、さまざまな顔をいくつか持つ豊かな個性や感性を持った美しい刀。暗い頭の中でほんのりと現れる、ましろく滑らかな肌とさながら鶴の美しい羽根で織られたような透いた繊細な銀の髪、触れると忽ち雪のように儚く溶けて行くような戦装束と、琥珀の彩りを持った麗しい望月の眸よりも彼の心の強さを示したかのような繋がれる金の鎖。うすくぽってりとした、桜貝のような形の良い薄桃色の唇に長くしなやかで麗しい睫毛。そのどれもが心を惹かれ、彼の一挙一動のたびに恋情の気持ちを山のように募らせる日々。物思いに耽っていたためか雅なる刀のお小言も耳にそれほど届かなく、ただ脳裡や瞼の裏側にあるのはただ想いを馳せる彼のみ。そんな中、すぐ近くで声のする彼の言の葉にうっすらと瞼を持ち上げてみるとまず視界に入るのは彼の浴衣の柄。其処には自分の腕に持つ竜と同じような位置、その腕で自由に伸びる竜の尾はごく自然に生きているような心地さえ感じながら其の儘視線を上に向け、此方を褒め称えるような物言いよりも気になるのは自分の竜がまるでそのまま彼に巻きついているような柄。何処となく独占した気分になる前に「嗚呼。…国永、その柄はわざとなのか。」特に深い意味はなく口をついて出るは自分のものであるような言い草にて確かめる語調、微かな支配欲に見ぬ振りをするものの振りきれない自分の言葉に壁から背を離して組んでいた腕を解いては「もういい、俺は行く。」答えを聞く前にその準備室から出るように敷居を跨ぎ、彼の浴衣を見ていると自惚れからの平常心が保てられなくなる気持ちに急かされ、足早に玄関口へと向かってゆき。)

  • No.271 by 大倶利伽羅  2015-11-04 06:07:50 

(はろういん…ああ、勝手にしろ。
どうでもいいが、俺は参加しないからな。
と言っても、どうせ話を聞かないんだろう。

俺が迎えに行ってもいいが、きっと辿り着くのが遅くなる。
だからこそ、だ。飛ばす必要がないように、見失わないように、俺の傍にいろ。
それでも鶴は渡り鳥だろう、もし何処かへ渡っても俺のところに帰って来てくれるなら。
それだけで俺は、いい。

此処最近気温の上がり下がりが激しい。
お前も体調などには懸念をしろ、風邪を引かれたら困る。)

  • No.272 by 鶴丸国永  2015-11-07 10:30:03 

(西に傾き潤んだ陽の光は薄い硝子のように危うく周囲を橙に染め、徐々に夏空を濃縹の色へと塗り替えていく。それに伴い茹だるような蒸し暑さも和らぎ、平時よりも薄手の衣装を纏う刀剣達は開いた首許や袖を通る風と何処からともなく鳴り響く澄み渡る風鈴の音に清涼感を抱いており。浴衣の着付けを終えて如何やら待たせてしまったらしい懸想の相手の元へ駆け寄り、新鮮且つ精悍で麗しい見目を引き立てる装いに恍惚とした眼差しを向けて。緩めの襟から覗いた筋張った細い首や栗色の髪の隙間から露わになった項、無駄のない細身な身体と引き締まった腰を表す緋の帯。平時は嵌められている手袋も無く、袖から伸びた褐色の左腕には美しい昇り竜の尾が垣間見えて胸中の雀躍を抑え入る事は難く。態と彼に合わせた浴衣の柄も本物を前にしては比較対象にすらならぬもの、それに加えて此方の言葉に反応を見せる事無く淡々と紡がれる指摘の言葉に反射的に左腕を押さえ。 「あ、これは――」 声色にのった感情を汲み取る事が出来ず表情を窺いながら唇を開いた矢先、踵を返して先先と部屋を後にする相手に微か瞠目し慌てて後を追い。胸中を渦巻く不安は蜷局を撒いて心臓に絡み付き、柔々と締め付ける。大部屋の周囲に屯している刀達を掻き分けて早足に玄関方面へと向かう男の背の後を浴衣故に大股になれぬ事を歯痒く感じながらも出来得る限りに小走りに駆けて玄関の方へ。) っ、おい、大倶利伽羅!待ってくれ。そんなに急いでも縁日は逃げないぞ。

  • No.273 by 鶴丸国永  2015-11-07 10:35:35 

(分かっているじゃないか。
君は強制参加だ。仮装をして皆を驚かせてやろう。

そうやって俺の自由を優先して貰えるのは有難いなあ。
だが、君の言葉に縛られるなら本望だぜ。
それに俺は竜胆だ。竜の傍に咲く。君から離れる事はないだろうさ。

そうさな、俺の後ろも炬燵が欲しいだの何だのとぼやいているぜ。
俺達はまだ夏だっていうのに、月日が巡るのはあっという間だ。
あの暑さが今じゃ恋しいんだから、この寒さも大したもんだわな。
それじゃあ、またゆっくりやっていこう。)

  • No.274 by 大倶利伽羅  2015-11-11 13:50:09 

(刻一刻と時を刻むたびに夏の空は、夕焼けと宵の境界線を段々とあいまいなものにしてゆく。まるで海に飲まれていくようなものを思わせる宵には既に煌めいて瞬く星々が浮かび上がり、さながら宝石のような眩い光がぽつりぽつりと寂しげに姿を現す。空から雨でも降ったかのような煩わしいほどの蝉しぐれも段々と落ちつき、そうして静かながらも何処か喧騒のやまない夏の夜はこれからのことを予知しているよう。周囲が各々と祭りに思いを馳せている中で目の前にいた彼が何か言の葉を紡ぎ出す前に踏み出してしまった足は止まることを知らないと言ったように、一直線に目的地である玄関の方に繋がる縁側を足早に抜けてゆく。その後方について来る彼と自分の光景は他の刀から見れば奇妙なものに映るだろう、それほど好奇の目を惹きつけているのにもかかわらずに単純にも彼の一声によって歩行する足の速さを幾分か遅め、それでも相手の方に顔を向けることは出来ず「自惚れて、しまうだろう…。」ごく小さな星を落としたようにぽつりと独りごちては言葉とは裏腹に嬉々とする気持ちに諦めたようにため息を唇から溢れさせつつ、そうして辿りついたのは綺麗に手入れが行き渡っていて清潔な戸口。其処に几帳面にも並べられた下駄に足を滑り込ませるように履いて。不意に彼のことを意識すると普段はましろき美しい羽根を持つ鶴の名を背に負っている男が、今宵だけは竜を冠する姿をしているとなればどうにも優越感が隠せない。そんな中、邪魔にならないようにと一足先に戸口を出た先で背を寄り掛からせて待機していると何処からともなく遠くに響く祭囃子と丁寧に吊られた提灯が照らす神の通り道、それを目の当たりにすることでいよいよ本格的な祭りがすぐ其処に迫って来ているのだと知りながら空を見上げ、もう夕暮れが宵の海に身を投げ出すほどの暗さをした境界線を眺めながらすぐ近くにいると言うのに彼の身なりを縛るように纏う竜の模様を思い出すと少しばかり胸の中が焼けるような痛みに襲われるままその矛盾した感情を持て余していて。)

  • No.275 by 大倶利伽羅  2015-11-11 14:05:28 

(その竜胆は、一輪だけでかまわない。
その一輪が唯一の一振りであるお前が生き生きと咲けば、それでいい。
そして俺はきっと、その花をいっとう大切にするだろう。

炬燵に蜜柑は良いものだ、と俺の後ろも言っている。
確かに炬燵は良いものだが、寝るのはよせ。風邪を引く。
お前のその言の葉にいつも助けられている、…ありがとう。
嗚呼、物事はゆっくりで良い。急いても良いことはないだろう。
それじゃあ、また。)

  • No.276 by 鶴丸国永  2015-11-16 11:23:20 

(紺天鵞絨へと染まってゆく宵の空に一つ、また一つと星が煌めきを灯してゆく中、真昼のさざめきが嘘のように寝静まった蝉たちに代わり、中庭の水辺付近に揺蕩う淡い蛍の光。然し本丸内は喧騒と言って良い程に喧騒に溢れており、玄関へと続く廊下にごった返す刀剣達は談笑し、支度を急かす声で犇き合う。其の中を掻き分けて傍らを駆け抜けていく短刀達の背を一瞥しながら、徐々に縮まる距離に無意識に引き留めようと伸ばした手は彼の歩調が緩速となる事に因って背に触れる事に叶い。薄手の布越しに伝う引き締まった体躯と仄かな熱に跳ねる心拍、斜め後方からかんばせを覗き見た折に薄い唇が微かに動くのを見留めるものの、 「…?なあ、今何て――…」 周囲の賑わいにより語気の微弱な其れを聞き取る事は困難だが、其れが自らの浴衣への感想である事を薄々察知すると不思議と聞き直す事も躊躇われるもので。駆けて来た故か早々に辿り着いた玄関、各々の足蹠の大きさに合わせて揃い並んだ下駄の一つに足を入れて、屈み込み鼻緒の位置を固定するべくその場で地を擦り。体勢を戻すも竜の打刀の姿が見えぬ事に些か瞠目し慌てて敷居を跨ぎ外に出ると、視界の端に佇む黒の布纏う姿が映り安堵に目尻を緩めて。此処まで届く祭囃子と人々の愉快そうな声に引き寄せられるよう、宵の薄暗さに緊張と仄かに上気した喜色満面の顔が悟られない事を願いながら、極自然を装い竜の蜷局を巻く側の手首を弱く掴んでは促すように小さく頭部を横に傾けて。) すまん、待たせてしまったな。君がそう楽しみにしているとは驚いたぜ。…ほら、早く行こう。

  • No.277 by 鶴丸国永  2015-11-16 11:35:28 

(君なあ、…そういう事を恥じらいも無く言うんじゃない。
全く、…この天然色男め。
そこまで言うなら責任を持って世話をしてくれよ?春の三番。

っはは、人の子はどいつも同じ事を言うんだなあ。
心配有難う。君達もうっかり寝落ちて朝を迎えるなんて事無いように。
この頃は返書が遅れてすまない。寂しがってはいないかい?…何てな。
そろそろ落ち着く頃だから、大丈夫だろう。
余裕がない時は一層、君の言葉が恋しくて堪らない。
――…泣き言を言っても仕方がないか。それじゃあ。)

  • No.278 by 大倶利伽羅  2015-11-20 20:42:46 

(俺は天然色男じゃない。正直なことを口にしたまでだ。
それを言うならお前こそ天然色男だろう。
…竜胆の世話は俺一人で十分だ。

うっかり寝落ちはつい先日やった。何度も言い聞かせているが、駄目だ。
いや、俺の方も返書が遅れていてすまない。…―お前が、一番寂しがっているんじゃないのか。
寂しがり、とは誰の言葉だったか。
そういうことを簡単に口にするな、この伊達男。おかげで俺が花吹雪で参るだろう。

返書を認めるまで少し時間がほしい。
お前も、その背後も。風邪には懸念しておけ。)

  • No.279 by 鶴丸国永  2015-11-22 09:10:23 

(恥ずかしげも無く言ってのける所が天然で色男なんだ。
…俺かい?俺は分かって言っているからなあ。天然でも何でもないのさ。

おいおい、眠るなと言ったのは其方だろう?しっかりしてくれよ。
…嗚呼。君と言葉を交わせないのは"退屈"だ。
寂しがりはお互い様だろう?…何てな。
冬空に桜の花弁とは風流で好いじゃないか。沢山舞わせてくれ。

構わないぜ。ゆっくりしてくれ。
心遣いを感謝する。君達も炬燵で眠るのは程々にな。)

  • No.280 by 大倶利伽羅  2015-11-22 13:22:35 

(いまだ本丸内の其処彼処に佇んでは談笑をして盛り上がったり、ぼちぼちと玄関に向かう刀も多々も見受けられる所で後方から覗く彼の存在に微かに身体を強張らせるものの「何も言ってない。」ため息もひとしおに彼とは反対側の方にある景趣を眺めながらも其処には本丸内に残ろうとしている少人数の太刀や大太刀などと言った刀剣達の姿があるだけで花火もまだ上がるには早い時刻の其れは少々味気なく。宵の空は雲一つもなく、あるのは時刻が経つたびにその顔を覗かせる星々と少しばかり欠けた月が浮かび上がっている。月の何処か幻想的なるものを思わせる絶対的な眩さに少しだけ目を眇めて眺め。遠くから耳にまで届く和太鼓の音、三味線、祭囃子だけで賑やかな気配を察知出来、提灯の火が揺らめくこともなく目的地まで道を照らしてくれているのはさながら百鬼夜行。多くの刀剣がわれ先にと提灯に従って向かって行く中、彼のすらりとした手元によって手首が包み込まれる感を覚えて思わず彼の方に視線を転ばせると合った金糸雀の美しい澄んだ眸より先ず目に入ったのはいつか在りし日の思い出の品とも言える桜の飾り。その飾りは雪のような彼に芽吹くような春を報せるただ一つの花を思わせる感を抱き、其れを目にしたことで嬉しいやら絶妙な気持ちやらで複雑に混ざり合う心持ちに何故か緊張をしてしまい。今更彼が触れた箇所から熱を持つように広がって身体全体に伝わらせ、そのやり場のない想いがまた一つ募るのを確かに感じながら燻る熱をどうにか胸中に押し込んで促されるままに抵抗はせず逆に彼の手首を掴んでは肌理細やかで華奢な手元へ滑り落ちるように手のひらを落とさせるとしっかりと手を繋いでいるように見えるぎこちない繋ぎ方をして屋台の文字が見えるすぐ近くまで歩んでゆきながら前に向き直り。)楽しみにしていない。寧ろお前が楽しみにしているんだろう、…はぐれるな。

  • No.281 by 大倶利伽羅  2015-11-22 13:58:15 

(本当のことを口にしたまでと言っているだろう。
…たちが悪い。否、少なくともお前の唇から出る言の葉ばかりは悪くないと思える。
たとえそれが分かっていて口にしたものでも、俺は一々と一喜一憂をするんだろう。

お前も後ろも炬燵の中にいれば分かる。こればかりは説明のしようもない。
らしくもないが、日々に余裕がない時。…無性にお前が恋しくなる。
文を綴っては消し、綴っては消し。莫迦みたいだろう。
…花見も、したいものだな。

そして待たせた、誤字脱字等あれば見逃せ。
炬燵で眠ることはもう極力しない、風邪ならとっくに引いたからな。)

  • No.282 by 鶴丸国永  2015-11-25 17:52:12 

(灰藍の空に控え目に煌めく星と浮かぶ盈月が地上を弱く照らす。溜息の混じる素気無い返答を追求する言葉も喉許で閊え、背に触れていた掌は情けなく緩慢と下りて離れ。 「そう、か。…分かった。すまない。」 装いを相手と揃えるべく身勝手に為した決断が誤りであった事は明確で、普段は唐紅の腰布が揺蕩う下半身に視線を落とし俯きがちに誤魔化すようなぎこちない笑みを浮かべて持ち堪える。視界の端に映る自らの紛いの竜の柄が途端に疎ましく感じ、密やかに背後に回して互いに見えぬように隠し。玄関を出ると我先に縁日の賑わいの元へ駆けて行く短刀や脇差、一部の打刀等の土を擦る音やじゃれあいの声が何とも微笑ましい。薄ら宵の中、催しの場まで誘うが如く等間隔に並んだ紅い提灯の朧な灯りが妖し気にも映り、夜戦向きでない故に夜の帳が下りた後の外出は稀な物で高揚に気も漫ろで。捕まえた竜の尾から少しばかり早い脈動が伝わり、交わった琥珀の眸が喜色と戸惑いに揺らぐ。手を振り払う事も無く沈黙が漂うと其れなりに不安も募るもので、頭部を横に傾けるよう殆ど表情の変わらぬ精悍な面を覗き込み反応を窺い。次いで同様に手首に細い指が絡んだかと思うと指の自由を奪うような一方的な繋ぎ方に変容する其れに、逸れない為という意図を理解していても猶胸中は甘く痛み、唯の戦道具の身に許されぬ愛おしさと恋慕の情は満ちてゆくばかり。その手を彼の手中で捩るように左右に動かし解かせると、指同士が噛み合うように繋ぎなおし、手の甲の角ばった骨を中指の腹で撫ぜ。先を歩む相手を追い抜かすよう手を引き駆け出しては、道を挟むように並ぶ露店の通りに差し掛かると歩調を緩め、活気溢れる声や鼻腔擽る香りに嬉々と周囲を見回して。) 分かっているさ。―…こりゃあ凄いな。夜だと言う事を忘れてしまいそうだ!なあ、まだその花火まで時間があるんだろう?何か食べようぜ。

  • No.283 by 鶴丸国永  2015-11-25 17:59:42 

(だからそれが狡いんだ。…君が嘘を吐かないのはよく分かっているさ。
君は本当に素直で愛らしい奴だなあ。だが、虚言を吐く心算はないから、安心してくれ。

そりゃあ人なら誰しも分かるだろうが、うちのは専ら毛布がお気に入りらしい。
……なんだ、君もかい?っはは、似た者同士か。驚いたぜ。
文字を綴って、満足いかないから消して、紙を丸め捨てて新しい便箋をとる。
そんな事ばかり繰り返しているんだ。…嗚呼もう、本当に君は…――。
花見はこの長い冬を終えたらだな。皆でわいわいとするのも良いが、君と静かに見たい。

全く、君達は。…近頃は冷えるんだ。風邪なんて何度引くか分からんだろう。
炬燵に入る前に褥に入って暖かくしてくれ。…それじゃあ。)

  • No.284 by 大倶利伽羅  2015-11-28 05:49:59 

(夕と宵の危うい境界線を遠巻きの鴉が線を縫うようには群れをなして飛び立って行く光景はより不気味な心地にさせ、宵の静けさが此れから訪れる合図に少しばかり耳を傾け。自分より後方を歩く彼の姿は当然のことながら見えず、あるのはほのかな自惚れとそれを助長させる胸の高鳴りだけ。其の彼が見せる飾ったような笑顔は何処か違和感を覚えるものの先程の発言も相俟って言及は苦しいながらも敢えてせずに。はしゃぐ短刀たちを先頭に、その後ろで太刀や打刀らが一つ一つ団体を作って移動する中でまるで自分と彼だけの世界を見ているかのような心地は更なる確かな恋慕をまた一つこの胸に呼び寄せられ。彼は太刀であるが故に夜目もあまり効かないことを自分なりの気遣いとして引率しようとした所でぎこちない手の繋ぎ方が忽ちほつれた糸と糸を強固に繋げるような握り方に変わると驚愕の色を隠せず、そのうえ甲をやんわりと擦る指つきは堪らなく込み上げてくる感情が溢れるままに此方からも彼と深い繋がり方となった手と手を確りと握り締めた途端に引っ張られていく腕の先。その先を見遣ると神々しいと言わんばかりな宵の中でも一際強く輝いて見える今や一匹の竜を纏いし彼の姿によってか、それとも彼の後方にある眩しいばかりな提灯の輝きによってか目を微かに眇めつつ歩調は緩んでもなお今にも走り出しそうな姿と好奇心旺盛な声を引き止めるように思わず腕の力を自分側に寄せながら立派な鳥居を潜った先に見える幾つものの屋台に物珍しいと言わんばかりな視線を向け。)国永。…分かったから、そう先に行くな。何を食べるかは、お前が決めればいい。

  • No.285 by 大倶利伽羅  2015-11-28 06:04:15 

(そう言われなくても、お前がそう嘘をつくような刀には見えない。
それこそ、俺は狡いとも思う。――結局は、お互いさまだ。

毛布。嗚呼…俺のところも、朝になれば出られないくらいにはくるまっている。
好い加減出なくてはならないのも分かっているくせに、中々出られなくて困っているらしい。…本当にどうでもいいな。
煩い。―…其の白紙なる便箋に込める想いは、ただ一つだけだ。
花見は結構だ、だが俺は奴らと馴れ合うつもりはない。…お前となら、それでいい。

後ろもさすがにそれから風邪には気をつけているらしい。
此れから師走の時期だ、より冷え込む。お前らも気をつけろ。
…それじゃあ。)

  • No.286 by 鶴丸国永  2015-12-01 11:55:57 

(夏の逢魔時の刻限、土の地面から立ち込める陽光の余韻と其れを冷やすような微温い夜風、そして縁日への道標となっている朧な朱の提灯が妖しさを助長させており。其れを意にも介さず無邪気に駆けて人混みに紛れてゆく短刀達を後目に、神社の鳥居をくぐった先の石畳の通りを挟むようにして立ち並ぶ活気溢れる露店を雀躍とした心中にて眺め。相手の気遣いなど露知らず、旺盛な好奇心ばかりが先走り双眸に映る馴染みの無い程良い喧騒に無意識の内に表情緩み、面妖な火薬の花を押し退ける勢いで空腹を唆る馥郁たる香りに些か眦を垂らし。然し無意識に逸る歩調を抑止するが如く、後方に引き寄せるような力に因って人の波を掻き分けるようにして強引に進行しようとした恣意も僅かながらに弱まり。加えて其れが手を繋いでいるという現状を実感するには十分すぎる程、徐に込み上げてくる緊張と蒸すような熱気により掌や首許に薄く滲み始める汗に気恥ずかしさは増し、自然を装いながら自ら深く絡めた指を緩めて掌の間に空間を作る。此方の意見を優先するような言の葉に周囲に目線を流すと、視界に留まった若鳥の唐揚げの屋台へと相手の手を引き歩を進め。数人の列の最後尾に立ち、額に浮かんだ汗を手首の甲で拭った後に、審神者から預かったがま口の小振りの財布を懐から取り出しながら、不意に脳裡を過るのは先程己に呼び掛けたものが銘であった事で。揚げ物の火とは別の熱さが頬の高い位置に張り付くのを感じながら、視線を合わせる事も出来ず所持金を確認するように財布の口を開いて。) あ、嗚呼。つい、目新しいものばかりで楽しくてなあ。…取り敢えず唐揚げにしようと思うんだが、俺ばかり好きなものを買ったんじゃあ、君は楽しめないだろう。何か食べたいものはないのかい?次はそこに並ぼう。

  • No.287 by 鶴丸国永  2015-12-01 12:07:01 

(俺は随分と信頼されているんだな。ありがとう。

君のところもか!俺の後ろも時間ぎりぎりまで褥に籠城しているんだ。
困ったもんだわな。…とは言っても、俺も最近は寒くて布団に丸まっているんだが。
へえ、奇遇だな。俺もいつも、同じ事を想いながら文字を綴っているぜ。
そうかい、それじゃあ皆に内緒で花見もしよう。桜餅でもずんだでも食べながら、な。

気を付けるのが遅すぎるんじゃないか?…兎に角、大切な身体なんだから自愛してくれ。
今日から師走だな。君と出逢ったのが春だから、これで全ての季節を共に過ごす事になる。
そう思うと嬉しくて堪らない。…嗚呼、筆を置き時を見失った。今日はこの辺で。またな。)

  • No.288 by 大倶利伽羅  2015-12-03 05:20:25 

(夏の暁を思わせる空、時折新緑を優しく揺らす風は何処か物寂しさを思わせる。そんな中、神社の境内の中に足を一つ一つ踏み入れると目の前に広がるのは何処も彼処も人々の姿であふれかえっていて賑やかなようす。自分と彼の手が繋がれていることも目に留まらないのか談笑を続けながら人々は通り過ぎて行き、遠くで和太鼓を叩く音も耳にしながら活気が良く、それでいて行き交う人らの幸せそうな顔を後目にさまざま種類が違う露店に視線を彷徨わせるほどに祭りと言ったものに興味を惹かれ。彼方此方から香る、空腹をそそるような香りに気をとられつつも今にも走り出して駆けそうな彼をこの繋がれている竜と糸一つできちんと此処に繋ぎ止めるようにすることを忘れずに。そうしていると彼の手の引かれるがままに足をゆったりと歩いては目に飛び込んでくる‟からあげ”と言う大きな文字で書かれている屋台、それなりに混雑している人混みをかき分けて最後尾に辿りつく前に見えた、ふわふわとしていて見るからに甘そうな綿菓子に視線が行くともなくそれを今繋がれている先にいる彼と思わず重ねて見てしまってから気になりだすも順調に列が動く中まともに、ましてや想いを密かに寄せている彼の顔を見ることも出来ずに。自然と繋ぐ力が弱まり、それに気づいて自分も無意識のうちにしっかりと握り締めていた手の力も弱めつつ彼の挙動不審な発言は周りの喧噪にかき消されてか気づけず、次に此方の要望を問う彼の唇に少しばかり悩むように視線を下に落としつつたっぷりと沈黙を守るも意を決したように口許からようやっと名を告げながら二軒挟んだ隣側にあることを指先で示して見せて。)……、…わたあめ。…あそこにあるだろう。

  • No.289 by 大倶利伽羅  2015-12-03 05:32:09 

(…信頼してなければこんなに想いを寄せていない。

気持ちは分からなくもないが、俺にとってはどうでもいいな。
いつまでも褥に籠城していても起こさないからな。
俺は今ほど春が待ち遠しいと思ったことはないだろう。

きちんと自愛はしている、心配には及ばない。
俺に言ってばかりだが、そう言うお前も気温の変動には気をつけろ。
春夏秋冬、これでお前と過ごしたことになるのか。…春が懐かしい。
共にすべての季節を感じられたこと、とても嬉しく思う。
お前とまた春を相見えることが出来るまで、あと少しだ。
…それじゃあ、また。)

  • No.290 by 鶴丸国永  2015-12-06 03:00:11 

(清涼感とは程遠い熱を帯びた夜風と真昼と大差ない体感温度に、風通し良い薄手の浴衣にも関わらず薄く浮かぶ汗の粒。手扇で申し訳程度の微風を送りながら人混みの中を歩み。男同士が手を繋ぐ事が一般的で無い事は知識として理解しているものの、活気溢れる祭事の熱気と心身の高揚に因り微温湯が揺蕩うような浮足立った思考に因り自覚に至らず。老若男女様々な声に紛れる事なく道中と比較すると明らかに大きくなった祭囃子の音を聞きながら、指の関節が組み合ったような危い繋ぎ方のまま歩を進めて。見本として置かれた大中小の器に入った揚げ物を眺めて思案を巡らせるも、遠慮するような間柄とは遠い互いの関係性故に悩まし気に押し黙るような沈黙には怪訝そうに首を傾げ言の葉を待ち。逡巡の名残をのせた蜜色の食指を辿った先に見えるは"わたがし"と記載された露店と、綿を模した真白い砂糖菓子を持つ表情を綻ばせた童。精悍且つ大人びた見目に相対する可愛らしい要求に愛おしさが込み上げ、胸を柔く締め付ける甘い感情に言葉を詰まらせ喉許まで上り来る科白を飲み込み。) っ、――はは、随分と愛らしいものが好きなんだな?彼方にも列が出来ているし、俺は唐揚げを買って君のほうに行くから君は先に並んでいるといい。 (平然を装うにも限度がある為、一度熱に浮かされたような思考を落ち着けるべく繋いだ相手の褐色の指を解放し。一人品を受け取り揚々と去っていく様子を一瞥し、次の次となった順番に気付くと寸刻のみ目線を交えては該当の露店を顎で指し示し。)

  • No.291 by 鶴丸国永  2015-12-06 03:07:28 

(流石は伊達の刀だ。君は寒さに強いんだなあ。
…おいおい、内番や出陣に遅刻すれば長谷部にどやされるんだ。頼むぜ。
嬉しい事を言ってくれる。雪も降っていない内から言うのもなんだが、雪解けが楽しみだな。

嗚呼、病に臥すような事にはならないようにするさ。
君が居るとどの季節も色鮮やかに映って好い。
最初のやりとりを見返して初々しい気持ちになったのは秘密だ。
それじゃあ、またな。)

  • No.292 by 大倶利伽羅  2015-12-10 00:15:22 

(強いわけじゃない、お前がそう言った環境に弱いんじゃないのか。
長谷部の奴にどやされるのは自業自得だろう。…はあ、今回だけだ。
嗚呼、…雪解けはいつ頃だろうか。

俺は凍てつく雪のようなお前の色に、少しでも鮮やかに景色を染めることが出来ればそれでいい。
此れから時期的に任務に追われることとなる。
返書も綴ってはいるが、少し遅れがちになる。すまない。
それじゃあ。)

  • No.293 by 大倶利伽羅  2015-12-11 01:25:18 

(熱気を孕む夏季の気圧、刻一刻と宵を刻む時の中で感ずる肌に浮かぶ暑さ故の微かな結露。彼の方に見える芽吹く桜を思わせる飾り、少しでも動く度に揺れるそれはまさに夏季だと言うのに其処ばかりは麗らかな暖かい春の中で自在に舞う花弁のような感を抱く。手を団扇に見立ててさほど感じられない風を送り込む姿は静かなものを思わせ、それによって微かにばらついて浮かぶ繊維のようにか細く白い髪を揺らす彼の所作は行き交う人々も流石に振り返っては噂を立てる。その中でもう一度彼に視線を向けると、そのようなことは知ったことではないと言わんばかりに目の前の食べ物で夢中な姿を一番近くで見られると言う何気ない優越感が心の底から突然水でも湧いて出たかのように醜い心持ちで占められ。その気持ちを振り払うよう、"わたがし"に視線を流してみると其処には幼い童ばかりが手にする甘そうな砂糖菓子。其れを彼によってからかわれてしまったような物言いは思わず眉根を寄せて不貞腐れた時と同じ心境となり。)――煩い、俺はもう行く。(繋がれた手元がふと弱まって離れ行く温もり、その名残惜しさを手のひらに感ずるもののもう一度手を伸ばしてしまいそうになる指を手のひらに向かって強く握り締めて抑え。夏の暑さばかりでなく、一つの感情から来る熱も暫く治まりそうにない。寸刻で交わされた視線、その唇が愉快そうに撓るとそれすらも甘やかな痛みを乗せた愛おしさで胸元を締め付けられ。持て余してばかりの感情に流されぬように列から逃げるように外れ、二軒先に見える"わたがし"と名が連ねられた屋台に伸びる列の最後尾へと足を進め。)

  • No.294 by 鶴丸国永  2015-12-15 21:27:44 

(俺は鶴だから寒さに強い筈なんだが、朝晩の冷え込みには敵わないらしい。
有難う。…何だかんだ言って君は優しいからな。頼りにしているぜ。
あっはは、俺も君も気が早すぎやしないかい?慌てなくても言葉を交わしていればすぐさ。

…鶴らしく、か?これ以上は控えてくれ。心臓がもたない。
師が走るとはよく言ったものだが、出陣や遠征と今や鶴が走っているぜ。
返書が遅れてすまない。明日か明後日にはしたためる。
――…嗚呼、最後に一つ。俺が卑怯とは何の事だ?…それじゃあ、また。)

  • No.295 by 鶴丸国永  2015-12-17 16:29:42 

(甚暑の宵、暑気払いとも言える祭祀に集まる人間とその内に紛れる刀の付喪。同時刻に本丸から出た他の刀達は既に遠くに見ゆる櫓に行ってしまったのだろうか、将又人混みに紛れたのか完全に姿を見失い。指先のか細い力で繋がった彼との関係や己達の正体を知る者は附近に居らず、それが群衆を掻き分け歩んでいるにも関わらず二人きりに隔離された空間であるような不可思議な感覚を齎し、胸中に満ちる水面に波紋を描く。精悍か顔立ちと薄手の和装を身に纏った竜姿に視線が集まる事も、日本国に住まう人間には異質めいた髪色に好奇の眼差しが注がれる事も薄々予測付いていた為に動じる事は無く。然しながら、傍らを歩む伊達男へと向かう恍惚を秘めた眼差しや、数多の女人を魅了しておきながら涼し気なかんばせを崩す事無く、見目と不釣り合いとも言える愛らしい甘味を求む相手を相伴している事実に優越感を抱き。) まあそう怒るな。後で俺にも一口分けてくれ。 (隻手を軽く揺らしながら仄かな揶揄を含めた笑声と共に見送りの言葉を添え。ほんの僅かな距離にも関わらず離れて列に並び立つまで相手を視線で流し見、掌を見下ろし自らとは異なる熱と刀を握る確りとした皮膚の感触の余韻を閉じ込めるように緩く握り締め表情を緩める。快濶とした声で語り掛けてくる露店の男に大中小の中の分量の品を注文し金銭と交換して。財布を懐に戻すと紙製の楕円容器に入った唐揚げの食欲を唆る芳ばしい香りに眦を緩めながら相手の居る屋台の方へと向かい。)

  • No.296 by 大倶利伽羅  2015-12-19 08:19:26 

(それならば殊更暖かくしていろ。お前は目が離せないからな。
頼りにしてくれても困る、次はちゃんと自分で起きろ。
…今は、此の冬を楽しめばいんだろう。

その心臓がもたなければ、どうなる。
俺の方もそれくらいだ、すまない。
あれは、…お前が目の前で言ってくれるのであれば。
この身も全てくれてやるのに、と思った。どうでもいい戯言は聞き流してくれて構わない。

それじゃあ、お前も風邪には気をつけろ。)

  • No.297 by 鶴丸国永  2015-12-19 18:05:52 

(自己管理くらいは確りするさ。
なんだなんだ、つれないな。君も朝は弱いのかい?
嗚呼。…夏を終えたら、秋を飛ばして冬でも良いと思ってる。また考えておいてくれ。

さあ、…止まってしまうかもしれない。
謝罪は要らないだろう。御互い様だ。再三言っているがゆっくりで良い。
―—…。はあ、俺の負けだ。…というより、如何して俺だと気付いたんだ?
鶴のつの字も明かしていないのに…驚いた。)

  • No.298 by 大倶利伽羅  2015-12-20 07:04:49 

(そう言って前に体調を崩したことがあっただろう。
うるさい。…朝はたまに寝坊助になる程度だ。
分かった、考えておく。

そう言ってくれると助かる、すまない。
此れからも、こうしてゆっくりやりとりが出来たら良いと思っている。
さあな、俺も良く分からない。
若しかしたら人違い…否、刀違いだとも思ったが…どうにも頭がお前だと言っていた。
これには俺も少し、驚いた。気持ちに駆られるままに文字を綴った、ただそれだけだ。

描写つきのものは少し待っていてくれ。)

  • No.299 by 鶴丸国永  2015-12-21 14:02:56 

(そんなの君だってそうじゃないか。御相子だ。
…寝坊助か。君こそ寝過ごしてしまいそうだなあ?

謝らなくて良いと言ったそばから…。
まあ、律儀なのも君らしい、か。
ああもう、本当に…。伏せた意味がないじゃないか。
でも、…文の内容はあれだが、気付いてくれて嬉しかった。
君の戯言とやらは大事に預かっておくぜ。

嗚呼。ゆっくりでいいさ。気楽に綴ってくれ。)

  • No.300 by 大倶利伽羅  2015-12-24 02:11:44 

(噎せ返る程の熱気が立ち込める夏の宵、既に頭上には微かながらも星が煌いて顔を出している頃だろう。先刻握り締めていた手元の熱も忘れられぬまま、そのけぶる熱を悟らせないよう彼の言葉を預かって逃げるような形で列から離れた先に見える目的の屋台。人混みの多くが浴衣を身に纏って小洒落た装飾をし、自分を魅せている者ばかりが視界の中に映り込むも頭の中に思い浮かべるは架空ながらも竜を腕に絡ませている彼ただ一振り。先ほど離れたばかりだと言うのに恋しくなる手の温もり、指も絡めた深い繋がりはそう簡単に色褪せることもなく。そんな物思いに耽りながらも行き交う人々の合間をなんとか縫って移動していると時折不意に肩が触れ合ってしまって「すまない。」と一言だけ告げ、立ち止まれないままようやく長い待機列の最後尾に並ぶことが叶い。少々大人も見受けられる童ばかりな列の中に混じって待つこと数刻、ようやく自分の番が回って来ると先ずは懐から紐つきの財布を取り出して其処から金銭を払って会計を済ませ。眼前の男が綿菓子を掻き混ぜるように作り始め、しばらくすると雪のように重なっては積もりだすさまを眺めている間に完成となったようで名前の通りの砂糖菓子を手渡されるままに受け取って次の人のために列を外れ。手にしたものは初めて見るものの何処となく想う彼に似ていることから自然と唇が微かに緩み、口許をうすらと開けて一口食べようとした所で此方までやって来たらしい遠目でも目立つ白銀の髪と見紛うはずのない浴衣の柄。不意に顔を上げた前方に見える姿、手には楕円状の皿の中に唐揚げが見える辺り先刻ほどに購入したものだろうと思わせる食べ物、行き交う中で彼だけを目にしつつ目の前まで来ると肩を並べて隣合い。「ほら、一口食べるんだろう。」手に持つ柔らかなものを思わせる綿を彼の方へと傾け、喧噪の中に混じらないように声を彼だけが耳に届くよう潜ませながら呟いて。)

  • No.301 by 大倶利伽羅  2015-12-24 02:37:35 

(寝坊助にはならないようにしている。
それも困難な時期が、此れからやって来るんだな。

…見つかった、か。
別に、俺は思ったことを口にしたまでだ。
そんな戯言を預かるお前はかなり物好きだろう。

遅れてすまな、…待たせた。
それと、特別な日だからと背後から言うことを脅された。
何故こんなことを…、…めりーくりすます。)

  • No.302 by 鶴丸国永  2015-12-25 15:09:09 

(ふうん。目覚ましの声が必要なのは君の方だったりして。
…暖冬と言われても寒いものは寒い。いっそ雪が降ればいいんだがなあ。

君達の言葉に触れる事が多いからか、俺を真似ていたからか直ぐに分かった。
…卑怯とまでは言わないが、君も十二分に狡い男だな。
何とでも言うがいいさ。こんな物好きも酔狂も、俺だけで良い。

嗚呼、今日は南蛮の祭事だったか。枕元に靴下を引っ掛けて眠ったかい?
そういや、俺のところにもさんたが来たぜ。
…めりーくりすます。佳い一日を過ごしてくれ。)

  • No.303 by 大倶利伽羅  2015-12-26 08:07:49 

(声がなくとも、お前と共に眠りこけるのなら別に構わない。
雪。…積もれば、お前は埋まってしまいそうに感じる。

良いだろう。…まだ、口にすることが出来ない故にだ。
狡い男なのはお前もだろう、国永。お互いさまだ。
それ以上言うな、――っ嗚呼、くそ。調子が狂うだろう。

靴下はもう引っ掛けていない、子ども扱いをするな。
さんた?…嗚呼。俺の所にも来た。
昨晩の望月は見たか。…お前の眼のようで、見惚れるほどに綺麗だった。)

  • No.304 by 大倶利伽羅  2015-12-26 08:12:52 

(言い忘れていた、すまない。
三百を越えたこと、某叫び板での足跡を嬉しく思う。
もう一度巡りめく季節とただお前の隣に在れたら、それでいい。

残念ながら、あの数字の意味は良く分からないでいる。
お前の唇から直接、聞きたい。)

  • No.305 by 鶴丸国永  2015-12-26 12:27:19 

(二人で仲良く寝過ごして、長谷部の説教を受けるかい?
雪遊びは好きだぜ。俺はあの白に埋まっていたいんだが、雪の方が先に溶ける。

こういう場で口にするのも、なあ。雰囲気も驚きもなく、つまらんだろう。
だが何も言わずに君が離れてしまうのも惜しい。
…調子でも何でも狂えばいいさ。なあ、大倶利伽羅。

あっはは、そうか。その言葉だと、以前は引っ掛けていたんだな。
さんたが来たなら重畳。君はいい子にしていたんだろう。
目に望月を二つ浮かべているのは君もじゃないか。…確かに綺麗だった。

此方こそ。君の記した言葉も本当に嬉しかった。
数字は大した事じゃあないんだが、君に解いて欲しい。
――…いろは唄を数字にして、読んでくれ。)

  • No.306 by 大倶利伽羅  2015-12-26 22:37:11 

(説教については俺がお前を褥に引きずり込んだことにしてすれば良い。
まったく、お前は…。遊ぶのも程々にしろ、俺は掘り返したりしないからな。

嗚呼、そうだな。言うべき所は、もっと相応しい所で口にしなければならない。
?…俺はお前から離れる気は毛頭ない。
うるさい。

そんなことはどうでもいいだろう。
俺がいい子ならば、お前もいい子にしてたんだろう。
これからあの月は、欠けるのか。

(桜吹雪)…――っ!すまない、…止まらない。)

  • No.307 by 鶴丸国永  2015-12-29 17:08:23 

(真昼の街中以上の人口密度と賑わいの中、濃紺の夜空を見上げる余裕も無く芳ばしい香り漂わせる熱々の唐揚げの容器を隻手に人混みの喧騒を縫い歩んで行く。道行く者の多くは絢爛な装飾や十人十色の可憐な柄の浴衣を纏う女人、緩んだ衿や愛らしく結い上げた御髪に因り白い項を晒している姿な何とも艶めかしく、好悪に関わらず無意識に目線が取られてしまうのは男の性だろう。次いで視界を過るは指を絡め睦まじい様子が窺える男女二人組、彼らのような関係を望まずには居られぬ蕩けた思考を夏の宵の熱の所為にして薄く汗ばんだ掌に蘇る先の感触に拳を握り締め自嘲めいた笑声を吐き。それでも親子連れや女人の多い列の最後尾に懸想の相手の姿を捉えると胸中は高揚を抑え切れず自然と頬も緩み。小走りに駆けようとした矢先に腕掴む感触と後方に引く力、歩み出す事は叶わず反射的に振り向いては甚平姿の見知らぬ人間が立っており。怪訝そうに首を傾げ唇を開こうとするも"女の人ひとりなんて危ないよ。良かったら一緒に回らない?"女人に対す誘い文句に開いた口が塞がらないとは此の事で、憮然とした面持ちで何度か瞬くも綿菓子の列を一瞥すると何やら機械の中で棒を掻き回す相手が見え、 「俺は男だぜ。他をあたってくれ。」 揶揄うような笑みと共に小麦色の肌の手を掴み引き剥がすと、目を白黒させている青年を余所に竜の打刀の元に向かい。雪白の淡い甘味に口を付ける手前、辿り着くと殆ど変わらぬ身の丈故に並ぶ肩。先程の男女の姿が脳裡を過り胸の奥を弱く締め付ける。周囲の声に紛れぬ穏やかな低音と己を優先する相手の優しさに目尻を緩めながら、 「一口目を譲るとは優しいなあ。…有難う。いただきます。」 唇を寄せて一口齧り、名の如く綿が引くような感と口内でじわりと溶ける素朴な甘さに表情を綻ばせ) ん、美味い。…君はこっちを食べてくれ。きっと美味いぞ。 (代わりに唐揚げの一片に楊枝を刺し其れを相手の形良い口許に近付けて)

  • No.308 by 鶴丸国永  2015-12-29 17:13:43 

(…それは…その、あらぬ誤解を受けるんじゃないか?
おっと、つれないな。君が前を通りかかった時には驚かせてやろう。

そうさな。…君は本当に…、俺の杞憂だったという事か。
あっはは、厳しいねえ。まあ、それでもいいさ。

そんな事はないさ。君の幼い頃なんて気になる。
勿論。俺はいつだっていい子だぜ。
これから少しずつ小さくなって、見えなくなるな。

拙い説明と言葉の意味が伝わったなら何よりだ。
ふふ、君はよく桜を散らすなあ。)

  • No.309 by 大倶利伽羅  2015-12-30 20:03:45 

(あらぬ誤解を受けたとしても、褥で共に寝た事実は強ち間違ってはいないだろう。
はあ…お前と言う刀は。掘り返すからじっとしていろ、何にしても必ず見つけるんでね。

杞憂。お前の杞憂が晴れたなら、それで十分だ。
何を思っているのかは知らないが、俺にはお前だけだ。
厳しくしなければ、俺はお前に甘えてしまう。それも、砂糖を吐くような。

気にならなくていい。聞いても面白くもなんともないだろう。
そうか。…じゃあ、今年最後の満月が見れたと言うことか。

伊達に春の三番と呼ばれていないからな。

改めて。
春先にお前と出逢ったこの年ももうすぐで終わりを告げる。
お前に出逢えて、本当に良かったと思っている。ありがとう。
拙い俺で良ければ、背後共々…――否。俺は何を言っているんだ。
馴れ合うつもりはない、と思っていたものが…嗚呼。俺も随分と、毒されたものだ。
どうか来年も、共に巡る季節を。)

  • No.310 by 鶴丸国永  2015-12-31 10:11:37 

(そう…か。……いやいや、待て。君、大胆だな。…驚いた。
俺は君の驚いた顔も好きなんだがなあ。…隠れ鬼なら仕方ない。

君のそういう所は本当に男前だな。有難う。
甘えてくれていいんだぜ。そんな一面を見られるのも俺の特権というやつだろう?

君の事を知りたいと思うのは当然さ。…今度光忠に聞いてみるとするか。
お、確かにそういう事だな。君も同じものを見たと思うと嬉しい。
…ふふ、流石は春の三番。本物の桜を纏った姿も見せてくれよ。

…君からは嬉しい言葉を貰ってばかりさな。本当に有難う。
断ち難いと感じ得る縁に巡り逢えたのは、春の日の君の言葉の御蔭だ。
卑下も謙遜も要らない。俺は君達が良いんだ。此方こそ、背後共々宜しく頼むぜ。
…これからもどんどん俺に絆されていってくれ。
来年、そして次の年と――君と永く共に在れますように。)

  • No.311 by 大倶利伽羅  2016-01-01 19:25:02 

(相変わらず遠くから盛り上げる為に響く和太鼓の音、熱気が籠らんばかりの人混みは何処も彼処も賑やか。不意に見上げると月は少しずつ時間が暮れる度に夜更けへと傾いており、夏季だと言うのに其処ばかりは涼やかで神秘的なものを思わせる。目的のものを手にしながら屋台から伸びている列を外れ、もう一度行き交う人々の中に紛れ込むように歩き出す。時折すれ違って行く、世間話や眼前の出来事に花を咲かせる男女の姿や女人の団体。その中でも恋仲である人らは目立って気になり、ふと離れるまで繋ぎ合わせていた手を握り込んで微かな普通に対しての劣等感を抱くもののさして気になる程でもなく。そうして歩いて見つけた彼の後ろ側には既に男がおり、それを振り払うようにして彼が此方側に来ると少し遠くで目を丸くさせたまま立ち竦んでいる男に含んだ視線を向けて睨みつけ。途端に男は蛇に睨まれた蛙となり、その場から踵を返すように去って行く背中を見送る事もなく早々に視線を外して。「…傍から離れるな。」距離と共に傾けたぽってりとした桜の、綺麗で形の良い唇が近寄って来るともなればそれに少し見惚れるような目元となりつつ譫言のように続けるも彼の一言によって見入っていた世界から一気に現実へと引き戻され。甘やかなる顔を浮かべる彼に此の侭何処かへ手を引いて去って行きたく思うも、その思考は熱気蒸す夏の所為にして脳裡から追い出す。眼前に差し出された食欲を唆す唐揚げ、身を寄せる為に近づいた時に触れる微かな手元の肌。其れほどまでに近い距離だった事を思い知りながら、そのまま手元の食指一本を彼の指先に絡ませるように擦り付けて唇で食むように唐揚げを咥内へと運び入れ。咀嚼をしてみると程よい辛みと肉の柔らかさに、「ああ、美味い。」良く味わって食べながらその香りが口の中で広がっていくのを感じつつ次の屋台へと視線を配らせると歩く速度はゆっくりめながら自分も綿菓子を食べて周りを見物し始め。)

  • No.312 by 大倶利伽羅  2016-01-01 19:50:27 

(?褥で共にする事で何か困る事でもあるのか。
勝手にしろ。隠れ鬼なら、雪に紛れ込んだりするな。肝が冷える。

嗚呼、つくづく敵わない。俺も、弱ったものだ。
あと光忠には聞くな、あいつは余計な事まで言う。だから止せ。
俺の桜よりも、お前の方がはるかに似合いだろう。
それこそ、目出度いんじゃないのか。

嬉しく思える言葉を有難う。
明けまして、おめでとう。現世で言う二千十六年が来た。
らしくもないがこの年も、明くる年も。お前の傍に永く在れたらと思う。
その中でまだ見ぬ景色を、共に見て行きたい。
お前こそ、俺に絆されてくれ。かくいう俺は、もうお手上げだ。)

  • No.313 by 鶴丸国永  2016-01-01 22:36:07 

(あるに決まっているだろう…!正気か?君にとって共寝は――っ…否、何でもない。
確かに雪とは同系色だが、君ならちゃんと見つけてくれると信じているぜ。

その余計な事が知りたいんだ。貞宗が来ればもっと詳しい事も分かるのになあ。
桜の美しさには目出度いも何もないが、叶うなら赤に染まりたいねえ。
…ただ、君からあの飾りを貰ってから薄紅の色も好きになったぜ。

明けましておめでとう。
新年早々、君からの嬉しい言葉を貰えて幸せだ。幸先が良い。
年の移ろいはあまり関係ないが、節目に改めて――これからも宜しく頼むぜ。

五条が一振り、銘を国永。
分霊に過ぎぬこの身だが君達の幸福と更なる躍進を言祝ぎ奉る。)

  • No.314 by 大倶利伽羅  2016-01-04 22:46:27 

(―――!す、まない。意味を、はき違えていた。悪い。
嗚呼。見つける、それ迄に眠るな。眠っていても見つけるが。
否、眠る前に見つける。

貞宗はもっと余計だ。お前は一体何を聞き出そうとしているんだ。
桜も、良いものだろう。あれはお前に、良く映える。

俺こそ新年早々に嬉しく思う。幸先が良いな。
馴れ合うつもりはないが、お前とならば宜しくしたい。

無銘刀、大倶利伽羅。誉なる目出度い鶴の名を冠した五条の、銘を国永へ。
千代に八千代に、お前らに幸があらんことを願う。
まったくお前と言う刀は、何故こうも俺を喜ばせるのが上手いんだ。)

  • No.315 by 鶴丸国永  2016-01-07 19:46:40 

(季夏の夜の蒸暑と露店や人混みの熱気、活気に皆が一様に浮足立った広い神社の中。夕涼みとは程遠い空間の中で石畳の通路を犇き合う人の中に紛れる刀の付喪が二人、ほんの僅かな時間且つ互いの姿を視認出来る距離にあったにも関わらず、長らく離れていたかのような錯覚を抱くは、就寝時や互いの出陣時以外を共に過ごす事が多かった故だろう。中性的な顔立ちである事は薄々自覚はあったものの、身の丈や鍛えた体躯は男性そのものであると自負していた故に、勘違いは少々心外なもの。同時に斯様な情けない光景を相手に知られる事も憚られ素知らぬ顔で歩み寄るものの、寸刻の間のみ己の背後に鋭利な眼差し向けた後に呟き落とされた言の葉に鼓動は高鳴り。気まずさ逃がすよう項背を掻きながら参ったと言わんばかりに僅か眉尻を垂らし。 「気にするな。…それにしてもきみ、そんなに睨んでは人の子の寿命が縮むんじゃないか?」 伏目がちに淡雪の如く咥内でじわりと溶けゆく甘味を一口堪能し冗句交じりの文言を吐きながら曖昧に口許を緩めて。差し出した手を掴む事無く、己の白に絡む無骨ながら繊細な褐色の食指のもどかし気な所作に僅かに身動ぎ。互いの距離感を自覚するは同様で、薄い唇がやおらと開き揚げた肉片を咥内に含むだけの行為が酷く扇情的に映り、幾度も見ているにも関わらず間近での其れに僅かに眦を下げ生唾を呑むように小さく喉を鳴らし。淡泊ながら何処か満足気な感想に我に返り、熱に浮かされたような思考を小さくかぶりを振る事で追い払うと相手の斜め後ろに付き歩みながら、先程の相手の様子を思い出さぬように心がけつつ唐揚げを楊枝で刺し一つ口に運び。) …君はそれだけじゃあ足りないわな。何か並ぶなら付き合うぜ。

  • No.316 by 鶴丸国永  2016-01-07 19:59:07 

(――っ!…き…、気にしないでくれ。…眠るだけならそれで、良いんだ。
雪の中じゃあ眠るにはちと寒すぎるぞ。君が掘り出すのを待ってる。

そりゃあ君の愛らしい頃を…なあ?俺が皇室に行った後の事も気になるしな。
君にそう言われるのも嬉しいが、桜は好きだ。…美しく滅びるものにこそ血が騒ぐ。

…君達の慶福を願える事がこんなにも幸せな事だとはなあ。
喜んで貰えて嬉しい。あと、…君こそ有難う。
俺の後ろは左胸を押さえて蹲っているぜ。男前も程々にしてくれよ。)

  • No.317 by 大倶利伽羅  2016-01-10 21:14:07 

(…―ああ。否、…お前が傍で眠るとなれば俺がもたないだろう。きっと。

貞宗に迫るのは止せ、何か聞き出したい所があれば俺が答えてやる。それでいいだろう。
刀の本分は絶対的だ、滅び行くものに悦を覚えるのも必然なものだ。

そう言う此方の背後もお前の誠実さにいたく胸を打たれている。
幸せな事は良いことなんじゃないのか。お前と、これからの日々を歩みたい。
本文はもう少し後だ。すまない。
此方の任務も落ちついて来た、だから余裕が出来た時にでも直ぐにしたためる。)

  • No.318 by 鶴丸国永  2016-01-12 01:22:15 

(や、……それ以上は言わないでくれ。この話は止そう。いいな?

君に聞きたいのは山々なんだが、まともに答えてくれないだろう。
ふふ、君もかい?ひとの身を得たとはいえど、俺達はちゃんと刀なんだな。安心した。

誠実?…いや、俺には程遠い言葉じゃないか?此処には好きで来ているしなあ。
…、幸せ過ぎて持て余してしまうくらいだ。君も、そうだといいんだが。
嗚呼、急かす気はないからな。無理のない範囲で筆を執ってくれ。)

  • No.319 by 大倶利伽羅  2016-01-15 15:20:29 

(夏季と言う季節も手伝って熱覚めやらぬ雰囲気は相も変わらずに何処も彼処も喧騒に溢れ、煩わしいばかりな人々の混みように普段よりも悪くないと思えるのは今傍らに居る彼のおかげだろう。然しそれだけ人も多ければ矢張り十人十色。先の彼に気安く声を掛ける輩も居ると言うのは紛れもない事実であり、その事について少し不安なるものに胸が翳り。自然と眉も寄って肌に触れる空気が滲む感を覚えるも、「縮んだだろうが何だろうが、どうでもいいな。」危機感のあまり持ち合わせていないさまを見ると気が抜けて肩を落とし、吐息を深く詰まった胸元から唇へと逃がすように吐き出して。その息も未だに色がつかない夏の時期、額に光るは滴の玉。彼の指へ微かに絡ませた己の手元、少しでも欲を掻き立たせる真似をすると迷わずその白く幾らか華奢な手を絡め取ってしまいたい衝動に駆られて初めてこの場における特別な感情を奮い立たされ。その熱気籠る胸元の奥に潜んだ燻りは火薬に火を灯らせてしまう前に見ぬ振りをし、同時に指先で少し手元を巻きつけてから滑り引いて行くように手を引き上げつつも己と同じような葛藤を彼がしている事は露知らず。熱も浮かされた心を持つは行き交う人々も己も例外ではなく、すぐ傍にいる想って止まない彼との時間はいくら混んでいようともまるで二人だけの世界に迷い込んだように思える。その思想を振り払うべくゆったりと双眸を瞬きさせ、いざ露店に目を向けた刹那に足元へ柔い衝撃。必然と其方を見てみると短刀くらいの見目をした人の子の子ども、愚図り泣いている姿を見るや恐らく親族と離れ離れになってしまったのだろうと窺える。「…おい、お前。」控え目に声の質を落として唇を開き、その子どもも限界だったのか足元にしがみついて離れないようで仕方ないと言ったようにため息をこぼして。通りすがる人々も迷惑そうな視線、触らぬ神になんとやらと言いたげに彼と己、そして子どもも含め避けて過ぎて行く。泣き過ぎてしゃくりあげている姿、少し困惑したようにすぐ傍らの相手へと視線で問い掛け。)

  • No.320 by 大倶利伽羅  2016-01-15 15:25:49 

(分かった、止めにする。

まともに答える気はないからな。かと言って貞宗や光忠に迫るのは止めにしろ。
刀であるからこそ、俺とお前…他の奴も戦う悦びを知れるんだろう。

そうか。俺も好きで此処に足を運んでいる。
お前が幸せに溢れていれば、それだけで十分だ。
実の所、俺も持て余している。如何すれば良いんだ。)

  • No.321 by 鶴丸国永  2016-01-18 21:52:17 

(喧騒による茹だるような蒸し暑さの夜気の中、各々が購入した物に舌鼓を打ちながら参道の端を歩む。非日常的な催事に浮足立ち気も漫ろ為るは人も神も同様らしく、すれ違う者の中には酒精の香気を纏うものも少なくはない。己よりも不服さを露わと為しぞんざいな言葉を吐く相手に思わず目尻は緩み、 「…きっと見間違いさ。若しくは、この飾りの所為かな。」 空いた手で帯に付けた花飾りを一撫ぜ、竜纏う浴衣に不揃いとも言える可憐な其れ、湧き立つ贈り主への愛おしさに表情を和らげて。立っているだけでも薄く汗の膜が出来るのは人の身の性だろう。手ずから唐揚げを与える最中に蟀谷に浮かぶ細やかな水滴が褐色の肌に映えて見え。歩みを進め始めても脳裡を離れぬ光景に顔を逸らすも、此方の手を掬い引く感覚に相手から意識が離れる筈も無く。周囲に並ぶ露店は既視感抱くものばかり、奥に進むにつれて徐々に数も減る中で不意に歩を止める相手に伴いその場に踏み止まる。あれ程までに密集していた人の群れは何処へやら、微温い夜風が吹き抜け恋慕に騒ぎ立つ胸中の熱を落ち着けてゆく。傍らの困惑の様と低い位置で聞こえる愚図るような泣き声に視線を落とすと、相手の足元に立つ幼子の姿が目に入り一つ瞬いて。相半ば強引に褐色の掌に己の手の代わりに唐揚げの容器を持たせ、腰を落とししゃがみ込むとそっと顔を覗き込んで。 「どうしたんだ。逸れてしまったかい?」 穏やか声色にて問うと相手の隻脚にしがみ付いた儘、小さく頷きながら嗚咽に紛れて聞こえた"おかあさん"との単語に表情を和らげ。) それじゃあ、一緒におかあさんを探しに行こうぜ。 (対応に困っていた男を見上げ視線を向けた後、漸く足を離し涙に腫れた目許を拭いながら頷く幼子の腋に両手を差し込み立つと共に抱き上げて。)

  • No.322 by 鶴丸国永  2016-01-18 22:00:26 

(…それじゃあ君の幼少期を知る機会がないじゃないか。
嗚呼、その通りだな。どんなに人らしい暮らしをしていても、本分を忘れちゃいない。

また君と御揃いか。…でも、良かった。
多忙なのは分かっているから、無理だけはしないでくれよ。
ふふ、少しずつ吐き出していくかい?)

  • No.323 by 大倶利伽羅  2016-01-22 13:29:00 

(何も昔に拘らなくても良いだろう。それに、知る機会ならこれから知って行けば良い。
…いくら刀が人の身を得たからって、特にする事は何も変わらない。

俺も、良かったと思っている。
それを吐き出したら、勿体ないだろう。)

  • No.324 by 鶴丸国永  2016-01-23 18:23:43 

(昔も含めて、と思ったが…それもそうさな。これからのきみを知っていくとしよう。
だが斬るだけじゃあないだろう?――想いを交わす言葉を持ち、触れると温かい。

んん…、溜めているのもどうなのかと思ったんだが、まだ大切に持っておくか。
それにしても今日は冷えるな。こっちはついさっきから雪が降り始めたんだ。
明日には沢山積もっているだろうから、雪だるまでも作ってくるぜ。
きみのところでも雪が降っているかい?)

  • No.325 by 大倶利伽羅  2016-01-25 15:06:37 

(ああ、それで良い。
――俺は刀の本分を全うするだけだ。だが想いや言の葉は案外心地が良い。
くそ、こんなつもりじゃなかった。

吐き出したいなら吐き出せば良い。それを俺は受け止める。
雪。…どうでも良い、が。俺の方も雪が降った。
おい、雪で遊ぶのは良いが怪我をしないようにしろ。お前は危なっかしい。
それで。雪だるまは作れたのか。

此処で一つ案を出したい、と背後が。
今まで本文と此方で上げ下げだっただろう。
本格的に下げ進行で行かないか、と。それだけだ。
お前の言葉に甘えて、ゆっくりと文字を認める。すまない。)

  • No.326 by 鶴丸国永  2016-01-25 23:22:39 

(ふふ、一年も経ってきみもだいぶひとらしくなったなあ。
そういう心があれば無茶をせずに本丸に戻って来そうだ。

受け止めてくれるのかい?そりゃあ有難い。
だがきみに渡してしまうのも惜しい。
この幸福は暫く俺の内に留めておこう。
あっはは、忠告を受ける前に既に転んでいたぜ。驚きだろう?
ま、そこで怪我をする程軟弱でもないさ。
勿論、雪だるまも雪兎も作ったぞ。冷凍庫に仕舞っているんだ。

下げ進行か、…成程。俺は構わないぜ。
これ以降は本文も下げるんだな。分かった。)

  • No.327 by 大倶利伽羅  2016-01-26 22:50:30 

(刻一刻と頭上の月も朝ぼらけに少しずつ傾く最中、わたがしが丸い見目から歪な形と成り行く。咥内に滲む甘さと季節外れの雪を思わせる儚い溶け方、白銀の其れは今だけながらも甘やかな夢を見せてくれる。喧騒も最高潮に上る頃、彼方此方から何処となく気も漫ろな雰囲気を感じて皆一様に空を見上げているのが気に掛かり不意に視線を宵に包まれた熱気を籠らせる空へ上げるも変哲が無ければ微かに示した興味を失くし。彼と共に歩いているとこれでもかと好奇の色を眸に宿した目が疎らに寄せられるも、自分の後方や前方に擦れ違う人々の姿など目に入らずただ只管に懸想を傾ける人物へ意識を向けた所で掛かる科白、「それは、春のか。…まだ、持っていてくれたのか。」彼の指が示す細い線の先に見えるいつかの麗らかな春日和にて贈った代物。何処か気恥ずかし気に視線を横へ流し、華奢で可憐な其れを今身に付けている事が何よりの嬉しさである事を抑えて。先程よりも少し外れた箇所、風を身に感じ易い場へ出て来た為か自然の恩恵は有り難く。唐突な見目に幼い子ども、手のひらに乗せられた容器に驚愕の色を顔に出しつつも条件反射で握り受け止めて低い位置にて丸み込み子どもの目線となる後ろ姿を眺め。至極穏やかな声にて紡がれる言の葉に軈て幼子は一旦涙を流すのを止め、吃逆を上げながら彼に興味を持った目をした円らな双眸は齎される言葉に確りと頷いて。上目に合った視線の意思疎通の意味は理解出来、漸く腕に抱き上げられた幼子を横目に「…おい、お前の"おかあさん"の手掛かりは何だ。」足の向きは未だ賑わう屋台が立ち並ぶ参道へ方向を転換し、人で溢れる光景に気の遠くなるような心地となるも片手にはわたがし、そしてもう片方は唐揚げの入った容器で塞がれつつ顔は前に向いたまま手短に幼子へ問いを掛け。)

  • No.328 by 大倶利伽羅  2016-01-26 23:06:28 

(ひとらしくなったかは、どうでもいいな。
お前も一年を経てだいぶひとらしくなった。
引き時は分かってるんでね、怪我を負おうとも必ず此処に帰って来る。

ああ、それでいい。
勿体ない、と思う程に俺はこの感情が恋しくなっていたのか。
だったらこれを恋しいまま持っておく。
…まったく、そのお転婆ぶりはどうにかならないのか。
雪だるまと雪兎。その出来はどうだったんだ。

一応本文も下げにした。気に入らなければ戻すから言ってくれ。)

  • No.329 by 鶴丸国永  2016-01-29 19:49:49 

(肉の器を得てみると一年なんて短いもんだ。
それでもひとに慣れるには十分過ぎるらしい。
嗚呼、きみの帰還を待っていよう。

…ふふ、随分愛らしいことを言うんだなあ。
こればっかりはどうにもならないさ。
雪だるまも雪兎も上手く出来たぜ。見たいかい?

いいや、このままで構わない。
明日か明後日には筆を執るから、少し待ってくれ。)

  • No.330 by 大倶利伽羅  2016-01-31 08:10:44 

(煩い。どうしてお前はそんなことしか言わないんだ。
寧ろ一喜一憂をしているお前の方が、よっぽど…。
それ見るのは後だ、それよりもお前の手が悴んでしもやけに赤くなっていないかが気に掛かる。

ああ、分かった。背後の我が儘を聞いてくれて有難う。
返書は別に急いでいない、お前はお前の出来る範囲で筆を執れば良い。)

  • No.331 by 鶴丸国永  2016-02-01 17:50:23 

(素朴な甘さを堪能する相手を横目に熱々の唐揚げを頬張り、口蓋焼くような熱を息で吹いて冷ましつつ噛み締めると程良い歯応えと共にじわりと溢れる肉汁に上機嫌に目尻を緩める。脂に光る唇を舌で舐め取り満足気に笑み、幾つか残っている肉片に楊枝を突き刺して小休止。逸る気持ちを抑え切れぬとばかりに浮足立つ周囲の雰囲気から、そろそろ花火も始まる頃だろうかと闇の広がる空を見上げ。火薬の花は見当たらず濃紺と煌めく星が散らばる夜空を眺めていると、横目に映るは同様の行動を取っている相手の姿。無意識の所作が被った事に相好綻ぶは何と単純な事だろうか。一拍遅れて顔の向きを戻すも胸中の雀躍は収まる事無く、だらしない面を誤魔化すように空いた掌で頬を擦り。すれ違う人々の遠巻きな視線に気付いてはいるものの、目を引く珍しい髪色である事は自覚している上に疚しい事もない為、隣の相手と言葉を交わしている間は周囲の風景はぼやけて映るほど。喜色めいたものを声に滲ませる相手に心中に湧き立つ温かさを感じながら、 「当たり前じゃないか。きみからの貰い物だぞ?…今日付けていくかも迷ったんだが、きみに見せたくてなあ。」 何かの拍子で落ちてしまわないように留め具を確認しておき。花火見物の為の場所を探すべき頃合、突然登場した迷い子を放っておく訳にもいかず人探しを開始する。相手に倣い比較的人の多そうな露店の方へと身体を反転させて、抱き上げた事に因り此方と目線の高さが近付いた幼子は不器用故の無愛想な問いに喉を引き攣らせ。先程己がしがみ付いていた脚が彼のものだと気付いた事も相俟り、首に回された小さな手が肩口の薄い色の浴衣を握り締める。楽しげに笑みを零しながら 「おいおい、そんな聞き方じゃあ怖がらせるだけだぜ。…なあ、お兄さん達におかあさんのことを教えてくれないか?」 落ち着かせるように背を微弱な圧で叩き、平時よりも緩やかな語調で問い掛け。ちらりと相手の事を窺い見る逡巡の後に口を開き、ぽつりぽつりと紡がれる声に耳を傾けて。聞き出す事の出来た情報は、母と兄の三人で祭りに来た事、祖母に浴衣を着せて貰った事、林檎飴の露店で逸れてしまった事。語るうちに徐々に落ち着きを取り戻し僅かながらに笑みを見せる様子に胸を撫で下ろしつつ竜の彼に視線を向けて。) 取り敢えず林檎飴のところでも行ってみるかい?

  • No.332 by 鶴丸国永  2016-02-01 17:59:23 

(あっはは、口説き魔のように言うんじゃない。
それに、俺は思った事しか口にしていない。
…?嗚呼、指が出ているからか?何ともないぜ。
早く湯浴みに行けと一期にどやされたからなあ。

これくらいの我儘、どうってことないさ。
…と言いたかったんだが、早速間違えた。…すまん。
俺も下げ進行には賛成だから、このままいこう。)

  • No.333 by 大倶利伽羅  2016-02-04 06:03:22 

(違うのか。…否、冗句だ。お前はそう言う刀だった。
お前の言の葉は何故か身体に甘く染み込む蜜のようだ、とろける。
…ふん、当然だろう。だが風呂に行く程に雪遊びを堪能したと見える。

いい、気にするな。たまに俺もそうしてしまうだろう。
下げ進行に賛同したこと、改めて礼を言う。ありがとう。

返書の文が遅れてしまってすまない、もう如月か。早いものだな。
世間ではばれんたいん、と言うものがあるらしい。
すまないが、認めるまでもう少し時間が掛かりそうだ。
此方ばかり話しては本文が進まないのも分かるが、こうしていたい。)

  • No.334 by 鶴丸国永  2016-02-05 11:38:23 

(きみはよく分かっているだろう?
蕩かすような事を言っているのもひとえに君が愛らしいからだ。
雪合戦もしたからなあ。愉しかったが、短刀共々びしょ濡れさ。

相変わらず律儀だな。
人目に付かないところでひっそり言葉を交わすのも魅力的だ。

月日が経つのはあっという間だなあ。返書は気にしなくて良い。
何度目か分からないが、無理しないようにな。
ばれんたいん…?何だ、また南蛮の催し事かい?
雑談だろうが何だろうが、きみと言葉を交わせるなら嬉しいぜ。)

  • No.335 by 大倶利伽羅  2016-02-09 12:51:46 

(返書がこうも遅くなっていてすまない。
話し足りない時はいつかの何処かで徒然と日記を綴ろうと思う。お前も綴ったら良い。

風邪には気をつけろ、暦の上では春だがまだ冬の季節だろう。
魅力的ならそれで良い。

ばれんたいん、…背後曰くちょこれーとの日だそうだ。どうでもいいな。
有難う、恩に着る。)

  • No.336 by 鶴丸国永  2016-02-11 19:13:02 

(忙しないんだな。気にしなくていいさ。
きみはきみのすべきことを最優先してくれ。
…日記か。きみの言葉を楽しみにしつつ、俺も綴るとしよう。

そうさなあ。暦の上では春でもまだまだ寒い。
梅が咲くのもまだもう少し後だろうな。

…ちょこれいとの日。面妖な催事があるもんだ。
俺も後ろの奴に聞いてみる。祭りなら楽しまないとな。)

  • No.337 by 大倶利伽羅  2016-02-11 22:29:19 

(すまない。だが、忙しさを言い訳にしたくない。
気遣い痛み入る、お前の言葉が恋しくて此処に足を運んでしまうのは何故だ。
…ああ、日記だ。そういう専用の所がある、俺は其処で綴ろうと思う。

梅。冬の終わりを告げて、春の報せを運ぶ花だ。…見たいな。

ちょこれいとの日だ。後ろの奴に聞いてみたら良い。)

  • No.338 by 大倶利伽羅  2016-02-12 10:47:44 

(微温い風が髪を凪ぎ、その現象で髪の先が微かに浮くさまはまるで此処に来ている人々の気持ちを現したよう。仄かなる肉の味が咥内で染みて行く過程、後味すらも舌で堪能を怠らず。其の柔肉が美味だった為にもう一つ口にしようかと彼の方に視線を向けた先、脂に光る唇は露店の照明に反射して目映く。湖面に映り込む月を思わせた、何処か艶めかしい感を抱く唇に思わず喉元へ唾を飲み込んでしまう。肉よりも大分気を取られている双眸に瞬きを一つ、次に映し込む景色は相も変わらずにあふれかえる人々。時折すれ違う人に肩が触れ合うも、漫ろな気分な故に誰も彼も眉を顰めたりはしない祭りの中。何処かで幼子が笑う声、其れを止める母親らしき若い声は其処まで引き止める意思はない。寧ろ幼子が一人燥いでも皆気を許せてしまう朗らかな光景にて眼前に広がる多種類の露店、次の食べ物は何にするかと決めかねて来るよりも唇から想起させた先程触れ合ったばかりのぎこちない手は未だに熱いながらも彼の温もり、柔さを覚えているが故に二人きりで肩を並べ出掛けている此の時を改めて強く実感すると胸の高鳴りは一際増して。春の日に彼へ贈った季節外れの花を咲かせる姿、竜を纏う袖と相俟って普段とは違う装いの彼がより魅力的に見えた。「つけて来るとは思わなかった。矢張り、良く似合っている。」大切そうに扱う姿を見ると何処となく胸の中が熱でない温かな春が訪れたようなくすぐったさを誤魔化すよう、手元に握ったままの白い綿を一齧り。そして親と何時の間にか逸れてしまったと言う幼子、もうじき花火の時刻が迫って来ているのか人気のない場所から更に人々が引いて目的地へと向かって行く後ろ姿を見送り。幼子を腕に抱き上げた彼から一言宥めるような言の葉、其れには何も告げずに寸刻幼く向けられる視線も見ず彼に身を任せては、幾つか耳に届いた情報を頼りに足を一歩踏み出したのを機会にもう一度人の波へと入り込んで。次いで白い彼の視線には呼応して数秒程絡めた後、もう一度前に向き直っては幾らか機嫌が戻った幼子へ手に握り締めたままの綿を不器用ながらも寄せてから 「ほら、食べれば良いだろう。それとも、こっちの方が良いのか。」 言の葉を幼子に向けて綿とは反対側に持たされた唐揚げを覗かせた途端頷く頭にふと目許が和らぎ。爪楊枝が肉に刺さったままのものを箱ごと差し出し、恐る恐ると言った加減で箱ごと小さな両手で受け取った幼子の頭をくしゃりと髪を乱雑にするように掻き撫ぜ。そうしている内に見える林檎飴の露店、その付近で挙動不審にして子の姿を探している姿はないかと密かに視線を配らせて。)

  • No.339 by 鶴丸国永  2016-02-15 04:22:08 

(忙殺に疲弊した身体を休めるのは、言い訳じゃなくただの理由だろう。
それでも俺の言葉を恋しいと思ってくれるなら有難い事だわな。

春の報せ、か。まるで鶯そのものだな。桜の前に見ておきたい。

後ろの奴に聞いたんだが、ちょこれいとはおまけらしいぞ?
好意に甘味を添えて贈る日なんだそうだ。
過ぎてしまったが、まだ夜が明けていないから許してくれ。
はっぴいばれんたいん、大倶利伽羅。
これからも宜しく頼むぜ。(がとーしょこらの入った、銀の飾り紐を巻いた黒い箱を差し出し)

  • No.340 by 大倶利伽羅  2016-02-18 22:03:33 

(其れでも、あまり待たせたくはない。
お前が俺を恋しく想っているように、俺もまた然りだ。

鶯と言えば、共に在るのが梅だろう。俺の所ではもう咲いている。

ちょこれいとはおまけだったのか、知らなかった。
俺にくれるとは思わなかった、礼を言う。
ありがとう、国永。(銀の飾り紐で彩られた黒い箱を手に唇が微かに笑むのを感じたまま大切そうに視線を下げ)

  • No.341 by 鶴丸国永  2016-02-23 18:08:10 

(歩行に伴い夜気を掬い靡くは同じ位に伸びた襟髪。薄らと汗ばんだ項が垣間見えると、否応にも其処から視線を外せなくなってしまう。無意識に足運びが疎かとなり、共に歩んでいた相手と距離が出来て始めて我に返り、再度隣に立ち並ぶと意識を逸らすべく伏し目がちとなる。不意に隣から注がれる視線に気付き流し目に視界に捉えるも、艶やかな黄金の眼の奥に潜む欲がもどかしく胸を焦がし微かに瞠目してしまう。朱夏の所為と己を律し揚げ鶏に向けられたものだと言い聞かせても、面映さを消し去る事は困難で思わず口を噤み視線を外し。人間達の催事の喧騒に溶け込む付喪神、共に本丸を出て来た他の者達の存在が脳裡を過り辺りを見回すもそれらしい姿を見つける事は出来ず、ある種好都合な状況に無意識にも表情が緩む。手を伸ばせば容易く触れられる位置に立ち甘味に舌鼓を打つ懸想の相手と、戦から遠く掛け離れた平和な場所。刀の本分を忘れさせてしまうような危さを孕むも、敵を屠る昂りとは似て非なる高揚は心地好い。 「きみが選んでくれたんだぜ?きみの目利きは正しかったって事さ」 幾ら他の何十人に称賛されようと彼から言われなくては意味がない。飾り気の無い一言で心臓を柔く掴まれたような息苦しささえ抱くのは単純さと彼に傾ける恋情ゆえ。表情を綻ばせながら自分も一つ小さめの唐揚げを咥内に放って咀嚼。腕に抱えた幼子への対応が他と変わらぬあたり、相手の独立独歩さが窺えて思わず可笑しそうに笑みを零し。人の数が減り行動しやすくなった露店の参道を歩みながら、緊張や不安を解きほぐす為に他愛の無い言葉を交わす。辺りを見回しながら歩んでいると不意に幼子へ向けて差し出される二つの品、素気無いものの彼なりの気遣いを持って接する様子は何とも微笑ましく 「お、お兄さんから貰ったのかい?良かったなあ。遠慮せず食べていいぞ」 内容物が半分ほどに減った容器の中に鼻先を近付けて匂いを嗅ぎ、一つ齧っては表情を緩めるさまに目尻を緩めて。小さく紡がれた御礼の言葉は相手に届いただろうか。軽く髪を整えてやり露店の周囲を見回す。店主に声を掛けようとしたところ、耳元で発せられる嬉々とした"おかあさん!"という言葉と呼応する声。其方に視線を向けると,丁寧に結われた髪を乱し不安を顔に書いた表情が喜色と安堵に綻ぶ浴衣姿の女性が映り。腕の中でもがく幼子を地面に下すや否や、抱き合って再会を喜ぶ二人の心温まる光景を少し離れた位置から眺めて。母親が見知らぬ唐揚げの容器を不思議に思ったのか、子が此方を指差し何かを懸命に語っている様子が窺える。連れ立って此方にやって来ると何度も頭を下げ御礼の言葉と共に差し出された容器を受け取り、笑み浮かべながら 「いやいや、気にしないでください。見つかって良かったです。な?」 隣に立つ彼を肘で軽く小突きながら目配せをして)

  • No.342 by 鶴丸国永  2016-02-23 18:16:11 

(有難うな。…と言いつつ、待たせてしまってすまん。
昨日は猫の日だったな。本丸にも猫が居るだろう。遊んでやったかい?

梅に鶯は花札にもあるからなあ。
俺も蝋梅は見たぜ。きみは梅を見に行ったかい?

俺やきみの背後が暮らす時代は甘味を重視しているらしいけどな。
渡せて良かったぜ。南蛮の菓子を作るなんて初めてだから、その…期待はし過ぎないでくれ。)

  • No.343 by 大倶利伽羅  2016-02-29 13:53:17 

(すまない、大分待たせてしまって居る。
ああ、彼方此方得物に対し飛び回る猫の脚力は凄いものだと改めて知った。

梅は近くに咲いているだろう。見に行った。
俺の場合は白梅だがな。

有難う。…がとーしょこら、だったか。美味かった、またあんたのものを食べたいと思うくらい良いだろう。
如月も末、今月も世話になった。刻一刻と迫る春の訪れに何処か懐かしさを感じる。
体調には気を付けろ、俺も気を付ける。文の返事はその内。すまない。)

  • No.344 by 鶴丸国永  2016-03-05 20:03:38 

(いいや、構わないさ。それにしてももう弥生とは月日が経つのは早いなあ。
と…飛び回る?そりゃあ驚きだな。丸くなって寝ているもんだと思っていたぜ。

白梅も好いな。何となく桜に似ているから、春が待ち遠しくなる。

口に合ったなら何よりだ。ふふ、きみが望むならいつでも作るぞ。
どうやら花粉症が流行り始めているらしいからな。きみも体調には気を付けてくれ。)

  • No.345 by 大倶利伽羅  2016-03-14 22:26:38 

(大分日が空き、待たせてしまっている。
既に弥生も中腹、月日の流れは早いものだ。

今日一日は春先とは思えない冬の気候だった、あんたは風邪を引いていないだろうか。
否、そんなことは如何でも良い。

南蛮に伝う、先月のお返しとして今日が指定されているらしい。
俺は何が良いか分からなかったものでね、適当ですまないがこれで許せ。(縦縞模様、彩とりどりの飴玉が入った透明で小さく白い紐が蝶結びになっている装飾の小袋を懐から取り出し)

  • No.346 by 鶴丸国永  2016-03-17 05:23:05 

(気にするな。この時期は何処も忙しないな。
きみと出逢った日まで、あとひと月と少しか。
時間ってのは本当に矢のように過ぎていくなあ。

心配有難う。確かに冬に戻ったような気候だった。
此の頃は春一番か、風が強い。飛ばされていないかい?

へえ、洒落た日を作るもんだ。…これ、きみが選んだのか?(包装越しに見えるは和風の細工が為された色彩豊かな甘味の珠。嬉々と双眸輝かせつつ両手を伸ばし大切そうに受取り、視線相手の黄金に向け)

  • No.347 by 大倶利伽羅  2016-03-19 13:02:14 

(ありがとう、恩に着る。春先だ、何処も忙しないのも頷けるだろう。
考えれば既に弥生は下旬か。桜、何時が見頃だろうか。
あっと言う間の一年だった、春先の出逢いがつい先日のように思える。

飛ばされるわけがないだろう。俺は確りと此処に居る。
あんたこそ飛ばされないか心配だ。

…俺でなければ何と言う。(何処か嬉々と輝く眸奥に安堵の吐息を密かに吐き出し、和風にて見目色鮮やかな手毬飴に注視する金の飴玉を思わせる双眸の視線と絡み合わせ、確りと頷いて意思を示し)

  • No.348 by 鶴丸国永  2016-03-23 19:03:32 

(ふふ、全くだ。やり取りを見返すと、初々しくて笑ってしまうぜ。
俺だって飛ばされないさ。一度くらいは飛ばされてみたいもんだがな。

きみは趣味が良いなあ。…嬉しい。有難う。(首肯と共に徐々に表情綻ばせてゆき、感心と満ちる喜色を逃がさぬよう包みを胸元に抱いて)

そういや、平成できみの本霊が展示されるらしいぞ!
その日は桜が満開になるそうだ。桜にまで祝福されるとは、春の三番の異称に相応しい。嬉しいもんだ。)

  • No.349 by 大倶利伽羅  2016-03-29 15:11:38 

(もう少しで年度末、卯月も近しい。
其れでもお前が空に飛ばされたら俺が捕まえに行く。
桜も綻び始めた、…春だな。

喜んでもらえたならば良い、俺も嬉しかった。
…摘まんで見たりすれば、お前の退屈凌ぎにもなるだろう。(自身が想い秘めたる胸元の箇所と同じように抱える姿に眦微かに和らげて)

平成で本霊…ああ、そうだな。
お前は本当に自分のことのように喜ぶ。其の異称に相応しく在れるように努める、有難う。)

  • No.350 by 鶴丸国永  2016-04-03 12:06:06 

(何て事を言っていたら卯月だぞ。慌ただしい時期だな。
…ん、きみが来てくれるなら安心だ。心置きなく飛ばされておこう。
風もだいぶ暖かくなったし、桜も満開。春だなあ。

目にも楽しいってやつか。きみも分かっているじゃないか。
今度一緒に食べようぜ。(視線戻すと穏和な表情の相手に双眸を細め)

  • No.351 by 大倶利伽羅  2016-04-03 19:48:29 

(きっと卯月も瞬く間に過ぎ行くだろう、季節とはそう言うものだ。
…勝手に何処か行ったら知らないからな。
こうも満開となれば、お前と邂逅を果たした日を思い出す。

いらない。それはお前に贈ったものだ、俺が食べてどうする。(ため息を唇から滑らせ頭部左右に揺らし)

  • No.352 by 鶴丸国永  2016-04-05 22:02:05 

(嗚呼、あっという間に春が過ぎて夏が来るんだろうな。
おいおい、見捨てるのかい?まあ、ちゃんときみの元に戻るさ。
…懐かしいなあ。少し気は早いが、あれからもう一年か。

こういうものは一緒に食べた方が美味く感じるだろう?これだけあるんだからきみが食べたって良いじゃないか。(刹那不服気に眉間を狭めるも包装を片手に持ちかえ強請るように強弱をつけて腕を引き)

  • No.353 by 大倶利伽羅  2016-04-06 18:05:23 

(二度目の夏か。桜から葉桜に、終われば藤と紫陽花。今年も新緑がまた見れるとはな。
お前が戻って来るならば尚更だろう。余りに何処か行ってしまえばそれこそ迎えに行く。
…それに、一年経った実感が未だ無い。
序でに言うが、漸く暇がそろそろと出来るようになった。

分かったから、やめろ。…それで?其処まで言うからにはお前が俺に食べさせてくれるんだろうな。(強弱込める腕の引力を片方の手で制して告げ、彼の手に持つ見目彩る色彩の包装一瞥して姿へ視線見据え)

  • No.354 by 鶴丸国永  2016-04-07 19:13:12 

(二度目の夏でも暑さには参るだろうなあ。…時間が許す限り、何度でも見られるだろうさ。
迎えに来たきみと隠れ鬼をするのも楽しそうだ。見つけてくれよ。
確かに、体感は半年も経っていないようにすら感じる。
…お、そいつは何よりさな。機を逃さずゆっくりと身を休めるんだぞ。

流石は大倶利伽羅だ。物分かりが良くて助かるぜ。…これを、俺が…きみに?(渋々ながらも了承の意を聞くと表情を緩め大人しく腕から手を離し。然し、次いだ想定外な文言には包装を一瞥の後に呆けた面晒し、双の黄金を見遣り瞬いて)

  • No.355 by 大倶利伽羅  2016-04-11 13:46:33 

(巡る季節は如何であれ、同じ季節は二度と巡らないから大切にしたいものだな。
またお前は突飛なことを。言ったからには見つけるからな。
一年とは早いな、桜も疾うに散った。
休んだら腕が訛った。刀だからだろうか、振るっていないと落ち着かない。

…お前がやらなければ俺は食べないからな。(解放された温もりの気配のむず痒さ誤魔化す為に余手で擦り。途端に綻んだ花が微かな震えを見せるような呆けた顔付きを一瞥、双眸に据える金の眼へ意思を貫く姿勢を変えずに)

  • No.356 by 鶴丸国永  2016-04-13 20:13:46 

(…きみはそういった感性が豊かなんだなあ。記憶の中で大切にしてくれ。
ふふ、意地でも探し出しそうだ。見つからないと泣き出す前には出て行こう。
催花雨かと思えば直ぐに散らしてしまったな。だが、桜は散る最期の瞬間まで美しい。
きっと刀だからさ。鈍った分は鍛錬して、戦場で刀を振るって来いよ。

…驚いた。随分と突飛な要望だな。いや、構わないんだが…(冗句とも取れぬ声色と真っ直ぐ過ぎる眼差しに、一度睫を下ろし声に面映さを含める。動物や短刀に対す餌付けと何ら変わらぬ行為に心拍跳ねる理由は一つ。小さく頭を振って躊躇を払い、紐を解いて包みから和柄の飴玉を一粒摘み上げ。二つ指に挟んだ其れを、形良い唇へと近付け)…ほら。

  • No.357 by 大倶利伽羅  2016-04-15 18:25:35 

(言われなくともそうする。お前も、そう言ったものは大切にすれば良い。
…それは幼い頃の話だろう、今となっては泣き出すなどしない。
桜は散った、季節の移り変わりを想う新緑もまた綺麗なものだな。
少し過ぎてしまったが、お前と俺が此処に顕現して一年が経つ。相変わらず此方の雑談でしか綴れない身だが、どうか此れから先も宜しく頼む。

…別に、良いだろう。(何処か困惑気なる銀の睫が震わす眦の眉目秀麗さに思わず知らず内に唾液を喉奥に嚥下して送り込む。自身から願い出たものとは言え、時差で此方も微かに面映さが伝わり。所在無さげに視線彼から外し、自身の頸元に伸びる紅と共に項を掻くも眼前に華奢且つ逞しさ思わす指先が迫る侭に此方も躊躇の意を見せ、覚悟を自身の中で固めては唇を近付けて和柄の飴玉を食み)…ん。

  • No.358 by 鶴丸国永  2016-04-18 11:16:26 

(そうさな。過ぎ行く季節も大切に抱き締めていよう。
すまんすまん。冗談だったんだが…そうか、きみは存外泣き虫だったんだな。
桜が散れば次は藤の花が咲く。いつか一緒に見に行こう。
…嗚呼、本当だ。もう一年が過ぎてしまったか。そう気にしなくていい。永く言葉を交わせたら幸いだ。此方こそ宜しく頼むぜ。

…これくらい、だしな。咎めちゃいないさ。(互いの間に漂う気まずさを誤魔化すよう指の動きに従い震える朱雑じりの髪を視界に捉える。柔い唇が手套から露わとなった指の腹に触れ、飴玉を艶やかな赤い舌で掬い取っていく単純な動作だけが時間の流れから切り取られたように緩慢と映り、その妖艶さに小さく咽喉を鳴らし。気も漫ろに胸中に沈殿する形容し難い感情を平常心で塗り固め、手を遠ざけると表情を窺い) どうだい?

  • No.359 by 大倶利伽羅  2016-04-19 13:54:43 

(新緑の時季か、此れから先青々と茂るだろう。
……煩い、くそ。余計なことを口走った。
藤。…藤ならば下部の描写序でに見に行こう。今年は昨年よりもいろいろな景色を共有していたいものでね。
永く、お前の傍に在れるだけで良い。それで、彼方の叫びはお前のものか。

…それに、減るものでも無いだろう。(何処か所在無く彷徨う視線も彼の胸元に光る、独占の証を示す梵字の胸飾りが鈍く煌く心地で密かに優越の感を抱く。緩慢と唇で食み、彼の眼を形にしたかのような飴玉を至極丁寧に咥内へ迎え入れると共に舌先を始めとして蜜の味含む悦のまま転がし、遠ざかる華奢で白絹思う手指を思わず掴まえては一寸の甘味も残さず食そうと飴玉摘まむ指の先へ徐に想いの丈を微かにぶつけるかの如くに唇を寄せ)

  • No.360 by 鶴丸国永  2016-04-20 11:15:55 

(緑が濃くなっていくんだろうな。それからすぐに夏になる。
あっはは!いや、可愛らしいじゃないか。今はもう泣かないのかい?
藤の前に躑躅…?まあ、きみと見られるなら何だって構わないぜ。俺もきみと同意見だ。
!…たったあれだけで気付いたとは、驚いた。…正解だよ、よく見つけたな。

…それもそうだな。(ふと同様の行為を求める相手の貌が脳裡を過り表情が翳る。然しそれも寸刻、暗鬱とした劣情の靄が胸中を巣食う前に密やかに息を吐き。些細な表情や所作が網膜に焼き付き離れず顔を見る事も憚られる。顔を伏せ紐解いた包みの中に視線を向けては飴玉を択ぶ素振りで燻る熱が治まるのを待とうと試みるも、引く手に次いで舞い戻る柔らかな感触に反射的に面を上げ呆け面) 俺はどれにし――…え。あ…、大倶利伽羅…?

  • No.361 by 大  2016-04-30 10:21:28 

(今日は春の中で一段と肌寒い日か。…こうも晴れているとお前を思い出す。
すまない、国永。この所遠征続きでまともに文を満足に綴れない事を此処に一言残しておく。

何も言わないままで居るのは性に合わないものでね。)

  • No.362 by 鶴丸国永  2016-05-04 23:34:21 

(何気無い日常の一瞬に俺を思い出してくれるってのも嬉しいもんだな。
きみは相変わらず律儀だなあ。気にしなくて良いさ。…遠征、気を付けるんだぞ。
…だがまあ、こうして言葉を書き置いてくれて少し安心した。有難う。)

  • No.363 by 大倶利伽羅  2016-05-21 15:16:39 

(随分と此処に顔を出せないで居たが、お前は未だ此処を覗いて居たりするのか。
覗いて居ても居なくても、お前に寂しい思いをさせているのはすまないと思っている。)

  • No.364 by 鶴丸国永  2016-05-26 09:55:32 

(随分と素っ気ない事を言うじゃないか。安心しな、確り見ているぜ。
息災にしているなら構わないさ。無茶ばかりするんじゃないぞ。)

  • No.365 by 大倶利伽羅  2016-06-10 06:29:08 

(俺はいつも通りだ。…確り此処を覗いているなら殊更すまない。
お前も息災で居れば良い、梅雨の時季…紫陽花が色鮮やかに咲く頃だな。)

  • No.366 by 鶴丸国永  2016-06-11 20:58:03 

(いいや、気にするな。きみは相変わらず多忙な日々を送っているらしいな。
…此処の存在は負担になっていないかい?…きみは優しいからなあ。
俺への気遣いや義務感で言葉を残してくれているなら、現実世界を優先して此処を思い出にしていいんだぞ。
身勝手な執心できみを此処に縛り付ける心算はないんだ。)

  • No.367 by 大倶利伽羅  2016-06-14 06:19:16 

(此処の存在は俺が日々刀を振るう力の源でもある。多忙な事に変わりは無いが、お前の事は一度たりとも忘れた日は無い。
義務感などそんなものでは無い、俺が好きで此処に足を運んで来ている。思い出など、出来るわけが…。
だが、お前が俺で苦しむ所は見たくない。此処に縛り付けているのは、正しく俺の方だ。
…お前の行く末を阻んでいるのが俺だとしたら、辛い。
すまない、…本当に。)

  • No.368 by 鶴丸国永  2016-06-17 20:03:14 

(ああ、いや…そうじゃないさ。…また気を遣わせたな。辛い思いをさせたのも、すまん。
俺だって好きで此処に来ている。苦しいとも思っちゃいないぜ。
…俺を縛り付けているなんて思わないでくれ。きみの負担になっていないなら良かった。
暗い話はこの辺にしよう。…何時の間にか梅雨に入ったな、俺はまだ紫陽花は見てないんだ。
雨もよく降るが、合間に晴れる日は本当に暑い。こりゃあっという間に夏になるんじゃないか。)

  • No.369 by 大倶利伽羅  2016-06-21 13:44:45 

(否、お前が謝る事は無いだろう。此方もすまないと思う、此れで相子にしよう。
お前も好きで此処に足を運んでいるならば良い、義務感で来られても困るんでね。
梅雨の時季真っ最中だが、此方では彼方此方紫陽花を見掛ける。お前は、未だなんだな。早く見れる日が来ると良い。
もう既に夏なんじゃないか、此の暑さには到底参る。)

  • No.370 by 鶴丸国永  2016-06-26 15:06:51 

(…嗚呼、相子だ。俺のような奔放な刀が、義務感なんてものに縛られる訳がないじゃないか。
俺も漸く昨日見てきたぜ。一口に紫陽花と言っても色も形も様々で面白いもんだな。
ふふ、きみは暑がりかい?きっともう少ししたらもっと暑くなる。そうなったら、縁側でかき氷でも食べよう。)

  • No.371 by 大倶利伽羅  2016-07-01 16:31:25 

(お前らしいと言えば、らしい。そうだ、お前は其の侭で居れば良い。
赤紫、藍、白…彩も取り取りな紫陽花は綺麗だ。尤も、お前に白き紫陽花は良く似合いそうだが。
遂に文月に突入、今年も下半期だ。此れから暑くなるだろう、馴れ合う心算は相変わらず無いが…かき氷は食べる。)

  • No.372 by 鶴丸国永  2016-07-06 21:33:45 

(俺はきみのそういう所を好ましく思ってる。そのままで在ってくれ。
色が変わる紫陽花の下にはひとの屍が埋まっていると言うが、果たして如何なんだろうな。
それにしても、きみは俺を真っ白にしたいんだなあ。…きみには赤紫が似合う。
嗚呼、あっという間に一年も半分が過ぎたか。本当に早いもんだ。
貞も来た事だし、かき氷は彼奴も誘ってみようぜ。あと、花火もしたい。これは…、ふたりきりで。)

  • No.373 by 大倶利伽羅  2016-07-12 05:08:00 

(そのままも何も、俺は俺だからな。お前もそのままで在れば良い、変わらないように。
それに纏わる話は紫陽花に限った事じゃない。桜の木の下には屍が埋まっていて、桜が色付ける桃の花弁はそれの血だとも言う。…まあ、どうでも良いな。
お前は普段から白いだろう、…白以外を選ぶならばお前も赤紫だ。
貞宗が来て一気に騒がしくなったな、全く。花火は、良い天気の夜の下でふたりきりですれば良い。)

  • No.374 by 鶴丸国永  2016-07-22 13:45:20 

(嗚呼、桜もそうだったなあ。ひとは美しさの裏付けをするのが好きらしい。
そりゃあ、鶴らしくなる為には大事だろう?揃いの色を持つのも良いな。
そろそろ向日葵の季節か。…もう一年の前の事だと思うと本当に懐かしい。
馴染みの刀が増えて嬉しいじゃないか、君もそう思うだろ?…楽しみにしてるぜ。)

  • No.375 by 大倶利伽羅  2016-07-26 08:33:13 

(ひとの感じる物は其々あるだろう。美しさで言えば、お前も例外じゃない。
…お前が鶴らしくなるのは戦だけで十分だ、赤紫はお前の心の中で染まってくれたら良い。
それはそうだが、俺の思想は何だって変わらない。だが、貞宗が来た事で十分な戦力になるだろう。…楽しいかと問われれば、答えはしない。ただ賑やかになったな、とだけ。
向日葵の季節が今年もやって来たんだな、こうしてお前と通して四季を見れるのは貴重だろう。向日葵畑にも、行こう。)

  • No.376 by 鶴丸国永  2016-07-29 09:47:51 

(感覚は俺達とだいぶ違うだろうな。…それを言うならきみだ。
たとえ実践刀だろうと、身に刻んだ竜は流麗で勇壮で美しいと思うぜ。
きみからの贈り物なら何の色だろうと身に着けるんだがなあ。
彼奴一振りで士気も上がるわな。夜戦では色々と教えてやるんだぞ。…っはは、全く。素直じゃない。
…向日葵もいいな、近場にそういう場所があったとは知らなかった。何処へだって行こう。)

  • No.377 by 大倶利伽羅  2016-08-07 20:46:03 

(大分暑いと思えば葉月か、どうりで。…夏が終わる前に、向日葵畑に行くぞ。準備しておけ。)

  • No.378 by 鶴丸国永  2016-08-09 14:14:59 

(今更かい?うかうかしてるとあっという間に夏が終わるぜ。
…!嗚呼、勿論さ。ま、準備と言っても身一つなんだがな。)

  • No.379 by 大倶利伽羅  2016-08-09 22:36:26 

(時は金なり、か。
お前に倒られると俺が困る、此れを被って行け。(鍔が広い麦藁の帽子被せ)

  • No.380 by 鶴丸国永  2016-08-11 21:57:07 

(全くその通りさな。きみと過ごす夏は何度もあるが、今年の夏は一度きりだ。
…?向日葵畑に行く位で倒れるほど軟弱じゃあないぜ。
ま、有難く受け取っておこう。きみは被らないのか?(頭頂部覆う其れを指で触れつつ首を傾け)

  • No.381 by 大倶利伽羅  2016-08-12 06:31:17 

今年の夏は二度とやっては来ないからと、今の内にと遊ぶ奴も多いだろう。興味は無いがな。
被らない。そもそも、其の帽子は俺のだ。俺がどう選択をしようが勝手だろう。…出発するぞ、どうせすぐ其処だ。(眩い華奢な指付きから視線外し背を向け、眼前に広がる緑萌ゆる林生い茂る伸び切った草木掻き分け)

  • No.382 by 鶴丸国永  2016-08-12 20:23:02 

っはは、興味はないのに俺を向日葵畑に連れて行ってくれるんだな。
…きみの?それなら尚更――…いや、言っても聞かないか。熱中症…とやらにかからないよう気を付けてくれ。(背の高い瑞々しい緑に嬉々と双眸を細めながら背を追う形に歩を踏み出し、相手の手によって切り拓かれた道を進みながら既視感を覚え)

  • No.383 by 大倶利伽羅  2016-08-16 06:31:07 

…、それとこれとは話が別だ。
生憎、熱中症にはならないように気を付けているんでね。…この種々、少しばかり伸びすぎだろう。(夏季の眩さに光りながら生い茂る草木を避けて額に浮き上がる汗を腕で拭い、時折後方振り返り倒れてはいないかと相手の姿を確認しつつ獣道突き進み)

  • No.384 by 鶴丸国永  2016-08-17 10:25:02 

へえ?…ま、あんまり揶揄って気が変わっても困る。きみの気紛れに感謝しよう。
きみは意外とそういうところでしっかりしてるわな。…自生して逞しく育っているじゃないか。風が吹けば涼しそうだが。(弱い悪態を吐きながらも後方の己の為に道を作り先導していく背を見て微笑ましく口許を緩め。相手が正面を向いている時を狙い掻き分けられたところから一歩脇道に逸れて座り込み、茂った草木の中に身を潜め)

  • No.385 by 大倶利伽羅  2016-08-23 08:12:56 

…気紛れじゃない。お前は眩しい、だから清涼感を得るためにも先ず影を作れば良いだろうと思った。
風…この晴天からしてあまり吹かないだろう。期待は出来な…おい、国永?(後方を時折気遣い逸れぬようまめに見ていたも数分、後方に続く足音に不思議な心地抱くと振り返り。其処には肌を焼かんとする日差しと種々を避けて作られた人工的な道が有るだけで気配感じず辺りを見回して数歩来た道を戻りながら銘を呼びかけて)

  • No.386 by 鶴丸国永  2016-08-25 22:12:11 

白が眩しいはたまに言われるが、影を作れってのは初めてだ。少しは見やすくなったかい?
……(己の姿を探す様子を草の中から垣間見て湧き上げる悪戯心と心地好い緊張感を抑えつつ、相手が歩み草を踏む音に合わせて摺足で少しずつ位置をずらし。拓かれた道の脇で待機し、相手の腰布が正面の草の切れ間から見えるや否や、勢い良く上半身を露わと為すよう飛び出して)――わッ!

  • No.387 by 鶴丸国永  2016-08-25 22:26:13 

(御久し振りです。鶴共々御世話になっております。
残暑厳しい日が続きますが、体調等崩しておられませんか?
無理の無いよう、のんびりとやりとり出来れば幸いです。

今日は一つ相談があり、私の方から声を掛けさせて頂きました。
少し前にめでたく大倶利伽羅と鶴丸の内番会話や回想が実装され、伽羅坊という呼称が確定しました。
現在、「大倶利伽羅」や「広光」と御呼びしていますが公式に合わせて変更した方が宜しいでしょうか?
ちなみに、私は何方でも構いません。今更かとは思いますが、貴女の希望を教えて頂ければと思います。
それでは、また。)

  • No.388 by 大倶利伽羅  2016-09-01 16:10:44 

本当にお前は彩が眩しすぎる、影を作って正解だった。良く、お前が見易い。
…?(何処に姿を消失させたか、若しくは深い茂みの中に迷い込む懸念を覚え込むと共に来た道をあたりを見渡しながら歩き。夏季特有の蒸し暑さが体力を少しずつ確実に削る中、草木を踏み締め今一度銘を呼び付けようと頭文字を声にした途端に傍らの茂みが揺れる音、と同時に出てきたお目当ての姿に刹那めを見張り)くに──っ、!

  • No.389 by 大倶利伽羅  2016-09-01 16:18:22 

(御無沙汰しております、此方も大倶利伽羅共々御世話になっており有難う御座います。
私の方の体調は未だ未だ元気です、其方も体調等崩されませんようご自愛を申し上げます。
相変わらず遅筆な者ですが、飽きずに物語をゆっくりと紡いで行けたら良いと思っています。

提案の件ですが、状況に応じて「大倶利伽羅」や「伽羅坊」に呼び方を変えて行けば良いと思います。例えば、良い雰囲気の時は名前で…普段は、坊と付けて呼ぶ…みたいな感じです、この感じが伝われば良いのですが…説明が下手で申し訳御座いません。
それでは、また。)

  • No.390 by 鶴丸国永  2016-09-05 11:20:55 

そいつは重畳。…きみは"眩しいから"と目を逸らす言い訳を一つ失った訳だ。
あっはは、驚いたかい?きみの目から逃れられるとは、此処は隠れ鬼に最適だな。
(今迄堪えていた分を一気に解き放つかの如く弾けるような笑声をあげつつ、寸刻ながらも慥かな驚きの表情を脳裡で反芻し。風通しの悪い草木の間に紛れていた為に蟀谷から滴る汗を二の腕で拭い、相手が怒気を帯びる事を予測し事前に胸中宥めるべく背の低い位置を弱い圧で叩いて)

  • No.391 by 鶴丸国永  2016-09-05 11:25:10 

(遅筆は御互い様です。
必ず御返事を下さると分かるからこそ、心穏やかに貴女様を待つ事が出来ます。

呼称に関してですが、頂いた案の通り臨機応変に使い分けようと思います。
有難うございました。此方の文は蹴って頂いて構いません。
二振りのやりとりは晩夏、もう少しの間夏の暑さを満喫致しましょう。)

  • No.392 by 大倶利伽羅  2016-09-15 06:55:14 

別に話を逸らしてなんかしていない。眩し過ぎれば何も見えないだろう、…お前の姿も。
巫山戯るな、心配して損した。俺はもう先に行く、勝手にしろ。(未だ残暑の名残感ずる湿気を余分に含んだ天候と気候の中で、麦わら帽子被る下の企む悪戯が思惑通りに成功した色を窺わせる愉快そうな顔を見るや盛大な溜息を吐き出し半ば言い捨てる科白呟き、宥める意図を思わす手付きを余所に振り払うでも無く来た道を振り返り先程よりも草木生い茂る小道を強引に掻き分け)

  • No.393 by 大倶利伽羅  2016-09-15 06:59:56 

(相変わらず遅筆な腕や指は案外思うように動かないものですね。
いつも長らくお待たせして申し訳御座いません、それと…変わらずに待っていて下さって有難う御座います。
貴女様が此処でお待ち頂いて居るからこそ、健気に足を運ぶ事が出来ます。

此方の文も蹴って下さって構いません。
呼称について決定した所で後もう少しの余暇、晩夏を共に楽しみましょう。
それでは、また。)

  • No.394 by 鶴丸国永  2016-09-24 17:24:04 

…嗚呼、すまんすまん。それならちゃんと見て、目を離さないでいてくれよ。
――え、心配…きみが?…怒るなよ。悪かったって。無邪気な鶴の可愛い悪戯じゃないか。(吐き捨てるような文言と共に踵を返し、脚で草を掻き分ける勢いで刺々しく歩を進める相手に置いて行かれぬよう、出来上がった轍を踏んで足早に後を追い。手を伸ばせば容易に触れられる距離、それでも悪戯が成功した物とはまた別の喜色に満ちた面を見せる事も出来ず、塗り重ねられる恋慕の情を軽い冗句で隠して)

  • No.395 by 大倶利伽羅  2016-10-14 06:28:08 

彼方此方に自由と飛び回るお前から目を離す事は無い。
誰が可愛いものか。お前は普段から光忠に劣らず、伊達に見合う格好良い男だろう。(日光も刻一刻と傾き行くにつれ茜の色に染まる空と共に完全に自分の歩幅で道無き道を歩む後方から地を踏みしめる音の存在を頼りに振り返らずに焦げ茶の毛先揺らし、其の傍らで淡い恋心顔出す恋慕の情を沸々と自覚すると途端に靄掛かる胸元誤魔化す様に一度深い吐息を吐きながら訂正促し脳裏に浮かぶ言の葉そのまま告げる後に開ける視界の眩さに思わず目を瞑り)

  • No.396 by 鶴丸国永  2016-11-06 13:27:55 

…驚いたな。随分と熱烈じゃないか。全く、…たちの悪い。
ん゛…っ、…いつもそんな事を思ってくれていたのかい?なあ、伽羅坊。(歩行に伴い不揃いに揺れる柔らかな猫毛を追い、足場の悪い即席の道を弾むように進み。追い付きそうで追い付けない距離感がもどかしく、焦れる胸中を堪えるように眉間を狭めて。先程の件で立腹したのか一度も此方を見返る事なく突き進むにも関わらず、紡がれる褒め言葉に困惑を抱きながら、漸く掴んだ上着の裾を軽く引っ張り)

  • No.397 by 大倶利伽羅  2016-12-21 09:25:38 

(随分と待たせてしまっているだろうか。
お前は時折健気に此処を覗いたりしているのか、…俺が気にしても何もならないが、お前を好い加減待ち惚けにさせるのは気が引けるんでね。
…お前に、此れを預けておく。新年を迎えたら、また此処に来る。新たな節目を迎えた其の時に、此れからの事に話を付ける。(胸元に煌めく彫刻施された首飾りを部屋の机上に静謐と音も立てず置いて其の場を去り)

  • No.398 by 鶴丸国永  2017-01-05 08:29:04 

(まさかきみが顔を出しているとはなあ。…いやはや、驚いたぜ。もう少し早くに来るべきだったか。
切支丹の催事も正月の祝も出来てない。が、今年の――否、今後の事はきみに委ねよう。
(卓上に置かれた首飾りに視線を向けると、指先で手繰り寄せて掬い取り。紐を指に絡めて金色の梵字に唇を落とし)…早く取りに来い。)

  • No.399 by 大倶利伽羅  2017-02-17 09:31:41 

(思いを伝える日と言われていた日からは大分遠ざかったが、お前は未だ此処に居るのだろうか。
年を越えてひと月…此処に帰って来るのが遅れた俺を酷い奴だと叱っても良い、未だ俺の首掛けを手にしているならば…持ち帰りに、来た。
お前をいつまでも待ち惚けにさせるわけには行かないんでね…若しかすれば他に良い奴を見付けているかも知れない。…そんな時に此れがあったら、枷になってしまうだろう。…鶴丸。)

  • No.400 by 鶴丸国永  2017-02-25 10:34:18 

(嗚呼、きみか。久しいな。…俺は変わらず、ちゃあんと此処にいるぜ。
きみと出逢った春の日までは待つ心算だったんだが、予想より早くに顔を見られて良かった。
…なあ、知ってるかい?鶴は一途でな、これと決めた相手と一生添い遂げる。たとえ空白の月日が流れようと、想いが変わったりはしないのさ。
屹度、縛られているのはきみのほうだ。顕現した頃からの持ち物がなけりゃ、此処を――俺を思い出してしまうだろうしな。
……首飾りなら此処にある。持ち去るなら好きにするといい。)

  • No.401 by 鶴丸国永  2017-04-20 16:05:23 

(よっ。息災にしているかい?
好きにしろと言っておいてあれだが、今日は最期の言葉を残しに来た。

きみと出逢った一昨年の春の日の事はまるで昨日の出来事のように感じる。
他愛もないやりとりも、きみの何気ない言葉に心を掻き乱されたのもいい思い出だ。
途中空白の期間ができようと俺を待っていてくれたきみには本当に感謝してるんだぜ。
きみとなら永く縁を繋いでいられると…否、繋いでいたいと思った。
人の手を移ろい刃生を過ごした俺が、きみとの永遠を信じたんだ。まったく驚きだろう?

――それにしても、情が絡んだ肉の器ってのは想像以上に重いんだなあ。
数多の別れを踏み、出逢いを手繰って生きる人の子の強かさには驚かされる。
…ああ、恨み事のように聞こえたならすまん。そんな気は全くないから安心して欲しい。

これ以上は冗長だな。今まで有難う。本当に楽しかったぜ。
俺はきみの慶福を祈って桜の木の下に眠るとしよう。
花の飾りと首飾りは審神者に預けておくから受け取ってくれ。――さようなら、廣光。)

  • No.402 by 大倶利伽羅  2017-05-17 03:33:56 

(国永、お前は何処までも残酷に…綺麗に言の葉を此処に遺す。
お前と過ごして来た日々は途轍も無く輝いていた、お前との縁は確かで強い物だと俺も感じていた。
だが、その縁を自ら手放したのは俺だ。
強固に結んだ物を無理矢理とばかりに千切ったのは俺の方だ、でもお前は健気に待って眩しいばかりの顔でいつでも出迎えてくれた。
そんなお前に、俺は凄く甘えていたのだろう。
つくづく馬鹿だと思う、此の手を離した途端に本当に本当に大切な物だと気付かされた。本当の大馬鹿者だ…すまない。

俺は、何度も此処からお前を外に連れ出そうとした。此処だけでの逢瀬に堪え切れない物となったからだ。

…本当に、お前と過ごした眩いばかりの日々は忘れないでいたい。
なあ国永、…お前が眠る木の幹で眠っても良いか。
なんて答えてはくれないだろうが、俺の勝手だろう…と言えばお前は笑ってくれるだろうか。もうすっかりと葉桜に姿を変えたが、お前は一体どんな夢を見ているのだろう。
何だ、未だ未だお前と話したい事があった気がするのに…。
いや、それよりも…ありがとう、国永。好きで、いてくれて。
俺の事を、一途に想っていてくれて…此の花飾りは大事に抱えて、此処で眠ろうと思う。
お前がもう一度、目を覚ますまで。

おやすみ、国永。また、明日。)

  • No.403 by 鶴丸国永  2017-05-21 04:46:04 

(……嗚呼、あんな啖呵を切ったってのに本っ当に格好悪い。
全く…きみの所為だぞ。この責任はきっちり取って貰うからな。

言っておくが狸寝入りを決め込んでいた訳じゃあない。
本当に偶然だった。…だが、恐らく最後の機会だろう。体裁を気にして機会を逃したくない。

然し、きみまで眠ろうとするから驚いたぜ。流石に笑えない。
俺は、…こんな事を望んじゃいない。謝罪も後悔の言葉も聞きたくなかった。
俺が何の為に――否、文句はたんまりあるんだ。後でたっぷり聞かせてやろう。
ほら、何処へでも連れ出してくれ。…一つ我儘を言うなら、出来るだけ風通しの良い涼しい場所がいいな。
幾ら木陰になっているとはいえ土の下は暑くて敵わないんだ。

きみの言う明日が何時になるやら。
俺が朽ちる前に道標の一つは寄越してくれよ。)

  • No.404 by 大倶利伽羅  2017-06-01 04:47:55 

(……、驚いた。まさかお前が、目を覚ましているなんて。

まあ良い、俺も目が覚めている。お前との道標は…帯と言う奴で、此処の題名を入れて探せば部屋が見付かる筈だ。
夕暮れのような写真だ、頑張って探せ。
…お前が早い内に此処に気付き、足を踏み入れる事が叶うのを切に祈って。

待っている。)

[PR]リアルタイムでチャットするなら老舗で安心チャットのチャベリ!
ニックネーム: 又は匿名を選択:

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字 下げ
利用規約 掲示板マナー
※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※必ず利用規約を熟読し、同意した上でご投稿ください
※顔文字など、全角の漢字・ひらがな・カタカナ含まない文章は投稿できません。
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください

[お勧め]初心者さん向けトピック  [ヒント]友達の作り方  [募集]セイチャットを広めよう

他のトピックを探す:1対1のなりきりチャット







トピック検索


【 トピックの作成はこちらから 】

カテゴリ


トピック名


ニックネーム

(ニックネームはリストから選択もできます: )

トピック本文

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字

※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください
利用規約   掲示板マナー





管理人室


キーワードでトピックを探す
初心者 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 部活 / 音楽 / 恋愛 / 小説 / しりとり / 旧セイチャット・旧セイクラブ

「これらのキーワードで検索した結果に、自分が新しく作ったトピックを表示したい」というご要望がありましたら、管理人まで、自分のトピック名と表示させたいキーワード名をご連絡ください。

最近見たトピック