主 2015-02-01 22:01:34 |
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ああ、あいつらなら大丈夫だろう。動けなくしたとは言っても一時的なものだ、そのうち普通に歩けるようになる
(今まで忘れていたのか相手の言葉でようやくあのイジメてっ子たちを思い出し、本当は少しやりすぎてしまったのだがそれを言っても相手を余計に困らせるような事になるためそのことは言わずに軽く嘘をついて。手当も終わればこれ以上保健室にいる意味がなく、使った医薬品を使う前とほぼ同じような状態で置いて勝手に使った痕跡を無くし「それでは帰るとするか。何かあったら連絡を来れ、気を付けて帰れよ。また明日・・・な」本当は今の状態の相手を1人で返すのは危険なことだと思うのだが、1人で居たい時もあるのだろうと判断し保健室のドアに手をかけて念を押すように言うとそのままドアを開けていき保健室を出て行って。また明日、なんて言葉は生まれて初めて使ったような気がするのだが自然と口に出ていて)
は、はい。今日は、ありがとうございました。また…明日。
(相手の心の内で考えていることなど露知らず、大丈夫だろうといった主旨の言葉にほっと胸を撫で下ろし。相手に合わせて自分も保健室から出て行き、相手の進行方向とは逆方向へと歩いて行きながら軽く頭を下げてから再び自宅の方向へと歩いて行き。本や自分以外の他の生徒が普段自然と行っていることを自分もしたという実感から、嬉しさではにかみ)
まさかこの俺が起きる時間を間違えるとは・・・不覚だ
(次の朝、今日は珍しくいつもの時間よりも遅く起きてしまい、普段はすでに学校に着いて寝ているであろう時間に登校をし下駄箱を開けると入っているはずの上履きがないのだが特に気にすることもなく何事もなかったかのように靴下のまま教室へと向かい。昨日の出来事から考えて何かしらはやってくると思っていて「さて、潰すか」上履きを隠したのか捨てたのかは分からないが、こんなことをした人物はもう心当たりがあり酷く冷たい声で小さく呟き)
……?
(普段通りの時刻に登校してきていて。大抵、朝の時間帯は靴箱や教室の自分のものに悪戯されたあとのものを見つけるのだが、今日はまったくとしてその悪戯が見られず、安堵半分不安半分で自席についており。その間も自分へ何かしてくる生徒の姿はなく、珍しすぎる朝に逆に呆然となってしまい。しかし、いつも自分に嫌がらせをしてくるいじめっ子たちの会話の中に相手の名前を聞き、しかもそれがどう考えても悪意を持ったものであることがわかり。昨日の言葉は本心だったのだと知ると同時に相手が教室ヘとやってきたのが視界に入り、しかも上履きを履いていないのがわかると胸騒ぎを覚えて相手を見ていて)
・・・
(いつも通り朝堂々と教室に入り、いつもは席にまっすぐ向かうのだが今日はまず教室内を見回し明らかに自分のことをニヤニヤとした笑みを浮かべて見ている明らかに怪しい男子生徒の元へと近付き何も言わず胸ぐらを掴み上げると「1回で答えろ、俺の上履きをどこへやった?お前ごときが触れていいものではない」冷静な声だが、低く鋭い声音で普段の雰囲気とは違い明らかに敵意を持った目で相手の男子生徒の力強く掴みそのまま壁へ押し付け)
……!なっ、なにするんです…か…。
(言葉こそ冷静さを装っているものの、雰囲気からしてどう考えても相手が怒っているのが手に取るようにしてわかり。たとえ相手が自分より強い立場にあるとはいえ、自分をいじめていた人たちのことはそれ以上に怖いようにしか映らず、自分に関わったせいで相手に迷惑をかけてしまっているのが目に見えていて。せめて相手が今まで過ごしていた日常に戻してあげることくらいはしなければならないと考え、いじめっ子たちにその願い出をしようと相手のいる方へと踏み出し。しかし、それを逆手に取るようにして他のいじめっ子たちに取り囲まれ、恐らく教室においてあったのであろうハサミを向けられて)
・・・いいかお前ら!一応忠告だけはしておいてやる!そんなことして得するものは誰もいない、最後に全てを失うのは自分自身なのだぞ!俺はお前が俺の上履きを隠したことに対して怒っているのではない、お前がそれをしたことで幸福感を得ているのに対して怒っているのだ!
(明らかにおかしい教室の雰囲気に、掴んでいた手を離しクラス全員の方を向くとまるで実体験をしてきたかのように普段出さないような大きな声を教室内に響かせて。そして周りの視線などきにする素振りも見せずハサミを向けられている相手の元へと近寄り庇うように前に立ち「しかしこれとは話は別だ。こいつは、渡辺愛果は俺の大切な友達なのでな。仮にそのハサミで傷つけたらどうなるか保証はできないぞ」もし仮にハサミで傷つけられたとしたらいくら自分でも冷静なままでいれる自信はなく、ただでさえ鋭い目つきが敵意を持ってもっと鋭くなり)
!?……久城、くん…?
(落ち着いた様子の多かった相手を見ていたためか、相手から発せられた大声にびくっと肩を揺らし。しかしそれ以上に、一般論を超えたリアルさを持った相手の発言の一つ一つが心に引っ掛かり、それに対する違和感を持ち。自分の方向へと歩いてきた相手の言動によってか、自分に触れるか触れないかぎりぎりのところにあったハサミは遠ざけられ、一言二言の悪態をつかれてから突き飛ばされるようにして解放されて。相手の発言中にあった『大切な友達』という部分に思わず目に涙を浮かべるものの、長い前髪のおかげでそれは周囲に見えず)
俺の上履きなんてものはいくらでも換えることができる。だけどな、人の命は変えられないんだよ。こいつが受けて来た痛みは一生癒えないかもしれないのだ、人間であるならば人間の心を知れ
(後ろを向いてはいないためまさか相手が泣いているとは思わず、ただ前に立ったまま今度は冷たいような物言いではなく分かってもらうように一言一言をはっきりと述べ諭すように言い最後にようやく相手の方へと向き「怖い思いをかけてすまなかった、どうしても言いたかったのでな。それだけだ」ずっと張り詰めて冷めていた表情が少し緩み、相手の頭に手を乗せて言うと何事もなかったかのように自分の席へと戻って)
…ありがと、ございます。
(自分のために言ってくれたのだと思うと余計に嬉しさで涙が込み上げてきてしまい。相手の言葉に何度か小さく頷き、その衝撃で零れ落ちそうになる目尻に浮かんできた涙を制服の袖で慌てて拭って。相手の言動でどこか動きを失い、戸惑うような素振りを見せる教室の雰囲気の中にいることに耐え切れなくなってしまい、逃げるように教室を出て行き。学校が始まる時間帯だったこともあり、廊下を歩いて来ていた担任教師に体調が悪いと告げて)
・・・これだから人間は薄っぺらい
(最後にどうすればいいか分からないクラスの様子に小さく呟きそのままいつも通り机に突っ伏して、寝る寸前相手が教室を出て行ったのを視界に捉えたがあまり干渉しすぎてもしょうがなく、また自分も今は何もしたくない気分であるため大丈夫だろうと判断し担任教師が入ってきても何も無かったかのように無関心のまま睡眠に入って)
初めて授業…さぼっちゃったな…。
(本当に体調が悪いわけでもないのに保健室へと向かうわけにもいかず、行く場所もなくしばらく校内を歩いていて。どこへともなく歩いていると前日に相手が連れてきてくれた場所へと辿り着き。近くにあった木に寄りかかりながらその場に座り込み、先程の相手の言動を思い出していて)
・・・何をしているのだあいつは
(あのままぐっすりと寝てしまい起きるといつも通り昼休みで、ふと隣の席を見てみると誰も座っておらず朝の出来事を思い出し面倒くさそうにため息をついて。教室内はまだどこかおかしい雰囲気だがまったく興味がなく鞄から昼食を取り出しまさか相手がいるとは思いもしないいつもの場所へと向かって。)
……あ。久城、くん。
(昼休みを告げるチャイムの音が聞こえ、さぼりすぎてしまったと少し後悔しており。まさか鞄を持ってきているわけもなく、昼休みになったところで昼食もなく、そのままぼーっと座っていて。しかし相手がやってきたのが見えると、慌てて立ち上がり何を言ったらいいのかと迷うように視線を泳がせながら、「その、今日はありがとうございました…」と途切れ途切れに告げ。本当のところは今朝のリアルすぎる話で相手にも何かあったのだろうかと疑問になっていたものの、それをぶつけることもできずに相手を見ていて)
まさかここにいるとはな。別に気にするな、必要だと思ったからやっただけだ
(いつもの場所に着くと、そこにいたのは午前中いなかった相手の姿であり午前中ずっとここにいたと考えると何だかため息を出てしまい。相手のお礼に、何とも無いように短く返事を返しいつも座る場所へと腰を下ろし、ふと相手を見るとやはり昼食を持っておらず袋からパンを1つ取り出し「普通のパンだが、食べておけ。どうせ色々考えて腹も減っているだろう?」座っている相手の前に取り出したパンを置き、そしてもう一つパンを取り出すと自分はそれを食べ始めて)
え…。そ、そんな悪い…です。
(まさか相手から昼食を分けてもらえるだなんて予想だにしておらず、驚いたように目をパチパチと瞬かせ。すぐに状況が掴めると、自分が忘れてきてしまったのが悪いのだからと控えめに首を横に振って。聞いてはならないだろうと発言を控えていたものの、やはり気になってしまい、「……久城くんって…昔、何かあったんですか…?」と、この質問で相手を怒らせてしまわないかとびくびくしながらも小さな声で問いかけ)
俺が良いと言ったんだ。黙って貰っておけ
(相手の対応にこちらはいつもの偉そうに上から目線で相手の言葉を否定し。別段今日は話すこともなく黙ったまま黙々とパンと食べていると小さな声で問いかけてきた相手の言葉に一瞬動きを止め、口元まで持っていったパンを一度口から話視線を相手へと向けて。昔のことは今まで誰にも話したことのないことで、それこそ死ぬまで秘密にしていようと思っていたくらいなのだが何故か口が自然と動いてしまい「まぁ・・・な。昔の俺はお前みたいな境遇だった、とだけ言っておこう」まだ全てを話すことはできないが、何故か口が自然と言ってしまい、そのことに気が付くとハッとして視線を逸し)
……そ、うだったんですか。ごめんなさい。
(まさか相手が自分と同じような経験をしているなどと考えてはおらず、疑問に対する自分の浅はかな問いかけに後悔し。自分から視線を外す相手の姿を見ながら申し訳なさそうに下を向き。相手へとかける言葉も見当たらず、戸惑うようにしながらもらったパンを咀嚼し)
別に謝る必要などない、あくまでも昔の出来事だ。顔を上げろ
(聞いたことを後悔しているのか俯いてしまった相手にどこか優しさを感じ珍しく不敵ではない柔らかな笑みを小さく浮かべて首を左右に振り、まさか自分がこんなにも他人を気にかけることになるとは思っていなかったが、今はこうして唯一の友達に小さいものだが笑顔を向けられることに対してどこか成長を感じて。空気が重くなるのを感じ、このままでは色々と居心地が悪くなるため「明日は土曜日で・・・、明後日が日曜日だ。昨日言った約束は日曜日、学校の近くにある駅の前に集合だ。時間は10時くらいでいいか?あとこれは一番重要なのだが、格好は自分が思う一番オシャレな格好をしてこい。そのダサい眼鏡もなしだ、地味な格好に来た時にはどうなるか・・・覚悟しておくように」髪を切りに行く約束した日のことについて、特に服のことに関してはちゃんと分かってもらうように特に強く言い)
え…。で、でも…私そんなに良い服なんて…持ってない、です。
(相手の提案した集合時刻等には、とくに何も言うことはなかったためそれくらいでいいだろうと頷き。しかし、後半部分の言葉を聞くと、視線を彷徨わせながら言いにくそうに返事をし。実際、これまでに友人のできたことのない自分に外出用のおしゃれな服などあったところで着ていく場所もなくお蔵入りになるだけであり、おしゃれという概念すら忘れていて。どうしようかと思わずため息がこぼれ)
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