演劇部部長と王子様

なに話してるんだよ。つか、子供なんて産めるわけねぇだろ!?俺は男だぞ!?
（朝になれば制服に着替えて降りてくるが前髪はいつものように垂れ下がっていて

あ！先輩、おはようございます！（ぎゅうと抱き着いて）相変わらず前髪が下がってるとすごくかっこ良……いえ、可愛いですね！いえね、お姉様が、まだ孫の顔を見せてくれないの？なんて冗談おっしゃるものですから。実際に出来たら、今はまだ困りますよね？責任問題ですよ？

可愛い!?幼く見えるってかっ！そこからなんで俺が産む流れになってるんだよっ！男だぞ!?女はお前だろ!?まぁ、たまに女ってことを忘れる（抱きついてきた相手の頬をぐいっと押して自分から離れさせて

え、だって、先輩は姫じゃないですか。もしかしたら妊娠に憧れてるのではないかと。まあ、先輩に王子に仕立てられましたからね。私にお姫様は似合いませんよ。ほら、朝食どうぞ(ダシ巻き卵を相手の口に入れて)

だから姫じゃ…むぐっ……
（反論しようとしたがいきなり口に卵焼きを入れられては反論することも出来ず、食べれば相手の言う通り朝食を食べ始め

美味しいですか？その、出し巻き卵（隣に座ってにこにこと相手が食べるのを見つめて）

ん～……まぁまぁだな
（相手の言葉を聞けばチラッと相手を見ながら素直に美味しいとは言わず

それ、私が作らせてもらったんですよ。(相手が食べてる姿を見ながらにっこりと微笑んで)

へー…って、なんでお前が作ってるんだよ？何時から家に居たんだよ…？
（にっこり微笑んでいる相手を見ればそう聞いて

（時計を見て）20分位前からですかね？丁度お姉様がご飯の支度してたので、手伝ってました！先輩、お母さんの手作りなら平気なんですね

チョコが嫌なだけで飯は大丈夫なんだよ
（朝食を食べ終われば食器を流し台に持っていき、頭をセットするために洗面所へと行き

チョコ限定！？なら、お弁当とかマフィンは良いんですか！？(食器を洗い始めて)
あ、おはようございます！相変わらず政行さんにそっくり……って、先輩とうり二つの顔で胸を揉まないで下さい！どんな挨拶ですか！(キッチンで堀弟に挨拶をしつつ、騒ぎ)

何やってんだよ……
（洗面所から戻ってくれば相手とじゃれあっている弟を見て。腰に手を当てながら聞くと軽いため息をついてしまい

先輩！ご兄弟なのに、何で弟さんは結構がっつりなんですか！しかも、こんなないかあるかわからない胸！(先輩の後ろに隠れて)先輩は堂々としたむっつりなのに！

誰がむっつりだ！むっつりって言うなっ！
（自分の後ろに隠れた相手を見ると頭にチョップをくらわせて。鞄を持てば学校に行くために玄関へと向かい

まあ、確かに、聞かれれば正直に答えてますけどね。(叩かれた頭を押さえて)待って下さいよ、先輩！(腕に抱き着こうとして)あ、忘れてました！はい！(綺麗に高級チョコ風にラッピングした包みを差し出して)今年はトリュフです。先輩、甘いのあまり好きじゃないですし、受験生の身体があったまるように、少しだけ洋酒が入ったのを選びました(←実は手作り)

これ、手作りか…？
（ジトーっと貰ったチョコの箱を見れば相手の顔を見ずにそう聞いて「すごく高そうなんだが…」と箱を隅々まで見ると相手に聞いて

え！？どうしてわかるんですか！？完璧にコピーして……！あ、でも、ちゃんと味見してますし、材料もその日買って来た新鮮なものを使用してますし、私も味見しましたし、お腹壊したりしません！(胸を張って告げて)

いや、ただ聞いただけだが…手作りなのか
（相手を見るとやれやれと思いながら鞄の中にしまうと家の外に出て学校に向かい「そーいや、読み合わせするだろ？」と思い出したかのように言い

あえて鞄にinなんですね(じっと見つめて)……ゴミ箱にinしないでくださいね？(そっと相手の手を握って)……その、どんなに高いチョコレートでも、そこに想いは詰まっていない気がしまして。……はい！お願いします！今なら、王子の切ない気持ちが解るような気がします！(胸を張って)