峻 2015-03-25 17:42:24 |
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PM9:00
あいつが目を覚ました。
「ねぇ...此処...、○○君!此処、どこっ!?」
彼女は不安そうな顔で俺に訴える。だが俺は何も言わない。彼女を此処で監禁するためのスペースは前々から用意していた。彼女が寝ている間に。
「ねぇ、なにか言ってよ!」
俺の沈黙に不安と焦りで口調が強くなる。まぁ、無理もないか。お前が望まなかった事だ。俺の事を気付かないからそうなる...お前への想いを此処で毎日刻んでやる...。
俺はその想いに酷く興奮していた。おかげで口元が弧を描く。
俺の表情に怯える彼女の顔は普段見せる表情ではなく、心から恐怖を覚えているといった表情だった。
「なぁ..?」
俺の重く沈んだ一言が石で作られた部屋に拡散する、彼女はその急な事に身体を震わせる。
「お前...なんでこうなってるか解ってる?」
首をブンブンと振る彼女。ちなみに両手首を壁に掛けてある鎖で固定している。足は縛らずに若干の自由を許している、逃げればどんなことされるか、わからせるために。
「彼氏いんだよ?目の前に。なのに、何で俺以外に目合わせたり話したりしてんの?」
「それは!友達だから...っ!」
彼女の事だから予想はしていた。だけどその予想ぶりにイラついた俺は彼女に辛く当たってしまう。
「まだ状況読めてないだろうから教えてやるけど、お前は俺しか見れないように調教すんの。わかる?俺の気持ち」
調教という言葉を聞いてそれ相応の反応をするけど俺はそっちではない。他の男なんてどうでもいい、が当たり前になるほど彼女の中を独占したかった。俺の彼女なのに、その笑顔、声を他の男が見る、聞いたりすることじたいが許せなかった...だから手荒だが俺は彼女を捕まえた。
「わかった!わかったから許して...」
流石に抵抗力も落ちてはいるがまだまだだった。彼女は涙を流し続け赤く腫れ上がった目で俺に懇願してくる。少し前の俺なら意地悪でして解放していたかもしれない。でも..今の俺にはそんな余裕など無くーーーただ彼女を独占することだけが望みだった。
最早そこには純な気持ちはないのである。
白玉楼にて
「妖夢~♪ねぇ、妖夢ったら~♪」
のほほんとした少女の声が庭先に響く。
そこは日本庭園の様な場所で屋敷の外堀にそって桜並木が続き庭園と思わしき場所の中央には一本のそれは大きな桜の木が鎮座していた。
「は、はい!何ですか?幽々子様...」
1人の少女の声も少し遅れて反応する。
「お腹空いちゃった♪妖夢の半霊食べて良い?」
のほほんとした声が再び響く。だが、少し日常的会話としてはかけ離れた内容である。
「だ、ダメですよ!そしたら私の身体維持出来ませんから!ていうか幽々子様だって知っておられるでしょう!」
そして少し動揺しつつ口調を強くした少女の声の主が現れる。銀色の髪をボブカットにし、黒いリボンを付けて、白いシャツに青緑色のベストとスカート。彼女の名を魂魄妖夢と言う。
「えぇ~じゃあ私どうしようかしらぁ...」
妖夢の後に続いて現れた少々のんびり口調の少女、濃いピンクのショートヘア、後ろ髪は肩まで。容姿は幽霊の白装束のような格好で頭に三角頭巾の形をした帽子みたいなものを身に付けている。
「ま、まぁ私が作りますから幽々子様は軒下でお待ち下さい」
妖夢はそういうと軒下で履いていた下駄を脱ぐと屋敷の中へ消えていった。
1人残された幽々子は思った。
あの西行妖はいつ満開になるのだろう...と
「あやか~しのさく~ら舞い落ちる♪」
幽々子が妖夢を軒下で待つこと15分
暇なので歌っていた幽々子は自分の空腹に耐えていた。さっきからお腹がきゅるきゅるる、と可愛い音を立てているのだ。
そして
「幽々子様っ!お待たせしました!」
屋敷の奥から慌ただしく駆けてくる音が聞こえ妖夢が出てきた。
「ありがとぉ~♪でも廊下は走っちゃだめよ~?」
軽く注意する。それよりもお腹が空いているのだ。
「何かしら...?」
幽々子は丼のふたをとる。そこにはおそらく炊き立てであろうほかほかご飯があった。
そして、おかず。お肉を薄くスライスした物をレタスに巻き付けた揚げ物。それに冷や奴もあった。
「ありがとうね、妖夢♪」
幽々子は妖夢に礼を告げる。
「...あっ、いえ!おきになさらず...、ささどうぞ!召し上がって下さい」
急にアワアワする妖夢を微笑んで見つめた幽々子はご飯を食べはじめる。
そして数分
「ごちそうさま♪」
幽々子は満足していた。
「お粗末様でした...」
妖夢は幽々子の笑顔を見て満足していた。お互いに満足していたのである。形は違えど。
「そういえば幽々子様、ご飯を召し上がる前に挨拶しましたか?」
「.........えっ?」
明らかに幽々子の顔が動転していた。きっと言い忘れたんだろう、そう妖夢は解釈した。
「お腹空きすぎて忘れちゃった...」
幽々子は苦笑しながら告げた。
「もう...気をつけて下さいね?」
妖夢は微笑むと幽々子も優しく微笑んだ。
そして西行妖の花びらが数枚風に舞うのであった
~魔法の森~ magic to forest
「なぁなぁ...」
魔女の格好をした少女が気の抜けた声を出す。
「何よ、魔里沙」
一方こちらは凛として答える。
「こいつら倒しちゃって良いんだよな?アリス」
「良いんじゃないのかしら?立ちはだかるみたいだし」
アリスと呼ばれた少女がまたも凛と返す。
魔里沙と呼ばれる少女が発した声、現状、魔里沙とアリスの前には小型の植物型のモンスターがいた。
で、二人の進路を塞いでいたのだった。
「そんじゃっ!いっくぜぇ!」
魔里沙という白黒のメイドみたいな格好に黒のトンガリ帽子がポイントの少女が前に出る。右手に持った小型の六芒星の様な形をした物を両手で持って前に突き出す。
刹那ーーー
虹色の光線が植物型のモンスターを飲み込み、消滅した。
「まったく、私らの邪魔するとか10年早いってね!」
モンスターを退治した少女が誇らしそうに豪語する。
「そんなこと言ってると下級モンスターに力負けするときが来るわよ」
アリスが淡々と答える。
「なあ、今日お前なんか私に冷たくないか?」
「そうかしら?別に普通よ?」
「なんか嫌な事でもしたか?」
「心配し過ぎよ、後でランチにしましょ?付き合ってくれるでしょ?」
「もちろんだぜ!アリスの手料理なら喜んでつき合うぜ?」
「全く..何も出ないわよ?」
「何年付き合ってるんだよ、それくらいお見通しだって」
彼女達は仲良く話しながら森の奥へと消えていった
なんか一気に此処に来る理由を失った感じ...
あかんな...どう顔向けすりゃいいんだろ...
依存って怖いな...このまま彼女の事を考えて想い続けるのが良いのか、それとも彼女の為にいっそ諦めてしまったほうがいいのか...
はぁ...久しぶりだな...こんな感覚
一時でも楽しかったから良かったかも...
一心に片想いを貫きたくても、自身にその資格があるのか、彼女が傷付いてしまわないか、という余計なモノが憑いて歩く。
覚悟決めて好きな人を聞いて身を引いた方が良いのか...なんかそれだと簡単な人だと思われそう..
なんで、こんなに優柔不断なんだろ...
どうしようか...夜までに答え決めとかないといけないのに、真実聞いたら、ね...無性に脱力感が...
やる気のないまま何かを書く....
「ねぇねぇ、妖夢~♪」
幽々子はいつものようにのほほんとした口調で話す
「何ですか?幽々子様...?」
一方の妖夢は常に下から目線。警護役であり此処のお嬢様だから仕方のないことだけれど。
「今度また博麗神社で例大祭があるでしょ?それがね...なんか乗り気しないのよ...」
幽々子は己の中に渦巻く不安を打ち明けた。
「どのような感じでしょうか...?」
妖夢も幽々子の緊張感に乗り真剣にかえす
「う~ん、それがわかれば良いんだけどね~♪」
と、一瞬緊張感を露わにした幽々子も解らない事もある。だからこそ緊張感を解いてこう話すのだった。妖夢が先行してしまわないように...
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