xxx 2014-12-29 00:12:16 |
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>露木
( ケーキを口に運ぶ相手を和みながら見詰めるも不意に聞かれた問い掛けに一瞬目を丸くする。
答えなど迷うものでも無く口を開くもさっさと出てしまった相手を見詰めては詰め込まれたケーキをコーヒーで流し込みその可愛らしさにクスクスと微笑んで。
( 喫茶店を後にし相手と街を歩くもついいつもの癖でさっさと歩いてしまい、慌てて相手の歩幅に合わせてはふと近付いて来た顔見知りに眉を寄せて。
あまり良い思い出の無い面子に相変わらずの無愛想を向けてはクラスメイト達は不愉快そうに自分の腕を強く掴むと『結構良い女じゃん、俺等にも貸せよ』と厭らしい笑みを浮かべ相手の元に行って。
『君すっげぇ可愛いじゃん、あんな奴より俺達と遊ぼうぜ??』
『ほら行こ、飯奢ってやるし』
( 華奢な相手の身体をグイグイと強い力で引っ張るクラスメイト達の元へと向かえば相手の前に立ちキッと睨み付けては相手を横抱きにし走り出して。
こいつらならば相手に何をしても可笑しくない、後ろから睨んで来る視線を感じながら街の路地へと入り込み相手を下ろして。
「………危なかった。彼奴等あんたの事厭らしい目で見てたし………」
( ポツリポツリと言いながらクラスメイト達の自分を蔑む瞳を思い出せば自嘲の笑みが溢れる。
所詮何処に行こうとも過去は纏わり付いて来る。
それが相手の迷惑になるのが一番嫌で相手を見詰めては「………あんたは何で俺と居るの??」と聞く。
何故か答えに期待をかけてる自分も居ながら相手の長い髪に触れると視線を逸らさせない様に相手の顔を持ち上げて。
「………どういうつもりで俺と居るんだよ。あんたを無理矢理に乱暴した奴と、…普通の友達感覚で居るのか??」
( 相手の後ろの壁に手を付き問い詰める様に見詰めるその刹那、女子高生達が路地を覗き込んで来ては『ねぇ今の壁ドンしてたよね!!!』『ヤバイ見てたこっちがめっちゃ照れる』と黄色い声を上げていて。
“聞こえてるんだよ”と呆れつつ段々と恥ずかしさが込み上げてきては「…ごめん、いきなり」と相手か身を離して。
>桐崎
(無理矢理手を引かれ抵抗するも力及ばず蹴りを入れてやろうかというところ相手に横抱きされ路地裏に連れられては問われた問いにドキリとする。
相手をどう思っているか…、“友達感覚”なのか…。
そんなこと少し考えれば分かることで……。
間近にある相手の綺麗な顔に胸が煩く鼓動しては身を離されても暫くぼーっとしてしまい。
覗いていた女子の声が遠ざかったところでハッとなっては、恥じらい気味に相手の手を取り控えめに相手を見詰め。
「……あんたと居たいからいるんだよ。…乱暴されたことはもう何とも思ってない。…だいたいあれはこっちが悪いんだし……」
(相手が悲しげな表情で“大丈夫だから”と声を掛けてくれてたことを思い出しては少しだけ眉を下げて戸惑い気味に目を伏せ。
「……“友達感覚”って言われると…違う気がする。……あんたが他の奴と仲良くしてるの見ると不安になるし、あんたに嫌われてるって勘違ってた時…すごく嫌だった……。でも、なんて言えばいいか分からないんだよ。……本当の友達もまともに出来たことないから…」
(本当は何となく、ほぼ確実に相手へ抱く気持ちに気付いていたがそれを口には出せずにそっと伏せていた目を上げては相手の頬にゆっくり手を伸ばし。
「…でも、あんたのことは……好きだ。……一緒にいてすごく楽しい」
(真剣に述べるも言った瞬間頬が熱くなるのを感じては慌てて手を離し目を泳がせて「い、言っておくが、好きか嫌いかで言ったらの話だからなっ!」と早口で誤魔化してしまい。
こんなの恥を晒しているだけではないかと思えば一呼吸入れ気持ちを落ち着かせ「………ただ…あまりさっきみたいな顔、他で見せないで欲しい」と相手の笑顔を何故か独り占めしたく述べては不安と期待の混じった瞳を相手に向け「……あんたは……俺のことどう思ってるの?……どうして今日街に連れ出したんだ?……女だから?」と先程聞けなかった答えを聞くため真剣な声色で問い掛け直し。
>露木
( 恥じらいを見せつつも答えてくれた相手の答えに照れ臭さが過る。
例え相手が“好き”と言ってくれたのが特別な意味で無くとも嫌われてると思い込んでた自分に取っては大きな一歩だろう。
続く相手の問い掛けに自分の子供地味た答えを言うべきか迷ったが相手も答えてくれたのだから、と。
「…その………約束してたのに、行けなかっただろ。………いや行ったけど木ノ宮も居たし…あんたも俺だって気付いてなかったし。だから今日無理矢理あんたを誘ったんだよ。………それに、…前にも言ったけど俺あんたが女でも男でも同じだから」
( 俯きながら表情を隠し、それでもしっかりと伝えればバッと立ち上がり再び街に出て。
本屋やら雑貨屋などを周りアクセサリーショップを見掛けては相手はアクセサリー等はあまり付けないのだろうかと。
相手をジッと見詰めるも今の姿は女その物、メンズ物のアクセサリーを付ける相手は思い浮かばずに。
メンズショップだけあり相手にちょっかいを出す男も多数おり、段々と苛々しては相手の手を掴んで。
これで傍から見ればカップルだし手を出す奴も居ないだろうと思うもハッとしてはやはり木恥ずかしくなり。
「あとさ、………さっきあんたが言ったやつ。“他で見せないで欲しい”とか言ってたけど………だ、誰にでもヘラヘラ笑ってる訳じゃねぇよ。………あんたじゃないとあんな自然に笑ったり出来ない」
( 我ながら何を言ってるんだと思うが自然と上記を口にし、技と相手にぶつかったりして触れて来る男を睨んでは「やっぱここ出るぞ」と。
まさか女体の相手がこれ程の美少女だなんて思っても居らず小さな相手を見下ろしては頬を軽く引っ張り。
不意に真顔になっては相手の唇を奪おうとするが流石にここで能力が解けたら不味いだろうと冷静な判断をしては相手の額に口付けを落として。
「ごめん、なんかあんた見てたらからかいたくなった」
( クスクスと微笑み相手の頭を撫でると「でもやっぱ本物のあんたの方が良いな、ちっちゃ過ぎて俺の首が痛くなる」と。
>桐崎
(照れながらも気持ちを伝えてくれたり然りげ無く男を避けてくれたりする相手に惚れ惚れしては相手の言葉一つ一つを変に意識してしまい相手も“同じ気持ち”なのかと自分の都合の良いように捉えたりして。
店から出て訪れた人気の無い場所、口付けられた額を手で抑え笑う相手をムッと見上げ「首が痛いのはこっちも同じ。あんた足長すぎなんだよ」とチョンと触れる程度に相手の足を蹴りつつ早く元に戻りたいと心から思って。
ふとあることを思い出しては徐ろにバッグから先程メンズアクセサリショップで相手がトイレに行っている間に買ったピアスを取り出し。
「…此れさ、店員に“彼氏”のプレゼントにどうかって勧められたんだ。…あんたのつけてるピアス見て絶対好みだろうって。…で、しつこいから買っちゃったんだけど……」
(そこから先が中々言い出せず沈黙してしまうも此処まで来て言わない訳にもいかず相手をチラと見てから自分の耳に振れ「…開けてみようかと思って。…それで、その…あんたなら開ける時どうしたら良いかとか知ってそうだし……教えてくれないかなと思ったんだけど」とぎこちなく述べるも本当はただ一人で開けるのが不安なだけ。
加えてピアスを買ったのも店員がしつこかったというのもあるが、相手好みのピアスをつけることで相手を身近に感じられるなんて甘い事を考えたわけで。
勿論そんなこと正直に言えるはずもなくやや羞恥を隠すように視線をピアスに落とし。
「…この歳で開けるのもどうかと思ったけど…このまま捨てるのも勿体無いし…」
(ゴニョゴニョと口篭った声で言い訳するうち恥ずかしさが勝っては相手の押し付け「…やっぱりあんたにやるよ。…あんたのが似合うし」とぶしつけに述べて。
それからクルッと身を返しては「もう暗くなるし帰ろう」と表通りに出ようとする。
が、突如道を塞がれ顔を上げてみると昼間会った相手のクラスメイト達が居て。
昼間は相手の元同級生としか思っていなかったがその明らかに相手を蔑む目にキッと見据え。
『そう睨むなよ。ま、お前には用ないから。……で、桐崎。昼間は尻尾まいて良くも逃げてくれたよなぁ?』
『まあ、逃してやったんだけどな』
『それでお前、まだ“人間”やってんの?いい加減“保健所”行ったら?慈悲ぶかーい良い飼い主さんが飼ってくれるかもよ?』
『ないない、絶対ない。引き取り手なんて見つかる訳ないだろ。殺処分だよ、殺処分!』
『殺処分かぁ、それは可哀想だなぁ。そうならないように俺達がちょっと躾けてやるか』
(下品に笑い4人掛かりで相手に掴みかかり殴ろうとする男子達に怒りが込み上げては履いていた靴を一人に投げつけて「あんたら有名校の生徒だろ?…人をボコッたてバレたらどうなるかな?」と男子生徒達が相手に掴みかかり拳を振るう写真を見せつけ。
これで逃げてくれればと男子達を強く睨みつけるも、其の中の一人が以前レンタルショップに来たことがあり麻薬常習者でやや精神に異常があることは気付かずに。
>露木
( 表通りに出た所で以前のクラスメイト達に捕まっては再び蔑みの言葉を投げ付けられるも無表情で俯いて。
しかしその刹那、やや踵の高い靴が一人の男に命中したかと思えば相手が携帯に写し出された写真を見せ付けて居て。
一瞬焦りを浮かべた表情を見せるもその中の一人が相手に近付いては細い両手を壁に押し付けスカートから除く白い足に手を這わせ『あんまり舐めた事してんじゃねぇよ、お前みたいな糞女直ぐにこっちのもんに出来んだぜ??』と低く囁いて。
慌てて相手から男を引き離し殴りそうになるのを押し堪えては相手を背に隠して。
相手の携帯に写真がある事を知りつつ男達は悔しそうに去って行くが先程相手に触れた男(麻薬常習者)は相手を一度見下ろし自分を蹴り飛ばすと相手に『お前の顔気に入った、夜ここに来なければお前の彼氏(自分)の化物写真町中にバラ撒くからな』と言い廃倉庫の場所を書いた手紙をさり気なく渡して。
そのまま去って行く男を見送ると相手の前に立ち不安そうに見詰めては「…大丈夫か??」と問い掛けて。
男が相手に耳打ちした事など知らずに相手を寮に送り届けると連絡通路にて相手から渡されたピアスの包みを開き両耳用に二つある内の一つを相手に手渡して。
「あんたも開けろよ、俺が開けてやるから。…ピアッサー余ってるし………バイト休みの日あったら俺の部屋に来て。あんたの隣綸だし彼奴何かと煩いから。………これ、貰って良いんだろ??…揃いになるけど…我慢しろよ」と。
仲が縮まった気がして僅かに弾む気持ちを隠しながら寮へと戻れば相手と同じピアスを見詰め緩みそうになる頬を何とか抑えて。
>桐崎
(寮での別れ際相手に渡された片方のピアスに微かに嬉しそうに笑んでは「行ける日メールする。…おやすみ」と微笑み不安で表情が歪む前に自室に戻る。
自室の引き出しに無くさぬようピアスをしまっては何も考えないようにしてシャワーを浴びるも着替えを済ませベッドに座ると嫌でもあの男の言葉が耳に響き。
男の言葉を無視する選択肢は考えられない。しかし明日にはこの身体も元に戻ってしまう。
まさか男達の前で元に戻るわけにもいかないしそうなったらそれこそ相手の写真をばらまかれてしまうだろう。
一日だけ…一晩だけ……と意を決しては相手に《明後日なら一日空いてる。あんたもバイト大変だろうし無理はしなくていいからな》とメールして眠りについて。
(翌日、未だ女の身体だったが段々慣れ始めている自分に若干恐れを感じつつジーパンにTシャツとラフな格好で若頭の部屋に向かい。
『あれ、露木。どうしたの?ファーストキスは男になってからでいいよ?』
「…違う。頼みがあって来た。………女になれる時間を少しだけ伸ばすことは可能か?」
『え…できるけど何で?…もしかして露木もこっちの世界にはまっちゃった?』
「んなわけ……」
(あるかと否定しようとするも、それ以外の言い訳が思い浮かばず「……女になるなんて学校が休みの日くらいしか出来ないだろ…、滅多に出来ないし…あと一日くらい引き延ばしたいなって」とやや恥じらい気味に目を逸し。
『ふーーん?…まあいいけど。その代わりデート一週間分ね!』
「…、………分かった」
『で、そのダッサイ格好どうにかならないの?もっと良い服貸して上げたじゃん!』
「全部スカートだろ。……無理」
『女でいたいって言うのに変なのー』
(鋭く突っ込んでくる若頭にウッと息を詰まらせては仕方なく用意された女らしい服に着替え能力の継続時間を伸ばして貰い、その後は兄や相手に怪しまれないようなるべく会わないようにして過ごして。
(夜、相手と兄に自分が寮に居ないことを不審がられないよう男に戻ったためバイトに行って帰りが遅くなる旨をメールで伝え、男子生徒に指定された倉庫に向かう。
外見は女でも中身は男…少しくらいの暴力や暴言は耐えられるし相手のためと思えば屁でもない。
もしもの時は叫べばいいし能力を使えばいいと心を強く持ち倉庫の扉を開き。
>露木
( 素直に訪れた相手に男は厭らしく口角を上げ裸電球を付けては相手の元に歩み寄る。
クックッと喉を鳴らしては暴力を振られる物だと勘違いし身構えてる相手の頬を撫でると相手の髪を乱暴に掴み深く口付けて。
咄嗟に抵抗を見せた相手をボロボロのマットに押し倒し『抵抗しても良いんだぜ??ただ桐崎は研究所送りになるだろうけどな。…可哀想に、あんな化物中々居ねぇもんな。どんなキツイ実験されるんだろうよ』と低く囁いてはスカートから覗く足を撫でて。
女の力とは実に非力な物、相手の両手をいとも簡単に拘束しては相手の首筋に顔を埋めて。
( その頃相手からのメールに心を踊らせ痛みを減少させる細い針のピアッサーを取り出しては机の上に置いておき《バイト無いから丁度良かった。待ってる》とメールを送ってはそのままベッドに横たわって。
( 朝方、男は漸く相手を解放すると相手の首筋に散らばる痕を指差し『彼氏に見せてやれよ、面白くなるぜ』と狂った笑みを浮かべて。
そのまま倉庫を後にしようと扉に手を掛けた所で再び相手に向き直ると『逆らったら彼奴がどうなるか考えろよ』と言い残し。
相手との約束の時間が迫る頃、いつもよりやや早起きしてはグッと伸びをし身支度をしてはコーヒーを淹れて。
一応相手を向かいに行こうと考えては《時間になったら向かいに行くから》とだけメールを送る。
相手の身に何が合ったのかなど知らずに勝手に上機嫌でいればそろそろかと携帯の時計に目をやり。
>桐崎
(朝方、何とか自室に辿り着きシャワーに駆け込んでは何度も身体を洗い流すも男達の匂いや感触が残っている気がして震える身体に爪を立てる。
シャンプーのボトルを使い切ったところで漸く浴室を出て普段自分が着ている服に着替えると暫くして元に戻った身体にホッと息を吐く。
が、鬱血の痕はくっきり残っており泣き腫らした目は酷いありさまで此れでは相手に会えないと。
そんな時数時間前に届いていた相手からの“迎えに行く”というメールに気付き今の時間を見てみると既に約束の時間で、ほぼ同時に叩かれる扉の音に過剰に反応して。
今の姿を見られたら絶対に何か聞かれる。
しかし男からは“彼氏(相手)に見せろ”以外に“全て合意の上だったと言え”と。
そして“逆らえば…”と言われていて。
折角相手に近づけたのにと悔しさで唇を噛みしめるも相手の苦しむ姿など想像もしたくない。
兎に角鬱血に気付かれるまで平静を装おうと腫れた目が少しでも分かりにくくなるよう眼鏡をかけ深呼吸してから扉を開けて。
「…桐崎……わざわざ迎えに来て貰って悪いな」
(口元に微笑みを浮かべ早速相手の部屋に向かっては顔をなるべく見られないよう足早に先を歩き、相手の部屋に入ってからもなるべく顔を見ないようにする。
こんなことをしても相手に男との“偽りの関係”を告げなければいけないことは変わらないのに少しでも長く相手と甘い時間を過ごしたくて必死で笑顔を取り繕い。
それでも相手の手が動いただけで昨夜の恐怖が蘇りビクリと肩を震わせてしまっては「…い、いきなり動くなよ。…ピアス開けるの初めてだから緊張してんだよ」と僅かに震える声で恥じらう振りをして誤魔化し。
>露木
( 相手の部屋に来るなり疲れた様なその表情と過剰に見える怯えに眉を寄せては兎に角離れて。
中身は男だとしても女の目線から見た“男”と言うのは恐ろしい物で、しかし相手に何が合ったのか分からない自分は気付けずに居て。
自分の部屋に付くなり相手をベッドに座らせ相手の右側にギシリと座るとまた相手がビクリとするのに気が付き明らかに様子がおかしいと。
視線を逸らす相手を暫し見詰めるも痛みを減少させるべく氷水を入れた袋を持って来ては相手の耳に当て。
感覚を無くし開ける場所を確認すべく軽く耳に触れては「直ぐ終わるから、大丈夫」とだけ告げカシャッと言う音と共にセットしておいた揃いのピアスが付いたのを確認しては「ほら、もう終わったよ」と。
相手の様子を確信するべくベッドへといきなり押し倒しては不意に暴れ出す相手に内心驚きつつ胸元に付いたの鬱血の後を目にしては頭が真っ白になり。
「………なぁ、…これ…どういう事??………誰に……………」
( “相手とは気持ちが通じ合ってる”だなんて勝手な事を考えてたがまさか違かったのかと。
控え目な揃いのピアスに触れるべく相手の頬に触れると相手の瞳に浮かぶ涙に気が付く。
「………何か、合ったのかよ。………なんで………」
( “そんな怯えてるんだよ”とそれを問う事は出来ず相手の鬱血の痕に軽く指を這わせては「…男でも…出来たとか??」と問い掛ける。
「………今日、男に戻る筈だよな。………好きな男が出来たから女のままで居るのか??」
( どうか嘘で合って欲しいと思うと共に相手の顎を軽く掴んでは口付けをすれば男に戻る事を思い出し無理矢理口付けようとして。
>桐崎
(優しくピアスを開けてくれる相手に心痛めるも押し倒された瞬間、反射的に身体は震えてしまい其れを止める術はなく相手の問いかけに切なげに眉を下げ。
全てを打ち明けてしまいたいが相手が誰かに蔑まれ傷付けられるのは嫌で、口付けられると気付いては力の限り相手を突き飛ばし。
「……やめろよ…、…………別に、これは無理矢理じゃない。…この格好ならみんなチヤホヤしてくれるし…なんとなく気分が良くて、成り行きで…………、兎に角、自分から誘ったんだよ」
(恐怖で喉が引きつり上手く言葉が紡げないながら嘘を並べては身を起こして相手を見詰め「…幻滅しただろ?……だからもう俺に近付くな」と冷たく述べては相手の部屋を逃げるように出て。
(戻ってきた自室、相手に揃いのピアスをつけてもらい嬉しい筈なのに今は辛いものでしかなく唇を噛みしめる。
夜にはまた男のもとへ行かなければならない。
だが、この身体もその時には元に戻るだろう。
そう何度も若頭に能力の継続を頼むと怪しまれるかもしれないが、男が自分が男だと知ったら確実に気色悪がられるし相手に何をするか分からない。
迷ってはいられないともう一度若頭に女で居続けたいと頼み込んでは能力を強くかけ直して貰い男の元へ向かって。
(其の頃、男は昨夜自分の携帯から勝手に盗んだ相手のアドレスで相手にメールを送っており《お前の彼女から話聞いた?“化物”のお前より俺がいいんだって。一緒にいて恥ずかしいし気色悪いって言ってたぞ》と本文を打つと、自分を脅迫して言わせた相手の蔑みの言葉を録音した音声を添付して。
(眠れぬまま男の元へ来ては『上手くやったか?』と肩を組まれ震えそうになるのを堪えてぎこちない笑みを浮かべる。
男に自分が男だと悟られぬようあまり喋らず大人しくしては、男がこのお遊びに飽きるまでの辛抱だとじっと耐えて。
>露木
( 突き飛ばされた体制のまま俯いては相手の言葉が信じられずにぼうっとして。
冷静になんて居られなかったが気を逸らす様にバイトへと向かう準備をしてはバイト先へと訪れる。
しかしバイト先に着いた所で相手からメールに気付いては思わず自嘲の笑みが溢れるも泣きそうになるのを堪え唇を噛んではさっさと仕事に向かって。
結局は皆離れて行くのだ、最初から信じなければ良かったと相手と揃いのピアスを外し上着のポケットへとしまっては仕事に取り掛かって。
( 男は相手の腕を取っては『ここは寒いしな、俺の家連れてってやるよ』と言い自宅であるマンションへと相手を無理矢理連行して。
いきなり相手を押し倒すと前回の様に細い両手を拘束し『抵抗するなよ』とほくそ笑んで。
首筋に顔を埋め『お前が俺に逆らわなければ彼氏には手を出さねぇよ』と。
耳元に吐息を吹き掛けては男は相手の耳元に触れ『お前ピアスなんて開けてたか??』と。
相手の答えなど聞かずに相手の衣服に手を掛けては『明日はお前の寮に連れてけよ』と相手が男である事など知らずに。
( バイトを終え寮へと向かうが部屋に戻ってしまえばまた一人である事を思い知らされてしまうと真っ直ぐ共同のロビーへと訪れる。
ソファーへドサリと横たわれば真っ暗になったロビーを見回し携帯を取り出してはアドレスを流し見て。
もう相手と関わるのは止めようと生半可に胸に決めるも“昨日までの相手は嘘だったのだろうか”と。
うとうととしてはロビーにも関わらずソファーに横になったまま眠りに落ちそうになる。
朝にでも自室に戻れば良いと言い聞かせ携帯を開いては眠気に耐えながら相手のアドレスを探して。
《そんなに女の身体にハマったんだったら俺にも俺にも遊ばせろよ。あんたの言う通り幻滅したけどあんた身体だけは良かったからな》
( 最低な言葉を打ち送信してはまだ耳に残る相手が自分を蔑む録音メッセージ。
自分も熟々馬鹿だなと思いつつ小さな寝息を立てて。
>桐崎
(男の家にて隣で眠る男の横で寝付けるはずもなく明日寮のことをどう誤魔化そうか考えていると相手からのメールが届きその内容に身勝手にも胸を痛めては結局その日も一睡も出来ぬまま朝を迎えて。
朝から煩く横で話し掛けてくる男の言葉を受け流しつつ吐き気を堪えながら無理矢理朝食をねじ込むも我慢できずに男が別室に行った隙にトイレで全て戻す。
それでも身体はさほど辛くなく嘘でも相手を蔑んでしまったことが気がかりで。
(結局名案が浮かばぬまま男の好みの服を着せられ寮へ足を向けるも、まさか男子寮に連れて行く訳にもいかず相手が居るとも知らず共同スペースに来る。
敷居があったため相手がいることには気付かず一番奥のソファーに腰掛け他愛のない話になるよう会話を運び。
しかし男は公共の場にも関わらずやや度の過ぎたスキンシップをしてきては抵抗するも『彼氏がどうなってもいいのか?』と囁かれては大人しく受け入れて。
男はそんな自分を少々つまらなく思ったのか首筋に口付けるところなどをご丁寧に共同スペースでリアルタイムの動画だと分かるよう撮影し、《今お楽しみ中。昨日女(自分)にお前が送りつけたメール見たよ。遊びたいんだろ?今ならただで混ぜてやるよ》と動画を添付し相手にメールを送りつけ。
そんなこととも知らず男の要求どおり首に腕を引っ掛け震えを堪え必死で時間が過ぎるのを待って。
>露木
( 見事に深い眠りに落ちてた中、ソファーが軋む様な音に目が覚めてはうっすらと目を開ける。
誰か居るのだろうか、携帯のランプが点滅するのに目が行きメールを開けばそこに映し出される光景に絶句し改めて敷の奥に居る存在に確信をして。
苛立ちが募り敷を蹴飛ばしては相手を冷ややかに見下ろし「うるせぇんだよ、耳障り」とだけ告げては共同スペースの扉に手を掛ける。
しかし男に呼び止められては相手をこちらに見せ付けられ『貸してやるって言ってんだろ、こんな美人中々居ないぜ??』と。
冷たい表情を変えずに男と相手の関係を理解してはズカズカとそちらに近付き相手の腕を男の力で強く掴み引き寄せて。
「良かったじゃん、あんたそういうの好きなんだろ??悪いけど俺は3人で仲良くするなんてごめんだから。金払うから今度相手してくれや。………あんたそっち(身体)くらいしか取り柄無いもんな」
( 酷い言葉を吐きながら心中ズキズキと胸が痛むのを押し堪えては相手を男に突き飛ばす。
“裏切られた”と、ただそれだけが悔しくて次に男を思い切り睨み付けるも男は厭な笑みを浮かべたまま『良かったな、あの化物に解放されてよ。お前あんな気色悪いのといたくないって零してただろ??』とまた適当な嘘をつらつらと並べて。
苛立ちを募らせながら共同スペースを後にしては自室に戻りシャワーや着替えなどを済ませ青年の部屋に向う。
合鍵を貰ってた為勝手に入ればベッドで寝息を立てる青年の隣に潜り込んで行って。
『………ん??…あれ、兄さんどうしたの??』
「部屋で…一人だったから何となく来てみた」
『え、大胆だね。俺逆に眠れないかも』
「あんたも………やっぱり俺を化物だって思うか??」
『どうしたのいきなり』
「俺、実家から帰って来いって連絡来たんだ。母さんと父さんの金が尽きたんじゃねぇかな」
『……………は??』
「俺彼奴(相手)の事好きだったっぽい、………でももう顔も見なくない」
『ちょっと兄さん全然掴めないって』
「…来週、実家に帰る」
( 段々と眠気が襲い掛かってきては青年をぎゅっと抱き締め安心した様に寝息を立てる。
青年はやや焦り気味に兄にメールを送るも兄は実家の事なんて何も知らない様子で。
次にメールを送ったのは相手、《昼過ぎ俺の部屋に来てよ。何が合ったのか分からないけど…。兄さんも居るけどこの調子だと夕方まで起きないだろうから絶対来てね》と送り付けては一人困惑に落ちて。
>桐崎
(男から漸く開放されまた夜会う約束をしてはなんとか寮へ行くことは阻止し、怠い身体を引きずり部屋に戻る。
こんなこといつまで続けなければいけないのだと拳を握り締め相手から言われた言葉を思い出しては涙がこぼれ落ちそうになるも裏切ったのは自分だと涙を堪え。
その時青年からのメールに気付くもこんな姿で行ける筈もなくどうしようと狼狽える。
しかし青年には何度も世話になっているため断りにくく、相手が寝ているならとシャワーを浴び着替えてから青年の部屋に向かい。
(青年は自分の姿を見るなり目を見開くも若頭のことを知ってか直ぐに察してくれ中に通される。
が、やはり奇っ怪なのかマジマジと此方を見られ。
『最近、露木の部屋に女がよく来るって男子の間で噂になってたけど…まさか本人とはね。…で、なんでずっとそんな格好でいるの?3日はとっくに過ぎてるでしょ?それに…酷い顔してるよ』
「……少し、訳があって…」
『………兄さん、すごく悩んでるみたいだった。…これ以上兄さんを傷つけるようなら俺、許さないよ?』
「……御免、でも、仕方ないんだ。…………あんたが桐崎を傍で支えてやって。あんたのが其奴の気持ち分かるみたいだし…其奴もあんたといるほうが気が楽みたいだ」
(青年のベッドで眠る相手を切なげに、それでも微かな微笑みを浮かべ見詰めてはフラリと立ち上がり「そろそろ時間だから。………赤城……桐崎のこと支えてやってな」と言い残し相手が僅かに身をよじったところで青年の部屋を後にしそのまま男の元へ向かって。
(男の家にて食事を出されるもとても食べられる状態ではなくダイエット中だと適当に理由をつけては男の話に合わせて。
『そうだ。…来週俺の親にお前を紹介するから準備しとけ』
「……え?…紹介って…どういう…」
『紹介は紹介だよ。つべこべ言わずに俺に従え』
「…わ、分かった…。……でも、3日でこっちに戻りたい」
『3日?なんでだよ?……まあいい。どうせ丁度休みも終わるしな』
(男の言葉に僅かに安堵するも重たい気持ちは変わらず、いい加減男の身体に戻らないと危ない事は薄々感じていて。
夜、男が隣で寝息を立てる頃、携帯につけたままにしている相手から貰ったストラップを握り締め「…繿……」と相手の名を呼び、罪悪感に押しつぶされそうになりながら少しでも疲れが取れるよう目を瞑っていて。
この時、相手が実家に戻るとは知らずに男の実家が相手と同じ場所であることも気付けずにいて。
>露木
( あれからバイトなどに励み恐れてた来週はあっという間にやって来ては重たい気持ちで準備をする。
なぜこの高校を突き止められたのかも分からず、逆らう事も出来たがそうすればまた面倒な事になる。
三日間だけ両親の言う通りにすれば良いと自分に言い聞かせ電車を乗り継いでは実家への道を歩く。
髪色を隠す様にパーカーのフードを深々と被りイヤホンの音を上げては見えて来た実家の玄関を叩く。
ガチャリと開いた扉から顔を出したのは自分の実の母親で自分を見るなり怪訝に溜息を付いて。
「………久しぶり」
『いつまでも外に居られたら恥ずかしいじゃないの、早く中に入って頂戴』
( 慌てて家に入り父親の部屋へと向かえば顔だけは自分とよく似た父が立ち上がりこちらへと歩み寄る。
咥え煙草が恐怖をそそるも父の拳が頬へ命中してはのそのそと体制を戻す。
『勝手に家出してどこに行ってた』
「………と、遠い高校に行きたかったんだよ」
『さっさと金を稼いで来い、今日中に30万稼がなければ“仕置”だ』
( 部屋の端で酒を飲みぼんやりとする母に助けを求められる筈も無くコクリと頷いては最低限の荷物を持ちさっさと家を出て。
人通りの多い駅へと訪れてはどうやって金を稼ごうかと携帯を見詰める。
今までの仕事を思い返すなり少しくらい辛くても平気だし言う事を聞かなければ不味い。
『君…学生よね、こんな所で何してるのよ』
( 不意に掛けられた声にしゃがんでた体制のまま上を向けばごく普通のOLが立っていて。
『顔のその痣どうしたの??…何かされたの??』
「そんな事どうでも良いからさぁ………お姉さん俺の事買ってくれない??」
( 人が行き来する駅の中、しんとした空気に包まれながらも焦りを生じる表情で目前のOLを見詰めて。
( その頃、まさに自分の実家の近所である男の実家へと訪れると男は相手を部屋に居れる。
…が、男の両親は留守にしてた為にまた時間を潰したらもう一度実家に来ようと言う事になり。
駅方面と向う途中、自分と良く似た黒髪の男が相手と男の横を通り過ぎれば咥えてた煙草を地面に捨て火を消して。
>桐崎
(男と訪れた見知らぬ街、嫌々男と腕を組み駅方面へ歩るくもやや足取りは覚束なく。
この日まで数回男に戻ったものの直ぐに女にして貰うのを繰り返し、まともに寝付けず食事も喉に通らないため睡眠薬とサプリメントが手放せなくなっていて。
ぼーっと歩いていると相手とよく似た長身で黒髪の男が煙草を踏み捨てるのに目がいき、自然と男の腕をほどきそちらに足を向けては捨てられた煙草を拾い上げ黒髪の男の背を叩き振り向かせ。
「…ポイ捨ては駄目ですよ。それに歩きタバコも。特にここは駅周辺で人通りも多い…子供に当たったら大変です」
『あ?…手前、誰だよ?ゴタゴタうるせぇな』
(本当に相手とよく似てる。ボーと黒髪の男を見上げていると一緒に来ていた男子が相手の父と分かった瞬間慌てて自分の頭を下げさせて『す、すみません。此奴ここの奴じゃないんですよ。ちゃんと口出ししないよう言いつけておきます』と早口で言い自分の手を引きその場から一目散に逃げ去って。
黒髪の男、相手の父はこの街では乱暴の荒くれ者だと名が知れており“化物を飼いならしてる”などと恐れられており。
相手の父は逃げ去った自分達に舌打ちしてはまた新たに煙草を銜えて歩を進め、ホテルから出てきた相手を見つけるなりそちらに近付いていき有無を言わさず相手から財布を取り上げ札を全て抜き取ると枚数を数え胸の内ポケットにしまい相手に煙を吹きかけて。
『なにチンタラ安い仕事してんだ?稼ぎ方は教えただろ。それともまた躾なおされたいか?』
(そう言うなり相手の耳を掴み無理矢理路地裏に引き込んでは胸倉を掴んで壁に押し付け首筋に煙草を近づけて『手前の薄汚ねぇ力は何の為にあんだ?金を稼ぐためだろ?其れを使わねぇなんざ脳味噌腐ったんじゃねぇか?』と相手の髪を乱暴に引っ張り上げ醜悪な暴言を浴びせては髪を掴んだまま路地裏の奥へと進み、相手にとってはトラウマであるこの街のバーの裏にある見世物屋へと向かって。
そして店に着くなり相手を薄暗い裏部屋へ放り込んでは、相手の服の隙間から見えたまだ新しい火傷の痕やみみずばれに気が付き口角を上げて『なんだ手前、逃げ出したかと思えばやることやってんじゃねぇか。やっぱり“化物”は物好きにしか構って貰えないってことだな。これで良くわかっただろ。どんなに逃げたところで手前は普通の人間にはなれねぇんだよ』と相手の顎を撫で上げニタリと笑み今日来る客のリストを渡して。
(其の頃、男の家に戻り男の両親と顔を合わせるも笑顔を作る余裕はなく兎に角話だけ合わせるようにして。
男の両親は男と似てやや意地悪そうな顔をしていて口を開けば人の悪口ばかり。
いい加減もう疲れたなと思う頃、男の母親が口を開き『そうだ。折角帰ってきたんだから久々にあそこ(見世物屋)に行ってきたら?噂だけど今日は良い物が見られるらしいわよ』と。
>露木
( 三日間しっかりと金を稼げば帰れる、さっさと帰ってまた暫く穏やかに過ごす為にも今は素直に言う事を聞くべきだと自分に言い聞かせて。
訪れたバーを見るなり身体が急激に冷め、父に手を引かれても足を止めてしまって。
しかし近付けられた煙草に気付いては慌てて後に続くも裏の部屋に放り出されては内心穏やかでは無く震えを止める様に唇を強く噛んで。
( 相手と共に居た男は両親の言葉に冷ややかな笑みを浮かべると相手に『行くぞ、金は払ってやるから。お前も見たいだろ??』と強引な物言いで告げて。
強い力で相手の腕を引きバーの店主に裏取引をしてチケットを受け取ると裏の見世物屋へと向かって行って。
長い廊下にはかつての見世物達の写真が飾られその中には幼少期の自分の姿もあり男は敢えてそれを見せると『彼奴はこういう仕事が一番向いてんだよ、人間様なんかと馴れ合っちゃ駄目って事しっかり理解して貰わないとな』と呟いて。
( 出番を告げられ男に首の鎖を引かれてはカチカチと歯を震わせながら舞台へと向かう。
好奇の視線を浴びるのは昔から苦手で下を向いたまま前を見ない様にしては男の命令が聞こえ。
早く能力を解放しなければならないのにコントロールが効かず苦戦するも男の鞭が振り上がるのに気付いては何とか能力を解放する事が出来て。
歓声が沸き起こる中、まさか相手がいる事など知らずに男に鎖を引かれてはゆっくり従って。
裏の部屋にて何とか姿を戻そうとするも何度試しても戻れない、サッと嫌な汗を感じては何とか戻らなければと苦戦するも父がこちらに歩み寄って来ては距離を取って。
『んだよ、戻れなくなったってのか??兎に角30万稼げたらしいじゃねぇか。明日も頼むぜ』
( 店主の男から受け取ったのだろう札束をパラパラと数えては再び能力を戻そうと。
5分程した所で漸く人姿に戻れては乱れた呼吸を整え激しい疲労に襲われて。
>桐崎
(何処に連れて行かれるか分からず嫌々ついていくと其処は明らかに怪しい店。
そして相手の悲しい過去の写真を見せられては目を逸し「帰りたい」と言うも聞き入れて貰える筈もなく席に座らされ。
相手にこうなって欲しくなくて男に従ってきたのにこんなのあんまりだと見世物が終わるまで俯き唇を噛み締める。
そして見世物が終わり客が次々と帰っていく中、男の目を盗んでは裏口に回り物陰から中の様子を窺い。
中は薄暗く視界が悪かったが疲れきってぐったりする相手に昼間会った黒髪の男が蹴りをいれていびっているのが分かり、飛び込んで行きそうなのをグッと堪えて。
暫くして漸く男が相手を開放すると乱暴に身体を起こし小銭を渡して裏口から押し出し『逃げるなよ』と。
しんと静まりかえる部屋、男がまさか相手の父親だとは思わずその厭らしく札を数え直す姿に怒りが抑えられずつい飛び出してしまっては此方に気付いた男を睨みつけ。
『手前、昼間の…。何のようだ?』
「………明日も彼奴に同じことをさせるのか?」
『あ?てめぇになんの関係があんだよ』
「…………自分が代わりに稼ぐ」
『は?』
「この身体で…30万。…いや、それ以上に稼ぐから…桐崎を見逃して欲しい」
『はっ、てめぇは彼奴の女か?…なぜそこまでするんだ?』
「…自分の、ためだ」
(短く答えて男を見据えると、男は難しい顔をするも煙草を吹かすと口角を上げ『良いだろう。だが倍の60万稼げなかったら予定通り彼奴は見世物に出す』と条件を出してきて其れを呑んでは見世物屋を後にし、外で待っていた男と共に男の家へと戻って。
(翌日朝早くから男達の家族の目を盗んで家を出ては指定された酒屋に向かい、朝から飲んだくれている男達にお酌しながら徐々にエスカレートしていくスキンシップに耐え。
夕方前に漸く60万円に達しては其れを手に見世物屋に行き男(相手の父)に渡してさっさとその場を後にする。
朝から何百近く来ている男からの着信とメールにうんざりしながら足取り重く男が待つ喫茶店へ向かい、ふと相手から言われた“こっち(身体)しか取り柄がない”という言葉が過り、本気で言った訳ではないと分かっていても本当にその通りだなと皮肉じみた笑みが零れて。
>露木
( 目前で繰り広げられる相手の言葉に目を見開いては止めようとするも能力を使った為の体力を削られそのまま段々と気を失う。
後に父親が乱暴な扱いで自分を引き摺っては自宅へ連れ戻しては空き部屋に放り投げて置いて。
( 翌日、漸く目を覚ましては何時もの様に酒に飲んだくれる母親に「………父さんは??」と問い掛ける。
しかし返事は無く辺りを見回すと父の上着が無い事からまた賭け事にでも行ってるのだろうと。
そんな事より相手の姿を探さなければと家を後にするも玄関を開けた途端に父と正面から鉢会えば冷ややかな視線を向けられて。
『どこに行くつもりだ』
「彼奴に………彼奴に金を受け取ったんだろ??何で………彼奴は何も関係無い。………金なら…俺がちゃんと稼ぐから!!!」
『あの小娘がやると言ったんだ、それに手前よりもしっかりと稼いで来るしな』
( 父の言葉を最後迄聞かずに走り出しては街に向かい相手の姿を探して。
( その頃、男は明らかに不機嫌な表情で訪れた相手の前にて足を組むと飲んでたコーヒーを置いて。
『俺に黙って何処に行ってたんだよ、浮気とは良い御身分じゃねぇか』
( 携帯を取り出し相手(女)に無理矢理乱暴した写真を見せては『こんなのバラ撒かれては女としてやってけねぇだろ、一生の恥だぜ??』と。
店の中にも関わらず嫌がる相手の唇を奪うと『俺から逃げられると思うなよ』と言い残して。
( 街まで訪れガラス張りの喫茶店にて相手を見掛けては中へ入り相手の腕を引っ張っては雑に代金を払い店の外に連れ出して。
それから昼間にも関わらず無理矢理相手の腕を引きホテル街に来ると一件のホテルへと入って。
昨夜相手がずっとその身で働いてた事を知りながらベッドに放り投げると相手に馬乗りになり自分の唇を噛み締めて。
「……………んで、余計な事すんだよ。………あんたが犠牲になる事無ぇだろうが………」
( 悲痛に表情を歪めながら相手の胸倉を掴むと相手の肩に額を当て泣きそうな表情を隠して。
「………好きだったんだよ、………あんたが俺を遠ざけるから諦めたんだ。………女でも男でもあんたには変わり無い。………初めて“人間”って認めてくれたあんたの事が…………………………」
( 無理矢理相手の唇を奪い、それからは何も言わずに強引に相手との行為を勧めて。
唇を奪っても戻らないのは相手に掛かった能力が強いものになったからとは気付かずただ心にも無い行為だからなのだと思い込んで。
情事を終え自分の服を整えては相手に数枚の札紙を放り投げ無言でその場を立ち去って。
実家へと到着し父が仁王立ちしており『犬は犬らしく外で寝ろ』と言われては締め出されて。
ふと近所の夫婦(男の両親)が蔑む様に見詰めて来たが子供の頃にも合った事だしと兵に寄り掛かりゃ腰を下ろしてはうとうとと居眠りをする。
その近所の家に相手が寝泊りしてる事すら知らずにくしゅん、とくしゃみをして。
>桐崎
(ホテルに連れられ相手の悲痛に歪む表情を見ては胸がズキリと痛むも“好きだった”と言われホッとする。
自分が今男に従っていることは無駄になっていない。
自分のような人間を好いてくれていた相手を“守れている”と思い上がって。
抵抗らしい抵抗はせず“桐崎”と相手の名を何度か呼び、無意識に“御免な”と謝罪の言葉を述べては放り投げられた金は取らずに相手が出てから数時間後ホテルを出て。
フラフラした足取りで男の家へ重たい足を向けては『遅い。何処ほっつき歩いてた』と腕を引かれ二階の男の部屋へと連れられる。
暫くして両親が帰ってきて一階のリビングから『あの“犬”と目が合っちゃったわ。不吉ね』『凍え**ばいいのにな』と相変わらずの侮辱が聞こえてきたが相手のこととは思わず男の部屋の窓を開けてぼんやり空を見る。
男は風呂に入っており部屋に居なく時間も時間なだけあり外は静かで少々郊外のせいか星が綺麗に見えて。
夜空に浮かぶ満月をボーと眺め何となく手をかざしたところ、小さなくしゃみが聞こえてきて辺りを見回すと少し離れた家の前に相手の姿を見付け。
こんな寒い中なにをしているのだろうと暫く見ていたが何もせずに一向に部屋に入る気配がない。
あのままでは確実に風邪を引いてしまうと昨日男の家の物を使うのが嫌で買っておいた毛布を手に両親たちの目を盗んで外に出る。
正直、考えなどなかった。それでも相手を好きな気持は変わりないのだがら放おって置けるはずもなく相手の家の前まで来ては塀を挟んで反対側にいる相手に毛布を放り投げその場を去ろうとするもふと足を止めて塀に背をもたせかけ。
「……桐崎、……昼間のこと…気にしなくていいから。……他の奴にやられた時はすごく気持ち悪かったけど…あんただからか全然嫌じゃなかった」
(ポツリポツリと塀の反対側にいるだろう相手に話しかけては小さく息を吐き「……きっとあんたのこと認めてくれるやつは沢山いるよ。赤城も綸もいいやつだし、…ハナもナツもあんたのこと慕ってる。………負けるなよ」と穏やかな声色で紡ぎ最後に小声で呟いては、突き放さなきゃいけなのに何をやっているんだと唇を噛み締めては何も言わずにその場から立ち去ろうと。
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