xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(盆を床に置いて膝をつき声がけをして襖を開いたところ聞き覚えのある青年の声にピクリと肩を揺らす。
ここがレンタルショップなら多少雑な接客も出来たが、いくら青年達相手とはいえ旅館での接客を怠るわけにはいかないと気恥ずかしいながらお茶出しは他の客と変わりなく対応して。
「…ここ、俺の叔母さんの旅館なんだ。冬休みはいつもバイトさせて貰ってて…」
(青年の問いにいつもよりやや余所余所しく答えては相手や青年が此処に居る理由を聞ききっとスキー場の女子達が騒ぐだろうなと。
それより二人で此処まで来るなんてやっぱり付き合ってるのだろうかと表情が曇り「…あんた達、ずいぶん仲良いんだな。……噂になってる」とつい妬いたように言ってしまえばハッとなり表情を戻して「…ではごゆっくり」と頭を下げ部屋を後にしようとする。
が、丁度その時叔母が入ってきては相手と青年に夜の懐石を肉か魚か問うと共に、自分たちが知り合いと知っては目を輝かせ『菊君のお友達?!もう!菊君ったら言ってくれればいいのに。…あなた達もずっとバイトって訳じゃないんでしょ?良かったら時間合わせるから菊君と一緒に遊んで上げてくれない?』と明るく提案してきて。
「………いや、多分俺邪魔になるんでいいです」
(嬉しい提案ではあるものの明らかに青年が嫌そうな顔をしたのを見て、自分の勝手な嫉妬と我が儘で二人の時間を邪魔するわけにはいかないと遠慮して。
『あら、そうなの?まあ好きにしていいからね』と優しく笑み、相手を見て何故か片目を閉じて“菊君をよろしく”と口元を動かしては退出し、自分も其れに続き部屋を出て。
(部屋を出た後、放棄を手に表の掃除をはじめるも相手と青年がこれからずっと行動を共にすると思うと醜い嫉妬が芽生え幾度も溜息が溢れる。
自分も相手と一緒にスキー場に行きたいし温泉だって楽しみたい。
我ながら女々しいなと思えば旅館前のため駄目だと分かっていながらついつい溜息が零れて。
>露木
( 相手が去ってしまった後、相手の“邪魔になる”と言う言葉に疑問を持ちつつ青年に向き直ると「ど…どうせだったら彼奴も誘ってやっても良いんじゃないか」と柄にも無い事を言う。
青年は微妙な表情で首を傾げると『う‐ん、考えとくよ』と。
まさか旅行先でも相手に会えただなんてと相手の心情も知らずに照れ臭さを感じて。
( 明日からはバイトが始まると言う事で今日はのんびり過ごそうと言う青年の案に了承しては部屋にて雑誌をパラパラと捲る。
のんびり過ごそうと言ったにも関わらず『折角温泉に来たのに』と文句をぶつける青年に溜息を付いては「んじゃあ何したいんだよ」と。
問い掛けた途端笑顔で考える青年を尻目に携帯を取り出しては相手に《今日何時にバイト終んの??》とだけメールを送って。
忙しいだろうし直ぐに返事は来ないだろうと携帯を見詰めては青年の提案で旅館の周りを散歩しようと。
この寒い中外に出るのは癪だが青年には色々と世話になってるしと付き合う事にして。
旅館前にて掃除をする相手を見掛け、一度青年の元を離れては寒さから赤くなった冷たい相手の鼻を摘み「風邪引くなよ」とだけ告げて。
( 辺りの雪景色を見詰めながら昔ながらの駄菓子屋や土産屋を回っては何時の間にか薄暗くなっており。
『あともうちょっとで夕食だね、…旅館に戻ったら一回お風呂入ろうよ!!!俺温泉好きなんだよね』
( さっさと旅館へと戻り貸切露天風呂の鍵を受け取っては優しげな印象の女将(相手の叔母)に『また入る時言って頂戴。鍵を貸すついでに菊君も呼ぶから』と言われて。
表情を緩め「是非誘っといて下さい」と言えば浴衣やタオルを片手に露天風呂へと向かう。
青年の話も殆ど耳に入らずに相手が頭から離れずに居たが、青年が不意に『そう言えばさ、………兄さん前寝惚けて俺を抱き締めてたでしょ??…なんで“菊”って呼んだの??』との問い掛けに表情を固める。
無意識だったし「さぁ………何でかな」と首を傾げれば微妙な顔をする青年に苦笑して。
( その頃、兄はこちらへ来る手続きを済ませては相手に《そっちに付いたらデートしようね♡》と鬱陶しいメールを送っていて。
>桐崎
(掃除中溜息ばかりだったが相手が近寄って来て声を掛けられただけで気分が高揚し、相手が去ったあとそっと摘まれた鼻元に触れ微笑み。
(ずっと相手のことが頭から離れないながら夕食の時間になれば忙しくなり館内を行ったり来たりして食事を各間に運ぶ。
あとは相手の客間だけというところ叔母が近付いてきて『それ出したら上がっていいわよ。折角お友達が来てるんだからお話したいでしょ?』と。
流石に悪いからと断るも最後には叔母の圧しに負け礼を言って上がらせて貰うことにして。
丁度その時『露木ー!』と聞き覚えのある声と共に振り返ると兄がいて「え」と思わず声を上げ。
「なんでもういるんだ?メール、ほんの数時間前に来たとこだけど」
『飛行機使ったからね。あ、部屋は赤城達と一緒にして貰ったから。そのほうが露木も楽でしょ?』
「………赤城、怒るぞ」
『まあ…人数多いほうが楽しいじゃん?ってことで露木も同じ部屋で寝よう!』
「それは流石に……、一応バイトだしさ」
(苦笑を漏らし断ろうとするも後ろで聞いていた叔母の『あらいいじゃない』の一言で同室に寝ることが決まり二人の関係を思うと後ろめたさはあるが嬉しさが勝り小さく微笑みを零して。
(その後、青年と相手が露天風呂に行く間、兄を部屋に通し三人分の食事を用意しては二人を待ち。
暫くして二人が部屋に戻って来ては兄の存在に驚かれるも事情を説明したあと一応仕事として懐石料理の紹介をする。
相手の浴衣姿は様になっていて僅かに蒸気した頬が色っぽく見えては思わず見詰めてしまい相手ともっといたいなんて欲求が芽生えては兄と青年が話す間「あとで話があるからロビーに来て欲しい」と小声で耳打ちして。
(風呂と着替えを済ませロビーに行くと既に相手は居てゆっくり近付いては相手の前に座り暖かい御茶を差し出して「…呼び出して悪い。折角赤城と来てるのに邪魔してるみたいで…」といまだ相手と青年の関係を勘違いして謝り。
「…別に大した話はないんだけどさ。……あんたとゆっくり話がしたくて。あの部屋に行くと彼奴等うるさいし」
(羞恥から目を逸し小声で話すも素直な言葉を紡ぎ「…あんたが来てて驚いたけど……嬉しかった」と最後は相手の目を見て小さく微笑み。
それでもすぐにいつもの表情に戻しては「…明日からバイトなんだろ?…あんたのことだから女に言い寄られるだろうけど旅館には連れ込むなよ」とからかって。
「……じゃあ、そろそろ部屋戻るか。二人部屋に無理矢理四枚押し込んだから狭いけど。…ていうか、あんた寝相悪いから浴衣はだけそうだな。あんたが女だったら確実襲ってる」
(スッと立ち上がり始め苦笑を漏らすも、相手の寝相のことを思い出しては口元に手をあてクツクツの喉で笑い冗談を言って。
>露木
( 兄と合流し食事を終えた後さり気なく耳打ちされた呼出の言葉に頬がだらしなく緩みそうになるのを何とか耐え一足先にロビーへと向かう。
何時に無く穏やかな相手の表情と言葉に照れを堪えつつ「あんたも女性客に言い寄られんなよ」と。
青年との事に関しての相手の声色が僅かに気になったが青年の事は“友達”としてしか思って無かった為に深く考えずにいて。
部屋へと戻る途中、先程の“女だったら”と言う相手の言葉を思い出してはそれと共に心のモヤモヤがまた滲み出て来ては相手の腕を掴み足を止める。
「……………あんた彼女居るんだもんな、共同スペースの教室で友達と言ってただろ??………なんか…すっげぇ大事にしてるの痛い程分かった。………あんたの彼女は幸せだろうな」
( 自分の感情に気付けないまま、しかし何故か嫉妬心が込み上げて来るのを感じては語尾を少し震わせ。
グッと唇を噛みへらりとした笑みを浮かべては「俺もそろそろ恋人作らないとな」と。
部屋に戻り四人で他愛も無い話をしてはそのまま眠りに落ちて。
( 翌日、兄の怒声に目を覚ましては慌てて抱き締めてた相手を解放する。
自分の寝相の悪さを恨みながら赤くなる顔を俯かせ「ご………後免、赤城の方向いて寝とけば良かったな。彼奴なら馬鹿だし迷惑掛かんないし………」と。
恋人の居る相手に抱き着くなど迷惑極まりない事をひてしまったなと勘違いしたまま謝れば兄にべしっと頭を叩かれて。
『全く良い年して!!!ってゆうかそんな柄悪い顔しといて抱き着き癖があるとか笑えるからね!!!あと菊に触らないで!!!』と怒鳴られてはまだ羞恥が残る表情を隠す様に頭を下げて。
( 朝食等を終えスキー場へと来ては簡単な説明を受け貸出場へと着く。
スキーやスノーボードの教え方は自己流でと言われては午後からはそちらのバイトに付くつもりで。
相変わらずの無愛想でウェアを借りに来た客の管理をして。
( その頃兄は相手のバイトを手伝いながら必死なアピールを続けていて。
兄が図々しくも相手と離れたくないと叔母に告げては『なら簡単な仕事でも手伝って貰おうかしら』と。
優しい叔母の言葉に甘え真面目に働いては初心者とは思い難い手際の良さを発揮して。
『お友達は確かスキー場のバイトに行ったのよね、そうだ。彼等のバイトも夕方までらしいし折角だから夕方からは一緒に楽しんで来なさいよ』
( にっこりと笑顔を浮かべては相手の頭を軽く撫で『折角お友達と来たんだから、ね??』と。
>桐崎
(自分に恋人がいると勘違いしている様子の相手に妹だと真実を伝えようとするもやはり気恥ずかしく結局言えずにその日は眠りについて。
(翌日、心地良いぬくもりと兄の怒声に目を覚ましては離れていくぬくもりに物寂しさを覚えるも、青年には迷惑を気兼ねなく掛けられるという口ぶりに自分は青年の代わりに抱きつかれただけなんだと勝手に落ち込んで。
相手が抱く感情にも気付けずに朝の身支度をしては青年と相手を旅館から見送り、何故か手伝ってくれる兄と共に旅館の仕事をして。
(昼、優しい叔母の言葉に甘えることにしては相手に《叔母さんが時間作ってくれたら夕方にそっち行く》とメールを送って。
その後、兄とともに仕事を進めつつ相手と会う時間が増えたと思うと無意識のうちに頬が緩みはやく夕方にならないかとつい時計を何度も見ていて。
(まだ少し明るいうち兄とスキー場に向かうと黄色い声と共に女の人だかりができていて、良く見れば中心には相手がおりそのウェア姿を見れば何となく納得が出来て。
しかし此れではいつまで経っても近づけない。
イラッとしてはそちらへ近付き「ちょっとごめんね」と女達をかき分けては相手の腕を取り、さっさと近くの建物内に入って「すごい人気だな。………俺もスノボ教えて貰おうかな。スキーは出来るんだけどさ」と冗談と本気半々で言ってみて。
「………あとさ、寒いと思ってレモネード作ってきた」
(本当は青年の分も作ってきたのだがまっさきに相手に渡しては、冷えた相手の両頬を両手で包み「…疲れてないか?」と此れから遊びに付きあわせて大丈夫なのかと心配する。
が、相手といることでつい気持ちが舞い上がりスキンシップが多くなっていることに気付いては手を引っ込めて「……悪い、赤城に怒られるな」と苦笑して外に出ようとするも昨夜の事を思い出しては「………あのさ、あんたまだ何か勘違いしてるみたいだけど、彼女はいないから」とやや語尾を強めて言いスキー板を借りている兄の元へ向かって。
>露木
( 夕方からこちらに来るという相手のメールに一瞬自然な笑みを浮かべては教えるのも苦痛に感じる事は無く手取り足取り丁寧に教える。
漸く相手がこちらへ来るのが見えてはレモネードを受け取り「あんたならタダで教えてやるよ」と珍しい自然な笑顔を向けては頬に両手を添えられ段々と羞恥が込み上げて来る。
“赤城に怒られる”という意味が分からず僅かに首を傾げるも兄の元へ向かってしまった相手の背中を見詰めては微妙な表情をして。
( こちらのバイトにようやく終わり、一度建物の中に入ると相手と兄と合流し椅子に腰を下ろす。
『綸も旅館のバイト手伝ってたんでしょ??』
『まぁね、ずっと菊に張り付いてたよ』
( 笑顔で話す兄に内心ムッとしながら温かいレモネードを喉に流すとゆっくり口を開き「あのさ、露木…良かったら俺がスノボ教える」と。
兄に取られる前にと名乗り出た訳だがいざ言えば恥ずかしさが過ぎりパッと視線を逸らす。
『え‐‐‐、良いよ。菊には俺が教えるし。赤城とでも遊んでれば良いじゃん』
「………別に、明日もバイトだから教える練習っつ‐か。……別に無理矢理ってんじゃなくて嫌なら良いけど」
( ボソボソと言いつつ再び飲物を喉に流してはジッと相手を見詰めて。
二人になったら改めて“彼女”に関しての事を聞いてみようかとどこか表情を思い詰めていて。
>桐崎
(レモネードを口にする相手からの思い掛けない言葉に嬉しさが込み上げては素直に小さく笑みそうになるも兄達も居たため表情は変えずに「…じゃあ練習代になってやろうかな」と上から目線で返して。
相手がどこか思い詰めた様子だったが“彼女”のことだとは思わず四人でゲレンデに出て。
(ここのスキー場、他よりも少し遅くまで開場しているが流石に明日のことも考え中級者コースで一回だけ滑ることにしリフトで上に登る。
スキーとは感覚の違うスノボに四苦八苦しながらも相手の丁寧な指導のおかげで何とか形だけは出来るようになり。
「……あんたって意外と教えるのうまいよな。…モテるわけだよ」
(少し妬いたような物言いで相手を見るも青年の痛い視線を感じては相手から少し離れて滑る。
しかしやり出してはまったらとことん追求したいタイプのため、つい分からないことがあると相手の元へ行き無意識だがいつもより身体を近づけて聞いていて。
そのたびに何故か相手に雪の塊が飛んできて飛んできた方向を見ると素知らぬ振りをした兄が立っており、弟にかまって欲しいのかと思えば「…あんたたち兄弟、仲がいいな」と小さく笑いを零して。
(その後、兄と青年が先に下まで降りきり自分と相手もあと半分くらいというところ、先で立ち止まり待っていてくれる相手の元へ不安定ながら滑り降りる。
あと少し、と気を集中させるもふと相手は青年といたいのだろうなと思った瞬間バランスを崩し、そのまま相手に正面から衝突しそうになって。
>露木
( 真面目に取り組む相手を見ている家に“彼女”の事に関しての問い掛けをすっかりと忘れてしまいこちらも真面目に相手に教える。
元々飲み込みの早い相手でもあり、早速滑れる様になった事に流石だなと感心する。
兄がこちらを睨みながら雪玉を飛ばして来るのに勝ち誇った顔で兄を見詰めてやれば顔面に雪玉が命中し僅かに体制を崩し兄をキッと睨んで。
段々と夜が深くなり夕食の事もあるのでこれで最後にしようかと言う所、相手より少し先にて相手が滑るのを待つ。
頭が良いからか体制等は完璧、しかし不意にいきなりバランスを崩すのが目に入っては慌てて相手を支えようともスピードに負け、相手を抱き抱えたまま見事なスライディングをかまして。
「…ったく大丈夫かよ。いきなりバランス崩すとか何か合ったのか??それまで体制も完璧だったろうが」
( からかう様な言い方をしつつ相手を起こし上げては兄が素早くこちらに走って来て。
『繿!!!何さり気なく抱き締めちゃってんの!!!ってゆ‐か菊も衝突するなら俺の所に来なさい!!!』
「いや正面に居たの俺だし仕方無いだろ」
『上手く俺の所にカーブすれば良いじゃん!!!』
「無茶言うなよ」
( 兄に呆れつつ相手と旅館に戻ると女将が相変わらずの笑顔で『どうだった??楽しめた??』と。
一度皆で部屋に戻り相手に怪我が無いかを確認した後、突き刺さる兄の目線を感じながらも「気を付けろよ」と相手の肩を叩きついでに「中々上手かった」と小さく褒めてみたりして。
『兄さん兄さん、ごはん終わったら一緒にお風呂行かない??』
「一人で行けよ、赤城結構しつこい」
『何で‐、背中流して上げるって』
「良いから」
『じゃあ菊は俺と入ろうか』
( 兄の言葉に咄嗟に兄を睨み付けるも丁度夕食を運んで来た女将が『何も皆で入れば良いじゃない、ちょっと狭いかもだけど』と言うのに素直に甘える事にしては女将が笑顔で鍵を手渡して来て。
『菊君もお友達と一緒にご飯になさい。あなたが楽しそうで私も嬉しいわ、明日のお仕事は十時くらいからだから頼むわね』
( あまり早くない時間も相手の事を考えてなのか、四人分の食事を用意しては部屋を出て行って。
『女将さん優しいよね』
( 兄が笑顔で言うのに誰もが頷いては相変わらずの豪華な食事に舌づつみして。
>桐崎
(相手に抱き止められ恥ずかしさで俯いてしまうも相変わらずの兄弟のやりとりに気が紛れて小さく笑いを零しつつ、青年との関係を気にしたとは言えずそのまま旅館に戻って。
(旅館にて叔母の厚意に甘え部屋でゆっくり過ごしては、怪我の心配をして褒めてくれる相手に照れてしまうもなるべく平静を裝い「あんたの教え方がうまいからだよ」を褒め返しながら「…っていうか結構なスピードでぶつかったけど、あんたこそ怪我大丈夫なのか?」と心配げに相手を見詰めるも相手は平気な素振りで。
(食事を終え貸し切りの露天風呂に向かっては早速青年が相手の背中を流し始め、その様子を羨ましく思いながら自分もあれぐらい可愛げがあったほうがいいのだろうかと何故かまたモヤモヤして。
青年は相手の背中を洗い流しながらスリリと然りげ無く相手の腕に触れては『兄さん本当は腕、痛めてるでしょ?隠しても俺には分かるんだから。何か不便なことがあったら言ってね』と耳元で相手にだけ聞こえるようにいうと何事もなかったように鼻歌を歌い始め。
それから暫く青年が『フルーツ牛乳飲みたい!兄さん先に出て一緒に飲もう!』と半ば無理矢理相手の手を引き出て行ってしまい自分も出ようとするが『今出てったら脱衣所狭くなるから俺達はもう少し後にしよう』と兄に言われ相手と青年も二人で過ごしたいだろうと思えば嫉妬を押さえ温泉に浸かって。
(青年と相手が着替えを終え脱衣所から出るところ、丁度全く同じタイミングで女湯から幼馴染ハナと共に自分と背格好そっくりの女、妹ナツが出てきて。
自分よりほんの数㎝背が低く髪が気持ち長いくらいの違い。
湯上がりのため頬をほんのり赤く染めながらハナとにこやかに話していたが、幼馴染が相手に気付き『あー!桐崎君と赤城君じゃない!』と声を上げ。
『あなた達も来てたの?偶然ね。…私は菊が此処でバイトしてるから来たんだけどあの子ったら全然連絡くれないんだもの、嫌になっちゃうわ』
『…昔から興味がないことには無頓着だから』
『えー、ナツそれってどういう意味?』
『…ぁ、……メールの話よ。メールいつも面倒臭いって言ってたもの』
『…ぁ、ってなによ。…もう』
(ブーっと項垂れる幼馴染に妹は苦笑を漏らしつつ、相手をジーッと見詰めては『あなたが桐崎くんね。兄さんからいつも話、聞いてるわ。とっても良い子だって』と柔らかく微笑み。
前回モブPF >96
役柄:菊の双子の妹
名前:露木 ナツ(凪津)
身長:176㎝
性別:女
容姿:菊にそっくり。女性らしく細身。髪が菊より2㎝くらい長い。
性格:優しく謙虚/ 根のしっかりした子/ 菊より素直 / 生まれつき心臓の病気で運動はあまり出来なく家で通信教育/ 菊のことは少し過保護だと思っている / 身長が高いのがコンプレックス/繿のことが気になる(多分好きになる←
(/ナツの自分の思う簡単なPFです。じゃんじゃん印象や設定などは付け足し変更してくださいませ!
>露木
( 青年と共に先に出た時に相手の幼馴染みと共に相手に瓜二つな女性が目に入っては驚きの余り目を見開きジッと見詰めてしまって。
妹の言葉に相手が自分の事を話してるなんて、と考えると照れ臭い気持ちになり、しかし“彼女”の事を思い出しては僅かに表情を曇らせる。
青年が笑顔で挨拶をし『あ、飲物奢って上げるよ。どれが良い??』と言うのに幼馴染みが『やった!!!私とナツはフルーツ牛乳ね』と答えるのを微笑ましく見詰める。
素直に礼を述べ綺麗に微笑む妹にまだ驚きは残るも一瞬見惚れてはパッと視線を逸らし。
ようやく相手と兄が浴室から出て来ては相手にコーヒー牛乳を手渡す。
相手と兄の分は自分が買った為好みが分からず適当に選んだ物、相手が妹と並べば本当に瓜二つで。
「あんたに妹が居たとはな…びっくりした。生意気なあんたとは大違いだな」
( からかう様に相手の頬を軽く抓ると幼馴染みが思い出した様に手をパンッと手を合わせる。
『そういえば私のクラスで噂になってたのよ!!!桐崎君と赤城君って付き合ってるのよね??なんかクラスの女子が騒いでたの聞いちゃって』
『そうだよ、応援してね!!!』
「赤城ちょっと黙ってろよ、付き合ってる訳無いだろ。何でそんな噂立ってんの」
『付き合ってないの??そっか‐、皆すっごい騒いでたのに。まぁ良いわ、付き合って無いって広めて置いてあげる』
「頼む、変な噂が立つと困るからな」
( 騒ぐ青年の額をガッと掴んで近付くのを阻止しては相手に向き直り「あんた明日は仕事何時まで??」と問い掛ける。
出来れば明日も相手に会いたい、と思うも幼馴染みが『スキーとかスノボは難しいかも…』と耳打ちして来て。
きっと相手の事、妹から離れないだろうと考えてはスポーツは難しいと幼馴染みに話され小さく頷く。
「折角こんな人数になったんだし土産でも見に行くか」
( 柄にも無い提案をしては明日仕事が終わった頃に待ち合わせをしようと約束して。
面倒な事にならない様にと全員のアドレスを互いに交換して他愛も無い話をして。
( / pf感謝です!!!
ナツちゃん本当可愛過ぎる…っ///
そんなナツちゃんにべったりな菊君も最高でs←
いつも素敵な展開有り難うございます!!!
温泉展開素敵です、これからもよろしくおねがいします(*´∀`*)
>桐崎
(兄と共にロビーに出ると妹と幼馴染の姿があり小さく目を見開くが元気そうな妹の姿にホッとして。
相手から礼を言ってコーヒー牛乳を受け取り、“生意気”と頬を抓られてはムッとするも、突然の幼馴染の言葉にピクリと反応する。
相手は交際を否定するが照れ隠しなどではないかと疑ってしまい、まだ完全には不安が拭えないまま相手の問いに「16時前には上がらせてくれるって」と答え、本当に叔母には感謝しなきゃなと思いつつ相手の提案に妹も嬉しそうにしていて。
そんな妹の頭を撫でては「無理するなよ?」とこの時ばかりは相手でなく妹の傍を離れずにおり。
(翌日、叔母の厚意でかなり早めに集まることが出来お土産参道をぞろぞろ歩き。
その間も妹の隣を歩いては「そんな寒そうな格好で大丈夫か?」「疲れたらすぐ言えよ」といつになく心配を露わにしつつ表情柔らかにしていて。
『菊ってナツの前だといっつもあーなのよ。本人は隠してるつもりだけど大好きなのバレバレよね』
『俺もなんか邪魔できないよ。あの雰囲気は』
(いつも積極的な兄も遠慮してか青年と一緒になって相手に絡みに行き『ねえねえ何か奢ってよー』と。
そんな時、二人の女観光客が近付いて来ては『昨日スキー場でインストラクターやってた方ですよね?私、居たんですけど覚えてますか?』『あの女子足りてないなら一緒に周りませんか?3,3で人数丁度良くなりますよ!』と完全に相手狙いで逆ナンしてきて。
(そんな事とは知らず妹と先を歩いては一件の土産物売り場で母の土産は何がいいかなんて話していたが突然男達が近付いて来ては妹の手を取り。
『へえ、結構可愛いじゃん。俺達と一緒に遊ばない?』
『ってなんだよ。こっち男じゃん。まじないわ。…もう良い、ちょっとこの子借りるから』
(妹の腕を無理矢理引く荒手のナンパをただで行かす訳もなく男の手を捻り上げると一切笑っていない目で笑顔を作り「汚い手で妹に触らないでくれる?」とミシミシと腕が成るほど掴み感情が高ぶり僅かに能力が解放されては足元から風が立ち始め。
(/いえいえ、こちらこそいつも萌え展開ごちそうさまです(^q^)
今回、菊が痛いほどのシスコンで荒ぶってますが生暖かい目で見てやってください←
今後も菊のヘタレとグダグタした気持ちが続くと思いますがよろしくお願いします!
>露木
( 先を歩く相手と妹の姿を目で追いながら幼馴染みの言葉に納得しつつ微笑ましく見詰める。
がっつり世話を焼く相手に妹が優しい微笑みで答えるのを見ては頬を緩めるも絡みに行ける雰囲気で無い事に何処か寂しそうにして。
ふと言い寄って来た女子数人に眉を寄せては幼馴染みに断る様に促すも『私が言ったら逆効果しゃない!!』と必死な耳打ちを受けて。
「今友達と回ってるんで」
( 無愛想に返事をしては青年が来て『友達と水要らずなんだよね、だからごめん』とハッキリ言いさっさと手を取られては少し先の相手と妹に追い付こうと。
( その頃相手の妹は相手の変化を見抜きやんわりと取ると首を振って。
恐れを為して去って行く男達を見送った後、妹は相手の鼻にツンと人差し指を当てる。
『もう、傷付けるのは駄目よ。…でも兄さんのお陰で助かっちゃった』
( しなやかに微笑むと振り向きやっと辿り着いた自分や幼馴染み達に目を向けて。
『やだ、私達早歩きし過ぎちゃってたかしら』
『大丈夫よナツ、菊のシスコンっぷりには参るわね』
( 幼馴染みが苦笑するのを見詰め今度は皆で歩くも相手のシスコンっぷりは本物で。
こちらまで和みそうになりながら一件の土産屋に入って。
ファンシーな物が多くいかにも女子が好きそうな店に入っては幼馴染みや相手の妹と共にはしゃぐ青年に苦笑いしつつ店内を回る。
『わ!!!ナツさん見てこれ可愛くない??』
『本当!!赤城君って可愛いの好きなのね』
『菊、俺とお揃いにしない??』
( ガヤガヤと騒ぐ様子にどこか楽しそうにしつつ着いて行ってただけの自分に気を使ってか相手の妹が緩やかに微笑んで来て。
『桐崎君も一緒にお土産選びましょうよ』
( 優しい雰囲気に流され自然な笑顔で共に土産を見る中、幼馴染みが顔を真っ赤にしながら相手に『ね、ねぇ菊。こ…このペアのキーホルダーお揃いにしない??』と頑張ってる様子が目に入り。
応援する気持ちも半分、だがしかし羨ましさを感じては何気無くそれを見詰めていて。
>桐崎
(皆で訪れた土産屋、幼馴染に見せられたペアキーホルダーに頷こうとするが相手の視線を感じては一瞬目が合ってしまい慌てて目を逸し。
そこで何故かお揃いは不味いんじゃないかと躊躇して「…そういうのは好き合ってる奴と買えよ。そんなん付けてたら男が彼氏いんのかと勘違いして近寄って来なくなるぞ」と酷な言葉を浴びせてるとは知らず幼馴染の頭をポンと撫でて。
(その後も軽く土産屋を見回り今日は家に帰るという幼馴染と妹を見送る際、妹が相手に駆け寄っては『桐崎君、今日は有難う。あなたに会えて楽しかった。兄さんのことよろしくね』と微笑み手を振り去っていき、その直後《今日も兄さん貴方の話ばかりしてたわ。こんなに人の話をする兄さん初めてだったからびっくりしちゃった。とても仲良くしてくれてるのね。良かったら今度うちに遊びに来てね》と相手にメールを送り。
(妹が相手にメールを送ってるとも知らず部屋については、少し疲れた足を伸ばしつつ相手に甘える青年を見詰め。
相手は疎ましそうにしているがやはり照れ隠しなのではと変に気になっては何度も相手を見てしまい此れでは不快にさせてしまうと意味もなく携帯をいじって。
それから暫く夕食を終え風呂に入ろうというところ、やはり青年とのことが気になれば兄と青年を先に行かせて相手の手を引いては「話がある…」と。
(二人だけの部屋、兄と青年がいないだけで至極静かで気まずさが増してしまうもこれ以上言い出しにくくなる前に口を開き。
「あのさ……、あんたと赤城って…本当のところどういう関係なんだ?……本当は付き合ってるんだろ?」
(チラリと相手を見て問うもこんなことを改まって聞いていては自分が相手に気があるようで恥ずかしくなり目を逸し「………付き合ってるならさ、俺邪魔じゃないかと思って…。折角ここまで来たのに二人きりになれないとつまらないだろ?」とやや不安が入り混じった声色で問い掛け。
「あんた達仲良さそうだし…、もし二人になりたいなら今日は別の部屋で寝るよ」
(本当は別の部屋なんて嫌なのだが元々二人の旅行だし、流石に連日同室は図々しいかと思い顔を俯かせ。
>露木
( 旅館に到着し疲れを休める為に早々と部屋に戻っては相手の妹からのメールに柔らかく微笑む。
張り付く青年の頭を何時もの様にガシリと掴んだまま片手には携帯を持ち、SNS等を確認し携帯をしまおうとした所でまたメール音が鳴って。
きょとんとしながらメールを開けばどうやら幼馴染みから。
《もう菊ったら本物に鈍感過ぎる!!!でも今日頭ポンッてして貰っちゃった(つω`*)》
( 何故それを自分に報告するのかと疑問に持ちつつ前文と後文の心情が矛盾してるじゃないかと。
遅くまで出掛けてた事もあり直ぐに夕食の時間が来ては他愛も無い話をしながら早々に終えて。
その後、相手からの持ち掛けにまた胸が高鳴るが出来るだけ顔に出さない様に堪えて。
何を言われるのかと思えば青年との事。
何故そんな事を聞くのかと疑問を持ちつつ首を傾げると“別の部屋で寝るよ”と言う言葉に表情を変える。
二人で無くともしつこく張り付いて来る青年と二人だけになんてされたらきっと睡らせて貰えない。
しかしそれよりも兄と相手が二人になるなどと何が合っても可笑しくない。
「色々聞きたいけどまず何で赤城と俺が良い感じみたいな話になってるんだよ。赤城はからかってくっついて来てるだけだろうが。確かに前男でもいけるって言ったけど赤城は別だろ」
( 困った様な笑みを浮かべどこか早口で上記を言うも幼馴染みの言葉を思い出しては青年との関わりは異常なのだろうかと。
あまり深く考えて無かった事もあり改めて考え直しては眉を寄せる。
どうせ付き合うのなら相手の様な………と考えた所で自分は何を考えてるのかと。
「赤城もからかうの度が超えてるんだよな。………俺もそれなりに気になる奴居るし変な噂が立つと困る」
( 確かに相手の事は気になってるもいざ目前にして言ってしまうと告白した訳でも無いのに羞恥が過る。
だがいつだって相手を目で追ってしまう辺りきっと“気になってる”のだろうと自分でも薄々感じ取って居て。
そろそろ青年達に怪しまれるだろうなと考え浴衣を手に取っては部屋替えの提案をしたのは実は自分の寝相が問題なのでは無いかと思い付く。
青年に関しては口実であって自分の寝相が一番の相手へのネックになってるとしたらと考えては振り返り。
「もしかして…俺の寝相が悪いから部屋替えたいとか…だったりする??だったら納得出来るけど…俺赤城と二人になんのはキツイんだよな。あいつ絶対煩くするし………だから嫌だったら綸の隣行って良いから」
( いい訳無いじゃないかと思うも迷惑になるには行かず俯きながら言っては苦笑いして。
>桐崎
(青年のアプローチに気付いていない様子の相手に此奴どんだけ鈍感なんだと人のことを言えないことを思いつつ、二人が付き合っている訳ではないことに何故か安心して。
しかし次いで相手から言われた見当違いの言葉に焦っては思わず相手の手を取って「嫌じゃない!!俺はあんたの隣が良い!」と声を上げてしまいハッと相手の手を離し目を横に泳がせ。
「…あ、あれだよ。夜は冷えるからあんたとくっついてると暖かいんだ……べ、つに変な意味はない」
(変な意味ってなんだと自分でも何を誤魔化しているのか分からず訳の分からないことを述べては浴衣を手に取りって襖に手を掛け「…部屋掃除するの大変だし、やっぱり此処で寝る」と自分から部屋替えすると言ったくせに勝手なことを言っては羞恥を隠すように先を歩いて。
(風呂あがり、叔母の手伝いをするため三人よりも少し早く出たところ合コンに誘ってきたあの学生二人に出会し驚きつつあからさまに顔を顰め。
「…なんであんた達がいるの」
『俺達就職決まって暇だから奮発して遊びに来てんの。ってそんなことより大変みたいだぞ?なんか此処ら辺に住んでる女の子がスキー場に落し物取りに行ったまま遭難したらしくてお前が温泉から出てきたら捜索に協力するよう伝えて欲しいって』
「……本当か?……分かった。ありがと」
(一瞬男子学生の言葉を疑うも本当だとしたら一刻を争う一大事。
冬の山はいつ吹雪き出すかも分からないため小さな少女の身体では耐えられないだろうと直ぐに準備を済ませては誰にもメールすることなくスキー場に向かい。
勿論、少女が遭難したなど男子学生がでっち上げた嘘。
合コンをとんずらした自分へのあてつけで。
男子学生達は自分が外へ向かったのを確認すると相手達が温泉から上がるのを待ちぶせ、さも偶然を装っては『うわ、桐崎じゃん。……露木ならなんか叔母さんの手伝いが時間掛かりそうだから先に部屋に戻ってて欲しいって言ってたぞ』と直ぐに自分の後を追えぬよう嘘を並べ。
(夜のゲレンデ、営業時間をとっくに終了した其処は電気もついていなく真っ暗でヘッドライトとスキー板を装着して探すも自分以外に捜索者がいない。
というより捜索するなら野外ライトをつける筈。
これは騙されたかも知れないと今更気付いては小さく溜息を吐く。
なんか雪山で災難ってだいぶ前もあった気がするなと思った瞬間何故か狼の姿が脳裏を過ってはなんだろうと不思議に思いつつさっさと山を降ろうと。
が、あの男子学生達も抜かりなく四人で来ていたのかゲレンデで自分を待ち伏せしていた二人にいきなり背中を押されて。
突然のことにバランスを崩しながらも対抗を試みるが二人の力には叶わず、コースの柵が壊されていることに気付かずそのままコース外に突き落とされて。
>露木
( 男子学生にまんまと騙され部屋に戻っては皆で他愛も無い話をしながら相手の帰りを待つ。
旅館の外を見れば視界が効かぬ程に吹雪いており『明日のバイトの為にも早く止んで貰わないとね』と呑気な事を話しており。
しかし0時を過ぎたところで相手が戻って来る気配も無いまま館内の消灯が始まる。
嫌な予感を感じながらも女将の元へと向かっては相手はまだ手伝いをしてるのだろうかと。
つい先程自分達と寝ると言ったばかり、裏で寝るとしても真面目な相手の事、一言告げるだろう。
しかし女将はきょとんと目を丸くすると『菊君今日のお仕事はとっくに終わったわよ??貴方達と一緒に居たんじゃないの??』と。
サッと表情が青ざめると共に向かったのは男子学生の部屋、夜にも関わらずガヤガヤと騒ぎながら酒を飲む声により直ぐに部屋に辿り着いては胸倉を掴む。
よくよく考えれば自分を嫌ってるこの学生達が親切に相手からの伝言を伝えるとは思えない。
「彼奴が帰って来ない、どこにやった」
『知らねぇよ離せ!!!』
「あんたら就職が決まったんだってな、おめでとさん。………さて、学校に聞けばあんたらの就職先なんて簡単に教えてくれるだろうな。“憧れの先輩の就職先って何処になってんですか”なんて聞けばイチコロだろ」
『な…何が言いたいんだよ!!!』
「分からねぇかな。吹雪の増してやこんな山奥の場所に外に出したとしたらそれは殺人行為だろ??就職先に告げ口したらどうなる??」
( 苦虫を噛み潰した様に真実を告げる男子学生に目を見開いては頬を殴り付ける。
きっと何処かに閉じ込められてるのだろうと安易な考えを浮かべてたがまさかのスキー場。
それでなくても山奥というのにと考えさっさと衣服を取ってはスキー場へと向かう。
視界が開けない、小さく舌打ちすると能力を解放し相手を探し足を急かす。
やはりこの姿の方が山などには向いてる、一面の雪山に行く場所さえ迷いながらも兎に角ひたすら探して。
そこでふと浮かんだのは同じ雪山で相手を必死に探す自分の姿、………否、顔容姿こそ自分だが着物なんて言うのは可笑しい。
頭の中の着物を纏った自分は山の奥にある洞窟へと向かい長髪の相手と瓜二つな青年を見付ける所で突如記憶が途絶える。
今のはなんなんだと眉を寄せるもこの雪山の道は記憶の中の情景と良く似ている、僅かな期待と不安を持ちながら洞窟があると思われる場所にて四足を急かし。
>桐崎
(どれくらい気を失っていたのかゴーゴーと風が唸る音と凍える寒さに薄っすらと目を開いては、一瞬状況が分からず混乱するも徐々に気を失う前の事を思い出し慌てて身を起こす。
が、左足に激痛が走り見てみると下手に挫いてしまったようで。
スキー板もヘッドライトも落ちた時の衝撃で外れたのか少し離れた所に転がっており、明りも消え携帯も繋がらない状況。
流石にやばいと冷や汗が伝い身を起こしては何とかコース上に戻るため急な坂を登ろうとするも吹雪と左足の痛みが邪魔をして何度も転倒してしまい。
心が折れかけた時、ふと森奥を見やると幻覚でも見え始めたのか大きな狼が見えて。
狼は此方をじっと見詰め森奥へ誘うように此方を振り返る。
どこか懐かしさを覚えては何とか立ち上がりストックを片手に足を引きずりながら導かれるように狼の後を追うと大きな洞窟に辿り着き。
初めて来た筈なのに以前一度来たような感覚、不思議な気持ちになり狼に視線を落とすも既にその姿はなく霞のように消えていて。
瞬間、洞窟入口から風が吹き込み背中を押されゆっくりと振り向くと銀毛に覆われた狼がおりそのあまりの優麗さに心を奪われる。
吸い込まれそうな紅い瞳にスゥと意識が持っていかれる感覚がしては足を引きずりながらゆっくりと近付きその身体を抱き締めて。
「……“らん”、あんたなら“また”来てくれると信じていた」
(いつもより低く穏やかな声色で無意識に囁いては抱き締める腕に僅かに力が篭もるも数秒後、意識が浮上しては「………桐崎?」と呟き相手を抱き締める状況に驚き慌てて身を離して。
「…っ、わ、るい。俺いつのまに、抱き締めて……、って…良く此処がわかったな?吹雪で鼻もあまり効かないんじゃ…ッ、」
(柄にもなくあたふたするもピキリと左足に痛みが走り顔を顰める。
しかしこんな情けないところは相手に見られたくなく平気な振りをしては、手袋を取り相手の狼の足を取ると両手で包み息を吹きかけて。
「いくら狼でもこの寒さの中素足で歩いたら“凍傷”になるだろ。………てかさ、俺、馬鹿だよな。あんな嘘に騙されて。あんたに迷惑かけて。……ごめんな」
(相手が狼の姿のせいか素直に言葉を零してはグッと抱き締め直し「……あんたが来てくれて安心した。…………でもどうしような。吹雪、止むかな」相手の頭を撫で撫でしながら吹き荒れる外を見て眉を顰めるも、此処で自分が弱音を吐くわけにもいかないと足に力を入れて立ち上がり「…吹雪いつ止むか分からないし凍える前に此処を出よう。道なら分かるし」となるべく自然に見えるよう足を踏み出し。
>露木
( 辿り着いた洞窟にて、突如相手に抱き締められては相手には呼ばれ慣れて無い筈の名前を呼ばれるも何故か懐かしい様な感覚に覆われる。
“また”と言った言い方が気になるも改めて苗字で呼ばれてはハッとして。
痛みに歪んだ相手の表情に目をやるも直ぐに表情が戻った事により気の所為かと、痛みに耐えてる事に気付いてやれず相手の言う通りに吹雪が激しくならない内に早く戻ろうと。
言葉を発せない事により人姿に戻ろうとするもまだ能力のコントロールが効かず狼姿のまま洞窟を後にして。
数十分歩き続けた所で相手の表情に明らかな変化が見えては一度足を止める。
こちらに振り返る相手の額に冷汗が伺えては何か合ったのかと頭から足元へ目をやり。
そこで漸く相手が片足を庇う様に立ってるのに気付けば今迄気付けなかった自分に苛立ちを感じる。
ここからならば自分も道は分かる、だが頑固な相手の事だし傷を隠し続けるつもりだろうと考えては相手の前に頭を下げ首で“背負われろ”と合図して。
やや強引に相手を背負ってはしっかりと掴まった事を確認し全速力で走り出す。
既に旅館の玄関灯が見えては相手を下ろし、必死に能力を解こうとして。
何度かう‐んと力むが中々戻ってくれず、それを数十分繰り返しては漸く人姿に戻る事が出来て。
「…焦った、戻れないかと思った」
( 安堵の息を漏らし相手を背負うとさっさと旅館に戻る。
心配の色を浮かばせてた女将は安心した様に微笑み相手の雪かぶった頭を撫でて。
怪我に気付いた兄が相手支えながら部屋に入れ『治るまで俺がず‐っと看病するから』と。
その様子をぼんやりと見詰めながら無事で良かったと安堵の息を付く。
しかし能力のコントロールが出来ないのは参ったなと眉を寄せては衣服に銀毛が付着してるのに気付く。
柔らかさから毛髪では無い事を察し、戻れないだなんて格好悪い所を晒してしまったなと。
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