「アンタ、私の彼氏のふりしなさい!どうせ彼女の1人もいないんでしょ?光栄に思いなさい」
今思えば、この一言で俺の高校生活は一変したのだろう
なぜこうなった――!!
俺、坂村 和人はどこにでもいるような普通の高校二年生である。ただ強いてアピールポイントを上げれば、人よりコミュニケーション能力が高いということだろうか
俺の通う高校では街の中では一番大きく、偏差値もそこそこ高い高校だ。お金持ちの子供とかも当然のように通っている。俺はそんな高校で普通に過ごしていた
この高校にはある1人の女子生徒がいる。成績優秀、品行方正、100人に聞けば100人が可愛いと答えるであろう可愛らしい容姿、そいつは正に絵に描いたような『優等生』だった。強いて欠点を上げれば、容姿が絶望的に幼い・・・ということだろうか。俺だって最初見た時小学生かと思ったくらいだ。
そいつが日頃の行いも当然よく、人当たりも良い、教師や生徒たち皆に人気があった。特に男子からはそいつと仲良くなりたいのか頻繁に話しかけられていた。下心ありすぎだろ・・・
現在俺はそいつとはクラスメートであり去年も一緒と2年連続同じクラスだ。だが俺はそいつとは1回も話したことがない。クラスでそいつと話したことないのは俺くらいだろう。はっきり言えば・・・興味がない。
もちろん俺から見てもそいつは可愛いと思うし性格も良く見える。ただ何というか・・・そいつには何か違和感を感じるのだ。黒い何かが・・・
廊下ですれ違っても視線を合わせることはなく、日常的な挨拶すらしたことがない。正に『あかの他人』って感じだ
それはある日の事だった、放課後友人たちと話している時友人の1人が俺に尋ねてきた
「お前、恋愛とか興味ないのか?あいつとかどうなんだ?2年連続クラス一緒なんだろ?」
あいつ、というのは当然優等生のあいつのことだろう。この大きな学校で2年連続同じクラスというのは珍しいことであるのだが正直俺は特に興味がなかった。だから俺はこう答えた
「ああ、恋愛にもあいつにも興味ないな。というか何であいつあんなに人気あるんだ?確かに完璧近い人間だが同じような女子なら他にいくらでもいるだろ」
俺の心からの言葉だった。俺は何故あいつがあんなに騒がれているのかが理解できない。でも俺は自分の言葉に後悔することになる
まさかあいつが、ドア越しに俺の言葉を聞いていたとは知るはずもなかった――
次の日、俺はいつも通り登校して自分の下駄箱を開けると中に小さな紙が入っていた。俺は疑問に思いながらその紙を手に取ると、そこには
『放課後屋上に来なさい。もし来なかったら・・・』と書いてあった。え?なにこれ?来なかったらどうなるの?その日俺は手紙の事がずっと気にかかり授業なんか聞いてられなかった。そして放課後、友達と適当に会話してから屋上に向かいドアを開けると俺の視界には・・・
不機嫌そうな表情をしながら腕を組んで立っている『あの優等生』の姿があった
そいつは俺を視界に捉えると不機嫌な表情のまま俺の方へと身体を向けてまず一言
「遅い!この私を待たせるなんていい度胸ね。これだから男子は・・・」
俺は意味が分からなかった。突然俺に食って掛かるような物言いで、いつもと違う言葉遣い、いつもと違う表情、いつもと違う物腰、そして続けてもう一言
「アンタ、私の彼氏のふりしなさい!どうせ彼女の1人もいないんでしょ?光栄に思いなさい。拒否権なんて当然存在しないわ」
この幼児体形が・・・!!俺は全てを察した。こいつは普段猫をかぶって生活してやがる・・・と。これが彼女の本性なのだ。でも俺には不思議と、その時のそいつからはいつも感じていた違和感は感じなかった・・・
これは、そんな猫かぶり小学生(見た目だけ)と何故か巻き込まれた俺の間違った恋愛物語である
なぜこうなった――!!
>1にその他事項
>2に主プロフ