「どうです?小説、進んでますのん?」
「全く手に付いていない。浮かばんものだね、一層ストーリーごと変えてしまおうか。」
「また大胆な事を…ボク、早う読んでみたいわぁ。なぁ、先生?」
「そう急かしてくれるな。それに私は先生ではなく卵だ。」
「卵言うても"金の卵"、やろ?」
「どうやら君は人が悪いらしい。」
大正浪漫、そんな言葉を知ったのは私がまだ幼い頃だった。自称"小説家の卵"は、己の足で立っているのがやっとの平凡な生き物だのというのに、大学通いの小説家志望。生憎借金の返済に追われるという有りがちな蟻地獄には引っ掛からずに済んだものの、半端なプライドにしがみつき夢破れる…寸前だったのだ、その男が現れたのは。
突然現れ、どうにも胡散臭い京都弁で「ボク、先生の書物見てみたいんよ。」なんて詐欺を連想させる様な物言いで私の肩を叩いたのだ。今現在心理状況は不明。どう足掻いてもも私はこういう人間を信用出来ないのだろう、どう足掻いても。
これは、そんな意味不明ともとれるインチキ京都弁詐欺師(予想)と私の大正時代に起こった話である__…。
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