xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(知らない男(相手)の部屋に連れられ始めは緊張するも親切な対応に徐々に警戒を解き大人しくしては相手の問いかけに小さく首を傾げ「…名前、分かんない」と短く答え。
子供ながら相手が困っているのが伺え自分のせいだと思い「…ごめんなさい」としょんぼりするも、何故か相手と居ると心が落ち着き銀髪をじーっと見詰めては無性に触れたくなりベッドに座る相手によじ登ると前髪をワシャと掴んで。
「お兄ちゃんの髪、綺麗。お目々もかっこいいね」
(ニコと笑い向き合う形で相手の膝の上に跨るも、突如扉が開き『繿、ちょっと服貸してー』と兄が入ってきては慌てて相手の後ろに隠れて。
『え…誰その子?……は!繿まさか誘拐?!』
(口に手をあて態とらしく後退る兄は相手の話しから状況を理解するとすぐに若頭に電話をかけ色々確認を取り。
『…警察に届けは出てないみたい。身元が分かるものもないし、どうしようかねー』
「……ごめんなさい」
(何も思い出せない事が申し訳なく口を噤んで俯いては此れからどうなるのかという不安から相手の裾をキュッと掴んで。
『その様子だと梃子でも繿から離れそうにないね。…繿って昔っから子供に好かれやすいよね』
(ムッと顔を近づけてくる兄から逃げるよう相手にしがみついては、ふとベッド脇に置いてあるCDが目に止まり「僕、あの人達知ってるよ」と指さして。
『随分ませたもの聞くんだね。…保護者の趣味かな』
「この前ライブ行ったよ」
『へぇ、その歳で?…誰とかな?』
「………わかんない」
(肝心なところが思い出せずモヤモヤしては髪をクシャクシャと掻き乱し必死で記憶をたぐり寄せるも結局何も浮かばず、その後も相手にぴったり寄り添い相手が手洗いにいくだけの時も不安から後をついて離れずにいて。
>露木
( 翌日、まだ隣で眠る相手の柔らかい頬に触れながら穏やかな笑みを浮かべてはのそのそと着替え初めて。
子供達の費用も全て貯め終わり暫くの休みを貰ってる為相手から目を離す事も無いと安心しながら朝食を用意しようとしてはピタリと手を止める。
流石に子供にカップラーメンは良くないと携帯片手に料理の作り方を載せてる投稿系サイトを開いては朝食にイチオシのスープの作り方を見ながら料理を初めて。
暫く経ち皿の上にトーストを乗せてはベッドの上にて目を擦りながら起きてた相手を抱き抱えテーブルの自分の席の隣に座らせ予め冷ましておいたスープを相手の前に置きスプーンを手渡して。
「………味に保証は出来ないけど」と小さく呟いて。
( 朝食を終えテレビを見たりとしてたが相手の子供服が乾いたのに気付いてはそれに着替えさせて。
飲物などを買いにコンビニへ行く予定だったがこの調子なら着いて来るだろうなと判断し自分のパーカーをすっぽりと被せてはそのまま学校の外へと走り。
かなり離れたコンビニへと訪れミネラルウォーターを籠に入れてはトタトタと着いて来る相手の頭をわしゃわしゃと撫でて。
ここまで歩かせたのだし、と相手を抱えては「駄菓子屋あんだけどよ、行くか??」と問い掛け会計を済ませては駄菓子屋へと向かって。
( 駄菓子屋へ着いた途端見知った顔(幼馴染み)が目に入れば小さな相手に駆け寄り『な…何よこの子!!!か………可愛いっ!!!』と相手に抱き着いて。
一体どうしたのかと聞かれ少しづつ内容を説明しては幼馴染みもどうしたようかと頭を悩ませる………のも一瞬で直ぐに相手の目線にしゃがんでは“可愛い”を連呼していて。
『ふふ、お菓子食べる-??私も駄菓子屋好きなの!!繿君に連れて来て貰ったの-??』
( ニコニコと相手に話し掛ける幼馴染みを尻目に小さな籠を手渡しては「好きなの選んで良いよ」と。
( それから寮への帰り道、相手と手を繋ぎながらゆっくりと歩いては携帯を見詰めどこかまだ未練がましく相手からの連絡を待っていて。
「……………露木、」と小さく零した事にも気付かずに寮が近付いて来た為に相手を抱え上げ。
>桐崎
(相手に抱えられながら買って貰ったばかりの棒付飴を上機嫌で舐めるも相手が深刻そうに携帯を見て“露木”と呟いた言葉に「何?」と無意識に反応しては相手を見詰める。
しかしすぐケロッとすると「お兄ちゃんも食べる?」と自分の舐めていた飴を差し出して。
(寮へと付き相変わらず相手の足に纏わり付いては好奇心から訪れていた青年に駄菓子を渡し相手にも「プリン好きでしょ?」とまだ相手の好みを聞いてもいないのにプリン味のチョコを渡して。
『うわぁ、それ超甘そう。そういうの兄さんあまり好きじゃないよ』
「………」
(青年の言葉にムッと拗ねては、丁度相手の携帯が鳴って男が奪った自分の携帯で嫌がらせのごとく元カノと自分が仲良くする加工写真を添付し《あんたは一生独りだろうな》と心に傷を負わせるような言葉を態々選んで送りつけ。
相手の膝の上に乗っていたため、偶々自分の写る写真が見えてはドクンと大きく胸が脈打ち「この人、誰?」と相手に尋ね“露木菊”だと聞いたところで今まで空っぽだった脳内に記憶が流れ込み漸く自分が誰かを悟り状況も理解すると一気に青ざめて。
『……ん?僕どうしたの?なんかあった?』
「……ぁ、…いや、何でもない、よ」
(歯切れ悪く答えては相手の膝の上から慌ててどいて急に余所余所しく間を置くと壁に張り付くように後退り。
「俺…ぁ…僕、家、思い出したから帰るね。お世話してくれてありがとう」
(ぎこちなく笑んでは、何故身に覚えのない写真が相手に送られたのかと訝しむ以前にこんな姿で相手といられないと焦燥にかられグッと背伸びしてドアノブを下げて外に出ると一目散に駆け出す。
が、其処は子供の足、思うように足が前に出ず一度派手に転ぶも瞬時起き上がり“早く男(槇本)を見つけだし元に戻して貰わねば”と階段を駆け下りて。
(その頃、男は自分が相手に拾われた事を知り、誤算だったと焦っては幼児が自分だと知られる前に相手の精神を傷付け完全に自分への想いを断ち切らさせねばと策を考え。
自分(菊)の携帯で《…さっきは御免。…本当はあんたが女と仲良くしてるって聞いてすごいむかついて勢いでやったことなんだ。ちゃんと謝りたいから明日会わないか?…俺、今でもあんたのこと信じてるから》と嘘のメールを送り。
その後すぐそのまま自分(菊)の携帯で裏で見世物をする店に《桐崎って良い能力者を紹介するんで明日この廃工場に来てみてください。高値を期待してます》と相手に指定した待ち合わせ場所と同じ場所を指定して送って。
>露木
( 丸で自分を知ってるかの様なら物言いの少年に散々疑問を浮かべるも自分の携帯に来たメールに気付いては一気に表情が暗くなり。
目前の幼い少年(相手)に良く似た相手の事を問われては特に隠す事も無いかと相手の名前を告げる。
しかし突如少年(相手)の表情がサッと変われば“家を思い出した”などと述べ部屋を出て行ってしまって。
『うわ、ちょ…流石に危ないよね』
「急いで追い掛ける、餓鬼一人は流石に心配だし」
( 青年と共に街まで来た所でまた携帯が鳴り響けば先程と打って変わった内容に頭を悩ませる。
しかしまだ未練がましく愛しく思ってる相手の誘いを断れる筈も無くいとも簡単に流されてしまっては若頭へ連絡を回す青年に少し外すと告げて。
急な心変わりなど怪しいとは分かってるのに廃工場まで来てしまえば重たい扉を開け「………露木、居るのか」と小さく呟いて。
『へぇ、お前が桐崎??』
「……………は??……あんた達、…誰だよ」
『口が悪い子は嫌いだな。まぁ良いや、誰が一番金を出すか見物だね』
( 男達に囲まれながらもその言葉が理解出来ずにひたすらに状況を理解しようとして。
相手は何処にいるのか、この男達は何なのかと懸命に思考を巡らせる中、男の次の言葉に頭が真っ白になり信じられないと。
『誰も何もお前の事露木に紹介して貰ったんだよ、“良い能力者が居る”ってな』
『まだ若いしこれは良い金儲けになるね。露木君に感謝しなくちゃな』
「……………露木が??……………」
『ほらよ、証拠のメール。しっかりと露木からだろ??』
「………そんな筈…」
『売られたんだよ、馬鹿みてぇに尻尾振ってっから。まぁしっかり飼い慣らしてやらぁ』
『さ、値段が高い物から彼を引き受けるルールだね。露木君にも金を送らなきゃならないし一番高額の人の手に行く事になる』
( 一人の男が自分の能力を刺激するかの如く首を締めて来ては咄嗟的に能力が解放されてしまい。
何度も意識が遠のこうとする所、男達が次々と額を上げた値を言ってるのが耳に入ってはもう本当に相手の心が手に入る事は無いのだと。
どうやら自分の値が決まったらしく一人の男に首根っこを掴まれては『ほら、大人しくしろ』と。
無理矢理明日からの仕事を言い渡されては誰が従う物かと顔を背ける。
その態度が気に入らなかったのか頬を思い切り殴られては冷えた心を隠しながら廃工場を後にして。
( 切れた口内の痛みに眉を寄せてた所でまた携帯が鳴り響いては《まんまと騙されたんだ。あんたって本当に馬鹿だな、そんなに俺が好きだったんだ》と挑発する様なメールが届いて。
苛立ちが込み上げ電話を掛けるも相手が出る事は無く留守番電話に繋がっては“メールは出来ても電話には出れないのか”と。
「誰がテメェみてぇな薄汚ぇ身売りに本気になるかよ。自惚れ過ぎだろ、笑わせんな。………最初から本気になんてしてねぇんだよ。………今日の事、許さねぇから。次会ったらマジぶっ殺してやるからな」
( 暴言を散々撒き散らし留守番電話を切ってはコンビニにて水を購入し腫れた口内を冷やして。
( その頃、幼い姿の相手と出会した能力者の男は相手の姿を見るなり憐れむ様な笑みを浮かべる。
そして不意に取り出した相手の携帯で先程の自分からの留守番電話を再生しては面白そうに笑って。
『桐崎は最初から露木なんて見ても無かったんだよ。…だって露木と付き合ってる最中も女との関係は耐えなかったんだから。桐崎が洋風の居酒屋のバイト始めたのだって若い女性に人気の店だからって知ってた??』
( 上手な嘘をつらつらと並べては相手の様子を伺っていて。
>桐崎
(街の中、男の行方を探していると向こうから接触してきて、聞かされた留守録と男の言葉に絶句しては小さく首を横に振って「嘘だ…」と後退る。
しかし男に腕をつかまれ何処で見ていたのか『ついこの前本人から直接同じようなこと言われただろ』と耳打ちされては今までの甘い時間は本当にまやかしだったのだと失望して。
それでも今の身体では何かと不便、戻して貰おうと男に頼むも聞き入れては貰えず『もう暫くそうしてろ』と突き放され、結局携帯も奪い返せずに去りゆく男のポケットからはみ出る相手から貰ったストラップが揺れ動くのを虚しく見詰めることしか出来ずに。
(トボトボとアパートに戻っては大家に“露木の親戚”と適当に理由をつけ首を傾げられながらも予備鍵を得ると自室に入りベッドに倒れ込む。
目を閉じれば相手の喜怒哀楽の表情が走馬灯のように浮かび、意に反して涙が込み上げてきてはしゃくりを上げて布団にくるまり気付けば眠りについていて。
(目覚めたのは翌朝、本などを踏み台にして何とか朝の身支度をするも子供服は一着しかなかったため洗濯が終わるまで家で大人しくしては、洗濯後着替を済ませ今度こそ男に元に戻して貰うため街に出て男を探し、相手のことは考えないようにして。
(その頃、相手を買った男はしつこく相手に連絡を取り応じなければ青年に手を出すと脅迫して廃墟に相手を呼び出しては訪れた相手を乱暴に硬いマットに放り投げ。
『たく、従順だったら可愛がってやったものを。…今日は仕置だ』
(ニタリと笑み力尽くで相手を抑え込むとトラウマを抉るように煙草をちらつかせ『お前の弱みを告げ口したのも露木だぜ。ちなみに赤城だったか?あいつをだしに使ったのも露木だ』と男(槇本)が自分の携帯から送ったメールを見せつけて『にしてもお前、いい顔してる上に肌も女みたいに綺麗だな。…今夜野郎どもに売り捌くのが楽しみだ』と相手の髪を撫で上げて。
(一方自分は偶然、相手が怪しい男と廃墟に入っていく姿を目撃し外の見張りが『あの餓鬼上物だし相当高値で売れるぞ』『俺も遊びて~な~』と話すのが聞こえ、一度は“あんな遊び人、痛い目見た方がいいんだ”と素通りしようとするも、未練がましく相手を想う気持ちが見てみぬ振りなど出来るはずもなく、小さい体を利用し見張りの目を盗んで裏口から中へ侵入すると痛々しい暴行の音がする方へ息を顰めて忍び寄り物陰から様子を窺い。
相手が痛めけられる光景、酷い惨状に精神まで幼稚になったのか足が竦み震えるもこのままでは駄目だと恐怖を勇気に変え飛び出しては男の腕に爪を立て手加減なしに噛み付いて。
殴られようが決死で男に喰らいつき隙を見ては男の急所に蹴りを入れて怯んでる隙に男から相手の携帯を奪うとすぐにアドレス帳から兄に電話を入れて。
>露木
( 男達からの酷い暴行の最中、これも相手が仕組んだ物なのかと勘違いを続け抵抗しようとも人数的に難しい所がありいとも簡単に気圧されて。
青年達にまで手を出されたら堪らないと必死に自分を押し殺してた所で小さな影が横切ったと思えば一人の男に噛み付き携帯を奪うのが見えては別の男が小さな相手に殴り掛かろうとして。
咄嗟に身体が反応し相手の上に多い被さっては兄に連絡を入れたとも知らず「親は、どうした。………危ないだろ、フラフラしてたら変な奴に捕まるぞ」と小さく叱りそのまま抱き締めて。
『おいおい、良いのかよ。露木がお前を売ったんだぜ??好きにして良いって言われてんだ、ジッとしてろってんだ』
「……………煩ぇな、取り敢えずこの餓鬼安全な場所にやってくんねぇか。…そしたらちゃんと大人しくしてやるよ、こんな小せぇ餓鬼に見せるもんじゃねぇだろ」
『悪いが躾のなってない餓鬼は嫌いでね、悪いがそれは聞いてやれねぇな』
( 尚も相手に暴力を振るおうとするのに何とか盾となっては懸命に逃げ道を探す。
しかし不意に重たい鉄の扉が開いたと思えば若頭と共に兄や青年が立っていて。
『その子、一応僕の友人なんだよね。君達が人数でやろうってんなら僕はその倍の人数を出そうかな。言っとくけど木ノ宮グループの部下達はみ-んな武道とか優れてるからね??』
( きょとんと態とらしく首を傾げる若頭の顔は割と知れており顔色を変えた男達はさっさと逃げて行ってしまい駆け寄って来た兄に軽く頬を叩かれて。
『あ-もう馬鹿じゃないの。…って言うかその子が連絡してくれたんだ、随分器用な子だね』
『あれ??お父さんとお母さんの家思い出したって…………ってまた抜け出して来たの-??』
( 困り顔の青年とは真逆に相手に似てる事からデレデレとする兄と青年を見詰めては小さく礼を言って。
外は既に夜、一人で家に向かわせるのも心配だと小さな相手を寮へと連行しては若頭が用意してくれた子供服を受け取り自室へと来ては温めの風呂を沸かし一人で入ると聞かない相手の言葉を無視して。
「前は一緒に入っただろうが、急にどうしたんだよ」
( ボソリと呟き入浴を終え慣れない手付きで自分の傷の消毒を済ませてはまた携帯片手に料理を始める。
難しい顔をしながら何度か味見をし、出来た料理をテーブルに並べてはテレビを付けて。
「料理とか本当苦手なんだ。…母さんは上手かったんだけど…流石に教えて貰う年じゃねぇし。………俺の作ったの旨いって言ってくれたの露木くらいで………」
( 僅かに表情を綻ばせながら相手の名前を言った所で視線を下に向けては誤魔化して。
中身が相手だとも知らずに無意識の内に携帯を何度も気にしてしまい。
食事や洗い物などを終えのんびりとした時間を過ごしてた所で相手を軽々と抱き抱えては自分の膝の上に乗せ髪を拭いてやる。
鼻は効くつもりで僅かに感じた“相手”の匂いに反応しては僅かに眉を寄せ「お前マジ何処の子??……………露木の、知り合いか??」と。
柔らかい頬に触れながらその可愛らしさに思わず頬を緩めては自然と笑みが浮かび。
>桐崎
(ボロボロの身体で身を挺して庇ってくれる相手に胸がズキズキと痛み、きっと“子供だから”守ってくれるのだろうと悲観的になっては、兄達が来て漸く解放されると直ぐ退散しようとするも敢え無く相手の部屋に連れられて。
(相手の部屋にて、丁寧に風呂に入れられ子供服を着せられては帰る隙を窺うも一生懸命作ってくれた料理を目の前にして帰るに帰れなくなり結局その美味しさにペロリと平らげては眠気からウトウトしはじめ相手の膝の上に簡単に乗せられる。
次ぐ問い掛けに小さく肩を揺らしては視線を横に流し「…親戚って聞いたよ」と短く答え、相手のきれいな微笑みを見てはもう二度と“自分”に向けられる事はないのだろうなと。
相手の留守録が脳裏を過り、相手が(男の虚言を含む)自分に傷付けられているとも知らず一方的に捨てられたのだと勘違いし続けては相手を悲しげに見上げ「……露木さんは身売りなの?」とほぼ無意識に尋ねて。
すぐハッとなっては「なんでもない」と首を横に振り、相手の頬の傷に触れては「…大丈夫?」と(嘘の)自分のせいでついた傷とも知らず心配しては相手はいつも人の為に傷だらけだなと眉を下げ。
____こんなにも優しい相手にあんな暴言を吐かせたのは自分のせいかもしれない。
____もう相手といられないなら一生このままで………。
そんな甘えが生まれては子供のせいか緩くなった涙腺からホロホロと涙が零れ落ち其れを隠すように相手に抱き着いては思わず「…繿」と呼んでしまい。
もしかしたらバレた…と蒼白になっては「ご、御免なさい」と早口で謝り一目散に相手の部屋を飛び出し、丁度相手の部屋にプリントを届けに来た男子高生にぶつかるのも気にせずひたすら走って。
(その頃、男は相手の部屋のポストに仕込んだ盗聴器により現状を把握すると直ぐに街に出て公園の遊具(トンネル)の中に身を隠す自分を引きずり出しては大人用コートを被せ有無を言わさず元の姿に戻して『ほら、さっさと服着ろ。お前もそんな格好じゃ困るだろ』と服を投げ渡し。
何故このタイミングで…と男を睨みつけながら服を着ては「…あんた何がしたいんだよ」と何も知らず問うも男が応える代わりに昼間見かけた男(相手を買った男)が現れ『桐崎には逃げられたからな。代わりにお前が稼ぎになってくれるって聞いてよ』と強引に口付けられて。
戻った反動で関節が痛み碌に抵抗も出来ずその姿は求め合っているように見えなくもなく。
その間に男(槇本)は、相手に接触を試み“子供なら公園に居た”と言うつもりで。
>露木
( 涙ながらに自分の名前を呼んだ様子にピクリと反応しては問い詰め様とするも逃げ出されてしまえばそれも適わずに項垂れる。
続け様に開いた扉から同級生の男子生徒がプリント片手に自分を引き気味に見詰めてるのが目に入れば「何??」と問い掛けて。
『…や、お前子供居たんだな。…噂とか凄かったから色々あんだろうなとは思ってたけど孕ませてたとかヤバくね??』
「はぁ??」
『じゃ…じゃあな。俺戻るからさ』
( 見事な勘違いをしたまま去って行く男子生徒に溜息を漏らしつつ兎に角少年(相手)を探さなければと判断して。
( 寮を出てひたすらに相手を探してた所、見ず知らずの男にドンッとぶつかれば慌てて頭を下げて。
表向き人の良さそうな雰囲気の男性に『どうしたんですか??慌ててる様子ですが…』と問われては親戚の子供が一人で出て行ってしまったと話して。
『もしかして…さっき居た子かな。公園の遊具の中で啜り泣いてました、僕も声を掛けてあげるべきだったんですが急いでて………すみません』
「あ、…いえ。じゃあ公園行ってきます」
( いとも簡単に騙され公園へと向かえば向こうの遊具に人が動く陰が見えては真っ直ぐそちらへと駆け寄り「おい、また一人でフラフラ……………、」と。
相手が男に抱き着き求める様にも見えるその光景に目を見開いては蔑む様な目線を向けて。
「お取り込み中悪いけど此処は子供が遊ぶ場所だ。ホテルなりなんなりに行ってやれよ」
( あくまで平然を装いながら淡々と蔑みの言葉を言うもキリキリと痛む胸が悲鳴を上げてしまい。
歯をギリギリと噛み締め相手の前髪を掴み無理矢理目を合わせては「……………へぇ、俺もそいつ等と同じ??金なんて払ってないのに俺の相手したのは身体の相性が良かったからか??」と。
「次会ったらぶっ殺してやろうと思ってたけどな、馬鹿みてぇに他の男によがってんの見たら冷めたわ。命拾いしたな」
( 悔しさから拳を握り締めては逃げる様に公園を後にして。
>桐崎
(男から逃れようと力の入らない身体で必死に抵抗していたところ、現れた相手に背筋が冷えては誤解だと言う間もなく蔑みの言葉を浴びせられ身勝手に傷付く。
相手の心の痛みも知らずに何で自分だけが責められなければいけないんだと、そっちだって女と散々遊んでいた癖にと怒りが芽生えては唇を噛み締め八つ当たりするように男を突き飛ばし何度か転びそうになりながらアパートに駆け込んで。
(翌朝洗面所にて座り込んだ状態で目を覚ましてはジトリと重たい髪に濡れたまま寝てしまったのかと溜息を吐き、フラリと立ち上がっては軽く顔を洗って着替えを済ませバイトに行く準備をする。
と、ポストに自分の携帯が入っているのに気付いてはおずおずと手に取るも受送信履歴は空で相手のあの留守録だけが残っていてすぐに削除してはアパートを出て。
(その頃、元カノは友人との旅行を終えて戻ってきたところ、偶々相手と出会しては男によって自分と旅行に行ったことにされていたとは知らず普通に話し掛けて。
『あ…こんにちは。…あ、此れ友達と旅行行ったからその御土産。良かったらみんなで食べてね。………桐崎くん、なんか疲れてる?』
(相手の顔色を心配するも直ぐに『御免なさい。私に心配されても困るよね』と眉を下げて謝り『旅行行く前にね、菊から桐崎君と付き合ってるって聞いたの。…それになのに私、菊に困らせるようなことお願いしちゃって…。………菊とは上手くやってる?あれから全然連絡なくて…』と現状を何も知らずに悲しげに溜息を吐いて。
その時元カノと一緒に旅行に行っていた友人が『ねえねえこの恰好良い人だれ?』と口を挟んでは『私、奈緒の友達。よろしくね』と相手を上目遣いで見詰め『連絡先教えてよ』と馴れ馴れしくして。
>露木
( 掴めない元カノの話に“露木と旅行に行って仲良くしてた癖に何のつもりだ”と勝手な苛立ちが込み上げては「上手くやってる訳無いだろ」と追求せずに素っ気なく答えて。
困った様に眉を下げる元カノの行動や表情の意味も分からず相手と仲良くしてる罪悪感からそんな顔をしてるだけで所詮は偽善なのだろうと。
軽々しく連絡先を聞いて来る元カノの友人にもへらりと胡散臭く微笑んでは「良いよ、赤外線出来る??」何て問い掛け携帯を取り出して。
しかしそれを見た途端元カノが自分の手を掴み『ちょっと!!!…っ、どういう事よ』と。
「あ??あんたに関係無いだろ」
( 冷めた瞳で元カノの手を振り払えば友人とのアドレスを交換しさっさとその場を後にして。
( 結局少年(相手)も見付からずに困り顔で寮へと戻ろうと考えるも久し振りに孤児院へと顔を出しては届いていたランドセルやらを見せて来る子供達に微笑みを零し軽く頭を撫でてやって。
院主に封筒に入れた貯金を渡しては子供達の費用に使ってくれと頼んで。
それから休む事無く寮へと戻っては共同スペースにて暇を潰すもふと現れた青年に『兄さんレンタルショップ付き合ってよ-』と言われてはあからさまに嫌そうな顔をして。
「は、一人で行けば良いじゃん」
『…え-やだよ。一緒に来てってば』
( レンタルショップには相手がいると渋ってたが青年の押しに負けては渋々相手のバイト先であるレンタルショップへと向かう事にして。
>桐崎
(バイト先にてバックルームで指定の服に着替え棚戻しをしていたところばったり青年と相手に出会しては始め会った時のようにあからさまに嫌そうな表情をして相手を睨みつけ。
「…今日は女じゃないんだな。性格悪いのバレて嫌われたか?」
(刺のある言い方で冷ややかに述べるも全く罪のない青年には申し訳なく思い目を逸らす。
当然、男の策により自分が青年をダシに使った事になってるなど知らず相手に視線を戻しては「てか。昨日あんたが邪魔したせいであの男から金貰い損ねたんだけど。……あんた女引っ掛けていくらでも稼げるんだろ?損した分の金、弁償してくんない?」と心にもない訳の分からない事を述べ内心舌打ちするも、どうせ自分など何とも思ってない相手にとっては屁でもないだろうと。
「…身体の相性がどうのとか言ってたけどそんなんじゃないから。ただあんたが近くに居て、そこそこ顔も良いから利用してやっただけ。病気貰うリスクも減るからな。特別な感情なんて一切なかった。ぶっ殺してやろうなんて熱くなって本当滑稽だったよ」
(鼻で笑うように言うも胸はズキズキと痛み幼児化した時に携帯をしきりに気にして“露木”と名を呼ぶ相手の表情が浮かんではギリッと奥歯を噛みしめる。
こんなものに惑わされるなと、期待するだけ無駄と言い聞かせては相手を睨みつけ口を開きかけるも突如見知らぬ女(元カノの友人)が『あー!偶然!!』と近寄ってきて。
『さっきぶりだね。アド交換した直後にメールしたんだけど気付いた?』
『えー兄さん誰、この人?』
「…………」
(馴れ馴れしく相手に色目をつかう女に未練がましく嫉妬してしまう自分に気付いては小さく舌打ちし「……今夜の相手だろ。……ほんと虚しいやつ」とボソッと蔑んで。
その時、店長が此方を見る鋭い視線に気付いては流石におしゃべりが過ぎたとバイトに戻るため何も言わずに店の奥に行こうとして。
>露木
( レンタルショップにてばったりと出会してしまった相手が嫌顔をあからさまにしてるのに内心胸が痛むもそれを表情に出さない様に努めては昨日の事は相手が自分からした事なのかと勘違いして。
身売りなんて思ってる訳が無い、今でも相手を___と胸が苦しくなる為考えるのを止める様にしては駆け寄って来た元カノの友人に一瞬首を傾げる。
誰だっただろうかと思い返してた所、元カノの友人の言葉に漸く思い出しては「ごめん、気付かなかった」なんて言いながら気安く女の頭を撫でて。
嫌味を言い残し去って行く相手の肩を掴み無理矢理此方に振り向かせては蔑む様に相手を見詰める。
「ほらよ、昨日の弁償代。………は、態々俺から金巻き上げなくてもその顔と身体がありゃ幾らでも稼げんじゃねぇの??」
( 万札数枚を相手のポケットに捩じ込みわたわたとする青年と勝手に着いて来る女と共にレンタルショップを後にしては女の“また今度会おう”と言う約束に適当に頷き寮へと向かって。
『に、兄さんまた露木と喧嘩したの??』
「別に」
『それに…夜な夜な兄さんが外出してるの…俺だって知ってるんだからね。露木の学年でも“桐崎は女遊びがどうたらこうたら”って噂になってる………』
「当たりって事で言わせとけよ」
( 本当は相手と別れた後に女に手を出す気になんてなれる筈も無く孤児院に通い詰めてるだなんて言えずに。
新しく孤児院へと来た少女と少年の姉弟がまだ孤児院に慣れずに夜に泣きべそをかいてるのを慰めに通い詰めてるだなんて理由格好悪い事この上なく。
青年が何か言いかけたがさっさと自室に戻り「じゃ、早いけど俺もう寝るから」と告げて。
また自分を騙す様な言葉で構わないから相手からの連絡が欲しいと未練がましく携帯を見詰める自分に嫌気が差してはベッドへと横たわって。
>桐崎
(夜、バイトを終えては着替えをする際床に落ちる万札に何であんな無意味な侮蔑をしてしまったのかと唇を噛み締め“お金なんていらないのに…”とクシャリと札を広い上げ帰り支度を済ますとアパートへ向かって。
(その帰り道、同じ学科の男子学生に出会しては何故かニヤニヤと近づいて来て“相手の噂”について話し始め。
『お前、桐崎と仲良かったよな?いい女紹介してくれるように頼んでくんない?』
「…は?……自分で頼めよ。それに俺、彼奴と仲良くないし」
『え?そうなの?なんか一部の女子の間で同人誌だっけ?流行ってるって聞いたけど』
「……いつの話だよ。向こうが勝手に騒いでるだけだから」
『なんだそうなのかぁ。…桐崎なら毎晩みたく女と遊んでるらしいから絶対ツテになると思ったんだけどなぁ』
「…………」
『あ、露木知ってるか?彼奴、隠し子いるらしいぜ。この前見たって奴がいるんだよ。あいつバイトめっちゃしてたけどそりゃあ女に貢いで餓鬼もいれば金もいるよなぁ』
(ペラペラと良く喋り相手を蔑みだす男子学生に段々と苛々してきては「…そうやって人の噂馬鹿みたいに喋って楽しいか?」と睨みつけつつ、“隠し子”が自分の事とも気付かず噂を信じては悔しい気持ちでその場を立ち去って。
(翌朝、睡眠不足で重たい身体を起こしては教授からの呼び出しがあったためさっさと身支度をすませるも、ふと相手のCDが目に止まり、まだ返してなかったかと。
兄にでも渡して…と思うが借りた物くらい自分で返せよと変に真面目になっては、ここまできて“相手に会いたい”という気持ちを隠し連絡もせずに相手の部屋へと向かって。
(その頃、元カノの友人は昨晩から今まで逐一自身の行動を報告して《繿君今何してる??私は今半身浴中(*´ェ`*)♡》《おはよー、今日の服は何色ー?私はピンクだよ♪っていうかKSって繿君忙しいの?(´・ω・`)》と返信がなかろうとしつこくSNS(L○NE)にメッセージを送り《繿君子供好きで孤児院に寄付してるんだってね。私実家がパン屋なんだけど良かったら孤児院に行ってパン作り教室開くよ!勿論無償で!…それが終わったら2人で夜お出かけしよーね♡》と何とか相手の気を惹こうと必死でメッセージを送って。
>露木
( 元カノの友人のしつこいメールに軽々しく連絡先を交換するんじゃ無かった、なんて後悔するも流石に既読無視を続けるのも失礼かと《今度な》と適当で短い文を送っては孤児院へと電話をして。
院主に繋いで貰ったのは孤児院に来たばかりの姉弟、最近暇があれば連絡を取っていて。
『もしもし、…繿兄ちゃん??あ、今お姉ちゃんに代わるね』
「良いよ、どうせ聞こえてるだろ」
『うん、聞こえてるって。繿兄ちゃんは今学校??』
「あぁ。お前達も落ち着いたらちゃんと小学校通わせてやるからな、ランドセルも筆箱も好きなの選べ」
『良いの??僕妖怪ウ○ッチのが良いなぁ』
( 元気そうに話す姉弟に心温められてた所、ふとノック音が鳴り響いては携帯を耳に当てたまま玄関を開け。
想像もしてなかった相手の訪問にあんぐりと口を開けつつ兎に角電話を切ろうと「ごめん、後で電話するから一旦切る。来週の土日開けとくから筆箱とか見に行こうな」と告げ電話を切って。
冷ややかな表情とは裏腹に煩い鼓動に嫌気を感じつつ「何か用??」と言葉少なに問い掛けては差し出されたCDに漸く相手に貸してた事を思い出して。
「………別に態々届けに来なくて良かったんだけど、何なら捨ててくれても良かったし」
( ブツブツと文句を翻つつそれでも本心は相手に会えた嬉しさもあり顔を背けては微妙な空気に溜息を付く。
俯いたまま頭をガシガシとかき乱しては「………さっさと行けよ。………お互い顔も見たくねぇんだから」と。
玄関口からでも伺える散乱された子供服(幼児化の相手に着せるつもりだった若頭からの貰い物)になど自分でも気付けずにいて。
>桐崎
(電話片手に誰かとの電話を切る様子にどうせ女だろうと勘違いしつつ、冷ややか表情と“互いに顔も見たくない”という言葉にズキリとなっては顔を逸し「……だったら態々来るかよ」と思わず小さく吐き捨てていて。
ふと相手の室内に見えた子供服、それが自分の為の物とも知らずやはり噂は本当だったのかと馬鹿な思い込みをしては何処か憐れむように相手を見て。
「……あんたってさ、いつから“そんな”なの。…女と遊んで子供まで作って……、もしかして子供に優しいのも孤児院に金入れてるのも罪の意識から?…だったとしたらすごく虚しい…。あんたの笑顔が…罪悪感からだったとしたら…俺は、悔しいよ」
(幼児化した時相手が向けてくれた柔らかな微笑が脳裏に浮かんでは軽く唇を噛み締め相手を僅かに揺れる瞳で見据え。
「…そんなに、……そんなに女と道理わきまえず遊びたいなら俺が女になって相手してやるよ。…女の俺なら金払ってでも相手して良いって言ってたよな?…俺もそこらの男相手するよりあんたのが楽だし、あんたも知らない女孕ませて罪の意識感じるなら俺のが気が楽だろ?」
(やや早口で、見当違いで訳の分からないことを述べては自分でも“何を言ってるんだ”と目を逸らすも口は止まってくれず「…別にあんたの為とか一切ないから。…あんたが女と遊ぶとさ…俺、あんたと連れ添ったことあるから俺まで周りに遊び人だって思われて迷惑してるだけ…。だからさ…さっき言ったこと考えといてくんない?」と嘘を並べ立て。
どうせただの虚言、返事を聞くまでもないし相手も気にも留めないだろうと早々にその場を立ち去って。
(翌土曜、未だに男(槇本)からの嫌がらせメール(相手と女の写真)が送られてきており、同じように相手にも元カノとの写真が送られてるとは知らず尚も嫉妬する自分に苛々してはベッドに携帯を放り投げる。
と、全く同じタイミングで携帯が鳴り“なんだよ”と毒吐きつつ着信に出てみると幼馴染の明るい声が響き。
『あ?菊?今日暇?暇だよね?今から百貨店来てくれない?従兄弟がさー、もうすぐ入学するんだけどまだお道具箱とか買ってないらしくて、それ買うから荷物になりそうなのよー。…ナツが好きそうな雑貨屋さん教えて上げるから!今すぐね、よろしく!』
(プツン、と一方的に電話が切れては相変わらず圧しの強いやつ…と溜息を吐くも特に用事もなかったためさっさと支度を済ますと百貨店へ向かって。
>露木
( 相手の言葉と切なげに揺らぐ瞳に押し黙るも一瞬“どうせなら相手の誘いに乗り偽りでも相手に触れられたら…”と考えるもそんなのは甘えた考えだと。
女遊びなんてしてないし夜抜け出してるのは孤児院の姉弟を寝かし付けに行ってるだけ。
しかしそんな事を言うつもりも無く唇を噛んでは下を向いたまま小さく息を付いて。
( 姉弟との約束をした土曜日、孤児院まで迎えに行き姉弟と共に百貨店へと訪れてははしゃぐ姉弟に無意識に頬を緩めていて。
二人の親は20代前半のまだ若い両親だったが碌に子育てもせずに育てるのが面倒になったという最低な理由で孤児院へと二人を置いて行った。
少しずつで構わないから二人の心の傷を癒したいという一心からパタパタと走り回る二人を追い掛けて。
『繿兄ちゃん、好きなの選んで良いの??』
「良いよ。ちゃんと気に入ったやつ選べよ」
『遙花(ハルカ)これが良いな、ピンク色の筆箱!!!陸(リク)はどれにするの??』
『僕はこれ-』
( 鉛筆やら消しゴムやらセットになってる箱を抱える笑顔の二人の頭を軽く撫でては会計を済ませ自分達で荷物を持ちたいと言う二人に紙袋を渡して。
『僕達今まで学校とか行った事無いから楽しみだな』
『友達とか沢山出来るかな』
( 不安げに話す様子に「出来るよ」と優しく答え次は上履きやらランドセルやらを身に行こうとした時、向こうから幼馴染みと共に歩く相手を見付けては咄嗟に逆方向に逃げようとするも『あ、繿く-ん!!!』と自分を呼ぶ幼馴染みの声にピクリと反応し硬直して。
『あら??この子達は……………』
『こんにちわ!!!僕達孤児院に新しく来て…小学校行くから繿兄ちゃんにランドセル買ってもらうの』
『可愛い筆箱買って貰ったの』
( ニコニコと話す二人の背後で軽く頭を抱えては相手を一切見ない様にぎこちなく微笑んで。
『まぁこの時期から小学校ってのも…訳ありなのよね。でも二人ともとっても元気ね。よし、お姉さんが生ジュース奢ってあげようかな』
『本当??!!』
『やったぁ』
( 飛び跳ねて喜ぶ二人に内心慌てるも断れる雰囲気では無く。
相手も自分も互いに顔を合わせられる仲では無く微妙な表情で俯くも既に姉弟は幼馴染みに打ち解けて。
( 生ジュースの店へと訪れ席に腰を下ろすもその場の雰囲気に慣れる事が出来ず「ごめん、ちょっと電話して来る」なんて言っては喫煙所へ向かい未成年にも関わらず成人を気取り済まし顔で煙草をくわえて。
その頃、姉弟が『私達ね、最近やっと自分で寝られる様になったの』と得意気に話していて。
>桐崎
(電話をすると言って席を外した相手にホッとしつつ、無邪気に笑う子供達の様子から相手によく懐いているのが窺えては“こんなにも子供が心を開くのに、あんな辛辣な言葉を言うだろうか”と一瞬疑うも、相手も“人間”…いろんな顔くらい持っているだろうと期待しないようにして子供達の話に耳を傾け。
『繿兄ちゃんね、いつも忙しいのに僕達が夜寝れないって言ったら一緒に寝てくれんだよ』
『ギューッてしてくれるの。だから安心して寝れるの!』
「……へぇ。…ねえそれっていつの話?」
『最近ずっとだよ!』
(ニコニコとジュースを飲む少年の言葉にまさかと…と青ざめる。
相手は最近ずっと女と遊んでいた筈、写真だって送られてきた…では何故だと…_。
脳裏にあの男(槇本)の姿が浮かんでは嫌な予感がしダラリと冷や汗が流れ。
『あれ、菊なんか顔色悪いけど大丈夫?』
「…あ…ああ、悪い。俺ちょっと用事思い出したから先帰る。…じゃあ、気をつけて帰れよ」
(平静を装い笑顔で述べては男を問い詰めるためさっさと現地点六階から一階までエレベーターで降りるも荷物持ちで買い物に連れ添ったのに手ぶらでは意味が無いではないかと。
上りのエレベーターに乗り直し六階を押すも一度三階(喫煙所有)で止まってはあろうことか相手と乗り合せ、しかも狭い密室二人きりになってしまい。
どんだけ運悪いんだと嘆くも数十秒の我慢。ひたすら沈黙を守り階数を示す電子版を見るも五階に来た所で突如ランプが消え、ガタンと大きく揺れてはエレベーターが停止しその反動で相手に寄れかかってしまい。
「…わ、悪い……」
(咄嗟に謝りガバッと距離を取っては真っ暗になったエレベーター内に何事かとすぐ非常用ボタンを押すも応答はなく、予備電源も作動する気配は全くなくて。
携帯も当然繋がらず“ここら一帯の停電だろうか”と頭を痛めてはハァと大きく溜息を吐いて壁に凭れ掛かって。
「……なんであんたなんかと……、……煙草臭いし」
(気まずさから気にもしない事を悪態吐いては再び溜息を吐くも、先刻の子供達の言葉を思い出してはチラと相手の居るほうを見て「………なあ…最近孤児院に通いつめてったって本当か?………女と会ってたってのは噂だけ?」と小声で尋ね暗がりで見えない相手の反応を窺って。
>露木
( 止まってしまったエレベーターの中、煙草の匂いを気にしつつ相手から離れては俯いて。
続いて問掛けられた相手の言葉にピクリと反応するも此処で真実を言ってしまえば優しい相手はまた自身を責めてしまうのだろうなと。
「……………そ、んな訳…無いだろ。あんた馬鹿だな、まだ俺の事信じようとか思ってんの??………残念ながら毎日毎日色んな女とお楽しみだよ」
( 鼻でせせら笑い遊び人を気取っては中々戻らないエレベーターに苛立ちつつ重い空気に唇を噛み締めて。
電波の繋がらない携帯を見詰め幼馴染みやあの姉弟は平気だろうかと眉を寄せる。
苛々としながら煙草を咥えジッポライターの火を口元の煙草に当てようとするが火の灯りと共に相手と目が合っては先程の言葉を思い出し火を付ける前に煙草を箱の中へと戻して。
溜息をつき天井をライターの火で灯しては非常天井口を見付けエレベーターの端に合った椅子に昇れば天井口を開けて携帯を片手に翳して。
「…あ、電波ギリギリ通じる」
( ボソリと呟き直ぐに幼馴染みに連絡を入れては姉弟の無事を問い掛け自分と相手の居場所を告げては係員にエレベーターを開ける様に告げて欲しいと頼み。
電話を切り相手に見向いては「30分くらい待てとよ、あんたの幼馴染みが係員呼んでくれるって」と告げ。
再び相手から離れた場所に腰を下ろしてはまた沈黙が続き、それに耐えられずに「……………あんたさ、本当はあの男に自分からよがってたんじゃねぇんだろ。………俺だって本当はあんたの事身売りなんて思ってない」と無意識に呟いて。
しかし直ぐにハッとしては「悪い、今の無し」と身勝手な事を言い後はひたすら無視を貫いて。
>桐崎
(相手が外部と連絡を取ってくれた事に安堵するも先程の相手の言葉が胸を締め付けていて、では子供達が嘘を吐いていたというのかと唇を噛みしめる。
__何だか期待することに疲れた…、真実がどうであれ此処まで自分を遠ざけるということは“嫌い”なのだろうと、思い込んでは呟かれた言葉に自嘲の笑みを零し「自分から誘ったに決まってるだろ」と暗い天井を仰いで。
「…外でやればそれだけ金くれるって言うから乗っただけの話。……今更“身売りじゃない”とか俺のこと慰めて何が狙いだ?俺と…“薄汚い身売り”としたくなった?」
(冷嘲気味に静かに述べるもすぐに「あー、悪い“今の無し”だったな」と刺々しく吐き捨てては、今でも男の事を思い出しただけで震える身体に暗くて良かったと時が過ぎるのをひたすら待って。
(数十分後、漸くエレベーターに明りがつき動き出しては六階のフロアで扉が開くなり目に涙をいっぱいに溜めた姉弟が相手に抱き付いて『繿兄ちゃーーん!!怖かったよ~!!』『もう会えないかと思ったー』とワンワン泣きだして。
その光景に“自分も子供だったら…”と一瞬思っては何考えてるんだと溜息を吐き、しきりに謝り停電の原因を話す係員に「大丈夫ですから」と笑顔で対応し、近寄ってきた幼馴染の荷物を持って頭を撫でてやると相手に振り返ることなく百貨店を出て。
(幼馴染のマンションまで荷物を運んだ後、すぐに別れを告げるももはや男に問い詰める気はなくなっていて。
どうせ嫌われてるんだと相手の辛辣な言葉だけを鵜呑みにしては“子供だったら…”と再びどうしようもないことを思うもその感情は強くなる一方で。
それなりの金を渡せば…と徐々に本気になってはSNSや人伝を頼りに男の居場所を突き止めその場所に向かって。
(その頃、元カノの友人は懲りずに相手に《今日停電あったね(+_+)繿君は大丈夫だった?…ところで今度っていつ?私はいつでもいいよ♡》と可愛さアピールのスタンプ付きでメッセージを送り続けていて。
>露木
( 元カノの友人からのメールにほとほと呆れつつ、それでも既読無視を続けるのは失礼かと考え《パン作り教室開いてくれんだろ??孤児院の子供達もきっと喜ぶし来週とかどう??…あ、子供達の前でイチャついて来んのは無しで
》と何処と無く素っ気無い文を送り。
返事は驚く程に早く《分かった!!!終わったらちょっとは甘えさせてね》なんて来ては面倒そうに眉を寄せ。
それからバイトへと向かい淡々と仕事をこなしてはまだ胸に突っかえる相手の言葉を思い出さない様にして。
( その頃、とあるバーで友人とダーツをしていた男(槙島)は突然の相手の訪問に驚きつつ渋々個室を借りては相手と二人になり『…一体何??話す事なんて何も無いんだけど』と携帯の事を咎められる物だと勘違いしていて。
しかし相手が言って来たのは男の能力の事で、男は少し驚いた様な顔をしては『へぇ…何、子供の身体で身売りした方が気持ち良かったとか??』と蔑む様な事を口にしたが流石に言い過ぎたかと微妙な表情で口を噤み。
差し出された金を見詰め相手を真っ直ぐに見詰めては『そんなの良いから………奈緒を、』と言い掛けるもやはり口を吃らせ緩く首を振って。
『今回だけ、聞いてやるよ。どうせ露木と桐崎の仲は終わったも同然だしな。増してや子供の姿で近付いたもんならきっと笑いもんになるだろうし』
( 相手の腕を強引に掴み物陰に来ては相手の額に手を翳し、バーの物置から子供服を持って来ては少し乱暴に着替えさせて。
ここのバーは男が能力を使う時の拠点となっており、その為に沢山の子供服を揃えてるのだが人の頼みで能力を使ったのは初めての為少し苛立った様な態度で。
結局男が良い人なのか悪い人なのかは分からず、店の外に相手を出しては『戻すか戻さないかは俺の判断だからな』と言い残して。
( バイトを早めに終え特にする事も無くフラフラと店を見て回ってた所、今日の夕食もどうせ一人だし作るのは面倒だと考えては適当なスーパーに入り夕飯でも買って帰ろうと考えていて。
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