ビギナーさん 2015-01-13 00:07:22 |
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(こんなことで言い争いをしていたら自分が子供みたいなので相手に言い返すことをせずにそのままコンビニまで行ってしまおうと決めれば後ろからふいに抱き締められびっくりしたように「わっ」と声をあげると相手の方をチラリと見て「…うるさいです、離してください」と口を尖らせ述べて。さりげなく名前で呼ばれたことに何とも言えない気持ちになるし、後ろから抱き締められてしまえば自分からは何もできないし最悪だ。こちらから何も出来ないと相手の思うツボではないか、そんな風にしか思うことの出来ない一方通行な思考回路をとにかくどうにかしてしまいたい、恥ずかしくて顔を赤くしながら視線を落として
うへへ、ありがと〜。
(外だという事もあり案外すんなりと相手を離せば、前に回り込んで全く何も企んでいないような裏のない笑顔を初めて見せて。身も心も温まり満足したのかそのままくるりと前を向けば鼻歌交じりに先を歩き。暫く歩いてハッとしたように振り返り、「俺コンビニの場所知らないよ!先生が案内してくれなきゃ!」と相手が追いつくのを待つかの如く立ち止まって。漸く顔を赤らめる相手に気づけばぽかんと口を開けた後、図らずとも先程の仕返しが出来たようだと意地の悪い笑みを浮かべて。
(相手が遠くで意地悪な笑みを浮かべているのがわかる、なんでこんな思いしなきゃいけないのか考えなくたって原因は目の前にいる相手のせいでしかなくて腹立たしいと思いながら近付くと「行きますよ」と言いさりげなく手を繋いでみて。自分が何故こんなことをしたのかはわからないがとりあえず些細なことでもいいから仕返しがしたくて相手より少しだけ小さい手でぎゅっと握りしめ、そこには相手には絶対負けたくないという思いが込められているため少しばかり痛く感じればいいとこちらも維持の悪いことを考え。コンビニまでは本当に数分しかかからず、すぐにコンビニにつくとそこで手を離して
きゃー先生大胆ー
(相手がペースを乱されているのが手に取るように分かり、その分の余裕とやけに強く握られる手の痛さで照れる暇も無く。笑いながらふざけた事を言っていたかと思えばしっかり握り返して、人通りが少ないのをいいことにコンビニまで暫しこの状況を楽しむ事にして。コンビニに着き手を放されれば真っ直ぐパンのコーナーへと足を向け、牛乳パンを見つければ途端に目を輝かせ。食べ盛りの男子高校生がパン一つで足りるわけがなく、そのまま弁当のコーナーへ寄れば時間帯のせいか数少ない種類の中から適当な物を選び、ついでにペットボトルのお茶を手に取りレジに並んで。
(コンビニにつくとすぐにパンコーナーに行った相手には少驚きを示しつつきっとパンが好きなんだろうなと勝手に納得すれば自分はどうしようかと色々な所を見てみたが特に食べたいものがなく仕方なくお酒と適当におつまみ程度のものを選ぶとレジに持って行って。相手はちゃんと財布を持ってきたのだろうかと心配になるが持ってきていなければ自分が払えばいいかと先に精算を済ませると相手に近付いてさすが成長期、とばかりにたくさん買う様子の相手に「お金ありますか?なんなら俺払いますよ?」と述べ。相手はまた子供扱いされたと勘違いするかもしれないがこれは純粋な心配を相手に向けただけなので遠慮しないで欲しいと「別に何も企んでないので」と後から付けたし
この間お小遣いもらったばっかだから大丈夫。
(泊めてもらう以上自分で出来る事は自分でしようと財布は持ってきているし、相手に伝えた言葉に嘘偽りはなく本当に少し余裕があるため申し出を断って。会計を済ませてから相手の元へと戻り、相手がろくに腹に溜まる物を買っていない事に気がつけば「ちゃんと食べなきゃ体に良くないよ」と困り顔で指摘して。まあ本人が平気なら自分が口を出す問題ではないしこれが毎食でないなら大丈夫だろう、と見越してそれ以上は何も言わずに出口に向かい。
そうですか
(お小遣い、なんとも高校生らしいワードに少なからず歳の差を感じてしまい自分も歳をとったなと改めて確認してしまうがそれもそのはず、相手とは10歳も差があるのだから仕方のないことだろうと諦めたように笑い。「普段はもっと食べてるので大丈夫です。今日はあまりお腹空いてないだけですよ」と心配する相手をよそにまるで他人事のように平然とした態度で言うと「それに俺だってもうおっさんなんですからあまりカロリーのあるものは食べないようにしないと」なんて冗談にならない言葉まで言えば自分にも言い聞かせるように相手に言った言葉を再び心の中で呟いて
何言ってんの、先生まだ二十代じゃん。
(相手の言葉を冗談と受け取ったのかくすりと笑いを洩らしながら返して。頭では理解しているつもりだったのだが自分で言うまで実感していなかったため、改めて自分と相手の年の差に思いを馳せて。自分が相手の年だったら十も下の子供相手に本気になるだろうか。そこまで考えが至った途端何故か寂しいような物悲しいような気分になり、「…まだ若いじゃん」と小さな声でもう一度繰り返し。家からコンビニまでさほど離れていなかったが故に行きの時に道は覚えており、相手に顔を見られぬよう先を歩いて。
もうすぐ三十路ですよ、三十路。
(相手にもうすぐ三十路だと返すとまだまだ相手が若く思えて学生時代にいい思い出があるとは言えないがどうせなら高校時代に戻ってみたいだなんて無理なことを思考し。自分より前に進む相手を横目に見れば「ねぇ及川くん。お前次第ですよ。お前次第で俺は本気になるかもしれませんよ」と相手がどんなことで落ち込んでいるかなんて容易く想像できて自分らしくない相手を鼓舞するような言葉をかければそのまま相手の横に立って「そんな顔お前らしくないんじゃないですか」と
ちょっと上から目線なのがムカつく…。
(誑かそうとしているのか本音なのか今の自分では判別できないが、それでもそんな相手の一言でもやもやとしたマイナス思考が霧散するくらい励まされたのは確かで。素直に認めるのは悔しいため拗ねたような口調で呟くも隣に並んだ相手を見遣れば自信たっぷりに微笑みながら「あんたが俺を本気にさせるんじゃない。俺があんたを本気にさせるんだよ」と改めて宣戦布告し。相手の言うとおり辛気臭い顔なんてしていられないと思い直せば、今度は此方から相手の手を取って指を絡め。
それはまぁ、年功序列みたいなもんですよ。
(自分でも何が言いたかったのかわからないが歳上が歳下に偉そうにするのは仕方のないことだろうというニュアンスのことが言いたくて。自分を本気にするなんて言う相手にだれが歳下に本気になるかと悪態をつきそうになるが先程歳のことで相手が落ち込んでいたようなので繋がれた手を自分の口元に持ってくれば「俺が本気にさせるんです」と呟くと相手の手に口付けくすりと笑い。自分が本気になったことなんて今まで一度もなくてそんなこと相手に出来たらちゃんちゃら可笑しいだろうなと思うともし本気になってしまったらと少しだけ不安になることもあるがそんなことは絶対ないと言い聞かせては口付けた手を降ろして歩き始めて
俺より背ーちっちゃいくせにー。
(年功序列なんて言われたら反論しようがなく、つまらなさそうに負け惜しみを口にして。自分は自他共に認める負けず嫌いだし相手はもしかしたらそれ以上かもしれないほどの負けず嫌いであるため、きっとなかなか勝負がつかないのだろう、と先の事に思いを馳せれば苦笑を禁じ得ず。手に口付けを落とした相手を「まあせいぜい頑張って〜」と茶化しながら、繋いだ手を小さく前後に揺らして。マンションに着けば少しだけ名残惜しく思いながらそっと手を離し。
身長関係あります?
(身長のことを出されると言い返すことが出来なくてそんなもの関係ないといった顔で相手に問いかけると成長期にたくさん運動してる相手と全くしていなかった自分の身長を比べるなんて失礼な話だと心中で機関銃のように言い返して。マンションにつき手が離されると体温が下がる掌に寂しさを覚え、なんで自分が寂しくなってるんだと頭を振っては部屋の鍵を開けて中に入り、思い付いたかのように相手の方を振り返ると「ただいまのキスでもします?」と九割九分冗談で述べて、よくあるドラマのワンシーンのような展開を想像すると笑いたくなる衝動に駆られるが敢えて真面目そうな顔つきでそう言って
(相手の反応を見れば身長の話はタブーだったのだと一目瞭然で、小さい方が可愛い、などと言おうとした口を噤み。相手に続いて部屋に入ろうとしたところでまさかの提案を受ければ、出発前にキス関連で散々な目に遭った事を嫌でも思い出させられ「っ…バッカじゃないの、しないから早く入れてよ」と微かに頬を染めつつ相手の体を押して部屋に入り。空腹感がいよいよ頂点に達したのか、靴を脱ぎ手を洗えば早速袋から買った物を出して相手を待って。後から思い出したようにネクタイを外せば鞄の上に置き、ワイシャツのボタンを開けて圧迫感を逃がし。
ガキめ
(食を優先した相手を見ればやれやれといった感じで肩を竦めながらガキだと零し。相手の分まで靴を揃えて手を洗い、食事の準備万端な相手を待たせてはいけないと急ぎながらコップを持って対等になるように座り。家にいる時でもあんな格好をしているのだろうか、首周りが解放的な相手を見れば普段隠れている所が目につき「及川くんずいぶん爽快な格好してますね」と述べて。相手の飲み物がないことに気づけば再びキッチンに戻り適当にお茶をいれて相手の前に置くと袋からお酒を取り出して空のコップに注ぐと高校生の前で酒なんて飲んでいいのか、と教育者として考えるも相手に限って未成年飲酒はしないだろうと考え。「食べていいですよ、お待たせしました」と我慢出来ない様子の相手に笑いながら言って
コートありがと〜。
(ガキだと言われてもさほど気にせず聞き流し、向かいに座った相手に脱いで綺麗に畳んだコートを返して。ブレザーを汚しては面倒なためそれも脱いでしまいベスト姿になれば「こんな及川さん女の子には見せられないよ」などとふざけながら皺にならないようブレザーを畳み。お茶を持ってきてくれた相手に笑顔で礼を言えば、手を合わせてからコンビニ弁当を食べ始め。当然のように酒を買った相手はやはり大人なんだなと改めて実感するも、先程のように気が沈んだりはせず「先生お酒飲める人なんだね」と新しい一面を発見した事に小さな喜びを感じて。
律儀ですね。
(しっかり畳んで返した相手に驚いたように言うと返されたコートを受け取って。ベスト姿の相手にこんな風になってるのかとまじまじと見てしまい「俺はガン見しますけどね」とふざける相手に冷静に返しながらお酒を一口飲めば変な好奇心で新しく発売された味のものを買ってしまったため失敗したなと感じつつ眉をひそめて「まぁ一応。飲み会とかもありますし」と最初は飲めなかったが飲み会やら何やらに付き合っているうちに体が慣れてしまったと述べると相手はきっと飲める口だろうなと考えてべろべろに酔った相手を想像すると思わず笑ってしまいそうになって
借り物だからだよ。
(自分は特別律儀でも几帳面でもないと思うし、丁寧に畳んだのは相手が貸してくれたものだからというだけの理由で。思い切り見つめられれば居た堪れなくなってきて「…見すぎ。お金とるよ?」と呟き目を伏せて。飲み会、という自分にとっては大人に感じられる単語を聞けば、余り付き合いがいいとは言えなさそうな相手が飲み会に参加する姿を想像できなかったため思わず笑ってしまい。眉を顰めたのを見る限りあまり美味しくなかったのだろうと察して、一体どんな味がするのだろうかと不思議に思い床に手と膝をつき回り込んでは、相手の唇をぺろりと舐めて「うわ、変なの」と真面目に味の感想を述べて。
あぁ、なるほどね。
(相手にしては真面目な考えだなと感心すれば自分もそうゆうところは見習おうと思い自分の借りたものでさえ適当に畳んでかえす癖を直そうと思い。「最近の高校生は先生からお金とるんですか、感心しませんね」とさも余裕そうな顔で言ってはどうせはした金だろう、高校生の要求する金など自分にとっては痛くも痒くもない。飲み会、その言葉で相手が何を想像したかはわからないがきっと自分の人間関係がどうのだとか考えているんだろうと察して言い返そうとした途端生暖かい感触が唇に伝わり短い言葉を発すると「少しまずかったです。」と自分の感想も述べ。相手が変に思うのは未成年だからもあるだろう、そこに年齢の差をまた感じ
先生がガン見するからだろ!
(自分ばかりが意識しているようなこの状況に加え余裕綽々な相手の態度に耐えきれず不満げに言い返し。感想を述べた後何をするわけでもなくそのまま再び元の場所に戻っては、弁当の卵焼きを箸で掴み相手の口元へ持って行って「口直しあげる」と柔らかな笑みを浮かべて。キスなんかよりよっぽどハードルが低いというのに、こんな行為こそやけに甘ったるい気がして抵抗感を覚える。仮にも恋人同士なのだ、それっぽい事をしたって罰は当たらないだろうと自分を正当化する事で気持ちを落ち着けて。
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