リリア 2015-03-26 12:52:31 |
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1年生の春。僕は君に出会い、5年生の夏…君と別れた。
君と一緒にいるとイライラした。喧嘩もした…けど、それが楽しくて…嫌な事を忘れられた。
ある日、先生はみんなを大きな部屋に呼び出した。その部屋は蒸し暑く、みんな苦しんだ。そして先生は言った。
一言…君が「転校した」と。
外からは蝉の声が聞こえ、僕は驚き涙を流した。でも…僕は笑った。嗚呼、やっと君と喧嘩しなくていいんだ。煩くなくなる。
そう思ったのに…とても哀しくて、孤独感を植え付けられた。寂しかった。独りだった僕に…君が初めて話しかけてくれた人だった。でも…もう忘れよう、君の事は。
あれから1ヶ月。みんなは君が転校したのを驚いた。嗚呼そうだ。泣いてる奴もいたっけ。
今日は夏祭り。みんな楽しみにしているだろうな、なんて呑気な事思って学校で授業し、帰れば「浴衣着る?」なんて母に言われた。
「…ん、着る」
無愛想に返事すれば母は嬉しそうにして浴衣を着せてくれた。嬉しかった。私は下駄を履き夏祭りに行った。
「…やっぱり……」
私が呟き溜め息をつけば目の前にはクラスの女子が大勢いた。
__夏祭りが始まってから30分。そろそろ帰ろうと思い歩き出した瞬間…
昔と変わらず私に手をさしのべてくれて…優しい笑顔のままの君は其処にいた。
「なっ…ちょ、なんでいるの?」
「はは、驚いた?
…俺さ、転校はしたけど引っ越して
ないんだ」
私は驚きを隠せなかった。私は…君_…優夜の事を知らなすぎたと思った。嬉しかった、寂しい、一緒にいたい
そんな感情があった。だが、その感情はすぐに消えた。優夜の隣に…あの子がいたから
あの子…とは、ユリアの事。ユリアは優夜が好きらしい。私が優夜を好きだと言うのも知っている。だから今もわざとらしくベタベタとくっついている。私はその場にいたくなくなった、消えたくなった。
「……じ、じゃあ…邪魔しちゃダメだか…ら…」
「おい待てよ。ちょっとぐらいいいじゃん」
優夜は私の事を引き留めてくれた、嬉しかった、だけど…ユリアの視線が痛い。だから……
「……御免、私…アンタの事、嫌いだから」
「っ…!…そうかよ…じゃあな」
私は酷い、醜い。優夜の手を振り払えば浴衣姿で走った。
ドォン!パラパラパラ_…
花火が打ち上げられる。優夜は途中まで私の事を追いかけた。繋がれた手を振り払ってしまった、もう会えない。私の中に何かが生まれた。
「なんで追い掛けてくるの!」
「……なんで…?…俺は…」
ドォンドォン!
花火の音で声はかき消された。私は必死に笑顔を作った。
「……御免ね、さよなら…」
優夜を見て言い走り出した。優夜はもう追い掛けて来ない。もう終わりなんだ。もう恋なんかしない。そう思った。
「……最後に…好きな人に会うときは涙を流した姿じゃなくて笑顔を見せたい…。私は見せられたかな…」
家に帰り、暗い部屋の中で泣いた。声がかれるまで__…。
____なんでそんなに詳しく話せるの、お祖母ちゃん
「……それはね、私がその女の子だからだよ」
…エンド…
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