karasu925 2014-12-04 17:24:52 |
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~プロローグ~
雪が舞い散る1月1日、今日は元日である。外では皆、思い思いに年越しを祝っている。俺にとってはどうでもいい事だ。しかし、うるさい。俺、霧野 和誠(きりの かずまさ)は、外の騒音でなかなか寝入れない。元日だからどうした、そんなものは所詮ただのお祝いだ。興味がない。俺は耳にイヤホンを付け、外の騒音から逃れた。これだから群れるのは嫌いだ。表面上では笑っていようが、中には腹の黒いやつだっている。たから俺は孤独の道を選んだ。後悔はない。実際、孤独でいた方が自由度が高い。群れるなんて、愚かな奴等がやることだ。
「…………愚民どもが……」
俺は深い眠りについたのだった。
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翌朝、俺は面倒ながらも、初詣に行くことにした。こう見えても、神社という場所が好きなのだ。しかし、だからと言って、人が大勢いる場所に行く気はない。少し遠くまで行って、気に入った場所に御詣りするつもりだ。とはいえど、実はここには引っ越してきたばかりであり、地理にも詳しくはない。なので、地域について少しでも知るべく、俺は家をあとにした。
俺は自転車に乗り、しばらく周辺を探索した。周りには山が多くある。ここは田舎とも言える。少々小腹が減ったのから、近くにあった店でたこ焼きを買った。
「はい、お待ちどうさん」
「ありがとうございます。」
「君、見掛けない顔だね?引っ越して来たのかい?」
「あ、はい。あっちの表通りを右に曲がったところです。」
店主のおじさんにそう聞かれたので、俺は愛想良くこたえる。これが表の俺だ。俺は極端に人に嫌われるのが怖い。だから愛想を良くする……俺も立派に『腹の黒いやつ』に入っている。実に笑えてくる。『腹の黒いやつ』から逃げてる俺自身がその『腹の黒いやつ』なのだから……
店主のおじさんに挨拶をして俺はまた自転車に乗って道を進む。神社っぽいものがないかしらべるが、見当たらない。こういう所はやはり山の方を探すのが良いだろう。意外にも山の中にあったりするのだ。そのまま俺は山の方へと向かった。
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俺は今、階段を登っている。もう何段目か分からない。寧ろ分かる方が凄いだろう。
「はぁ、はぁ、はぁ………一体何処まで続いてんだぁ!?ざっと15分は登ってるぞ!?」
上を見上げる。しかし、まだ頂上は見えない。おかしい、町から見た山の高さだともうそろそろ頂上の筈だ。しかし、頂上は一向に見える気配がない。何故ここにいるのか、それは遡ること25分程前ーーーーーー
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