林田 圭 2015-03-28 20:57:20 |
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第一話 「幽体少女。除霊方」
PM 00:02
真夜中の交差点は薄暗く、辺りは真っ暗な闇に覆われていた。ちらほらと光る灯りは、心寂しく不安げに明暗を繰り返し。もはや、誰も通らぬ不気味な道になっていた。
「…え…?」
白服を着た少女が白い何かに目を向け、その交差点の真ん中でうずくまっていた。少女は前方に広がる光景をただただ眺めている。クラッシュした赤い車は血が付き、赤に赤を組み合わせた柄の様になっている。その下では1人の少女が倒れ、何人かの人が騒ぎ立てている。うずくまる少女は血で濡れた目の前の者の顔を確認し、ただ眺めていた。
「…どうして私が倒れてるの?」
数分が経過した今。少女は誰に問いかけているのか、目の前に倒れている自分を何かの勘違いだと言い聞かせる様に答えを求めたー。
少女の名は倉本 瑠奈。中学生だ。家に帰れば優しい父と母が笑顔で出迎え、幸せな毎日を送っていた。
その日は塾の帰り道。倉本は一人薄暗い交差点を歩いていた。ひとけの少ない場所なため十分に注意して歩いていたが、甘かった。倉本を跳ねた赤い車は冬のくせにバカみたいにオープンにし、自分に酔った若いカップルが乗っていた。きっと今頃怖い顔した警察官の前で震えているだろう。少女の身体は病院に運ばれたが意識がもどらなく植物状態として保管されている。それもそう。その意識はいまだに街をフラついていたから。
「私…死んじゃったの?」
倉本は街の近くの山にいた。人の姿は見えるのに相手は一向に気づかなく、それは今まで必要とされるのが当たり前としてきた倉本にとっては味わった事のない苦痛だった。どうして皆自分を見ないのか?そう思った時初めて倉本は自分が世間で言う幽体離脱をした事に気がついた。
誰もいない木々の間でただ、ぼーっとしていた倉本は東の方へ明かりがついているのに気がつき、無意識に足を動かしていた。ただなんとなく、そこに行けば助かる様な気がして。どれほどたっただろうか、しばらくすると小さなお寺が見えてきた。小さながらも豪華で堂々としていた。倉本はお寺に足を踏み入れると目の前にはニコリとした仏像が置いてあり、思わずお辞儀をした。中は静かで落ち着いた作りで誰かがいた痕跡が残ってあり、どうせ誰にも見えないだろうと、倉本はここに居候先する事に決めた。
しばらくして、倉本がいる部屋のふすまが静かに開き誰かが入ってきた。服装からして男だと倉本が見つめると、ふとその男と目が合った。男は目が合うなり着ていた服を整え優しげに笑うと
「これは変わったお客さんだ」
と言い。また静かにふすまを閉じた。
「あ…え…」
自分が見える相手に驚き、倉本は変な声を発し
「かっ勝手に入ってごめんなさい!!」
急いで謝罪した。まさか、見える人がいるとは思わなかった。
「いえいえ、外は寒かったでしょう。あぁそれともその身体じゃ寒さも感じないですか?」
男は笑ったままの顔で倉本を招き入れると、倉本の正体をわかっていると伝えた様に言った。だがそれは倉本にはまるで自分が幽霊だと言われた様な気がして心がぎゅっと締め付けられる様な感覚に落ちた。
「…勝手に入ってすいませんでした。さようなら」
罰が悪そうにいい倉本はその場から立ち去ろうと試みた。なにより目の前の男と一緒にいたくなかったためである、いくら幽体離脱をしたといえ中学生の女。こんな夜中に見知らぬ男といるのは警戒を覚えた。
だが男は倉本の手を取った。
「やめてよ!!」
突然手を掴まれ、倉本は思わず怒鳴った。その顔には恐怖と怒りが込められ、男を睨んだ。
「触れれるでしょう?私は安全だからそんなに警戒しないで」
「…っ!?」
今まですり抜けた自分の身体が初めて人に触れたことに驚き、そして嬉しくて倉本は足を止めた。でも目の前の男は怪しく何者なのかもわからない。
「私はこの寺の僧です。まだ見習いですがね」
ははは、と笑う男は倉本を安心させるかの様にして言った。
「僧…お坊さん?禿げてないのに?」
「私はまだ見習いなので」
思わず倉本は問いかけ、しまったと慌てて口を抑えるが、怒らせたではないだろうか不安げに男を見つめる。男はなにも気にした素振りは見せず話を続けるが、この時にはもう倉本は立ち去ろうとは思っていなかった。
ほのぼーんさん
ほんとですか!?そう言っていただけて光栄です!!ありがとうございます!!この後のストーリーはお楽しみですよ!(笑)
でしが今日はもう寝ます。ほんとにありがとうございました!
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