karasu925 2014-12-04 17:24:52 |
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「ん?」
山添いに自転車を走らせていると、右側に道を見付けた。俺は何かに誘われるように自転車でその道に入った。道は思っていたより平らで、まるで車が一度も通っていないかのようだった。そして、しばらく進むとそれは目の前に出てきた。
「!! 鳥居か!ってことは当たり引いたわけか!」
目の前に見えて気たのは、かなり古いとおもわれる鳥居が出てきた。
社の名前が書かれているところには稲荷とだけ書かれている。奥には階段があり、本殿に続いているようだった。
「よぅし、良いとこ見付けた。登るか!」
そうして登り初めて今に至る。20分経過した今でさえ頂上が見えない。下を見てみると、もう既にふもとが見えなかった。どちらにしろ、もう後戻りは出来ない。俺はそのまま登り続けた。
「うがぁぁぁ~~!登りきったぁぁ~!疲れた!もう無理!タヒぬ!」
あれから30分前後登り続け、合計ほぼ1時間かけて階段を登った結果、何とか無事ではないものの、頂上にたどり着いた。途中で段を踏み外して左足を怪我したものの、特に何の問題もなく登ってこれた。予想外に長い道のりだったが、やっと到着したので早速元々の目的を果たそうとした、その時だった。社へと歩いていた、その時。まるで一瞬で全身がかなり酷い筋肉痛の時の3倍はあろうかと言う激痛が全身を襲った。
「がぁぁぁぁッ!?うぐぅッ!!ぐぅぅぅぅぅ!?!?」
尋常ではない激痛に、俺は意識が薄れていくのを感じた。そして
「カハッ!!」
ドサッ、と倒れて気を失った。
フハハハハハハハ!優勝は僕の手に!!この程度の夜更かしなど、どーということはなーい!!!HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!
俺の父親は大手企業の社長だった。俺は小さい頃から、よくパーティーなどに出席しては、父の後任、次期社長候補としてちやほやされていた。とても誇らしく、嬉しいかった。友達関係も良く、とても充実した生活をしていた。あのときまでは………俺が12のときだった、会社の一部の派閥が謀反を企てた。会社全体が混乱するほど、物理的で激しい謀反だった。その騒動に乗じるように、父は以前から因縁があったマフィアに拉致され、殺害された。その矛先は、遺族である俺と母親にもむけられ、逃亡を余儀なくされた。幸い、父はかなりの金額を俺達に残してくれた。生涯、難なく暮らせるほどの金額を。しかし、母は夫を無くし、夫が大事にしていた会社も無くし、そのショックで精神的に衰弱していき、俺が15の時、ちょうど3年前に無くなった。あの騒動以来、俺は他人の存在が怖くなり、邪魔だとすら思った。当たり前だろう。あんな経験をすればこうもなる。だから、俺は逃げ続けた。何もかもから。全力で。逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて、逃げ続けてきた。これからもそれは変わらないだろう…………ずっと、永遠に…………霧野和誠は逃げ続ける…ずっと、ずっと……
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