ビギナーさん 2015-01-13 00:07:22 |
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…俺が徹と居たい。初めてなんだ、この人の特別になりたいって思ったの。
(何度聞かれても答えなんて変わらない。自分にとって相手は特別だし、相手にとっての自分もそうであって欲しい。独りよがりになってしまうかもしれない想いを真っ直ぐに述べると相手はもう自分に飽き飽きしてるのかと心配になるが嫌われようと飽きて捨てられても自分はきっと相手のことが好きなままだろう。そうなってしまうのは少し怖いがあまり考えないようにして自分の言葉に相手がなんと答えるのか耳を傾ける。「俺は…徹が欲しい…徹が居ないって考えると寂しくて」相手が居ない空虚な空間を想像しただけで心に穴が空いてしまったような喪失感に見舞われてはそう述べて
わかったから!もう変な事言わないから、ちょっと黙って!
(相手がここまで素直に本音を話してくれるとは思わず、照れくささゆえに並べられる言葉に狼狽えて。火照る頬をぱたぱたと手で扇いで冷ましては、気を紛らわすために再びご飯を食べ進め。食べ終わる頃に漸く言いたい事が纏まったため箸を置けば、真っ直ぐに見つめて「俺も陸と一緒に居たい。だからずっと一緒に居てください」とゆっくり言葉を紡ぎ。自分がそばに居る事で相手が幸せなら何があろうとそばに居るつもりだし、何よりも自分自身が相手のそばに居たくて。
…幸せだね
(相手の言葉に頷いて黙って様子を伺っているとずっと一緒にいてくれだなんて言われ、相手に言われなくてもそうする気でいるし嫌だと言われても側に居てやろうと考えていたため確信的な相手の発した言葉に笑って上記を述べると昨日可愛いなんて言われた笑窪が顔を出し。誰かと心が通じ合うなんて糞食らえだと思っていた自分がこんな些細なことで喜んでしまうなんて凄いなと相手に対してそう思い。ふと時計を見れば急がなければ遅刻という時間になっており「ちょ、徹…!学校…!」と柄にもなく焦りながら言うとご飯はしっかり食べ終えて寝癖のまま着替えをはじめて
(相手の笑窪を見ればいつもこんな風に笑っていてほしい、と思ってしまう。相手がその笑みを向ける先にいるのはいつだって自分であってほしいだなんて子供っぽい独占欲までが顔を出して、もう少し大人にならなければと内心気を引き締める。相手の言葉ではっとしたように時計を見れば、「ホントだ!!やばい!陸寝癖直しなよ!」と指摘しつつ二人分の食器を大急ぎで洗い。着替えのワイシャツなど持ってきているはずもなく、仕方なしに相手に借りた部屋着を脱げば昨日と同じものに袖を通して。
俺いつも寝癖なんて直さないよ?!
(寝癖を直すなんて概念はなく鏡の前に立ち手櫛で髪を梳いた程度で満足げに頷いて。同じワイシャツを着るなんて嫌であろう、自室に行きワイシャツを漁っていると学校指定のものに似たワイシャツを見つけてそれを相手に昨日のコートを同じように突き付けるとネクタイをしてる余裕なんてないな、と急いでいる頭で考える。しかしそれをしなければいつもと違う感覚で違和感を覚え仕方なくネクタイを手に取れば学校に着いたらすればいいかとバックの中に詰め込んで
寝癖直さないのも信じらんないけど生徒に風紀違反させる先生も信じらんない!
(押し付けられたワイシャツを見れば勿論学校指定のもののはずもなく、思わず笑い声を上げながらそちらに着替え直して。同じくネクタイは後回しにスラックスにベストという中途半端な格好のまま、ブレザーと鞄を抱えたところで髪をセットしようにも時間がなく、そもそもワックスを持っていない事に気がついて。今日はこのままでいいか、とふわふわと髪を跳ねさせたまま「準備できたよ!」と声を掛ければローファーを引っ掛け相手を急かし。
そんなこと言ってる余裕ないでしょ…!
(バックの中に財布やらプリントやらを入れ、風紀違反だと笑う相手に二日同じものを着るよりマシだと思いそんな小さなことに構っている余裕は今自分と相手には無いんだと述べると相手の待つ玄関まで走り車の鍵を手探りで取りつつ靴を履いて。髪のセットをしてない相手に「そっちのがいい、やっぱり」と昨晩言ったことをもう一度言えばドアを開けて相手の手を引き駐車場まで向かい。学校まで送って行くのは他の生徒に見られる心配もあるから学校付近の路地裏で降りてもらってそこから歩いて貰おうと思考し
俺は嫌なの!
(手を引かれ共に駐車場へ向かいながら反論してみるものの、素の自分の方が良いと言われて悪い気など勿論するはずもなく。嫌だと言った手前にやけそうになる口元を抑えて昨夜のように助手席に乗り込めば、相手の事だから抜かりなく考えているのだろうが一応「学校の近くで降りてそっから歩いて登校するね」と申し出て、ネクタイを締めてブレザーを羽織れば今回はきちんとシートベルトをし。
若いうちから髪の毛いじってると痛むよ。
(よく言えば美意識が高いということだろうが自分にはそんな意識はなくて寝癖も気にしないし身なりもあまり気にしない。自分と反対の相手と釣り合うためには少しお洒落になった方のがいいのかとバックミラーを見ながら前髪をいじり始めて、「うん、言おうと思ってた」と相手の言葉にそう返し。他の生徒に見られないようにしないといけない、自分達の関係は他からみれば普通ではないのだから堂々としてはならないのだとわかってはいるものの相手とは常時一緒に居たいしどうも理性が効かなくなる思いでいっぱいになり
うるさいな〜。
(さすが大人と言うべきか、正論を言われればつんと唇の先を尖らせて不満げに返して。染めたりパーマをかけたりしているわけではないのだから、それほど傷んでいないとは思いたいが相手の言う事も一理ある。だが今はそれよりも別の問題が頭を占めているらしく、真剣な表情で「皆の前で先生の事陸って呼ばないようにしなきゃ」と呟き。同性の教師を下の名前で呼び捨てだなんていくらなんでもまずいだろうと思い、学校に着く前に直さなければと少し複雑そうな面持ちで窓の外を見て。
可愛らしく陸先生とでも呼んだらどうですか?
(相手の呟きに呼び捨てでなく敬称をつければ問題ないのではと逃げ道を探すように考え出すと良いことを思い付いたと自負して。自分も思わず名前で呼んでしまいそうな気がするがそこはきっと何とかなるだろうと自信ありげに胸の内で思えば学校付近になり路地裏に車を止めると「この辺で大丈夫ですか?」と相手に尋ねる。次に会えるとしたら授業の時になるだろう、その時間まで寂しくなるな、なんて否が応にも考えてしまい。相手と近づき過ぎて離れるのが恋しいなんて自分はどこまで我儘で貪欲なのだろう、そんな自分に飽き飽きして
そういうの女の子の言い方じゃない?
(偏見かもしれないが女子が異性の教師をからかい混じりにあだ名で呼ぶ姿を見た事があったため、いまいち腑に落ちないような表情で呟いて。ひと気のない路地裏に車が停まればシートベルトを外し、「ありがと。行ってきます」と笑みを浮かべて軽く触れる程度に唇を重ね。いたずらっ子のように笑いながら車を降りれば、何食わぬ顔で大通りに出て他の生徒に紛れて登校し。
(女子生徒にはよく言われるが男子生徒には言われたことがないため新鮮でいいのではと思っていたのだが相手から指摘されればもう好きなように呼んで貰えればそれでいいかと考えるのをやめて。いってらっしゃい、と言おうとすればそれを阻止するように唇が重なり「…朝から盛ってるんですか、もう」と頬を染めて言えばいってらっしゃいを言って自分も学校に向かうべく車を進めては数分してから学校につき、指定の場所に駐車すると職員玄関に向かい
(相手と別れてから正門をくぐり部室へと急ぐ。スマホを見れば滅多に遅刻しない自分を案じてかチームメイトらからのメッセージが届いており、しくじったと内心悔やみながら部室棟まで走って。何着かロッカーに置いてある予備の練習着に着替えシューズを履いてはそのまま体育館に向かい。勿論練習はとっくに始まっていたものの寝起きのままの自分のこの髪型を見て察したのか誰も詳しくは聞いてこなくて。謝罪しつつも柔軟を始め徐々に体を温めて。
あ?あ、おはようございます。
(職員玄関に向かう途中、女子生徒に挨拶をされればその作ったような甘ったるい声に一度だけ眉を顰めながら振り返ると営業用の笑顔を浮かべながら挨拶を返して。あんなものが可愛いとでも思ってるのだろうかと内心飽き飽きしながらため息を零して職員室に向かい。その途中、何度か生徒とすれ違いその度に挨拶をしてめんどくさいなんて教育者としてどうかと疑われそうな思いを胸に渦巻かせ早く授業になってくれないかと思い
(朝練が終わり再び制服に着替えて教室へと向かうも、途中すれ違う女子たちに声を掛けられ立ち止まり。いつもと違う、なんて指摘されれば笑顔で「寝坊しちゃってさ」と嘘をついて。‘そっちのがいい’と言われお礼を言いながらも頭に浮かぶのは彼の事ばかりで、立ち話を終わらせ教室に入り。ロッカーから教科書を出している際国語総合の表紙を眺めて思わず口元が緩んでしまい、早く時間にならないだろうかとらしくもない事を考えながら席に着き。
(1年から3年までの教科書を一通り見直すと1時間目はどこのクラス授業も受け持ってないため校舎内を散策してみるかとまだこの学校に来てさほど時間が立っていないためどこになにがあるかイマイチよくわからず教室の場所ぐらいしか頭に入っていないため、実践教科のために使う特別室や図書室など探してみようかと考えれば2時間目の授業の用意を持って校舎内をウロウロしはじめて。さすが、というぐらい綺麗な校舎に自分が高校生だったころの汚い校舎を思い浮かべて最近の高校生は羨ましいなとおっさんじみたことを思い
(部のトップとしてきちんとした授業態度でそれなりの成績を収めなければ、とは思うものの途中から担当教師の薀蓄やら何やら授業に関係ない話に話題が逸れればこっそりとスマホを取り出して。彼にメールでもしようかと思ったところで連絡先の類いを全く知らない事を思い出しつまらなそうに再び上着のポケットに戻しては、早く相手の授業の時間にならないだろうかと思いながらぼんやりと窓の外へ視線を遣り。
…ここはどこだろう。
(むやみやたらにうろうろするもんじゃないなと今になって後悔する。こんなに広い校舎じゃ迷うのも無理ないだろうとわかっていたもののまさかこんな出だしから迷うなんて自分が不甲斐なく思えてきてとりあえず来た道を戻ろうと踵を返す。ふと時計を見ればもうすぐ一時限目が終わろうとしておりこのままでは二時限目の授業に遅れてしまうと少々焦りながら廊下を走るとやっとの思いで職員室に辿り着いたとおもえば授業終了のチャイムがなって
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