名家:赤司家には、少年と少女の双子が居ました。
片方は、とても才能に恵まれた者でした。
文武両道は勿論のこと、稽古や武道、音楽関連、何に対しても敗けたことのない天才少年です。
もう片方は、才能も何も恵まれなかった者でした。
運動、勉強、稽古、武道…何に対しても勝ちを知らず、とてもと言っても過言ではない程名家の子には相応しくない少女です。
厳格な父どころか、優しい母ですら少女は相手にして貰えず、二方とも少年ばかりを大切に扱ってきたのです。
そんな少年は少女を蔑み、心配も哀れみの感情も抱かず只々見下ろすだけでした。
然し少女は少年を妬むことも恨むこともなく、自分を認めさせるように精一杯努力し続けたのです。
次第に少女は気づいて行きました。
此処まで一生懸命頑張るのは自分の為ではない。少年に振り向いて貰えるようにする為だ、と。
そして此れが“恋”の感情だと気づくのも、その時でした。
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