まるるん 2015-01-20 17:32:37 |
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この国にはね、悪い魔法使いがいるの。
その魔法使いは私たちの心を凍らせてしまう。
つまり、冷たい心になり、私たちを苦しめるの。
魔女は生まれた時から魔女。
そういう運命で、誰も運命には逆らえない。
魔女はずっと冷たい心で私たちに危害を与え一人で生きていくの。
魔女は漆黒の髪に、冷血そうな青色の目。そして、右手の甲にある赤い印がその証だと、言い伝えられている。
私たちは、恐れていた。
そんな恐れていた存在が今日、この教室にやってきた。
私たちの通う魔法学校は良性な生徒に良性な魔法を教えるところ。たとえば、生活の役に立つようなこととか。悪性魔法は教えたらいけないことになっている。そのため、悪性生徒は入学不可能のはずだった。
でも、今、目の前に魔女がいる。あ、魔法使いには2種類あって、良性魔法使いは魔術師。悪性魔法使いは魔女に分類されてる。
「私はアスベル。よろしく」
ちゃんと手の甲に印があった。
みんなが静まり返った。
とはいっても、人数は5人しかいないんだけど。
高貴な人しか入ることのできない学校だから、しかたない。
「アスベルと仲良くしてあげてね」
先生はそう言うが、絶対無理だろう。
冷血なんだから。仲良くできるはずがない。
静かに魔法で椅子を出して座っている。
「お前、魔女だろ。ここにくんなよ」
ダルクがそういった。
アスベルが睨みつけた。
ダルクは固まってしまった。
多分、動けなくなる魔法だろう。
「アスベル!なにやってるの!?」
「こいつがうるさいから黙らせただけだ。」
「へぇ。そーゆーこというだ。じゃ、なにやってもいいよね」
私はアスベルを睨みつけた。
そして、手を絡めて上下に振った。
空間ボールを作り出しアスベルの上から落とした。
アスベルは上手くはまった。
そのまま相手のそばに行く。
「ダルクをもどせ。」
にらみつけると静かに頷いたため離した。
すると、ダルクは動けるようになって怯えたようにアスベルを見ていた。
※転載禁止
「なんで魔女が入学してくるの?そんなの認められてないでしょ?」
ミリアが先生に言いよった。
アスベルは冷たい目で見つめているだけで何もしようとはしなかった。
「しらなかったの?太陽の星の星の日から入学可能になったのよ」
みんな、目を見開いた。
初めて聞いたし、何かあると思ったから。
魔女は西のはずれにいると聞いたことがある。
行ったら何かわかるかもしれない。
「俺は認めねぇぞ。そんなやつ仲間じゃねぇ」
クロマが言った。
みんな、頷いた。
「も、もしかしたら先生取り憑かれてるのかもっ」
リーナが先生を魔視した。
私たちにも見えるようにしてくれる。
確かに取り憑かれていた。
というより、先生だけでなく、学校自体が取り憑かれていた。
主要人物
サユラ。
主人公。男勝りな性格。この国の王女。
長い金髪と、赤い目が特徴。少しつり目。正義感が強い。
しかし、リーダーにはむいていない。戦闘魔法など、様々な魔法を使いこなす。
ダルク
男。怖いもの知らずな男。でも、怖いのを知ってしまうと、動けなくなる臆病者。白髪に茶色の目。結構筋肉がある。造形魔法、戦闘魔法を主に使う。
ミリア
可愛らしい女の子。おしゃれずきでいつもオシャレしている。ミルクティ色の髪で黒色の瞳。お姉さんのような存在。変身魔法専門。
クロマ
イケメン。多分。ガキっぽさが残っているが、思考は侮れない。ピンチの時こそ役に立つ優れもの。黒髪で瞳は水色。最初の頃は魔女と恐れられた。移動魔法、空間魔法が得意。
リーナ
青色の髪でボブ。癒し系で少し垂れ目。結構天然なところがあったりする。魔視、治癒魔法が得意。
アスベル
魔女。黒髪が長く、青い瞳。手には赤い印が入っていて言い伝えと同じ容姿。学校に取り付いているが理由はまだわかっていない。
さっきまではわからなかったけど紫色のオーラに包まれている。先生もおかしなことをいっている。絶対にありえないことなのに。
「アスベル、お前がやったのか?」
「私じゃないわ」
「じゃあ、誰だ?」
「知るわけないじゃない」
苛立ちを覚えた。
手を組んで頭の中でイメージする。
折のイメージをして上から叩きつけるようにした。
アスベルはうまく捕まった。
「聖魔法は簡単に破れるのよ?しらないの?」
余裕の笑みで笑うアスベルが印を私の方へ向けた。
そして、何かをいった。
「うわぁ…っ」
私は吹き飛ばされた。
檻も破られていた。
「サユラ!」
リーナが近づいてきてくれた。
そして、私の体に軽く魔法をかけ、痛みを消してくれた。
今はみんなを守らなきゃいけない。
「リーナ、アスベルの目的を魔視して!」
「う、うん」
リーナは集中しはじめた。
ミリアは変身し、ダルクは戦闘態勢、クロマは空間を動かしている。
みんなやる気満々の様子。
「やめなさい」
先生が止めるが止まらない。
クロマが学校が壊れないように空間を曲げた。
私たちの戦闘が始まった。
本当は戦闘のための魔法じゃないものもある。
でも、見方を変えれば武器にもなりうる。
それに、私たちはそれぞれの家で魔法を習っている。
ここで習うのは良性魔法の応用版ばかり。
今は全く関係ない。
空間を歪めた今、どんな魔法を使っても代償はない。
「いくぞ!」
クロマが合図した。
クロマは瞬間移動し、相手に攻撃を仕掛ける。
ミリアは毒蛾に変身し鱗粉を撒き散らす。
ダルクは腕を刀に変えて切りつける。
私は、あいつを排除すればいい。
大切なものを失わないために。
魔法を発動する。
空に魔法陣を描きドラゴンを呼び出す。
ドラゴンに乗りアスベルを斬り付けに向かう。
「やめて!」
斬りつけようとしたその時、リーナが叫んだ。
みんな驚いて、しかし、攻撃を止められず斬りつけてしまった。
「あっ…。アスベル!」
リーナは目に涙をためて駆け寄った。
そして、治療を始めた。
魔法で傷を癒していく。
治療を続けながらリーナは話し始めた。
「この子は魔女だよ。でも、アスベルは悪い事を企んでなんかいない。純粋に魔術師になりたかっただけなの。アスベルは何も悪くないの…っ」
リーナは堪えきれず泣き出した。
ドラゴンを戻し、リーナを後ろから抱きしめた。
「リーナ、ごめんな」
そして、治癒を手伝った。
みんな後悔したようで、黙っていた。
悲しそうな顔をして俯いていた。
アスベルはすぐに良くなったがみんな罪悪感を感じていた。リーナでさえも魔視に時間がかかったからだと自分を責めていた。
「アスベル、悪かったな。」
私は近づいて謝った。
アスベルは小さく頷いた。
きっと性格も魔女の本能で仕方ないのかもしれない。
事情がわかった今、器を大きくして接するしかない。
「アスベル、本当にごめん。私がもっと早く気付いてあげられたらよかったのに」
「気にしてないわ。大丈夫」
アスベルは頷いた。
リーナも頷き返していた。
この2人、なんだかいい雰囲気だなとみんな思っていた。
「アスベル、もう一度聞く。この学校に取り付いたのはお前じゃないんだな?」
アスベルは頷いた。
「わかった。疑って悪かったな」
私はもう1度謝った。
アスベルは小さく微笑んだように見えた。
「じゃ、帰るか。みんな、またな!」
私は魔法で翼を出し、羽ばたいて宙に浮いて手を振った。
まっすぐに家に帰った。
家といっても城なんだけど。
地下室へ行き、封印された男の子を見つめる。
目を閉じて安らかな顔をしている。
でも、解けない結晶に封印されている。
「もっと、強くならなきゃね…」
頬を涙が伝った。
私はその場から立ち退き、お父さんの部屋へ向かう。
「お父さん、今帰ったよ。」
「ああ。遅かったな」
「うん、ちょっと忙しくて」
私は、学校の変わったことを報告しなければいけないのにしなかった。私は魔法学校を見るように言われてるけど、今回のことは報告していけないような気がした。
軽く話して自分の部屋に戻った。
女の子らしくない殺風景な部屋。
ベッドと机と本棚くらいしかない。
私はベッドに飛び込んだ。
今日はいろいろありすぎた。
寝よう。
朝になった。
眩しい光で目を覚ます。起き上がって学校に行く準備をする。お風呂に入り、制服に着替える。
ご飯は無しでお父さんの部屋に行く。
コンコン
ノックをすると返事があった。
あけて一礼して中へ入った。
「いってきます」
「ああ、よろしく頼んだぞ」
私は学校へと向かった。
今日は動きたくない。
だから空間を歪めてすぐ学校についた。
でも、誰も居なくて暇だった。
魔道書を見ているうちに誰かの足音が聞こえ、そっちを向くとアスベルだった。
「おはよー」
軽く挨拶する。
でも、相手は無言のまま。
相手の白い肌に刻まれている赤い印が凄く強調されているように感じた。
「ね、アスベル。その印、隠さないの?」
「隠す必要あるの?」
「それがあるからみんなにいろいろ言われるんだよ?」
「私たちは魔女ということに誇りを持っているわ。だから隠す必要はない」
目を見開いた。
魔女に誇り。
こいつは、良性魔法を学びに来たんじゃない。
きっと、潰しにきたんだ。
「とにかく、今は隠しといたほうがいい。少し手を出して」
アスベルは素直に手を出した。
私は魔法をかけた。
悪性魔法を使えないように。
私はにっこりと微笑んだ。
「仲良くやろうぜ」
もう、誰にも印は見えないし、悪性魔法も使えない。
だから、もう、この子は魔術師。
魔女じゃないんだ。
しばらくして、みんなが来た。
アスベルの印のことを報告するとみんな驚いた顔をした。
でも、見つめて喜んだ。
みんな、同じだって。
でも、アスベルだけが笑顔じゃなかった。
やっぱり、魔女だからなのか、楽しくないからなのか。
それはよくわからないが。
突然リーナが魔視をし始めた。
でも、突然怯えたような顔をして私を見た。
「ねえ、サユラ。アスベルじゃないんだよ。この学校に取り憑いたのは」
そう言って事情を説明してくれた。
アスベルの悪性魔法は封印されているはずなのにまだ、学校の魔法は解けていないらしい。
だから、他にいる。
魔女が絡んでいるということらしい。
「おい、アスベル。どういうつもりだ?」
「何も知らない」
「拷問されたいのか?」
クロマがさらっとひどいことを言ってのける。
そして、ギロッと睨んだ。
「私は、しらない」
アスベルはずっと言い張った。
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