xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(翌朝テントの中で起床しては、相手が青年に抱き着くのを見て“誰でも良かったのか”と何故か溜息が零れ。
ふと昨夜テントの中で兄から聞いた事を思い出しては一瞬相手がぬいぐるみを抱く姿を想像し笑いが零れそうになるも直ぐに胸が苦しくなり“支えたい”と感じ。
しかし、そう感じたことも相手が悩んでいることも自分自身気付かず、ただ昨日相手が倉庫で見せた微笑みが頭から離れずにいて。
(今日で合宿も終わり、夕方に帰着予定で午前中だけ日本家屋が立ち並ぶ古風な観光街に行き古き良き日本を学ぼうというもの。
しかし実際は完全自由行動のためおみやげを買うためのただの観光で。
無論、班も自由だがこの面子が離れることはなく何度か相手や兄達が女子からのお誘いを受けることがあっても結果四人で行動を共にしていて。
今日でこの時間も終わりまた男の顔を見なければならない、そう思うと憂鬱でいつもは面倒なこの合宿がもっと続けばいいと思う。
その時、突然青年が「あっ!!」と声を上げて。
『兄さん兄さん見てよ。今日だけ500円で着物の貸出してるよ!折角だから着ようよ!』
(女子かと突っ込みたくなるが実はどこか沈んでいる相手を喜ばせたいという優しさで。
面倒臭いと思うも何やら兄も乗り気になったため気まぐれで賛同しては慣れない着物に袖を通す。
首元の鬱血が気になったため寒いからと理由をつけて布を巻いては何故か落ち着く格好に青年の話に乗ってみるのもいいものだなと。
ふと振り返れば兄も青年も着替え終えていて恐ろしいほどにしっくりと似合った格好に感心してしまうも、相手を見た瞬間その凛とした美しさに目を奪われ暫く魅入ってしまい。
着付けをしていた店員も『此処までお似合いになる方は中々いらっしゃいませんよ』と頬を染めていて。
『うわぁ兄さん流石!俺、惚れ直した!!写真撮ろう!写真!』
(ルンルンと聞こえて来そうなはしゃぎっぷりで相手と何枚も写メと撮る青年に思わず笑いを零していると写真係の教師が近付いてきて『おおお、お前等いいな。思い出に一枚』と言ってカメラを向けてカシャリと撮り。
しかしカメラを避けた瞬間厳しい顔付きになっては相手と青年に歩み寄って。
『あまりこういう時に注意したくないがな、その赤と銀の髪はどうにかならんのか。アルバムを見返してみろ。恥ずかしい思いをするのはお前らだぞ!』
(ガミガミと怒鳴りつける教師の言葉に以前は無視するか嘲笑していたが無性に腹が立っては教師の肩を叩き振り向かせ「…自毛なんだから良いじゃないですか。根拠もないのに染めてるって決めつけるのやめてください。それに俺は銀髪好きですけどね」と。
一瞬自分でもあれ…と思う。今最後にいらない言葉を口走ってしまった気がすると。
数秒後、自分の言葉を理解しては言いようのない羞恥が沸き立ち「……お、御土産見てくる」と戸惑う教師に一言謝り着物と下駄のまま足早に着付け屋から出て。
暫くしても気持ちは落ち着かず“ナツ”にでも何か買っておこうと一件のお土産屋の店先にしゃがんでは鈴付きの可愛らしい犬のストラップを手にし、チリンチリンと揺らして妹の喜ぶ顔を思い浮かべ微笑んでいて。
(/ナツ名前だけ登場しましたが今後暫く出る予定はしておりません。
勿論使って頂いて大丈夫です(*^^*) そして菊はシスコン←
>露木
( 青年からの誘いにズルズルと引き摺られるも着物を身に纏った相手はなぜか見た事がある気がして。
見た事ある所では無い、暫くの間一緒に居た事がある様な感覚になっては僅かに首を傾げる。
しかし突如現れた教師が写真を撮り終えた後、いつもの如くガミガミと文句をぶつけてくる様子に受け流そうとした所、思いも寄らない相手からの言葉に驚く。
“俺は銀髪が好き”との言葉に無性に照れ臭さが沸き上がってははしゃぐ青年を放ったらかしに相手の姿を探して。
( 着物姿というだけあり直ぐに相手の姿を見付けては後ろから相手の肩を叩く。
妹がいるなど知らずに相手の手にあるストラップを見詰めては「え、あんたそんな可愛いストラップ好きなんだ」と笑いを零して。
しかし直ぐに俯いては「………あのさ、一応、ありがとな」と無愛想な礼を言って。
「黒に染めても良いんだけどさ、…それだと狼化した時に一部分だけ黒くなんだよね」
( おずおずと黒にしない理由を言っては何気無く相手の髪に触れ「俺も…割とあんたの髪好きだよ」と。
そこでふと懐かしさを感じる、以前にもこうした事がある様な感覚になっては再び疑問を持って。
そんな筈は無いではないかと言い聞かせては自分も土産の品に目を通す。
しかし目を引く服装だけあり相手に言い寄る逆ナンの声は途絶えず、なぜか不満そうに眉を寄せる。
そこでふと青年の策を思い出しては暫し迷うが再び相手に言い寄る女性を見れば迷ってる暇は無いかと。
相手の手を取り「すみません、こいつには連れがいるんで」と無愛想に言えば見失わない様にとがっちり手を掴む。
「し…暫く我慢しやがれ、仕方ねぇだろ」
( 自分から言った癖に羞恥が込み上げては途切れ途切れに上記を言い「だ…第一あんたが悪いんだからな、あんたがそんな…」“綺麗な見た目してるから”と言いそうになるのを押し耐えては「まぁ…悪くない見た目だから言い寄ってくんだろ」と。
何を言ってるんだと呆れるが視線を逸らして。
( / 了解です!!!
天使(ナツ)ちゃんの登場楽しみにしてます(๑¯ω¯๑)
シスコンだとは素晴らしい←え
菊君いろいろとおいしいです(^q^)
>桐崎
(突然やってきた相手にストラップの事を言われ弁解しようとするが続く思わぬ礼に驚き、髪に触れられても全く嫌な気がしなく「…黒なんかに染めなくていい。……あんたはそのままのが似合ってる」とそのままにして欲しいなんて言える筈もなく何処か懐かしい気持ちに戸惑って。
その後も何となく相手と連れ添い歩いていると相当暇なのか罰ゲームでもやらされているのか言い寄ってくる女子達にうんざりしはじめる頃、突然相手に引き寄せられては思わず相手をマジマジと見て。
照れているのか、気持ち相手の頬がほんのり染まっている気がして何故だと思う。
嫌じゃないのだろうかと。
しかし確かなのは自分は嫌じゃないということで、この状況をずっと望んでいたように思えて。
無意識に相手に寄り添う自分に気付いてはカァと羞恥が込み上げ同時に此れ以上は本当に“やばい”と感じ、勢い良く腕を振り払って「あ、…あんたみたいな男前に言われても嫌味にしか聞こえないし。……てか、よく人前でこんなこと…っ」キッと相手を睨みつけてはまだ一緒にいたいという気持ちを誤魔化すように身を反し着付け屋に戻っていき。
(出発時間、高校と大学ではバスは別。恐らくバスに乗ってしまえば今日相手と話すのは困難。
先刻のこともあり話しかけ辛いがこの機会を逃せば言えない気がして、バスに乗車しようとする相手の元へ近付き唐突に菓子等が入った御土産袋を差し出し。
「これ…、孤児院の子供達に。………前のこと許して欲しいなんて思わない。…一生恨まれても仕方ないと思ってる。……でも、もう絶対に“巻き込まない”から」
(いかなる理由でも少年を誘拐し恐怖を抱かせた事実は変わらない。
自分の愚かさを恨み、真実を言えないのに無意識に“巻き込まない”と言っては相手に土産を押し付けて返答を待たぬまま大学のバスに乗車して。
(学校につくまでの数時間、合宿中の出来事を思い出しては相手の印象が随分変わったなと。
もう後戻り出来ぬほど距離を縮めてしまい、此れから男の支配下の元どう相手に接すればいいのか考えるだけで気持ちが重くなって。
考えにふけるうちいつの間にか学校に辿り着いては荷物を持ってバスを降りる。
何だか疲れたしさっさと寮に戻ろうとするが門の入口に男の姿を見た瞬間背筋が凍りつく。
まさかもう居るなんてと思わず後退るが、冷ややかな笑顔で“こっちに来い”と言われれば逆らう訳にも行かずそちらに足を向け。
『おかえりなさい、菊。待ってたんだよ。…さあ、今日は俺に家に行こうか。車もすぐそこに止めてあるから』
「……あ、ああ…。でも、今日は疲れてるし荷物も片付けたいんだ。…それに合宿の反省会もあるし、また今度にしたい」
(本当は反省会は明日。だが今荷物の中には相手のシャツもあるし、何より鬱血がまだ残っていて消えるまで日を伸ばしたい。
全身冷たい汗が流れる感覚に小さく息を呑み込みつつ男に願いを聞き入れてもらうため手を取って。
>露木
( 押し付けられた土産の菓子に驚きつつ自分も買って来たのと合わせればかなりの量になる、寮に着くなり郵便に出しては自室へと戻って。
礼を言う前に行ってしまった事を思い出しメールでも送ろうかと携帯を取り出すも悩んだ挙句後にしようと。
( 拒否を見せる相手に男が素直に頷く筈も無く、玄関口だというにも関わらず無理矢理口付けては反応を楽しみつつ表情を冷たくして。
『あれ、菊は俺に会いたくなかったのかな??…ってゆ‐か…何その顔。気に入らない』
( 無理矢理相手の腕を引き相手の部屋に来るも隣の部屋から兄が出て来ては人の良い笑顔で挨拶をして。
『露木いきなり友達連れ込むとか駄目でしょ‐』
『は??…ってゆ‐か君キャラ変わってない??髪とか染めたの??』
『そんな訳無いでしょ、俺は君が想像してる男のお兄さんだよ』
( しつこく絡む兄に苛立ちを見せながらも『兎に角俺達恋人同士だから邪魔しないで』と言い強引に相手の部屋へと入る。
兄が溜息を漏らしどうしようかと考える中、仮に本当に相手の恋人ならば邪魔してまうなと。
しかし相手のあの怯え様からそうとは考えにくく自室に戻っては盗み聞きは引けるなと渋々壁に高性能な音声聴取器を付けて。
( 相手の自室にて、男は腕を組みながら壁に寄り掛かると相手に『携帯出して』と。
『浮気されてたら困るからね』と言い奪う様に携帯を取れば何度かスクロールをし、アドレスを相手に向けては兄と自分のアドレスを指差し『どういう事かな』と。
相手をベッドに無理矢理押し倒し服の上から厭らしく身体に触れ『………あまりふざけないでね』と低い声色で言ってはアドレスを消す様に催促する。
続いて開いたのはデータフォルダ、相手は消した物だと思ってた写真は一番上にあり男の目に触れては一瞬にして表情を消して。
『菊、もう君の言う事は聞いてあげないから。あの化物がどうなろうと全部浮気したら菊の所為だよ。…こ‐んな顔して寝ちゃってさ、どうだった??彼の身体は良かった??………菊も物好きだね、あんな気色悪い身体に反応したんだ』
( 無表情で相手を見下ろしては『もう許さないから』と告げ首筋に噛み付き歯を立てる。
自分と相手が身体を重ねた物だと勘違いしたまま乱暴に痛みを与える様な行為を進めて。
ふと男が動きを止めたのは相手の首筋に残る鬱血の痕、徐に相手の部屋の引き出しからカッターを取り出しては『ここの痕、俺のじゃないよね』と。
冷たい刃を相手の肌にピトリと当てては『何か俺に言う事あるんじゃないの??』と。
>桐崎
(逆らう術などなく言われるがままアドレスを消してブロックし、写真を見て表情を消す男に誤解だと叫ぶも聞き入れられる筈もなく。
与えられる苦痛よりも相手を“気色悪い”と侮辱されたことが悔しくグッと唇を噛み締めては声を殺して隣に聞こえないようにする。
しかしヒヤリと刃が当たる感触に身体を硬直させ喉を鳴らしては怯えた瞳で男を見て小さく首を横に振り。
「……ち、違う。こ、此れは俺が無理矢理…誘って……だからあいつは悪くない。……俺が、全部悪いから、あいつには……ッ!!!!!」
(手を出さすなと言う前に刃が肉に食い込んでは激痛に絶叫が漏れるもすぐに男の口で塞がれ、その後は自尊心を保てず譫言のように“許して”と何度も許しを乞うていて。
数十分後、漸く痛みから解放されるも“死”を脅しに相手を侮辱し決別することを命令されては力無く頷き、男が去った後すぐにシャワールームに駆け込む。
そのため兄が部屋の扉を何度も叩く音に気付くことなく数時間籠もっては切りつけられた部分から血が流れるのを気に留めずぼんやりとしていて。
(翌日、薄っすらと目の下に隈を作りつつも不思議と疲れは感じず、洗って畳んだ相手のシャツを手に無感情で相手の部屋に向かい。
扉を叩き相手が出てきては挨拶も無しに暗い瞳で見据えシャツを押し渡すと其の勢いのまま相手を部屋に押し込み扉を閉ざしてベッドに押し倒す。
腕がミシリと鳴るほど強く押さえつけ冷ややかに見下すも徐々に口元に嘲笑を浮かべ。
「…なあ、あんたさ。俺が本気であんたを“化物”じゃないと思ってると思ったか?……ほんとやめて欲しいよな。ちょっと心許したフリしたらくっついて来てさ。こっちがどれだけ我慢してたか分かるか?“気色悪いんだよ”」
(最低な言葉を冷酷に述べては片手で腕を押さえつけたまま、ベッド脇に置いてある相手の煙草を手にして火をつけると相手の目の近く持って行き見せつけた後、首筋ギリギリに近づけて「…あんた親と仲悪かったんだってな。この傷も…ここも全部親にやられたんだろ?」と乱れたシャツから覗く火傷や痣に触れて爪を立て。
次いで冷笑を浮かべたまま銀髪を撫で上げ相手の耳元に口元を近づけては“化物”と蔑み、首筋に近づけていた煙草を当てようとする。
が、…相手の怯えた表情をみた瞬間、我に返ってしまい奥歯を噛み締め泣きそうになるのを堪えては煙草をベッド脇に押さえつけ火を消すと「二度と俺に近付くな」と冷たく吐き捨て部屋の扉に手をかけて。
>露木
( 翌日、突然の相手の訪問に僅かに緊張が走るが表情の無い冷酷な相手の言葉に戸惑いが生まれる。
蔑みの言葉を並べる相手の表情が気に掛かるが“化物”と言う言葉は子供の頃からのトラウマでもあり俯いては唇を噛み締める。
しかし首筋に近付く煙草に目が言ってはカタカタと震え「………や、………やめ………」と言葉にならない言葉を並べるもあと少しで肌が焼けるのを感じ取りギュッと瞳を閉じる。
しかし寸の所で煙草が当てられたのは自分の顔すれすれのベッドの上。
切な気な表情を浮かべる相手に無意識に手を伸ばすも触れる事無く扉へ手を掛ける相手に「ちょっと…待って」と引き止めてはまだ僅かに震える身体を誤魔化し机の引き出しから紙袋を取り出す。
中には孤児院の子供達からお土産のお礼の手紙が入っており、以前相手が誘拐した少年からの手紙も含まれて居て。
「………ごめん、…無理させてたみたいで。………もう………本当に関わらない」
( いつだって自分を他人目線から見る様に考えてた。
人間ではない存在と行動を共にしてたなど恐ろしい事この上ないし、ましてや触れられてたなんて考えると気色が悪い。
冷静にならなければと考え相手に触れない様に紙袋を押し付けては相手が去った部屋の中、自分という存在がここにある事に僅かに恐れを感じたりして。
( 夕方、沈む気持ちを隠しながら久し振りの仕事へと向かう。
来る人来る人が自分とは違う“人間”、相手の心の内など知らずに仕事場へと来てはバックルームにて着替えを済ませる。
『久しぶりだな桐崎、ってかお前傷だらけじゃん。そんなに合宿ハードだったのかよ』
「……………まぁ」
( フロアにて客の頼む酒を飲みながらぼんやりとする。
年齢だって隠して雇ってもらってる為、知り合いが来るのは気が引けるが大人しく客の話に耳を向けていて。
( その頃、男は相手を呼び出し尚もどこか冷たい表情で相手の腕を絡ませる。
『さて、どこ行こうかな。どうせならあの化物も来てくれると色々楽しくなりそうだったんだけどね』
( 自分がどこに居るのかなど知りつつも意地の悪い笑顔で自分のバイト先に来ては相手を壁に抑え付ける。
『金貰って来てよ、気に入らないんだよねあの餓鬼。………あ、一応言っとくけど見てるからね。誤魔化したりしたらまた皆で菊を虐めないといけなくなるから』
( 自分のバックには数人の男達がいると言う事を軽く伝えては相手の背中を押し店内へと放り出して。
>桐崎
(フラフラと自室に戻ってはストンとベッドに座り込み両手で頭を抱えて俯く。
相手の震える身体、怯えた表情…そうなることは分かっていたのになんて自分は愚かなのだと拳を握り。
今辛いのは相手なのに傷付いている自分が恨めしく、子供達からの暖かい言葉も今は胸を重くするものでしかなくて。
(夕方男に呼び出され言われた言葉に、昨日言いつけは守ったと反論しそうになるも冷たい瞳に圧され放り出されてしまえば進むしかなく。
ホストの入口、一見で男の客、しかも一人は珍しく目を丸くされるが男の名前を出し相手を指名すると直ぐに中に通され奥のVIP席に連れられる。
慣れない環境な上に此れから相手から金を巻き上げなければならないと考えると落ち着かずにヘルプのホストに前出しの酒を出され何か話しかけられても相槌を打つだけで。
だいたい昨日“近付くな”と言ったばかりなのにおかしいではないかと俯いていると相手がやってきて顔を上げてはそのスーツ姿に見惚れる。
以前も見たことがあるがこうして店で見ると一際輝いて見え誰もが一目惚れするのも無理がないと。
そこまで考え今自分がすべきことを思い出してはハッとなり「隣、来て」と相手からすると何とも不自然なことを述べてはヘルプのホストを外させて。
別に相手から金を巻き上げるくらいなら男に乱暴されるくらい耐えられるが、恐らく其れを言えば子供や姉達を人質に出してくる。
やはり逆らえないと馬鹿な思考が働いては相手をジトリと見て。
あんたさ、まだ此処のバイトやってたんだ?ていうか良く雇って貰ってるよな。それとも年齢も“あのことも”黙ってるのか?
(声が震えるのを抑えフッと鼻で笑っては酒の入ったグラスの口を指でなぞりながら「ここの店の奴等とあんたの客に全部バラしたらどうなるかな?」と相手をチラリと見て手を伸ばすと襟で隠れた火傷の痕に指を忍び込ませそっと撫で。
……バラされたくなかったら金、出してくんない?
(そう言って携帯を出しては何枚かの写真を見せる。
それは男が何処で仕入れて来たのか相手がこの学校に来る以前の見世物の写真で。
提示額は軽くこの店のドンペリプラチナ(100万)分。
今更だがこんな阿呆なことをしてる自分が惨めになってきては微かに携帯を持つ手が震えて。
>露木
( 不意に呼ばれた席に向かうもそこに居た相手の姿に思考が停止してはおずおずとそちらに向かう。
思いも寄らない言葉と写し出された写真に一瞬ヒヤリとするも平然を気取っては一度言葉を飲み込み「…どこで手に入れたんだよ」と。
しかしその様な無様な過去を晒されたくないのも事実で大人しく席を立っては財布片手に相手の前に戻る。
相手がこんな事をする筈ないのはどこかで分かってる筈なのに先程の写真の事もありまともな判断が出来ずに「そんな多額の金持ってない、…今から下ろして来るから」と店の目前のコンビニへと向かう。
真っ直ぐATMへと向かい相手の元に戻ると「………あんたの意思でやってるのか」と問い掛ける。
封筒を相手に手渡し、「違うだろ??…誰かにやらされてんのか??………誰だ」と。
短い合宿の間の相手の一面が嘘だとは思えずに縋る様に見詰めるもふいに相手に絡み付いた腕に目が行き腕の先に目をやる。
『人の恋人口説かないでくれるかな??』
( 相手の恋人である男が満面の笑顔で相手を抱き締めるのが無性に堪に触り咄嗟に相手の腕を掴もうとするも超えられない“化物”という壁を思い出しては寸の所で戸惑い伸ばしかけた手を戻して。
男は相手の耳元で『俺に合わせて』と囁き肩を抱いてはどこか勝ち誇った様にこちらを見詰めてきて。
『可哀想だよね、君のお客さんも。まぁ皮だけ人間だったら騙されちゃうか』
「……………っ、………俺は………」
『“人間だ”な‐んて言わないよね』
( 男の言葉は一々胸に突き刺さり蒼白になりながら俯けば男は相手から現金の入った封筒を受け取り『良くできました。暫くは妹さん達には手を出さないよ、逆らったら…わかってるよね』と相手にしか聞こえない程の声量で言って。
『じゃ俺達デートの途中だからさ。行こうか、菊』
( 去ろうとする男の腕をガッと掴んでは胸倉を掴み上げ「…あんた…本当にこいつの恋人なんだろうな!!………なんで、こんなに………怯えてんだよ!!」と。
必死に作ろう表情の裏の怯えを感じ取るも男が汚らわしそうに自分を突き飛ばし『触らないでくれるかな、気持ち悪いんだよ』と。
『全部菊の意思だよ、俺に告白してきたの菊なんだから。それよりも君菊のストーカー止めてよ、困ってるって相談受けてたんだから。怯えてるのは君が怖いからじゃないの??』
( 男の言葉に唇を噛んでは衣服の乱れを直し一瞬何か言いたそうにするも言葉にならず逃げるように裾を返して。
>桐崎
(相手のどこか怯えの含んだ強張る表情、こんなことさせたくないと思うのに金を取りに立つ相手を止めることも出来ず机の下でグッと拳を握る。
封筒を渡され“誰にやらされた”と問われては小さく目を見開き一瞬本当のことを言おうと口を開きかけるも男に制され、男が相手を蔑むのに沸き立つ怒りを必死で押し殺す。
その怒りは男に対してというよりも、自分に対してで。
今、相手を“化物”と侮辱し傷付けているのは他でもない“自分”。
相手に心を許しておいて都合が悪くなると突き放す最低な人間…。
それなのに相手は男を疑い、自分を信じようとしてくれている。
グッと拳を握っては感情をなんとか抑えこもうとするも、相手の酷く辛そうな青ざめた表情を見た瞬間プツンと自分の中で何かが切れた音がして。
身体の中の細胞が暴れて血が逆流するような感覚に陥れば、背中を向け去り行く相手に口角を上げて身を寄せてくる男の腕を掴み上げる。
驚く男の表情も今の自分には見えておらず、無意識に能力を解放しては男から記憶を消そうとし。
しかし感情の激昂は止まらず能力が暴走しては自分を中心に風が舞い上がり空気の珠(記憶を消すための念)が四方に散ってグラスを割り椅子や置物をなぎ倒し壁に傷を付けて。
全ての力を使い果たし漸く風が落ち着いてはぼんやり顔と上げる。
散らばるガラスの破片、倒れる椅子や花瓶、周囲の怯えきった表情が見えて、“あー、またやってしまった”と思った瞬間、意識が遠退きその場に崩れ落ちて。
男は記憶を喪失、改ざんされたことでガタガタと震え立っては『な、んだよ、これ……』と後退り、受け取ったばかりの100万を震える手で相手に押し付けると逃げるように店を出て行き。
(/補足:この時、男の記憶は混乱しているが菊の能力が定まっていなかったため一時的なもので後から回復する予定。
>露木
( 目の前で起こった事が理解出来ずにただ驚いた様に相手を見詰める。
人目に触れるここには居られないと判断しては店の裏に連れて行き相手の頬に付いた傷に触れようと手を伸ばすが思い出した様に手を引っ込めるとポケットのハンカチを取り出し直接は触れない様に相手の傷の血を拭き取る。
「………あんた、恋人だろ??あいつは。………何してんだよ」
( 消毒をし絆創膏を貼ると俯きながら「送ってくから」と、ただ相手を放って置きたくないだけな自分勝手な事を言って。
「触れたり…しないし、送ってくだけだ」
( ボソリと言い職場の先輩に事情を話すも先輩は相手に目を向けては緩く口角を上げる。
『君かなり良い顔してるね。…そうだ、今日のお店の片付けは俺達でやっとくから気が向いたら君ここでバイトしてよ』
( 能力の事を目の当たりにしたにも関わらず恐れる他の人間達に構わず相手に笑顔で告げては『待ってるから』と。
( 帰り道、一定の幅を取りながら寮への道を歩く最中相手が恋人を傷付けたのは自分の所為なのかと。
男の一方的な関係で合った事は持ち前の鈍さから気付けずチラリと相手に目を向けては俯く。
「あのさ、…別にあんたと仲良くしたいとかそういうんじゃなくて………ただ合宿の時のあんたが本物なのか今のあんたが本物なのか分からない。………べ、別に普通に馴れ合えないのは自覚してる。………俺人間じゃないから」
( 語尾に乾いた笑みを混ぜては大学生寮が見えそれと共に兄がこちらへ駆け出してくる。
『露木!!!昨日………大丈夫だった??ごめん、直ぐに助けに向かうべきだったんだけど俺ピッキングまだ習得してなくてさ』
( さらりととんでもない事を言う兄がごく普通に相手に触れるのをどこか羨ましく見詰めては視線に気付いた兄がこちらに目を向ける。
しかし自分からサッと逸らしては「じゃあ俺…部屋戻る。じゃあな」と言い高校生寮へと向かって。
>桐崎
(帰り道、まだぼんやりする思考の中、聞きたいことも言いたいことも沢山あるのに言葉に出来ず寮まで来てしまっては相手の言葉と切なげな微笑みにズキリと胸が痛む。
“人間じゃないから”という相手の言葉が何度も頭の中でリフレインしては、いつまで自分は相手にこんな顔をさせるつもりなのかと奥歯を噛み締める。
もういっそ全て話したほうがいいのではないかと思ったとき兄が駆け寄ってきて。
まさか盗聴されていたとは思わずやはり声が洩れてしまっていたのかと冷や汗が伝うも相手が離れて行くのを見ては、もう二度と話せなくなる気がして気付けば相手の後を追い腕を掴んでいて。
「…待て、……待って欲しい。……話があるんだ」
(相手の手を“化物じゃない”と言うようにグッ握りまっすぐに見詰め、身勝手だと分かっていながら強引に手を引くと「…あんたも来て」と兄に声を掛け自室に連れ込んで。
(重たい空気の自室、二人をベッドに座らせ自分は向き合う形で床に座る。
何から切り出せばいいのか分からなく俯いてしまうが覚悟を決めると小さく息を吸い込み自分の能力のこともずっと男に脅され恋人関係を強要されていたことも、相手を貶めるよう命じられていたことも全て明かして。
全てを話終えると兄や相手の顔をまともに見られないまま深く頭を下げ謝罪する。
何を言われるのか、信じてくれるのか恐怖で顔を上げられなかったが一番言わねばならないことがあるとゆっくり顔を上げ相手の手を取ると両手で包み込むようにして。
……あんたには…謝っても謝りきれない。……散々酷いこと言って…傷付けて、ごめんな。
(もう相手の傷付く顔を見たくなかったのだと続けては自分でも何故そうしたのか分からないがフラリと立ち上がるとベッドに座る相手を抱き締めて「……あんたは人間だよ。…綺麗で優しくてまっすぐで……」俺のがよっぽど人間じゃないと言いかけ言葉を呑み込み、息を詰まらせながらも小さく微笑み銀髪を撫でて。
しかしすぐに身を離しては「……悪い、触られたくないよな」と再び謝り目を逸し。
………聞いてくれてありがとな。……だいぶ、楽になった。……でももう忘れていいから。…あいつとは別れられないし、捨てられるまで付き合っていく覚悟は出来てる。……ただあんた等が関わると厄介なんだよ…。ほんと迷惑なんだ。…だから此れからはもう俺に必要以上に近付くな。
(互いの為に此れが最善策なのだと自己判断しては、わざと刺のある言い方をして突き放し「話は済んだ。…もう出てけよ」と強く言い、まず兄の手を引き無理矢理室外に押し出し、次いで相手の手を取ると同じように外へ出して扉を閉ざそうとして。
>露木
( 引き止められ相手の部屋にて話を聞くも全て男の命令による物だと理解し、嫌われてた訳じゃないと分かるとなぜか安心して。
抱き締められる温もりさえどこか切なく相手の背に回そうとした手を引っ込め悲しく微笑む様に胸を強く痛めて。
一通り話終え部屋の外に出されるも扉をドンドンと叩いては中にいるであろう相手に声を掛ける。
「ふざけんなよ、あんた何でもかんでも自分勝手過ぎる。…悪いが全部俺の好きにさせて貰うよ、あんたに付き纏うのも付き纏わないのも俺の勝手だ。………散々迷惑掛けられたんだ、好きに暴れさせろ」
( 上記を言い残し自室へと戻る自分の背中を見詰めた兄がふうっと溜息を漏らすと徐に携帯を取り出し『あ、もしもし赤城??今から俺の部屋に来て、うん。頼み事。ちゃんと報酬は付けるから』と。
( 翌日、いつもの様にバイトへと向かう途中大学生寮にて相手とばったり出会してはいつもの無表情で「あ、昨日の勘違いすんなよ。俺はあんたが大嫌いだからこれからも迷惑掛けてやるっていう意味だから」と言いスタスタと通り過ぎる。
既に兄が動いてる今、相手とは不仲で合った方が全てが進みやすい。
自分から言った癖に胸を痛めてはさっさとバイト先へと向かって。
( バイト先の玄関口に居たのはあの男、記憶が戻ったのかこちらを睨み付けながら歩み寄って来て。
「怒りの矛先を向けんのはあんたの恋人だろ??」
『菊にはあとからたっぷりお仕置きするから。………まずはお前だよ、君本当に気に入らない』
「ふざけんなよあんた、八つ当たりもいいところだ」
( 面倒そうに通り過ぎようとも男が過去の自分の写真を見せ付けて来てはそれをジッと見詰める。
「そんなんで勝ち誇ったつもりか??」
『学校と仕事場に送り付けられたら困るんじゃないの??君“化物”なんだから』
( 男の言葉が一瞬突き刺さるも冷たく見下ろしては「いつまでも上手く行くと思うなよ」とだけ言い残しさっさと店に入って。
>桐崎
(全て打ち明けた翌日、相手と出会し言われた言葉を鵜呑みにしては少しでも期待していた自分を恨み当然の反応だと浅く息を吐く。
むしろ嫌われて良かったのだと思うも“好きに暴れる”と言う相手の言葉が気がかりで男の怒りが相手や兄に向かないように仕向けねばなと思い。
(夕方、久々に家庭教師のバイトが入っていたのに男に呼び出されては生徒に謝罪のメールを送り重たいで男の家に向かう。
到着するなり腕を引かれ店で起きたことを咎められては大人しく聞くことで受け流し、もう相手に関わらないよう頼んで。
『その頼みは聞き飽きたよ。それに俺を裏切ったのに頼み事なんて虫が良いんじゃない?』
「…分かってる。でも、彼奴等を構う時間があるなら、あんたとその時間をゆっくり過ごしたい」
『どうせ其れも嘘なんでしょ?でもいいよ。一緒には過ごして上げる。良い物見れるから付いてきて』
(含み笑いを零す男に腕を引かれては何を企んでいるのか分からぬまま相手のバイト先に連れられて。
(其の頃相手のバイト先では、男に雇われた資産家の男や女が相手を指名し普通ではあり得ない桁違いの量、それこそ急性アルコール中毒になるような量の酒を注文し相手に飲むよう命令していて。
『ご主人様からのご褒美だ。残せるはずないよな?』
『私、繿君がイッキするところもう一回みたいなぁ』
『ほら、感謝してさっさと飲め』
(一人の男がゲラゲラと下品な笑いを零しながら相手を跪かせ髪を掴んでは一瞬冷酷な表情を浮かべ『これ、ばらされたくないんだろ?』と相手にとって弱みである写真を見せつけては首筋を撫で上げ煙草を近づけて。
>露木
( 男に仕向けられた策だとも知らずに多過ぎる酒の量に吐き気が催すのを押し耐える。
酒には強い方だった、しかし異常な量と度が強い酒ばかりの為段々と思考が麻痺して来て。
店の者達は良い客が入ったと人の気も知らずにコールを上げて来るが今はそれさえ耳障りで。
もう無理だと断ろうとした所、男の手にある写真と煙草の火にサッと顔色が変わっては再び注がれた酒を口にして。
床に膝を付いたまま僅かに赤らんだ顔でグラスを置くと男を睨み付ける。
再び注がれた酒に眉を寄せると『生意気な目をしやがって…こっちは金を積んでるんだぞ』と頭から酒を浴びせられ。
腹の底が煮えくりそうになるが負けて溜るかとグラスの酒を一気に飲み干す。
グラリと体制を崩し玄関口に目を向けるとそこに立ってたのは相手と男の姿でグッと唇を噛む。
『繿君、君をご指名するよ』
( ニヤニヤと笑みを浮かべる男を睨み付けそちらに向かうも何時間も強い酒を飲まされてた事もあり目眩が襲い掛かって来て。
『お客さんにそんな顰め面して良いの??…ほら、君の為に高い酒頼んだんだから。……あれ、飲めないの??』
( 馴れ馴れしく相手の肩を抱く様子に苛立ちは募るがグラスをバッと受け取ると「まさか、こんなに金積んでもらえたらNo.1の席も近いからな。有り難く頂くよ」と強気な一言を述べて。
ビシャビシャになった服を軽く払い男と共に相手を睨み付けては酒を渡す。
「俺ばっか飲んでんのは失礼なんで」
( 相手を蔑むのは嫌だが男と居る以上は不仲であるのが一番最適、見下すように「こんな所に来るなんてさ、互いに満足出来てねぇんじゃねぇの??」と言ってはクラクラとする頭に耐え髪をグシャリと掴んで。
『まさか、菊が君の無様な姿を見たいって言うから着いて来ただけだよ』
( 男は相手をグイ、と引き寄せると自分は見せ付ける様に深い口付けをして。
>桐崎
(相手のバイト先に到着して相手の姿を見た瞬間サッと血の気が引く。
頬は蒸気しているのを通り越し青ざめているように見え、男の卑しさに睨みつけそうになるのを必死で堪える。
席に着き尚も男が酒を相手に勧め、相手が明らかに無茶をする様に心配するも、此方を蔑むように睨む相手は本気で自分を見下しているように見えて。
やはり昨日の話は信じて貰えなかったのかもしれないと馬鹿な思考が働き、身勝手にも悲しくなりながら男の口付けに応じる。
息苦しさに眉を寄せつつも演技しなければと自らすすんで唇を奪っては名残惜しむように離し相手をチラリと見て「俺達、見られてるほうが興奮するんだよね」と笑み。
しかし相手はその声が届いているかも分からぬほど意識が朦朧としているように見え、それでも尚男が相手に酒を強要するさまに相手が死んでしまうのではないかと焦燥にかられてはこれ以上相手に飲ませまいとボトルを手に取り残りの酒を飲み干して。
酒は弱く視界がチカチカするも何とか耐えては先程相手に渡された酒もゆっくりだが流し込み男に甘えるように抱き着いて「…そいつばっかり構わないで。放おっておけばいいだろ?」と口付ける。
が、流石に慣れないことをしたせいか酔いの回りが早く頭がグワングワンし思考も疎かになりぼんやりとし始め。
定まらない意識のまま男から離れ相手を見詰めては周囲の目も気にせず抱きつき頬に口付けて。
しかしそれを男が黙って見ている筈もなく『菊、悪酔いしすぎだよ』と相手から引き剥がされては椅子に座り直され『ちょっと待っててね』と言われ誰の声かも分からず頷き。
男はそれを確認すると今度は殆ど限界に近い相手を掴み上げ『君はこっち来て。おもてなししてあげるから』と不気味に微笑んでは店のオーナーに易々と許可を貰い、相手を店外に連れ出すと店からすぐの空き家に乱暴に放り投げて。
『ほんと君って気に入らないんだよね。でも君みたいなのでも好きな輩は沢山いるんだ。今日はその人達にたっぷり可愛がって貰いなよ』
(男は相手の前にしゃがみ煙草を近づけ恐怖を煽っては空き家の隅に行き、それと共に厭な笑みを浮かべた男達が来ては『大人しくしてろよ』と相手の銀髪を撫で上げて。
>露木
( 男の口付けに応じる相手の姿にズキリと胸が痛むももしかしたら本当にその男が好きなのではないかという疑心と不安に駆られる。
相手の妖艶な微笑みに眉を寄せ表情を崩すも今はこれを続けなければならないのだと言い聞かせて。
再び酒を強要してくる男を睨み酒を受け取ろうとした所、不意に相手がボトルを奪い取り飲み干す様に呆気に取られて。
甘える様に男に抱き着くも相手と目が合った瞬間こちらへ歩み寄りいきなり抱き着かれては一瞬思考が停止し“こいつ酒に弱いな”と考えジトリと見詰める。
しかし相手を目前に冷静に居れる筈もなく腕を回そうとした所男に相手を奪われては罰が悪そうに視線を逸らして。
休む暇など与えられず男に連れて来られた空家にて数人の男達に囲まれた事で全てを理解し必死に逃げ道を探す。
『逃がす訳無ぇだろ兄ちゃん、こっちは金払ってるんだぜ??』
『恨むならあの“二人”を恨みな、お前が二人の恋路を邪魔するから痛い目見せられたんだ』
( ゲラゲラと笑い声を上げる男達から距離を取りつつ空家の扉をガチャガチャと鳴らすが鍵が開く事は無く。
外から鍵を掛けられてる事を理解しては絶望的になり男達にジャケットを取られても酒の力から抵抗も出来ず。
力無く男の身体を押すもそれさえ意味の為さない事に終わって。
( 男は上機嫌で相手の元に戻るとぼんやりとする相手を抱き抱え店の直ぐ近くのホテルへと入る。
酔いが回った相手が自分から男を求める様に気を良くし深く口付けては満面の笑顔で『菊は俺のだもんね??』と問い掛けて。
行為を終えた数時間後、眠る相手の髪に口付けては携帯を取り出し先程の男達に電話を掛ける。
『あ、もしもーし。俺だけどさ、終わった??』
『こっちは終わりましたけど…そっちもお楽しみだったんすか??』
『まぁね。彼今どんな感じ??』
『気絶してますよ、もうグッタリと』
『じゃあそのままにして君達帰って良いよ』
( 男はクスクスと小さく笑っては寝息を立てる相手の頬に触れ軽く口付けて。
( 数時間後、空家の中で目を覚ましては軋む身体を起こし着替えを済ませる。
フラフラとしながら扉を開けた所、男が立っていては僅かに身が強ばる。
男は隣の相手を抱き寄せ見せ付けては『どうだった??』と聞いてきて。
「あんたのお陰で良い思いが出来たよ、また頼むって伝えといてくれ」
( 精一杯の強がりを言っては相手の横を通り過ぎ逃げるように寮へと走って。
>桐崎
(ホテルでの記憶は殆どなく半酔いのまま外に連れだされ相手のいる空き家前まで連れて来られ。
相手にどれほど酷い目にあったかなど知るよしもなく、身を硬直させる相手をぼんやり見詰める。
強気な言葉を言う相手の表情がなぜか泣きそうに見えてはスッとその目元に触れようと手を伸ばすも横切られてしまい無意識に「“らん”」と息吐くように呟いていて。
(寮の入口にて丁度兄が相手と鉢合わせてはその異様な相手の様子に何かを察し黙ってその身体を支えると相手の部屋まで送る。
数時間後、シャワーから出てきた相手を静かに見詰めてはタオルをポフリと被せ顔を見えぬようにすると微かに震える相手の髪を優しく撫でるように拭いてやり。
『……大丈夫?……全く、あまり無茶するからだよ』
(相手に水の入ったコップを渡してやりながら、兄は相手がシラフならそこらの男等太刀打ち出来るのにと表情を僅かに歪めるもすぐに微笑み。
『まあ、ゆっくり休みなよ。なにかあれば俺でも赤城にでも頼ってくれればいいから』
(珍しく素直に優しい言葉を掛けてはなにか聞きたげな顔をするも今はそっとしておこうと思い相手の部屋を後にする。
扉を閉ざし暫く歩いたところでフと足を止めては相手に見せようと思った紙に視線を落とす。
其処には男が様々な店を支配下に置くために国家機密の闇買収ルートを無断で使った形跡が記されていて。
もし此れが表沙汰になれば男は国に内密に捕縛されるか“消される”かのどちらか。
何にしてもこの情報を取り扱う時は慎重にならねばと、紙を鞄にしまい真剣な表情で自身の部屋に戻っていき。
(翌朝、寮の自室にて起床しては激しい頭痛に頭を押さえる。
昨夜、相手のバイト先にてボトルを一気飲みしたところまでは覚えているがその後の記憶がかなり曖昧でただ身体中嫌な悪寒が残っていて。
何があったのか…、少し考えて浮かんだのは空き家のような場所で相手が微かに身体を震わせる姿。
冷水を頭から浴びせられたように目を覚ましては、すぐに身支度を済ませ部屋を飛び出すと感情の成すがままに相手の姿を探していて。
>露木
( 飲み過ぎた事もあり体調は最悪、何度もシャワーを浴びたにも関わらずまだあの気持ち悪さを感じては本日何度目かも分からない吐き気を感じ洗面台へと走る。
冷たい水で顔を洗い鏡を見ては酷い顔だと溜息を付き再びベッドへと身体を預ける。
どうしても頭に浮かぶのは相手の事、あれから男に酷い目に合わされて無いだろうか、それともあれは演技ではなく本心からの行為なのか。
昨日相手が男に口付ける様子を思い出しては胸が苦しくなり考えるのを止めにして。
確か今日から合宿の振替休日だった筈、学校が無くて良かったと考えるも部屋の中居てはどうしても昨夜の事が浮かんでしまい軽く着替えては自室を出る。
イヤホンを付け大音量で音楽を流しては財布と煙草と携帯のみをパーカーのポケットに入れ街にでも向かおうかと。
しかし高校生寮の玄関口で相手とばったり出会しては足を止めてしまって。
足を止めてから素通りなど出来る筈も無く、確か相手は酒に弱かった事を思い出しては不仲を決め込まなくちゃならない事すら忘れ一定の距離を保ちながら相手へ一歩詰めて。
「………昨日、あんなに強い酒一気に飲んでたけど…大丈夫なのかよ」
( 相変わらずの無愛想で問い掛けながらイヤホンを外しチラリと相手を見ては直ぐに視線を逸らして。
自分が今一番気になってるのはあの後男と何か合ったのかという事なのに部外者の自分には聞く権利などなく押し黙っては俯く。
重い空気に耐えられず一呼吸置いては弱さを相手に見せたくない一心で「あ、あの男に礼言っといて。あんなに高い酒積んでもらったから今月の給料は期待出来るからな。…それともまた金取りに来んのかな」と強がった言葉を言っては軽く笑って。
相手が自分を探してた事など知らずに横を通り過ぎようとした所、後ろから『兄さーん!!!』と呼ぶ声が聞こえては怠そうに振り向く。
ブンブンと手を振りながらこちらへ走って来る青年に気付き無表情で立ち止まると青年が笑顔を向けて来て。
『兄さん遊びに行こうよ!!!………でも、あれ…何か体調悪そうだね』
「…別にそんな事無いけど」
『えぇ??…でもなんか…』
「だから何でもないから」
( 弱さを見せたくないと言うのに青年の言葉に焦っては否定を続ける。
青年の後ろの相手はこれからあの男の元に向かうのかと思うとやりきれない気持ちになり、言葉にならないそれに表情を歪めながら何か言いたそうに相手を見詰めて。
>桐崎
(居てもたっても居られず部屋を飛び出してしまったが、いざ相手を目の前にしては距離を置かねばならないのに何をしているのだと一瞬冷静になる。
しかしすぐに相手の辛そうな表情が浮かんでは、自分のことを心配してくれ青年の言葉を否定し続ける相手をやや厳しい目つきで見詰めピトリと頬に手を添えて。
「…赤城の言う通りだ。…あんたそんな顔色悪くて何処か行こうとするなんてどうかしてる。だいたいそんな大音量で音楽聞いてたら頭に響くし耳にも悪いだろ」
(相手の気など知らずに昔からの癖でどこか説教じみた口調で述べてしまっては、偉そうにいえた立場ではなかったと目を逸らす。
それでも相手をこのまま行かせたくなくて手を取っては「…赤城ごめん。ちょっと此奴に話あるから」と青年に断りを入れ相手の腕を引き近くの喫煙室に入って。
(ズキズキと頭痛が鳴り止まない中まさか記憶がぶっ飛んでるなんて言える筈もなく平静を裝い相手を見詰め、相手の表情が気になり探しに来たことを打ち明けて。
「…俺から近付くなって言ったのに意味分からないだろうし、あんたは俺の言ったこと信じてないかもしれないけどさ……、俺はあんたが彼奴に嫌がらせされて…そんな顔するのは見たくないんだ。…ていうか、そんな顔させて御免な」
(相手が何をされたか、それは男の性格と身を持って体験した感覚からなんとなく分かって。
切なげに表情を歪ませては相手の目元をなぞり「……もう嫌な思いさせないようにするから」と声色静かのべ相手の肩に手を置くと“ゆっくり休め”と言うように軽く手を叩き頭痛が酷くなってきたため勘付かれる前に喫煙所を後にして。
(足早に自室へと戻るももう少しというところで兄と真正面からぶつかってしまい痛む頭を押さえるもフと床に落ちた紙に気付いては其れを拾い上げる。
そこには兄と青年が調べあげた男の弱みが書いてあり驚きで目を見開くも、と同時に此れで男から解放されるかもしれないと期待が溢れる。
流石に男も国を敵に回すことは出来ない筈と、冷や汗を流す兄に礼を言ってすぐ男の元へ足を向けようと。
>露木
( 一人残された喫煙室にてやはり気付かれたかと思う反面心配してくれてる様な言い草に期待を持ってしまう自分が酷く嫌になる。
髪をグシャリと掴んでは大人しく自室へ向かいベッドへ身体を預けるも先程同様一人になってしまえば思い浮かぶのは相手の姿で。
どうしようもない怠さに襲われては部屋の鍵も開けっ放しに寝息を立てて。
( 兄は走り去ろうとした相手の腕を掴むといつもの優しい笑みを浮かべ『露木待って』と。
紙を拾い上げた相手の表情より相手が男から逃れたいと強く思ってるのは明確、しかし相手が男に脅しを掛けるのは危険だろうし自分は既に顔が知られてる。
『露木は俺と一緒に待機ね、行くのは赤城』
( 兄のメール着信音がなると相手に“分かったよ、やってあげる。ご褒美ちゃ‐んと用意しててね(`ヘ´)”と書かれた内容を見せて。
( 相手の携帯から男を呼び出し待ち合わせ場所に青年が待機するのを相手と兄が遠目に見詰める。
現れた男は相手の姿がない事に顔を顰めつつ青年に近寄ると腕組しながら青年を睨み付けて。
『君誰??ってゆ‐か何の用かな』
『俺??俺は兄さんの恋人。…あのさ、そろそろ露木菊を解放して貰いたいんだよね』
『部外者に言われなきゃいけない理由が分からない、それに菊は望んで俺と居るんだよ』
『まぁそんなのどうでも良いんだけど…言う事聞いてくれないんだったらこっちも動かなきゃかな』
( 青年は幼い笑顔を浮かべながら男の悪事が綴られた紙を取り出すと『お巡りさんに見せちゃうかもよ??』と。
男はあからさまに表情を変え青年に掴みかかるも街の中だけあり勇敢なサラリーマンが男を取り押さえて。
『いくらだ!!!いくら出せば良い!!!』
『え、だからお金なんていらないよ??露木に近寄らなければ良いんだって。…あ、ここにある紙だけだと思わないでよ??パソコンにもいれてるし携帯にも入れてるし勿論兄さんも綸も露木もみ‐んな君の弱味を握ってるからね』
( 再び青年に殴りかかろうとするも街の人数人に押さえ付けられては警察を呼ばれて。
男が人混みに埋まる中、青年は満面の笑みを浮かべると『約束だからね』と。
そして物陰にいた相手と兄に駆け寄り『これで大丈夫だよ、もう近寄って来ないと思う』と告げて。
『赤城、助かったよ。俺の露木が脅迫されてたと思うとあんなんじゃ足りないけどな』
『え、露木って綸のだったの??…それよりご褒美。そうだ、この連休ずっと兄さんと居させてね』
『あ‐…うん、いんじゃない??』
『やった!!じゃあ早速看病しに戻らなきゃ』
( 青年はやや小走りで寮に戻ろうとするが思い出した様に相手の携帯の取ると男の弱味であるデータと自分のアドレスを送って。
『後で兄さんにも送っといて、皆持ってないといつ何されるか心配でしょ??』
( 相手に携帯を返し上記を告げると再び寮への戻り道を歩いて。
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