xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(夕方バイトの終わりがけに店先を見た時、ちょうど相手から男子学生達が去っていくのが見えてはまた相手に嫌がらせをしたのではと不安が過りそちらへ駆け寄り。
「…来てくれたんだ。……彼奴等に何か言われたのか?」
(冷たい相手の手を握り店内へ引き入れては少しだけ硬いように見える相手の表情を窺いながら問い掛け「……その、何言われたか知らないけど…あんたのことは誰よりも認めてるし、ちゃんと好きだから」と手を包み込みまっすぐに述べ。
「…あ、…もうすぐ終わるからテキトーに店の中で待ってて。逆ナンされてもついてくなよ」
(相手の不安には未だ気付けず、軽くからかい微笑んではさっさと残った棚戻しを終わらせバックルームで着替えを済ますと相手と共に店を出て。
(冷え込む夜の街、相手と並んで歩きながら青年のように自然に腕を組んで歩けたらなんて何度か相手の腕に手を伸ばし掛けるも、そんなことをしては“軽い男”と思われそうで出来なく結局夕食を食べ相手の寮部屋に来るまでの間いつもどおり過ごして。
(相手の部屋にてシャワーを借りてはベッドに座る相手の隣に座り柔らかな銀髪を弄んでほのかに香るシャンプーの匂いに「今日は俺もあんたと同じ香りになった」と嬉しそうに目を細める。
以前なら此処で抱き着いたり口付けたりしたが何かが引っ掛かり行動に移せず、相手のぬくもりをもっと感じたい筈なのに今はこの微妙な距離が安心できて。
不意に伸びてきた手も「水、飲んで良いか?」とさり気なく躱して立ち上がる。
そんな時、突然扉が開かれ兄が現れては例のごとく抱き付かれグイッと引き剥がし。
「…いちいち抱き付くな。…で、何のよう?」
『別にー、菊の気配がしたから来ただけだよー』
(軽いノリの兄に内心“邪魔するな”と悪態吐いていると飲みかけの水を奪われ全くと呆れ気味に溜息を吐いて。
『ん、そうだ。今度の休み旅行の準備したいから買い物付き合ってよ』
「…え、でも………」
『繿は赤城と用事あるでしょ?だから菊は俺と。あとでメールするから』
(有無をいわさず事を決められるも兄は世話になっているため断りきれず「分かった」と頷いては水を奪い返して喉を潤し。
>露木
( 自室にて、折角二人だけになれたというのに先程から触れようと伸ばす手は尽く避けられてしまい。
やはりまだ怖いのだろうと自分に言い聞かせ気にしない素振りをするも突如勝手に入って来た兄が相手に抱き着くのに言い聞かせてた考えはガラガラと崩れ落ち。
拒否反応は無く、当たり前かの様に関節キスを受け入れるのにも沸々と嫉妬が沸き上がる。
去って行った兄の背中を不満そうに見詰めながら無意識の内に相手に目を向けない様にしていて。
「綸と友達感覚越えてんじゃねぇの」
( ポツリと零してしまった本音を誤魔化す様に微妙な表情を浮かべてはガシガシと頭を掻き話題を変えて。
( 翌朝、無防備に隣で眠る相手に目が行けばまだ覚醒しない頭のままゆっくりと相手に覆い被さる。
軽く相手の顎を持ち上げ口付け様としたその時、相手の目がぱちりと開き僅かな怯えと共に抵抗され。
「………ごめん」
( 相手から離れ一定の距離を取っては漸く落ち着いた様子の相手に安心して。
申し訳無さそうに眉を下げては話を変えようと「そ、そろそろ食堂行くか」と。
( 食堂へと向かう途中、当然の様に兄が現れるなり相手の事を抱き締める。
その様子を見ない様にとしてた所、高校の後輩に呼び出されては相手に「ちょっと待ってて」と告げて。
階段の所へと来た所、自分より微かに幼い顔立ちの男子高生が神妙な顔で『………あの、桐崎先輩って………男でもいけるんですよね』と。
隠す必要も無いかとストレートな判断をしては頷くも男子高生は自分の腕を掴むなり真剣な表情を向けて来て。
『俺も、男の人が好きなんです。………でも経験無くて…正直話した事も無い先輩にこんな事言うのもどうかと思ったんですけど………良かったら“教えて”くれませんか』
( 一瞬驚いた表情をするも相手が居るからと断ろうと口を開く。
………が、自分も相手に触れられない欲求不満を抱えてた為断る事が出来ず。
言葉を濁したあやふやな返事をしては後輩にメアドを交換され、そのまま相手の元に戻り。
>桐崎
(目を覚ますと相手が目の前にいて悲しげな表情で謝罪されては胸がチクリと痛む。
それでもまだ触れ合う行為が酷く醜く感じ、“身体だけ”求められ愛情が遠のく感覚になれば恐怖で心が震えて
相手の気持ちに応えたい、むしろ自分も求めてる筈なのに気持ちがついていかずもどかしいまま食堂に向かい。
(食堂にて、後から訪れた青年と合流し4人で同席しては青年に絡まれる相手をジッと見つめ「さっきの奴、知り合い?」と気にしていたことを問い掛け。
『え、何?もしかして兄さんまた告白でもされたの?』
(青年の言葉にピクリと反応するも、告白されたとしても相手は断っている筈だと気にしないようにして自分から振った話題のくせにすぐに話を変えて。
食後、相手を高校校舎まで見送っては「じゃあまたな」と名残惜しむよう髪を撫で兄と共にその場を後にする。
相手が教室につく頃、あの男子高生がメールを相手に送り《次の休み、何時でもいいので時間取れませんか?駄目なら平日でも…。勝手なのは分かってますがなるべく早く知りたいんです》と。
(そして次の休み、約束通り兄と待ち合わせ街に出ては旅行で必要な買い出しをする。
相変わらず過度なスキンシップを取ってくる兄に昨夜の“友達感覚を越えている”という相手の指摘が過ってはいつもより強く引き離し「…誤解されるから」と目を逸しスタスタと先を歩き。
今頃相手は青年と一緒なのだろうなと思うと少し憂鬱で溜息を漏らしつつ、懲りずに密着してくる兄に『近くでランチしようよ』と誘われては断る理由もないため頷いて。
>露木
( 休日、約束通り青年とパスポートの手続きを取り終えては青年の行きたい場所へと付き合う。
ボーリング場にて暫し過ごした後、昨日届いた後輩からのメールに今更気付いては咄嗟にトイレへと向かい返信に頭を悩ませる。
自分には相手が居る、しかしそろそろ自分の理性に抑えが効かなくなってるのも自覚してる。
だからと言って相手を傷付けたくも壊したくも無い。
《今夜、時計台のとこに来て》
( 誰でも良い、なんて言えば嘘になるしそんなの最低な台詞になるだろう。
しかし“一日だけなら”なんて甘えた考えが浮かんでは上記のメールを送って居て。
それから何もない素振りをしたまま青年と街を周り。
( 夕方、怪しまれない様にと青年と一度寮まで帰っては青年が自室に戻ったのを確認し再び時計台へと向かう。
後輩の姿はそこにあり、急ぎ足で駆け寄り腕を引き物陰に連れて来て。
『先輩、…俺』
「ごめん…出来るかは…俺も分からない。心から好きな奴が居るんだ、………でも…理由が合って触れられなくて………」
『分かってます、秘密にしますから』
( 後ろめたい気持ちに駆られるも今朝相手が自分に拒否反応を見せたのを思い出してはゆっくりと頷いてしまっていて。
まだ迷いがある中、やや早足でホテル街へと向かってはやはり脳裏に浮かぶのは相手で。
( その頃、夕方まで相手といた兄は過剰なスキンシップをしつつ慣れた様子で剥がされていて。
『折角だから夕食食べて行こうか。今日は付き合って貰ったし俺が奢るよ』
( にこやかな笑顔で相手の手を取っては『そうだ、おすすめのイタリアンあるんだよね』と得意げに微笑み。
>桐崎
(兄の誘いに本当は相手と食事したいと考えていたため迷うも、相手は青年と夕食を取っているだろうし邪魔しては悪いとそのまま兄に手を引かれ。
もう少しでレストランというところ、ホテル街がある二、三本奥の路地に見慣れた銀髪が横目に入った気がしてはそちらに目を向けるも、自分よりも早く相手の存在に気付いた兄に隠されて。
「…今、繿が…」
『繿?え、気のせいじゃない?俺もぽい人見たけど別人だったよ』
「…そっか」
(その場は頷き兄おすすめのイタリアンにて食事を取るも、自分が愛しい相手を見間違えるわけがなく脳裏に見知らぬ男子高生と並んで歩く姿が色濃く焼き付いていて。
『どう?美味しいでしょ。此処のシェフは本場で修行したから本格的なんだよ』
「へぇ…、」
『さっきから聞いてる?あ、菊、口にバジルついてるよ』
(そう言って自分が拭うよりも先に指で拭われては恥じらいもなく其れをなめとる兄に眉を寄せて全く冗談がすぎると溜息を吐き。
(ホテルの一室にて、相手の後輩がシャワーを浴びるころ相手のメールの着信音が鳴っては男子学生達が懲りずに嫌がらせを働き数枚の写真を送りつけ。
それはつい先刻兄が自分の手を引く姿とイタリアンで口元を拭われる写真で《一日中ずっと一緒だったぜ。やっぱり“化物”より愛想の良い人間のがいいじゃないの?》と。
丁度その時後輩が浴室から出てきては自分と同じ藍色掛かった髪を緊張した面持ちで触れながら『おまたせしました。……ほんとこんなことに付き合わせてすみません』と相手を見詰めさりげなく手を取り。
『…あの、俺……実は先輩のことが………』
(後輩は泣きそうな顔で何か言いかけるも言葉を飲み込み、なんでもないと首を横に振って『あの、…雰囲気出すために名前で呼んでもいいですか?』と上目遣いで尋ねて。
>露木
( 後輩がシャワーを浴びてる頃、続く嫌がらせのメールに溜息を漏らすも写真を目にした途端心は重くなり。
兄と仲良さげにする様子、自分ならきっと抵抗されてたのだろうなと思った途端自分はまた相手に無理をさせてるだけなのではないだろうかと不安が過り。
しかし相手が自分を好きだと言ってくれたのを思い出せばそんな事はないと言い聞かせ。
後輩がシャワーを終えたのを横目で確認しては自分は先にシャワーを借りてた為まだ僅かに濡れた髪を雑に拭く。
“名前で呼んで良いか”と言う問い掛けに「良いよ」と短く返せば後輩を押し倒し首筋に顔を埋める。
相手に良く似た藍色の髪、段々と理性が無くなっていけば後輩は相手と重なってしまっていて。
( 数時間後の夕食を終え街に出た頃、兄がしっかりと相手の手を取りながら『楽しかったね-』と。
『今日は俺の部屋に泊まってったら??こんな時間だし明日大学あるんなら俺の服とか貸すよ』
( 相手の髪を弄りながら相手の反応を待ってた所、丁度帰りの自分と後輩を見付けては顔を顰める。
自分は相手の姿を見付けた途端、僅かな罪悪感に苛まれつつ後輩に少し離れる様に耳打ちに絡められてた腕を離して貰って。
「よ、…よぉ。…こんな時間まで綸と遊んでたのか」
『そう言う繿は何してたのかな』
「勉強教えてた、…こいつの学年明日小テストなんだと」
( 咄嗟に嘘を並べては後輩がどことなく身体が怠そうにしてるのが目に入り「…じゃあ俺行くから、…気を付けて帰れよ」と言い残し場を去ろうとして。
>桐崎
(兄からの泊まりの誘いを断り絡まる腕を引き剥がそうとしたところばったり相手と出会しては男子高生の怠そうな姿に目を見張る。
何があったか想像した瞬間、ズシリと胸に重りが伸し掛かったような感覚になり自分の胸元を握りしめて。
全て自分が相手を遠ざけたのが悪い…。
分かってはいるが触れ合うことに恐怖を感じそれが醜い行為だと考える今、相手の不安や気持ちを汲む余裕はなく…。
「………汚い」
(去り行く相手の背中に震える声で呟いては拳をグッと握り「…わざわざホテルで勉強か?…勉強熱心なんだな」と皮肉めいた笑みを浮かべ逃げるようにその場を立ち去って。
その後すぐ相手よりも先に動いた兄が追っ掛けてきては『やっぱり俺の部屋に泊まってよ』と大学寮に連れていかれ。
(兄の部屋にて先ほどの自分の言動を悔いてはベッドに腰掛け項垂れていて。
「……俺、なんであんなこと……、本当に勉強教えてただけかもしれないのに…」
『……菊は何で繿に身体触らせないの?』
「………怖いんだ。触れられるたび身体だけ求められてる気がして…気持ちが離れてくみたいで…」
『でもそれってちょっと繿に失礼じゃない?…信用してないってことでしょ?』
「そんなことない!ちゃんと……ちゃんと愛してる」
(核心を突くような言葉に思わず強く否定しては顔を俯かせ唇を噛みしめる。
困ったように笑う兄が『御茶入れてくるね』とその場を離れる気配を感じては、おずおずと携帯を取り出し《さっきは変なこと言って御免。早とちりって俺の悪い癖だよな。…明日朝食一緒に食べてくれるか?》と相手宛にメールを送って。
(その頃、男子高生も相手にメールを送っており《今日は迷惑かけてすみません。でもすごく良かったです。…繿さんに想いの人がいるのは分かってます。でももし俺が必要になったらいつでも言ってください。…あと“はじめは”友達としてでいいので仲良くして貰っていいですか?》と。
>露木
( 激しい後悔に苛まれながら後輩を寮まで送り届け自分も自室へと向かう。
どんな理由があろうとも相手の身代わりを作るだなんて最低な行為、相手に対しても後輩に対しても酷い事をしてしまったと。
別れを切り出されても文句は言えないなと落ち込んでた所で後輩からのメールに気付く。
《俺こそ何かごめん。友達になるのは別に構わない、しっかり休めよ》
( 利用しておいて突き放すのはあまりにも身勝手な気がしては上記のメールを送り。
続いて再び受信音が鳴ればまた後輩かと思うも相手の名前が画面に写りバッと携帯を取る。
その内容に悪いのは自分なのに、と胸を痛めるも先程の相手の冷ややかな笑みが脳裏を過る。
___嫌われたのかもしれない、もしかしたら別れの言葉を告げられるのかもしれない。
そう思うと相手と普通に話せる気にもなれず《俺の方こそごめん。明日は多分あんた綸に誘われるだろ??偶には二人でゆっくりしろよ》と。
もしかしたら相手が唯一落ち着けるのは兄なのかもしれないと。
色々な意味を含めた謝罪、もし次相手と二人だけで話せる機会が出来たならなぜ後輩に手を掛けたかなど正直に話そうと。
しかしもし“汚い”と言った言葉が相手の本心なら、誰にでも尻尾を振る様な犬と同じ。
勝手な考えを浮かべモヤモヤとしてはベッドに横になり。
( 翌日、食堂へ行こうと青年が誘って来たが食堂には相手も居るのだろうと。
だがしかし相手が居るのならどうせ兄も居る、身勝手な嫉妬心を抱えながら青年と共に食堂へと向かった所、昨夜の後輩がまだ辛そうな様子でいて。
後輩の友達が心配そうに声を掛けてた所、ズカズカとそちらに駆け寄るなり「………大丈夫かよ。………無理はすんな」と罪悪感からの言葉を残して。
>桐崎
(翌日、相手からのメールにあんな態度を取ってしまったから愛想つかされたのかと思い込み心痛めつつ兄と食堂へ向かう。
食堂に着くといつもの癖でつい相手の姿を探しては昨夜の男子高生と話す姿が目にとまり、また胸がチクリと痛んで。
『菊、放っといて行こう。俺と二人でゆっくりしろって言われたんでしょ』
「………」
(兄に手を引かれそのまま流されてしまっては心此処に在らずで兄が抱き着いてきても引き剥がす気力すらおきずに。
それでも食堂を出て行く相手の背中が見えてはこのまま疎遠になってしまう気がして、慌てて後を追うと相手の手を掴んで。
「……その、昨日はほんと御免…、勝手に疑って酷いこと言った。…ちゃんと謝りたいから二人で話す時間作って欲しい」
(相手の気も知らずに相手の嘘を信じることにしては一度ギュッと手を握ってから「…じゃあ返事待ってるから。…授業頑張ってな」と小さく微笑みそっと手を離して兄の元へ戻り。
(食後、一度アパートに戻ってからバイトへ向かってはいつも通り仕事をこなすも暫くするとあの男子学生達が来店してきて、店内を巡回していたところ突如肩を組まれ。
『よう露木。今日も朝から綸と仲良くイチャついてたじゃん』
『あ、そうだ。いいこと教えてやるよ。昨日桐崎が後輩とホテルに入ってくとこ見たぜ』
「……小テストあるから勉強教えてたって…」
『は?お前馬鹿なの。ホテルですることなんて一つしかないだろ。それにその後輩の学年、今日小テストなんてないとよ』
『それに今朝の後輩の辛そうなところ見ただろ?あれは絶対やってるだろ』
『あー、でもお前は慣れてるからそう言う感覚もう忘れちゃったか』
「…………用はそれだけか。だったら帰れ」
『うわぁ、お客様に“帰れ”とか言っていいの?』
(ケラケラ笑い言うだけ言って男子学生達が去って行っては、胸を締め付けるような痛みが残り無意識に親指の先を噛む。
相手を信じたい気持ちが揺らぐが全ては相手と話し合ってからだと言い聞かせバイトに集中するようにして。
>露木
( 相手からの“話がしたい”と言う頼みに複雑そうな顔をしながらそれでも愛する相手からの頼みを無下に出来る筈も無くバイトも早めに切り上げる。
早目の時間から相手のバイト先の前にて佇んでた所、漸く相手の姿が見えては遠慮がちに駆け寄り。
自販機でホットのカフェオレを購入し寒いだろうと相手に押し付けてはさり気なく手を取ろうとするもやはり避けられる様に終わってしまい。
自分の部屋へと来るなりいつもの距離感を保ち腰を下ろしてはゆっくり口を開く。
「分かってる、…別れるって言いに来たんだろ??………昨日の事なら………ごめん………。俺……………あの後輩をあんたの身代わりにした………」
視線を下げたまま深く頭を下げるもこれで相手とも終わりなのかと思うと言葉は止まらず。
「………あんたは男に対してトラウマ持ってて…怖いんだろうなって………だから耐えようって思ってた。………でもさ、…っ…なんで、なんで綸には平気なんだよ!!!」
( 咄嗟に本音を吐き出してしまってはいつの間にか相手を壁際まで追い込んでいて。
その相手の表情に胸が痛み相手を挟み込む様に壁に着いていた手を離しては眉を下げて。
後輩の藍色の髪に惹かれたのも事実、背を向けたその姿は相手と良く似ており自分の欲を掻き立てた。
相手を落ち着かせる様にゆっくりと距離を離しては「………綸のが…落ち着くんだろ??…」
( ポツリと零し相手に手を伸ばすも見事な思い違いをしたまままた怖がらせてしまうかと手を戻して。
「………あんただけを、愛してるんだ。………だからあんたが俺の事怖くて…触れられるのも嫌なら………距離を置きたいのなら従う」
( 意思を決めた瞳でしっかりと見詰めては不意に後輩からの着信がなるも目もくれずにいて。
>桐崎
(寒い中待っていてくれた相手からカフェオレを受け取り小声で礼を言うも、やはり微妙な距離感は縮められず相手の部屋まで来る。
そして相手から紡がれる真実に“嘘”を信じようとしていただけに始めショックを受けるも相手の辛そうな態度や真剣さは身にしみて伝わり相手を酷く苦しめていた事を漸く理解して。
相手のまっすぐな瞳に自分も本心を曝け出さねばと小さく息を吸うも後輩からの着信音に阻まれては開きかけた口を閉ざし、着信音が鳴り止んでも暫く黙り込む。
それでも意を決すると相手の瞳を見返し、静かにゆっくりと兄にも話した悩みを告白して。
「…あんたのことが怖いなんて思わない。むしろずっと傍にいたいくらい愛してる。でも…あんたに触れられる度に頭の中に彼奴等の言葉が響いて“身売りだ”…“遊び人”だって言われてるみたいで……、行為そのものが怖いんだ。…愛を感じない」
(相手にどれ程失礼なことを言っているか、其れを考えると自分が最低な人間に思えてグッと拳を静かに握りしめ。
「………綸が平気なのは…多分…あんたほど意識してないから。……あんたは俺の中ですごく大きな存在で、意識すればするほど…空回りするみたいで……」
(自分でも不明瞭な気持ち。こんなので納得してくれる筈もないがそう簡単に恐怖や不安を乗り越えられそうになく。
「……傍に、…いるだけじゃ駄目か?……………でもそれだけじゃ俺に魅力なんてないか。……だから他の男と寝たんだよな…。気まで遣わせて……」
(結局身体を抜いた自分には何も残らないのかと悲観的になるも相手の愛が本心なら手放したくなくゆっくりと相手の腕に手を伸ばし自分から抱き寄せて。
「………俺も触れたくないわけじゃないんだ。だからあんたが望むならそれに応えたい。それに、多分ここを乗り越えないとずっとこのままな気がするから……」
(何が置いてきぼりになり離れて行く感覚に身体が震えだすも其れを必死に堪えてるように相手を強く抱き締めて。
>露木
( 相手から抱き着かれては一瞬固まるも、僅かな震えを感じ取り相手なりに必死に応えてくれ様としてるのを感じ取り優しく包む様に抱き締め返し。
だがしかし恐怖を煽らない様にと直ぐに身を離しては落ち着いた様に微かな微笑みを浮かべ相手の頭をポン、と撫で。
相手なりに苦しんでたのだと漸く理解しては浅はかな自分の行動を激しく悔やんで。
「…“別れて欲しい”って言われるのかと思ったから…正直安心した。………本当にごめんな。…その…よく分かった。………傍に居るだけで構わない、あんたが慣れるまで待つよ。………我儘だけど…あんたとは離れたくない」
( 真面目な表情で思いを伝えては改めて後輩の事を話さなければとゆっくり口を開く。
「…俺はあんたが身体だけなんて思ってない、…あんたその者が好きなんだから。………実は嫉妬してくれてたりする所も早とちりな所も全部愛してる。……………あの後輩の事なんだけど、………後姿…あんたと瓜二つでさ。…こんな事言ったら最低なんだけど………嫌われてると思ったからやけになったって事もある」
( 包み隠さず全てを話した所で「あんたが求めてくれる日まで待つ」としっかり告げて。
( 話し込んでた事によりすっかり夜になってしまっては相手に泊まる様に言い自分のパーカーなどを手渡しては入浴を済ませる。
一定の距離を取りベッドへと寝そべるも好きな存在が無防備に隣に寝ている状況。
先程“求めてくれる日まで待つ”だなんて恰好付けた事を言ってしまった自分を軽く悔やんだりしながらクルリと相手に背を向けては理性を保とうと。
>桐崎
(全てを話してくれる相手に安心してその優しさに自分は随分甘えてしまってるなと申し訳無く思うも今はその優しさが心地よく素直に話して良かったと小さく微笑みを零す。
胸の重りが消えてスッと軽くなったような気持ちになれば相手の隣ですぐに眠りに落ち、怖いと言ったくせに背を向ける相手に擦り寄っては額を相手の肩辺りに当て「……繿」とゴニョゴニョ寝言を言っていて。
(翌日すっきりと目覚めの良い朝を迎えてはグッと伸びをして少し長い袖をまくっては洗面などを済ませ、起きてきた相手と共に食堂へ向かって。
待ち構えていたかの如く寄ってきた兄を抱き付かれる前に避けては兄があれという顔をして。
『なんだ。もう仲直りしちゃったんだ。ていうかそれ繿の服じゃん』
『いいなあ、兄さん、俺にも服貸してよ。むしろ頂戴。寝間着にするから。いい夢見れるだろうなぁ』
(完全に貰う気満々の青年は相手の腕を引いて隣に並ぶよう腰掛けては『兄さん暖かい』と密着して。
とても自分には出来そうにない行動だと寝ていた時のことは覚えていないためやや呆れ気味に見詰めつつ自分は相手の正面に座って。
その時、あの男子高生の友人がどこか怒った様子で此方に近付いてきて相手と自分を冷たく見下して。
『良いご身分ですね。人のダチ泣かせておいて公共の場で馴れ合いですか。よく出来ますよね。……彼奴もなんでこんな男好きになったんだか』
(小声で毒づき再び口を開こうとしたところ男子高生当人が慌てて友人を止めに来て。
『ちょっとやめてよ。俺が頼んだことだから先輩たちは悪くないよ』
『は?何言ってんの。先輩はお前の身体を弄んだんよ。しかも元サヤと寄り戻った瞬間電話無視だからな。お前それで昨日めっちゃ泣いてたじゃん』
『だから…いいんだって…俺が勝手に好意寄せてるだけだから…』
『………兎に角、俺は桐崎先輩も露木先輩も気に入らねぇ。……俺、知ってるんですよ。桐崎先輩が煙草吸っててバイトしてる不良ってことも露木先輩がたらしだってことも。……そんな汚い先輩達に此奴は汚されたんです。最後まで責任取ってくださいよ。此奴だけこんな想いするなんて不公平だ。だから先輩たち、別れてください』
『ちょ、ちょっと、何めちゃくちゃ言ってるの』
『…俺、本気ですから。…………ていうか先輩たち全然お似合いじゃないですよ。隣にいる“お友達”のが本当はいいんじゃないですか』
(冷たく嫌味を吐き捨ててはペコペコ頭を下げる男子高生の手を引き食堂を出て行ってしまい、あまりの剣幕と勢いに呆気に取られては数秒固まってしまい。
『なんかすごい子だね。…あれ絶対あの子のこと好きだからあんなに怒ってるんでしょ。そこまで悪い子ではなさそうだけど…厄介なことになる前にちゃんと片さないとね。あーいう子は好きな子の事になると変に突っ走るタイプだから』
(兄はどこか冷静にツラツラ並べては相手のヨーグルトをスプーンですくい『繿ー、お口がとまってますよー』と嫌がらせのごとく口の中入れようと唇を突いて。
>露木
( ぼうっとしてた所、ヨーグルトを突き渡されては咄嗟に顔を背け兄をキッと睨み付ける。
自分の所為で相手まで悪く言われてしまった。
身体だけの関係のつもりで後輩が好意を寄せてくれてるなんて知らなかった。
自分はつくづく最低だな、と考えてはさっさと朝食を済ませて。
( 授業に出る気にもなれず、まだ寒い屋上でサボってた所不意に扉が開いては後輩が立っていて。
申し訳無さそうな表情でこちらに来るなり土下座する勢いで深く頭を下げて来て。
『先輩…本当にごめんなさい!!!さっきの…俺の幼馴染みで…』
「なんであんたが謝るんだよ。…良い幼馴染みを持ったな」
『でも…俺が勝手に』
「利用した俺が悪いんだ、あんたは何も悪くない」
( 咥えてた煙草を踏み付けるのを後輩はぼんやりと見詰めながら『それ、美味しいですか??』と。
緩く微笑み首を横にした所で後輩をジッと見詰めるとその肩を掴む。
「本当に…悪かった」
『………それは…どういう意味の…謝罪でしょうか』
「……………」
( 口を開き掛けた所で後輩の幼馴染みが授業中にも関わらず入って来ては自分を突き飛ばし後輩を庇う様に前に立っていて。
『まだこいつにちょっかい出すんですか』
『ち…違うよ、先輩は謝ってくれてただけで…』
『は??…謝って済む事なんですか』
( 幼馴染みが後輩を思う気持ちは強く伝わり、それと共に自分の行動を悔いると一番使いたく無かった手だが…と能力を解放しようと意識を集中する。
直ぐに能力に頼る悪い癖、この大嫌いな能力に自分は直ぐに頼っている。
「…なら、あんた達の気が済むまで俺を好きにしなよ。殴っても良いし蹴っても構わない」
『………先輩何言って』
「そこの幼馴染みとやら、あんたそいつの事好きなんだろ??」
『…は??………違っ…黙れ!!!』
「あのさ、一時期流れた噂知ってるだろ??“桐崎は化物だ”って噂」
( “意味が分からない”と言う表情をした二人を見詰めては緩く微笑みゆっくり能力を解放していく。
後輩が目を見開き幼馴染みに抱き着く様にしがみつくのと共に幼馴染みが硬直してる様子が分かり。
最近思うようにコントロール出来てきたなと思いつつ人姿に戻ると距離を取りながら改めて後輩に深く頭を下げる。
『………なんで…そんな風になれる事教えてくれたんですか??』
「…金稼げるよ、上手く俺を利用してくれても良いし」
( ヘラリと笑みを浮かべた瞬間幼馴染みが自分の胸倉を掴んで来て。
『そんな事…する訳無いじゃないですか!!!………もう、良いです』
( 胸倉を掴んだ際に僅かに覗いた傷を見ては眉を潜め、力無く手を離しては後輩と共に屋上を出て行って。
また自分を恐れる者を増やしてしまったのだろうかと自嘲の笑みを浮かべつつ新しい煙草に火を付けて。
>桐崎
(男子高生達が屋上から去ってすぐ、タイミングを見計らったかのように男子学生達が相手を囲んでは嫌な笑みを浮かべ。
『あれ、煙草吸っていいのかな?』
『っていうか下級生泣かせるとか最悪だな。彼奴等震えてたぜ』
『まあ“化物”見たから当然だろ』
『…てかさ、何普通に露木とより戻してんの?お前、露木がどれだけ無理してるか分かってねぇだろ』
(一人が相手を壁際に追いやりドンと手をついては『彼奴、最後までお前の“嘘”信じてたんぜ。其れを裏切られたんだから相当ショックだっただろうな。しかも“身体”のことで悩んでたのに別の男と寝られちゃたまんねぇよな』と好き勝手言って嘲笑し。
『露木もさ、本当は“化物”が怖くて反抗出来ないだけなんじゃねぇの?』
(グイッと顔を近づけ相手の顎をもたげては『気色悪い瞳』と蔑んで。
(食堂での一件を気にしつつ一度部屋に戻り準備をしてからバイト先へ向かうところ、高校校舎付近で授業中のはずの男子高生達と鉢合わせ先程のこともありややぎこちなく笑み。
「……授業はどうした?体調悪い?」
『言うことそれだけですか。………露木先輩がちゃんとしてないから此奴が傷付く羽目になったんですよ』
「…ごめ…『口先だけの謝罪はいりません。…っていうか本当桐崎先輩って最低ですね』
「…は?」
『だって金が稼げるから俺を利用しろって言ったんですよ。要するにそれって俺達がそう言う汚い人間だって侮辱してるってことですよね。……でももういいです。次此奴を傷付けるようなことがあれば絶対許しませんから』
(どこか震えを堪えて威勢を張る幼馴染が此方をキッと睨み、戸惑う男子高生の手を引き去って行くのを見送っては二人が来た方角、屋上を見上げて。
(相手はいるだろうかと屋上へと足を向けるとそこに男子学生の姿は既に無く落ち込んだ様子の相手がいて何も言わずに隣に腰掛けて。
「……彼奴等…後輩に能力見せたのか?……さっきさ下で偶然会ってちょっと話し聞いたんだ」
(学生達に絡まれたことは知らず、どこか穏やかな声色で話しては足先を見ながら「……ありがとな」と小さく呟き「…彼奴等と俺のためにしてくれたんだろ?…わざと嫌われるような真似してさ…。…違った?」と相手の横顔を見詰め。
そして地面に手をついて相手の正面に来るよう身体の向きを変えては両頬を包み込み額をコツンと合わせ。
「……本当にボコられて利用されてたらどうするんだよ。…そんなことされたら俺があの後輩に何するかわかんない」
(小声で言葉を紡いではまだ精神的恐怖から微かに震える手で相手を優しく抱き締め、柔らかな銀髪をあやすようにふわりと撫でて。
>露木
( 男子学生の言葉が胸に刺さりとことん自分を嫌ってるだな、なんて呑気な考えを浮かべては次に現れた相手に一瞬身構える。
優しい声色と慰める様な手に心が落ち着きを取り戻すが僅かに震えてるのを感じ取りゆっくり身を離しては緩く微笑んで。
男子学生達の言葉を深く考えない様にと心掛けつつ「バイト先まで送る」と小さく言えば立ち上がり。
( 微妙な距離感を守りながら相手をバイト先まで送り届けた後、自分もバイト先へと向かえば入口にあの男子学生がたむろしていて。
無表情で通り過ぎようとした所不意に不意に腕を引かれては男子学生の中に居た懐かしい顔の一人に目が行き。
中学の頃の顔見知りと言った所か、何かと自分の悪口を言ってたのを思い出せば顔を顰める。
「何」
『すっげぇ面白い事聞いたんだよ。お前真希ちゃんと会う前と別れた後ってすげぇ浮気症だったんだって』
「は??…いつの話??」
『しらばっくれないでよ。桐崎君の悪い噂なら結構耳にしてるんだから』
「………悪いけど何言われても今は露木だけだから」
『性分ってのはそう簡単に変わんねぇんだよ、あの後輩とも浮気のつもりだったとか??』
「そんなんじゃない」
『ま、浮気症と身売りなら案外お似合いだったりしてな』
( 男子学生の言葉にカッとし殴り掛かりそうになるのを寸の所で堪えては「バイトの時間だから退けよ」と冷たく言い残し肩にドンッとぶつかるのを気に止めず店内へと入って行って。
イライラを顕にした一人の男は携帯を取り出しバイト中の相手の携帯に留守電を入れて。
『あ-もしもし露木??金払うからまた相手でもしてくんない??最近そっちに疎いからさ』
( 大声で“身売り”と言う言葉を突き付ける様な言い方をしては電話を切り近くのゴミ箱を蹴り上げ。
>桐崎
(夕方、バイトを終えて着替えを済ませては相手にでもメールしようとしたところ男子学生からの留守電を聞いて眉を顰める。
無視しようとするが其れを咎められては面倒だと思い男に電話を掛け「…悪いけどそういうのもうやってないから。…他あたってくれ」と通話を切る。
欲を満たすだけなら自分じゃなくても良いし此れ以上は干渉してこないだろうと軽く考えては相手宛に《バイト終わったら連絡して。そっち迎えに行くから》とメールを送り時間つぶしのために付近の雑貨屋に入って。
(雑貨屋にて相手に似合いそうなリストバンドを見つけ買おうか迷っているところ、突如背中を押され振り返ると幼馴染がいて。
「…ハナか。…バイト帰り?」
『うん!…それ、もしかして桐崎君に?』
「そんなとこ。…なんか貰ってばっかだし…、喜ぶ顔みたいなって。彼奴、笑うと意外と可愛くて……ッ、何でもない。言わせるなよ」
『いや菊が勝手に喋ったんだし。…あー、顔赤くなってるぅ』
(指をさしてからかってくる幼馴染の額を軽く小突きつつ、どさくさでリストバンドを購入しては今日はマンションに泊まるという幼馴染を近くまで送って。
『じゃあ…桐崎君と仲良くね。……絶対よ。…絶対だからね!』
「………うん?……じゃあ、おやすみ」
(念押ししてくる幼馴染に首を傾げつつ軽く手を振りその場を立ち去っては、近くのコンビニで温かい缶コーヒーを二本買い相手のバイト先近くで相手の分の缶コーヒーをポケットに入れ、自分は一足先に飲みつつ出てくるのを待って。
>露木
( バイトを終え店を出た所で相手に出会してはコーヒーを渡され礼を言い受け取る。
僅かに触れた手をぼんやりと見詰めては何気無く手を取り繋いでみたりして。
相手の恐怖を掻き立てない様にと直ぐに離すもどこか嬉しそうに微笑んでは「ま、これも一歩全身だよな」と呟いて。
( 新発売のプリンが出るから寄って欲しいとクラスメートの女子に言われてたのを思い出し相手と共にコンビニへと入っては取って置いてくれてた様で袋に入ったプリンを二つ受け取る。
『はい、人気だったから無くなりそうで取って置いたの。言われてた通り二つ分ね』
「ん、悪いな。どうも」
( 撒けて貰い代金をクラスメートに手渡してはコンビニを後にし相手と共に寮へ向かおうとした所で先程の男子学生達に囲まれてしまい。
またグズグズと嫌味を言われるのだろうかと眉を寄せた所で数枚の写真を見せられ。
『露木も色んな男に媚売ってたんだな-、これとか明らかに露木から誘ってるじゃん』
( ゲラゲラと笑いながらバラ撒かれた写真をさっさと拾い上げては人目に触れる前にとポケットからライターを取り出し燃やして。
「こんな事して楽しいのか、餓鬼だな」
( 冷ややかに告げるも男子学生の様子は変わらず『あ-あ、折角写真仕入れたのによ。…まぁいいや、その内露木にもプレゼント持ってきてやるから』と意味の分からない事を言い残し去って行って。
>桐崎
(写真の中の汚れた自分の姿に目を逸らすも、手早く写真を燃やし男達に立ち向かう相手を見ては思わず見惚れる。
しかし申し訳ない気持ちと共にまた言いようのない不安がぶり返しては握られた手をそっと離し「ごめん、ありがとう」と小さく微笑み、相手と間をあけて歩いて。
(相手の部屋にてプリンを受け取り口に運びつつ笑顔を心がけるが情けなくも男達の言葉を気にしていて、一度プリンを膝の上に置くと少し表情を曇らせて。
「………写真のことだけど…、確かに俺から誘ったことはあったけど…気持ちがあったことはあんた以外一度もない。…いつも…嫌悪感しかなかった…」
(ポツリと本心を告げるとプリンをベッド脇に置き、先程離してしまった相手の手を両手で包んで握り直して。
「…でもあんたは全然嫌じゃない。………あのさ、我慢することないからな。必要になったら言って欲しい。…絶対あり得ないけどまた他の奴に手出されたら耐えられないし。なんだったら少しくらい痛くされたほうがずっと良い」
(ジッと相手を見詰め言うもなにげに恥ずかしいこと言っているなと自覚しては視線を横に流す。
そこで思い出したように一度ベッドから降りて鞄の中から先程雑貨屋で買った包みに入ったリストバンドを差し出して。
「これ…、あんたに似合うと思って。ちゃんと付けろよ。一応、あんたが俺のものって証だから」
(束縛じみたことをやや照れたように述べてはその空気に耐えられず「って…あんたはものじゃないか」と小さく笑い残っていたプリンを食べ始め。
>露木
( 自室にて、相手からの言葉に僅かに表情を緩めては「疑ったりしてねぇよ。ちゃんと信じてる」と小さく告げて。
続く相手の“他の奴に手出されたら耐えられないし”と言う言葉に改めて相手の気持ちを感じ取り僅かに照れながら俯けば小さく微笑み。
突如渡されたリストバンドを驚いた様に見詰めてはその言葉と共に表情が緩み。
いつも着けてた物を外し相手から貰ったリストバンドを着けてみたりしては「ありがとな。俺は“あんたのもの”だからちゃんと着けとくよ」と。
こんなに人の事を思ったのは初めてなのでは無いだろうかと思う程の温もりを感じては、触れられるの事に恐怖を感じる相手にもしっかりと向き合おうと。
いつもの様に風呂を終えた後、同じベッドの上でお決まりの距離感を守ったまま他愛も無い話をする。
寝てる時はかなり無防備な相手、向かい合って話をしてた体制のまま何気無く相手の頬に触れ。
「…大丈夫だよ、触れるだけだ」
( 穏やかに微笑んではゆっくり手を戻し今日だけでかなり前進した様に思え。
「気付いてた??今日いつもより長くあんたと手繋いで………」と言い掛けた所で恥ずかしさが込み上げ視線を逸らす。
流石に子供じみてたなと思えば羞恥を誤魔化す様に布団に入って。
( 翌日、着替えなどを済ませた所で扉が叩かれる音が耳に入っては青年だろうかと扉を開ける。
しかしそこに居たのは男子学生達で一気に表情を強ばらせては用件を聞いて。
『そんなおっかない顔すんなっての。俺達露木にプレゼント持って来ただけだから』
「露木に通す訳ねぇだろ、帰れ」
『あ、いんじゃん。お-い露木、これやるよ』
( 嫌な笑顔を浮かべたまま小さな封筒を投げ渡した所、高校に入ってから金を稼ぐ為に良くない付き合いをしてた女達との写真が散らかり。
それを男子学生達はさも最近の事の様に話しては『やっぱ露木じゃ物足りねぇんだな』と嫌味をぶつけ去って行ってしまい。
無言で写真を拾い上げてはゴミ箱へと投げ捨て。
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