主 2015-02-01 22:01:34 |
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えと…週末は、特に何もないですけど…。
(今まで不細工だと言われ続け、容姿を褒める発言など一度としてされたことがなかったために相手の発言を信じきることができず、むしろ不審にすら感じていて。相手の問いかけに控えめに頷いてから空いていることを伝えるも、「で、でも…私、この髪型が一番安心できるんです。目立たなくて済みますし…」と自分のサイドの髪をきゅっと掴みながらささやかに反論し)
そんなことは知らん。大体安心するも何もずっとその髪型だったんだろ?心配するな、俺がお前に新しい世界を見せてやる
(相手の反論に聞く耳を持たず一蹴し鼻で笑いながら不敵な笑いを顔に浮かばべて確信を持った力強い声音で頷きながら述べて。それからは何も言うことは無くただ黙々とパンを食べながら時々「いや、派手なのより控えめのほうが似合うよな・・・だとしたら―」などと呟き相手の顔を見ながらどんな髪型がいいか一つ一つイメージをしていき。まさか自分が他人のために何かを考えることになるとは思っておらず、小さな変化だが自分自身が変わっていくことに無意識にいつものような笑みとは違う、整った顔立ちに似合う柔らかい笑みを小さく浮かべていて)
…せ、せめて前髪は…このまま、がいいです。
(自分の髪型を考案している相手の姿が視界に入り、はっきり嫌だと言ったらどんな仕返しをされるかわからないと思い、絶対に変えたくない部分だけを強調し。昨日今日と見てきた相手の柔らかな笑みを見ると、やはり相手は自分とは住む世界の違う人間なのだと思うと、「ど、どうして私なんかに…こんなに、構うのですか?今のところ何か意地悪してくるわけでもないですし…」と疑問を投げかけ)
お前の意見など知らん、そんな髪型じゃイジメられ続けるのがオチだ。それにお前に声をかけた理由なんて決まっているだろう?単純にお前のありのままの素顔に惹かれたからだ。前髪で目を隠していない、眼鏡をかけて印象を落としていない、俺はそんなお前の素顔に惹かれたのだ。だから俺はそんなお前に自信を持って欲しい、自分の持つ価値を無駄にしないで欲しい、もっと自分を好きになって欲しい。そう思ったからだ
(またもや相手の意見を一蹴しもう一度考え込もうとすると次の質問が飛んで来て、その質問に対しては分かりきったことを聞くなと言わんばかりに大きくため息をつくと普通の男子なら恥ずかしくて言えないだろう台詞を真剣な表情でわずかに前髪の隙間から見えた相手の目をじっと見据えながら一つ一つ自分が思ったことををはっきりと伝えて。「そして何だ意地悪って・・・。そうだな、だったらこれからは俺がお前をいじめから守る、そしてお前は俺の計画に協力する。これならお前も問題ないのではないか?」意地悪、という単語にまた呆れたようにため息をつくとちょうど良く今考えついた案を試しに提案してみて。仮に嫌だと言われても絶対付き合ってもらうのだが)
…っ。そ、それなら…。
(今までいじめっ子たちに言われ続けていた罵詈雑言とはまったくといって裏腹かつストレートな相手の発言に少しの間返す言葉を失ってしまい。はっきりとした褒め言葉に視線を落としてしまうも、相手から出された交換条件にしばらく考えるような素振りをし。しばらくののち、信頼することまではできずにいるものの、これ以上断ったところで無駄だろうと反論することを諦め。「それで…その、週末はどうしたらいいんでしょうか…?」ととりあえず相手の提案に乗っておくことにし)
うむ、今は俺を信じなくてもいい。俺がお前を信じさせてやる
(まさか自分が『信じる』という言葉をこんなにも多用することになるとは思っておらず、ようやく自分の提案に乗ってくれた相手に満足気味に頷きいつも通りどこから来るか分からない自信満々の様子でまたもやはっきりと述べて。制服の胸ポケットから携帯を取り出し週末の日付を見て問題ないことを再確認し「俺のいきつけの美容院に行く、世間で言うデートだな。それとお前の連絡先を教えてくれ」実は昨日の内うでに美容院の予約は取っていて、無理矢理にでも連れて行こうと思っていたのは秘密で家族すら登録していない携帯を見せながら言い)
れ、連絡先…。ええと、はい…。
(相変わらず警戒心は解けないものの、今まで自分に接してきた人間の浮かべる笑顔とはまったくといっていいほど違う相手に、少なくとも相手は自分をいじめているいじめっ子たちの一味というわけではないのだろうとだけ判断し。制服のポケットに入っている携帯を取り出すと、事務的な目的があるもの以外で連絡先を交換することなど初めてだ、なんて考えながら自分の連絡先の画面を呼び出し、相手へと自分の携帯を差し出して)
ふむ、生まれて初めて連絡先というものを登録したな。それがお前で良かったぞ
(初めて連絡先というものが自分の携帯に登録され、不思議な気持ちを感じながら携帯を胸ポケットへとしまい残りのパンを全て口の中へと入れペットボトルのお茶で流し込んで。そしていいタイミングでチャイムが鳴り立ち上がると「さてと、これから俺とお前は協力関係だ。俺がお前を守ってやる。教室に行くか」まだ座っている相手を見下ろしながら言うと先に教室へと戻っていき。)
……。…不思議な人。
(先に帰った相手をぼーっとした様子で見送ってから、初めて私的要件で連絡先を教えた携帯を胸元できゅっと握り締め。しばらくするとすでにチャイムは鳴っていたことを思い出してハッとなり、早々とした手つきで広げたままにしていた昼食を片付けて。いじめられるわけでもなければ昼食調達に走るわけでもない今日の昼休みという時間を終え、不思議な気分に浸りながら教室へと戻り)
・・・ハッ
(授業が始まる数分前に教室へと着きドアを開けると中にいたクラスメイト達が嫌なやつを見るかのような視線を自分を見てきたが、そんなこと当然気になるわけもなくそんなクラスの様子を見下すかのように鼻で笑い席へと向かい。いじめられっ子の彼女が使っていたはずの机は朝の状態とは何も変わっておらずチラっと横目で隣の席を見て見るが特に変わったこともなく、てっきり何かしているだろうと思っていたため意外だななどと思いながら午前中と同じようにまた机に突っ伏して)
……。
(昼休みに何もいじめられるようなことがなかったため、てっきりいない間に何らかの悪戯はされているのだろうと考えていたものの、実際には机も中の教科書等もなんともなく逆に不安になり。隣で突っ伏す相手の姿をチラリと見てから小さく嘆息し、そのまま始まった授業をいつもと同じように受け)
ちっ、どうしてこの俺が・・・
(午後の授業も当然の如くずっと寝ていて、教師に起こされても決して起きること無く時間が経ち最後の授業終了のチャイムと同時に目を覚ますと放課後何か用があるらしく教師に呼び出されて起きる時間を間違ってしまったと小さく舌打ちをして。帰りのホームルームが終わり嫌々ながら職員室に向かうため鞄は持たずに席を立ち上がり「何かあったらいつでも俺を呼べ。メールでも電話でも何でもいい、俺がどんな状況でも必ず助けに言ってやる」隣にいる相手にしか聞こえないくらいの小さな声ですれ違いざまに言うとそのまま教室を出て行って)
わ、わかりました…。
(なぜ自分なんかにそこまで親身に厚意を向けてくれるのだろうかという疑問は相変わらず解消しないままでいるものの、相手の囁きに顎を引いて小さく頷き。教室を出て行く相手を見送ってから歓喜に満ちた声の行き交う教室の中で静かに帰り支度を進めていて。何もなく支度を終わらせ、何かされる前に帰ってしまおうと立ち上がって教室への扉へと向かうものの、そこで待っていたいじめっ子たちに塞がれ、相手へと連絡を取る間もなく今は使用していない空き教室へと連れて行かれ)
そんなこと他に暇そうにしている奴に言えばいいではないか、こっちは忙しいのだ。帰らせてもらう
(自分の傲慢な態度は相手が大人でも変わらず、頼まれたことに対して考えるまで泣く即答で拒否すると自分を呼び止める声も聞かずに職員室を出ていき、思ったよりも時間がかかってしまったため機嫌も悪い状態で教室に戻ると中は誰もおらず、別にそれは普通の事なのだがどこか胸騒ぎのようなものがして。携帯を取り出しても何も連絡は入っていないのだが、昔から自分の勘というものはよく当たり自分の机から鞄を素早く回収すると今なにかされているであろう彼女を探し始めて)
…ち、違います。私は別に…久城くんに何かしたわけじゃ、ないです…。
(校舎内でもかなり隅の方にあり、生徒はおろか教師でさえも滅多に来ることのないほぼ倉庫と化した空き教室にて。いじめっ子たち数人に取り囲まれ、普段から不必要に人と関わりを持とうとしない相手が朝や昼間に自分を救ってくれたことに対し、何をして仲間に引き入れたのかと詰問されていて。いつものようにいじめっ子たちの鋭い視線に萎縮し震えを起こしながらも、いじめっ子たちからかけられる勝手すぎる憶測の言葉を否定し。しかし、それでいじめっ子たちが納得するわけもなく、適当ないちゃもんを付けては踏まれ、殴られたりを繰り返されていて)
考えろ・・・見つかるのを恐れて1人をいじめるのにもってこいな場所は・・・
(校舎内を走り回っても姿を見つけることは出来ず、一度冷静になり今の状況を整理して考えられる全てのことを頭をフル回転させて考えそして思いついた1つの場所に向かって全力で走って行き。たどり着いたのは普段あまり使うことがない校庭の隅っこの空き教室へと向かいそのドアを蹴るのではなく蹴破って。そこで視界に入ったのは自分が探していた人物が暴行を受けているところで、意外にもそれを見て怒りを感じることはなくむしろ冷静になっていきゆっくりといじめっ子たちへと近づいていくと「すまん、手と足が滑った」ほぼ棒読みな声で好き勝手やっていた生徒たちを一発ずつ殴ったり蹴ったりしてうごけなくすると「遅れてすまなかった、大丈夫か?」部屋の埃で汚れた相手の服を軽く払い、暴行を受けて乱れた髪を整えながら何事もなかったかのように聞いて)
え……。なん、で…。
(相手に助けの声を求めることもできず、ただただいじめっ子たちからの暴行に唇を噛み締めて堪えていて。いつもと同じように意識が飛ぶまでここから逃げ出すことはできないのだろうと覚悟し、意識が朦朧とし始めていたそのとき、教室の扉を蹴破る激しい音が聞こえ。いじめっ子たちの悲鳴に近い声が聞こえ、暴行の痛みで動くことはできないでいるものの、相手が助けに来てくれたのだろうと察し。救われたことに安心し、苦痛に顔を歪ませながらも微笑を浮かべると、「どうして、ここ…わかったんですか…?」と問いかけ)
俺を舐めるな、頭の良さが他とは違うんだよ。それに約束しただろ?お前を助けるって・・・、でもすまない遅れてしまった
(相手の状態からして痛みを感じているはずなのに微笑を浮かべる姿にこんな状態になる前に駆けつけられなかった悔しさに一瞬表情を歪ませるもすぐにいつもの自信に満ち溢れた不敵な笑みを浮かべて。いじめていた生徒たちは動けなくはしているが意識は普通にあり、こちらに向かって何か言っているが聞こうともせずとりあえず相手の服の汚れを大体払うと「立てるか?直々に俺が保健室で手当してやる」相変わらず上から目線だが座って動けないでいる相手に手を差し伸べて)
ん…だ、大丈夫…です。
(昨日からの相手の発言は嘘ではなかったのだと実感し、安堵から思わず一筋涙を流し。それを袖で拭ってから差し伸べられた手を握って立ち上がり、悪態をついているいじめっ子たちの言葉に相変わらず萎縮したようにびくびくとするものの、恐らく今は何もしてこないだろうと考えるとそのまま保健室へ向かおうと歩き)
よし、しかし無理はするなよ?怪我をしている時に重ねて負う怪我は長引くからな
(握った手を離そうかと思ったが、もしかしたら無理をしている可能性を感じて手を離すこと無く繋いだ状態で保健室へと向かって。女子と手を繋ぐなんてことは普通の男子からしたら恥ずかしいものなのだがそこは相変わらずの自分であり恥ずかしさを感じるどころかむしろ堂々といていて。歩く速さは極力抑えて、相手に怪我を負わせないように歩幅を合わせ相手が無理をしていないかどうか横目で様子を見ていて)
大丈夫、です…。ありがとうございます。
(自分を気遣う相手の発言に相手の方を向くと微苦笑を浮かべて頷き。先程の暴行によって痛みを感じて時折表情を歪ませるものの歩けなくなるほどというわけでもなく、ゆっくりとしたペースで保健室へと向かい。繋いだ手から相手の温度を感じ、悪意以外に人と触れるのはどれほどぶりなんだろうかなどと考えていて)
待て・・・お前、俺の背中に乗れ。お前の痛そうにしている顔は見たくないし無理をさせたくない
(相手の微苦笑を見て、体が痛んでいるのだと察し足を止めると相手に背中を向けて背中に乗ることを促すように言って。今でも間に合うことができなかった自分に対して怒りを感じているのだがそれを表情に出すと相手に余計な心配を与えてしまいそうな気がして表情には出さずに)
え…い、いいです。いつものことだし…いつもよりずっと平気、です。
(実際、普段であれば意識が飛ぶほどの暴力を受けており、今日はそこまででもなかったためにいつもより痛みは甘い方で。相手に心配をかけてしまったのだろうかと慌てて首を横に振って否定をして。放課後の時間帯とはいえ校舎内にいる生徒の姿は少なくないため、いくらなんでも目立ってしまうだろうという考えが一番ではあるものの、やはり恥ずかしいという感情もあり)
ふむ、なら仕方ないか・・・。まぁいずれお前は一番の美少女して目立つんだからこの程度の事で恥ずかしがるなよ?
(本当は痛みが弱くても無理してほしくなかったのだが、とりあえず今は相手の意見を尊重し珍しく何も言わず素直に相手の言葉を受け入れると立ち上がって向かい合うような形になりいつもの不敵な笑みを浮かべ目立つのが嫌いな相手にとっては色々辛い言葉をかけ「それで保健室までまだ距離はあるが・・・手、繋ぐか?」校庭の隅っこから歩いているため当然保健室までの距離は遠く、相手の状態も考慮して恥ずかしがること無く手を差し出し普通に聞いて)
だ、大丈夫です…。その…ごめんなさい…。
(目立つのが苦手な自分にとっては試練ともとれる相手からの発言に一瞬憂鬱そうな表情になり。しかし、相手に今更嫌だと言ったところで無駄だとはわかっているため反論することを諦め、代わりに小さく嘆息し。それまで手を繋いでいることに対して何も考えてはいなかったものの、改めて相手から言葉として言われると恥ずかしさと、自分のような人間が雲の上の存在のような相手の手に触れていたことを思い出し慌てて傍を離れて)
分かった・・・なんて言うはずがないだろう。俺はお前が心配、理由はそれだけで十分だ
(相手に言われて引き下がるなんてことはせずに離れていく相手の手を捕まえてしっかり握るとそのまま先ほどのようなゆっくりとしたペースで歩いて。どうやら自分は相手から見たら立場の違う人物だと感じているのだろうか、相手の様子からしてそう思われていることは明白で歩いていた足を止めて少し考える素振りをし「もしお前が俺と同等の立場だと思えないのなら・・・。そうだな、今この瞬間から俺とお前は友達だ。友達なら心配して手を貸すのは当たり前だろ?」仮に友達になれたとしたら自分にとって初めての友達という存在なのだが嫌な感じはせず、むしろ不思議な気分で軽い口調で聞いてみて)
と、友達…。私なんかと…ですか?
(結局手は繋がれ、恐らく目立ってしまっているのだろうと思うと顔を上げることができずに開いている手で前髪をさらに下ろし、視線を下げて。相手から発された“友達”という単語に驚き、相手の軽い口調とは裏腹に迷うようにしどろもどろになりながら尋ね。放課後ということもあって保健医の姿の見られない保健室へと辿り着き、誰もいないことに安堵しながら中へと入り)
お前なんかと・・・ではない。お前だからこそいいのだ
(どこまでも自分の価値を見出だせない相手に軽くため息をついたがすぐに相手の隠れた目をじっと見下ろしたながら真剣な口調で言い。気付けば保健室に着いており中には予想通り保険医の先生は不在で中に入って行き「じゃあ座ってくれ。それと一応腕とか捲ってくれ、傷の手当をするからな」まるで自分の家かのような感じで医薬品を漁っていき必要な物を取ると慣れた手つきでなるべく傷口などにひみないように繊細に手当を始めて)
あ、ありがとう…ございます。…慣れてるんですね、手当て。
(なぜ自分なんかで良いと言ってくれるのだろうか、という疑問が湧き上がってくるものの、相手にその答えを求めたところで自分自身が完全に納得するには至らないだろうと考えて口を噤み。慣れた手つきで保健室の医薬品を探し当てては手当を施してくれる相手の姿を見つめながら、「…あなたのことは悪い人、とは思ってないです。だ、だから私に関与しないほうがいい…と思います。あの人たちは必ず痛い目見せるって…あなたのことを、そう言ってました」と先程の空き教室での出来事の端々で聞こえてきたいじめっ子たちの言葉を思い出し、震える声でそのことを伝え)
まぁな、色々とあってな。それに天才のこの俺にできない事はない
(今まで育ってきた環境のせいか傷の手当というものには慣れていて、今ではよほど大きな傷でなければある程度の応急処置はできるほどの技術をもっているのだが詳しいことは話さずいつもの言葉で誤魔化し手当を施していると震えた声で言う相手の言葉に特に何も返事を返すことはせずに黙々と傷の手当をしていて。そして十分な処置が終わり医薬品を元あった場所に戻し自分も近くの椅子に座ると「周りなど俺は興味ない、俺のやることは俺が決める。お前の素顔を知ってしまった以上、俺はお前を放っておくことはできないからな。まぁ見ていろ、久城誠也という人間はお前が思っている以上に優れた人間だぞ」ようやく先ほどの言葉に対して、色々心配しているであろう相手を安心させるように力強い言葉で最後は得意の不敵な笑みでどこから来るのか分からない自信満々っぷりで述べて)
…本当に不思議な人、ですね。
(自分とはまったくといっていいほどに対称的な相手の自信に満ちた言動を聞いていて。しかし、その言動に嫌な気分になることはなくむしろそのテンポのよさに心地よさすら覚えていて。手当が終わったことに気がつくと頭を軽く下げて礼を述べ、相手の言葉が誤魔化しだということに気づくこともなく病院間連の家柄なのだろうと納得し。座っていた椅子から立ち上がると、「そ、それにしても…大丈夫、でしょうか。あの人たち…」と動けなくなっていたいじめっ子たちの姿を思い出し)
ああ、あいつらなら大丈夫だろう。動けなくしたとは言っても一時的なものだ、そのうち普通に歩けるようになる
(今まで忘れていたのか相手の言葉でようやくあのイジメてっ子たちを思い出し、本当は少しやりすぎてしまったのだがそれを言っても相手を余計に困らせるような事になるためそのことは言わずに軽く嘘をついて。手当も終わればこれ以上保健室にいる意味がなく、使った医薬品を使う前とほぼ同じような状態で置いて勝手に使った痕跡を無くし「それでは帰るとするか。何かあったら連絡を来れ、気を付けて帰れよ。また明日・・・な」本当は今の状態の相手を1人で返すのは危険なことだと思うのだが、1人で居たい時もあるのだろうと判断し保健室のドアに手をかけて念を押すように言うとそのままドアを開けていき保健室を出て行って。また明日、なんて言葉は生まれて初めて使ったような気がするのだが自然と口に出ていて)
は、はい。今日は、ありがとうございました。また…明日。
(相手の心の内で考えていることなど露知らず、大丈夫だろうといった主旨の言葉にほっと胸を撫で下ろし。相手に合わせて自分も保健室から出て行き、相手の進行方向とは逆方向へと歩いて行きながら軽く頭を下げてから再び自宅の方向へと歩いて行き。本や自分以外の他の生徒が普段自然と行っていることを自分もしたという実感から、嬉しさではにかみ)
まさかこの俺が起きる時間を間違えるとは・・・不覚だ
(次の朝、今日は珍しくいつもの時間よりも遅く起きてしまい、普段はすでに学校に着いて寝ているであろう時間に登校をし下駄箱を開けると入っているはずの上履きがないのだが特に気にすることもなく何事もなかったかのように靴下のまま教室へと向かい。昨日の出来事から考えて何かしらはやってくると思っていて「さて、潰すか」上履きを隠したのか捨てたのかは分からないが、こんなことをした人物はもう心当たりがあり酷く冷たい声で小さく呟き)
……?
(普段通りの時刻に登校してきていて。大抵、朝の時間帯は靴箱や教室の自分のものに悪戯されたあとのものを見つけるのだが、今日はまったくとしてその悪戯が見られず、安堵半分不安半分で自席についており。その間も自分へ何かしてくる生徒の姿はなく、珍しすぎる朝に逆に呆然となってしまい。しかし、いつも自分に嫌がらせをしてくるいじめっ子たちの会話の中に相手の名前を聞き、しかもそれがどう考えても悪意を持ったものであることがわかり。昨日の言葉は本心だったのだと知ると同時に相手が教室ヘとやってきたのが視界に入り、しかも上履きを履いていないのがわかると胸騒ぎを覚えて相手を見ていて)
・・・
(いつも通り朝堂々と教室に入り、いつもは席にまっすぐ向かうのだが今日はまず教室内を見回し明らかに自分のことをニヤニヤとした笑みを浮かべて見ている明らかに怪しい男子生徒の元へと近付き何も言わず胸ぐらを掴み上げると「1回で答えろ、俺の上履きをどこへやった?お前ごときが触れていいものではない」冷静な声だが、低く鋭い声音で普段の雰囲気とは違い明らかに敵意を持った目で相手の男子生徒の力強く掴みそのまま壁へ押し付け)
……!なっ、なにするんです…か…。
(言葉こそ冷静さを装っているものの、雰囲気からしてどう考えても相手が怒っているのが手に取るようにしてわかり。たとえ相手が自分より強い立場にあるとはいえ、自分をいじめていた人たちのことはそれ以上に怖いようにしか映らず、自分に関わったせいで相手に迷惑をかけてしまっているのが目に見えていて。せめて相手が今まで過ごしていた日常に戻してあげることくらいはしなければならないと考え、いじめっ子たちにその願い出をしようと相手のいる方へと踏み出し。しかし、それを逆手に取るようにして他のいじめっ子たちに取り囲まれ、恐らく教室においてあったのであろうハサミを向けられて)
・・・いいかお前ら!一応忠告だけはしておいてやる!そんなことして得するものは誰もいない、最後に全てを失うのは自分自身なのだぞ!俺はお前が俺の上履きを隠したことに対して怒っているのではない、お前がそれをしたことで幸福感を得ているのに対して怒っているのだ!
(明らかにおかしい教室の雰囲気に、掴んでいた手を離しクラス全員の方を向くとまるで実体験をしてきたかのように普段出さないような大きな声を教室内に響かせて。そして周りの視線などきにする素振りも見せずハサミを向けられている相手の元へと近寄り庇うように前に立ち「しかしこれとは話は別だ。こいつは、渡辺愛果は俺の大切な友達なのでな。仮にそのハサミで傷つけたらどうなるか保証はできないぞ」もし仮にハサミで傷つけられたとしたらいくら自分でも冷静なままでいれる自信はなく、ただでさえ鋭い目つきが敵意を持ってもっと鋭くなり)
!?……久城、くん…?
(落ち着いた様子の多かった相手を見ていたためか、相手から発せられた大声にびくっと肩を揺らし。しかしそれ以上に、一般論を超えたリアルさを持った相手の発言の一つ一つが心に引っ掛かり、それに対する違和感を持ち。自分の方向へと歩いてきた相手の言動によってか、自分に触れるか触れないかぎりぎりのところにあったハサミは遠ざけられ、一言二言の悪態をつかれてから突き飛ばされるようにして解放されて。相手の発言中にあった『大切な友達』という部分に思わず目に涙を浮かべるものの、長い前髪のおかげでそれは周囲に見えず)
俺の上履きなんてものはいくらでも換えることができる。だけどな、人の命は変えられないんだよ。こいつが受けて来た痛みは一生癒えないかもしれないのだ、人間であるならば人間の心を知れ
(後ろを向いてはいないためまさか相手が泣いているとは思わず、ただ前に立ったまま今度は冷たいような物言いではなく分かってもらうように一言一言をはっきりと述べ諭すように言い最後にようやく相手の方へと向き「怖い思いをかけてすまなかった、どうしても言いたかったのでな。それだけだ」ずっと張り詰めて冷めていた表情が少し緩み、相手の頭に手を乗せて言うと何事もなかったかのように自分の席へと戻って)
…ありがと、ございます。
(自分のために言ってくれたのだと思うと余計に嬉しさで涙が込み上げてきてしまい。相手の言葉に何度か小さく頷き、その衝撃で零れ落ちそうになる目尻に浮かんできた涙を制服の袖で慌てて拭って。相手の言動でどこか動きを失い、戸惑うような素振りを見せる教室の雰囲気の中にいることに耐え切れなくなってしまい、逃げるように教室を出て行き。学校が始まる時間帯だったこともあり、廊下を歩いて来ていた担任教師に体調が悪いと告げて)
・・・これだから人間は薄っぺらい
(最後にどうすればいいか分からないクラスの様子に小さく呟きそのままいつも通り机に突っ伏して、寝る寸前相手が教室を出て行ったのを視界に捉えたがあまり干渉しすぎてもしょうがなく、また自分も今は何もしたくない気分であるため大丈夫だろうと判断し担任教師が入ってきても何も無かったかのように無関心のまま睡眠に入って)
初めて授業…さぼっちゃったな…。
(本当に体調が悪いわけでもないのに保健室へと向かうわけにもいかず、行く場所もなくしばらく校内を歩いていて。どこへともなく歩いていると前日に相手が連れてきてくれた場所へと辿り着き。近くにあった木に寄りかかりながらその場に座り込み、先程の相手の言動を思い出していて)
・・・何をしているのだあいつは
(あのままぐっすりと寝てしまい起きるといつも通り昼休みで、ふと隣の席を見てみると誰も座っておらず朝の出来事を思い出し面倒くさそうにため息をついて。教室内はまだどこかおかしい雰囲気だがまったく興味がなく鞄から昼食を取り出しまさか相手がいるとは思いもしないいつもの場所へと向かって。)
……あ。久城、くん。
(昼休みを告げるチャイムの音が聞こえ、さぼりすぎてしまったと少し後悔しており。まさか鞄を持ってきているわけもなく、昼休みになったところで昼食もなく、そのままぼーっと座っていて。しかし相手がやってきたのが見えると、慌てて立ち上がり何を言ったらいいのかと迷うように視線を泳がせながら、「その、今日はありがとうございました…」と途切れ途切れに告げ。本当のところは今朝のリアルすぎる話で相手にも何かあったのだろうかと疑問になっていたものの、それをぶつけることもできずに相手を見ていて)
まさかここにいるとはな。別に気にするな、必要だと思ったからやっただけだ
(いつもの場所に着くと、そこにいたのは午前中いなかった相手の姿であり午前中ずっとここにいたと考えると何だかため息を出てしまい。相手のお礼に、何とも無いように短く返事を返しいつも座る場所へと腰を下ろし、ふと相手を見るとやはり昼食を持っておらず袋からパンを1つ取り出し「普通のパンだが、食べておけ。どうせ色々考えて腹も減っているだろう?」座っている相手の前に取り出したパンを置き、そしてもう一つパンを取り出すと自分はそれを食べ始めて)
え…。そ、そんな悪い…です。
(まさか相手から昼食を分けてもらえるだなんて予想だにしておらず、驚いたように目をパチパチと瞬かせ。すぐに状況が掴めると、自分が忘れてきてしまったのが悪いのだからと控えめに首を横に振って。聞いてはならないだろうと発言を控えていたものの、やはり気になってしまい、「……久城くんって…昔、何かあったんですか…?」と、この質問で相手を怒らせてしまわないかとびくびくしながらも小さな声で問いかけ)
俺が良いと言ったんだ。黙って貰っておけ
(相手の対応にこちらはいつもの偉そうに上から目線で相手の言葉を否定し。別段今日は話すこともなく黙ったまま黙々とパンと食べていると小さな声で問いかけてきた相手の言葉に一瞬動きを止め、口元まで持っていったパンを一度口から話視線を相手へと向けて。昔のことは今まで誰にも話したことのないことで、それこそ死ぬまで秘密にしていようと思っていたくらいなのだが何故か口が自然と動いてしまい「まぁ・・・な。昔の俺はお前みたいな境遇だった、とだけ言っておこう」まだ全てを話すことはできないが、何故か口が自然と言ってしまい、そのことに気が付くとハッとして視線を逸し)
……そ、うだったんですか。ごめんなさい。
(まさか相手が自分と同じような経験をしているなどと考えてはおらず、疑問に対する自分の浅はかな問いかけに後悔し。自分から視線を外す相手の姿を見ながら申し訳なさそうに下を向き。相手へとかける言葉も見当たらず、戸惑うようにしながらもらったパンを咀嚼し)
別に謝る必要などない、あくまでも昔の出来事だ。顔を上げろ
(聞いたことを後悔しているのか俯いてしまった相手にどこか優しさを感じ珍しく不敵ではない柔らかな笑みを小さく浮かべて首を左右に振り、まさか自分がこんなにも他人を気にかけることになるとは思っていなかったが、今はこうして唯一の友達に小さいものだが笑顔を向けられることに対してどこか成長を感じて。空気が重くなるのを感じ、このままでは色々と居心地が悪くなるため「明日は土曜日で・・・、明後日が日曜日だ。昨日言った約束は日曜日、学校の近くにある駅の前に集合だ。時間は10時くらいでいいか?あとこれは一番重要なのだが、格好は自分が思う一番オシャレな格好をしてこい。そのダサい眼鏡もなしだ、地味な格好に来た時にはどうなるか・・・覚悟しておくように」髪を切りに行く約束した日のことについて、特に服のことに関してはちゃんと分かってもらうように特に強く言い)
え…。で、でも…私そんなに良い服なんて…持ってない、です。
(相手の提案した集合時刻等には、とくに何も言うことはなかったためそれくらいでいいだろうと頷き。しかし、後半部分の言葉を聞くと、視線を彷徨わせながら言いにくそうに返事をし。実際、これまでに友人のできたことのない自分に外出用のおしゃれな服などあったところで着ていく場所もなくお蔵入りになるだけであり、おしゃれという概念すら忘れていて。どうしようかと思わずため息がこぼれ)
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