xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>露木
( 流石令嬢と言うだけあり我儘が続くのを愛想笑いで流しては隣に座ってた先輩に呼ばれる。
少し席を外すと告げ先輩の元へと向かえば令嬢を顎でしゃくり『桐崎も上手く話盛り上げろよ。あの人ここの常連さんだし一回の来店で大量に注ぎ込むから』と耳打ちされて。
コクリと頷きなるべく話を盛り上げる様に努めては遂に酔い潰れる令嬢を困り顔で支える。
“いつもの事だから”と先輩に耳打ちされては取り敢えずタクシーを呼ぶべきかと。
『姫、今日も付き人さんのお迎えあるんですか??』
「もっちろん!!!あ、なんならリュウが送ってくれても構わないのよ??」
『折角お付きの人がお迎え来てくれてるんだから俺が奪っちゃったら付き人さんが可哀想でしょ』
( 上手く交わした先輩に感嘆の息を漏らしつつ夜、漸く帰ろうとする令嬢を皆で見送って。
とっくに勤務時間を終えてた事もあり『お疲れ様、上がって良いぞ』と言われるがせめて掃除だけでも手伝うと率先して仕事に取り組んで。
( 漸く帰りの時間になりバックルームで私服に着替えては店を後にする。
宿泊ホテルへと帰ろうとした時、相手の妹が寒そうに立ってるのが目に入っては慌てて駆け寄る。
『あ、お仕事終わり??お疲れ様』
「鼻赤くなってる。いつからここに居たんだよ、…ってか何してんの」
『えと…繿君何か調子悪そうだったから…これ』
( 手渡されたタッパーの蓋を開き中の料理を目にしては珍しく無表情を崩し少し驚いた様な表情をして。
今日の帰りもコンビニで適当な夕飯を買って帰るつもりだった為に久し振りの家庭的な料理に僅かに嬉しそうにしては礼を言って。
「ありがと、…なんかこういうちゃんとした飯久し振りかも」
『そうなの??いつも何食べてるの??』
「俺料理得意じゃ無いからさ。寮の食堂にも最近行ってないし彼奴(相手)がいた時は毎日ちゃんとした………___」
( 言い掛けた所で微笑みを浮かべ誤魔化しては近くのコンビニへと入り礼に何かスイーツを奢ると。
やはり女子だけあり目を輝かせて選ぶ姿を微笑ましく見詰めては新発売のチーズケーキが目に入る。
無意識に相手にとそれを籠に入れては妹も同じケーキを選んでおり“流石双子だな”なんて考えて。
母も一緒に住んでると聞いた為に3つ購入しては家まで送ると言いついでに購入したカイロを妹に手渡して。
「露木、…ちゃんと元気??」
『兄さん…どうなのかしら、…最近偶に思い詰めた様な表情しててね。でも問い詰めると笑って誤魔化すの』
「綸と何か合ったのかな」
『………綸さん??兄さん綸さんと何かあったの??』
( 付き合ってると言う事は言ってないのかと思うと勝手に話すのも良くないかと話を逸らす。
「………ほら、綸って割とモテるからさ。…兄弟でも綸と俺全然違うんだよ。綸は優しいし容姿も良いし、…まぁ露木もかなりモテるから互いに色々あんのかな」
( 平気な振りでボソリと呟いたがやはり胸が痛くなって来ては話題を変えて。
>桐崎
(店の片付けなどを済ませ久々に家の湯船でゆっくりして居間に来た所、襖の向こうから母が妹を呼ぶ声が聞こえそこで漸く妹の存在がないことに気付く。
布団の中で休む母に妹を探してくると伝えコートに袖を通してはまだ髪が乾ききらぬまま外へ出るも家から数メートルもいかないところで前方に相手と親しげに話す妹の姿を見つけザワリと胸が騒ぐ。
それが妹に対する嫉妬なのか相手に対する罪悪感なのか分からないが兎に角安堵してそちらに駆け寄り妹の額をコツンと軽く小突き。
「勝手に出てったら心配するだろ。此処がいくら田舎だからってどんな奴がいるか分からないんだぞ」
『御免。でも心配しすぎ。それに繿君がここまで送ってくれたから』
(嬉しそうに『チーズケーキ買ってくれたの』と赤くなった頬を綻ばせる妹に小さく溜息を吐きつつ、相手とは計り知れぬ罪悪感で目を合わせられず視線を横に流す。
相手は水族館で“元から何もなかった…”と言っていた。
其程までに傷付けたのに相手は毅然と振る舞ってくれる。それに自分も応えねばと…。
「…ナツを送ってくれて有難う。助かった。……またホストのバイト始めたんだな。あまり無理するなよ」
(目を合わせないながら“憎悪”を含まない柔い声色でほんの少し微笑んでは、相手にとって不自然に自分の態度が変化しているとも気付かず妹の手を掴みその場を去ろうとする。
しかし妹が自分の手をスルリと抜け相手の元へトタトタ近寄っては『折角ここまで来たしうちで御飯食べていかない?なんなら泊まってって。部屋は空いてるから』と。
流石にそれはお互い困るとやんわり相手を帰す方向に仕向けようとするが絶妙なタイミングで母が家から出てきては妹を見るなり良かったと抱き締め、ホスト姿の相手に警戒の眼差しを向け。
『だれ、この人?まさかうちの娘に…『違うわよ!母さんったら早とちりなんだから。兄さんの…友達で私を此処まで送ってくれたの。それで御飯食べて貰おうと思って』
(珍しく元気にはしゃぐ妹の姿に母は驚き、相手をチラリと見ては『ご迷惑じゃ無かったら上がってくださいな』と薄く微笑んで。
もしこのまま相手が誘いに乗ったら確実に気まずくなると焦っては「お、俺、飲み物買い出しに行ってくる」と相手の返事も聞かずにそのまま数時間時間を潰すつもりでその場を離れようとして。
>露木
( 先程から絶対に目を合わせない様子と以前の様な分かり易く自分を嫌ってる態度を見せない事に内心戸惑っては妹の誘いと共に逃げる様に立ち去ろうとする相手の腕を咄嗟的に掴んでいて。
自分の事を嫌いなのは変わりなく無理をさせてるんだなと勘違いしては一瞬眉を下げる。
慌ててパッと手放しては妹に向き直り「誘ってくれんのは嬉しいんだけど明日も早いし明後日にはまたあっちに戻んないとでさ。また今度暇があったら今日の礼として飯奢るよ」と。
母親に向き直り頭を下げては「いきなりすみませんでした、お誘いありがとうございます」と言っては最後に相手の方へと歩を進める。
やはり目線は合わせて貰えないがこうして話が出来るだけでも満足で「あんたも、いきなりごめんな。折角の家族水入らずなんだから出掛けんなよ」とからかう様に微笑みさっさとホテルへと足を向ける。
その途中、立ち寄った薬局にて以前病院で合った男性に出会しては何と言う偶然かと。
しかしハンカチは寮にある為中々言い出せず、結局「こんばんわ」と小さく挨拶をして。
『あぁ、君か。また会ったね、…というかこんな所で何をしてるの??寮とはかなり遠いよね??』
「仕事です」
『仕事…って、何の仕事??まさかまた………良くない仕事でもしてるの??』
「…まぁ…良いとは言えないけど………普通に水商売の手伝いって感じです」
『………へ??…あぁ、そっちか。ごめん、いや…本当に何でも無いんだ』
( 男性が過去の自分を知ってるとも、そしてまさか相手の父親だとも知らずに軽く受け流しては「何してたんですか??」と問い掛けて。
『あぁ、実は息子が帰って来てたみたいでね。折角妻と娘と息子が揃ったんなら会いに行こうと思ったんだけど………』
( 言葉を濁す男性に首を傾げ「行かないんですか??」と問いかけるも困った様に微笑むだけで。
『いや、…まぁ。行けない理由が合ってさ。………それより君は今から帰るの??』
「近くのビジネスホテルに部屋取ってるんでそこに」
『本当に??…凄い偶然だな、同じホテルだよ』
( 同じカードキーを見せられては自分も軽く微笑み、“見ず知らず”の自分にどうしてこうも構ってくれるのだろうかなんて考えながらホテルまでの道を歩いて。
>桐崎
(大人びた振る舞いで相手が去った後、まだ相手に握られた感触の残る腕を見てはただの一瞬触れられただけなのにこんなにも胸を高鳴らせる自分に腹が立つ。
辛そうな相手の顔。本当の事を言ってしまおうかと思ったが、そうしたらきっと優しい相手は許してくれて自分はそれに甘えてしまう。
それは許されない事なのだと卑屈になっては、ショボンとする妹と戸惑う母を家の中に入るよう促して母と妹に暖かい御茶を淹れた後、自分は自室に籠もって携帯を開く。
未だに続く兄からの着信。流石に無視出来なくなっては《返信しなくて御免。暫く忙しくて連絡出来なくなる。俺は元気だからさ、あんたは自分自身を大切にしてやって》と散々兄を振り回しておいて身勝手なメールを送り。
ダラリと携帯を下ろしてはふと先程妹に渡された相手が買ってくれたというチーズケーキを手に取る。
食欲などなかった筈なのに口に含めばすんなり胃袋に収まり、どうしようもなく相手を愛してしまっていることを思い知らされては額を押さえ“自分の記憶も操作できたらどんなに楽だろうか”と自嘲の笑みを零して。
(翌日早朝、二階へ降りると既に妹が台所でなにやらしており覗いてみると可愛らしいお弁当を使い捨て弁当箱で作っていて『繿君に。迷惑かと思ったけどコンビニ弁当よりこっちのが良いでしょ?それにタッパーも受け取りに行こうと思って』と。
へぇ、と気にしないようにするも少し引っ掛かりを覚えてはチラと妹を見て。
「………もしかして態とタッパーに入れて渡した?」
『…な、なんのこと?そ、それより兄さんの弁当もあるのよ。休憩の時食べてね!』
「……ありがとう。…で、それ渡しに行くのか?」
『う、うん。一応さっきメールはしたよ。……でもやっぱり迷惑かな』
(不安そうにする妹に“あー相手が好きなんだな”と悟り、複雑な気持ちで妹の頭を撫でては「大丈夫、ナツの弁当が嬉しくない訳ないから」と微笑み、自分の弁当を受け取ると早めにバイト先へ向かって。
勿論、父親がすぐ近くのビジネスホテルに泊まっていて、相手と関わりがあるなど知らずに。
>露木
( 相手の妹からの連絡にバイト前に近くのコンビニで出会す約束をしてはホテル前で男性と別れて。
どうやらまだ此方に居るらしくそれなら今夜も会うかもしれないななんて互いに笑って。
バイト先の目前のコンビニにて妹の姿を見付けては軽く手を振りそちらに駆け寄る。
洗っておいたタッパーを手渡し「久し振りにあんな旨いの食った、ありがとな」と。
どことなく相手の味付けを連想させる味に久し振りに食欲がそそられ何時もより調子も良く。
『あのさ、コンビニでのご飯食べてるって言ってたじゃない??…だから良ければこれ』
( 手渡された弁当に穏やかな微笑みを浮かべ「悪いな、態々。ありがたく頂く」と。
そっくりな容姿から相手と重なっては何気無く妹の頭をポンポンと撫でてしまい相手でない事をハッと思い出しては「じゃあ、…行って来るから。早く帰んないと露木心配してるだろうぜ」と見送って。
( 職場に到着するなりさっさと着替えを済ませフロアに出た所先輩達に挨拶をして周り漸く仕事に掛かる。
年齢層が幅広く、年相応の話という物に苦戦しながら仕事に励んでた所で突然先輩に呼び出されては自分に客が来てるとの事で。
一体誰なのだろうかと外に出た所、今朝まで一緒のホテルにいた男性で。
「どうしたんですか」
『ごめんね、いきなり。…仕事場まで押し掛けちゃって…頼みがあるんだ』
「…何ですか??」
『縺さん(自分の父親)に会わせて欲しい』
「何で父さんの名前…」
『ただ自分も二、三日はここから離れられなくてね。でも、君も学校が始まるだろう??だから…』
「良いですよ。俺もう必要な単位揃ってるし。…明日にでも来る様に伝えときます」
『本当かい??…ごめんね、助かったよ。ホテルなどはこちらで準備するから安心して。どうしても縺さんと話したい事が合ったんだ』
( “仕事の邪魔をしてごめんね”と去って行く男性にどこか見覚えがある気がしては懸命に思考を巡らせるも思い出せそうなのに思い出せず。
結局あやふやのまま仕事へと戻り。
>桐崎
(バイトの休憩、妹が作ってくれた弁当を口にしてはふと同じものを相手も食べているのかと思いそれだけで食欲が増す自分にどうかしてると溜息を吐く。
こんなことで相手から離れられるのか。しかも折角地元に戻ってきたのに毎週相手が戻ってくるなんて悲惨…その筈なのに少しでも嬉しいと思う自分がいてはそんな自分を戒めるように相手を傷付けた惨酷な行いを責めて。
(バイト終わり、店長に呑みに誘われ渋々付き合っては帰りが遅くなり偶然相手がバイトする職場の前を通ってはふと足を止める。
あんな痩せた身体でこんな重労働をしては倒れてしまうのではないかと。
相手にそうさせてるのが自分のせいでもあるとは露知らずぼーっと店先を眺めては相手が令嬢に腕を絡められ出てくるのが見え慌てて物陰に隠れる。
酒に…というより相手に酔ってうっとり相手の首に出を引っ掛けお別れのキスをせがむ様子にただの客とは分かっていても嫉妬して。
嫉妬する資格などないのにと目を瞑りその場から離れようと身を返したところドンと人にぶつかってしまい慌てて謝るも顔を上げた瞬間、父を分かりサッと表情を消して退散しようとして。
『ま、…待って…。………………待ちなさい!!』
「………なんですか。ぶつかったことなら謝りましたよ」
『…菊。…こっちを見てちゃんと話してくれないか』
「………っ、あなた良く此処に戻ってこれましたよね。ナツと母さんがどれだけ苦しんだと思ってるんですか。どうせまた金欲しさに俺を利用するつもりなんでしょう?…嫌ですよ。ここまで…、ここまで記憶を取り戻すのに何年掛かったと……」
(つい感情的になっては小さく息を吐き父から目を逸し「…これ以上母さん達に迷惑かけないでください」と言い残し、父の事情など聞く耳も持たずその場から立ち去って。
>露木
( 翌日、父へと連絡を取り此方まで来て欲しいと頼むもあの父の性格、『用が有るならそっちが来るべきだろ。面倒臭ぇ』と言われてしまって。
しかししつこく頼んだ結果渋々約束をしてくれては夕方には此方へ着くようにすると言ってくれて。
それまでバイトをしようと早速バイト先に向かい男性へ連絡を取っては夜、近くのレストランで落ち合おうと。
( そしてあっという間に時間は過ぎ夜。
父と落ち合い『テメェまたそんな下らねぇ仕事してんのか』と言われるも苦笑いで返してはレストランへと訪れ先に来ていた男性の席へと向かう。
「じゃあ俺は…」
『君にも聞いて欲しいんだ。…謝らなきゃならない』
( 大人しく席へと着き男性と向き直っては男性が取り敢えずとコーヒーを注文して。
『早くしろ、何の用事だ』
『あぁ、ごめんね。実は…娘と妻の薬を治す為の薬を買う為に…借金をしたんだ。ただ悪い取立て屋に当たってしまってね、息子達に迷惑を掛けたくなくて…それで縺さんしか頼れる人が居ないんだ』
『ほう、俺に取立て屋にお前の嫁達の所に行かせないようにしろってのか。…契約書を書かせろと』
『縺さんなら…以前若い頃取立て屋に対抗する仕事してただろ??何人もが縺さんに救われたんだ。あ、お金ならちゃんと返すつもりだし妻達の元へさえ行かなければ………』
『金無ぇんだろうが馬鹿』
『君にも礼金はしっかりするよ、…だから頼む』
( 頭を下げる男性を父親は溜息混じりに見詰めては父親は本当に小さく頷き『金なんてもう要らねぇよ』と呟く。
男性は穏やかに微笑むと次に自分へと向き直りゆっくり口を開いて。
『君が小さい頃にね、凄い能力を持った子が居て金が莫大に手に入ると聞いたんだ。一瞬でも醜い欲に駆られ君の家に押し掛けた。…覚えてないかい??君とはもう何度も会ってる』
「……………」
『でも出来なかったよ、あの幼さで瞳の色を無くした君を見た途端息子の顔が頭を過ぎった。……自分がそうさしたのに…だから…出来なかった』
( 泣きそうな表情で謝る男性を漸く思い出し緩く首をふるもまだ相手の父親だと言う事は分からずに。
「息子さん達に、…会ったんですか」
『息子には会ったよ、格好良くなってて…自慢の息子だよ。娘と妻は見かけただけだけどね、二人とも前より表情も活き活きしてて…それだけで満足だ』
( 悲しそうに微笑む様子にどことなく相手が重なり胸が痛んでは目を逸らす。
近くのホテルの予約をしておいたが父は『用事を済ませたらさっさと帰る』と席を立って。
男性と二人になり自分達も同じホテルの為にレストランを後にしては街を通りゆっくりとホテルに向かって。
>桐崎
(父と相手親子が会っているとは知らず、昨夜父と出会したことで夜までもやもやした気持ちでバイトに打ち込む。
相手の事でいっぱいいっぱいなのに今更何をしに来たんだと身勝手に苛立ちながらバイトを終えては帰路に着くと店先から母が綺麗に飾った中位の鉢花を抱えて出てくるのが見えてそちらに駆け寄り。
「…それ、配達?車使わないの?」
『そう、ビジネスホテルからの注文。近いから歩いていこうと思って。少しでもガソリン代節約しないといけないから』
(目を合わせてくれない母に若干寂しくなるも、母から鉢花を取ると片手で抱え直し母の背中を押して家の中に戻るよう促し「俺が行くよ。母さん体冷やすといけないから」と。
それからまだ雪の残る道路を足早に踏みしめビジネスホテルに花を届けては代金を受け取ってさっさと家に戻ろうとするも、ちょうどホテルを出たところでばったり父と相手に出会し驚きでピタリと足を止め。
「なんで…一緒にいるの…?」
(顔を合わせたくない二人に同時に会うなんてと内心嘆きつつ、そもそも何故相手がまだ地元に残っているのかと事情を知らず二人を見比べる。
しかし話を聞いたところで自分は二人に近づくことはない、近づけないと横を通り過ぎようとするも父に腕を掴まれ反射的に振り払って。
『…菊…、』
「名前、気安く呼ばないでください」
(なにも知らずキッと父を睨みつけるも相手に見苦しい所は見せられないと「…此奴(相手)にまで迷惑かけないでくださいね」と他人行儀で冷たくあたっては偉そうな態度を取ってるとも気付かずその場を立ち去ろうと。
>露木
( ばったりと会った相手の態度と男性の表情に段々と全てが組み合わされて行く。
男性の手を振り払いその場を去ろうとする相手の手を咄嗟的に掴んでは相手の顔を見詰める。
どこか似てると思ってた、しかしこうして見れば親子なのは一目瞭然で。
『繿君、…何して「子供の頃に俺に言った“能力者の息子”って…此奴だったんですか」』
『……………そうだよ、…でも“息子”なんて言えないか
な』
( 寂しそうに俯く男性を見詰めては唇を噛む。
能力者は自分だけだと思ってた幼少期、この男性が自分に優しくしてくれる唯一の存在でその息子が“能力者”だと知った時はいつか会いたいと思ってた。
自分に優しくしてくれたのも父の元へ来る度自分に菓子などの土産を持って来てくれたのも本当は相手に父としてしたかった事なのかと。
この男性が相手にどんな事をしたのかも知らないし自分はあくまでも部外者、しかし相手が居なければ自分と父も分かり合えなかったと。
どうやら相手は仕事中の様で行き先を問い掛けた所自分達の宿泊ホテルで。
放って置けずに無理矢理相手と男性を連れホテルまで来ては相手の仕事を先に終わらせホテル内の小さな喫茶店へと入っては戸惑う男性に目を向けずに居て。
相手を連れ男性から少し離れた所に来ては「ごめん、今日だけで良いから聞いてやって欲しい」と。
頑として拒む相手が自分の事を殺したい程に嫌ってるのを思い出し、どうせならそれを使ってやろうと相手の額に自分の額をコツンと当てる。
「……………拒むんなら…俺またあんたに付き纏うよ。嫌いなんだし困るだろ??」
( やや脅迫地味た言い方をしては僅かに大人しくなった手を引き男性の向かいに相手を座らせる。
自分は席を外そうとした所で運が悪くバイト先の常連に出会してしまっては捕まって。
バイトの時の服のままなのが悪かったな、なんて反省しつつ一応大切な常連なので話を適当に合わせ相手達から離れた席に常連と共に座って。
>桐崎
(額を当てられドキリとする自分にほとほと嫌気がさすもまさか殺そうとした自分を本気で想ってくれてるなど思わず、相手が大人でただ父を立てているだけだと思い込めば渋々席について他方を向きながらも父が話しだすのを待ち。
『……繿君と知り合いだったんだね』
「…学校が同じですから」
『…そっか。…………あの時は…すまなかった。お前の能力を利用して…「俺は、いいんです。もう終わったことですから。……謝罪なら俺はこれで失礼します」
『理由を、聞いて欲しいんだ』
(父の真剣な眼差しに上げかけた腰を下ろしては視線を床にして静かに紡がれる話を聞く。
そこで父が金欲しさにやったと思っていた横領は上司に“妹に良い病院がある”と乗せられ知らずに行い挙句濡れ衣を着せられ莫大な罰金と借金を負わされたのだと知る。
そこを善人を装った悪徳業者に付け込まれて“自分の能力”を売れと言われ、男達に渡すくらいなら自身の手元で管理して男達の指示に従ったほうがマシだと考えたらしく…。
『良かれと思ってやったんだ。ナツの病気が少しでも良くなるならって…。でも結局みんなを苦しめた…』
「…………“ナツのため”って…俺がナツに弱いの知ってて……。しかもその話だと貴方が人が良すぎるだけじゃないですか」
(突然のことでまだ気持ちの整理が付かずどう反応していいか困惑していると、父が自嘲気味に笑い『全然、人が良いなんてことはないよ。自分は人様の子を売りに出そうとしたんだ』と幼い相手を売ろうとしたことを告白して。
瞬間、カッと頭に血がのぼりドンッとグラスが揺れるほど強くテーブルを叩いて立ち上がっては父を睨みつけ言葉を発しようとするも、丁度その時喫茶店の入口で『お客様、困ります!』と従業員の焦った声が聞こえ其れとともに柄の悪い連中がズカズカと入り込んできて。
『露木 草一さ~ん(菊父)、いらっしゃいますかねー、お金返して欲しいんですけど』
『な、なんでここに?2,3日待ってくれる約束だったじゃないですか』
『知りませんねーそんなこと。こっちも仕事なんですよー』
(相手の父に要求したばかりなのにこんな筈ではと焦る父を他所に周囲にひけらかすように嫌らしく大声で金を要求する金貸しに、父が妹や母のために借金をしたとは知らず、また変な輩に騙されただけと思っては酷く情けない気持ちになって。
それでも何だかんだ父は肉親。見知らぬ振りは出来ず父を背に金貸しの前に出て「すみません。…俺はこの人の息子です。……話は外でしませんか」と借金がいくらか知らないが自分が払うつもりで言うも、流石に人目のある此処では父も居た堪れないだろうと移動を提案して。
>露木
( 金貸しは渋々相手の提案に乗り大人しく外に出てやっては父親への請求書と契約書を相手の前に突き出し『三百万、さっさと返して欲しいんだけどな~。それともお兄さんが返してくれんの??』
( 相手の顔を舐め回す様に見回した後、『お兄さんなら裏に出回るDVDに二、三回出演するだけで三百万なんて容易いんじゃね』と。
しかしそこで金貸しに相手の父親が掴み掛かる。
『駄目だ!!!その子には手を出さないでくれ!!!』
『は、じゃあさっさと返せよな』
『分かった…今夜までに何とかする。………だから』
『返してくれれば何もしね-よ』
( 馬鹿にした様な目線を向け父親に請求書を押し付けては金貸し達はさっさとその場を後にして。
『ごめんな、見苦しい所見せてしまって。………菊達には絶対に迷惑掛けないから、これだけは約束する。今日は話聞いてくれてありがとう、そろそろナツや母さんも心配するだろうし気を付けて帰りなさい』
( いつかの様な優しい笑顔を向けては落ちた請求書を内ポケットにしまいその場を後にして。
( 常連を漸く帰し、外に行ってからは知らないが先程現れた男達数人は金貸しである事を何となく察しては相手の父親の元へ駆け寄る。
おおまかな事情を聞き直ぐに自分の父親へと連絡を入れては話をしながら取り敢えず部屋へと向かう。
「もしもし、父さん??………えと、露木さんの…………」
『あぁ、俺も連絡入れようとしてた。…代われ』
『……………もしもし、縺さん??』
『まんまと騙されただろ。テメェが俺に渡した金融会社の住所は全部嘘だ。空家だとよ』
『………そんな』
『直ぐに人を信じんじゃねぇよ。…まったく、取り敢えずテメェの嫁とガキ共に手出されたくねぇんならテメェのガキに俺の名刺持たせとけ。分かったな』
『…あぁ、ごめん。………でも今夜までに返済しなきゃならないんだ』
『今夜だと??……………巫山戯た野郎共だな、幾らだ』
『………娘と妻の薬に三百万必要だったんだ』
『俺がテメェに貸してやれんのは精々二百万だ、しっかり返せよ。………後の百万はテメェで何とかしろ』
( 強引にブツリと切られては相手の父親に携帯を返されそれを受け取る。
名刺など持たせてなんになるのかと疑うもよくよく考えれば自分の父の仕事も知らず。
乱暴な物言いの自分の父も今必死になってるのは何と無く分かり項垂れる相手の父の様子に眉を寄せる。
「……………あの、………俺の能力___」
『駄目だ、変な事を言う物じゃないよ。君の能力はそんな事に使う為にあるんじゃないんだ』
( ハッキリと告げられては口を噤みふと鳴り響いた受信音と共に携帯を見れば《駅前まで来る様に伝えろ》とあり相手の父親にそれを伝え。
( その頃、胡散臭い程にカッチリとしたスーツに身を包んだ自分の父親は二百万の入ったアタッシュケースを片手に知り合いの師範に相手の連絡先を聞いていて。
>桐崎
(早々に去って行く父の背を見ながら、金貸しとの一件を聞いて黙っておちおちと家に帰れる訳ないだろうと苛立つ。
三百万なんて大金あと数時間もしないうちに用意できる筈がない。
どうするつもりなのだと苛立ちと焦燥にかられていると知らぬ番号から着信が入り訝しむが今の一件があったばかりのため恐る恐る出てみては相手の父で少し拍子抜けして。
『今直ぐ百万持って駅前に来い』と大雑把に内容を告げられプツンと通話が途切れては何事かと戸惑うも荒々しさの中に優しさを感じたのは確かで直ぐに24時間銀行で金を下ろすと駅前まで走って、すでに到着していた相手の父の元へ駆け寄り。
『…あの一言だけで本当に来たのか。親子揃って人を信じすぎだぞ』
「……?」
『あ、いや。……それより金は持ってきたか』
(小さく頷き封筒に入れた札束を渡しては、相手の父の持つアタッシュケースに目がいきまさかと思い相手の父の目を見て、その正装から状況が何となく掴めて。
「…桐崎さんを巻き込む訳には…『散々俺達の時は口を出して来たんだ。これくらい大人しくしとけ』
(強い口調に圧されるも助けるのとられるのでは全く心境が違い簡単な説明で去ろうとする相手の父を「待ってください」と引き止め。
「…俺達は桐崎さんに助けられる資格なんてないんです。…あの人は…貴方の息子さんを売ろうとしたんですよ。……それに俺は……繿になにがあっても絶対に許されないことをした。…だから桐崎さんの手を煩わせるわけにはいきません」
『……彼奴(相手)となにがあったかしらねぇが今回のことは俺が勝手にすることだ。手前の金もしっかり後からあのお人好しに返させる』
「…でも…『だから、この一件が終わっても手前の父親とは絶対に会え。それまで手前は大人しく残りの家族守ってろ』
「……なんでそこまで……」
(未遂でも父は相手を売ろうとしたのにと俯くも、相手の父は小さく息を吐き『今は時間がない。話は後だ。さっさと家に帰れ。ついてくるなよ。手前が来ると“どっちも”煩いからな』と述べ、少し話し過ぎたと舌打ちしては絶対に来るなと念押しされその場を去っていき。
その毅然とした振る舞いと優しさにどこか相手が重なっては複雑な気持ちで相手の父の背中を見詰め、追いかけたい気持ちを堪え身を返すと妹達の待つ家路へと足を向け。
>露木
( 再び鳴り響いた自分に携帯を直ぐに取り父からの電話に出ては目前で心配そうにする相手の父親をチラリと見ては「どうしたの」と問い掛けて。
『運が良かったな、丁度三百万手に入った。さっさとそこのお人好しこっちに向かわせろ』
「は…、いや百万はどっから出したんだよ」
『それは後でそいつにしっかり伝える。…それよりお前今どんな格好してやがる』
「え??…あ、…今はまだバイト先の………」
『スーツか』
「………ネクタイ無いし、…まぁスーツだけどスーツっては………」
『中のyシャツとネクタイだけ買ってやる。さっさとお前も来い、三十分で着けよ』
( 切れた電話と共に慌てて駅前へと向かった所、初めて見た父のスーツ姿に何の仕事をしてるのかと聞こうとしたがその前に紙袋を手渡され『着替えて来い』と。
( 自分が近くのトイレへ着替えに行った所で相手の父親は申し訳無さそうに頭を下げる。
『…君を巻き込むつもりじゃ無かったんだ。…本当にどう謝罪すれば良いのか分からないな』
『……………勘違いすんな。…これは…あの化物が子供の頃にテメェから貰った菓子類の返しだ』
『はは、自分の子を化物なんて言う物じゃないよ』
着替えを終えた自分の姿が見えたのと共に金融会社の元へと訪れては父からは想像も出来ない丁寧な物言いでアタッシュケースの中身を見せて。
『へぇ、だけどね露木さん。時間の延滞料、あと三十万足りないな』
『利息分も踏まえた上での三十万と先程聞きました。…尚も取立てをするのでしたらこちらも“弁護士”として裁判を立てるしかありませんね』
『……………は??弁護士??』
『今日は丁度新米弁護士も連れて来てますので。今の貴方方の物言いは彼の耳にも入ってますし』
( 慌てた様に口調を変え契約書をシュレッダーに掛ける金貸し達を呆然と見てた所、話は終わったと言わんばかりに立ち上がる父をわたわたと追い掛けて。
( 外に出るなり『まだ安心は出来ねぇからな』と言う父に相手の父親が再び頭を下げる。
自分は証人だったのかと思うのと共に「………父さん弁護士だったのかよ」と。
『…は、んな訳ねぇだろ。このバッジもプラスチックだ』
「じゃあ何で………」
『賭け事は好きだからな。…あっちがどう出るか賭けに出ただけだ』
( 既に外は暗くなり普通の家庭なら夕飯を囲んでいるであろう時刻、自分の父は相手を静かに見詰めると『約束だ。明日にでも家族に会いに行け』と言い残し『俺は帰る』とそのまま駅に向かって。
>桐崎
(夜、自宅に戻ってきたは良いが眠れるはずもなく何かあったらどうしようと何度も外へ出かけては自室に戻るを繰り返す。
確かあの時喫茶店には相手もいた、ならば取り立ての様子も見られていただろうと。
さらにはあんな父の前で子供染みた態度を取って…格好悪いし恥ずかしすぎると考えることが多すぎて落ち着かない一夜を明かして。
(翌朝、二階へ降りると妹も母も起きていて昨夜の自分の挙動不審な態度について聞かれるも今は答えられないと廊下へ出て携帯を取り出す。
事態がどうなっているのか、相手なら知ってるかもしれないと電話しようか迷うが掛けられる訳ないだろと携帯をポケットにしまう。
丁度その時、来訪を告げる呼び鈴が鳴ってはもしかしたら相手の父かもと急いで扉を開くも其処に立っていたのは自分の父で。
「………父さん……」
(思わず口から出た言葉に顔を逸らしては微妙な空気が流れるも様子を見に来た妹が『父さん…!!』と駆け寄ってきたことで重たい空気は打ち破られ。
『……き、急にどうしたの?…またお金?………兄さんはもう渡さないよ』
『ナツ………』
(感極まったのかなにも言葉を発しない父に、追い返す訳にも行かず中に招き入れては十年近くぶりかに四人で机を囲み、数時間かけて昨夜相手が協力してくれたことも含め互いの腹の中を話し合って。
___正直思った。“何故話してくれなかったのか”と。たとえ自分達を守るためでも“真実”を言って欲しかった____そこまで考えて不意に相手や兄のことが浮かんではフラリと立ち上がり「…ちょっと出かけてくる」と。
(足が赴くまま相手の泊まるビジネスホテルまで来てはフロントでまだ相手がチェックアウトしていないことを確認するとロビーで相手を待ち、姿を現したところで腕を掴んでロビーの一番奥の席に向き合う形で座って。
「……二百万、あんたの父親が出してくれたって聞いた。………助かったよ。流石に三百万は用意出来なかった…。…ちゃんと返すから。……あと、あんたも返済の時協力してくれたって…、迷惑かけたな。…怪我しなかったか?…それに随分根詰めてるみたいだけど」
(目を合わせられず問い掛けるも、自分を殺しかけた奴に心配されても気分が悪いだけだろうと「……ごめん」と口を噤む。
“真実”を話すために来たのにいざ相手を目の前にした途端首を締めた感触が蘇り、また同じ過ちを犯してしまうのではと怖気づいて中々次の一言を切り出せずに膝の上で拳を握って。
「………桐崎、俺……本当は旅行の時……あの夜、あんたことが心配で追い掛けて………」
(あと少しで真実を言える…、しかし何かが喉奥に詰まって言葉が出てこずに、辛いのは相手で、相手が言った“なかったこと”を自分が掘り返していいのかと思うとなにも言えなくなって。
(/補足になりますが菊の言ってる“あの夜” >536-538 あたりのことです。なんかクヨクヨとどうしようもない子ですみません← 菊は学習能力ゼロですねw
>露木
( 翌日、相手の父はちゃんと話をする事が出来ただろうかと不安になるが自分も明後日には帰らなきゃならない為準備を済ませ今日の昼食と夕食を買いにコンビニにでも向かおうとして。
エレベーターで一階まで降りた所、突如相手に腕を取られてはされるがままにロビーの奥の席に座り。
僅かな期待をしてしまう自分に嫌気が差すも平然を装いながらぽつりぽつりと話始める相手を見詰め。
昨夜の謝罪に“別に対した事はしてない”と首を横に振って。
続く相手の言葉が途切れ途切れになるのにやっぱり無理してるんだろうかと思えば穏やかに微笑み相手を覗き込む様に見詰める。
「心配してくれたんだ、ありがとな。………良いよ別に、あの事なら気にしてないしあんたに付き纏ってた俺も悪いし何より他の女すっかけてたのが一番悪いから」
( 能力に掛かってた事も知らずに相手が自分を責めてるのでは無いかと思うと黙ってられず。
それでも相手を思う気持ちは抑えられず離れたく無い思いから「………これから飯買いにコンビニ行くんだけどさ、…着いて来てくれるか」と問い掛け席を立ち。
( 訪れた近くのコンビニにてまだ重たい空気を変えようと明るく振舞う。
品物を見て回りながら相手をチラリと見詰めてはこちらも話したかった事をぽつりぽつりと話始め。
「子供の頃に俺を金稼ぎに使おうって輩が沢山押し掛けて来てさ。その度にさり気なく父さんが追い払ってたのは今更気付いたんだけど。………一人だけ俺に優しくしてくれたのがあんたの父さんだった」
( 思い出した様に自然な微笑みを浮かべては仕事続きで隈の残る目を擦る。
「毎日毎日菓子とか買って来てくれてさ。その度に“自慢の息子”の話すんだけど…その話する度に悲しそうな顔してんの」
( 相手に向き直り「だからあの人があんたの父さんだったって知った時どうしてもあんたと会わせたかったんだ、…余計な世話だったよな…ごめんな」と。
家族の問題に踏み込んだ自分が悪い、そんなのは良く分かっておりまた辛気臭い空気になってしまったなと反省しては適当なカップラーメンを手に取り。
(/安価ありがとうございます(´∀`)
いえいえ、毎回毎回菊君可愛過ぎて…っ!!!
萌え死んでおります←
菊君とお父様の絡み涙無しでは見れませんね、もう今回のロル興奮気味で荒ぶっててごめんなさいorz
>桐崎
(相手の優しさと微笑みに胸が痛むもその心地よさに甘えては言われるがままコンビニに付いてきて、相手から紡がれる自分の知らない父の姿を聞き僅かに心が軽くなる。
それと共に父を遠ざけ続けた自分が無性に愚かで恥ずかしく思えては、謝る相手に小さく首を横に降って「……あんたが居てくれてよかった」と小さく零しカップ麺に伸びる手を目で追い。
何故相手ばかりに謝らせこんなにも気を遣わせてるのか、そう思った瞬間相手の手を唐突に掴むとカップ麺を棚に戻し御茶だけ買ってグイグイと手を引き人気のない路地まで来て、漸くまともに相手と目を合わせて。
「………さっき、言えなかったことちゃんと話す」
(簡単に気持ちが揺らいでしまう自分が嫌になるも覚悟を決めては催眠状態にあったことを話し、相手を信じ切れず傷付けた自分がどうしても許せなかったのだと続けて。
「本当は言わないつもりだった。またあんたを傷付けるのが怖かったから。…なのに…あんたが馬鹿みたいに優しいから……」
(甘えてしまうと相手を責める物言いをしてしまい首を横に振って「ごめん…」と呟いて「こんな弱虫で勝手なやつなんとでも思ってくれて良い。……ただやっぱり自分の気持ちに嘘はつけない。……俺、あんたが好きだ。忘れられない」とやっと本音を零して。
「今更こんなこと言われても困るのは分かってる。…………でもさもうちょっと俺の勝手に付き合ってよ」
(自分だけ言うだけ言ってすっきりしては相手が口を開く前にまた腕を引いて歩き出し自宅まで来ては強引に家に上がらせて、何事かと驚く他の家族をよそに相手を食卓に座らせて。
「……カップラーメンじゃ栄養偏るだろ。……あんたさ、此処最近ずっと酷い顔してんの。どうせまともに食べてもないし寝てもないんだろ。バイト何時からか知らないけどその前にしっかり食べて、寝るなら俺の部屋、…じゃなくて空き部屋あるからそこ使えよ」
(一瞬言葉を濁らせるも不自然な笑いで空回り気味に述べては台所から作りおいた料理などを温めなおし相手の前に並べる。
正直相手の返事が是でも非でも怖い、今直ぐ答えを聞きたいようで聞きたくないという何とも我が儘な気持ちから妹を利用しては相手と話をさせ自分は自室に逃げようとして。
(/いやもうただの我が儘なじゃじゃ馬君ですよ。ってそれを操ってるのは自分ですがw
現代菊は江戸菊より餓鬼度&我が儘度が酷い気がします。
もうちょっと大人になって攻めっけだせるよう頑張ります(何の宣言w
いえいえいえ!いつも繿君本体様のロルとセリフは分かりやすく恰好良くて勉強なります。そしてぱくってます←
ではではいつも忙しい中絡み感謝です(*^_^*)
>露木
( 路地にて相手の口から話された言葉に驚きを隠せず“殺したい程嫌われてた訳じゃなかったのか”と安堵するも相手の思いを聞いた途端放心状態になり。
暫く呆然としたままされるがままになり相手の自宅へと着いた途端慌てて何か言おうとするも言葉にならずに驚いた様にこちらに目を向ける相手の母と妹に頭を下げては「すみません、…お邪魔します」と小さく告げ。
並べられた食事と共に去ろうとする相手の腕を咄嗟的に掴んでは言葉が出て来てくれずジッと見詰めて。
『もう兄さんったら。連れて来ておいて部屋戻っちゃうつもり??折角だから私達もご飯食べようよ』
「………え、と………」
『ゆっくりして行ってね。母さんもこれから出掛けるみたいだし………なんか父さんと二人で話をしに行くんだって、直ぐ近くの喫茶店に行くって言ってた』
( 相手に耳打ちする妹に『さ、食べよ』と促されては食卓を囲み「…じゃあ、…頂きます」と。
家庭的な味は食欲をそそり自然と表情も綻んでは他愛も無い話をし明日には寮に戻ると。
『そっか、…じゃあまた次の土日に来るのね』
「あぁ。…遠くて大変なんだけどさ、でもまぁ特にする事も無いし」
( 一向に話をしない相手をチラチラと気にしつつ箸を置き「ご馳走様、凄い美味かった」と。
洗い物を始める妹の手伝いをしつつ相手の言葉が沸々と蘇ってはカアッと照れ臭さが生まれ。
自分の気持ちもしっかり伝えなければと思い皿を拭きながら相手の元へと来ては「…俺も、…話あんだけど」とだけ伏せ目がちに告げ再び妹の隣に戻っては皿拭きを続けて。
( それから暫く後、不意に妹の携帯が鳴り響いては『今ハナから連絡合ってね。ちょっと駅まで行って来る、前から気になってた雑貨屋さん遂にオープンしたんだって。…ふふ、ちょっと出るだけだから心配しないでね兄さん』と相手の額をコツンとして。
妹を見送り遂に相手と二人になっては小さな声で「………さっきのだけどさ。…あんたが…返事要らないってんなら…俺も黙っとくけど」と。
どことなく微妙な雰囲気を感じ取り“自分も相手を好きだ”と告げていいのかと。
>桐崎
(二人きりになり相手からかけられた言葉に小さく反応してはいつまでもウジウジとして格好悪いところを見せられないと相手を見て「いや…返事、聞かせてほしい」と小さく呟き。
それでも返事を聞く前に確認しておきたかったことがあったため「でもその前に少しいいか…?」と相手を居間の座布団に座らせて。
「……すごく、…今更な話なんだけど……あんたさ…、俺と関わってから今まで自分が考えていることが本当に自分の考えかって疑ったことないか?」
(真剣な声色で問うも支離滅裂なのは自覚しておりどう説明しようかと視線を横に流して。
「…その……前に一度だけ俺の能力が記憶を操作することだって言ったよな。それってつまりさ、使いようによっては俺が思うままに人の意思を変えて動かせるってことなんだ。それはあんたや木ノ宮の能力と違って顕著に現れない。だから俺が黙ってれば周囲はまず俺の能力に気付かないしバレてもまた其奴から記憶を消せば良い。…自分の記憶の許容量さえ誤らなければ周囲の人間関係くらいなら自在に操れる。………周りに俺が善人だと思わせることも……あんたが俺に好意を抱くよう仕向けることも…できるんだ」
(一気に話しては吐き出しそうになる息を飲み込んで相手をまっすぐに見つめなおし「………疑ったことないか?俺が…あんたに近づくために良いようにあんたの記憶を操作してるって」と最初問いを聞き直して。
「………考えてみろよ。俺……自分の意思じゃなくてもあんたを殺そうとしたんだぞ。今回だけじゃない。あんたが学校の屋上から飛び降りたのも俺が追い詰めたせいだ。……普通、“気にしてない”じゃ済まないだろ。こうして話してくれること事態あり得ない」
(微かに声を震わせ言葉を紡いでは相手を見つめたまま疲れが感じられる頬にそっと手を添えて「…………こうして触れて俺が念じればあんたに俺を“愛してる”と思わせられんだ。………今あんたがこうして俺の話を聞いてくれるのは本当にあんたの意思だと思うか?」とどこか相手を試すように問い掛けて。
>露木
( 真剣な表情で紡がれる相手の言葉に小さく微笑んでは相手の額を軽く弾く。
「何、俺の事怖がらせたいとか試したいとか??………疑ってないよ。全部俺の意思だと思ってる」
( 相手も相手なりに能力に関しての悩みは多く、相手の父親とも能力でのいざこざが合った。
それでも相手が自分に都合の良い能力を埋め込まないというのは確信があり再び口を開く。
「まずさ、あんたが俺に能力使うんなら屋上での事も首締めた事も消すのが前提だろ。普通あんな記憶が残ってたらあんたの言う通りこうして話してるのも難しいんだと俺も思う。………でも俺はその事忘れてないししっかり覚えてる」
( 真っ直ぐに告げずっと触れたかった相手の頬に恐る恐る触れては“やっと触れられた”と表情を緩め。
「今も、俺の意思であんたの話聞いてるってちゃんと言えるよ。それに首締められた時だって…あんな状況だってあんたにやられるんなら本望だって思う自分も居たし………結構末期だよな」
( クスクスと笑みを浮かべ、不意に真剣な表情になってはいきなり相手の腕を引き寄せ抱き締める。
久し振りの相手の温もりを堪能しつつそろそろ返事をしなければなとどこか冷静に考えていて。
「…正直傍から見たら俺ってかなり気持ち悪いしさ。………あんたと一緒にいたらあんたまで変な風に思われんじゃないかな-とかって考えてた。髪だって黒く染めようと思ったんだ、…でも染めると能力解放した時に一部分だけ黒くなるの格好悪りぃよなとか。まぁ能力使わなきゃ良い話なんだけど」
( 無意識の内に抱き締める力が強まっては相手の肩に額を乗せ「…本当に…愛してる、ここ何日かもずっとずっと触れたかった」と囁いて。
甘い雰囲気の中視線が交わり相手の顎を軽く持ち上げその唇を奪おうとした時、突如玄関の開く音がしては互いに慌てて離れて。
相手の母親が入って来ては『あら、…お話中だったのにごめんなさいね』と柔らかく微笑み相手の前に腰を下ろしては父と会って来た事を話始める。
向かい合ってるにも関わらず相手と視線が合わないのは直ぐに感じ取れ席を外そうと。
『繿君って言うのよね、…あの人から聞いたわ。本当にごめんなさい』
「あ、…いや…俺は本当何もしてないんで」
『貴方のお父さんにも今度お礼を言わせてね』
( 柔らかい優しい微笑みに照れ臭そうに頭を下げては次に母親は相手の手にゆっくりと触れて。
『あの人と…ちゃんと二人で話したの。謝ってばっかで直ぐに人を信じる癖は昔と何も変わり無いのね。……………私も、…ずっと菊と向き合ってなかった』
( 泣きそうな表情で相手をしっかりと見詰める母親が相手の頭を撫で『こんなに、大きくなったのね』と。
その光景に自分は勝手に泣きそうになり目線を逸らしては表情を誤魔化していて。
ホラー映画は平気でも感動系は来る、母親がコートを脱ぎエプロンを付けながら『今日は調子良いからお店もちゃんと出来そうよ。最近菊に任せっきりだったのも…ごめんなさいね、後でお菓子持ってくから繿君もゆっくりして』と言うのをまだ感動中なのを隠して。
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