KM 2014-12-28 20:56:32 |
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僕は、誰にも話してない秘密がある。
親友のユウキにさえ話していない秘密。
何度も秘密を話そうと決意したけど僕にはやっぱり出来ない。
男の僕が、男が好きだなんて。
打ち明けられない。ましてや、ユウキが好きだなんて。
だから僕は未だに想いを打ち上げていない。
僕の胸の奥に、そっとしまってある大事な気持ち。
僕とユウキは来年高校生になる。
ユウキは頭がいいから高校は別になってしまう。
多分、卒業してもこの気持ちは打ち上げられないだろう。
だから僕は
『ただ、君の幸せを願う。』
神様、どうして僕は男でユウキも男なんでしょうか。
僕は間違っているのだろうか。
性別も、生まれる場所も好きになる人も。
ーーーもし間違っているのならば、何が合っているのだろうかーーー
『っ、おい哲也、だからその話の続きは?』
ハッとして僕はユウキの顔を見る。
『あ?んだよ、なにぼーっとしてんだよバーカww』
ユウキは僕のほおをペチッと叩く。
『これで目ぇさめたか?つか最近何なんだよお前。かぜでもひいてんじゃねぇの?』
『大丈夫。バカは風邪ひかないっていうしさ。』
『何言ってんだバカでも風邪はひくぞ』
ユウキはたまに天然だ。少し荒っぽいけど実は優しい。
某猫型ロボットのアニメに出てくるあのガキ大将みたいな性格。
『ねぇ、ユウキってさ』
『あ?なんだよ。』
僕は小さく息を吸う。
『好きな人とかいんの?』
『あぁん!?いね…いねぇよバカ‼︎アホか‼︎つかなんだよいきなり!』
『あはは、だよね。ユウキ恋愛とか興味ないもんなぁ。俺が一番知ってる。なんて、な』
毎日の他愛のない話。
もし君に好きな人が居るとするならば、それはきっと僕ではないだろう。
なんども言うけど、僕もユウキも男だから。
どんなに仲が良くても恋人同士にはなれないのだから。
「はぁ」
ベットに横になる。
無意識に僕の指はiPhoneのホームボタンを押して某サイトを見る。
ふと、目に入るあるページ。
「・・・?」
僕たまたま目に入ったページに興味を持った。
内容は好きな人のために生きてられる時間の半分を捧げるというものだった。
もともと僕はオカルト系のことが好きだ。
だから「怖い」という感覚はなかった。
そのページを僕は、どんどん読み進めていく。時計のカチコチという音が部屋に静かに、鳴り響く。
「なんだよ、これ・・・」
全て読んだ時、僕の心臓は生きてきた中で最もゆっくり、だけども深く動いていた。
「これ、もし僕が実行したら・・・」
考えたら鳥肌がずぞっと走った。
怖いからではなかった。
だけどどういう意味で鳥肌が立って
僕の心臓の鼓動が早くなったのかは
ーーーーーー僕にも、わからない。ーーーーーー
本文:結局は、自分の寿命半分と引き換えにあいつの幸せを願う
ってこどだろうか。
僕はこんなことをしてもいいのだろうか?
ユウキは本当に幸せになれるだろうか?
なんて、実際に実行する勇気さえ無いくせに考えていた。
『いつからこんな思うことだけ立派になったんだろうか』
本当にそうだ。告白も同様。
好きだなんて想いを伝える勇気もないのに思考だけは立派なんだ。
もしユウキが僕を好きだったら。
もし僕が告白したら。
なんて、ありえもしない『もし』を僕は考える。
いつからだろう、僕がこんなに受身になっているのは。
『ピコーン』
右手に持っている携帯にラインが届いた。
僕はゆっくりと内容を見る。
『はぁ』
僕は少しガッカリした……のかもしれない。
僕はユウキからのラインだと勝手に思い込んでいたからかもしれない。
なんだか僕はあのサイトを見てから少しおかしい。
実行してみたい気持ち。
だけど、なんだか気がひける気持ち。
まぁ結局、弱虫の僕には実行するなんてありえないことだろう。
『ちょ、哲也ぁー。夕飯だから降りてこいや!』
姉の怒鳴り声に僕はビクッとする。
『わかった。つかそんな叫ばないでようるさい』
少し怒り気味で僕は返事をして渋々食卓の椅子へと向かった。
『ごちそうさま』
僕はそう言い、部屋に戻った。
考えているのはあのサイトの事。
『ピコーン』
携帯が鳴っている。
僕は少し鬱陶しく感じて10分ほど放置してた。
その間もいろいろ考えてモヤモヤしてた。
『ピコーン』
また携帯が鳴る。
僕は渋々携帯をみる。
ユウキからだった。
少し鼓動が早くなる。
なんて来ているのか見ようと僕はラインを開く。
それと同時に言葉を失った。
『俺、彼女出来た(。ㅎ///ㅎ)』
あれ?ユウキ…だよな。
彼女…?は…?
いや、そりゃユウキにも彼女くらい…いやでも。
僕は無意識に指を動かして返信。
『誰?』
おめでとう。とか、よかったな!なんて今は言えない。
『ユキ。』
僕の知らない名前。
あいつ、いつの間にそんな…
『そっか』
『おう、一応報告しとこうとおもって』
『幸せか?』
僕はその文を送ると同時に雫が一滴、二滴と落ちた。
透明な雫が静かに。ポタ、ポタと。
目の前がぼやけた。
あぁ、これが失恋というやつか。
割と冷静に理解できた。
『幸せだぞ笑』
はは、なんだよ幸せなのか、馬鹿野郎
僕は確かに君の幸せを願っていたさ。
だけど、こんなに君の幸せが早く来るなんて
僕まだ準備できてないよ、**。アホ。くっそ…。
馬鹿みたいに目からボロボロ、涙を流す
『幸せずっと続けばいいな笑』
この返信の意味はきっと、ユキって人とずっと付き合っていたいな。と言うことなのだろう。
だけど僕は…僕は…
この時、僕は思った。
しょっぱい味の水が口へ伝ってきた。
そのしょっぱい水を弾き飛ばす勢いで、震える声で僕は
『お前のその願い叶えてやる…!』
そう強く強く、叫んだ。
保証してやるよ、お前が幸せならきっと僕だってしあわせだ
……気づけば朝になっていた。
さっきまでしていたことが、あまりよく思い出せない。
でも僕はきっと、とんでも無いことをした。
クマができて少し腫れてる目をこすって机の上の鏡を見た。
瞬時に僕はちゃんと思いだした。
ユウキが幸せになるために僕は、実行したんだ。
あのサイトに書いてあることを。
寿命の半分の命を捧げた。
本当にこれがちゃんとしたもので、僕の命が半分にかけてることも分からないけど。
これで、ユウキは幸せだ。きっとね。
うん。後悔はしてないよ。
『学校、行かなきゃな』
僕はいつも通りに準備をして登校をして1日を終わらせるんだ。
『あ…』
ふと思い出した。僕はユウキに、お前が恋愛興味ないのなんて俺が一番知ってる。なんて言ったんだ。
はは、俺間違ってんじゃねぇか。
涙はでなかった。
下を向いてドアを開けて僕は無意識に家を出て学校へ向かった。
今日は1日ぼーっとしていた。
何人かの友達にからかわれた。励ましてくれた奴もいたけど、失恋したから落ち込んでるなんて言えない。
(あのサイトのやつ、本当なのかな。嘘だとしても本当だとしても、別にいいけど。)
『おいてっちゃんwwなんでそんな落ち込んでんの?』
友達、というべきなのか同級生というべきなのか曖昧な奴が話しかけてきた。
『別に。』
『あからさま落ち込んでるのに別にっておまwww』
『テンション高いな。』
『てっちゃんは低すぎwwこの俺、如月祐一に話してみなさいなwwwなにがあったん』
いきなり心配そうにこっちみんのやめてくれないかな。
『だから、何もないって。俺帰る』
ガタッと慌てて席から離れる。走って帰りたい。今更なみだがでてきそうだ。
『え、てっちゃんまてよ』
祐一は俺の腕をつかもうとした。
が、俺は捕まえられる直前に転んだ。
ださい。俺、ダサすぎる。
『なにしてんだよww大丈夫か?』
俺の目をじっと見つめてくる。
『平気。帰る。』
『え、あ!?ちょっとまててっちゃん足!!血!!』
『は?』
祐一が指差す右足を見ると、俺の足から血が出ていた。
対して痛くないし、転んだときについたものだろうか。
『あぁ、ペンキだから平気。俺帰るから。』
そう嘘をついて俺は早足で帰った。
俺は祐一の事が苦手だ。
唯一俺が同性愛者だと知っているから、
そして、あいつも俺と同じ仲間だから。
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