xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(相手が午前中のバイトを終える頃、すれ違いで指定された時間に支配人の店へ訪れては着てきた服で良いと言われて客のいる席に行き笑顔を貼り付けながら挨拶するも男性客は不満気に舌打ちされて。
『なんだよ。繿くんじゃないのか。俺は繿くん目的で来たんだけどな』
「すみません。彼、臨時だったのでいつもはこの店にいないんですよ」
『ええ、そうなの。うわあ、最悪。せっかく繿君のために色々持ってきたのに』
(あからさまに溜息を吐く男の足元にある紙袋の中には明らかに女物と思われる服が入っていて、いったい相手に何をさせるつもりだったのだと男を睨み付けそうになるのを堪え「そう言わずに呑んでください。今日はあなたの好きなロゼワインが入ったんですよ」と何とか機嫌を取ろうと酒を進め。
内心、こんな変態男を相手に近付けさせた自分が許せず勝手に相手の仕事を変えたことを至極悔やみつつ心の中で何度も相手に謝って。
(夜、短時間で上がらせて貰うも疲労感は半端無くやはりまだ身体が拒否反応をしてしまうなと溜息を吐き。
相手にもっとちゃんと謝ったほうが…と携帯を出すが、束縛しないで欲しい的なことを言われたばかり。
何より距離を置くと言ってしまったしなと携帯をポケットにしまったところ、バイト終わりの男子生徒に出会して。
『あ、先輩。…どっかで呑んできたっすか?お酒と煙草の匂いしますけど』
「匂い、そんな分かるか?……ちょっと付き合いで居酒屋行ってたんだよ」
『へぇ?…あ、そう言えばまだプラネタリウムの返事ちゃんと貰ってないっすけど…』
「…だから…」
(行かないって言っただろと言おうとして共同スペースで相手が新人にチケットを押し付ける光景が浮かんでは“あの二人は一緒に行くんだ”と馬鹿な勘違いを未だにして。
_相手と新人の関係が良いのは確か。だがそれ以前に相手は自分を“重たい”と思ってる。
ならば男子生徒と友達として仲良くしてるところを見せれば少しは束縛感が軽減されるかと。
いや、そんなのは良い子ぶった言い訳で本当は相手が嫉妬するところを見て自分への愛を確かめたいだけで…_。
「…分かった。空けとく。でも今忙しくて一日は空けられないから午前だけな」
『まじっすか?じゃ明日でいいっすか?』
「…ああ、いいよ」
(プラネタリウムがカップル向けなんて知らずに、男子生徒を利用するという最低な行いをするもまあ“友達としてだし”と軽い気持ちでいて。
(/いつもながら暖かいお言葉有難うございます。
いえいえいえ、いつも綺麗なロルで感心しております!
幼稚な自分が恥ずかしいです(汗
中身がいつまでたってもお子様なもので←
嫉妬束縛歪んだ愛いいですよね。
菊なら繿くんを縛りかねn(ry
こちらこそこんな変態にお付き合いいただけるなら今後もよろしくです!!
>露木
( 翌日、はしゃぐ犬の如く分かり易く喜ぶ男子生徒は相手と共にプラネタリウムへと訪れて。
カップルで賑わうそこはやはり飾り付けやらも恋人向けに出来ており男子生徒はそれに気付いてるのか気付いてないのかチケットを受け付けにて購入して。
暫く館内を見て回ってプラネタリウムの上演になるまでの時間を潰してた所でホステスと共に来ていた新人が相手と男子生徒に気付き駆け寄って。
『あ、あれ新人ちゃん??何で一人なの??』
『えと…チケット貰ったんで、…希久さんと』
『……………そうじゃ無くて、………桐崎は』
( 新人は男子生徒の問い掛けにきょとんとしつつ、状況も知らずに『何か…行こうとしてた人に予定が出来たらしくて、…勿体無いからって』と。
ホステスが新人に駆け寄り時計を見ながら『あら、そろそろ始まるみたいよ』と笑顔で言っては新人と共に先に会場へと向かって。
男子生徒は一瞬難しそうな顔をするも何も言わず、パッと笑顔に切り替えては『俺達もそろそろ会場入りますか』と。
( その頃、自分は午前中のみの仕事を早目に終わらせ切り上げてはコンビニへと寄り寮へと向かって。
部屋に戻るなり暇を持て余すかの如く買って来た雑誌やらを見ていて。
喧嘩をしてなければきっと今頃相手と共にプラネタリウムを見ていてはにかむ様なあの笑顔を見せてくれていたのかもしれないのに、と項垂れて。
まだ何処か期待してる自分が居るのか、携帯を見詰めては連絡無しの様子に溜息を漏らし雑誌を顔に乗せたまま眠りに付いて。
>桐崎
(訪れたプラネタリウム、やたらカップルが多いことにそわそわしてると新人とホステスに出会し、新人の言葉を聞いて漸く自分が誤解していたことに気付き動揺する。
_あの時、相手が新人にチケットをわざわざ二枚渡した時に気付くべきだった__。
今更気付いても_と嬉しそうにする男子生徒を横目で見てはどうしようと俯き。
『…先輩?はやく行かないと始まっちゃいますよ』
「あ、…えっと……」
『…………まさか先輩、いまさら辞めるなんて言いませんよね?』
「…、………」
『駄目っすよ。今日はそんな我が儘聞かないっすから』
「…御免でもやっぱり初めては桐崎とが良いんだ。…それにカップル多いみたいだし」
『はぁ……一度俺と来るって言ったっすよね。気分屋というかちょっと自分勝手じゃないっすか?』
「…………」
『あ、いや。何でもないっす。今の気にしないでください。その先輩と行けなくなると思ったらつい…。…分かった!じゃあこうしましょう』
(笑顔で言われた途端、不意をつくように肩を抱き寄せられてはパシャリと写真を取られて男子生徒はすぐさまその写真を相手のSNSに送って《先輩とプラネタリウム来てる。羨ましいだろ》と。
その内容に冷や汗を流し「おいッ!!」と焦ったように男子生徒の腕を掴むとニカッと笑顔を向けられ『これで桐崎がどうでるか様子見ましょうか。先輩、桐崎のこと嫉妬させたかったんすよね?』と見透かされ会場に向かうかと思えば館内のカフェに入っていき。
「…磯貝?」
『今日はプラネタリウムはなし。チケットは期限一ヶ月っすから大丈夫』
「…え、でも」
『細かい事は気にしたら駄目っすよ。俺は先輩の気持ちを優先したいだけっすから』
(微笑む男子生徒に“どうしてそこまでしてくれるんだ”と眉を寄せつつ、その心遣い感謝しては男子生徒の秘める想いも知らずに相手から連絡はないかと携帯を出すも男子生徒に取り上げられて『今は我慢。連絡したら駄目っすよ』と言われて。
何度か取り返そうとするも店内であまり騒がしくしては周囲に迷惑だと途中で諦めて、暫くカフェ内でコーヒーを飲みながら相手はどんな反応をするだろうと落ち着かずにいて。
(数時間後、支配人のバイトの時間が迫ってきたため男子生徒とカフェを出てバイト先まで送ると言われるも流石にバレてはまずいと迷惑かけたしこれ以上はと断って。
『別にいいっすけどね。…ところで何のバイトっすか?レンタルショップとは方向違いますよね?』
「あ、いや…えっと…居酒屋だよ」
『どこのっすか?』
(意外と追求してくる男子生徒にえっと…と目を逸し冷や汗を流しては「もう時間が…」と誤魔化し逃げようと。
>露木
( 怪しい様子の相手を男子生徒が見過ごす筈も無く相手の肩を掴み寄せては『先輩知ってる??此処ら辺一体の店は全部磯貝グループと木ノ宮グループが仕切ってるんすよ、俺達がちょっとやそっとの金持ちじゃ無いって事忘れないで欲しいっす』と僅かに脅しが混ざった言葉を述べて。
『まぁでもそっちは木ノ宮グループかな、俺達如何わしい店には関わらないんで』
( 何時ものへらりとした笑顔に戻り上記を言っては『バイトっすよね、お疲れ様っす』と言い相手に背を向けて歩き出して。
相手の死角、相手に背を向けたまま徐に携帯を取り出しては部下へと連絡を取り『あ、どもども。あのさ、木ノ宮グループの若頭さんに話が有るんだけど明日懐石料理屋さん一室取っといて。それなりに迎えなきゃでしょ、ん??何を聞くかって??………俺の大切な人がどんな所で働いてるのかちょーっと調べるだけ』と。
支配人の店、それは若頭の目を盗み経営してるに過ぎず支配人は支配人なりに己の権力を持って正当に聞こえる理由を作ろうとしていて。
( その頃自分は深い眠りに落ちる事は無く夕方に目が覚め恐らく来てないであろう相手からの連絡を確認すべく携帯を開いて。
“やっぱり来てないか”と溜息を付きふと開いたSNSの通知に男子生徒の名前があるのに気付いては特に疑いも無く開いてしまって。
開いた後に激しい後悔に襲われては悔しそうに唇を噛む、きっと相手は今日男子生徒と共にプラネタリウムに行って楽しんで来たのだろう。
本当は相手の隣に自分がいる筈だったのに。
子供の様な嫉妬に駆られ男子生徒からの写真に既読を付けた事にも構わず相手へ《随分磯貝と仲良いんだな、今日も楽しんで来たんだろ。お前らお似合いだよ》なんて嫌味めいた文を送ってしまい。
激しく後悔するも時既に遅く携帯をベッド上にボフリと投げやっては項垂れて。
>桐崎
(支配人の店、男子生徒の言葉を気にかけながらも今は目の前のことに集中しようと『繿君いないの?』と不満そうにする客に笑顔を貼り付け酒を注いで。
数時間、スキンシップはさほど無かったものの散々呑まされて店仕舞いするころには客を送り出せないほどベロンベロンになってしまい机に突っ伏してしまっては『此奴、つかえねーじゃん』と罵る従業員の言葉も耳に入っておらず。
ぼんやりする意識の中、情けないなーと自分を責めながら相手の声が聞きたくてほとんど無意識に携帯を取り出しては相手からのメッセージに気付きそれを読んで。
始め内容が入ってこなかったが徐々にそれを理解するとポワンとする思考で“あれ…これ怒ってるけど妬いてくれてるのかな”なんて普段は落ち込む筈が呑気に考えては完全に酔っ払った頭で謝罪と弁解とからかいの言葉を打つも実際は《ごてん、磯はいと…?@&$__》と滅茶苦茶な文章になっていて。
そんなことも気付かずSNSの画面を開いたままぼんやり相手との甘いトークを見返して頬を緩ませてはそのままウトウトしてしまい。
それを不満そうに見ていた従業員は何を思ったのかこっそり自分の隣に座り肩を抱くと自分の腕を自身の首に掛けさせその姿を自分から奪った携帯でパシャリと撮り。
『え、先輩何してるんですか?』
『あ?此奴、男いて生意気だからちょっと悪戯』
(従業員は後輩にニタリとすると今撮ったばかりの写真をそのまま自分の携帯から相手のSNSに送りつけて《お楽しみ中》と短文を送り、その直後に自分にバレないようトーク画面から画像と今送った短文メッセージを削除して。
その写真はどこぞの店で自分が客として“男遊び”をしているところに見えなくもなく。
そうとは知らず呑気に数時間後に目を覚まし、酔い潰れたことに蒼白になってはまだ残っていた従業員に深く頭を下げて店仕舞いを手伝うとその日はアパートでぐっすり眠りに落ちて。
(翌日目を覚ましたのは昼過ぎ、すぐにバイトの準備をとぼーっとする頭でのろのろと身支度を済ませては特に携帯も確認せずにアパートを出て。
男子生徒が若頭と会っていることも従業員が悪戯したことも全く知らずに、まだ昨日の記憶があやふやな頭でそう言えば相手からの返事がまだだなと思い込んでは昨日男子生徒としたことの後ろめたさを感じながら緊張の面持ちで携帯を取り出したところ。
>露木
( 翌日、高級料亭の一番奥の一室にて若頭と男子生徒が向かい合う様に腰を下ろして居ては男子生徒が何時もの笑顔で『木ノ宮先輩、お久し振りっね。こうして家絡みの話をするのは』と。
『ほんとだよ、磯貝君は元気だった??僕は暫く仕事から手を離しててね。ロサンゼルスの会社と契約がどうのこうのってさ』
『うわ、流石っす。てかお願いしてたの持って来てくれました??』
『あぁー、あれでしょ。こんなの何に使うのさ。ホスト街の店舗名と…店を経ち上げる為の契約書、それから今の従業員のデータ。常に更新されてるから』
『すみません、助かるっす』
( くしゃりと微笑み若頭からiPadを受け取ってはにっこりと微笑み若頭の飲む酒にお酌して。
敢えて理由は言わずに食事をしては『木ノ宮先輩相変わらず女子力高いっすね』なんて言って。
( その頃、昼過ぎに目を覚ました自分はのそのそと携帯に手を伸ばし来て無いであろう相手からの連絡を期待し確認して。
そこで目にした写真に思考が真っ白になり、なんで態々自分に報告したんだと思うのと共に苛立ちやら嫉妬やらが入り交じり唇をきつく噛み締め携帯を強く握っては《俺の部屋の合鍵返してくれる??どうせもう必要無いだろ。もうあんたには会わない》と身勝手な文を送り付けて。
相手は男好きなんかじゃないと思ってた、自分だってこんな仕事をしてた訳だし女好きに思われても仕方無いと。
しかし相手は違うと思ってたが結局自分は恋人に見られてた訳では無く“一人の男”に過ぎなかったのかと思えば虚しくなり八つ当たりする様に煙草に手を伸ばし。
>桐崎
(携帯を取り出したところ少し前に相手からメッセージが届いていたようで微かに指を震わせながら見てはその内容にサッと血の気が引き思わず足を止めその場に立ち尽くす。
何度読み返しても同じ文で読み間違えでないと分かり“なんで”と身勝手な疑問を抱く。
一つ前の“磯貝とお似合いだ”という相手からの見覚えのない(読んだ記憶が無い)メッセージ。
従業員に悪戯されたとも知らず相手の気持ちが自分から離れてしまったと思っては胸が急激に苦しくなりまた無意識に能力が解放され髪が揺れるもすぐに鎮静したため気付かずに。
まだ現実が受け止めきれず“終わったんだ”とただ漠然と思えば本当は縋り付きたいほど相手と居たいのに返信もせずにフラフラと支配人の店に向かって。
(支配人の店、接客に集中出来るはずもなく何度も失敗しては客や先輩に頭を下げ、不甲斐ない自分に更に気分が落ち込むもそんな時に何故かVIP席から指名が入り。
いったい誰がと行ってみるとソファに腰掛け笑顔で手を振る男子生徒が居て思わず後退るも『先輩、俺客っすよ?』と軽く脅されては恐る恐る隣に座って。
「…桐崎には…」
『言ってないっすよ。あ、先輩が何でこの店にいるかも俺全部知ってますから』
「…え?」
『だって俺此処のオーナーになったっすから。今さっき』
「は?」
『此処の店の権限を買収したって言ってんすよ。だから俺が此処で何をどうしようと自由。…先輩を辞めさせるのも簡単っす』
(そう言われるなり腕を強く引かれては悔しそうに表情を歪める支配人の横を通りすぎ店を出て人気のない空き地まで来て。
「おい、いいのかよ。あの支配人、怒って何かしてくるんじゃ…」
『あそこは木ノ宮グループのテリトリー。でも権限は磯貝グループにある。流石にあの人も2つの組織を敵に回すなんて無謀な考えはしないっすよ。……そんなことより先輩』
(突如声を低くする男子生徒に顔を寄せられ『桐崎と何かあったんすか?』と見透かすように言われ耐えられず目を逸し。
今は相手のことを思い出すだけでも辛い。何もかも自分の独占欲が強すぎたせい。
苦しい_胸が痛い、そう感じた瞬間また能力が微かに解放され髪が揺れて『…先輩?』と訝しげに問われては自分の中で何かがプツンと切れて“もうどうでもいいや”と最低なことを思えば男子生徒の腕を取り、以前“客”を取っていたときのようなあざとい目をして「磯貝、俺と寝るか?」と。
その後、返事を聞かずに手を引いては一件のホテルに入っていくも自分の手が震えていることに全く気付かず。
同刻、その様子を支配人が隠し撮りしており抜かりなく相手に写真を送っては《あなたの恋人、とんだ遊び人みたいね》と店を買収された腹いせに嫌がらせをして。
>露木
( 何本目かも分からない煙草を灰皿に押し付けた所で頭をガシガシと掻き乱しシャワーを浴びては居酒屋のバイトへと向かおうと準備を始める。
その刹那、携帯が鳴り響き支配人からのメールに気付けばその内容の眉を顰めて。
やはり自分は相手の中で特別だった訳では無かったのかと激しく落胆しては取り敢えずバイトへと向かい全てを忘れ仕事に打ち込もうと。
( その頃、ホテルにて震えながら男子生徒の上に乗る相手の髪に指を絡めては『先輩、俺の事からかってる??』と何時に無く真剣な眼差しで見詰めて。
『俺先輩の事好きなんすよ??こんな事されたら…ほんとに自分抑えられなくなるじゃないすか』
( 眉間に皺を寄せ相手を押し倒し唇を奪うも相手の瞳が僅かに揺らいだのに気付きゆっくり顔を離し。
『……………これで我慢してやっても良いっすよ、でもまださっきみたいな事言うなら俺我慢しない』
( 相手に跨ったまま上記を言えば相手の頬を優しく撫でて。
( バイトの休憩時間、裏口から外へ出て煙草を咥えていれば何時ぞやの能力者の男(槙島)が此方に気付き歩み寄って来るのに気付いて。
前より幾分表情は穏やかで緩く微笑んでは『君、俺の事警察に言わなかったの??』と。
「何で俺が言わなきゃなんだよ」
『いや…許されない事したからさ。それより露木とは…』
「悪いけど、…彼奴の名前聞きたくない」
( 意味が分からないと言う表情で見つめて来る能力者の男に小さな溜息を漏らしては視線を逸らすも『煙草、一口頂戴』と言われては咥えてた煙草を取られ。
「吸えたんだ」
『んー、…でも美味しくは無いね』
「なら返せ」
『はいはい。……………露木はさ、頑固なんだよ。ちょっとやそっとで恋人を裏切る様な奴じゃないし』
「……………」
『分かるんだ。俺、…多分今回も誤解があるんじゃないかなって』
「……………そんなんじゃねえよ」
『ま、俺の能力頼りたくなったら言って。桐崎君には沢山迷惑掛けたし。…子供になると素直になれるよ』
「良い、どうせ直ぐバレる」
( サラリと言い返し煙草を灰皿に捨てては一瞬何か言いかけるも言葉にする事は無くバックルームへと戻って。
>桐崎
(男子生徒から口付けられ激しい後悔と罪悪感に苛まれては自分がどうしても相手を愛おしく離れられないことを自覚してしまい瞳を揺るがせる。
それでも相手は自分の元には戻らない__自分が心が狭くて我が儘で重たいから。
たとえ相手が自分を許しても、きっとまた相手を困らせて、嫉妬と束縛で相手を傷付ける。
それならばいっそ__と頬に優しく触れる手に自分の手を重ねては「我慢、しなくて良い」と切なげに微笑み男子生徒の首に両手を引っ掛けてそっと唇を重ね腰に腕を回し抱き寄せて。
「……繿を忘れさせて。俺から繿を消して…」
『…先、輩?』
(戸惑った声が耳元で聞こえるもすぐに抱き締め返されては身体が震え出すも「やめるな」と此方からせまりその後殆ど声を上げることなく行為をすすめて。
不思議とその時だけはトラウマが支配して相手のことを忘れられた気がしたが終わった途端再び後悔が押し寄せる。
_でも後戻りなんて出来ない。と頑なになっては男子生徒に背を向けるようにして眠り。
(翌朝、男子生徒に起こされて昨夜のことは夢ではなかったんだと表情を曇らせシャワーを浴びてはルームサービスのコーヒーを飲む男子生徒の元へ行き。
「昨日は悪かった。磯貝…女好きになってホスト始めたばかりなのに…」
『ブッ、…先輩それ本気で言ってるんすか?…昨日の俺の話聞いてました?』
「俺に…合わせてくれたんだろ?」
『………先輩そりゃないっすよ』
(吹き出したコーヒーを拭いながら項垂れる男子生徒を今は訝しむ余裕もなく「…悪い、用事あるから先、出るな。…これ、ホテル代」と昨夜払って貰った代金より多めに置いて行くと返事も待たずに勝手に出ていき。
(そのすぐ後、兄を喫茶店に呼び出しては驚くほどはやく来た兄と向き合うように座り、どうしたのか聞かれる前に合鍵を差し出して。
「俺、昨日磯貝と寝た」
『え?…はい?!…ちょっと俺が目を離した隙に何があったのさ』
「…ネックレスもペアリングも捨てて良いって言っておいてくれ。あと御免って」
『直接言えば?』
「…会ったら抑えがきかない」
『………はぁ…もう分かったよ。振り回されるのには慣れっこだから』
(兄はそう言って合鍵を受け取ると店の隅に行き何やら電話をして『あ、槙島くん?…俺、綸だけど。…そうそう繿の兄の。ちょっと君にお願いがあってさ』と能力者の槙島に連絡を入れては相手を子供にしてくれないかと頼んでいて。
>露木
( 翌日、寮に訪ねて来た兄と能力者に何事かと思うも兄に合鍵を手渡され相手からの伝言を言われては自分から壊した関係なのに本当に終わってしまったと。
鍵を受け取り用事は済んだだろうと部屋の扉を閉めようとするも兄にそれを防がれ能力者が強引に入って来ては床に倒されて。
直ぐに兄に抑え付けられ“何をするんだ”なんて問い掛ける余裕すら無く額に手を翳されて。
目眩に眉を寄せ次に目を開いた時には全てがやけに大きく見え状況が理解出来ず辺りを見回す。
『これ、服ね。サイズもぴったりだと思う』
「…は??」
『うっわ流石だね。子供になっても生意気な顔ー』
( 段々と纏まった思考と共に能力者に掴み掛かろうとするも兄に軽々と持ち上げられては適わず。
子供用のジーンズとシャツを着せられすっぽりとキャップを被されては『さて、行きますか』と言う兄に訳も分からず抱き抱えられて。
( その頃兄は全てを測っての行動なのか予め相手を昨日の喫茶店に呼び出して置いては能力者と別れ子供の自分を連れ喫茶店へと訪れて。
『孤児院の子なんだけどさ、今日出掛ける予定だったの忘れてて。同伴しても良い??』
( サラリと嘘を並べる兄をギロリと睨み「…お、俺帰る」と言うも無理矢理首根っこを掴まれては強引に膝に乗せられてしまい。
『あ、菊伝言伝えといたよ。鍵も渡しておいた』
( 兄の言葉にピクリと反応しては動きを止め、深く被ったキャップの下からさり気なく相手を見詰めて。
>桐崎
(翌日、一切眠れず目を覚ますと兄からの呼び出しがあり外に出る気など起きなかったが支度をして。
ふといつものように相手と揃いのピアスとペアリングをしようとして手を止めては、相手には捨てて良いと言った癖に自分は手放せる筈がなくストラップと一緒に大切に引き出しの奥にしまっては指定された喫茶店へ向かって。
(喫茶店につくと程なくして兄と見知らぬ少年(相手)が訪れて、どことなく雰囲気が相手に似ている少年をまじまじと見てしまうも兄の言葉にピクリと反応して分かりやすく表情を曇らせ。
「…何か言ってたか?」
『特に何もー』
「そっか……」
『ねえ、磯貝君と寝たって本当なの?』
「おいッ、子供の前だぞ!」
『いいよ。どうせ分からないし。で、どうなの?』
「…………忘れたかったんだ。…でも、後悔が増しただけだった」
『だろうね。……それでこの子、暫くお願いしてもいいかな?俺の部屋は駄目だから菊のアパートで。どうせ“あのバイト”辞めて暇でしょ?』
(何で知ってるんだという突っ込みはもうせずに小さく頷いてはキャップの下に隠れる顔を覗き見ようと首を傾けるも顔を逸らされてしまい「恥ずかしがり屋なんだな」と小さく微笑み。
(その後、やけに懐かない少年(相手)と少しの間一緒にいるという兄と共にアパートに来ては可愛らしい少年に心なごませつつ洗面台の下に踏台を置いて後ろに立ち手を洗うのを手伝っては途中で買ったオレンジジュースを渡して。
「それでいつまで見てればいいんだ?」
『ん?暫く?』
「……そんなテキトーな」
(呆れたように言いつつ未だにキャップを深く被る少年に目を写しては手を伸ばしキャップを少しだけ上げて目を合わせ。
相手と同じ綺麗な紅い瞳と銀髪に目を見張るもまさかなと思い「綺麗な瞳だな」と微笑んでは相手の柔らかな頬を軽くむにっとするように撫で目元を撫で「どこか行きたい場所ある?それともお腹空いてる?」と優しく尋ね。
>露木
( 兄の問い掛けに答える相手をまともに見られず俯いては唇を噛むも顔を覗き込まれそうになれば慌てて視線を逸らして。
無愛想極まりない可愛くも無い子供なのは自分でも分かってたがバレてしまうんじゃないかと言う恐れがそうさせてしまっていて。
( 相手のアパートにて、渡されたオレンジジュースに小さく頭を下げては兄の言葉にハッとし慌てて兄の服の裾を掴み“寮に帰せ”と視線で訴えて。
『こら、離してー』
「つ…連れてけよ!!!」
『年上に向かって何ですかその口の聞き方は』
「黙れって、ほんと巫山戯んな!!!」
( ピシッと額を弾かれてはさっさと出て行く兄の後姿を悔しそうに見詰めおずおずと端に腰を下ろす。
不意に近付いて来た相手にキャップを持ち上げられては僅かにビクリとするも優しい微笑みと言葉に愛しさと落ち着きを感じ俯いて。
暫くだんまりを決め込んでたが子供姿だけありそわそわとしてしまい「…ちょっと、コンビニ行きたい」なんて可笑しな事を言っては相手と共に近くのコンビニへと訪れて。
( 相手との待ち合わせ時間などにいつも来ていたコンビニ、適当に見て回る振りをしつつ相手の死角で携帯を取り出しては兄に連絡をして。
「お前マジ巫山戯んな、さっさと迎えに来い」
『だーめ、後で行くから。後で』
( 軽くあしらう様な兄の態度に腹を立てつつ相手が此方に来るのが見えては携帯をしまい相手の隣へと戻って。
その刹那、スイーツコーナーにホステスと新人の姿が見えては慌てて相手の後ろに隠れるも愛想の良いホステスは相手に気付き笑顔で駆け寄って来て。
それに続き新人も来ては相手の背後で落ち着きなくしていて。
>桐崎
(訪れたコンビニ、店内の奥に行く少年(相手)を横目で見つつ本当に似てるなと流石に怪しみ以前自分の身に起きた災難を思い出してはまさかと能力者、槙島のSNSを見てみたところTLに《韓国旅行中》と写真付きであり勿論自分が怪しむのを見込んだ嘘なのだが、見事に騙されては旅行中なら相手を幼児化するのは無理かと思い目の前の少年は相手とは別人だと信じこみ。
その時、相手が寄ってきたかと思うとホステスと新人が近づいてきて軽く挨拶すると二人が少年(相手)を見て『『可愛い!!』』と声を揃えて頬を綻ばせ。
「孤児院の子でちょっと預かってて」
『へぇ、繿にそっくりねー』
『私も思いました。お名前は?』
(ニコニコと相手に接する二人を頬やましげに見ていると新人がおどおどしだし言いにくそうに自分に顔を向けて。
『あ、あの…実はずっと前に間違え電話だと思うんですが…繿君から露木さんを誘う留守録が残ってて……その、まだ誤解してるみたいだったので一応…』
(御免なさいと謝る新人に「…いや、話してくれてありがとう」と笑顔を向けつつこれ以上期待させて相手を思い出させないでくれと心に影を落とし。
_相手はこういう二、三歩後ろに下がった清楚で可愛らしい女が好きなんだなと勝手に思ってはコンビニをホステスと共に出て行く新人を無意識に嫉妬の目で見てはハッとなって相手に向き「何にするか選んだか?」と。
それから何となく“相手”の一番好きな種類のプリンを買っては小さな手を繋いで近くの公園に行きベンチに並んで座ってプリンを食べ。
「こっちも食べてみる?これね俺の好きな人…_いや、兎に角美味しいから食べてみて」
(“好きな人のお気に入り”と言おうとして相手を忘れたいのに何やってんだかと自分に呆れ、気を取り直して相手の小さな口にスプーンを持って行き「美味しい?」と微笑んで。
その時SNSの通知がなっては男子生徒からで《今日の夜アパート行っていいっすか?》と。
《悪い、今子供預かってるからまたにして欲しい》とすぐ返信しては食べ終わった相手に向いて「ちょっと身体動かそうか」と完全に相手を子供として扱い滑り台やブランコをして遊んで。
相手を子供用ブランコに乗せてユラユラと揺らすころ、ボールを持った数人の子供達が近づいてきて『一緒にドッジボールしよう。人数足りないんだ!』と相手を誘ってきて。
恐らく相手より年上の子供達、相手が怪我したらと懸念しつつ「どうする?やってみる?」とブランコに座る相手の目線の高さに屈んで尋ねてみて。
>露木
( 相手と共に訪れた公園にて、内心穏やかで無かったが自分だと気付かず優しく接してくれる相手に流され遊具で遊んで居れば数人の小学生に囲まれて。
流石に小学生の中に混ざるのは嫌だと断ろうとするも一人の少年に手を引かれては渋々そちらへと向かい。
ドッヂボールなんて何年ぶりだろうかと思うも中学時代の一年はバスケをしてた事もありボールには慣れてるつもりで。
1試合のみをし直ぐに相手の元へと戻れば「勝った」と無愛想に告げキャップを深く下げて。
( 再び帰り道を行く途中、兄からの連絡はまだかとそわそわするも相手の前で自分の携帯を取り出せる筈も無く何とか機会を伺って。
相手の部屋に居れて貰いそこで初めて帽子を取っては子供の足で歩いたからかうとうととして。
人の部屋にも関わらず居眠りをしては夢の中でも相手をひたすらに追い続けていて。
( 自分が呑気に寝息を立ててる間、強引に男子生徒が訪ねて来ては自分に気付かず相手に菓子やジュースやらの入った袋を手渡しては『ねぇ先輩、居れて』と人懐っこく頼み込み部屋へと入って。
『あれ、どうしたんすかこの子…ってうわ、桐崎の親戚か何かっすか??』
( 部屋の端に寝転ぶ自分に分かり易い反応をしつつ小さなテーブルに相手と向かい合う様に座っては『はい、先輩を辞めさせる為の契約書類』と相手に1枚の紙を手渡し。
丸で先日の事など無かったかの様に接する男子生徒は一呼吸置き真剣な眼差しを相手に向け『それで、忘れられたんすか』と。
『言っときますけど俺の気持ちは変わらないんで』
( サラリと告げ買って来た菓子の袋を開けつつポッキーを相手の口にやっては男子生徒も一本食べて。
『おーい、お菓子食べない??』
( 軽く自分の肩を揺すっては様子を伺うも起きる気配は無く、代わりにパーカーの下に着てるシャツの隙間からペアリングの付けられたネックレスが見えてはピクリと眉を寄せ無言でそれを衣服の下にしまって。
>桐崎
(幼児とは思えない運動神経に自分だけでなく小学生たちも驚いていて、ませた態度で勝利を告げる少年(相手)が不思議と愛おしく思えては「お疲れ様」とキャップの上から頭を撫でて、どことなく落ち着かない様子を不思議に思いつつアパートに戻り。
(兄からの連絡はなく夕方になれば寝息を立てる少年(相手)の可愛らしい寝顔に頬を緩ませこっそり写真を取っていたところ、男子生徒が訪れ帰す訳にもいかず中に入れ。
差し出された契約書類に目を通しつつ問い掛けに胸を痛め俯いては男子生徒が相手のネックレスを隠したことに気付かず「…此れサインしといた。色々迷惑かけたな」と書類を渡し、以前のこともあり帰れとも言えずに「夕飯、食べてくか?」と逃げるように台所に向かい。
と言ってもワンルーム。姿は見えるため男子生徒の視線を感じつつ三人分の食事を作りお菓子を片付けようとしたところ、突如男子生徒に腕を引かれて部屋の隅に連れられては相手の眠る場所を隔てる敷居のカーテンを閉められて。
『先輩、あの子供ほんとうにただの子供っすか?』
「は?何言ってるんだよ。ただの子供以外に何があるんだ」
「……まあいいっすけど」
(神妙な顔をする男子生徒を見詰めてはホテルでのことを思い出しちゃんと謝ろうと口を開くも『謝ったら駄目っすよ。気持ち変わらないって言ったすよね』と遮られ。
その真剣な眼差しに一瞬心が揺らいではまた一時でも相手を想う苦しみから解放されたくなって最低と分かっていながら男子生徒の唇を奪い。
互いの舌を絡ませ深く口付けるも以前のようにトラウマは支配してくれず相手を裏切った罪悪感が胸を締め付けるだけで「もういい」と身勝手に離れようとし。
『今更。先輩から誘ったんすよ?』
「…子供が起きる」
『大丈夫っすよ。ぐっすり眠ってましたし。…………本当に嫌になったら辞めますから』
(最後の呟きを聞き取る前に再び口付けられては男子生徒の肩を押して抵抗するもビクともせず、自分から口付けたくせに今になって恐怖が芽生え「…繿ッ」と知らずに助けを求めるような声を漏らし。
>露木
( 深い眠りの中で相手と過ごした日々が蘇れば“まだこんなに好きなんじゃないか”と確信するも時既に遅い事も理解していて。
段々と夢の中から意識が戻り僅かに聞こえる物音に瞳を閉じたまま身動ぐも助けを求めるかの様に自分の名を呼ぶ声が聞こえては子供の姿なのもすっかり忘れ「露木!!!」とガバッと起き上がって。
自分の声に気付いた男子生徒はピクリと反応しカーテンを開けては此方を見詰め歩を進めて来て。
無意識に後退り相変わらず可愛くない無愛想な様子で男子生徒から視線を逸らすも頬を軽く引かれてしまえば逸らす事も適わず。
『このお兄ちゃんの名字なんで知ってんのかな』
「…う、うるせ………」
『君色々と怪しい。ちゃんと答えて』
「は…離せ!!!」
( キッと睨み付け男子生徒の手を振り払ってはさっさと逃げようと試みるもやはり抑え付けられて。
持ち前の力を加減しながら発揮する男子生徒の手がポケットのネックレスに伸ばされるのを察しその手に思い切り噛み付けば距離を取って。
「か…帰る」
( 冷汗を流し上記を言いキャップを深く被り直し逃げる様に相手の部屋を出ては兄に連絡し近くのコンビニで合流してはそそくさと寮へと戻り。
( その頃、男子生徒は眉を寄せた難しい表情のまま相手に向き直り。
『怪しいっすよ流石に。何であんな警戒してんすか??………それに』
( ペアリングの事を言おうか迷ったが相手を困惑させては駄目だと首を振っては相手の髪に触れて。
『良いんすよ、俺先輩の事好きだから。怖くなったら御預けされて上げます。………でもさっきのは無理矢理感あったかなー…思春期の男子って怖いんすから。俺意外と野獣っすからね??無防備だと食べちゃうかもしんないっすよ』
( 笑顔でさり気なく相手を気遣いつつ冗談を混ぜては本当は相手と過ごしたかったが怖がらせてしまうかと配慮し『…帰りますか』と小さく息を着いて。
>桐崎
(不自然な態度の少年(相手)が駆け出していくのを見ては相手の姿と重なり妙な気持ちになるもあんな小さな子供を一人出歩かせる訳にはいかないと出掛ける準備をしながら念の為兄に連絡をいれては『大丈夫だよー』と呑気に返事されて呆気に取られつつ安堵して。
次ぐ男子生徒の気遣いの言葉に自分に非があるだけに居た堪れない気持ちになっては謝罪をして「これ、いらないだろうけど」と先程作った夕飯のおかずをタッパーにつめて渡しアパートの下まで見送って。
(静かになった室内、最近はずっと相手の部屋に居座り一緒に寝ていたせいか酷く寂しく感じて、なぜだか先程の少年が無性に気に掛かっては携帯を取って兄に電話して。
「…綸?……さっきの子だけど俺、なんか気に障ることしたいみたいで…様子が変だったからさ。気になって…」
『それがさぁ、熱出ちゃったみたいで今俺の部屋にいるんだけど子供用の風邪薬ないんだよね。悪いけど菊さ、今から薬局寄ってこっち来てくれない?』
(兄の言葉にそれが嘘とも知らず直ぐに頷いては電話を切って早々にアパートを出て。
一方、兄は電話を切ると部屋から相手を出すまいとしっかりと見張って。
『ってことで君は熱あるってことになってるから。大人しくしててね』
(ニコッと悪気なく笑っては相手の頬をプニプニとして遊び『それにしても、いくら中身が大人だからって一人で出歩いたら危ないでしょ。何かあったらお兄ちゃん泣いちゃうよ』と冗談めかしながら言い『ほら病人なんだからベッドに横になって』とどこか楽しげに言って。
(その数分後、兄の部屋に到着しては走ってきたため僅かに上がった息を整えつつ子供用の薬やら熱冷しシートを兄に渡しベッドに横になる少年(相手)に駆け寄り。
「…大丈夫?さっきは御免ね。…体調悪いって気が付かなくて」
(眉を下げ謝り思ってたほど顔色がいいことにほっとしては柔らかな髪を撫でて、背後で兄がクスクスと笑いを堪えてるのも知らずスポーツドリンクをコップに移し「飲める?」と少年(相手)に差し出して。
>露木
( 自室へ戻れる筈も無く兄の部屋に入れられては相手からの連絡に嘘を連ねる兄に目を見開いて。
どうしてこうも相手と引き合わせ様とするのかを疑問に持ちつつ逃げ出そうともそれを防がれてはベッドへとやられてしまい。
数分後に相手が訪れては相変わらずの優しい様子でコップを手渡して来るのにぎこちなく頭を下げてはそれを受け取り横目で兄を睨み付けて。
熱なんて無いし相手を騙してる事に気が引けたがバレてしまえば更に相手を突き放す事になると。
ベッドの上で胡座を掻き不機嫌極まりない表情をしてれば不意に部屋の扉が勢い良く開き青年が現れて。
どうやら能力者が韓国に行ってる様に仕組んだのは青年の様で良く出来たコラージュ写真を相手に見せては『あー俺も行きたいなぁ』と態とらしく言って。
抵抗虚しく青年に抱き抱えられては丸で台本を読むかの様に兄が『そう言えば繿は??』と。
『兄さんね、最近別のバイト始めたみたいだよ。だから暫く寮には帰れないって』
『何、女の人絡みの仕事??』
『違うもーん。そんな事しないって言ってた』
( フイと顔を背ける青年を呆れた様に見詰めつつ抱き抱えられるのは子供扱いされてる様で不満に感じ抜け出そうと試みて。
しかし青年が許す筈も無く自分を抱えたまま相手に向き直り。
『兄さんとそっくりでしょー、この子』
「お、下ろせ」
『何で似てるか分かる??親戚らしいよ』
( クスクスと笑いながら青年が擽って来るのに耐えられず身を捩らせてはその際に相手と揃いのペアリングが付けられたネックレスが落ちて。
一瞬の静寂と共に兄が『あ、…それ君が預かってたんだ!!!よ、良かったー』と咄嗟な嘘を付いて。
気付いて欲しい様な気付かないで欲しい様な微妙な感覚に捕らわれては青年の腕から逃れて。
>桐崎
(青年が持ってきた写真に目の前の少年が相手でないとすっかり騙され続けては兄の放った“繿は?”という問い掛けに小さく肩を揺らして耳を塞ぎたい気持ちになりながらもしっかりと耳をそばだてて。
その内容に新人と付き合い始めたからだろうかと悲観的になっては相手からの連絡のない携帯を見て小さく息を吐き。
そんな時、青年が少年(相手)を擽った拍子にネックレスが落ちるのを見ては目を見開き、青年の腕から逃れた少年(相手)をすっぽり後ろから包むように捉えるとベッドの上に座らせ。
「熱あるのにはしゃがせすぎだ。悪化したらどうするんだよ」
(青年を軽く注意しつつ少年(相手)に向き直っては、どんな風にネックレスを相手から渡されたのか聞きたい気持ちを堪え柔らかな銀髪を撫でて。
(その後、青年が去り相手を無理矢理ベッドに横にさせ寝かしつけるようにしては目を閉じる姿に睫毛長いなと目を細め。
『ねえ、繿とは連絡取ってないの?』
「っ、いきなりなんだよ。……取るはずないだろ。…忘れたいのに彼奴の話しするなよ」
『それで忘れられるの?……他の男とまで寝て』
「………忘れないと駄目だろ。それに分かったんだ。俺じゃ彼奴に負担をかけるって」
『…そうかな』
「そうだよ。…俺さ、彼奴が俺を想うより俺が彼奴を想う気持ちのが強いって自信があった。それくらい彼奴を愛してたし、それで良いと思ってた。でも…相手より想いが強いって要するに重たいってことだろ?実際、それで彼奴を傷つけたし」
『…………』
「俺には磯貝みたいな好きでいてくれる奴のが丁度良いんだ」
(自分自身に言い聞かせるように身勝手な言葉を並べるも、そう簡単に割り切れる筈もなく表情を曇らせて。
『ふーん。…まあいいけど。……あ、俺シャワー浴びてくる。折角だから泊まって行きなよ。その子も菊が居たほうがいいだろうし』
(なんで?と問う前にさっさと浴室に入っていく兄を見送りつつ、此方に背を向けるようにして横になる少年(相手)の布団をかけ直そうとしたところ首筋に相手と同じ火傷の痕や耳にピアスホールがあるのを見て手を止めて。
僅かに動揺しながらゆっくりと首筋に触れてはそっと傷をなぞり、小さな肩に手を置いて恐る恐る仰向けにさせては「…繿?」と半信半疑に声を漏らし顔を近づけ少年(相手)の頬に触れて。
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