くろねこ × だいおうさま

まあな、手のかかる子供をもつと大変だわ
(素直に褒め言葉として受け入れると、お母さんなんて言われたからお母さんと言うかおばさんの様な言い方とノリで。こうやったふざけた相手ならではの独特なノリが意外と気に入っていて。男同士でデートなんて合わない表現を使っているのにも関わらず面白いからと己もお先に失礼しますと全体に挨拶してから「徹ちゃんは皆呑みの会行くって言うのに俺だけ誘っちゃうなんて大胆だねぇー」なんて笑って)

…黒尾くんモテるでしょ。
( 意外や意外、おばさんの物真似が上手い相手に笑いが収まるまでしばし時間を要して。ようやく呼吸が整えば少しだけ意地悪くも見えるような笑みを湛えて確信めいた言い方で指摘し。大学の敷地内を並んで歩きながら「だって鉄くんがぁ〜…っていつまでやんのコレ。徹ちゃん呼びキモいよ」と態とらしいしかめっ面を作って。まだ付き合いが浅いにもかかわらず相手の隣は居心地が良く、相手のコミュニケーション能力にこっそり感心し。)

いきなり話変わったな、モテてるのは及川だろ
(そこまで笑わなくてもなんて思いもするが、ふざけたノリに笑われるのにも慣れた為相手はツボが浅いだけかなんて流し。先程のモノマネからどこにモテ要素がと話題の変わり様にぷっと吹き出し。今迄の経験上からモテない訳でもないよなと否定はせず、けれど常日毎から女子の黄色い声を聞くのは彼の方で。「確かにキメェわ」まだ付き合いが短いがこうやって同じノリでふざけあえるのは楽しく今度は何時も通りのノリで)

今は俺の事はいいの！…だってさ、面倒見いいしカッコイイし高身長だし？モテそうだな〜って。
( ノリも良く話しやすい相手ならば女子の人気もあるのだろう、否定しないところからもそう察すれば指折り根拠となる要素を挙げ。自分とは違い落ち着いたよく通る相手の声も好きなところの一つで、耳触りの良い声にますます愛おしさを募らせながら「ちゃんは無いね〜。黒尾くんの声でちゃん付けされるのはちょっとキツイ」と笑いを堪えて。)

自分でいうのもあれだけど、モテなくはねぇと思うけど…そんな褒めたって何も出ねぇからな？ 及川は、女子からしたらアイドル的な存在っぽいよな
(己よりモテるであろう彼から言われると純粋に照れると言うか嬉しく、褒め言葉の嵐に照れ隠しとばかりにもしや裏があるんじゃねぇかなんて苦笑浮かべ。女子の立場から見たら目の保養になるアイドル的な存在なんじゃないかと思い呟き「えー徹ちゃんの馬鹿ァ！私の声も可愛いって言ってよぉ」自分の声質から考えてもどう考えても似合わないのは分かっているが、精一杯の女の子、ぶりっ子声と上目遣いなんて仕草までプラスして更に笑いを誘ってみたり)

何も出さなくたって一緒にご飯行ってくれればそれで十分だよ！？…そうなのかな？よくわかんないけど、彼女できてもバレーに夢中になりすぎて大体最後は俺が振られる。
( 相手の苦笑を見れば褒めすぎたせいで誤解されているのだと気づき、すぐにその誤解を解こうと訂正を入れて。相手の例えがよく理解できなかったのか首を傾げては、甥っ子にも指摘された事のある高校時代の恋愛事情を気まずそうに口にして。声と仕草のコンボに相手の思惑通り大ダメージを食らって、「ごめんね鉄子ちゃん！でもどう考えても君はイケボだから!!」と笑いすぎて滲んだ涙を拭い。)

ぷっ、くく…分かってるから心配すんなって。簡単に想像つくわ、及川はバレーが恋人みたいなもんだもんな
(唯の照れ隠しな為、分かってはいるのだが案外攻めきれないヘタレだなと笑みが零れてポンポンと頭撫で。高校の時からバレー一筋だとは思っていたが予想通りすぎて。「もう全く失礼しちゃうんだから!今はちょっと風邪気味なだけなんだからね」追い打ちをかけるようにまだ演技は続き、ぷくっと頬膨らせ瞳パチパチとオコな仕草を。そして精一杯女声を出してるつもりなのだが声質から無理があり。もはやオカマ声にしか聞こえずそれを風邪なんて言い訳まで用意して。「俺に女は無理、これは背小さい可愛い男にやらせるべきだな」限界がきては自分の似合さとキモさに苦笑し)

なーんだ…。うん、だからバレーと二股かけても怒らない子がいい。
( 本気で焦った自分が馬鹿みたいでがっくりと項垂れていると頭を撫でられて。突然の事に驚くがその嬉しさに頬が緩むのを抑えられず、すぐにふにゃりとした笑みを浮かべ。バレーが恋人、という言葉を聞けばやけにしっくりきてその表現を借りたまま願望を口にし。風邪気味どころではない声にただでさえ笑いのツボが浅い自分が堪えられるはずもなく、笑いすぎで到底見せられないであろう顔を両手で隠し笑い続けて。笑いが収まり手を外せば「…黒尾くんの声カッコイイじゃん。俺は好きだよ」と本音混じりのフォローを入れ。)

及川バレー溺愛だもんなー、その入れ込み様見ちゃったら俺でも嫉妬しちまいそうだ
(ふにゃりと笑う笑顔見るとイケメンがだらしない顔してるなんて失礼な事に思うと同時に可愛いなと優しい笑みを浮かべ。彼のバレーに対するのめり具合を見るともし自分が彼女という立場だったとしても怒りそうだと冗談めいて。「笑いすぎだろ、そりゃあどーも」涙まで浮かべてた物だから流石に笑いすぎとフォローも意味なさずムッとした表情でぶっきら棒に告げ)

で、でも…黒尾くんとだったらバレーだって一緒に共有できるし、ほったらかして寂しい思いさせたりもしないよ。
( バレーにばかり夢中になり彼女を疎かにしてきた事は言い逃れできない事実であり、罰が悪そうに視線を明後日の方向へと遣りながら一生懸命反論してみて。「ごめん、でもホント！俺黒尾くんの声大好きだよ？これは嘘じゃない」散々笑った後だったせいだろう、信じてもらえていないのが分かれば眉尻を下げて、なんとか機嫌を直してもらおうと必死で言葉を並べ。)

趣味が共通か、お前の場合それが一番良さそうじゃん！じゃあ女バレ狙いだな
(彼の言う通り彼の場合は、同じくバレーに携わってる者が一番身近で彼の良き理解者にもなってくれそうだ。彼に聞いた訳でないが、現在好きな人がいる素振りも見えない為居ないだろうと判断すると、良い人見つけろよと彼の横腹辺りをくいくいと。「声だけかよー？及川クンは薄情だなぁー」機嫌を直そうとする真剣さと色々な表情に変わるものだかつい笑いだしそうになるけれど、もう少し翻弄されてやろうと不機嫌ずらのまま顔を背け)

……うん、そうだね、女バレね。
( 相手の性格からして人の感情の機微に敏感な方だとばかり思っていたが、全くと言っていいほど自分の言いたい事が伝わっていないと分かり落胆して。それだけ恋愛対象外にしか見られていないのだろうと思うと、横腹を小突かれようが抗う気にもなれずされるがままで。「声だけじゃない、全部！全部好きだから！大好き！」顔を背けられても周りこんでひょっこりと覗き込み、縋るような眼差しを向けて。)

え、ナニ女バレより俺が良かった？モテる男はつらいねェ〜
(自分に向けられる感情には弱いのか、それか本当はどこかでもう気付いているが自分の勘違いだと目を逸らし気づかないふりをしているだけかも。彼から向けられる好意が例え恋であっても男同士、彼の幸せを願うなら自分は不釣り合い。落胆を示す彼にふと余計な事に気付いてしまって一瞬深刻な面持ちになるが何か考えが有る様で上記告げ再びニヤニヤと冗談を。「ククッ、俺はダチにも愛されちゃう位モテ男って事か〜いい男過ぎるのもつらいぜ」達悪く冗談だと笑い更にナルシストな発言をかまして。)

ちがっ…そうじゃなくて…。
( あっという間に頬に熱が集中していき紅潮した顔を見られないように背ければ、気づかれて気持ち悪がられては立ち直れない自信があるため否定の言葉を紡ぎ。不機嫌な態度も演技で自分をからかっていたのだと察すれば、恨みがましそうにじとりとした視線を投げかけ、いつの間にやら着いていた飲食店の前で立ち止まり「…着いたけど。鉄朗一人で食べれば？俺帰る」とわざとらしい名前呼びで小学生のように不貞腐れて。本当は勿論一緒に食べたいが、からかわれて怒っているのだという意思表示をしたく。)

悪りぃ悪りぃ、ついさ…ほら好きな子はついいじめちゃうっていうやつ。及川の反応が可愛いかったからさ、機嫌直して飯にしようぜ？
(流石にからかい過ぎてしまったらしい。話しているとあっという間に目的のお店に着いていて拗ねてしまった彼。どうしようかと悩むと此方も恋する小学生男子の様な言い訳をし。優しく頭を撫で、申し訳はなさそうに眉下げるが何処か楽しそうでもあって。)

…もう、仕方ないなぁ。
( 「好きな子」だとか「可愛い」だなんて表現を選んだのは冗談なのだろうと分かってはいるものの、頭まで撫でられれば相手の狙い通りまんまと機嫌を直させられて。ぷ、と小さくふき出せば店内に入り店員の案内でテーブル席に着いて、相手にメニューを差し出しながら「何にする？お酒はダメだよ」と冗談まじりに尋ね。)

えっ…酒飲まずして何を飲めと…
(気分の浮き沈みが激しいとはいえ、からかいすぎてしまったからもし機嫌が治らなかったらと不安気に様子を伺うが。その心配は無用だったらしく、自分も席に着くとホッと安堵し。サークルでの飲み会から抜け出してきたとはいえ、お酒を呑むつもり満々だったらしい。ポカンとした表情でメニューから相手に視線を移し)

年確されたら……されないか、黒尾くんじゃ。
( 当然の如くのたまう相手に呆れ気味に口を開くものの、長身かつ雰囲気の大人びている相手ならば1年生には見られないか、と思い直して口を噤み。それは自分にも言えない事ではないのかもしれないが、酒に強い相手と違い調子に乗るとすぐに酔い潰れてしまうため、「俺はウーロンにするからね！」と先手を打つように宣言して。)

年齢確認か、そういえばあったよな。今じゃお煙草吸われますか？まで聞かれるから忘れてたわ
(彼の言葉に背丈からか容姿からか年齢確認をされた記憶がさほど無くああ、と思い出した様に返答しては「俺ってそんな老け顔？」と大人っぽく見えるのかただ単に老けて見えるのか思い悩んだ表情で訪ねて。「じゃあ俺は可愛くオレンジジュースにでもするかな」なんて相手が呑まないなら今日は自分も我慢しようとソフトドリンクにする事にして。)

老けてるんじゃなくて、年の割に落ち着きがあって大人びてるんだよ。
( 何やら思い悩んだ表情が目に入り、否定するように頭を振れば説明を付け加えて。自分と居る時の彼は年相応にふざけているイメージがあるが、内面を知らない人が見れば第一印象はそれなりに大人っぽく思えるのも理解できて。まさかのチョイスに吹き出しては「…料理どうしよっか。適当にいくつか頼む？」と尋ねて。)