大倶利伽羅 2015-04-14 21:18:45 |
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(今日は春の中で一段と肌寒い日か。…こうも晴れているとお前を思い出す。
すまない、国永。この所遠征続きでまともに文を満足に綴れない事を此処に一言残しておく。
何も言わないままで居るのは性に合わないものでね。)
(何気無い日常の一瞬に俺を思い出してくれるってのも嬉しいもんだな。
きみは相変わらず律儀だなあ。気にしなくて良いさ。…遠征、気を付けるんだぞ。
…だがまあ、こうして言葉を書き置いてくれて少し安心した。有難う。)
(随分と此処に顔を出せないで居たが、お前は未だ此処を覗いて居たりするのか。
覗いて居ても居なくても、お前に寂しい思いをさせているのはすまないと思っている。)
(随分と素っ気ない事を言うじゃないか。安心しな、確り見ているぜ。
息災にしているなら構わないさ。無茶ばかりするんじゃないぞ。)
(俺はいつも通りだ。…確り此処を覗いているなら殊更すまない。
お前も息災で居れば良い、梅雨の時季…紫陽花が色鮮やかに咲く頃だな。)
(いいや、気にするな。きみは相変わらず多忙な日々を送っているらしいな。
…此処の存在は負担になっていないかい?…きみは優しいからなあ。
俺への気遣いや義務感で言葉を残してくれているなら、現実世界を優先して此処を思い出にしていいんだぞ。
身勝手な執心できみを此処に縛り付ける心算はないんだ。)
(此処の存在は俺が日々刀を振るう力の源でもある。多忙な事に変わりは無いが、お前の事は一度たりとも忘れた日は無い。
義務感などそんなものでは無い、俺が好きで此処に足を運んで来ている。思い出など、出来るわけが…。
だが、お前が俺で苦しむ所は見たくない。此処に縛り付けているのは、正しく俺の方だ。
…お前の行く末を阻んでいるのが俺だとしたら、辛い。
すまない、…本当に。)
(ああ、いや…そうじゃないさ。…また気を遣わせたな。辛い思いをさせたのも、すまん。
俺だって好きで此処に来ている。苦しいとも思っちゃいないぜ。
…俺を縛り付けているなんて思わないでくれ。きみの負担になっていないなら良かった。
暗い話はこの辺にしよう。…何時の間にか梅雨に入ったな、俺はまだ紫陽花は見てないんだ。
雨もよく降るが、合間に晴れる日は本当に暑い。こりゃあっという間に夏になるんじゃないか。)
(否、お前が謝る事は無いだろう。此方もすまないと思う、此れで相子にしよう。
お前も好きで此処に足を運んでいるならば良い、義務感で来られても困るんでね。
梅雨の時季真っ最中だが、此方では彼方此方紫陽花を見掛ける。お前は、未だなんだな。早く見れる日が来ると良い。
もう既に夏なんじゃないか、此の暑さには到底参る。)
(…嗚呼、相子だ。俺のような奔放な刀が、義務感なんてものに縛られる訳がないじゃないか。
俺も漸く昨日見てきたぜ。一口に紫陽花と言っても色も形も様々で面白いもんだな。
ふふ、きみは暑がりかい?きっともう少ししたらもっと暑くなる。そうなったら、縁側でかき氷でも食べよう。)
(お前らしいと言えば、らしい。そうだ、お前は其の侭で居れば良い。
赤紫、藍、白…彩も取り取りな紫陽花は綺麗だ。尤も、お前に白き紫陽花は良く似合いそうだが。
遂に文月に突入、今年も下半期だ。此れから暑くなるだろう、馴れ合う心算は相変わらず無いが…かき氷は食べる。)
(俺はきみのそういう所を好ましく思ってる。そのままで在ってくれ。
色が変わる紫陽花の下にはひとの屍が埋まっていると言うが、果たして如何なんだろうな。
それにしても、きみは俺を真っ白にしたいんだなあ。…きみには赤紫が似合う。
嗚呼、あっという間に一年も半分が過ぎたか。本当に早いもんだ。
貞も来た事だし、かき氷は彼奴も誘ってみようぜ。あと、花火もしたい。これは…、ふたりきりで。)
(そのままも何も、俺は俺だからな。お前もそのままで在れば良い、変わらないように。
それに纏わる話は紫陽花に限った事じゃない。桜の木の下には屍が埋まっていて、桜が色付ける桃の花弁はそれの血だとも言う。…まあ、どうでも良いな。
お前は普段から白いだろう、…白以外を選ぶならばお前も赤紫だ。
貞宗が来て一気に騒がしくなったな、全く。花火は、良い天気の夜の下でふたりきりですれば良い。)
(嗚呼、桜もそうだったなあ。ひとは美しさの裏付けをするのが好きらしい。
そりゃあ、鶴らしくなる為には大事だろう?揃いの色を持つのも良いな。
そろそろ向日葵の季節か。…もう一年の前の事だと思うと本当に懐かしい。
馴染みの刀が増えて嬉しいじゃないか、君もそう思うだろ?…楽しみにしてるぜ。)
(ひとの感じる物は其々あるだろう。美しさで言えば、お前も例外じゃない。
…お前が鶴らしくなるのは戦だけで十分だ、赤紫はお前の心の中で染まってくれたら良い。
それはそうだが、俺の思想は何だって変わらない。だが、貞宗が来た事で十分な戦力になるだろう。…楽しいかと問われれば、答えはしない。ただ賑やかになったな、とだけ。
向日葵の季節が今年もやって来たんだな、こうしてお前と通して四季を見れるのは貴重だろう。向日葵畑にも、行こう。)
(感覚は俺達とだいぶ違うだろうな。…それを言うならきみだ。
たとえ実践刀だろうと、身に刻んだ竜は流麗で勇壮で美しいと思うぜ。
きみからの贈り物なら何の色だろうと身に着けるんだがなあ。
彼奴一振りで士気も上がるわな。夜戦では色々と教えてやるんだぞ。…っはは、全く。素直じゃない。
…向日葵もいいな、近場にそういう場所があったとは知らなかった。何処へだって行こう。)
(全くその通りさな。きみと過ごす夏は何度もあるが、今年の夏は一度きりだ。
…?向日葵畑に行く位で倒れるほど軟弱じゃあないぜ。
ま、有難く受け取っておこう。きみは被らないのか?(頭頂部覆う其れを指で触れつつ首を傾け)
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