マルゲリータ系乙女 2015-04-07 09:09:12 |
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王宮の白ウサギ
~section0 濡れウサギと王子 ~
ポツリ....ポツリ....
雨が降ってきた。
雨は、レンガ色の地を小さな水玉模様に変えると
深く。強く。降ってきた....
嫌なほど冷めた身体に突き刺さるように降ってくる無数の水。
嗚呼....私は何をやっているのだろうか....
脳まで冷えきったのかボーっとして何も考えられない。
びしょびしょに濡れた服....
垂れウサギの耳のような大きな飾りのついたフードは水を吸い、重たい。
嗚呼....私は酷く醜いのだろうな
考えたこともなかった
今の私はきっと「醜いアヒルの子」と同じような気持ちだろう....
人には蔑まれ、憎まれ、遊ばれ。
今の私はなんだろう....
嗚呼そうだ....
「醜いウサギの子」 か
「君っ!?大丈夫!?
びしょびしょじゃん!」
誰かが私に話しかけている....
いつぶりかな?人に声をかけられたのは....
薄く目を開けると目の前には、本当に心配そうな表情の青年がいる....
金色の透き通った髪
深く青い青い目
ぼやけた視界でも青年は整った顔をしていることがわかった....
こんな姿....見られたくないな....なんて
まだ私に羞恥心が残っていたなんて....
ボーっとして感情なんて出せないと思ったのに
「........?....」
声は出なかった....出せなかった....
勿論、身体が動かせられないからだと思うが
それ以上に
この青年に見とれてしまって、声が出なかった
「っ!?....冷たぃ....」
青年は私に触れると表情を暗くした
私そんなに冷えてたんだ....
体温なんて....さっきからもう感じなくなって....
....ダメだ....
私は意識から手を離した。。。
「っ!?...気を失ったのか?....まだ、息はしてるけど、このままじゃ本当に危ない....」
「....王子?なにしてるんですか....っ死体!?」
「まだ生きている!早くこの子を城へ連れていけ!」
「かしこまりましたっ!」
小さく聞こえる....青年の声....
貴方は王子なの....?
もう....誰でもいいから、私を籠から出して....
王宮の白ウサギ
~section1 眠りウサギと王子 ~
私はどれぐらい眠っていたのだろうか....
目覚めるとそこには、明るくて広い天井があった。
「....ぁたたかぃ」
驚いた。
でなかったはずの声が突然喉を通って出てきた
長いこと声を発しなかったからか、喉のあたりが熱い....
何故だろう凄く暖かい....
喉だけでなく目の奥も熱くなるのを感じた。
「おはよう、目覚めたようだね」
私の隣に誰かが いるようで 突然肩を触られた
つい、反射的に手が出てしまった
ガチャン!!!!!!!!!
高そうなティーカップやケーキが床に落ち無残に砕ける
ここがどこか、私が殴った人は誰か、私はなにをしているのだろうか
全く理解ができなかった。
一度出た手を止められなくて、倒れた誰かの上におおいかぶさり自由を奪う。
王宮の白ウサギ
「........」
しばらくの沈黙があたりに渡る....
だが、その沈黙もすぐに終わり
どこから現れたのか、燕尾服の眼鏡をかけた男に黒い銃を突きつけられた。
「王子から離れろ。....言っとくがこの銃は本物だからな。」
スススッーと背中に寒気が走る....
「圭....銃しまって。私は大丈夫だよ....」
私の下から声がした....
やっと現状を理解した私は押し倒している男を自由にした。
「よっと....はは、痛いなぁやっと自由になったよ」
のそりと立ち上がって怒ることもなく男は笑った....
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