來実 2015-01-15 18:51:56 |
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《君との出会い》
窓の外から、シトシトと静かな雨音だけが聞こえる。
部屋の明かりもつけず、制服のままベッドにパタンと横たわった。
梅雨のせいか、ジメジメした湿気が肌にまとわりついている。
そして、吐き気がするようなあいつの臭いも……。左腕がジンジンも痛む。
袖をまくると、少しアザになっていた。
黒くなっている部分を指で押すと、ズキンと痛みが走る。
今にはじまったことではない。
原因は……父親だ。
あたしは、静かに目を閉じた……。
藤沢奈央。
あたしは、父親から性的虐待を受けている。
父親といっても、義父。本当の父親じゃない。
あたしが幼稚園のころ、母親と再婚した男だから
初めて義父に襲われたのは、小学5年生の時だった。
あたしは恐怖とショックのあまり、まったく声が出なかったのを今でも覚えている。
その行為は日に日にエスカレートしていったが……母親には言えずにいた。
信じてくれるわけがないし、心配をかけたくなかったから。
何より、母親は昔から精神的に弱く、自分が一番かわいいと思っているような人だった。
あたしのことを考えてくれたことなんて、あったのだろうか?
そんな人に言えるはずがない……。
さらに、義父の家柄や義父自身の立場も問題だった。義父の家は資産家で、義父自身も大企業の重役。そのおかげで、母親とあたしはお金にまったく困らない生活を送れていたし、そこに愛があるのかはわからないけど、母親はそんな義父に夢中だった。
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