xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>桐崎
(ストラップを受け取り言われた言葉に擽ったげに小さく微笑んでは「ありがとう、俺も好きだよ」と答え、まだ一緒にいたいと思うもあまり引き止めてもしつこいかと玄関口まで見送る。
そこで何となく不安になり「また…会えるよな?」と相手をジッと見詰めては小さく首を横に振り「……旅行の話、考えておいてくれると嬉しい。またメールするから」とまだ距離感に戸惑いながら微笑み、また会えればと自分のマフラーを相手の首にふわりと巻き「おやすみ、気をつけてな」と軽く額に口付けて。
(翌日、目を覚ましては携帯につくストラップが目に入り小さく微笑む。
あたたかい布団の中からでると身支度を済ませ、教授から卒論の評価を受け取るために大学へと足を向けて。
教務課の扉を叩くとすぐに教授が現れてA4封筒を渡され『期限は過ぎていたが無事院に進めそうだぞ。あとは手続きだけだから早めにな』と。
とりあえずその場では笑顔で頷き、大学を離れては相手はいるだろうかと高校スペースに顔を覗かせると何やら女子の大群がそれぞれ綺麗な包みを持って相手に群がって『私が先に渡すのよ!』『想い込めて作ったから感想聞かせてね』と黄色い声で騒いでおり。
始め、何事かと思うも今日の日付と既に相手のロッカーと机の上に勝手に積み上げられる甘い産物達にあーなるほどと思えば、若干の嫉妬を抱きつつ邪魔になるだろうとひとまず退散して。
(昼、共同スペースで教授に渡された資料をぼんやり眺めていると兄が突如顔を覗かせ手を差し出してきて『菊、チョコ頂戴』と。
は?と思わず顔を顰めては、兄が片手に持つ紙袋いっぱいの包みを呆れ気味に見て。
「…もう沢山持ってるだろ」
『これは…子どもたちにでも上げようかな』
「……………」
『そう言えば道場はいつ行くの?俺も行きたいんだけど』
「…明日かな」
『あれ、なんか機嫌悪い?』
「……いや、別に」
(目を逸らしては先程相手を見た時明らかに本気の本命を思わしき女子高生が相手に手紙を渡すのを見逃さなかった。
今頃呼び出しに答えているのだろうなと嫉妬を抱きつつ、それとはまた違う複雑で微妙な気持ちでいては小さく溜息を吐き、いまだ差し出される兄の手に持ち合わせのガムを置いて。
>露木
( 翌日、教室に充満する甘い香りに眉を寄せるもその理由さえ分からずに渡された箱をきょとんと見詰める。
考え込む様な表情をするのに一人の女子生徒が今日の日付を言ったのに漸く理解して。
丁寧に礼を言い、相手にも何か渡した方が良いだろうかと思うもののまさか自分が料理など出来る筈も無く。
大学には来てるのだろうか、相手の姿を探し大学校舎へと来た所で丁度相手にチョコを渡してる女子生徒達が見えては行ける雰囲気でも無く渋々諦めて。
大学校舎からの帰り道、ばったりと兄に出会しては兄の手にある紙袋に目をやる。
『菊に貰っちゃった』
( 嬉しそうにガムを見せて来る兄に単純だな、と思ってた所一人の女子学生が兄の腕を引いては目前でチョコを手渡して居て。
『くれるの??ありがと-』
『い…いえ!!!頑張ったんで…良ければ食べて下さい』
( パタパタと去って行く女子学生の背中を見詰めながら呼び出されてた事を思い出し慌てて屋上へと向かう。
自分と相手は付き合ってると言えるのだろうか、モヤモヤとしたのを抱えながら屋上への階段を登って。
( 屋上にて、渡された箱に丁寧に礼を言い話の途中にも関わらずにさっさと屋上を後にしては女子学生達に相手を取られまいと《昼休み空いてる??飯一緒に食わない??》とメールして。
授業を抜け出し学校の向かいのコンビニで立ち読みをしてた所、店頭に並べられるチョコが目に入っては何気無くそれを見詰める。
そこでふとクラスの女子が慌ててチョコを数個買いに来てはばったりと出会してしまい。
『繿君逆チョコ??誰に??』
「別に誰でも良いだろ」
『え-気になる』
「あんたは誰にやんの」
『あ、私はね-友達と-………その、露木先輩』
( 恥ずかしそうに俯く女子生徒に「ふぅん」と短く返事をしては結局手に持ってたチョコを買ってしまって。
>桐崎
(渡されるチョコを義理のつもりで受け取りつつ相手からのメールに気が付くと早々に人気の無い場所に行き《俺も一緒に食べたいって思ってた。二人で落ち着いて食べたいから大学の研究室で食べないか?あんたの周り今日女子凄そうだし》とメールを返信して。
(昼休み、相手を出迎えるため高校校舎へ向かう途中、なぜか妹のナツが小走りで駆け寄って来ては『兄さん良かった。繿君と仲直りしたんだね』と微笑んで。
『そうだ兄さん、毎年恒例の家族チョコ作って持ってきたよ。あとこれは繿君の分。直接渡したかったけどちょっと用事があって。あ、あとハナが呼んでたから顔出して上げてね』
(同じ包みの小さな四角い箱を押し渡され足早に去っていく妹の背中を“あんなにはしゃいで大丈夫か…、そういえば本命いるのかな”などと過保護に心配しては首を横に振り、チョコを鞄にしまって校舎の中へ入って。
(三年の教室のすぐ横の階段踊り場にて、ぼんやり窓から見える景色を眺めながら授業終了を告げるチャイムをいまかと待つ。
ふと先程妹から貰った“菊へ”と記された自分宛ての包みを取り出しては、どの女子から貰うよりも嬉しいかもと変態なこと考えながら、相手に会うのが楽しみなこともあり無意識に小さく微笑んでいて。
>露木
( 漸く昼休みになりやや急ぎ足で階段を降りた所で相手の姿が目に入り駆け寄ろうとするも相手がチョコの包みを大切そうに見詰めるのが伺えては一瞬足を止め。
妹からだとも知らずに“誰から貰ったんだろうか”なんて疑いに似た感情を抱えてしまっては数秒間項垂れるも何も無い素振りで相手に駆け寄って。
( 研究室にて、教室で青年に貰ったチョコを齧りながら相手をジッと見詰めては「……………何個貰ったんだよ」とさり気なく聞いてみたりして。
先程のクラスメートも相手に渡す様子だったのを思い出し僅かに沸き上がる嫉妬を隠しては昼食にと買ってたコンビニのパンやらを取り出して。
「……………さっきの、あんたの本命とか??…チョコ見てニヤけてたけど…」
( 妹からのチョコを勘違いしたままどこか棘のある言い方をしてしまいハッとしてはこれでは嫉妬心丸出しでは無いかと。
ペットボトルを取ろうと鞄を漁った所で相手へと買ったチョコがコトリと音を立てて落ちては慌ててそれを拾う。
渡すタイミングが今ではおかしいだろうか、とか流石に男からなんて気分悪くするだろうか、と色んな考えがゴチャゴチャと過ぎって。
しかしどうせ昨日相手に思いを伝えたのだしと吹っ切れては相手に箱を押し付けて。
「…やるよ。…あ、でもあんたすっごい数のチョコ貰ってたし流石にくどいか」
( 照れ隠しにぎこちなく笑みを作っては「………放課後も…忙しいんだろ??………さっき俺のクラスメートも放課後あんた呼び出すって言ってたし」と。
ペットボトルのミネラルウォーターを一気に飲んではふうっと息を付き「………あのさ、告白されたら…何て答えんの??」と聞いていて。
>桐崎
(研究室にて貰ったチョコの数を聞かれては、それはこっちが聞きたいと相手の膨らんだ鞄をチラ見して軽く見返しつつ、にやけていたのは無意識だったためきょとんとして。
しかし直ぐに妹のチョコのことが浮かんでは見られていたことが恥ずかしく、やや動揺したように目線を泳がせ「…あ、あれは……ナツからだよ。毎年、貰ってて……」と羞恥でどうにかなりそうになりながら答えては鞄から“繿くんへ”と記された包みを相手に押し付け「これ、あんたの分。…心して受け取れよ」とぶっきらぼうに述べ。
この羞恥をどこへやろうかと思っていたところ、思い掛けない相手からのチョコに再びきょとんとするも、相手の照れた表情見て嬉しさが込み上げてきては自然と笑顔が零れ「ありがと。大事に食べるよ。あんたのは特別だからくどくない」と先ほどの羞恥はどこへやら甘い台詞を恥ずかしげもなく述べて。
上機嫌のまま相手から貰ったチョコに視線を落としていては、続く突然の質問に本日3度目となるきょとん顔になり、その真面目な表情にこちらも真剣に考え。
「……付き合ってる奴がいるからって…、断るかな。…でも誰とって聞かれた時は答えられないんだよな。俺は別にあんたと付きってるって誇りを持って言えるけど、あんたはどうなのかなって。…ほら、ただでさえ男同士で偏見があるのにさ、…あんたみたいな男前が俺なんかと付き合ってるって知れたら……あんたの株が下がるし…変に見られるだろ。……俺男好きの遊び人みたいだし…」
(別に自分は周りからどう見られようと相手と居られれば充分だが、それで相手まで変な目で見られ迷惑をかけることはしたくなくやや悲観的に呟き視線を床にやり。
「って…悪い。空気重いよな。…放課後はあんたといたいから時間は空けるよ。旅行の話もしたいし。……ちょっとコーヒー買ってくる。あんたも飲むだろ?チョコとコーヒー合うもんな」
(まだ完全に相手と居ても良いという自信を取り戻せていないなんて悟られてはいけないと慌てて席を外そうと扉に手をかけるも、焦るとよく喋る質が思いっ切り表に出ていることは気付かず。
>露木
( コーヒーを買いに出て行った相手の背中を見送り、まだ僅かに自身無さ気な様子が伺えた気がして。
“付き合ってる奴が居るから”と答えると言ったのを思い出しては緩みそうになる頬を誤魔化すかの様に昼食のパンを齧って。
( その頃、相手が自販機前で一人で居るのを良い事にここぞとばかりに女子生徒達が群がっては相手に押し付ける様にチョコを渡して。
嵐が去ったかの如く女子生徒達が去った所で自分のクラスメートの女子が相手に駆け寄りやや上目遣いに見詰めて。
『放課後…屋上階段の所に来て欲しいんです。………私待ってます』
( 恥ずかしそうに俯いては逃げる様にパタパタと去って行き。
ライバルが多いのを知りながらそれでも相手へ思いを伝えようと決め込んでは綺麗な小箱を大切そうに見詰め告白の手紙を添えて。
( 戻って来た相手からコーヒーを受け取り礼を言えば「遅かったな、…なんか合ったの??」と問い掛けて。
今日の帰りにでも子供達にチョコを渡そうと兄と全く同じ考えを浮かべて。
青年からののチョコをパキッと割り相手の口に放り込んでは頬杖を付き携帯を見詰める。
今日の夜もバイトが入っており、確かバレンタインのイベントが合ったなと思い出せば憂鬱そうにして。
店内が甘ったるい匂いに包まれるのかと少しばかり落胆しては相手をジトリと見詰め相手のバイト先にも相手目当ての客で埋まるのだろうと考え。
子供臭い嫉妬心を抱えてはガバッと立ち上がり相手の首筋に顔を埋めては痕を残して。
>桐崎
(研究室に戻って口に放られたチョコを口内で転がしつつ、一人で食べるには多すぎるチョコと放課後の呼び出しをどうするかと眉を顰める。
そんな時突如首筋に甘い痛みが走っては小さく声を漏らして相手が離れないよう両肩を掴み相手の髪に口付けようとして。
しかし不意に男子学生に言われた“遊び人”だとか“身体しか…”という罵りが過っては相手が近付くのを恐れるように突き放し。
「…あ、…御免。…その…あんたが嫌とかじゃないんだ……」
(むしろ触れたい。でももし口付けや営みを抜きにしたとき、相手は自分の傍に居てくれるだろうとかと不安で「……あんたは俺のどこが好きなの?」と思わず尋ね。
「…“あんた”を認めたってなら赤城も同じだろ?……俺なんかより赤城のが可愛げあるし素直だしずっと大人だ。……なんで俺なの?」
(ジッと相手を見詰め返答を待つも我ながらかなり女々しく鬱陶しい質問をしていると気付いては「…御免。俺…あんたに何言わせたいんだろうな。一緒に居てくれるだけで充分なのに」と苦笑を漏らし、昼休みも終わるころだったため相手を教室付近まで送って。
(放課後、気乗りしないまま女子高生に指定された場所へ向かっては、真剣な様子で告白されてしっかり断らねばと相手に言った通り“付き合ってる奴がいる”と告げ「ごめんね…本気ならそれは受け取れない」と罪悪感を覚えつつ小箱を受け取らずにその場を立ち去って。
階段を降りきり相手に会いに行こうとするも今度は幼馴染に捉まりそのまま共同スペースにつれていかれ包みを渡され、いつものことだったため何気なく受け取り。
『今年はケーキにしてみたんだーって…菊…てば首んところ痕見えてるよ。……へー、見せびらかしですかー』
「っち、…違う。…これは彼奴がいきなり…」
『まあいいけどー。そうだ。今日はちゃんと桐崎くんのこと見張ってないと駄目よ。桐崎くんのバイト先に行って料理運んで貰うんだってはりきってた子たち沢山いたから』
「…ふーん…」
(気にしない素振りで答えては一応幼馴染に礼を言ってその場を離れ。
(結局放課後相手と会えないままバイト先に向かってはロッカールームにて《バイト終わってからでも会える?》と相手にメールを送り。
首筋の鬱血を気にしつつ、気持ちを切り替えようとバイトに励み
>露木
( まだ何処か距離を感じる相手が胸に抱えてる事も知らずに突き飛ばされたのに驚きつつ緩く笑みを浮かべては「気にすんな、あんたが嫌がる事はしないから」と優しく述べゆっくり手を握って。
相手の唇を奪おうとするも僅かに見えた怯えを感じ取り、額に口付けを落としては続く相手の問に“当たり前だろ”と言わんばかりの顔をして。
「何でって…好きだからだろ。………赤城は…何て言うか居心地の良い“友達”なんだよな、だからあんたと居る時みたいに鼓動が高鳴ったりはしないんだ」
( 我ながら恥ずかしい事を言ってしまったなと思いつつ教室近くまで送られては別れを惜しむ感情を隠し教室へと戻って。
( バイト先に来てはバックルームで着替え、白いyシャツの袖口を軽く捲り腰に長めのエプロンを巻く。
店に出ようとしたその時、相手からのメールに気付いては《会える、ってゆ-か俺も会いたい》と返信し。
慣れた手付きで次々と料理を運び、本日のみの特別メニューのフォンダンショコラがあっと言う間に売り切れるのを見ては少し疲れた様に溜息をつき。
『桐崎、3番テーブルのお客さんにワイン運んでくれるか』
( 先輩の声にさっさとワインを受け取っては客の元へと運ぶ。
まだ若い家族、娘と思われる幼い少女が『綺麗な色!!!私もそれ飲みたい!!!』と両親にせがむのを微笑ましく見詰めるも子供にワインを飲ませられる筈も無く厨房から店特製のフルーツジュースを持って来てはサービスとして少女へと渡して。
やはり子供の笑顔は良いなと自分も元気づけられながら再び仕事に取り組んで。
>桐崎
(バイト終わり、相手のメールを見てはほんのり心が暖かくなるもやはり何処か不安は拭えず。
しかしいらぬ心配をしていてはそれこそ嫌われてしまうと不安を拭い捨てては相手のバイトの店先で相手を待ちつつ相手から貰ったチョコレートを大切に食べて。
そう言えば自分は何も相手に上げていない。どうせなら特別なものがいいなと考えるうち相手が店内から出てきては「お疲れ様」と微笑み、温めておいたカイロを渡して外が暗いのをいいことにカイロを互いの手で挟むようにして手を繋いで。
そして相手のクラスメートの告白をちゃんと断ったことを報告し、今日はお互い大変だったなと苦笑を漏らしていて。
(相手の寮部屋についてはその落ち着く香りに心癒やされつつ遠慮がちに相手とわずかに距離を置くようにベッドに腰掛け。
「そう言えばあんたバイト先で評判いいみたいだな。…あんたと一緒にバイトしてた女の子が言ってたけどお客さんがあんたに会いに来るために来たって言ってったって。……なんか妬けるけど…あんたが誰かに親しまれてるって嬉しいな」
(他愛のないことを穏やかに話してはそういえばと鞄から旅行券を取り出し。
「…此れ、オーストラリア行きのチケット。…なんか綸が人数分福引で当てたらしくて…。今あんたは忙しい時期だろうし出来れば二人きりで近場行きたかったんだけど…綸はもう行く気満々で断り辛いし……桐崎さえ良ければ一緒に行かないか?」
(本当は無理矢理にでも連れて行きたいが流石に海外となると相手の都合もあるだろうし強引には誘えないと様子を窺うように問いつつ「向こうは今の時期夏だから海が綺麗だって」と魅力を語り。
>露木
( 漸くバイトを終え相手と帰り道を歩きながら告白を断ったと聞かされては酷く安心して。
正直言えばその事が心配だったりしてた為自然と表情も穏やかになっては相手を部屋に招き入れる。
上着を掛け暖房を付け暖かいココアの入ったマグカップを相手に手渡しベッドの上に腰を下ろしては相手も続いてベッドに腰を下ろして。
暫く他愛も無い話をしてた所、相手に差し出されたチケットを見詰めては僅かに驚いた様な表情をして。
相手と一緒ならばどこだって良い思い出になるだろうな、なんて気恥しい事を考えつつ楽しそうにあちらの魅力を語る相手に僅かに微笑んで。
「良いな、…あんたの話聞いてたら俺も行きたくなった。……………バイトとかは空けとくから」
( 上記を言いまだ湯気の立つココアを飲んでは相手の額を軽く弾き「………綸とばっか居んなよ。…どうせあんたあっちに行っても色んな女に言い寄られるんだろうな、浮気すんなよ」とからかって。
甘い時間を過ごしつつ、何気無く相手に触れたくなっては少し距離を詰め相手を軽く抱き寄せる。
ピクリと反応したのを見逃す筈も無く慌ててパッと身を離しては「ごめん、いきなり」と。
「あんたが少しずつ心を開いて来てくれてんのは俺も分かるから。………あんたが触れても良いなって思ったら言って、………待つから」
( ポンポンと相手の頭を撫でては相手の過去などのトラウマを思い返しやはりまだ“男”に抵抗があるのだろうかと思い込んで。
強く抱き締め口付けたいと願う反面相手との距離が遠ざかり相手を壊してしまうのも嫌で。
しっかり我慢出来るだろうかと不安が過るも相手が大切なのは紛れも無い真実。
「明日は休みだし泊まってけよ」とは言ったものの自分で地雷を踏んでしまったなと。
平然と振る舞う様にしながら「あ…離れて寝てた方があんたは安心か??布団もう一式あるし…俺下で寝るよ」と言えば布団を取りに向かおうと。
>桐崎
(相手に抱き締められ嬉しくて自分もそれを望んでる筈なのに求められる程不安になるという複雑な気持ちでいては優しい相手の言葉に、何に対してか分からないが小さく首を横に振り「ありがと」と微笑み。
相手が自分の思っている以上に気遣ってくれているとは知らず、布団を取りに行こうとする相手の腕を取り「……一緒に寝たい。あんたの隣…落ち着くから」と気持ちと態度がちぐはぐなことを述べ相手をベッドに引き込んでは相手に顔を向けながらも以前のように抱き締めはせず微妙な距離を保ったまま安心して眠りについて。
(翌朝、まだ日が昇る前に相手のベッドを抜けだしては兄の部屋に行きシャワーを借りて、適当に着替えを済ませると簡易キッチンに向かう。
『昨日突然買い物頼んできたけど何作るの?……というか寮戻ってくれば?隣まだ空いてるよ』
「…いや、うん、考えとく」
『で、こんな時間から何作るのー?』
「…いいだろ。別に」
『えー教えてよ』
(フワァと欠伸をしながら興味深けにこちらを見てくる兄の視線が気になりつつも、全神経を集中させて作業に取り組み。
(久々の食堂、朝勝手に抜け出してしまったことに後ろめたさを感じつつ相手の姿を探しては青年といつもの席に座っているのを見つけそちらに近付き相手のトレイの上にコトンとコーヒープリンを置き。
「……それ、チョコのお返し。……てか、いつもヨーグルト貰ってばっかだったから」
(ボソボソとあまり目を合さずに言っては「…コーヒーとプリン好きだろ?……初めて作ったから味の保証はないけど」と続けて、込み上げる羞恥から逃げるようにその場を離れようとするも兄に無理矢理席に押し込まれ。
『旅行の話もしたいしー、一緒に食べよう』
(ニコと笑い抱き着いてくる兄に眉を顰め引き剥がしつつも心理的違いから相手のような拒否反応は出ずに。
『あ、繿それ食べないの?てか俺が毒味してあげる!』
(引き剥がされてもめげない兄はずっと狙っていたように素早い動きで相手の前に置かれたコーヒープリンのカップに手をかけて。
>露木
( 目を覚ますなり相手の姿は無く、久々にあんな落ち着いて寝れたななんて考えながら洗面所へと向かいまだ僅かに寝惚けたまま歯ブラシを手に取る。
顔を洗い着替えを済ませ部屋の前で待ち構えてた青年に出会し共に食堂へと向かっては青年にチョコの感想を求められ「あ-うん、旨かったよ。ありがとな」と素っ気なく返して。
トーストのバターを伸ばしながら牛乳を喉に流した所で青年の背後に相手の姿が見えて顔を上げる。
トレイに置かれたプリンを見詰め、珍しく嬉しそうな表情をしては続いてやって来た兄を含め四人で席を囲み。
兄がプリンへと手を伸ばすのに自分でも驚く程素早く兄の手に手刀を落としては「絶対やんないから」と軽く睨み付けて。
『兄さん兄さん、今日のヨーグルトはフルーツ入りだってよ!!!それでも食べないの??』
「食べない」
『え-、どこが嫌いなの??こ-んな美味しいのに』
「すっぱいから」
( サクサクとトーストを齧りつつ先程から相手にしつこいスキンシップを計る兄をジトリと見詰める。
漸く兄が静まったかと思いきや、相手が食事を始めた途端隙を奪い頬にキスをし『俺も菊からバレンタイン貰ったんだよね』とガムの話を自慢気にしていて。
ずっと気になってた事だが自分の時よりも兄の時の方が相手の拒否反応は皆無に近い。
プリンに舌を包みながら僅かな壁を感じつつ一方的に話し続ける兄の話を折っては相手に向き直り。
「“味の保証は無い”とか言ってたけどめちゃくちゃ旨いじゃん。俺好みのデザートだよ」
( もはや日課の如く相手のトレイにヨーグルトを置いては尚もスキンシップを続ける兄をキッと睨み「あ…あんまベタベタすんなよな」と。
>桐崎
(自分の兄に対する態度を相手が気にしていることは気付かず、滅多に見られない相手の柔らかな表情と褒め言葉に小さくはにかんでは「…こんなんで良ければまたいつでも作るよ」と照れを隠すようにヨーグルトを口に運び。
食事を終える頃、まだ相手といたい思いを抑え相手と青年を高校校舎まで見送り「今日は道場の手伝いでそのまま泊まりになると思う…。その時間あれば顔出してくれると嬉しい」と控えめに相手を見詰めた後「…授業サボるなよ」とからかうように銀髪をポンと撫で、一度準備のため兄とアパートに立ち寄り道場へと向かって。
(道場に着くと今日は昼間から子どもたちの稽古に励む声が聞こえ不思議に思いながら稽古場に行くと師範に近所の小学校の授業の一環でそれを手伝っていると言われ納得する。
胴着に着替え再び稽古場に戻ったとき、見覚えのある姿が目に止まりピタリと足を止め。
『父さん?!……わぁ、なんでなんで?なんで此処にいるの?』
『な、…綸。…何でってうるせぇな。……彼奴の親戚に頼まれたんだよ』
『へぇー、父さんが竹刀持つところ初めて見たかも』
(兄は父に無視されず反応されることが嬉しいのかいつもよりはしゃいでる様子でその光景を頬やましく見詰めながら、以前相手の父が言いかけたことを思い出せば後で聞いてみようと。
ひとしきり子どもたちの稽古を終えては義理チョコ達を子どもたちに配り、自分は縁側に座って相手から貰ったチョコを一つだけ口に入れすぐには噛まずにゆっくり味わう。
相手は今頃青年とお昼でも食べているだろうかとぼんやり考えていると相手の父が隣に腰掛けてきて。
『よく、んな甘ったるいもの食べられるな』
「……繿から貰ったんです」
『は?彼奴が?…想像出来ないな』
「そうですか?いつも優しいですよ。……そう言えば剣術、習ってたんですね。すごく綺麗でした」
『俺を褒めるなんて生意気だな』
「はは…すみません。俺単純なんで。………ところでこの前言いかけたこと何ですか?俺の親を知ってるみたいでしたけど」
『…胡散臭い笑顔だな。…………ああ、その話な』
(ボソリと呟かれた言葉は聞き取れずに首を傾げては、続く話題にやや緊張した面持ちで相手の父を見詰める。
煙草の煙がフゥと吹かれ父が口を開きかけた時『おい!!ここは禁煙だぞ!』と絶妙のタイミングで師範に阻止されて。
『あ?…たくっ、面倒くせぇな』
(不機嫌に腰を上げて場所を変えようとする父に師範がニッと口角を上げ『子供たちの相手だけじゃ物足りなかったんじゃないか?腕は鈍ってなかったようだし、ここは菊君と手合わせしたらどうだろう。丁度剣術の手本の動画を取りたいと思ってたんだ』と調子良く言って。
「……俺、手本になるほど上手くないですけど…」
『全くだ。俺は忙しいんだよ。他をあたってくれ』
『なんだ、もしかして菊君に負けるのが怖いのか?』
(師範の挑発に父の眉がピクリと動いては何故か此方を睨まれて「そんな俺は足元にも及びませんよ」と微笑み、いまだ鋭い視線に突き刺されながら内心はやく相手に会いたいと恋しく思い。
>露木
( 口は悪くとも性格は単純な父、いとも簡単に師範の挑発に乗れば相手に竹刀を投げ渡し立つ様に目伏せし父も竹刀を片手に取れば道場の真ん中へと来て。
相手と向かい合い、一度礼をしては自分と同じ紅い瞳でしっかりと相手を見詰めては師範がビデオを回しながら“始め”と言うのを待ち構えて。
( その頃、珍しくもまともに授業に出席しては漸く学校も終わりの時間を迎える。
部活に向かう生徒達をつまらなそうに見詰めては青年と共に寮へ戻ろうとするも“街に行きたい”と言われ面倒そうに青年を見詰める。
「一人で行って来いよ」
『え-兄さんとお揃いのキーホルダー選びたいのに。…あ、奢るよ??』
「……………」
『ね、行こ!!!決まり!!!』
( 強引に腕を引かれ街へと来れば適当な雑貨屋を周りつつそれでも青年の話はちゃんと聞いてやっていて。
そう言えば兄が相手と共にどこかへと向かったのを思い出しては相手に何かしてないだろうかと。
抱き着くだけでも許せないのに軽々しくキスしたりしようとするのを思い浮かべては勝手にイライラとして。
『ねぇ兄さん聞いてる??これこれ。狼のキーホルダー、可愛くない??』
「あ-、うん」
『聞いてないでしょ-、まぁ良いよ。これにしよ』
( 会計の方へ向かう青年をぼんやりと見詰めては携帯を取り出し相手のアドレスを開き《綸に変な事されてないだろうな》と短いメールを送る。
元カノの時にもそれなりの嫉妬などは合ったがここまで日々思い描く存在は初めてで。
>桐崎
(力強い父の眼光に圧されながらも此処で遠慮しては逆に失礼だと真面目に一本を狙いにいく。
が、流石相手の父。やや上から繰り出される剣術は父の性格からは想像も付かないほど繊細で力強く…。
幼少期、こうやって自分の父とも打ち合いをしたなと笑顔の父が脳裏を過っては、心の乱れを射抜かれるように突きを取られて。
“一本”と道場に師範の声が響いては一礼をして、相手の父を見詰め「流石ですね」と肩を竦めて他人行儀な微笑みを浮かべ。
すべてを見透かすような父の視線。逸らしたい気持ちを堪え笑顔を保っては動画撮影のため何本か型を撮った後、着替えなどを済ませ兄と夕食の準備にとりかかり。
(台所にて鍋の準備をしながら結局相手は来なかったなと溜息を吐いていると居間で相手の父と酒を飲み交わしていた師範が顔を覗かせ、全く酒が足りないと。
そりゃあ酒豪が二人もいればなと納得しては出来上がった鍋を食卓に置いてから酒を買い出しに兄と街に出る。
隣で話し掛けてくる兄に相槌を打ちながら今頃相手はどうしてるだろうと考えていると、また自分と相手に反感を持つ男子学生達に出会し。
『よう露木。なんだ?今日は“本命”とデートか。ああ、違うか。綸も“遊び相手”だったな』
「………」
(よくも飽きずに…と無視して通り過ぎようとするも学生の一人がニヤつき『さっき桐崎、赤城と一緒にいて揃いのキーホルダー買ってたぜ。腕も組んでたし』と笑み、その言葉にピタリと足を止め。
「…彼奴等は仲が良いから。……それと俺は繿を本気で好きだし、綸も大事な友達だ。悪く言うようなら許さない」
『はっ、強がっちゃって。どっちもお前の身体目的だろ?』
『ちょっと。さっきから黙って聞いてれば…『綸もさぁ、ベタベタ露木の身体に触って下心丸出しじゃん?露木もまんざらでも無さそうだし流石遊び人だよな』
(学生達は好き勝手散々笑ってはその場を離れていきやっと静かになっては小さく溜息を吐いて。
「……ごめん、俺のせいで綸まで悪く言われた」
『菊のせいじゃないでしょ。……それに下心ってのはある意味当たってるし』
「……綸?」
(突如壁際に追い込まれては顔を近づけられまたいつもの“おふざけ”かと軽く肩を押し。
「今機嫌悪いからそういうのやめろよ。俺が繿と付き合ってるの知ってるだろ?」
『…そうだね、ごめん』
(身を離す兄にホッと肩をなでおろしては「早く酒買いにいくぞ。帰りが遅いと文句言われる」と酒屋に向かおうと。
>露木
( 夕方、青年を寮へと送り届けては少し遅くなったが相手はまた居るだろうかと道場へと向かう。
この時間まで兄と一緒だなんて危ない事この上ない。
急ぎ足で道場へと訪れては丁度夕食を終えた頃の師範に迎えられ千鳥足の師範に連れられながら相手の元へと案内されて。
貼り付く兄を突き飛ばし相手に向き直れば寒さから僅かに赤くなった鼻を擦り「遅くなってごめん」と。
ふと父がこちらへ来るのが見えては反射的にビクリと反応するも『来てたのか』と言われるだけで。
『露木、お前の親の話は今度聞かせてやる。……………兎に角…俺はもう寝る』
( 欠伸をしながら既に居眠りをしてる師範を布団に運んではさっさと着替える準備をしていて。
何の話だろうかと小さく首を傾げるも再び相手に抱き着こうとする兄をキッと睨み付けて。
『あれ、このキーホルダーどうしたの??』
「貰った」
『あ、分かった赤城からでしょ』
「…そうだけど」
( 何で知ってるのだろうかと呑気に思いつつ友人からの貰い物など隠す必要も無いかと。
兄がジトリと見詰めてくるのにムッとした表情を返しては兄が父の元へと向かうのを見詰めて。
二人になったのを良い事に相手を抱き締めようとするもやはり昨日の反応が伺えてはパッと身を離し相手の頭を撫でるだけにして。
「ごめん、びっくりさせたよな…いきなり」
( 兄が抱き着いた時はこんな反応無かったと、胸の奥底で激しい嫉妬に駆られるも表情を誤魔化して。
>桐崎
(夜、顔を出してくれた相手に気分が高揚するも情けなくも男子学生達に言われた事を気にしていて相手に抱き締められそうになりピクリと身構える。
しかし頭を撫でられるだけに終わっては少し物足りないと思うも、それ以上に相手は特別な事をしなくても傍にいてくれるという安心感が得られ相手の気持ちとは裏腹に穏やかな気持ちでいて。
「…今日、泊まってって。授業には遅れないように車で送るからさ」
(小さく微笑み少しでも相手と一緒にいたい気持ちからさりげなく床に置かれる相手の手に自分の手を重ねては、昼間の父の様子など他愛のない話をして互いに風呂に入ったあと布団を並べてその上に座り髪を梳く。
ふと相手の鞄につく青年と揃いのキーホルダーが目に止まっては、先程まで制御していた嫉妬心が湧きピンッとキーホルダーを指で弾いて。
「こいうことするとさ…赤城が期待するし付け上がるから。彼奴の気持ち知ってるだろ?」
(自分だって兄には隙を見せる癖に酷く不満そうに言っては「町中で腕だって組むし…」と男子学生達が言っていた言葉を気にしてグチグチと呟き。
そんな時、部屋に兄が戻ってきては『俺も同じ部屋で寝るー』と自分と相手の間に割って入ってきて、いつものごとく髪をいじられ。
何度か身を起こし相手の隣に行くもその度に兄に邪魔されたため仕方なく兄を間に入れて布団に潜っては相手の気も知らず兄に抱き締められても眠気から抵抗せずに眠って。
(翌朝、少し早めに起床して朝食の準備をしては人数分の食事を食卓に並べる。
一応何度も味見をしたつもりだが無言で食べる父の顔は僅かに硬い気がして、師範の『菊、味噌汁も焼き魚も…味が薄くないか』と言う言葉に不味かったのを我慢してくれているのかと。
「…朝だから塩分控えたんです。…それに大人は薄味のが良いって聞いたので」
(良い訳を零しつつさっさと朝食を済ませては、師範の車を借りて高校校舎に近い校門まで相手を送り一度自分も車から降りて。
「…無理言って泊まらせて悪かった。…その、旅行の話したいからまた会おうな」
(相手の髪を軽くポンポンと撫でては一瞬口付けたい衝動にかられ顔を近づけるも、相手の背後から青年が走ってくるのが見えて寸でのところで身を離し。
『兄さん、おはよー。ずっと待ってたんだよ。あ、俺もキーホルダー鞄につけたよ。兄さんとお揃い!……あ、そう言えば兄さんはパスポートも持ってる?持ってないなら発行するの付き合うよ。俺、留学経験あるから色々教えられるからさ』
(ニコニコと無邪気に相手の腕に絡みつく様子に、やや不満そうにしては「学校遅れるんじゃない」と話を遮って。
>露木
( 相手の言葉に甘え泊まる事にしては不満そうに青年の事を話す相手を苦笑気味に見詰める。
“赤城とはただの友達なだけなんだけど”なんて何処までも呑気な事を考えつつ、「何、嫉妬してくれたの」なんて思い上がった事を言えば相手の頬を軽く抓り。
しかしそこに兄という邪魔が入れば見事に甘い時間も終了してしまい馴れ馴れしく相手に触れる兄をイライラしながら見詰める。
ちゃっかり相手の隣に入り『菊、背向けないでよ』『ねぇまだ起きてる-??』『もう背向けないでって言ってるのに-。もういい、勝手に抱き着くから』と煩く喋る兄にイライラはどんどん増して。
嫉妬心に駆られながら眠れる筈も無く、兄と相手の寝息が聞こえて来た頃にムクッと起き上がれば自分に見せた拒否反応など微塵も感じさせない相手の寝顔にやり切れない気持ちになり。
“なんで俺は駄目なんだよ”なんて子供の様な嫉妬心を抑え、相手の額に軽く口付けては大人しく寝床に戻り兄と相手に背を向ける様にして。
( 翌日、自分好みの相手の食事に舌づつみしてた所師範の言葉に“俺は好きだけどな”なんて考える。
僅かに落ち込む様な表情をした相手に咄嗟にフォローを入れようとも口下手な性格が邪魔をし、それを期に兄が『俺は好きだけどな-、うん。菊の作る物なら何でも好きだよ、って言うか菊が好き』と大胆な言葉を連ねるのにムッとして。
学校まで送って貰い相手の言葉に「あぁ、いつでも会いに行く」と恥ずかしげもなく言っては向こうから走って来た青年を慣れた手付きで剥がして。
パスポートの話を持ち出されてはそんな物持ってる筈も無く「悪いな、頼むよ」と素直に頼んでは相手の言葉に携帯を確認しそろそろ向かわなければと。
「じゃあな。暇有ったらメールして」
( 相手に別れを告げ高校校舎へと向かってはまだ緩みそうになるのに無表情を決め込んでいて。
>桐崎
(相手の嫉妬心に気付いてやれないまま学校を後にして、一度道場に車を返してからアパートに戻ると兄がドアの前で待っておりつき返す訳にも行かず中に招き入れ。
「…俺、すぐバイトなんだけど」
『いいじゃん。そうそう旅行なんだけどハナさんがそっちに強いらしくて大分安く済みそうだよ。色々手配してくれるって』
「そっか。じゃあ今度お礼しないとな」
(世話やきな幼馴染に感謝しつつ、ふと塞ぎかかったピアスホールに触れては兄をジッと見て開け治せるか聞いて。
『あー、菊は塞がりやすいタイプなんだね。ちょっと痛むかもだけど出来るよ』
(そう言って丁寧にピアスに消毒して開け直してくれた兄に礼を言いながら此れでまた相手と揃いのピアスをつけられると頬を緩ませ。
『膿んできたらちゃんと処置するんだよ』
(兄の注意に頷いてはバイトの時間が迫っていたため二人でアパートを出ては、その合間に相手にピアスを開け直したことを不必要かと思いながらメールで報告して。
(一方高校の昼休み、青年が相手にいつものごとく絡みついては『お昼一緒に食べよー』と机を合わせて。
『ねえねえパスポートだけど次の休みでいいよね?手続きが終わったら一緒に遊ぼう。久々にボーリングしたいなぁ』
(子供のように楽しげに話してはちゃっかり相手のパンを奪ってはわざわざかじってあるところから食べ『関節キス~』と恥ずかしげもなく述べ『まあ直接してもいいんだけどね』と大胆発言をして。
それを聞いていた一部の女子がキャーーと桃色な歓声を上げてはやや興奮気味に一人が二人に近付いてきて『あ、あの二人を題材に同人誌書いてもいいかな?ていうか桐崎くん、露木先輩とも仲良いよね?もしかして三つ巴?ていうか桐崎君は受け?攻め?』とグイグイ迫る女子にその友達が慌てて止めにきては『あはは…ごめんね。何でもないの。…二人にただ萌えてるだけだからぁ』とあはは…と笑ったまま席に戻っていき。
青年は意味を理解しているのかブッと吹き出しては満更でもなさげに微笑み相手を見詰め『次の休みは俺とデートだね、兄さん』と鼻歌交じりに述べ。
>露木
( 青年と昼食の席を共にしながら他愛も無い話をしてた所、パンを奪い取られた事にも特に咎めず代わりに青年のパンを取っては味見程度に食べたりして。
関節キスだの何だのと話す青年に軽く苦笑し、「さっきから何言ってんだよ」と言ってやれば駆け寄ってきた女子に首を傾げる。
意味が分からないままそれでも相手の名前が出た事に反応しては「いや、俺は露木と…」と言い掛けた所で青年に話を遮られ。
席に戻るのを見送り“何を言いたかったのだろうか”なんて考えつつ御機嫌な様子の青年を頬杖を着いたままぼんやりと見詰めていて。
ふと気付いた相手からのメールを確認しては昨日まで相手の耳に無かった揃いのピアスが無かったと理由と共にピアスが戻った事を報告されていて。
ニヤけそうになるのを押し耐えては一方的に話す青年の言葉を聞き流していて。
( 放課後、相手はバイトだと言う事を聞いてた為にバイト先まで来ては寒さを凌ぐ様に店内へ入ろうと。
その刹那、以前嫌がらせを受けた数人の大学生に囲まれては肩をグイッと押されて。
『何、露木の事待ってんの??…お前も可哀想だな-』
『まだ遊ばれてるって分かんない訳??』
『いい加減哀れだわ』
( 男子学生達の言葉に苛立ちを感じつつ掴まれた胸倉を振り払えば「触るな」と。
「あんた達に何言われようと関係ねぇんだよ」
『は、ここまで来ると無様だわ』
『良いんじゃねぇの。露木の良いとこなんて顔と身体くらいだし』
「黙れ、まだ言うなら俺も遠慮しない」
( 拳をグッと構えた所で男子学生達は逃げる様に退散して行き。
ふと相手の自分に対する拒否反応を思い出しては一瞬不安が過るも相手とは思い合ってる筈だと自分に言い聞かせて。
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