主 2015-03-08 22:55:49 |
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……私だって分からないわよ。
(相手の呟きを拾えば小さな声で不貞腐れたようにひとりごちて唇を尖らせる。ただ単に今まで自分の元から去って行った護衛達と違い、きちんと守ってくれた少しだけ信頼してもいいかもしれないと思えた相手への誠意の見せ方がもうこれぐらいしか思いつかなかったのだ。因みに最初に考えた札束を積む案は、それをするのは雇い主である母親だと比較的仲の良いメイドにやんわりと却下された。とは言え停留所での男子生徒スルーは相変わらずで、バスに乗り込めば友人たちとの会話もそこそこに寝不足がたたっているのかうとうととし始め)
……っ、まだ腕の痛みが酷いな
(バスに乗り込むと昨日と同じくドア付近の椅子へと座り。足の傷の痛みはまだ軽い方なのだが一番ダメージを受けてしまったのは腕の方で、小さく動かす分には問題ないのだが大きく動かすとやはり激しい痛みに襲われて思わず顔をしかめて。服を着ているからこそ見えないが身体には結構な量の包帯を巻いており、当然腕全体にも巻いてあるためなるべく見えないように袖をまくらないようにして。生徒の集団の中で『昨日、路地裏で血まみれの男たちが倒れていたらしいよ』という言葉が耳に入り、それは間違いなく自分がやったもので「バレなければ問題ないな」とその現場自体は自分の護衛対象である彼女にも見せておらず、というより見せたくないものであるためバレないように祈りながら小さく呟いて)
……血まみれ…?それは、物騒ね。事件でもあったのかしら?
(がくんとバスが揺れたことで目を覚まし、グループの女子の言葉に穏やかではない単語が含まれている事に首を傾げる。昨日。血まみれ。男たち。その話題には覚えがあり過ぎるものの、一切表情には出さずに普通に事件を怖がる女生徒のように眉を顰めれば自然に話題を逸らしていって。昨日の相手の姿からただ事ではないと思って騒ぎにならないようにと指示を出したのは自分だが、どうやら見逃してしまった目撃者が居たらしい。幸い自分や相手の姿は見られていないようなので、そのうち風化するだろうと考えていればバスが学校に到着し)
昨日も言ったが、何かあったらいつでも呼べ。昨日の今日だから何があるか分からないからな
(ようやく学校に着き、昇降口で上履きへと履き替えると昨日言ったことをもう一度だけ短く伝えると朝のHRだけ出席するためだけに教室へと向かって。教室に入っても当然自分に話しかけてくる生徒などおらず、転校生ということで余っていた席である窓際の一番端の席に座ると周りがガヤガヤと楽しげに話すなか自分はただボーっと窓から外を眺めて)
ええ、分かったわ。
(相手の言葉通り先日の事もあり、素直に了承すれば自分の教室へと向かう。襲いくる眠気をなんとかやり過ごしつつ三限までの授業を終えれば、四限の体育が長距離走だと聞いてやや辟易したような表情を浮かべ。指定のジャージに着替えて髪を一つに纏め、トラックのある競技場と向かうが春先とはいえ日差しが強く、一瞬不安が頭を掠めるも成績を落とす訳にはいかないのでそのまま授業に参加して。しかし案の定走っている最中に貧血で視界が霞み、倒れると思った瞬間には視界がホワイトアウトしていて)
ん……そういえば、あれはアイツのクラスか。
(今日は昨日のように中庭ではなく競技場近くの樹の下でただボーっと座っていると体育の授業なのか競技場から聞こえてくるのは女性生徒たちの声で、つい授業の様子をチラッと見てみると目に入ったのは相手の姿で、ようやくどこのクラスの授業なのかが分かって。しかしそれほど興味はなく視線を元に戻し目を閉じると何やら悲鳴に近いような声が聞こえてその煩さにため息をついてもう一度視線を競技場へと移してみると目に入ったのは倒れている相手の姿で。倒れているため本人なのかは定かではないが、考える前に既に身体は動いており相手を囲むように立っている女子生徒の集団の中に強引に入り込んでいくと倒れる相手をお姫様抱っこのように持ち上げ「保健室に連れて行く、場所を教えてくれ」先生らしき人物に声をかけるとあまりに急展開についていけてないのか素直に保健室の場所を教えてもらうことが出来、腕に走る激痛を無視して保健室に急いで向かい。後ろから聞こえてくる女子生徒達の声も一切無視して。)
……っ…?
(目を開ければぼんやりとした視界に映るのは白い天井で、いまいち記憶がはっきりせず身体を起こそうとすれば左肩に鈍い痛みが走って。思わず顔を歪めるも痛みのおかげで意識がはっきりしたのか、倒れた際に地面に打ち付けたのだと思い出せばここが保健室なのだろう事も分かる。違和感のある左頬に触れればガーゼが貼られていて、こちらも倒れた際に擦りむいたのかと想像すれば「情けないわね……」と若干かすれた声で呟いて。それから「先生……?」と呼びかけるも返事がなく、誰も居ないのだろうかと思えばベッドの下にあったスリッパを拝借して立ち上がろうとし)
症状を見る限り貧血か何かだろう。俺は戻るから後は任せた
(あの後、彼女を保健室に運んだのは良いが先生が誰もおらず仕方がなく自分が簡単に処置をして。最初の方はベッドの横に座っていたのだがもし彼女が起きた時何を言われるか分かったものではないため職員室まで先生を呼びに行くと見た感じに思った症状と運んでくるまでの詳細、そして念の為に保健室に行って彼女を診て欲しいと伝えると自分は保健室に戻らずに元々いた競技場近くの場所へと戻って。)
あ、先生……。
(若干ふらつきながらも仕切りのカーテンの外に出ればやはり誰も居ないようで、どうしようかと考えていると丁度ドアを開けて保険医が入ってきて。簡単に診察をされてやはり貧血だと言われれば、何か思い当る事は?と言う問いに黙って頷くだけで原因は話さず。察してくれたのかそれ以上追及がない事に安堵し、ふと気になって「あの、私を運んでくださったのは……」と聞けばとある男子生徒だと教えられ。一瞬びっくりして固まるも特徴を聞いて護衛である相手だと分かれば安堵したように息を吐き、職員室に戻る先生を見送れば相手を呼び出そうとして携帯を持っていない事に気付き教室に向かい)
長距離······か。昔親父によく走らされたものだな
(あれからもう1度場所を移動して、今度は昨日と同じ中庭の樹の下に座り込んで、先程彼女のクラスの生徒達が走っている姿を思い出すと同時に昔の事も思い出して。昔から長距離だけは嫌いで、今でも得意というわけではなくむしろ苦手な部類に入るほどで。四時限目終了のチャイムが鳴り、昼休みになったのだが自分は朝の時間の都合上昼食など持って来ておらず、購買や食堂を使ってもいいのだが人混みが嫌いという理由だけで利用せず懐から武器ではなく小説を取り出すとそれを読み始めて)
静か……。
(授業中の為しんと静まり返った廊下を歩き、四時限目が終わる前に制服への着替えを済ませる。友人には悪いが昨日の事もあり色々と聞かれると面倒なので、クラスメイトが戻る前に鞄を回収すれば職員室で早退する旨を担任に告げて校舎を後にして。授業中教室に居ないことなど今まで無かったので少し新鮮で、いつもの学校じゃないような空気を少しだけ楽しめば桜並木の下を歩きつつ携帯を取り出し相手に『早退するわ、校門に居る。』とメールを送信。少し悩んだ後にアドレス帳に名前を登録すれば、壁に背中を預けて空を見上げ)
早退……?そこまで貧血酷かったのか
(周りに生徒たちの声が響く中不意に携帯が振動しメールを開いてみると早退のメールということで、そこまで貧血が酷かったなら自分の保健室にいるべきだったかななどと思いながら『了解』と短く
返信しながら立ち上がって。別に自分は早退する旨を伝える理由なんてなく、ただ相手の近くに居られればいいだけの話であるため教室に言って自分の鞄を取ると先生に何も言わず校門へと向かって。校門に近づくとメール通り相手の姿があり「待たせた。何かあったのか?」と、倒れた相手を保健室に運んだのは自分などと言うつもりはなくあくまでも知らないふりを装いながら声をかけて)
ええ、どこかの馬鹿が無理をしたようだから。
(足音が聞こえれば視線を相手に向け、問いかけにはちらりと相手の腕を見遣ってから一つ頷いて。あくまで黙っている気の相手に目を細めれば「私を運んでくれたの、あなたなんですって?……腕の怪我が一番ひどかったと聞いたのだけど?」と責める様な口調で言って、壁から背を離せば校門の前に止まった黒塗りの車に向かい。「帰りましょう。いつも通り下校してまた絡まれても面倒だし、私も眠いのよ」と振り向かないまま言えば運転手の開けてくれた扉から車に乗り込み)
……了解だ
(恐らく保健医にでも聞いたのだろう、自分としては知られたくなかったのだがやはり予想通り責めるようなことを言われれば特に何かを言い返すこともなく相手に続いて車へと乗り込んで。車が走り始めて少し経ち、窓から外を見ながら「お前に何かあったら俺が耐えられないんだよ。俺にとってお前が何より最優先なんだ。腕が痛いからって放っておくわけがないだろ……だが運ぶとはいえ勝手に体を触ってすまない」護衛職なんて身体を痛めるのは当然なことであり、自分の身体より護衛対象の無事の方が遥かに大事で嘘つくこと無く本心からの気持ちを述べて。端から聞いたら何だか誤解されそうな言葉だが本人には自覚はなく)
それでいざという時に動けなかったら世話無いわよ?……あと、言葉選びにはもう少し気を付けなさい。
(シートに深く腰掛けて同じように窓の外を流れていく景色を眺めては、聞きようによっては口説き文句にも思える発言に溜息交じりに苦言を呈す。そしてふと相手の方に視線を向けてはそもそも何故相手が自分を運ぶことができたのかと考え、競技場の様子は教室からでは見えない事を思い出せば「……て言うか、あなたまた授業をサボっていたの?」と眉をひそめて非難するように見つめて)
サボる以前に、俺は授業など受ける理由がないからな。学校に来てる理由だって、お前に何かあった時すぐに対応できるから・・・・・・ってだけだ
(色々察しの良い相手ならばすぐにバレるだろうと思っていたが、まさかこんなにもはやくバレるとは思っておらず小さくため息をつくと視線を動かさず先程のように淡々と返事を返して。一般教養なら、小さい頃から戦闘術と一緒に父親に叩き込まれているし、高校程度のレベルなら完璧程ではないがテストで上位を取れるほどには理解していて。「それよりも倒れた時にどこか痛めてないか?擦りむき程度の傷なら簡単に手当てしたんたが・・・・・・」さすがに身体全体を診ることなど男である自分に出来るはずがなく、もしどこか強く打ち付けていたりしたら後々大変であるためようやく相手へと視線を向けて尋ねて)
その調子じゃ、クラスメイトとも上手くやれてなさそうね。
(相手の返答に大きな溜息を吐けばどうせ何を言っても無駄なのだろうと感じつつ、皮肉を込めて呟けば再び視線を窓の外に向けて。痛むところは無いかと聞かれれば頬のガーゼに触れ、これも相手がやったのかと思いつつ「……左肩が少し痛むけど大したことないわ」と視線を向けないまま答えて。そして口元に手を当てると呑気に小さな欠伸を零しては窓に頭を預けて目を閉じ)
……そうか、夜になっても痛みが収まらなかったら医者に診てもらえ
(相手の様子から見るに、眠気でも黙っているのだろうと理解し最後に一言だけ言うと邪魔しないように後は何も言わず先程のように視線を窓の外に戻して。車の中だからといって安全だということはなく、タイヤに向かって発砲されたり運転手を狙撃されたりなどの可能性は十分にあるためボーっと外を見ているように見えるが実際かなり神経を使って警戒していて)
ええ……どうせお風呂の時にメイドにバレるもの……大人しく先生に診てもらうわ。
(相手が警戒している事など全く気付かず、何となく気の抜けた様子でこくりと頷けばそっと左肩に触れて。確認はしていないがこの鈍い痛み方からして内出血を起こし青痣になっているだろう。となれば隠し通す事などまず無理で、気付いたメイドを慌てさせるよりは先に申告してしまった方がいい。早退したおかげで稽古までは時間があるし、診察が終わったらお昼寝でもしようかしらと考えながら襲って来る睡魔に抗えず小さく寝息をたてはじめ)
こいつの左肩、怪我してるから帰ったら気にかけるように言っておいてくれ。入口にメイドか誰かいるだろ
(車に乗り込む前、相手の歩き方や車に乗り込んだ後の様子を見るに左肩に異常があるのは目に見えていて、相手が寝ている隙に運転手に短くその事を伝えておいて。伊達に今まで多くの人間と関わってきた訳ではないため、そういう関係も見抜くことができ、後は大人しく家に着くのを待って)
んー……そうだわ、ドクターを呼んで頂戴。
(運転手の呼びかける声で目を覚ませば見慣れた自宅の門が目に入り、眠そうに目を擦りつつ車から降りれば出迎えたメイドの一人に医師を呼ぶように言って。「行くわよ、腕の怪我が悪化していないか診てもらいなさい」と自分の打ち身のついでに一緒に診てもらおうと相手のブレザーの裾を掴めば問答無用で屋敷の中に引っ張って行き)
……は?おい、お前何を勝手に……
(ようやく目的地まで着き車から降りて自分の家へと帰ろうとして一歩踏み出した途端不意にブレザーを引っ張られ、何だ?と思いつつ振り向くとそのまま引っ張られていき訳が分からず声を上げるも相手は止まること無く歩いて行き。すぐに振り払って逃げることも可能だが、今逃げてもどうせ明日またやられるだろうと思い抵抗せずに大人しくついていき。そしてふと裾を握られている手元に視線を落とせば「お前、あれだけ嫌ってた男に触れるようになったのか……。何かあったのか?」自分が知っている相手ならば、男に触れようとしないどころか近寄らないはずなのに直接ではないが普通に触れられていることに疑問の上げて)
……え?
(抗議の声を無視して屋敷の中を進んで行くが、触っても大丈夫なのかと聞かれればはたと立ち止まって手元を見下ろして。直接触れている訳ではないが、確かに今までの自分では考えられなかった行動だろう。何よりも無意識に相手の服を掴んでいたことに驚いてしまい、数秒黙り込めばいつものように高圧的に誤魔化す事も忘れて「……何だか、あなたは平気みたい」と素直に零した後に相手を見上げては直後に失言に気付いたのかぱっと両手で口元を覆って顔を逸らして)
なんだそれ……?
(てっきり何かきっかけがあって、男性に触られるようになったのだと思っていたのだが返って来た答えはかなりの予想外のもので男性は男性でも自分は大丈夫という何とも理解し難いことであり、そんな言葉にため息混じりに聞き返すが相手の様子を見るに恐らく失言だったのだろう。素直に答える相手は何だか相手らしくないなどと思いながら「まぁいい、引き続き案内頼むぞ。俺はこの家の中のことは何も知らないからな」気になったがこれ以上気候とはせずに会話を切り、掴まれた手を振り解こうとはせずに掴まれた状態のままで。)
う……な、何だっていいじゃない!あなたもその方が仕事しやすいでしょう?!
(訝しげな相手の問いに再び黙り込めばやや赤くなった顔で恨めし気に相手を睨んで。無意識の行動だったのだから理由を求められても困る。半ばやけになって叫ぶように別に不利益でもないのだからいいではないかと言い切って、案内を求める声に掴んでいた手を離してくるりと前を向けば「こっちよ」と一言だけ言って応接室に向かって歩き出し)
……はいはい、分かった
(こっちはただ疑問をぶつけただけなのに、何故睨まれてそれして怒鳴られ何だか理不尽に感じたが確かに相手の言うとおり仕事しやすいのは事実であり前までの相手よりは遥かに好感を持てる。先に歩き出した相手の背中に付いていくように歩き「相変わらずお金持ちの家ってのは大きいよな……。何回見ても慣れない」大きな屋敷を見上げ、今まで護衛してきた人物たちの家も同時に思い浮かべながら小さく呟くように述べて)
"はい"は一回でいいの!
(かつかつとヒールを鳴らしながら足早に歩き、相手の反応に不貞腐れた様な口調で言葉を返せば真っ直ぐに応接室に向かって行き。途中で相手の呟きを耳にすれば歩調は緩めないままで「家の力を示すのに屋敷大きさっていうのは丁度いいのよ。だから権力者の家は無駄に広くて豪華なの」とやや皮肉交じりに疑問に応え、応接室に着けば控えていた医師たちに「あなたは彼の怪我を。そっちのあなたは私を診て頂戴」と言って自分は女医を一人連れて隣室へと入り)
家の力……か。そういうものか
(自分の家はお金持ちとは程遠く、ましてや権力者ですらなかったため相手が言う家の力がどうこうという話は理解できないが確かに相手の言うとおり今まで自分が見てきた権力者達は力が強いものほど無駄に豪華で大きい屋敷に住んでいた記憶があり。応接室だろうか、なんだかそのような部屋に着くと相手の一言を聞いた医者たちに有無を言わせない勢いで掴まれると「おい待て、おとなしくついていくから引っ張るな!」こちらの言い分など聞こえていないのかそのまま別の部屋に連れて行かれると実に手際よく次々に色んな場所を診られて。ただ大人しく診られていると不意に『凍華様の事をどう思ってます?』という質問に疑問を抱くも、少しの間考えて「まぁ正に今どきのお嬢様って感じだ。まだ現実を分かっていないし、甘い部分もかなりある。だけどまぁ……根は良い奴だし、ただ素直になれないだけの実際は年頃の可愛らしい奴なんじゃないのか?いつアイツの護衛を辞めるかは分からないが、それまでは命をかけて護ってやる。……こんな答えで満足か?」普通に人間なら恥ずかしくて言えないようなことなのだがそこはさすが自分というべきか、思っていたことをさらっと何も気にすること無く述べて。本人に聞かれたら『あんた私が好きなの?』などと面倒なことを言われそうで、この部屋にいる医者が彼女に言わないように願って)
そこのあなた、応接室にお茶をお願い。
(倒れた時にぶつけた左肩を診てもらえばやはり予想した通り軽い打撲だったようで、薬を塗ってもらい服を着込めば早々に部屋を出て応接室に戻ろうとして。恐らく相手の方が時間が掛かるだろうと考えて控えていたメイドにお茶の用意を頼めば、通りかかった部屋の中から医者の質問する声が聞こえてその内容に思わず立ち止まり「なんてことを聞いているのよ……!」と小声で毒づけばしかし答えが気になるのかそのまま聞き耳を立て。相手の返答を聞けばてっきりもっと辛辣な事を言われると思っていたので驚いたように扉を見て、そっとその場を離れれば「他意…は、無いのよね、きっと。言葉を選べとあれほど……」と呟きながら応接室に入り、ソファに腰かければ置いてあったクッションに顔を埋めて)
手間をかけさせて悪かったな、助かったぞ
(そしてしばらく経ち、ようやくひと通りの手当てが終わると軽くお礼を一言だけ言ってから部屋を出こうとドアノブに手を掛けて。自分が見た感じ、相手は寝不足から貧血のように思えたためそれほど時間は掛かっていないだろう。手当てが終わり、これ以上ここにいる理由はないためもう一度医者の方へと向いて「俺は帰るから北御門に何か聞かれたら帰ったって伝えておいてくれ」自分で言いに行ってもいいのだがこの広い屋敷の中相手を探すのは大変そう思えて、医者に伝えると今度こそ部屋から出て行きここに来るまでに歩いてきた道を戻っていって)
……帰ったの? 私への挨拶も無しに?
(そのまま応接室のソファで気を紛らわせるためにクッションをぼすぼすと殴りつけていれば、扉が開いて医師が姿を見せる。しかしその後ろに相手の姿が無い事を見て取ればどうしたのかと医師に問いかけ、伝言を聞けば眉を寄せて紅茶のカップを手に取って。己の反応にやや慌てた様子で相手を呼んで来ようとする医師を引き止め、ゆっくりと息を吐き出せば紅茶を一口飲んでカップをソーサーに戻し。どんな顔をして会えばいいのか分からなかったので、ある意味助かったと心の中で安堵して)
いいわ。…………顔を合わせずに済んだもの。
いつもに増して何だか街の雰囲気がおかしいな……。まぁ気を付けておくか
(そして次の日、いつもどおり彼女の屋敷へと向かうために道を歩いているのだが何だか今日はいつもとは違い全体的に何かおかしな雰囲気に包まれており不審げに眉を潜めて。一般人なら分からないようなレベルだが、しかし警戒するにこしたことはないため注意しながら歩いているとようやく屋敷へと着いて。インターホンを押していつもどおりに要件を伝えると待ち人が来るのを待って)
気を付けると言ったって……まあいいわ、覚えておきましょう。
(門が開くのを待つ間にメイドから鞄を受け取れば、いつもなら見送りの言葉しか言わないのにお気をつけて、と言われた事に首を傾げて。意味が分からないもとりあえず了承すれば門をくぐり「おはよう、氷村」と声を掛けて相手の元まで歩いて行くも普段よりもピリピリとしている様子に訝しげな表情を浮かべて「なに? いつにも増して近寄りがたいわよ、あなた」と相手を見上げて)
ああ、おはよう。お前が俺に挨拶するとは驚きだ……。まぁちょっとどこか街の雰囲気がいつもよりおかしくてな。気のせいならいいんだが、万が一の事を考えて行動しないといけないからな。別に何があってもお前は俺が守るから問題はないんだが
(おはよう、という普段の相手からは言われ慣れない言葉にどこか疑問を持ちながらもとりあえず挨拶を返して。相手にも伝わるほどにピリピリしていたということは、自然とそれほどまでに警戒していたということであり流石にずっとこの様子だったら相手にも悪いため少し警戒を緩めると今朝感じたことをそのまま相手へと伝え、最後には相変わらず誤解を招くようなことを何事もないかのようにさらっと述べて。)
一言余計よ、挨拶ぐらい素直に受け取りなさい。
(返ってきた言葉に相手を睨むように見上げては腕を組み、町の様子について聞けばぐるりと周囲を見回して首を傾げて「ふぅん? 私にはよく分からないわ」相手と違って街の空気など感じられる訳も無く、投げやりにそう言うも信じてないという様子では無く。警戒を緩めた事にどこかほっとしたような素振りを見せれば最後の言葉に息を詰まらせ「あ、あなたのその物言いもそろそろ慣れて来たわ!」と全く慣れていない完全に動揺した様子で顔を赤くして言い切り)
なに1人で動揺してるんだ?車も来たことだし速く行くぞ
(自覚があっていったわけではないため、何故相手が顔を赤くしているのか理由が分からず特に気にしないでおくとようやく昨日のような車が自分たちの前に止まって。まるで自分の家の車のように勝手にドアを開けて中に乗って行くと運転手に向かって「悪いが、今日はいつもの道じゃなくて遠回りで行ってくれないか?」と万が一の可能性を考えるといつもの道を通るのは危険であり、詳しい話はしないが簡単に理由を伝えて。)
うるさいわ、放っておいて!
(全く自覚していない様子に不機嫌そうに睨みつければ、車に乗り込んで勢いよく座席に腰かけて足を組み。運転手に注文をつける相手に先ほど街の様子がおかしいと言っていた事に関係しているのかと考えれば特に反対することなく、伺うようにミラー越しに視線を向けて来る運転手に頷いて見せ「構わないわ。言う通りにして頂戴」とだけ言って後は窓の外を眺め)
北御門、もし学校で何かあったらすぐに俺を呼べ。そして今日に関しては常に警戒しておけ
(いつもとは違う道のりを車が走る中で、どこか険しい顔つきで窓から外を眺めながら隣に座る相手に向かって言葉を投げかけて。学校では常に一緒にいるわけではなく、当然別行動になってしまうため何かあってからすぐに行動したとしてもすぐに解決できるとは限らないのだ。「もしもお前の身に何かあったら空メールでも送るか電話でもしろ。それができない状況なら…俺が必ず何とかする」相手の方を向いていないのだがその声は真剣なもので、しかし相手のことを本気で心配している様でもあり)
何とかするって…。
(暫く窓の外を流れる目新しい景色を見つめているも、相手の声の真剣さに視線を車内に戻せば険しい横顔を見つめて口を開いて。連絡すら取れない状況が相手一人にどうにかできるとは思えず、また自分が少し気を付けたぐらいで回避できるとも思えずに「まあ、なるようにしかならないでしょ。私の帰りがあまりにも遅ければ家も動くでしょうし」と言って精々一人にならないよう気を付けるぐらいしかできないだろうなと考え)
まぁお前の家が動いたとしてそれがちゃんと機能すればいいんだがな……。とりあえずそういうことだ、もうすぐ学校着くぞ
(状況が分からない相手に言っても、理解することは難しいのだと改めて理解して最後にもう一度だけ念を押すように言うと、ちょうど良いタイミングで車が学校に着いて。そして車を降りると「今日は迎えに行くから放課後は絶対教室にいろよ。間違っても校門とか外で待ったりするな、いいな?」もし校門で待っていたら、自分が合流する前に攫われる可能性があるのだ。ましてや今日の雰囲気はいつもよりどこかおかしいため何があってもおかしくない。相手に一言言うと自分はとりあえず出席していることにするためだけに教室に向かって)
はいはい。もう分かったわ、分かったから。
(相手の念押しにいい加減しつこいとでも言いたげに頷き返せば車を降りて教室へと向かい。いつものように授業を受けてやがて放課後になり、相手の言葉通り人のまばらになった教室で席について待って居るも暇そうに見えたのか運悪く担任に声を掛けられてしまって。内容は荷物を教材室まで運んでほしいというもので、用事があるのかこちらの返答を聞かずに去っていってしまった担任に内心毒づき「まあ、この距離なら大丈夫かしらね」幸いにして教材室はこの教室の並びにあって、廊下の端ではあるがそこまでの距離では無く。鞄から携帯だけを取り出してポケットに入れれば荷物を持って教室を後にして)
ちっ、よりにもよって今日捕まるとは……。ちゃんと残っていてくれよ
(今日もいつもどおり授業には出席せず、適当な場所で暇を潰していたのだがそんな自分の態度にいい加減頭にきたのか、放課後一応担任教師である先生に見つかってしまい職員室へと連れて行かれて。無理矢理でも話を切って彼女を迎えに行くのは簡単だが今後の事を考えると一度くらいはこういう目に合っておけば教師も少しは落ち着くだろうと考えて大人しく説教を受けることにして。退屈すぎて寝そうだった説教もようやく終わり、時間を取られたことに小さく文句を言いながら急ぎ足で彼女の教室へと向かい始めて)
開いてる…?前の人が閉め忘れたのかしら。
(教材室の前に着き荷物と一緒に担任が置いていった鍵で開けようとするも、既に扉が若干開いている事に首を傾げて。鍵の閉め忘れだろうかと考えれば扉を押して中へと入り、ほぼ荷物で埋まってしまっている窓からの微かな明かりを頼りに空いている棚を探し。埃っぽさに顔を顰めながらも奥の方へと進んで行けば、不意に後ろから伸びて来た手にハンカチで口元を押さえられ、驚いて荷物を取り落し)
(/フラグ回収完了であります、例によって何で襲われてるのかとかは考えてないです← この後は連絡できるorできない、連れ去られるor悠君が間に合うの数パターン考えているのですが…どうしましょうかね?)
どういうことだ、何故いない?くそっ、まさか……っ!
(急いで教室に向かい、ドアを開くがそこには待たせているはずの彼女どころか誰1人もおらず、急いで携帯をとり出してメールを受信していないかどうか確認するも特にメールは来ていない。嫌な予感が的中してしまったのだろうか、教室を出るととりあえず校内中を探しまわるために怒られることなどd気にもせず全力を駈け出して。しかしやってしまったと言うべきか、まずは1階から順に探すために階段を降りてしまい彼女が向かった教室の横を通らず)
(そですね……、連絡はギリギリできたけど内容はただの空白のメール、それで連れ去られましょう!そっちのほうが展開的に燃える←)
……ん…っ…!
(口に当てられたハンカチの湿っぽさと広がる薬品の臭いに危険を感じて血の気が引いていき、何とか振りほどこうとするも非力な自分がいくら暴れたところで背後の人物はびくともせず。段々と視界が霞んでいく感覚と自分を押さえつける腕に恐怖を感じ、パニックを起こしそうになったところで頭をよぎったのは朝の相手の言葉。気付かれないようにポケットの中に手を伸ばせばそのまま操作し、既に作成してあった相手宛ての空メールを呼び出せば薬品のせいか身体が弛緩して行く中、最後の気力で送信ボタンに触れてから意識を失い)
(/了解しました!ではちょっと誘拐されてきます←)
他はどこだ……?人気がないような場所は……
(どこを探しても見つからず、焦り出す気持ちを持ち前の冷静さで抑えながら頭を振り絞って考えていると不意に手に持ったままだった携帯が振動して。もしかしたら……、そう思いながら急いでメールの中身を開くと予想通りである差出人に一瞬苦い顔をするもすぐに状況を把握して。内容のないメール、つまり空メールを受信したということは相手の身に何かあったということだ。メールを出せたということはまだ何か起きてからそんなに時間は経っていないということとまだ相手は無事だということ。普通に考えれば学校の中から連れ去られた可能性があり、ということは考えている暇などはなく目的も特に考えついていないのに学校から飛び出して行き)
(/りょうかい!頼みました!←)
ここ、は………?
(身体に感じる冷たさに意識が浮上して、ぼやける視界に映る見覚えのない風景に掠れた声を上げて。まだ薬が残っているのかぼんやりする頭でなんとか状況を把握しようと努めれば、どうやら薄暗い倉庫のような場所のコンクリートの床に転がされているということが分かり。「こ…の!外れなさいよっ!」両手は後ろで縛られ足にもロープが巻き付いており、そのロープは近くの柱に括りつけられていて逃げられそうにない。身体を動かしてロープを外そうとするも強く動いたせいか肌に擦れて血が滲み、顔を顰めながら何とか身体を起こして辺りを見回して)
すまない、この街の全体地図を貸してくれ。―ああ、悪いな
(まだこの街には来たばかりでどこがどこだが全て把握しているわけではなく、この状態で探しまわっても絶対見つからないだろう。護衛対象が誘拐されるなんてことは初めてではなく恐らくこれが二度目になる。自分の未熟さに歯痒い思いをしながら近くのコンビニに入ると真っ先に店員からこの街の地図を借りて、どこか連れて行きそうな場所を探していき。そんなに時間も経っていないし、遠くに連れて行くという理由も見つからない、昔護衛対象が誘拐された時は使われていない倉庫に閉じ込められていて今回もその可能性がある。「それと、今そんなに使われてない倉庫って近くにあるか?」倉庫など全て地図にのっているはずもなく、店員から近くに倉庫は3つ程度あると言われると悩んでいる時間もないため地図を渡すとすぐに店から出ていき)
携帯…は流石に取られてるか。
(倉庫内はそこまで広くないが雑多に物が置かれており、それらが埃を被っている事から今は使われていない場所だと分かる。出入り口は正面に一つ、窓はあるが天井近くの高い位置にしかなく、鉄格子もはまっているため仮にロープを外せても逃げ道は無さそうで。そこでふとポケットが軽い事に気付けば上記を呟き、メールはちゃんと送れたのだろうかと考えていればドアが開いて数人の男が現れ、その黒スーツとサングラス姿に少し前の襲撃を思い出して。「貴方たち、この前の…!」まだ諦めていなかったのかと睨みつければ一人がこちらに向かってくるので「な、何よ、近寄らないで!私にこんなことして、タダじゃ済まないんだから……きゃぁ!」と精一杯声を上げるも腹部に痛みを感じると同時に後ろに飛ばされ、表情を歪ませて蹲り)
ちっ、ただ走り回ってるだけじゃ遅くて間に合わない…!
(1つ、そして2つ目と使われていない倉庫を回ってみたがそこには誰もおらず、しかも3つ目の倉庫はここから結構離れている場所にあるため恐らく足じゃ時間がかかって手遅れになってしまう可能性があり。焦る気持ちを抑えながら周りを見渡すと、ちょうどバイクに乗ろうとしている若者の姿を見つけて、その瞬間とある事が思い浮かびすぐにその少年へ音もなく背後から近付いていくと首の後ろを手刀で叩き気絶させて。「ちょっと借りていくぞ。大事な護衛対象が待っているんでな」気絶した若者の手から鍵を取ると、一言詫びを入れてからバイクにまたがりエンジンをかけて。バイクこそはもっていないが実は免許は持っていて扱い方も分かっており、エンジン全開で恐らく彼女がいるであろう最後の倉庫に向かって走り出して)
「男達よ……私にひれ伏すがいい…!」
「何で私が命令されなきゃいけないのよ?」
設定
名前 白鳥院 エリィ シラトリイン エリィ
年齢 16歳
性格 我が儘で、たまに無邪気で好奇心旺盛で。プライドが高い。精神年齢は凄く低く、10歳位。取り敢えずめんどくさい奴。自分が思った事はやる。絶対ね。人が思った事は絶対しない。思った事はすぐに口に出してしまう。飽きっぽい。自己中心的。反省?ナニソレオイシイノ?の人。幼い。なのに何かと憎めない。
容姿 肩まで伸びた水色の髪、ふわふわロング、赤く澄んだ瞳。ピンクのロリータふわワンピースのピンク。背中に赤いリボン。薄紫色のリボンでサイドテールをしている。制服?そんなの面倒くさいわよ。しかも皆と同じとか馬鹿みたい。の人。白いハイソックスに茶色の革ブーツ。首からは懐中時計をぶら下げている。背が低く、152cm程。日差しは日に焼けるから、と言って赤い、ピンクのレース付きの日傘を差している。目はややつり目。起きてすぐはジト目。
備考 運動神経がいい。が、勉強は面倒くさいらしい。ペットに白狐、白猫、白蛇を飼っている。愛称は
白狐・レミィ
白猫・ツパイ
白蛇・マイナ
武器を持っている。
長刀
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