xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(ダメ元で男(槇本)に交渉したが意外にも受け入れられ乱暴ながら子供服を着せられては子供用リュックまで用意してくれ、店に戻っていく男がポイ捨ての煙草を拾って行くのを見てふと過去を思いだす。
__中学時代、彼(槇本)は目立たない生徒だった。運動音痴で何をするにも不器用。
だが影でひっそり花瓶の水を変え、みんなが嫌がるトイレ掃除やゴミ箱のゴミ出しを黙って引き受ける、そんな人間だったなと。
今回の行いは許せないが根は良い奴なのかもしれないと、まだ男の行いを全て知った訳でないため甘い考えでいて。
(数十分、もうとっくに相手の寮に着いている筈なのにまだ半分しか来ておらず、子供の歩幅はこんなにも小さかっただろうかと溜息を吐く。
相手と歩いた時は全く苦じゃなかったのに…と項垂れつつ、そもそもいきなり押しかけて迷惑ではないだろうかと今更な心配をし始め。
何だか喉も乾いてきた…と歩く速度が更に落ちた時、スーパーが目に止まっては御茶でも買おうと、この時間この姿で一人という不自然な状況も気にせずにドリンク売り場に来てはいつも飲んでる緑茶に背伸びをして手を伸ばすもあと数ミリ足りずに。
なんて不便な身体だと毒吐きつつここは無理せず他のにしようと一段下の烏龍茶を手に取って抱き抱えてはレジに行こうとして。
>露木
( 御決まりのカップラーメンと適当な惣菜やらを籠に入れレジへと向かおうとしては見覚えのある小さな少年(相手)に気が付き其方へズカズカと駆け寄っては首根っこを掴み「何一人でまたテクテク歩ってんだよ。…ったく、母さんは??」と問い掛ける。
しかし居ないと言われてはまた一人で居たのかと溜息を漏らしつつ相手が抱える烏龍茶を取れば自分の籠に突っ込みレジへと向かって。
会計を済ませ相手に烏龍茶を手渡しては家まで送ろうと考えるも小さな子供が一人でうろうろしてる時点で帰りたくない理由でも有るのかと勘違いし小さな手を取っては結局寮まで連れて来て。
「お前の年で家出繰り返してたら色々怖い目に合うぞ」
( あまり怒りを見せずにさらっと叱ってやりながらカップラーメンを棚にしまい惣菜のみを出し簡単な料理をしてはテーブルの上に置き。
それにしても本当に相手に似てるなと考えつつふと携帯が鳴り響けば誰からかも確認せずに応答して。
電話の相手は孤児院のあの姉弟、今夜からは一人で寝れるという事らしく成長したなと頬を緩めては「じゃあ今夜からはちゃんと寝ろよ。また怖くなったら何時でも電話して、真夜中だろうがちゃんと出るから」と答え電話を切って。
これで夜な夜な寮を出る理由も無くなり一安心してはグッと伸びをして。
元カノの友人から何度かメッセージが来たがサラッと無視しては以前若頭に貰った子供服を相手に渡し。
「着れるだろ、それ。丁度いいと思う」
( “隠し子”の噂など知らずにもくもくと夕食を食べては何気無く携帯を取り相手のアドレスをなぞってはメールを開き何か送ろうとしたが直ぐに“消去”と押して。
>桐崎
(相手の粋な計らいで寮にお邪魔しては申し訳なく思う一方相手の傍で相手の手料理を口に出来る事が嬉しく感じ“いっそこのままでいいんじゃないか…”と電話をする相手を見詰める。
電話の相手は誰なのか…、話の内容からすぐにあの姉弟が頭に浮かんではエレベーターの中で相手が言っていた女と遊んでいるというのは嘘かもしれないと伸びをする相手をジトリと見つつ子供服を受け取って。
この服も“隠し子”の物なのか…期待と疑心が入り混じっては服に視線を落とし俯いて「ねえ…なんで子供の服なんて持ってるの?」と。
「スーパーでお兄ちゃんのこと…話してる人達がいた。……お兄ちゃんは夜女の人達と遊んで、何人子供がいるか分からないって………本当なの?」
(スッと顔を上げて切なげに相手を見詰めるも、真実を知った所で相手から嫌われてることには変わりないと悟ったばかりではないかと、だから傍にいるため子供になったのに…。
これではこの姿でも嫌われてしまうと慌てて「何でもないよ、お風呂入ってくるね」とケロッと笑顔で言って逃げるように浴室に駆け込んで。
(脱いだ服を綺麗に畳んで隅においては、心を落ち着かせるようにシャワーを浴びる。
あんなにも女と仲良くする相手が許せなかったのにこんなにも未練がましく相手に付き纏っている自分。
きっと今の自分が“自分”と知れたら相手に鼻先であしらわれるだろうなと冷笑を零しては髪を洗い流す。
いつもは愛おしい相手のシャンプーの香りが今は少し切なく感じて。
(その頃、相手のベッド脇に置いてある子供用リュックの中で自分の携帯が着信音を響かせており留守電に切り替わっては元カノの声で《菊?最近連絡ないけど大丈夫?…あの、この前旅行の帰りに桐崎君に会ったんだけど様子がおかしかったから気になっちゃって。余計なお世話だよね。あ、…これ聞いたら連絡ください》と留守電が終わって。
>露木
( 年齢を感じさせない様な問い掛けに頭を悩ませつつ浴室に向かう相手を見送っては流石に良からぬ噂が流れるのは良くないかと。
そこでふと鳴り響いた着信音に何処と無く聞き覚えを感じては音源である相手のリュックをジトリと見詰め僅かに開いたチャックの隙間を覗き込み。
“何で相手の携帯が入ってるんだ”と眉を寄せては首を傾げるもまさか幼児化しただなんて想像も付く筈無く相手が風呂から戻り落ち着いたら問い詰めてやろうと。
( 自分も風呂を済ませ冷蔵庫からスポーツドリンクのペットボトル片手に部屋に戻るも思い出した様に再度キッチンへ戻れば子供用のコップに注がれたオレンジジュースを相手に差し出しベッドに腰を下ろして。
「…はぁ、…ってかチビが人の色恋沙汰に首突っ込むとはな。………さっきの、スーパーで聞いたって言う子供が何人居るとかどうたらこうたらって。………俺流石に餓鬼は居ないけど。…ったくどっから流れた噂だよ」
( 呆れた様に溜息を漏らし“噂とは怖いな”と考えては携帯の事を思い出し相手のリュックを指差しては「そう言えばお前何で露木の携帯持ってんだよ」と。
視線を流す相手に詰め寄り軽々と膝の上に乗せては逃げられない様にガシッと掴み「何で持ってんの」と再び問い掛けて。
口を開かない相手に溜息を付いては手をパチンとし「分かった。…ならお前の質問に何でも二つ答えてやるよ。俺が答えたらお前も家出の理由と携帯の理由答えろよな」と。
相手の頬にふにふにと触れながら「何か聞きたい事あるか??好きな食べ物でも動物でも何でも答えてやるよ」と子供に接する態度で問い掛けて。
>桐崎
(逃れられない状況に内心冷や汗が止まらず、ガキ扱いされても相手に見惚れてしまい一瞬ぼーっとしてしまっては首を横に振って小さい頭をフル回転させる。
数秒後考えがまとまっては小さく息を飲み込み複雑な表情で相手を見詰めて相手の服の裾をグッと握って。
「……じゃ、じゃあ……質問するね。………………お兄ちゃん…最近、女遊びばかりしてるって本当なの?……それで菊兄さんのことはどう思ってるの?もう嫌い?顔も…見たくない?」
(明らかに不自然な質問、それでも構わず揺れる瞳で相手を見詰めては小さく息を吸い「……携帯は…家出したとき菊兄さんが心配してくれて念の為にって持たせてくれたの。……家出は母さんと父さんの喧嘩を見てるのが嫌で……」と疑惑だらけの嘘を並べて。
「……理由答えたよ。………お兄ちゃんも僕の質問に答えて?“嘘つき”は駄目なんでしょ?」
(真剣な瞳で内心“嘘は駄目”なんてよく言えたものだなと苦笑を漏らしつつ表情は変えずに相手を見詰め「……菊兄さんのこと、嫌い?」と一番聞きたいことを“嫌い”と言われるのを覚悟で再度尋ねて。
>露木
( 揺らぐ瞳が相手と重なり胸が締め付けられる様な感覚になっては一瞬唇をきゅっと締める。
それでも目前の少年が相手な訳無いと思ったまま「…分かった、答える。…ただ露木に言ったら許さないからな」と額を軽く小突いてやって。
「先ず、一つ目。女遊びなんてしてないよ、…って言うかどっからそんな噂流れてんのかな。………好きでも無い女とイチャイチャ出来る程俺器用じゃ無いんだ」
( 落ち着いた様子で淡々と答えてはペットボトルのスポーツドリンクを一口飲み込んで。
「二つ目、か。露木の事は嫌いじゃないよ、…嫌いな訳ねぇだろ。好き………って言うか愛してる」
( こんな小さな子供に何を言ってるんだと呆れるも少年は相手じゃないと思い込んでる為にすらすらと言葉になって。
「でも彼奴に言うつもりも無いし傍に居たいなんて大それた事は思ってない。………恥ずかしながらさ、こんなに人を好きになったのこの年で初めてだから空回りしてばっかで…。割と俺小さい男なんだよ、それに良いとこもあんまない。煙草臭いし見た目もこんなだし直ぐに嫉妬するし」
( 苦笑いで言っては立ち上がりペットボトルをキッチンへと戻しに行っては「さて、お互いちゃんと腹割って話したな。取り敢えずお前も家に居づらいなら好きなだけ此処にいて良いから。…あ、でも来週の土曜は孤児院行く予定だから暇ならお前も付いて来いよ」と軽く微笑み同じベッドへと横になっては相手を寝かし付けるより早く自分が寝てしまって。
>桐崎
(相手の隣、先程の事があって眠れるはずもなくいつまでも煩く鼓動する胸のあたりをギュッと握る。
ずっと相手から嫌われたと思っていた。“急に”相手の態度が変わって不安で…。
でも相手は“愛してる”と想ってくれている。……では何故“自分”に言えないのか。
今直ぐにでも聞きたい、それなのにこの姿で今更聞けないと思ってしまいもどかしい気持ちで眠る相手に抱き着いては「……御免なさい」と小さく零すも、相手の匂いに安心しては次第に眠りに落ちて。
(翌朝、相手より先に目を覚ましてはベッドから抜け出し用意されていた踏台に乗って洗面等を済ませる。
まだ気持ちが落ち着かず、何かしようと世話になった礼にいつも相手が食べているトーストをセットしてはレタスを千切り不器用ながら目玉焼きを焼いて、コーヒーをいつも相手が飲んでいる濃さで淹れる。
完成した朝食をテーブルに並べては相手の元へ行き「きり…」まで呼びかけ慌てて「お兄ちゃん……ご飯作った」と言い換えては、急に昨夜の事を思い出し羞恥が込み上げ、子供のせいか上手く表情を隠せず顔を真っ赤にして。
こんなの恥ずかしすぎるとトイレに駆け込むとやはりすぐにでも元に戻して貰おうと携帯で男(槇本)に小声で電話して。
『……なんだよこんな朝っぱらから。……まさか戻して欲しいとか?』
「そうだよ。昨日の今日で悪いけど…気が変わったから」
『…………やだ』
「は?…なんでだよ」
『元に戻すかどうかは俺が決めるって言っただろ。じゃあ俺まだ寝るから』
(プツンと電話が切れては何してんだかと自分の阿呆さに溜息を吐き携帯をポケットにしまう。
まさか相手の部屋のポストに盗聴器があり昨夜の会話が聞かれていたとも知らず、男にどう交渉すればいいかを考えながらトイレから出る。
相手の視線を感じ慌てて目を逸らしては「そう言えば土曜日だけど、…いけたら行きたいな」なんて変に疑われないよう何か聞かれる前に話題を振って。
>露木
( 子供とは思えない程の何処と無く相手を思わせる様な自分好みの料理に舌づつみしつつ小さな相手の頭をわしゃわしゃと撫で回して。
不審な相手の行動をジトリと見つつ土曜の事を切り出されては僅かに表情を緩め頷き「おう、孤児院の子供達もきっと喜ぶ」と。
( それからあっという間に土曜になれば元カノの友人との待ち合わせ場所に相手と手を繋ぎ訪れては友人は一瞬驚くも相手を抱き抱え『え、この子どうしたの??可愛い-!!!』と黄色い声を上げて。
「あ-…“顔見知り”の親戚、かな。家出中らしいから俺が引き取った」
( サラリと答えては一方的に話す元カノの話を流しながら孤児院へと向かって。
子供達も数日前から楽しみにしてくれてたらしくはしゃぎながら迎えてくれては元カノの友人が準備を始めるのに気付き手伝いに向かって。
その頃、相手の元に先日の姉弟が駆け寄っては『こんにちわ!!!私遙花っていうの』『僕は陸だよ、良かったら一緒に本読もうよ』と。
( 孤児院の調理場にて、元カノの友人に『ねぇ、特定の彼女って作ったりしないの??』と問われては“どういう意味だ”と眉を寄せる。
「そろそろ、欲しいかな。………でもまぁ俺の事理解出来る奴なんて居ねぇだろうな」
( 小さく呟いてはきょとんとする友人に「ごめん、なんでもないわ」と言っては小麦粉やらを棚から運んで来て。
>桐崎
(迎えた土曜日、毎日男に交渉するも結局元に戻して貰えず約束通り孤児院に訪れては相手と親しげに話す女を“誰だ此奴”と嫉妬心を隠しつつ見る。
女の前で“自分”を顔見知りと言う相手にあの夜は“愛してる”って言ったのにと身勝手に拗ねては、姉弟に誘われるまま本を読みにいって。
(遊び場スペースにて、自分が子供ということを忘れ姉弟に本を読み聞かせては丁度パン作りの準備が整ったため、エプロンをしてそちらに向かう。
すると女(元カノの友人)がやたら相手に密着して『へー彼女欲しいんだ!…私だったら繿のこと理解できると思うなぁ…。あ、ごめん名前呼び捨てにしちゃった!』と態とらしく口を塞ぎ、抜け目なく小麦粉を頬につけては『ねぇねぇ顔についてない?とってー』と相手に顔を近づけて。
明らかに狙っている女の行動に無性に苛々してはトタトタとそちらに駆け寄り2人の間に割って入り「…小麦粉、上手くまとまらない」と相手にボールを差し出す。
その際、目が合ってはあの夜聞いた相手の言葉を思い出しまたカァと熱くなって俯く。
いい加減、相手とちゃんと話したいと思っては顔を上げて「ねえ…」と声をかけるも女が横から入ってきては相手の横にぴったりついて『あ、繿、こね方そうじゃないよー』と相手に自身の手を重ねて生地のこね方を教え始めて。
その光景が親しげに見えては、結局自分は“子供のままで相手のそばにいるだけ”では満足出来ないのだと自覚する。
そして酷く貪欲な自分に嫌気がさすと共に、相手がちっともこっちを見てくれていない気がして悲しくなっては普段は我慢出来ただろうむしゃくしゃが抑えきれなくなり、突如女と相手が練っていた生地の入ったボールを床に叩きつけるようにひっくり返して。
ガシャンと騒音が響き無残に床に広がる小麦粉を見ては、ハッと我に返りなんてことをしてしまったのかと蒼白になって「…ご…御免なさい」と震える声で謝罪してはその場を走り去って。
>露木
( 小さな謝罪と共にパタパタと去って行ってしまったのに一体どうしたのだろうかと首を傾げては女も僅かに困り笑顔で『まだ小さいからね-、少し難しかったのかな』と零して。
手を洗い「ちょっと迎えに行ってくるから」と女の返事も聞かずに言っては孤児院内を相手を探し見回り、漸く空き部屋の棚の陰に相手を見付けて。
駆け寄り相手の目線まで屈んでは「どした??」と問い掛けそのまま腰を下ろして。
黙り込む相手と向かい合い、それでも深く追求せずに無言で相手を抱き上げ自分の膝に乗せては「そんな顔すんなよ。………何かお前が悲しい顔してるのは嫌なんだ、………すっげぇ露木と似てるからさ」と。
「…今日の帰りさ、さっきの姉ちゃん(元カノの友人)に誘われてたんだけどやっぱり断るわ。何か疲れたし…お前も疲れてるだろ。帰りにアイスでも買ってやっからもうちょい我慢しろな」
( 相手の頭を撫でてた所で女が『パンそろそろ焼けるからおいでよ-』と言いに来て。
早速今日は真っ直ぐ帰ると告げては強引に次の約束をされ碌に耳も通さないまま相手の隣に戻って来て。
( パンも焼き上がり相手の隣で一口パンを齧っては相手の肩を軽く叩いて。
「…露木の親戚なんだろ??……………あのさ、俺の事………何か話してたり、…する訳無ぇよな。ごめん」
( 困り顔で微笑んでは相手に向き直り「……………よし、明日彼奴呼び出してみるわ。………まぁ来ないとは思うけど………どうせこんななら言うだけ言った方が良いよな」と。
相手(少年)の携帯は既に相手(大人)の元に戻った物だと勘違いしたまま《明日話したい事あるから時計台の下で待ってる》とメールをし。
大人の姿に戻れないという相手の事情も知る筈無く何処と無く真剣な表情でいて。
>桐崎
(何も咎めてこない相手に居た堪れない気持ちになりながらパンを囓るも“自分を誘う”という相手の言葉にピクリと反応する。
自分の携帯は幸い隣室、着信音が聞こえる事はなかったが相手の気持ちを蔑ろにしている自分が酷く愚かに思えて……。
(パンを食べ終え片付けなどが終わってはしつこく女が相手に迫ってきたが相手が上手く対応してくれ2人で寮までの道を歩く。
途中足を止めては「……行きたいところがある」と少し声を低くして述べ相手の手を握り直すと黙って自分のアパートに向かい鍵を開けると戸惑う相手の室内に通して。
慣れたように相手に御茶を出しては奥の部屋から匿名で送られてきた加工写真の数々が入った封筒を持ってきては相手に差し出し正面の席に座って。
「……それが…あんたと奈緒との誤解を解いてからずっと送られてきてた。その時からあんたの態度が変わって…。…赤い髪の女と仲良くしてるし……。……でも一度は話し合おうとしたんだ。そしたらいきなりこの姿にされて…」
(はっきりと“自分”とは言わずポツリポツリと気持ちを話しては、男に携帯を取られていて相手の留守録を聞かされた事や(相手を売ろうとした)男とは本当はなんでもなかったことなど包み隠さず話して。
「……あんたには嫌われたと思った。でも…どうしてもあんたの傍に居たくて…“自分”じゃ駄目ならこの姿でって思ったんだ…。だけど…あんたの気持ち聞いて欲が生まれた。……俺、やっぱり“自分”としてあんたの傍にいたい。あんな気持ちの聞き方してこんな事言うのはずるいのは分かってる。でも…あんたが好きなんだ。…なあ、何で俺には“愛してる”って言えないんだ?あの時“俺(子供)”に言ってくれた言葉は嘘だったのか?」
(未だに男(槇本)が相手にしてきたことや、アパートで元カノが雨で濡れた自分の服を脱がそうとしていた誤解が溶けていないことに気付かず、身勝手に問い掛けては震える拳をキュッと膝の上で握って。
この時まだ自分が元に戻れないことは口に出せずに。
>露木
( “行きたい所がある”と連れられたのはまさかの相手の家で何故鍵を持ってるんだと疑問を浮かべる。
見せられた写真を見詰めては中々の加工の腕前に自分でさえ騙されそうになるも見覚えは無く。
成行きを説明する相手に漸く理解出来て、今まで一緒に居たのは少年では無く相手だったのだと。
沸々と浮かんで来たのは全て曝け出してしまった恥ずかしさ、上手く隠し通して来たのにと唇を噛み締めて。
「………何だよそれ。俺の事騙してたの」
( ポツリと零しては視線を横に流し「あんた元カノと出来てる癖して俺の事も惑わそうとか考えてんの??」と。
元カノとはまだ付き合ってると勘違いしたまま特に怒りを見せる訳でも無く静かに言う。
「本当は嘲笑ってるんじゃねぇの、俺の事。未練がましいとか思ってんだろ」
( ただ本心を相手に知られたという恥ずかしさから早口になるもハッとしては口を噤み俯いて。
「赤い髪の女、あれ赤城だから。木ノ宮に頼んで女にして貰ったとか言ってた。…それに、餓鬼のあんたにも言ったけどあんたの傍にいるつもりとか無いから…あんたは精々元カノと仲良くすれば良いだろ。何の心配もしなくても男の俺と付き合ってた事は言わねぇし」
( 相手の言葉も聞かずにつらつらと言っては相手が“戻れない”という事なども知らずに「第一、何時まで餓鬼の格好してんだよ。………それとも俺があんたを呼び出すって餓鬼のあんたに言ったから来れない口実を作っただけ??」と。
やり切れなさに舌打ちをし立ち上がればスタスタと玄関先に向かい「あ、あんまり餓鬼の姿でうろうろすんなよな」と言い残して。
>桐崎
(相手の返答から自分が思い違いをしていたと知り深く反省して、続く“あんたの傍にいるつもりはない”という言葉に傷付くも勘違いしている様子にこのままでは終われないと玄関の扉に手を掛ける相手の服の裾を掴んで。
「待てよ。…なんで俺があんたを蔑んでるって事になるんだよ?…奈緒とは何でもないって言っただろ?……なんでそんなに…」
(元カノとの関係を疑うんだと聞きかけて、漸くアパートでの事を思い出しては自分の落ち度に唇を噛んで。
「…アパートに彼奴(奈緒)が居た時のこと気にしてるなら誤解だ。あれは…彼奴が俺の服が濡れてて着替えろってしつこく迫ってきただけで…。…だいたい服が濡れたのはあんたが待ち合わせ場所に女連れて遅れてきたからなんだぞ。……まあ女は赤城だったけど。でもあの時俺が女とあんたの写真見せられてどれだけ不安な気持ちでいたか分かるか?」
(相手と青年に何があった(*)かも知らずに気持ちをぶつけるも自分にも反省点はあるため目を逸らし「…そりゃ俺もアパートで奈緒といた時のことすぐにちゃんと話さなかったのは悪いと思うけど……話そうとはしたんだ。…でも…この姿にされて暫く記憶がなかったから」と素直に打ち明けるもどれも言い訳じみて聞こえてしまい俯いて。
しかしある事を思い出してはハッとなって相手を見上げ。
「…お、俺(少年)に奈緒と俺(大人)の旅行先の写真見せてくれたことあっただろ?あの時、俺は俺であんたと一緒にいた。同じ時間に奈緒と旅行に行けるはずないだろ?」
(必死で誤解を解こうとするもいつもより高い相手の目線が鋭く見えては掴んでいた相手の服の裾を離して。
「……でも…俺のことなんて信用できないよな……、………子供になって嘘吐いて、あんたの気持ち…勝手に聞き出したんだもんな」
(眉を下げ謝っては、どうせ相手は信じてくれないだろうと奥の引き出しから万札を持ってくると相手に差し出して「…此れ、あの…公園の男とは何にもなかったから。……返す」と手を伸ばし相手のパーカーのポケットに突っ込んでは「…引き止めて悪い…」と部屋の奥に行き。
“何故子供のままなのか”はとても恥ずかしくて言えず、どうせ相手が離れていくなら言う意味などないため自分で何とかしようと決めて。
(*)>632
>露木
( 疑いの目を向けてたが小さな手が自分のポケットに以前自分の渡した万札を返してくるのを驚いた様に見詰めては部屋の隅に向かう相手にズカズカと駆け寄る。
無理矢理此方に振り向かせ頬に手を添えては「……………嘘だろ。…本当に露木だってのかよ」と零して。
しかし再び罰が悪そうに目を逸らしてはさっさと相手の部屋を後にし寮へと向かって。
( 自分が相手の家を去った後、外で聞き耳を立ててた男は勝手に家の中へと入り座り込む相手に駆け寄っては眉間に皺を寄せて。
『奈緒に、…会って来た。露木の話題になったら奈緒優しく微笑んで“菊の本心からの笑顔見れたから嬉しくて”って言ったんだよ。…露木が奈緒とよりを戻せば…奈緒が笑っててくれれば俺だって』
( 言い掛けた言葉をグッと飲み込んではギュッと目を閉じしっかりと相手に向き直っては相手の額に手を翳すが何か思い出した様に手を止めて。
『やっぱ…まだ戻してやらない。今から俺桐崎に話さなければならない事があるから…それが終わったら戻してやる事考えてやっても良いよ』
( スッと立ち上がり『今露木は子供の姿なんだから戸締りはしっかりしろよ、泥棒に入られたらその身体じゃどうにもならないからな』とまた優しさを思わせる言葉を相手に残し部屋の扉に手を掛ける。
『前、露木が奈緒と居る時女姿の桐崎が来ただろ。…奈緒と居た露木に嫉妬してあの姿で露木を奪いに来たんだってよ。赤髪の友人………確か赤城だっけ??彼奴はそこに居合わせただけ。………調べると何でも分かるんだよ。そしてもう一つ分かった事だけど、来週駅前の居酒屋で桐崎合コンに呼ばれて行くっぽい。桐崎の携帯数日間ハッキングしたら…そんな様な事合った』
( 相手に背を向けながらポツリポツリと伝えてはそのまま相手の部屋を後にして。
>桐崎
(男が去った後、相手や男の残した言葉が脳内を駆け巡り、何故男は態々自分に相手が女体化した理由や合コンがあることを告げてきたのかと疑問に思う。
それよりも言葉少なに去った相手の気持ちが全く読めず、“愛してる”は嘘なのかとすら感じてしまい項垂れる。
孤児院に居た女(元カノの友人)が“相手は彼女が欲しい”と言っていたことを考えるとやはり合コンにいくのかと。
それらの事をすぐに携帯で聞く気にはなれず、そのまま現実逃避するように眠りに落ちて。
(明け方、目を覚ましては四苦八苦しながら身支度を済ませるも、この姿ではバイトは出来ないし相手にはこの姿が自分だと明かしてしまったため寮にも行けない。
完全に手持ち無沙汰になるももやもやする気持ちだけは募る一方で、あまりこの姿でうろつくなと言われたが中身は大人なんだから危険くらい察知できると気分転換に外へ出て。
(日が昇る頃、公園につきベンチに座っては通勤や犬の散歩で道行く人々をぼんやり眺める。
相手は今頃どうしているのか。男が相手に何か話すと言っていたが何のことなのか。
考え出したら止まらず気分転換の筈が結局もやもやしだしては携帯を取り出し相手宛のメール作成画面を開いたところでジッと固まる。
何度も打っては消しを繰り返し本当は何行もかけて“会って話したい”まで打ったのに全文消しては《合コン行くのか?》とたった一言だけ送って携帯をリュックにしまって。
その後も暫くベンチの上でぼーっとしていると餌を強請りに野良猫が近づいてきて、何も持っていなかったためベンチの下に生えていた猫じゃらしをちぎっては意味もなく猫と戯れていて。
>露木
( 相手の家を出て寮へと戻った頃、まだモヤモヤとする心を誤魔化し今日は早目に寝ようと風呂を沸かしに向かった所でチャイムが鳴り響き。
一体誰だと玄関先へと来てはどうやら訪問して来たのは以前相手を探してた時に“公園で見掛けた”と教えてくれた人の良さそうな青年の姿で。
「………??」
『桐崎君、………先ず…ごめん。先に謝るよ、…』
( 訳の分からない謝罪と共に渡されたのは大量の紙や写真、そこには元カノと相手をくっつけるべく行われた悪事や自分の身の回りの情報、加工写真までもがあり気味が悪そうに眉を寄せて。
男は自分の部屋のポストを何やら弄り始め、盗聴器と思われる小さな物体を取り出しては自分に見せて来て。
「………は、何だよこれ」
『警察に言ってくれても構わないよ。…露木と奈緒が縒りを戻せば奈緒にも笑顔が戻ると思ってやった事なんだ、………でも俺がそんな事しなくても良かったみたいだ。…本当にごめん』
( 頭を深く下げ『そろそろ、行かないと。………何時までも露木を子供の姿にしてたら危ないしね。………桐崎君、改めてお詫びはする』と言い残しさっさと去って行ってしまった男の後ろ姿を見詰めてはまだ混乱する思考の中、相手の言葉が頭の中を過ぎり。
全ての疑問が繋がり自分が相手にぶつけた酷い言葉や行為を思い出しては激しい後悔に襲われて。
( 翌日の朝、相手からのメールに目を覚ましては何で合コンの事を知ってるのかと疑問が浮かんだが寝起き故にまだ覚醒しておらずに。
《約束しちまったから行く》と短い返事を送り、本当はまだ相手を愛していて戻りたいだなんて言える筈も無く欠伸を一つしてはのそのそと着替え初めて。
( 公園にて、漸く相手の姿を見付けた男は小さな溜息を付き『勝手に出歩くなって言っただろ』と軽く叱っては相手の手を引き公衆トイレへと訪れて。
昨夜買い揃えた大人用の衣服を相手に手渡し『………戻りたいんだよな』とさり気なく確認しては相手を見詰め『…桐崎なら、全部話したから知ってるから』と。
>桐崎
(野良猫が逃げて行ったところで男に気付いては警戒の眼差しを向けるも、以前とは違う様子と告げられた言葉に小さく目を瞬かせる。
まだ戸惑いつつも子供の身体は懲り懲りしていたため即服を受け取って元の姿に戻して貰い関節の痛みに耐えつつベンチに座る、すると男も隣に腰掛けてきて。
『……露木はずるいよな』
「…は?……何がだよ…」
『…奈緒に好かれてるのに他に好きな奴がいて友達もいる。しかもみんな露木の能力を認めてる。…ずるいよ』
「…………」
『俺なんて奈緒に見向きもされないし寄ってくるのは金目当ての連中ばかりだ。誰も俺を見てくれない』
「……槇本は…『慰めなんて寄せよ。俺は露木と桐崎君に最低な事をした。きっと全てを知ったら露木は俺のこと嫌いになる』
(男は静かに述べて立ち上がり一度振り替えては『露木、お前もっと好きな奴のこと観たほうがいいよ』と苦笑し去って行って。
追おうにも関節が痛み敵わず諦めて座り直したところで相手からのメールに気付いてはその内容に落胆する。
変に真面目な相手のこと、気にする事ではないと言い聞かすもやはりショックに感じる自分がいて、それでも咎める資格など自分にはないと思えば今まで休んでいた分を取り返すため連日バイトに打ち込んで。
(数日後の相手が合コンする日、相手とは何にも連絡を取っておらず頭に濃い靄が掛かったままバイトに来てはバッグルームに来るたび溜息を吐いて無意味に携帯の着信を見る。
相手から連絡が来るはずないのにとまた溜息が漏れるも、客の前では笑顔を振る舞うようにしバイトが終わったらさっさと家に帰って寝てしまおうと。
>露木
( 訪れた合コン予定日当日、駅前の居酒屋にて男女3人ずつ集まっては共に酒を飲み始める。
特に会話に交じる訳でも無く聞かれた事のみに適当な返事をしては時間が過ぎるのを待つ。
好みの女性なんて者は相手と出会ってから出来なくなったしあまり興味も無くなった。
合コンも終わり適当にアドレスを交換してはさっさと帰ろうとするも何故か席を共にした男が付いて来て。
「何、お前家あっちだろ」
『や、何となく。桐崎良い女見付かった??』
「別に」
『そっか。……………お前はさ、同性には興味無い??』
「あるよ」
『!!??………マジか。………あのさ、アドレス交換しよ』
「何で」
『俺も同性好きだったりするからお互い相談とか出来るじゃん』
「あぁ」
( 興味無さそうにアドレスを交換してはその男とも別れ寮までもう少しという所でバイト帰りの相手と出会し。
素通り出来る筈も無く何時もの変わりない無表情で「よ、帰り??」と他愛ない様子で声を掛ける。
相手と一緒に居たいという気持ちが合ったが「危ないし送る」なんて言い訳を作っては共にアパートの方角へと歩き出して。
沈黙に耐えられず「昨日さ、全部聞いた。…俺の勘違いだったんなな、色々ごめん」と。
>桐崎
(バイト帰り相手とばったり出会しては気まずい別れ方をしたこともあり、気さくな態度に戸惑うも突如謝罪されては弾かれるように「あんたは悪く無いだろ」と応えハッとなっては俯き。
「…俺が誤解を煽るようなこと言ってちゃんと話さなかったのがいけなかった。……………でも良かった。…あんたとはこうやって話すことはもうないと思ってたから」
(俯いたまま静かに話しては子供になってまで相手に張り付き数々の醜態を晒したのを思い出して顔が熱くなるのを感じ今が夜で良かったと相手を見ないようにして。
再び沈黙になるもそう言えば相手は合コン帰りだったなとチラリと横目で相手を見て。
「………さっきまで合コンだったんだろ?……“いい女”居たか?………彼女作りたいんだってな。孤児院で女(元カノと友人)が騒いでるの聞いた」
(視線を地面に戻しては相手の返答を待つもいつの間にかアパートに到着してしまい、まだ相手といたいと思うのに此処まで送って貰って引き止めるのも悪く感じ「…なんでもない」と相手を帰そうとする。
しかし、相手が身を返し少し歩いたところで急に不安が押し寄せ相手との微妙な距離感に耐えられなくなっては自分でも驚くほど強く相手の手を握り引き止めていて。
「あ…、悪い…」
(パッと手を離して目を逸らしてはまた気まずい空気が流れるが、しっかりしろと自分に活を入れると相手を見詰め。
「…俺達って…今、どんな関係って思えばいいんだ?…………俺は…、あんたが俺が餓鬼の時に言ってくれた言葉信じてるし俺も同じ気持ちだ。……でも今あんたの気持ちが変わって他に気になる奴がいるなら、諦める__」
(相手を諦めるなんて出来るはずないのにと唇を噛むも、まだ終わった訳ではないと紅い瞳をまっすぐに見詰め直し。
「__諦める、けど。………あんたがまだこんな俺でも好きでいてくれるなら……いや気になるだけでも良い。少しでも気にかけてくれるなら……また俺と付き合ってくれないか?」
(不安で微かに語尾が震えるも相手からは視線を逸らさずじっと返答を待つ。
内心、こんな告白じみたこと慣れてなくて心臓がどうにかなってしまいそうだったがどんな返事でも受け入れようと心に決めて。
(一方、飲み会の男は帰宅途中早速相手に《今日はお疲れ。いきなりで悪いんだけどさ相談乗ってくれよ。次の休み明けとくからよろしく》とやや圧しの強いメールを送って。
>露木
( 相手からの言葉に鼓動が煩く騒ぎ正面から見詰められては俯いてた顔を遠慮がちに上げる。
相手の傍に居れば苦しむと思い自分から身を離して逃げに走ったのだ、今更どの様な返事をしたら良いのかと頭を悩ませるも返事は既に胸の中にあり。
結局相手から離れるのは何より一番苦しかった。
それでも言葉にするのを迷っては頭をガシガシと掻き乱し小さな溜息を付いて。
「…“傍に居るつもりは無い”って…言っただろ。………そんな事言われたら、…俺だって気持ち揺らぐだろ」
( 改めて言われた気持ちに沸々と羞恥が蘇っては視線を横に流し「………良いよ」と。
カアッと照れ臭さが来ては自分の顔を見せまいと相手の頭をわしゃわしゃの撫で回しアパートの前まで来ては「………じゃあ、明日な」と。
( 男からのメールに気付いたのは翌朝、《分かった、次の休みな》と素っ気無い返事をしてはそれから数分も経たない内に電話が来て。
『もしもし、いきなり悪いな。約束な』
「ん。何処待ち合わせにする??」
『時計台だろ、待ち合わせって言えば』
「分かった」
( 短い電話の後、最近は楽になったペースのバイトへと向かえばバックルームで制服に着替えて。
付き合った当初の様な恥ずかしさを感じつつ《今日はバイト??》と相手にメールを送って。
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