xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(朝の支度を終えるころ穏やかな空気を乱すかのごとく現れた学生達にどれだけ暇なんだと眉を顰める。
しかし散らばる写真を目にした瞬間、微かな焦燥感が襲い其れを煽るような学生達の言葉に、このままでは相手が離れて行ってしまうと焦りが膨れ上がって。
無言でゴミ箱に捨てる相手を目で追っては突如後ろから腕を掴んでそのままベッドに押し倒すとどこか縋るような瞳で相手を見下し。
「……た、足りないなら…してもいい。…今直ぐ抱いていいから。…それとも俺からしたほうがいいか?」
(情けなく震える身体と声に唇を噛み締めては何とか堪えて相手の唇を奪い首筋に顔を埋める。
上手く動かない指先で相手の服に手をかけるも頭の中がグワングワンし、突然の吐き気に襲われては相手からどき洗面所に駆け込んで。
暫くして少しずつ正気に戻り気持ちが落ち着くと洗面所から出て相手をあまり見ずに自分の荷物を手に取り。
「……ごめん、ちょっと…焦って…。……馬鹿だよな。あんな奴等の挑発に動揺するなんてさ。…大丈夫、あんたのことはちゃんと信じてるから」
(少しだけ相手を見て薄く微笑んでは「…悪い、今日は朝やめとく。…教授に話したいことあるから早めに大学行くよ。……また後でメールする」と告げ相手の部屋を後にして。
(大学の研究室にて教授と話を済ませては自分の精神の弱さと餓鬼っぽさにほとほと嫌気がさしていて。
これではまたあの学生達の思うツボだ。
どうせあの写真も昔のことを掘り返しただけだし、相手にも事情があったんだと言い聞かせては資料だけまとめて昼からのバイトへ向かって。
>露木
( 自室にて、出て行った相手に罪悪感を感じつつゴミ箱の写真を見詰めると唇を噛み。
無理をさせてしまったなと眉を寄せては携帯を取り出し《さっきの奴等から渡された写真、あんたと出会う前に金稼ぎとしてやってた時の写真。…あんたと会ってからはちゃんとあんただけだから》と気休め程度にしかならないであろうメールを送り。
必要だと思われる授業に顔を出し、直ぐにバイト先へと向かっては何も考えずにただひたすらにバイトに取り組む事にして。
( 早目にバイトを切り上げた所で特にする事も無くコンビニにでも寄ったら直ぐに寮に帰ろうと。
帰り道の途中、ふと青年に出会しては一緒にコンビニに向かう事になり。
『ねぇねぇ兄さん、俺ホラーのDVD借りて来たんだけど怖くて見れないから一緒に見ようよ』
「綸とでも見ろよ」
『前に誘ったんだけど菊の話ばっかしてんだもん、ねぇ良いでしょ??』
( しつこい様子に負け、仕方無く頷いてははしゃぐ青年が菓子類を買い込むのをチラリと見詰める。
相手はまだバイトだろうかと携帯を見詰めるも返信はまだ無く。
渋々青年を自室に入れてはDVDを再生し、在り来たりなホラー映画をつまらなそうに見詰める。
そう言えば以前相手と思い違いがあった時お化け屋敷にて相手がお化けに驚き抱き着いて来たのをふと思い出しては相手はホラーは苦手なのかと。
出来る事なら相手と映画を見るのも良いなと思ったが触れ合えないのを思い出した途端に小さく息を付く。
途端に青年が悲鳴を上げ張り付いて来るのに何気無く目を向けて。
>桐崎
(バイト終わり相手のメールに気付いてはその内容に少し安堵すると共に早く相手の気持ちに応えたいと思う。
最後までいかないにしてもせめて抱き合って口付けるくらいは…と焦る気持ちを抑えて《メール有難う。安心した。俺もあんただけだよ。今はあんたの全部に応えられないかもだけど気持ちは絶対ブレないから。愛してる》と気持ちだけでも真っ直ぐに伝えて相手を安心させたいと恥ずかしげもなくメールを送って。
(その後すぐに相手の部屋へ向かっては今朝の事もありやや緊張気味に扉を叩き中に入る。
と、そこにはテレビの前で青年が相手に絡みついた状態のまま眠る姿があり、一瞬動きが止まるもいつものことかと溜息を吐いては青年の正面に周ってしゃがみ頬を軽く抓ったり鼻を摘んだりして。
しかし青年は起きる気配がなく『兄さん大好きー』『そこは駄目だよー』と如何わしい寝言を呟くだけ。
「……どんな夢みてんだ、此奴。………てか、朝は御免な。…で、何してたんだ?…DVD?」
(呆れ気味に呟きつつ、今朝の事を重く捉えないよう会話の中で軽く謝っては観賞していたと思われるDVDのパッケージを手に取りそのジャケットを見た瞬間やや眉を顰めて。
「ホラーって…、冬場にさらに身体冷やしてどうするんだよ。……あんたこういうの好きなの?」
(相手をジトリと見つつさり気なくパッケージの表面が見えないよう裏返す。
正直ホラーは苦手。幼少期まだ家庭が安泰にあった頃、近所の大学生が遊びに来て悪戯でR15指定のホラー映画を見せられたことがあった。
ナツとハナがケロッとしていたのに対し自分はその後三ヶ月以上一人でトイレに行くことも億劫になるという苦い経験が……、
そこまで思い出し小さく溜息を吐いては、平気そうな相手に劣るのは癪なため気にしないようにして、とりあえず青年を相手から引き剥がそうとするもビクともせずに。
「…離れないし。………まあいいや、台所借りて良い?…少しお腹空いた」
(自分も青年みたく抱きつけたらとやや表情が曇るも、気を取り直し立ち上がっては普段通りの振る舞いを心がけ簡易キッチンで軽食でも作ろうと。
>露木
( 寝てしまった青年を特に気に止めずに映画の続きを見てた所、扉の叩く音と共に首をそちらに向ける。
先程相手のメールにニヤけてしまったばかり、平然を装いながら青年に悪戯するのを小さく笑って。
DVDパッケージを受け取り「此奴が持って来たんだけどさ、割と面白かった」と小さく言ってはそれをヒラヒラとして。
キッチンへと向かった相手の背中を見詰めては自分もそちらへ向かおうと青年を横抱きに抱え自分のベッドへと寝かせては布団を掛けてやり。
しかしその際に青年がゴニョゴニョと寝言を言い首に手を回されては咄嗟に体制を崩し青年に覆い被さる様な体制になってしまい。
「…ったく、危ねぇな」
( ボソリと呟き起き上がっては相手の元に向かい隣に立っては「何作ってんの??…すっげぇ良い匂い」と覗き込んで。
しかし距離が近過ぎた事に慌ててパッと離れては微笑を貼り付け誤魔化して。
一定の距離を保つ様にしながらそれでも傍に居れる嬉しさに頬を緩める。
一瞬抱き締めたく手を伸ばすも相手に恐怖を与えるのは嫌だと手を戻す。
こんなにも奥手になったのは初めてだな、なんて考えながら冷蔵庫を開けてはペットボトルを取り出しミネラルウォーターを喉に流し込んで。
( キッチンから青年のベッドを覗き込んでは人の部屋にも関わらず呑気に寝息を立てており。
苦笑を漏らしつつ相手の隣に戻り「何かあいつ結構ホラー映画持って来てんだよ。折角だからあんたも見てけよ」と人の気も知らずに告げて。
( 買い置きのパンやらを取り出し相手がキッチンにて鍋に向き合う横室でDVDのセッティングを済ませては後は再生ボタンを押すだけにして。
青年の髪を何気無く弄りながら相手がこちらに来るのを大人しく待ち。
>桐崎
(調理をしつつ青年が相手の首にまとわりつくのが目に入っては実は起きているのではと嫉妬するも相手が近づいてくれば直ぐに心和み。
ただ気遣ってくれているのが窺えれば申し訳ない気持ちになり早くこの恐怖を克服せねばと。
が、次に相手から発せられた提案に「え…」と声を漏らし、今は別の恐怖に打ち勝つ必要がありそうだと引きつった笑いを零して。
(ポトフを作り終えてはテレビの前の小さなテーブルの上に皿とスプーンを2つずつ並べ、拳三つ分あけて相手の隣に腰掛ける。
「…本当に見るのか?………いや、いいんだけどさ」
(思わず聞き直すも男で怖がりなんて知られたくないし、きっと小さい頃見たから怖かったんだと自分に言い聞かせては下を向いて怪しまれないよう再生される画面を見つめる。
どうせ二流の映画。こっちは成人してるんだと高をくくっていたが意外と怖い。というよりかなり怖い。
頼むから何か喋ってくれと思うがいつもおしゃべりな青年は寝ているしその寝息すら静かな部屋ではホラーに思えてきては変な汗が背中を伝う。
そして恐怖も最高潮という時、突如部屋の明りが消えてはヒッと小さく喉を鳴らし少し大袈裟なくらい肩を揺らして条件反射のごとく相手の手を握って。
『…プッ、菊ってばベタな反応~。そんなに怖かった?』
「…………綸。…別にびっくりしただけだし。…っていうかいつからそこに居たんだよ」
『えぇ、ずーーっと菊の後ろにいたよ?』
「……、…分かったからはやく電気つけろ」
『こっちのほうが雰囲気でるじゃん。ねえ繿?…あ、俺もポトフ食べる』
(そう言って部屋を暗くしたまま隣に押し入って来ては急に黙って映画を見だす兄。
喋ってくれていたほうが有り難いんだけど…と思いつつ、兄が座ったことで必然的に相手との距離が縮まり肩が触れ合ってはドキドキして映画どころではなくなり。
不思議と“恐怖”はない。手を握ったままだとも気付かず相手の横顔を自分の髪の隙間からこっそり覗いては、引き寄せられるように相手の頬に触れるだけの口付けを落としていて。
>露木
( 食欲をそそる香りのポトフを美味しそうに食べながら映画を見てた所、時偶に怖いシーンの所で相手がパッと視線を逸らすのを面白そうにさり気なく見詰める。
音楽が激しくなり“あ、そろそろ出るんだろうな”なんて思いながらテレビに目を向けてた所で部屋の電気が消えては「ん??」と扉に目をやる。
兄が面白そうに笑いながらポトフを取りに台所へと向かってく中、しっかりと握られた手に段々と照れ臭さが生まれてはさり気なく握り返したりして。
映画の中も暗いシーンの為まさに部屋は真っ暗で、不意に頬に感じた感覚にゆっくり相手に向き直る。
あんなに触れる事を拒んでた相手が、と驚きと擽ったさにさらされ。
「………つゆ、」と相手を呼び掛けた所で映画は二回目の最高潮を迎え不気味な爆音を立てては兄が『わ-!!!』と態とらしい悲鳴を上げ相手に抱き着き。
兄の態とらしい悲鳴に青年も目を覚ませばのそのそと自分の隣に座り『俺も見る』とまだ眠そうな様子で呟いて。
( 漸く一本目の映画が終わり青年の持って来た小さなバッグを覗いては次はどれにしようかと。
ホラーが苦手な事を隠しているかの様な相手の様子が実に可愛らしく感じつつ流石に虐め過ぎるのは良くないかと「もう終わりにするか??」と。
しかし兄と青年は乗り気の様で『え-まだ見る!!!』と子供の様に言っては次の映画を選び始め。
『これ何かどう??“呪いの廃病院”だって』
「ありきたりだな」
『でもこれかなり怖いよ、いわく付きの病院で撮影されたんだって』
「それ売り文句だって。どうせセットだろ」
( 雰囲気をぶち壊す言い草に兄が『もう静かにしてよね』と言っては再び電気を消して。
テーブルの上のペットボトルへと手を伸ばし、いかにも恐怖を煽る様な音楽と演出をつまらなそうに見詰め。
>桐崎
(口付けた自分もびっくりでこんなムードもへったくりもないホラー映画を見て何してるんだと内心あたふたするも爆音と共に兄に抱き付かれては場の空気にそのまま流されて。
(もういやだと思いながら二本目の映画が見終わり半放心状態でいるとエンドロールを見ていた青年が『あっ』と声を上げて。
『ねえねえ、見て見て協力元の所。映画で出てた廃病院セットじゃなくて本当にあるみたいだよ。しかも割りと近く!……ねえ明日明後日休みだし行ってみ「嫌だ」
『ええー、いいじゃん。若いうちしか出来ないし、青春だよ、青春』
「…俺はもう青春って歳じゃないから」
『俺は行きたいけどなぁ。……ほら、繿も行くって言ってるし、ね?』
「…………桐崎が行くなら…」
『はい決定。ってことで繿、明日の夜の予定あけておいてね』
『わーい、兄さんと肝試し!写真撮ろうね』
「……やっぱり行くのやめ…『行くよね。まさか怖いわけないもんね』
(笑顔の兄にやっぱり此奴腹黒いと恨みつつ断れない状況に「仕方ないな…」と分かりやすく強がっては、また相手の手を握っていたことに気付いてバッと手を離し。
「…悪い…、またいつの間に…」
(笑顔で誤魔化しつつ一本目の映画の最中口付けたことを思い出しては更に恥ずかしくなり、逃げるようにお皿などの片付けを始めて。
(その後、シャワーや着替えを済ませもう一本みたいと言い出す青年と兄を流石に“飽きた”と言って部屋から追い出しては相手と漸く二人きりになる。
暫く沈黙してしまうも先程手を握ったこと等を思ってはもう触れても大丈夫ではと。
ゆっくり相手に向き確かめるように相手の頬に手を伸ばしてはそっと親指で口元をなぞる。
まだ大丈夫、まだ触れていられる。…触れていたいと願えば少しずつ相手に顔を近づけるも寸でのところでまたあの恐怖が浮上してしまいピタリと動きを止める。
それでも此処まで来てやめたくなく相手の肩に額を預けては、頭の中から男達の言葉が消えるまでそうしていて。
>露木
( 相手と二人になった自室にて、まだ僅かな照れ臭さが残るも不意に手を伸ばされては驚いた様に相手を見詰め硬直して。
ゆっくりと相手の顔が近付いて来たかと思ったが、僅かな怯えと共に迷いを含んだ瞳が目に入り肩に寄り掛かる相手をそっと抱き締める。
ビクリと震えた肩に手を乗せ片手で相手の顎を持ち上げては「大丈夫だから…ちゃんと見ろ。…俺だから」と小さく告げゆっくりと顔を近付ける。
口付けを落としたのは唇に近い頬、直ぐに顔を離し相手を見詰めては僅かに頬が緩み「最近慣れて来たじゃん」と小さく褒めたりして。
「無理すんなよ、あんたが慣れるまでちゃんと傍に居るから。…変な心配しなくても…俺だってもうあんた以外触れようと思わないから」
( 少しずつだが相手から触れようとしてくれてるのが分かり柔らかく微笑んでは「あんたホラー苦手だったんだな。…今度暇があったらデートにお化け屋敷とかどう??」とからかって。
( 翌日、最近は枕に抱き着く様にしてたのだが目を覚ました所で目前には相手がおり。
寝てる様子に安心しつつ起きてたら抱き締めるなんて難しいよな、と思えば数秒間そうして。
しかし相手が僅かに動いたのにハッとしては慌てて離れ平然を装いながら「おはよ」と。
今日の夜は近所の廃病院とやらに行くんだったなと不意に思い出し、ふあ、と欠伸を漏らしては以前程では無いが僅かに距離を開け腰を下ろし。
>桐崎
(相手の柔らかな微笑みと優しさに此れではどちらが年上か分からないなと内心苦笑を零すも今はからかいですら心地よくきっと自分は相手から離れられないだろうなと微笑みを零し。
(翌朝、心地良いぬくもりで目を覚ますも距離を置く相手に気付いてはすっと手を重ねるようにして握って「…その、…自分から距離置いといて何だけど…あんたのおかげで大分安心できるようになってきたから、もう少し傍にいてくれてもいいから」と素直に傍に居て欲しいとは言えず遠回しに言っては朝の支度をするため洗面所へ向かって。
(その後、朝食を済ませてバイトに向かうも夜のことを考えると憂鬱で溜息ばかり吐いていて。
それでも相手といられると考えれば前向きになれる気がして、すでに男子学生達の嫌がらせのことは深く考えないようになっており。
(そして夜、相手と共に待ち合わせ場所に行くと既に兄と青年が居て、青年は相手の腕に絡みつき『兄さん、何かあったら俺のこと守ってね』と抱き付いて。
「……ていうか勝手に入っていいの?…立ち入り禁止じゃ…」
『ん?許可貰ったから大丈夫だよ』
「…あ、そう…」
『じゃ、早速入ろう。で、どうせなら一回一人で周ろうよ。昼間に一番奥の病室にろうそく仕込んどいて貰ったから一人一本取ってきて』
「なんでそんな準備がいいんだよ」
『何かイベント的なことがあったほうが面白いでしょ。じゃ、俺一番最初ねー2分後くらいに次の人入っていいから』
(反論する間もなく軽いノリで行ってしまった兄に溜息を吐いては、一人で残るのは嫌だったためさっさと終わらせてしまえと二番目にスタートして。
(暗くどこかじめついた廃病院内、時折ギシリと床が軋みその音だけで昨夜の映画の光景が脳裏を過っては肝が冷える。
渡された院内図を頼りになんとか奥の部屋にたどり着くと既に二本なくなっていていつの間に青年か相手が別通路で取ったのかと首を傾げては深くは考えず早々に戻ろうと。
が、確かに元来た道を辿った筈なのに気付けば見知らぬ場所。
それが兄の衝立てや鏡を使った悪戯とも知らず、完全に呪われたと思ってはダラリと冷や汗が流れて。
瞬間、突如羽交い締めにあっては背後の病室に連れ込まれ悲鳴を上げそうになるも口を塞がれ、抵抗しようと拳を浴びせようとするも目の前の人物が兄と気付くときょとんとし。
「…綸?……なんだよ、驚かせるなって…」
『御免、御免、菊の反応が面白くてさ』
「はやく戻ろう。二人、もう戻ってるかも…」
『ねえ、もう少しここにいようよ。きっとアカも繿を捕まえて遊んでるだろうし』
「…アカ?」
(いつもとどことなく違う雰囲気の兄を訝しげに見つつ、此処にとどまる気はないため「さっさと行くぞ」と強がって先を行き。
>露木
( 相手が入った後、さっさと戻ってしまおうと考えつつスタスタと院内を歩いてた所背後からいきなり抱き着かれては一瞬驚くもいつもの表情で振り返り。
青年が満面の笑顔で居たのに“歩くペース早過ぎないか、何でもう追い付いてんだよ”なんて呆れつつ早々に帰ろうと。
しかし青年は張り付いたまま剥がれず、「早く戻るぞ」と一言言った所で正面から抱き着かれ。
青年のして来る行為にいつも深く考える事は無く、“今更怖くなったのか”なんて覚えば赤髪をポンポンと撫でてやり。
暫くべったりとくっつかれて居たが漸く離れては手を取られそのまま歩き出して。
一人一人と言う話だったのに二人で出たら意味無いだろうと思いつつ、それでも結局青年と共に出て。
( 先を行こうとした相手の腕を掴み相手を抱き寄せては甘く微笑み相手の耳元に口付けて。
そのまま相手の髪をくしゃりと掴み唇に軽く口付けては「菊、無防備過ぎるよ」と微笑んで。
兄も暫く相手に抱き着き「強がっちゃってさ。…本当は怖いんでしょ??」と慰める様に相手の頭を撫で回しては流石にそろそろ怪しまれるかと戻る事にして。
( 兄達よりも一足先に戻って来てた訳だが、自分達よりも帰りの遅い兄と相手に不安が募る。
未だに張り付く青年を気に止める余裕も無くそわそわとしながら入口にて待ってた所、漸く相手と兄の姿が見えて。
さもカップルかとでも言う程に密着する兄、自分だってそんなに相手と接近出来ないのにと青年の事を他所に勝手に嫉妬心を燃やして。
『じゃ、改めてしっかり中見て回ろっか。兄さん俺鳥目だから捕まってて良いよね』
『ほら、怖がりの菊くんは俺の隣』
( 兄がさり気なく相手に絡み付くのをジトリと見詰めては四人で懐中電灯片手に院内へと入って。
>桐崎
(いつもより激しい、というより艶かしいスキンシップを取ってくる兄に若干の嫌悪感を覚えつつ、“本当は相手と組みたい”なんて甘えたなことも言えずに『兄さんあったかい』と相手にくっつき前方を歩く青年の背を恨めしく見詰めていて。
(暗くて冷え込む院内、慣れてきて然程恐怖は感じないものの先を歩く青年がぴったり相手に寄り添うのを見るのはいい気がしなく。
やっぱり相手はあーいう可愛げがあるのが好きなのだろうかといらない心配を抱いていると二階の廊下を歩いている所で突如兄に腕を引かれ音もなく診察室に連れ込まれて。
「またいきなり何だよ。二人とはぐれるだろ」
『…ねえ、何で俺が菊のこと好きか教えて上げようか』
「は?…ただの戯れだろ?…ていうか今じゃなくていい」
『…ひどいなぁ。“一度は身体重ねた仲”じゃない』
「……何言ってるんだよ。…確かに…キスはしたけど……あれは違くて」
『知ってるよ。“見てた”から。……それにしても“今の俺”は随分丸くなっちゃって…』
(サラッと髪に触れられ明らかにいつもと雰囲気の違う兄の顔が近付いて来ては咄嗟に平手打ちをしてしまうも兄はクツクツと楽しげに笑い『昔もそうやって俺を叩いたよね。あの時は拳だったけど。何度も殴られて…痛かったなぁ』と再び顔を寄せられて。
ゾワリと寒気がしては兄を突き飛ばし「霊の真似でもしてんのか?…そういう訳の分からない悪ふざけやめろよ」と微かに震えだす身体を抑え床に転がる懐中電灯を持ち直すと相手と青年を探しに出て。
(その頃、青年は集中治療室が見たいと強請っては相手に引っ付いたまま目的の場所に来て『流石に雰囲気出るね。怖いー』と相手にギュッと絡みつくも突如切なげに相手を見上げ。
『ねえ兄さん、俺に口付けしてよ。…振られちゃったけど諦めきれない。というか今の兄さんと何かあっても正確には浮気にはならないから良いでしょ?』
(“過去の青年”を思わせる悲しげな表情で相手に身をキュッと寄せては『今も…ずっとずっと兄さんのこと好きなんだよ。今の俺が生まれる前からずっと好きだった。…なのに兄さんは気付いてくれない。いつも支えてるのは俺なのに…』と嫉妬と相手を強く想う怨念を顕にするよう声を低くしては相手の服を掴んで顔を下げさせ唇を奪ってそのまま相手を押し倒そうとし。
>露木
( 突如豹変した青年に驚きつつコンクリートが剥き出しになった床に押し倒されては漸く焦りを感じ持ち前の馬鹿力を活かし青年を引き剥がそうと。
いつもなら容易い青年の力は驚く程に強く「お…おい赤城!!!お前本当にどうしたんだよ!!!」と咄嗟に声を上げて。
『兄さんさ、本当に残酷だよね。俺の事振っちゃった癖して目前で露草と仲良くしてんだもん』
「は??…何言って…。第一“振られた”って何の事だよ、俺が赤城を振ったのか??」
『…“赤城”じゃないけどね』
( 暗い瞳でニヤリと口角を上げる青年を眉を寄せながら見詰めるも再び抱き締められては結局状況が理解出来ずに苦しむ。
青年を振ったなどとほざいてるが青年に告白された覚えなど無いしましてや青年をその様に見た事も一切無い。
『ねぇ、何で俺じゃ駄目なの??何で振ったの??』
「だから…意味分かんねぇんだって。あんたの事なんて振った覚えないけど」
『え??』
「…なんだよ」
『“振った覚えないけど”って…じゃあ兄さんは俺の事好きなの??やったぁ、思い合えてたんだね』
「は??」
『ここさ、霊が集まりやすいんだよ。折角思い合えたのに離れるのは嫌だな-…でも戻ったら戻ったであっちの兄さんは露草べったりだし』
( 狂気的にブツブツと呟く青年を不気味そうに見詰めては「と…兎に角戻ろうぜ」と。
( 兄は再び相手の腕を掴み思い切り力を込めて相手を押し倒し馬乗りになっては艶目かしく相手に触れ耳元に舌を這わし。
相手の反応を楽しみつつ『元々欲しい物は何でも手に入れる性格だったんだよね、でも折角分かり合えたばっかの弟の大切な存在奪うのは引け目感じちゃってさ。だけど流石に二人になっちゃったら我慢出来ないよ』と小さく囁いてはいきなり相手の唇を奪い深く口付けて。
>桐崎
(明らかに様子の可笑しい兄に背筋が冷えて深く口付けられては必死で逃れようと肩を押すもビクともせず、悪寒に耐え切れなくなれば絡みつく舌を噛んで。
『痛っ…、噛むなんて酷いなぁ。繿より上手いと思うんだけど。……菊、俺はね。執念から生まれた霊みたいなものだから簡単には引かないよ』
(黒い笑みを浮かべ首筋に顔を埋められては抵抗むなしく濃い鬱血を残されその痛みに顔を歪める。
いよいよ恐怖が芽生え始め身体が震えそうになるも其れを抑え込み兄を切なげに見詰め。
「…なんで、こんな…、綸は…俺の大切な友達だと思ってたのに……」
『……またそうやって平気で惨酷なこと言う。“愛してる”って言ったよね?』
「…本気、じゃないだろ?………なあ頼む。あんたからはこんなことされたくない。あんたほど心許してる友人はいないんだ。…失いたくない」
『…………はぁ…、菊ってば本当にいつの時代も鈍感で我が儘。…こっちの気も知らないで』
(膨大な溜息を吐かれやっと身体を解放されては、ムクッと起き上がりまだ雰囲気の違う兄を凝視する。
変なものでも食べたのかと訝しんでいると、急にザワリと胸がざわめき嫌な予感がして。
直感で相手の身に何かあったと悟るとまだ少し震える足に鞭を打って立ち上がり『ちょっと待ってよ』という兄の制止も聞かずに今度は捕まらないよう駈け出して。
(その頃青年は戻ろうとする相手をそうはさせないと押さえ込み直しニコリと笑みを浮かべ。
『兄さん、遊びはまだ終わってないでしょ?…っていうか今の兄さんは非力で可愛いね』
(チュッと音を立て相手の額や頬、唇に口付けては耳の裏を撫で『兄さん此処弱いよね』と笑み。
『…俺決めた。どうせ戻らなきゃいけなし、今こうしていられる間に悔いのないよう兄さんにたっぷり遊んで貰うことにする』
(ニコニコ微笑みながらものすごい力で相手を押さえ付けては『兄さんと両思いだったなんて嬉しいよ』と相手の髪を撫で上げる。
が、不意に悲しげな表情をしては『……今だけでいいの。俺を愛して…、じゃないとやりきれないよ』と相手の肩をギュッと握り。
>露木
( 掴まれた肩の痛みに眉を寄せた所、逃げる術を無くすかの様に腕を掴まれ耳元に掛けられた吐息に抵抗してた力が抜ける。
一番の友人だったあの青年でなくなる気がしては咄嗟に抵抗し話を聞いて貰おうとすると無難に終わり。
悲しそうに告げられた青年の最後の言葉に僅かに胸が痛み抵抗を無くしゆっくりと起き上がる。
鼻先が触れるかと言う様な至近距離、「…俺が露木の事好きなの分かってんだろ」と問い掛ける。
『どうかな。…でも今だけは俺の事考えてて』
「…随分と身勝手だな」
『大丈夫だよ、誰も来ないから。…ねぇ、一回だけ兄さんから口付けてよ。軽くで良いから』
「……………」
『そうしたら大人しく離して上げるかもよ??』
( 青年の言葉を若干反応してはゆっくりと顔を近付け青年を正面から見詰める。
触れるだけ、触れるだけならと青年に軽く口付けた所でいきなり深い物へと変えられては目を見開き抵抗しようとする。
しかし耳元を撫でられては力が抜け青年に寄り掛かる様に身体を預ける。
その刹那、ガタリと音がしては錆びた扉の向こうに相手が立っており目を見開いては相手の元へ向かおうと。
『兄さんから求めて来といて逃げるなんて酷過ぎるよ、折角だから“最後まで”しよ??』
( 無邪気に微笑む青年に「は??」と間抜けな声を漏らしつつ兎に角青年から離れようと。
>桐崎
(青年は離れようとする相手の腕を掴むと固い床に身体を押し付け馬乗りになり『もしかして照れてるの?あ、安心して。俺どっちでもいけるから』と微笑み相手の服に手を掛ける。
信じられない光景に絶句しては、青年の行き過ぎた冗談かと思うもどうやらそうではない。相手から求めた、それなら何故相手はあんなにも嫌がっているのかと怒りが湧いては「繿から離れろ!!」と叫び制止に掛かろうとするも背後から兄に抱き止められ。
「離せよ!!…あんたも…赤城もどうしたんだよ」
『言ったでしょ。俺は…俺達は執念から生まれた霊だって。要するに嫉妬の塊なの』
『“凛”、ちゃんと其奴のこと捕まえといてよ。俺が兄さんとゆっくり遊べないじゃん』
『俺は優しいからね。それに菊からちゃんと“失いたくない”って告白されたし』
「そ、それは…友人とし『さて俺達は別の部屋でさっきの続きしようか』
(不気味に笑み態と相手に見えるように先程の鬱血を指でなぞられてはピクリと反応してしまうも相手が青年に組み伏せられるのを見て黙ってはおれず何とか兄を振りほどくと青年を相手から引き剥がし。
『ちょっと邪魔しないでよ。っていうか“凛”。自分が両思いじゃないからって手抜くのやめてくれる?』
『別に手抜きなんてしてないよ。俺の可愛いー弟が傷付くのは見たくないだけ』
『傷付けてないし。愛し合ってるだけだもん』
(突然言い合いを始める兄と青年に戸惑いつつも逃げるなら今しかないと相手を支えて立ち上がってはさっさと廃病院の外へとでる。
と、門の付近に先程まで院内にいたはずの兄と青年の姿があり此方に気付くと走って近寄ってきて青年が相手に抱き付いて。
『兄さん!良かったぁ。携帯に連絡しても全然繋がらなかったから心配したんだよ』
『二人して何してたんだか。っていうか四人で周る時間無くなっちゃったね』
「…ちょっと待て…、あんたらさっきまで俺達と一緒に居ただろ?」
『ん?一人で蝋燭取りに行ってずっとみんなが戻ってくるの此処で待ってたけど?そしたら赤城しか来ないしさー』
「……そうやって俺を怖がらせようとしたって無駄だぞ」
『そんなつもりはないよ。あーあ、折角菊と二人きりになれるチャンスだったのにー』
『それは俺も同じ。兄さんのこと独り占めしようと思ってたもん』
(ケロッとしている様子の二人は嘘を吐いているようには見えず、ゾワリと背筋が冷えては相手の腕を掴み「……繿…、見えてたの俺だけじゃないよな」と思わず相手の名を呼び震え声で確認してしまって。
『ふう、何か待ってたらお腹減っちゃった。近くに美味しいラーメン屋さんあるらしいから行こうよ』
『あ、それ賛成。俺兄さんとわけっこしようかな。いいでしょ?』
(青年はさり気なく自分を相手から引き剥がすように割って入っては相手の腕に絡みつき無邪気に笑って。
>露木
( ギリギリの所で何とか相手と逃げ出す事が出来ては廃病院の出口へと一目散に駆け抜ける。
何事も無かったかの様な表情で居る兄と青年に流石に冷汗を感じては相手と顔を見合わせて。
まさか本当に霊とやらが居たとは、と小さく身震いするもラーメン屋へと着いた途端深く考えない様になり。
元々細かい事は気にしない性分、青年と分け合ったラーメンを啜ればまだ顔色の宜しく無い相手を見詰め。
一体どこからが青年では無かったのだろうかと青年と兄をジトリと見詰める。
「赤城、…お前告白とか…してないよな」
『告白??兄さんに??毎日してるじゃん』
「輪、…露木に如何わしい事しようとか…考えてねぇだろうな」
『何で知ってるの??どうやってそこまで持ち込もうかって毎日考えてるよ』
( 二人の言葉に確信を得る事は出来ずにあからさまな溜息をついては再びラーメンを啜り始めて。
( 深夜、明日は休みだし相手に“泊まりに来ないか”と言い掛けた所で兄が強引に『菊今日俺の部屋に泊まってきなよ』と。
絶対狙ってるだろうとムッとした表情をするも続いて青年が『俺も兄さんの部屋に泊まろうかな』と。
「いや自分の部屋行けよ」
『やだ、怖いもん』
「あんたが行こうって言い出したんだろうが」
『やだやだ、本当に怖いもん』
( もはや弟の様な存在の青年に態とらしく溜息を付いては相手に視線を流す。
ふと首筋にくっきりと色濃く残る鬱血の痕が目に入ってはやはりさっきのは夢なんかじゃ無かったのかと。
泊まる気マンマンの青年と兄は上機嫌な様子でいて。
『ねぇ兄さん、前に兄さん着てた黒のパーカー貸してね。俺着替え持って来て無いし』
「マジで泊まりに来んのかよ」
『行く行く』
( 面倒そうに欠伸をしては相手に視線を戻し、先程の出来事を思い出しては一瞬難しそうな顔をするもあまり深くは考えずにいて。
>桐崎
(ラーメンをまともに味わえないまま店を出てはあんな事があったばかりのため絶対相手といたいと思うも話の流れから言い出せなくなる。
やや助けを求めるように相手を見るも結局、兄の部屋に泊まることになりこっそり携帯を出しては《赤城には気をつけろよ。何かされるかもしれないから直ぐ助け呼べるように携帯準備しとくんだぞ》と廃病院でのことをめちゃくちゃ気にしてやや神経質なメールを送って。
(兄の部屋にてシャワーを浴び、強制的に兄の服を着せられては部屋の隅に行き携帯を常時握り相手からの着信に備える。
一分一秒がひどく長く感じては深夜にも関わらず《まだ起きてる?なにもされてないか?》と確認のメールを送って。
とそれを見ていた兄が突如後ろから抱き付いてきては携帯を取り上げられポイッと部屋の隅に放られてしまい、軽く兄を睨みつけ。
『そんな目しても菊がいけないんだよ。俺といるのに繿にメールばっか送って』
「……だって、…彼奴になにかあったらと思うと心配で」
『何かあったらって同じ敷地内だよ?心配しすぎ。……ところでこの痕、どうしたの?』
「どうしたって……これは、あんたが………」
『俺が……?』
(ニコリと微笑む兄に先程の光景が浮かんでは風呂あがりで火照っていた身体がブルッと震え「何でもない。……もう眠いから寝る」と放られた携帯を取りに行きしっかり握り直しては兄を必要以上に警戒しベッドでは寝ずに大きめの椅子に座って寝ようとして。
(一方相手の部屋では青年が下を履かずに相手のパーカーを着てはしゃいでいて。
『見て見てー、彼服だよ。ワンピースみたいで可愛いでしょ。てか兄さんのシャンプーっていい匂いだよね。これから俺も同じの使おうかなぁ。むしろ兄さんの部屋に住み込もうかな』
(ニコニコといつもの調子で上機嫌に言っては突如『どーーーん』と効果音つきでベッドに座る相手に飛び乗りどさくさに紛れて頬に口付けて。
『兄さん今日は楽しかったね。本当はもっと兄さんと居たかったんだけど。…………なんなら“続き”する?』
(無邪気な笑顔でギュッと相手に抱き付くも少し身を起こしたところで不意に不気味な笑みを浮かべ意味深に呟き首をコトリと傾けて。
が、その数秒後『なーんちゃって。…疲れてるだろうし“今日は”もう寝ようか。抱き付いていいからね』と満面の笑顔で相手の首筋に顔を埋め。
>露木
( 無邪気にはしゃぐ青年の笑顔に一瞬廃病院での“青年”の面影が見えた気がしては顔を俯かせる。
意味深な言葉にゴクリと喉を鳴らした所で何時もの青年に戻ったのだろうかと思っては隣に入って来る青年を気にも止めず見えない様な角度で相手からのメールを見ていて。
《あんたこそ何か有ったら言えよ、直ぐ行くから》
( 正直自分はない先程の事をそこまで考えて無かったが改めてよく考えれば流石に相手も不安だろうと。
ふあ、と欠伸を漏らしては一度青年にチラリと目を向け自分もさっさと眠りに付き。
( 相手がうとうととし始めたのを良い事に兄は相手を横抱きにしては同じベッドへと運んで。
『椅子で寝たら身体痛くなるからね』
( ボソリと呟き兄の隣に寝かせてはクスリと微笑み相手の唇を軽く奪って。
『鈍感な所とか全然変わってないんだ、…あ-朝になればこの身体も“綸”に戻っちゃうのか』
( 独り言を零しながら態とらしい溜息を付いた所で相手の髪を艶目かしく撫でては『まぁいいや、夜になったらまた会えるね』と囁き。
( 翌朝、青年に何か服を貸して欲しいと言われるも明らかにサイズが違う事から頭を悩ませる。
「別に良いけどだらしなく見えるんじゃねぇか??」
『丈長いもんね、でも良いよ!!!貸して貸して』
( 適当な上着を取り青年に放り投げてはさっさと相手の元へと向かい。
兄の部屋に来るなり扉を開けては勝手に部屋に入り込むもそこには仲良さげに兄と同じベッドに眠る相手の姿が目に入って。
ぱちりと兄が目を覚ますも隣で眠る相手に僅かに驚いた様な表情をしては直ぐ様眠る相手に抱き着き。
『菊が俺のベッドで寝てるなんて…!!!あぁもう寝顔もこんな可愛いんだから』
( イラッとしつつ兄を無理矢理引き剥がしては兄同様青年も『そう言えばどうして俺兄さんの部屋に居たんだっけ。………まぁ良いか!!!』とおかしな事を言い出して。
>桐崎
(朝、騒がしさに目を覚ましては目をこすりながら身を起こし、いつの間にベッドで寝ていた事に疑問を抱きつつ兄を引き剥がす。
昨日のことなど無かったかのような振る舞いに訝しげに眉を寄せながら相手を見るも相手も何が起きてるか分からない様子で。
「……ていうか赤城…それ、桐崎の服。……寮なんだから自分の服着ればいいだろ」
『何々、菊は俺の服が着たいの?ていうか替えの服今日持ってきてないよね?貸してあげる』
「いや全くそんなこと言ってないけど………借りる」
(洗面などを済ませまだ寝ぼけ眼で兄の服に袖を通しては四人で食堂へ向かいその途中で兄の横に並んで。
「昨日こと何か覚えてるか?…その…変な感じしたりとか…」
『ん?…特には。ただ菊待ってる時ものすごーく眠たかったんだよね』
「へぇ…」
(昨日あんなことがあって本当に兄に恐怖を抱くところだったのにと思いつつ、食堂につくとトレイを持つ相手の隣にさり気なくつき「昨日何もされなかったか?」と心配して。
(今日はバイトも休み、何となく相手の部屋に入れさせて貰ってはやはり此処が一番落ち着くなと一息吐き。
それにしても昨日の夜は本当に不思議で、ふと青年が言っていた“兄さんから求めた”という言葉が過ってはジトリと相手を見て。
「そう言えばさ……、昨日赤城があんたから求めたとか、両想いがどうとか言ってたけどどういうこと?」
(まだ一定の距離を保ちながら自分も兄に隙を見せたくせに身勝手に嫉妬をしてはそのつもりはないがどこか浮気を疑うような目で相手を見て。
>露木
( 朝食を済ませ自室にてやっと相手と二人になっては相手からの贈り物であるリストバンドをテーブルのアクセサリープレートへと置いて。
大切そうに見詰めながらふと昨日の青年の話を切り出されては一瞬きょとんとするも直ぐに理解しあの時の状況を話始めて。
「なんか赤城病院で可笑しかったろ??…あ、あれは赤城じゃなかったのか。…心霊的な??…そんで何か意味深な事ばっか言われてさ。…“何で俺の事振ったの??”とか訳分かんない事言って来たから“別に振ってない”って言っただけ。そしたら何か勘違いされて………うん」
( 一通り話した所で相手を見詰めては首筋にくっきりと残る鬱血の痕を指差しては「それ、…すっげぇ癇に障る」と呟き。
ゆっくりと近付き僅かに身構える相手の肩を掴み、鬱血の上から口付け痕の上に重ねて。
「ずっとそれ気にしてた、………って言うか綸の服着てんなよな」
( 自分だって青年に衣服を貸してたにも関わらず自分のパーカーをバッと相手に羽織らせ再び僅かな距離を取っては相手に向き直り「昨日…綸に何もされてないだろうな」と詰め寄り。
( それから暫く後、不意に青年から電話が鳴っては怠そうに応答する。
何の用事かと思った所で『兄さん兄さん、クラスメートの腐女子さんが俺と兄さんの漫画書いてくれるってよ。後綸と菊のもだって』と。
言ってる意味が理解出来ずに「は??腐女子って何??………って言うか菊と綸って何だよ」と。
『俺も最初はどうしようかな-って思ったんだけどあの有名店のケーキ奢ってくれるって言うんだもん。彼服がどうのこうのって言ってた』
「ケーキに釣られんなよな」
『ちゃんと皆の分貰ったよ??夜にでも行くから皆で食べようね!!!』
( 何とも一方的な言い方をしてはブツリと通話を切られてしまい眉を寄せて。
携帯をテーブルの上に置き暖かいコーヒーを入れては湯気の立つ色違いのマグカップを相手に手渡し。
「それ、一応あんたのって事で。俺の部屋来たら使えよ」
( 相手の物が置いてあるという事に表情を緩めつつそれを隠す様にとコーヒーを飲んで。
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