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寒さと飢えで行き倒れていた俺を拾ったお前。世話焼きで何も持ってない俺の面倒をみてくれた。早く出て行こうと思う反面、居心地の良さに日は延びていき。数週間経ってもうすぐクリスマス。仕事が忙しいらしいお前は帰ってくるのも遅くなって、それでも家に帰ったら俺に餌をくれる。こんなダメ男の為に。そしてクリスマスの日、いつものように俺はお前を見送った。「今日は早く終わりそうだから、待ってて。」この言葉に俺は嬉しくなって珍しく部屋の掃除をしてお前の帰りを待っていた。昼が過ぎて、日が暮れて、夜になって。なんだ、早く終わるって嘘じゃないか。玄関前でずっと待った、夜中になって、朝日が昇って、太陽が真上にきて、夕日が沈んで、夜になって。繰り返した、何回も。棚の中にお前が買い溜めしていた栄養食と水を廊下に置いて、玄関で扉が開くのを待った。彼女ができた?面倒みるの飽きた?俺はお前の事何も知らないから、ただ帰りを待つことしかできない。今、家を出て行かないのはきっとお前に気があるから。それを分かっていながら言葉にしなかった俺は本当に駄目な奴だろう。それでも俺は。
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__ お前の帰りを待ってる。 」
>1 ルール
>2 其の他