xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(頭から血を流し少年を抱き寄せるようにして倒れる相手を目の当たりにしては蒼白になる。
誤算だった。憎悪に染まった相手の力量なら男や自分を蹴散らし少年を救って上手く逃げてくれると。
そして少年と共に自分を憎み、離れてくれれば良いと思っていた。
しかしそんな考えは浅はか過ぎたのだと今となってはどうにもならない後悔が押し寄せる。
相手に秘密をバラされる恐怖よりも罪悪感が勝っては、男に逃げるよう腕を引かれても足は棒のように動かず。
それでもパトカーのサイレンが近付いてくると無理矢理男に連れられて悲痛で歪む表情を隠しその場を立ち去って。
(男の家の寝室、男が外で誰かと電話する間一人ベッドに腰掛けぼんやりとする。
先刻の少年の泣き顔や虐待の話、そして相手の鋭い眼光や痛々しい火傷の痕が色濃く頭の中に残り唇を噛みしめる。
いったい自分は周囲を巻き込み傷付けて何をしているのだと。
ギリッと奥歯を噛み締めては戻ってきた男を静かに見据え覚悟を決めたように口を開き。
「もうあんたの言いなりにはならない。………俺、……自首するから」
『は?いきなり何言ってるの。もしかしてあの化物にバラされると思ってビビってる?』
(唖然とする男の問いに何も答えず「…今から警察に行く」と低く呟き。
『ふーん、でも良いの?君が捕まれば君の大切なご家族はどうなるのかな?』
「………どうせ、いつかは迷惑かけることになるから」
『迷惑ねぇ。……俺さ、君の実家もお母さんとお姉さんの家も知ってるんだよね。もし自首なんてしたらどうなるのかなぁ』
(男の含み笑いで以前耳にした社員の不可思議な死の噂を思い出しては喉をヒクリと鳴らす。
男は其れを見て『分かってくれた?君はもう逃げられないんだよ』と。
続けて数枚の写真をひらつかせ『此れを使って彼奴を脅せば君の写真のデータも消してくれると思うよ』そう言って膝の上に置かれた写真には先刻相手が凶変し獣のようになった姿が写っており。
もう相手を巻き込みたくないと首を横に振るが、弱みを握られている以上逆らう術はなく「此れが終わったら彼奴や子供にはもう二度と手出しするな」と凄み写真を鞄の中にしまって。
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