桜宮サーガ雑談

桜宮サーガ雑談

風人  2014-11-30 06:00:58 
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『チーム・バチスタの栄光』から始まる田口・白鳥シリーズに発端し架空都市桜宮市を中心に過去・現在・未来、東京霞ヶ関や北は北海道の極北市、ドイツのブリュッセルまで広大に広がる桜宮サーガを雑談し語る部屋

トピ主はまだ読んで一年と満たないですが桜宮サーガを語れる方がいてくれたら嬉しいです。男女年齢に関わらずお越しください。

『桜宮サーガ』のシリーズなら小説・映画・ドラマ・漫画などいずれでも話題は構いません

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  • No.34 by 風人  2014-12-17 04:15:16 

『バチスタの栄光』でも明確に人の死を描写し『凱旋』『沈黙』では非情な救急場面もあれば『沈黙』の由紀さんのように死を覚悟した人物も海堂先生は書いている

『螺鈿迷宮』で怖いのは桜宮巌雄をはじめとする碧翠院桜宮一家の怖さもあるだろうな。
小百合、すみれ姉妹は綺麗で惹かれるところもあるけど碧翠院は人が死にすぎている言い知れぬ怖さがあらためて伝わる。

長い歴史による東城医大との確執も裏にあるから必ずしも巌雄先生たちを悪役とするわけにもいかないのもある。

『螺鈿迷宮』はドラマもだけど人の“死”を考えさせられる。

  • No.35 by 風人  2014-12-19 03:44:05 

『螺鈿迷宮』はいつ読んでも怖い物語だ。
天馬くんはあやうく麻薬中毒にされかけるし巌雄先生達はなんとか東城医大を倒したいと願いながら願いかなわず逝ってしまう。
東城医大は結局は桜宮の負の遺産まで背負ってしまう。
医療には光も闇もあるというのを突きつけられた感じ。
もちろん作品内でも言われてるように官僚の作り上げたシステムがいまいろいろな弊害を生んでるのもまた事実
桜宮サーガはいくつも難しい問題を抱え提議してる

  • No.36 by 風人  2014-12-19 06:23:52 

『螺鈿迷宮』はやっぱりちょっとトラウマ作品と思う。

姫宮香織のドジっぷりは笑えるけど(笑)

『極北クレイマー』は安心して読める作品
地域地方医療の問題は多々あるけど。冒頭でも地域から大学病院が無くなると地域は危機に立たされるという状況はリアルに思う。

『極北』の今中先生も田口先生同様にまじめというか素直というか。はじめはいいようにまわりから使われてしまう。

『極北クレイマー』読むと市民病院の事情が垣間見えてしまう

  • No.37 by 風人  2014-12-20 04:46:44 

『極北クレイマー』は姫宮香織の存在感が圧倒的(爆)
極北病院にいろいろばっさばっさとメスを入れていく感じ。
あらためて読むと三枝先生のことについても姫宮香織は触れてたな。
この時点ではなんの問題もないけど、西園寺さやかが広崎消防士にすでに接触してるから『祝祭』の発動がすでに動いてることになる。
『極北クレイマー』の物語の顛末を考えると、誰もが加害者にも被害者にもなりうる世の中の現実を突きつけられる。

  • No.38 by 風人  2014-12-23 13:25:30 

『イノセント・ゲリラの祝祭』はやっぱり霞ヶ関の戦いという感じする作品
AI導入を巡って多くの人の策略や動向が見え隠れするのも見物。

だけど、作品内でバチスタ事件や『極北クレイマー』の三枝先生逮捕事件が記事として流れるのを見ると複雑な気持ちになる。
バチスタ事件の氷室先生は黙秘を貫いてるのかどうかわからないけど精神鑑定云々とあると記されてるとさらに複雑な気持ちになる。

氷室先生は医療システムの崩壊をバチスタ事件のクライマックスで警鐘鳴らしててそれが『祝祭』では裁判やバチスタ事件の被害者の代表小倉さんという形で司法制度の問題としてもあらわれてる。

『祝祭』も細かなところを再読したらまたちがった一面ある。

  • No.39 by 風人  2014-12-25 03:44:45 

海堂尊さん、来週の月曜のサスペンスオムニバスドラマでどんな作品を書かれたんだろうな

予告を見た限りは医療ものではなかったから『夢見る黄金地球儀』を短くしたようなドラマだろうかな。実に楽しみだ。

  • No.40 by 風人  2014-12-30 07:02:37 

昨日のドラマSP、このミステリーがすごい!の海堂尊さんの脚本は桜宮サーガの加納警視正と玉村刑事なんだな。
ちょっと役者さんイメージが原作がちがうけど(笑)
もうちょっと加納警視正はイケメンにしてくれた方がキザっぽいのに。
けどドラマは桜宮サーガぽい雰囲気は醸し出してる感じ。

  • No.41 by 風人  2014-12-30 09:53:19 

桜宮サーガはまだまだ奥深いと思う
どれだけ舞台が広がったり医療問題を取り上げたり人物がいつどのように関わってゆくのか把握しきれない。
『ひかりの剣』は青春ものぽいからまたカラーがちがう。
でも極北大のことにもちらっと触れられて『極北クレイマー』の存在がなにげによぎる

  • No.42 by 風人  2014-12-30 17:59:00 

『ひかりの剣』は医療社会に入る前の若者たちの物語だから毛色がちがう。
竹刀からメスに変える前の物語………、東城大と帝華大のそれぞれの関係と速水先生と清川先生の若い頃がメインにそれに剣道部に関わる面々が出てくる。

青春モノとしてふつうに読める。時代的には『ブラックペアン1988』より後になる物語

朝比奈というヒロインが目を引く存在かな。

  • No.43 by 風人  2014-12-30 19:18:17 

『凱旋』の前半で田口先生が思いを馳せてた相手は渡海先生だったんだろうかな?
『ひかりの剣』の「獅胆鷹目」を読んでたらそう思える感じする。
渡海先生の言葉を『凱旋』当時もおぼえていて田口先生の記憶の中にあるんだろうかな。

  • No.44 by 風人  2015-01-01 05:08:00 

昨日は『ひかりの剣』で読み納めした。けど、すぐに『ブラックペアン1988』取り出した。

『ひかりの剣』、清川吾郎にしても速水晃一にしても個人のために勝つかチームのために勝つか、で個人として気持ちは揺らぎはある。

高階権太顧問が何らかの影響を与えてるのはたしかだろう。
速水先生は後々『伝説』でジェネラル・ルージュの“伝説”をつくり、清川先生は帝華大で着実に出世しながら医療問題に自ら戦ってゆく人物となってる。

海堂尊先生のなかでそれぞれの人物の年表もできてるんだろうな

『ひかりの剣』で朝比奈ひかりというヒロインは出てくるけど、タイトルは彼女を指したものではない。

  • No.45 by 風人  2015-01-02 05:00:52 

『ブラックペアン1988』は若き世良先生を主役に時代が昭和から平成に変わるなかを描かれてる物語

この頃の世良先生よりさらに若いのが田口先生、速水先生、島津先生という“雀荘”の三人も出てくる(笑)

レポートの場面は田口、速水、島津それぞれ三者三様なのが笑える。
世良先生が患者を殺めようとしてたにも関わらず三人には関係のないこととして受け取られ、不謹慎?にも世良先生が医者を続けられるかどうかを高階講師と渡海先生が賭けをしてたという(苦笑)

『ブラックペアン1988』は大きな時代の変遷と荒波があるなか医療が変わらざる得ない時代でありそのなかで高階講師や世良先生たちが桜宮の一時代を担う・・・・・・・。

  • No.46 by 風人  2015-01-02 17:35:02 

『ブラックペアン1988』のラストのクライマックスを読むと“意図した医療ミス”も現実にあるんじゃないかと思う。
患者の生命や人生を救うためにやむ無くメスやペアンを身体に残しながら患者を救う。
だけど社会的には“医療ミス”と思われても仕方ない。
『凱旋』か『沈黙』のどちらかで佐伯前病院長が東城医大を去った理由が『ブラックペアン』にある。
『ブラックペアン1988』を読むとどこまでを“医療ミス”と呼んでいいのかわからなくなる。

  • No.47 by 風人  2015-01-04 05:42:20 

あと手元にあるのは『ジーン・ワルツ』、この本は女性の視点で読めるのが魅力だろうね。
反面、作品内の清川先生や一部の男性以外の男はちょっと情けなく書かれてるけど。

まだまだ知らないことはあるもの。
『ブラックペアン1988』は昭和から平成になるまでの間の時代の変遷を感じる

渡海先生はほんと彼はどこにいったんだろうな・・・・・・。

  • No.48 by 風人  2015-01-06 18:26:03 

ドラマ『相棒』でも安楽死は取り上げられてたんだな。
海堂尊さんの『螺鈿迷宮』とはちがうけど安楽死を扱う点は同じだけどプロセスも結末もまったくちがう。
安楽死が殺人であるのはかわりない。
それぞれテーマや内容、メディアが違えば本やドラマとしての作り方などちがうし読者や視聴者もちがうからいろいろ難しい。

『螺鈿迷宮』で自ら幕を引いた桜宮厳夫が正しいのか、法に裁かれた『相棒』の太宰先生が正しいのか。それぞれ同じようなテーマでありながら問い方も異なる……。

  • No.49 by 風人  2015-01-08 17:11:59 

桜宮サーガは残り手元にあるのは『ジーン・ワルツ』これは男性にとっては怖い本と思う。
女性の身体の複雑さや出産の悩み、難しさも書かれてるから

女性の立場を考えたら出産というのが如何に難しく母子共に負担を与えるか物語を通して少しではあるけど、重く私は理解したつもりと思う。

反面、赤ん坊が健康体のまま出産される可能性も少なくないというつらい現実もある。

『ジーン・ワルツ』はそんな意味でもいろいろトラウマかつ印象深い本。

  • No.50 by 風人  2015-02-05 04:06:17 

アリアドネの弾丸、上巻だけざっと読んだけどいろいろ他作品とリンクしてる。
それに『極北クレイマー』のさやかは、やはり桜宮小百合だったとは・・・・・・。
AIセンター設立に、東城医大、霞ヶ関官僚、桜宮小百合達がいろいろ関わるみたいだったし下巻がなかったのが悔やまれる。
田口・白鳥コンビもだけど、白鳥・彦根クンもまた絶妙。
AIセンター設立の人選は、田口先生でなくともめまいしてしまいしそうなのはなんだか共感してしまう(笑)

下巻がいつ読めるかわからないけど、とりあえずアリアドネの弾丸おもしろかった。

  • No.51 by 匿名さん  2015-02-08 21:07:10 

突然すいません。ドラマ、バチスタシリーズを観てから原作を読み始めた者です。一応、栄光から~弾丸、ケルベロスは読みました(螺鈿は少ししか読めてないです)。それと、ジェネラルとアリアドネの間にある、イノセントも読みました。自分は、ドラマから入った人間なので、原作の田口先生があんなにドライなのには驚きました。そして、やはりドラマとは違うんだな、と実感しました。原作の結末とドラマの結末を比較してみると、何が違ってこういう結末になったのか、と色々と考えてしまうところがあります。
だらだらと長文失礼しました

  • No.52 by 風人  2015-02-09 05:40:55 

おはようございます。
私もドラマを見てから読み始めたものです。
『バチスタの栄光』に始まる田口・白鳥コンビの活躍には胸躍るように読んでます。
もちろん、小説とドラマでは展開がちがうのは否めませんがそれもまたおもしろいと思います。
ドラマ版の伊藤敦史さんの田口先生、仲村トオルさんの白鳥さんも魅力に惹かれます(笑)
桜宮サーガはそれぞれテーマが深いですから考えさせられます。
よろしかったらまた本の感想をお聞かせください。

  • No.53 by 風人  2015-02-14 04:01:33 

イノセント・ゲリラの祝祭は私も好きな本ですね。
官僚社会の総本山、霞ヶ関を舞台に繰り広げられるAI導入の霞ヶ関の裏側。
私は文庫版なので祝祭に収録されてる『東京都二十三区外殺人事件』も祝祭の間にありおもしろかったです。
祝祭での彦根君の人物像にも興味持ちますね。田口先生たちの後輩でありながらしたたかかつ巧妙、演技達者で口がうまい。若者がもつ生意気さもあわせ持ちながら霞ヶ関官僚を翻弄させていく。
そんな彼でも白鳥さんや田口先生には敵わないところもある。
個人的ですけど、祝祭もドラマ化や映像化してほしかったですね。

  • No.54 by 風人  2015-02-22 07:15:56 

田口先生が作品内で時おり想いを寄せる女性はいったい誰なんでしょう・・・・・・・。
たまに作品内で田口先生の心情で語られてるけど。
『アリアドネの弾丸』では高階病院長は珍しく過去を振り返ってもいたけど・・・・・・。

斑鳩室長は『イノセント・ゲリラの祝祭』の時と同様に怪しさむんむん(笑)
けど斑鳩室長と高階病院長も結びつきあったのもふしぎ。
なんなんでしょう。『アリアドネの弾丸』上巻だけしか読めてないのに読むたびに怪しさしか感じない。

  • No.55 by 風人  2015-02-27 14:09:13 

『極北クレイマー』の西園寺さやかが『螺鈿迷宮』の桜宮小百合なのが『アリアドネの弾丸』で明らかになったけど、小百合は自らに自己催眠や自己暗示でもしてたのでしょうかな?
『極北クレイマー』を読んだ人はわかると思いますけど、西園寺さやかの時はまんま別人格を演じてるというよりさやかという人格になってるように思える。
『アリアドネの弾丸』で小百合として復活するまでの様子を考えたらなんとなくそんな感じする。
医療に携わる桜宮一族のひとりなら患者ならともかく、自身にも催眠療法を処方してた可能性も否めない。
催眠療法は私の想像ですけど(苦笑)。
何らかの形で碧翠院で催眠療法があったとしてもふしぎはないですけど、謎かな。

  • No.56 by 風人  2015-03-03 16:57:25 

アリアドネの弾丸の下巻、運よく手に入れて駆け足でざっと読んだけど白鳥さんは相変わらず無茶な綱渡りと論理展開する(爆)。

でも恐ろしいのはやはり斑鳩室長。北見さんと宇佐見さんを犠牲にしてまでも自らかあるいは警察の面子を保とうする思考の深さは計り知れない。

かろうじてアリアドネの弾丸で救いがあるのは田口先生をAIセンター室長に推薦したのは藤原看護師だったのとは・・・・・・(笑)。
凱旋の時もフジワラ・ナースネットワークを使ってたと思うけど、東城医大の巨塔の裏では高階病院長と藤原看護師の男女の絡み合いがあるかもしれませんね・・・・・・w

桧山シオンの解析技術はとてつもないですね。けど、田口先生には興味あるのかないのかそこまで物語にはなかったのは女気がない田口先生にそこは醸し出してもよかったけど、話が横道それちゃいますから。

  • No.57 by 風人  2015-03-04 03:14:51 

アリアドネの弾丸、さりげなく姫宮香織が活躍してたり加納警視正も裏から圧力かけたり弾丸は脇役陣が目立ってましたね(笑)。
姫宮香織、弁護士資格もあるなんてなんでもできるんじゃないと思う(爆)。
玉村警部補はちょっとサンタモニカから呼び戻されたのはお気の毒でしたが、今回の警察と田口・白鳥コンビをつなぐパイプ役でもあったから地味な活躍ながらこういう人がいないと成り立たないです(苦笑)。

よく読むと、要所要所や友野くんの事件についても謎があったり破綻してるところもありましたね。そもそも友野くんが何故、亡くなったのかも怪しかったわけだし・・・・・・。

後半に、桜宮小百合が登場しないのはちょっと残念でしたがまさかでんでん虫が再び登場するのは因縁めいてます。

4Sエージェンシーの城崎さんと牧村瑞人くんも体のいい便利屋と本人たちは自ら言ってましたが。『夢見る黄金地球儀』とは『伝説』の方でもつながってましたが『弾丸』でもつながる伏線ですね。

  • No.58 by 風人  2015-03-05 05:56:34 

アリアドネの弾丸、東城医大の建築構造が生かされてますね
これは、バチスタの栄光の頃から不定愁訴外来(愚痴外来)の構造にも触れられていましたが(苦笑)。

法医学教室や笹井教授らも宇佐美警視や警察に利用された形ですし、法の力あるいは警察の力を誤れば市民にとってはおそろしいものと言える。

白鳥さん、田口先生、島津先生、桧山シオンの力があってこそ解決に至りますが(彦根くんはシオン先生を呼んだだけw)、亡くなった友野くんがダイイングメッセージを残しておくというのもなんとも言葉がない。

当然、物語内で白鳥さんと友野くんは会ってないわけですが輪郭を出そうとする白鳥さんが事件を通しながら間接的に会ってるという想像力はなんとも言葉にしにくい。

北山局長の自殺というのもいたたまれないですが・・・・・・。

4Sエージェンシーで沈黙の浜田小夜さんはまだ出てなかったのは弾丸の時期はまだ罪を償ってたんでしょうか。田口先生や白鳥さんは彼女のことには触れてなかったですし。

  • No.59 by 風人  2015-03-06 07:03:22 

アリアドネの弾丸で彦根くんの別の案件は次作ケルベロスの肖像に続く伏線でしょうかね。

海堂尊先生はさりげなく伏線を張るから気をつけて読んでいかないと忘れてしまう。←たいがい忘れてしまう(爆)。

それにしても桧山シオンも弾丸においてはほぼ解析作業なだけで実体は見えない感じですね。彦根くんの接し方には慣れてるようだけど。

ついでにいうと医療の世界が広くて狭いというのもありますね。
加納警視正愛用のDMA(デジタル・ムービー・アナリシス)はクリフがつくったものとは・・・・・・。意外なところで医療世界は繋がってるんでしょう。
我々、一般人が思わない形で。

ケルベロスの肖像も読みたいですね。

  • No.60 by 風人  2015-03-07 05:55:25 

アリアドネの弾丸、過去の経緯から加納警視正が裏から手を回してくれたことで一難を乗り越えるきっかけになってるけど斑鳩室長は恐ろしい存在。

笹井教授はたいした活躍の場はなかったけど、黒崎教授は東城医大が危機に瀕してるなかよくドラマにエキストラ出演したものだ(爆)。
黒崎教授の心情を考えたら白鳥さんと田口先生たちに東城医大の未来を託してるから教授代行の任のなかストレスが溜まってたかもしれませんね。

黒崎教授にしたら速水先生はいないけど、白鳥さんが来たら虫の居所はたいしていないだろうしアリアドネの弾丸においては面目躍如ですね(苦笑)。

ちゃんと、エピローグで高階病院長が黒崎教授に素直に頭を下げて礼を言う場面は互いの過去の経緯があるからでしょうし東城医大の存続にはどちらも欠かせないからでしょう。

  • No.61 by 風人  2015-03-08 06:54:13 

アリアドネの弾丸、物語の本筋とは別に足がむずむずする病や眠りの時の夢についても触れられていました。

病気でないと日常、思われがちだったり白鳥さんが患者のおばあさんにたいして厚労省の役人としてうまい具合に話をまとめたり、事件のなか宇佐美警視と亡き友野くんの会話を夢として田口先生は見てたり夢や深層意識にもちょっと踏み込んでたりと直接的に物語に関わってたのは夢の方でしたけど(+.+)(-.-)(__)..zzZZ(笑)。

こういう何気ないところも『ケルベロスの肖像』や他作品につながる伏線だったりして・・・・・・w

  • No.62 by 風人  2015-03-09 06:19:37 

桜宮サーガ内の特撮ドラマ『ハイパーマン・バッカス』は実写化ならないでしょうかね(笑)。
『伝説』によると、本来は海堂先生は『ウルトラマン』を使いたかったらしいけど版権の都合からウルトラマンは使えなかったからバッカスを代わりに生んだとあった。

酒呑みのヒーローというのは、ちょっと子供向けからしたらどうかな?と思うけど原作・海堂尊にして 作画○○ みたいに漫画からでもはじめてもいいと思う。

円谷プロのなかにも海堂尊先生の本を読んでる人はおそらくいると思うし『ハイパーマン・バッカス』は見てみたい(爆)。

ウルトラマンと共演されたら海堂先生は涙モノでしょうね。

  • No.63 by 風人  2015-03-10 15:22:52 

医療事故や厚労省関係のニュースを見ると自然と桜宮サーガを意識してしまいますね。
さすがに白鳥さんみたいな人はいないと思いますが、大学病院や霞ヶ関の一般には見えない見えにくい“闇”を意識してしまいます。
海堂尊先生は、ある一時期にたかじんの委員会に頻繁に出演されてましたがまたご出演されないでしょうか。

  • No.64 by 風人  2015-03-15 09:38:16 

アリアドネの弾丸はちょこちょこ院内にコンビニが出来たとかお弁当の話題が出てきますね。

この当時、海堂尊先生はコンビニやお弁当にハマってたんでしょうか(笑)。

けど、桜宮サーガは読むたびに桜宮市を中心に変わっていくのを実感しますね。

『ブラックペアン1988』に続く二作もまだ読んでないですし『極北ラプソディ』もまだです。
なかなか空白は埋まらない。

  • No.65 by 風人  2015-04-21 10:05:05 

つい先頃に放送された映画『ケルベロスの肖像』、やっと見たけど別宮葉子さんを犯人にしてほしくはなかったな。
『極北クレイマー』や『ブラックペアン』とは断片的ながらつながりあったのはいい。
だけど、白鳥さん(仲村トオルさん)にペアンの罪をぜんぶ被せるのは少々、やりすぎ。その辺はドラマとしての改変かな。

映画と小説はちがうのはしかたないにしてももう少し丁寧に描写して欲しかったと思う。

別宮葉子さんが犯人だった以外はまあまあよかったと思う。
小説はまたいずれ探して読むと思います。

もし、何らかの形でいずれ新シリーズとしてドラマや映画が作られるなら原作重視にしてほしいです。桧山シオンや姫宮香織などに活躍の場を設けてほしいかな。

  • No.66 by 風人  2015-05-12 17:26:09 

まだまだ桜宮サーガのパズルのピースは埋まらない。
世界観が広い、なにより人物像がひとりひとり深い。
田口先生、白鳥さんにしても過去、現在、未来がある。
東城医大、帝華大のことについても書かれてないこと知らないこと多くありそう。
ドラマや映画で描写されてるのはエンターティメントとしてのごく一部かもしれない。

  • No.67 by 風人  2015-05-15 07:00:41 

桜宮サーガも夏の時期はむりかもしれないけどまた読みたい。

『アリアドネの弾丸』、桧山ジオンのさりげない活躍はよかった。

サーガとある以上は過去、現在、未来と世界観が繋がってゆく・・・・・・。

田口先生、白鳥さんの作る未来が必ずしも正しいわけではないというのもあるかもしれない。

海堂尊先生の書き方みると医療側に立ちながらも司法側としてブレーキをかけてるニュアンスはある感じ。
どちらも暴走してはいけないよう自制してるように思われる。

  • No.68 by 風人  2015-07-31 13:21:47 

桜宮サーガも読まないといけないですね。
まだまだ読めてない本があるからパズルのピースは埋まってない(>_<)。

ドラマや映画のバチスタシリーズは終わりましたけど桜宮サーガのシリーズは読破したい。そう思わせるのが海堂尊作品にはあるんでしょうね(苦笑)。

  • No.69 by 風人  2015-11-15 05:01:46 

ようやく『極北ラプソディ』を購入。『マドンナ・ヴェルテ』も。
個人的に『極北シリーズ』は地域地方医療の問題点が如実に描写されてるから好み。
今中先生は『極北クレイマー』でも振り回されてましたけど『極北ラプソディ』でも世良先生に振り回されてなんだか気の毒。
ドクターヘリや東城医大にも触れられてた。

  • No.70 by 風人  2015-11-15 16:48:21 

『極北ラプソディ』は世良先生と花房さんの物語でしょうか。
今中先生は読者の目や耳であり代弁者的一面な人生は『極北クレイマー』と変わらない感じ。
世良先生と速水先生が合わせ鏡という描写もまたおもしろい。

後藤先生は神威島で人並みなしあわせを得たというのも『極北クレイマー』のちゃらんぽらんなことしてたのを知る読者なら意外感ある(笑)。

ドクターヘリやドクタージェットを飛ばすにしても人にもヘリにも予算や育成に時間がかかるのも現状。シビアな問題を海堂尊先生は厳しく辛辣に伝える。

『極北ラプソディ』は極北市に問題は多く抱えたまま終わってるけどラストに世良先生と花房さんの結実には感動した(涙)。

  • No.71 by 風人  2015-11-16 04:40:21 

『マドンナ・ヴェルデ』は表現が『ジーン・ワルツ』同様に女性的。
書いてるのが男性の海堂尊先生とは思えない。

だけど本編はいきなり殴られたような感じ。理恵先生が子どものできない身体であったり実の母親に代理出産を頼んだり冒頭から常軌を逸してる。
母親のみどりさん視点だから曽根崎理恵の娘時代からあんな独特に一風変わった娘だったにしても衝撃ある。

理恵先生の“クール・ウィッチ(冷酷な魔女)”の一面はパンドラの箱に触れるみたいで読むたびに怖いものに触れる感じする。

  • No.72 by 風人  2015-11-16 09:57:46 

清川先生と曽根崎理恵先生の関係は恋愛ではつながってない。
『ジーン・ワルツ』もあまりそんな雰囲気はなかったけど『マドンナ・ヴェルデ』は過去に触れながらもあんがいドライ。
海堂尊先生はいろいろな意味や形で時々人物を突き放す感じがある。その辺もまたクールかつドライなところと言える。
男女の関係が作品の主要人物に恋愛に結びつかないのは田口先生や今中先生にもあるけど。
理恵先生は女性だからかあまりにクールすぎるようにさえ思う。

  • No.73 by 風人  2015-11-16 18:22:46 

『マドンナ・ヴェルデ』は理恵先生と母親であるみどりにやや距離があるようにも感じる。
代理出産とはいえあるいは代理出産だからか二度目の妊娠や出産を経験する母親みどり。
それを男性である海堂尊先生が書いてるんだから凄いもの。

アメリカに行ってる理恵先生の旦那さんの伸一郎さんは頭いいのかも知れないけどやや抜けてる感じある。わざと海堂尊先生はそんな風に書いてると思うけど(苦笑)。

『ジーン・ワルツ』にしても男性は出番は少なかった。

女性の心理や胸中を医学や代理出産を通して書ける海堂尊先生は本当に凄いもの。

  • No.74 by 風人  2015-11-17 06:18:35 

『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』の理恵先生は“クール・ウィッチ(冷酷な魔女)”と思う。
代理出産のために実の母親みどりさんでさえ利用する思い。

患者のひとりであるユミという女性に対しても時に冷たく接する。

桜宮サーガにおいては碧翠院の桜宮一族もまた冷酷かつ非情に書かれた一族でもある。

桜宮一族と曽根崎理恵の冷酷さは似て非なるものと思うけど時に冷たさは似てる感じする。書き手が同じなのもあるでしょうけど。

ただ『マドンナ・ヴェルデ』をまだ読んでる途中だけど母親みどりと理恵、理恵と伸一郎、みどりと理恵と生まれ出ずる赤ちゃんなどを通して“家庭”の在り方を問いてる雰囲気ある。
そこは『ジーン・ワルツ』では断片的だったように思うだけに明確に描写されてると思う。

  • No.75 by 風人  2015-11-17 13:13:24 

夏の終わり頃から耳鳴りが頻繁にするのでようやくMRIを受けてみた。

さいわい腫瘍や脳にすき間はできてなかった(*´∇`*)。

つかれかな。

  • No.76 by 風人  2015-11-17 14:24:24 

MRIを受けてた時に『ナイチンゲールの沈黙』を思い出した。
作中ではがんがんトンネルと言われながら某先生ががんがんトンネルの魔人と言われてた(笑)。

だけどなぜか入院患者である子供たちに慕われている(*´∇`*)。

私は比較的に落ち着いて受けたけどこわい人はこわいでしょう。SF映画みたいな感じもあった。
機械に頭の中を診られながらがんがんと音がするんだからc(>_<。)シ*。

MRIの画像を通してとはいえ脳や血管、目などが見えるから現代の医療技術は驚異なもの。

  • No.77 by 風人  2015-11-18 05:56:05 

『マドンナ・ヴェルデ』を読むと綺麗におさまるべきところにおさまった感じ。
理恵先生の性格を考えたら相手がたとえ親や赤ん坊でも頑なな姿勢は崩さないように思えたけど、母親であるみどりさんやマリア先生には逆らえない幼さもある。
人が“親になる”ことの行為や意味を問う場面は実によかったと思う。
理恵先生が医師や医者としては優秀と思う。だけどそのために代理出産の正当性を示すために母親や赤ん坊を利用するのは人道的な面からは疑問に思う。
いまの時代の技術は“神の領域”にいとも簡単に踏み入れることができる。理恵先生はそれを行ってしまった側の人。
行わない人も良心的にいるのを考えたら医学に関係なく技術は罪なもの。
また再読したら考えさせられる本と思う。

  • No.78 by 風人  2015-11-18 10:14:18 

『マドンナ・ヴェルデ』を読み終えたけど『ジーン・ワルツ』が医者である理恵先生の視点で書かれ終わってたの対し『マドンナ・ヴェルデ』は理恵先生の母親であるみどりさんの視点で書かれ物語に幕を閉じてる。

医者である理恵先生と母親であるみどりさんを対比させながらテーマである代理出産を問いている。
みどりさんは代理出産などの医療技術を“神の領域”と感じたり思うことは一般人の我々と同じ視点や感受性と思う。
なおかつ作中では理恵先生は母親であるみどりさんを半ば騙してるも同然なまま子供を宿すんだから怒りもあると思う。

ひとりの子供(作中では双子)を生んだり育てたりの意味は親でしか訴えられないと切実に思う。

みどりさんは娘である理恵先生と戦うために彼女が離婚した旦那さん伸一郎さんに協力や親権をお願いするために手紙でやり取りして親権を得る。
最後はネタバレのひとつになるけどマリアクリニックのマリア先生によってようやく両者は和解するに至る。

代理出産は誰が妊娠や出産して誰が親か誰が育てるかという普通の妊娠出産よりも難儀な問題を抱えてるのが如実に『マドンナ・ヴェルデ』にあらわれてたと思う。

書いてるのが男性の海堂尊先生というのが『ジーン・ワルツ』もだけど読んでるうちに忘れる(笑)。
読後した後に本当に海堂尊先生が書いたの!?がギャップある本。

  • No.79 by 風人  2015-11-18 11:15:41 

彦根くんは『極北ラプソディ』でも名前が出てきました。

おそらく彼はあちこちでホラ吹きに近いことを吹聴しては日本や世界を回っては大半は敵意を買ってるんでしょう。
『極北ラプソディ』での速水先生はたぶん彦根くんの存在は目に耳にも届かないくらいの“将軍”ぶりだったと思いますけど(苦笑)。

彦根くんが『イノセントゲリラ』で大風呂敷を広げながら畳むところは畳む姿勢があるのは白鳥さんや田口先生などごく一部で身近な者にしか伝わってないでしょう。

だけど世良先生の耳にも入ってることからしたら意図的なのかあるいはわざと以上にそれ以上に大風呂敷を広げたい思考や思想で彦根くんは動いてるんでしょう。まわりは迷惑してると思いますが(苦笑)。

三枝先生の話題は『極北ラプソディ』『マドンナ・ヴェルデ』に登場してる人物たち医者や一般人に関係なく伝わってることからしたら『桜宮サーガ』という歴史のなかで生きてる人物にしたら衝撃と思う。
我々の現実の歴史と比がない出来事。
『極北クレイマー』で西園寺さやか=桜宮小百合が風化するのも早いみたいなことも消防士にも言ってたと思うけど。

『桜宮サーガ』は医療小説をとおして我々の現実に伝わってるんだと読むたびに思います。

  • No.80 by 風人  2015-11-19 05:59:16 

桜宮サーガの本筋である『田口白鳥シリーズ』を除いたら『極北シリーズ』は好きなシリーズ。

今中先生の人物はよくも悪くも田口先生にかぶるところはあるけど、北海道の極北で若く彼なりに悩みながら地域医療に取り組む姿は魅力ある。

『極北クレイマー』で病院長や看護師さんらに振り回されながら姫宮香織に助けられ、『極北ラプソディ』でも世良先生や速水先生に振り回されながらも地域医療やドクターヘリの現状を見つめながら地域医療の在り方を真摯に受け止めてゆく。
神威島での後藤先生との再会はなにかしら感動した。

けど『田口白鳥シリーズ』での出来事は桜宮市や霞ヶ関だけでなく極北市などにも耳に届いてることから無関係ということはないんでしょう。

もちろん物語の在り方からしたら白鳥さんとて“絶対正義”ではないのは『螺鈿迷宮』で示唆されてた。

『極北ラプソディ』は地域医療の問題が解決されないまま物語が終わってる点は興味深い。
物語としては世良先生と花房先生の恋愛に決着が着いた感じの方が印象深い。

桜宮サーガは過去、現在、未来でありとあらゆることが医療を通して問われてゆくんでしょう。
なにかのあとがきに海堂尊先生は“メスをペンに変えて……”というくだりがありましたから。

  • No.81 by 風人  2015-11-19 14:15:35 

『極北ラプソディ』ではドクターヘリのパイロットのことについて触れられてるのもまた興味深い。

パイロットひとりを育成し現場に赴くにしても予算も時間もかかる。医者や看護師と同じくあたり前なことだけど。

ドクターヘリにしても救急車が行けない場所に行ける利点がある反面、主に天候に左右される欠点もある。
必ずしも万能ではないことも事実。

劇中では速水先生の無茶な要請もあってドラマティックにドクターヘリもパイロットも活躍してるけど、現実だと現場の医者やパイロットがどこまで判断を下し行動するしないを決めるか疑問に残る感じする。

現実はドラマティックにいかないのもあるし非情なものもあると思う。

海堂尊先生はそれをわかりながらあえてドラマティックに書いてるんだと思う。

  • No.82 by 風人  2015-11-20 04:31:48 

世良先生は『ブラックペアン』時代は比較的に本音を出すところあったけど『極北ラプソディ』だとやや大人としての駆け引きや本音との解離が見られる感じ。
白鳥さんみたいに本音だけを相手に向けてないふつうの大人らしい気遣いがある。それが大人としてはふつうと思うけど。

『極北ラプソディ』で今中先生に大学に戻って勉強し直してほしいと水沢教授にお願いしたのはおそらく若い時期にしかできないことがある配慮があったようにもうかがえる。

だけど今中先生が断って現場にいたいという意思が聞けたからある意味、満足したとも受け取れる。

語るべきところや伝えるところは相手に伝えるのは世良先生なりの相手や病院に対しての優しさでしょう。
当然、世良先生の通ったあとには悪い評判しか残らなくなった日本各地域の病院の現状もまた事実。

『極北シリーズ』の地域医療の財政破綻やドクターヘリの維持などを考えたら切実かつ身近な問題と認識させられる。

  • No.83 by 風人  2015-11-20 10:49:07 

『桜宮サーガ』においての白鳥さん世良先生速水先生など過激な主張する人物はある意味、海堂尊先生が医者として言いたかった一面でもあるでしょう。

だけど、その反面どんな本でもマスコミや一般市民の意見や論調も同じくらいに対比して描写してるのも特徴。

社会が一個人の思い通りにならないのは如実にどの本でもあらわしてる。

速水先生の救急医療態勢やドクターヘリ、理恵先生の代理出産、彦根くんのゲリラにも似る大風呂敷など。
もちろんこれらすべてが正しいわけでも間違いもあるわけで一概にどうとは言えない問題としてはらんでる。

『マドンナ・ヴェルデ』はラストが綺麗に終わってたのは実によかった。
女性が“母親になる”のは理屈ではなく内面の変化や成長、せめぎあいがあったかからでしょうと思う。
母性は理屈ではないところで芽生え育まれていく、と考えた方がいいと思う。

『マドンナ・ヴェルデ』でもし生まれてきた子供たちがマスコミや世間の目に白日のもとに晒されたら理恵先生の思うようにならずマスコミに叩かれ子供たちは不憫な人生を歩む可能性はあったと思う。

だけど、『桜宮サーガ』はマスコミの立場側の人物として別宮葉子さんや地元マスコミなどとして立てているのもひとつの特徴。

海堂尊先生はマスコミが病院や医者をどう見てどう書くかは理解してると思うからあえてマスコミ側を出して意見を作中で言わしてるんでしょう。

海堂尊先生が『そこまで言って委員会』に出演してた当時もその辺はわかってたんだと思う。

  • No.84 by 風人  2015-11-20 17:49:37 

花房さんは世良先生といっしょになりたくて速水先生にくっついてたんでしょうか(苦笑)。

速水先生は恋愛ごとに疎そうですけど『ジェネラル・ルージュの凱旋』では如月翔子に気をかけてた節もあるからなんとも言えないかな。

だけどドクターヘリが欲しくても自分は乗らない速水先生は時にほんと子どものよう。
“ジェネラル(将軍)』というより子どもと言った方がいいかも。

世良先生と花房さんは『ブラックペアン1988』で「となりのトトロ」をふたりで見た仲だったと思いますからあながち結ばれる示唆がなかったわけではない。

田口先生や今中先生が恋愛にほど遠いと思うと共感もあれけど複雑に思います。
あの白鳥さんでも妻子持ちなのが小憎らしく思うかも(苦笑)。

  • No.85 by 風人  2015-11-21 05:39:34 

『極北ラプソディ』で世良先生が今中先生を雪見市に派遣したのはおそらく半ば見捨てるつもりもあったかもしれないけど、医者としていろいろな現場を見てほしい配慮や采配だったんじゃないでしょうか。

今中先生は若い立場でありながら極北市民病院を支えたひとりであるのは変わらないけどまだまだ若いからいろいろな医療現場の実態があるから勉強してこい!な気持ちが世良先生にあったと思う。

大学病院に週一度通うことを水沢教授にお願いしたのもその配慮だったとも思う。今中先生は断りましたけど。

今中先生は田口先生みたいに『桜宮サーガ』的な事件や事故に関わってるわけではないけど極北市民病院の現状に正面から関わりなんとか対応していくことでしか対応できなかった。
世良先生が来たことで敵をつくりながらではあるけど現状を保つことで市民病院が成り立つのもまた事実。

市民病院にとって何が必要で何がいらないかの考えや判断は考えるのも実行もむずかしい。

  • No.86 by 風人  2015-11-21 09:43:11 

田口先生や今中先生は医者として等身大のまま物語が進むなかでいろいろな疑問にぶつかり悩む。
そこにいろいろな人物がいるからでしょう。同じ医者や看護師、あるいは患者、役所の人々など。
マスコミや市民の無思慮な悪意や発言もあるけど医者たちは耐えながら自分たちのいる場所から上手にバランスを取っている。

たしかに批判もあるけど『桜宮サーガ』では別宮葉子さんを除けば大半のマスコミはおそらくわざとに取材不足に書かれてる一面もある。
医者とマスコミでは立場が違うし受け取り方も違うのも事実。

田口先生や今中先生は比較的に現実を理解して独断や偏見ない視野があるから物語のなかで悩み成長してゆくのが魅力ある。

基本的に白鳥さんは官僚として、速水先生や世良先生は医者として矢面に立つことで現状を変えていってる感じする。

けど物語が進んでる時は正しくても未来になった時に白鳥さんなどが行ったことが過去として振り返った時に正しかったかどうかは疑問の余地や懸念はある。
『螺鈿迷宮』の桜宮巌雄先生の言葉は他の物語にも影響してる感じする。

  • No.87 by 風人  2015-11-21 14:09:21 

『極北クレイマー』『極北ラプソディ』共に霞ヶ関官僚、斑鳩室長白鳥さん両者の力が遠く北海道まで影響してる感じする。

速水先生はよくも悪くもいくら優秀な救急医でも社会というよりは会社の規則やルールのなかではよそ者であり子供扱い(笑)。
だけど医者や救急医として必要不可欠な存在。

『極北クレイマー』『極北ラプソディ』ともにさりげなく恋愛要素は書かれてます。
相変わらず今中先生は恵まれませんけど(苦笑)。

ドクターヘリ一機飛ばすにしても予算も人にもお金に時間がかかる現実の壁は厚いもの。
管制する越川さんにとっては速水先生の仕事は何より思い出に残ったでしょうと思いたい。
速水先生の無茶や無理に付き合うのはよほど勇気や決断が迫られるのは東城医大も極北救命救急センターも変わらない(苦笑)。

さりげないラブロマンスは劇中で癒されるもの。

  • No.88 by 風人  2015-11-21 15:37:46 

『極北シリーズ』は読むと切実に地域地方の病院を感じるのが伝わる。

幼い頃に大学病院に世話になって大人になったら医療センターに通うこともある。
黒字経営な病院は少ないのが現状かもしれないですね。

そのなかで得してる人間は少ないでしょうし感情を押し殺すか前面に出して戦うかかいずれかの道から決断し行動しないとならない。
速水先生みたいな人も医療現場に必要と思いますし世良先生みたいに意見や改革をする人も必要不可欠なこと。

『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』の理恵先生はまた別な話と思いますけど代理出産は道義的倫理的などいろいろな問題はらんでるからむずかしいもの。

『桜宮サーガ』にはいろいろ現状や現場で向き合う戦う姿勢の人物たちがいる。

医療はむずかしいものと考えさせられる。

  • No.89 by 風人  2015-11-21 15:59:16 

『極北ラプソディ』を再読してるけど彦根くんは『桜宮サーガ』内の橋下徹みたいな感じ。

医療のために大風呂敷を広げてドクターヘリやドクタージェットを使って日本を分断しようとする。
白鳥さんや世良先生が彦根くんの絶対的シンパでなくともある程度の息がかかってるとしたらこの辺は医療関係の人間関係が広いようで実は狭いという証でもある(苦笑)。

今後読まないとまだまだパズルのピースは埋まらない感じ……。

  • No.90 by 風人  2015-11-22 05:58:02 

『極北クレイマー』でもし姫宮香織ではなく白鳥さんが極北市民病院に赴いてたらしっちゃかめっちゃかにされたでしょう(苦笑)。

ある意味、白鳥さんの通ったあともペンペン草が生えないとも言える。

速水先生は予算を食い潰すし世良先生は破壊による再生でしょうか。彦根くんは大風呂敷を広げながら満足をいけば引き際はとりあえずよい。

海堂尊先生の中に既存の既得権益や価値観について反する思想や思考はとりあえずはあるんだと思う。
それが官僚として白鳥さん、医者としては速水先生や世良先生もしくは彦根くんなど作品中の人物としてあらわれてる。
自己表現のひとつとは思いますけど。

『極北ラプソディ』の後半で世良先生の過去に振り返る描写あったけど迷いはなかったけど行くところはなかったんでしょう。島のひとから見たら自殺しそうに見えたのはたぶん見知らぬ他人から見たらそんな風に見えたんでしょう。

世良先生は『ブラックペアン1988』の頃は尖ってたけど『極北シリーズ』においても尖ってた。だけどその中に彼個人として地域地方の病院を救いたいという意思はある。
しかし荒療治な面もあったために『極北ラプソディ』以前につぶれた病院もあったと思われる。
それが世良先生に心残りや罪、後悔としてなかったとは否定できない。

過去の佐伯先生や『極北ラプソディ』で語られた久世先生とのいきさつを考えたらどこかでなにかを取り戻そうしたいけど実際はできなかった。

人生はどこかで過去を悔やみながら得るものは少ない。

『極北シリーズ』の世良先生はいるべき場所と愛すべきひとを得たことでしあわせは得たでしょう。

  • No.91 by 風人  2015-11-22 09:22:36 

海堂尊作品はたまに『ゴジラ』や『ウルトラマン』『ウルトラセブン』が上映や放送されてた頃が劇中で人物の会話や思い返されたりする。
たぶん海堂尊先生は少なからず当時にそれらの作品に夢を馳せてたんでしょう。

だけど大人になり医者になったことでいろいろ現実の壁にぶつかり現実を直面したと思う。

だけど会話や人物が思いを馳せるのはかつての自分を思い描くんでしょう。

リアルな現代もSFやフィクションに近くなってるけど最先端の医療技術がない地方や地域もあって行き届かないのもある。

『極北ラプソディ』の神威島の久世先生は最先端の医療技術あって診ることはできても治療や手術は中央に頼らざる得ない旨を理解してるひとりと思われる。

  • No.92 by 風人  2015-11-23 05:10:10 

医療技術の進歩と人間の精神が伴わないのは社会がいろいろ阻んでると思う。
『極北クレイマー』での消防士広崎広明さんが三枝先生を訴えるような事例はいくらでも世の中あると思うし加害者被害者いかなる立場に誰もがなると思う。
医療技術を使うのが人間である以上、医師医者看護師患者など誰もが聖人君子でもなく心や感情、気持ちあるもの。
どこかでせめぎあいや理屈で成り立たないことがあるのが人間の一面。

医療技術の進歩と共に人間の精神が伴うのはある種の理想と思う。
だけど技術が進んでも人間の精神は未熟なまま。当事者や第三者も言うのは簡単だけど未熟だからこそ社会に伝わる面もある。風化しやすい一面もまたあるけど。
社会がちいさいと物事はうまくいくかもしれないけど現実は大きいしそこに既得権益や利己的な事柄など複雑に絡むからなかなか進まない。

『桜宮サーガ』は医大や病院ひとつ経営するにしても赤字なのが如実な現状のあらわれ。
『極北ラプソディ』の神威島の最先端医療はあくまで患者を診て判断することはできても先生が治療や手術できない一面もある。
これも医療が持つひとつの一面といえる。

  • No.93 by 風人  2015-11-25 04:09:47 

『極北ラプソディ』は前半こそ赤字経営や患者がいなくなった極北市民病院の実情が語られているけど、中盤の桃倉センター長や後半のヘリパイロットの危機などでドラマティックに演出してる。

医者の判断はむずかしいと思う。世良先生は『ブラックペアン1988』の頃は上に尖ってはいたけど正確に的確に判断し思いきったことをするようだったけど『極北ラプソディ』では歳相応かそれ以上に迷いが見えたともいえる。
世良先生は東城医大を去ってからいろいろ迷いや悩みがあって救急現場を離れてたのも内面に迷いや葛藤を生んだのでしょう。

だけど若い今中先生に託すというのもひとつの願いや希望であったともいえる。

世良先生は神威島の久世先生に救われまわりまわって極北市民病院を立て直しながら現場復帰で丸くおさまった。

  • No.94 by 風人  2015-11-27 05:34:08 

『極北』シリーズがたった二部で完結なのはいささかもったいない感じ。
だけど地方地域医療の描写は今中先生の目を通して如実に書かれてる。
『極北クレイマー』の病院長が最後はお役目ほったらかして逃げたというのも笑える反面、現実にもふつうありえそう。
経営苦難や仕事の途中でも辞める人は現実にいる。
『極北ラプソディ』で世良先生が地元マスコミと中央メディアにしか取材を受けないのはある意味、納得。
地方新聞や地方局などは地元の人たちしか見聞しない。
私も地元テレビ局のニュースで地元の医療センターや大学病院の報道を目にする機会あった。

『極北』シリーズの極北市民病院は他の桜宮サーガとちがい問題が解決してないまま物語が終わるというのもそれはそれでありと思う。

現実には簡単には解決しないからそれを乗り越えてゆくのも医療の在り方。病気と同じと言える。

  • No.95 by 風人  2015-11-28 10:43:50 

『極北シリーズ』は読むと地域地方医療のむずかしさ伝わる。
幼い頃に大学病院に入院したり最近は母と共に医療センターに一時期通ったことあったけどドクターヘリも当然、予算や維持費は食うわけだしパイロットなど人材確保も必要不可欠。

『極北ラプソディ』の神威島みたいに治療は出来ずとも最先端のCTなど診る技術もまた必要。
『極北シリーズ』を読むと地方は一長一短な感じする。
医者が優秀でも最先端医療がなかったりおそらくその逆もまた現実にあると思われる。

医者や患者にとっては病気や怪我がないのがいちばん幸いと思うけど現実はそうはいかない。

神威島とて久世先生が劇中で言ってたようにはじめから設備が揃ってたわけでなくちゃんと地元の人たちに聞いてもらうことも大事。
治療は出来なくても診ることをして島からドクターヘリを飛ばすというの医者のお仕事。

完璧を目指せばどこかで無理をして破綻をきたすというのもあるかもしれない。
世良先生のやり方が正しくなかったわけではないけど久世先生のやり方は感銘を読者として受けなくもない。

『極北ラプソディ』での桃倉センター長を救うための場面は前にも書きましたがいささかドラマティックすぎ(苦笑)。

『極北シリーズ』は『田口白鳥シリーズ』とちがって問題の大半が解決してないまま終わってる感じがしてむしろ別な意味で考えさせられる。人間関係含めて。

  • No.96 by 風人  2015-11-29 06:09:16 

『極北クレイマー』再読中だけど今中先生は室町院長にあだ名をつけられぱなっし(笑)。
だけど極北市民病院の設備の悪さや看護師への行き届きなさは悪い意味で目立つ。
これらは後々、解決してゆくけど解決するまでは遠回り。だけど市長や姫宮香織の介入で解決する(苦笑)。

でも現実にはすべての病院や診療所などに設備が行き届かないのも現実にあると思う。

病院ではないけど公園などではいまだに古いトイレのところもある。

『極北シリーズ』は読むと医療を身近に感じる。

  • No.97 by 風人  2015-11-30 05:37:53 

『極北クレイマー』を再読中だけど地域地方の病院が生き残るには難問が山積。
室町院長にしたら三枝先生の医療ミス問題もあるし市民病院を査定してほしい気持ちもある。

『極北クレイマー』をはじめに読んだ時は病院を査定してそれを生業としてる人たちもいたということ。三ツ星レストランのように。

赤字経営はともかくとして設備や環境が悪い病院や診療所が現実にあるのもまた事実。
だけど『極北クレイマー』を踏まえて『極北ラプソディ』を読むとちゃんと段階を踏んでるのは理解できる。

『極北ラプソディ』で極北市民病院の問題はほとんど解決しないまま物語が終わるけど、問題が如実に顕れて読者に問いてた形とも言える。
“あなたは『極北シリーズ』を読んでどう思いましたか?”みたいに海堂尊先生はそう読者に伝えたかったのではないでしょうか。

今中先生が見て聞いて感じたことは現実の読者そのままやあるいは医者や看護師が思うことと思う。

医療の現実の先が見えないまま市に見放されかかり予算も回らないおそろしい地域地方医療の実態。

姫宮ブリザード、室町ハリケーンで多少は極北市民病院が改善されたけど長い目で見てもあの時点でまだまだだったと思われる。

『極北ラプソディ』で世良先生がしたことはたしかに市民にとっては“毒を以て毒を制す”ことだったしそれがもとで患者である田所さんが亡くなったのは気の毒と思う。

だけど、市が極北市民病院に予算を回さない回せない状況も責任ある。

『極北ラプソディ』での世良先生のやり方はたしかに乱暴なところあるのは否めない。だけどふたりの先生しかいない状況では救急患者を見られないのも実情。
『極北ラプソディ』のラストをプラスに解釈するならゼロからいちから始めましょうと言えると思う。

  • No.98 by 風人  2015-11-30 09:07:16 

三枝先生逮捕の一件は『桜宮サーガ』全体から見ても各方面に伝わってるのわかる。

斑鳩室長と西園寺さやかが裏から手を引いたこととはいえ極北市民病院という一病院から中央や地方にまで及んでいるおそろしさ。

『極北クレイマー』の姫宮香織の介入は当然、白鳥さんの意思あってのことでもよもや手を打たれたのは痛手。

『極北ラプソディ』の世良先生がしたことは今中先生や市民にとってもまた茨の道。だけど世良先生は『極北クレイマー』のラストで茨の道を進むことは示唆され『極北ラプソディ』で実際に行ってる。

だけど三枝先生の存在を極北市民病院から奪ったのは広崎消防士を利用し介したとはいえ尾を引いている。

見方を変えたら中央官僚の思惑や確執が地方に影響してるとも言える。
斑鳩室長は『アリアドネの弾丸』でおそろしさを見せてる印象あるから桜宮巌雄とはまたちがう。

『マドンナ・ヴェルデ』でも三枝先生の一件は理恵先生たちにも伝わってることから伺い知れる。

まだまだ読めてない未入手な本あるから『桜宮サーガ』のパズルは埋まらない(>_<)。

  • No.99 by 風人  2015-12-01 04:51:13 

『極北クレイマー』を再読してるけどあらためて読むと室町院長や後藤先生はしたたか。
後藤先生は後々にいろいろな秘密が明かされるからいちがいに悪い人物ではない。
見方によっては今中先生と後藤先生のやりとりは物語にクッションになってる。

サーベイヤーのように病院を審査して生業としてる人たちもいるでしょう。極北市民病院は『極北シリーズ』通して生き残りを暗中模索してる。

室町院長は逃げ道を確保し『極北ラプソディ』での世良先生も当初は逃げ道あるかのように示唆してた。

現実に考えたら経営苦難で医者を辞める人たちもいないとは限らないと言えるでしょうか。

『極北ラプソディ』での久世先生が過去の世良先生が先を見失ってたことを語るくだりは医者であるかどうかよりもひととして生きれるかどうかの問いでしょう。たぶん。

世良先生が神威島を再び訪ねるまでは世界を敵に回して生きるみたいな生き方は誰もがどこかでひねくれた考えを持つかもしれないし諭してくれる人を必要としてるかもしれない。

『桜宮サーガ』はいつどこで誰が再登場したり名前が出てくるかわからないか世界観や人物の幅が広い。
医者の世界は広いようで狭いと田口先生がとある本で言ってたけど『桜宮サーガ』はいい意味で医者の世界は面白いと思う。

  • No.100 by 風人  2015-12-01 05:41:52 

寒い時期に『極北シリーズ』を読んでる私。
『極北シリーズ』を再読することで今中先生は基本的に読者目線なことわかる。『田口白鳥シリーズ』の田口先生もだけど。

なにげにしたたかな人物を配置したり医療の現状を医者と官僚の違いを対比させるのは海堂尊先生の持ち味と思う。
『極北シリーズ』では市役所との関係や軋轢ということになるか。

室町院長もある意味、タヌキなところある(笑)。だけど室町院長がラストには極北市民病院を去ることでラストに問題は山積なままだけどいちおうの溜飲は下がることあるのも事実といえると思う。
無責任ということは簡単だけど大人社会のなかでは逃げ道や抜け道ないと人生いきれない人もいる。

市役所側の平松事務長にしてもなかなか市の改革が進めたくても財政赤字なら進められないし重い腰を上げられない市側の立場も見える。
市民病院のトイレひとつ改善するにしても市長の“お声”ないとむりからぬこと。

『桜宮サーガ』全体に言えることだけど世の中、一枚岩ではないということ。
医者や役人の立場もあって壁をひとつ抜けたりこわしてもまたいくつも壁が無数にある。
白鳥さんや彦根くんみたいなひとはその辺の壁を順序もなくこわしてある程度は進められる。

『極北クレイマー』での姫宮香織の登場で今中先生はある程度溜飲を下げたし居心地はほどほどによくなった現状ある。
もし白鳥さんが極北市民病院を訪れてたらおそらく世良先生が来る前にペンペン草も生えなかったかもしれないと思う(苦笑)。

『極北ラプソディ』での世良先生のやり方はいささか乱暴なところもあると思う。
だけど、予算なければ医者や看護師が少ないなかでは患者を見れないのも実情。
医療のむずかしいところと思われる。

  • No.101 by 風人  2015-12-01 09:26:29 

『極北クレイマー』を再読してたら主人公今中先生の着メロは『ゲゲゲの鬼太郎』。

水木しげるさんが亡くなられた訃報があった時に読んでいたら奇遇なもの。

ちなみにヒロインの並木看護師の着メロは『007ゴールドフィンガー』(笑)。

海堂尊先生は『ゴジラ』など特撮ものの話題を物語のところどころに散りばめるけど『ゲゲゲの鬼太郎』もあったのはちょっと驚いた。

  • No.102 by ほのぼーん  2015-12-01 09:29:49 

なにこれ面白そう

  • No.103 by 風人  2015-12-01 18:23:34 

『極北クレイマー』の頃の後藤先生は不幸な生い立ちがあるのが後半語られるけど『極北ラプソディ』では並木看護師と神威島で家庭を築いてることで男として地に足がついてる感じ。

苦労や経験はひとを変えるということでしょうか。家庭を持つと変わるとも言うけど。

『極北クレイマー』で後藤先生が自らを極北市民病院の“最初で最後の研修医”と言ってたけど『極北ラプソディ』のラストをプラスに解釈したらそうでもないと思う。

世良先生に花房看護師、今中先生がいたら極北市民病院の未来は明るいと思われる。

世良先生はおそらく花房看護師といっしょになることで周囲を敵にすることもないと思う。

それにしても『田口白鳥シリーズ』の田口先生、『極北シリーズ』の今中先生このふたりは恋愛にいささか恵まれないけど海堂尊先生はこのふたりの恋愛の行く末を書いてくれるんでしょうか。

  • No.104 by 風人  2015-12-02 04:54:33 

『極北クレイマー』を再読するとサーベイヤーのような病院を審査する人たちや機構かはいささか疑問に感じることもある。

作中で今中先生は審査してる時間があったらひとりでも患者のために時間を割くべきではないかと思うのは至極、当然と思われる。

もちろんサーベイヤーみたいな人たちがいることで劣悪な環境の病院が改善されることもあると思う。

姫宮香織とサーベイヤーの武田多聞、布先夕奈をたぶん海堂尊先生は対比させることでどちらが市民にとって必要云々を問いてたとも解釈できる。

『桜宮サーガ』ではシリーズ全般を通して医療が誰のためにあるかを問いてるのもある。

  • No.105 by 風人  2015-12-02 07:59:55 

医療事故や医療ミスを患者や遺族が知ることはパンドラの箱を開けると等しい行為と変わらないかもしれない。

『極北クレイマー』の広崎消防士は奥さんと赤ん坊を亡くしたことを知りたいのであって三枝先生を糾弾する意思は彼にはなかったが西園寺さやかは糾弾する側として彼を利用した。

三枝先生逮捕の報道は『桜宮サーガ』全体の人物や病院に伝わってることからも伺い知れる。
結果的に『極北ラプソディ』『マドンナ・ヴェルデ』でも尾を引いてる。

広崎消防士の気持ちは事実を知りたい気持ちは純粋であったかもしれないけど極北市民病院から三枝先生を奪った事実もまた重い事実。

『桜宮サーガ』では白鳥さんも『螺鈿迷宮』で桜宮巌雄と会話するまではある程度、正義を振ることはできてたと思う。だけど巌雄先生の言葉もまた真実。
いまは正しくても後々はわからない。碧翠院を失った桜宮市は結果的には負の遺産も抱えることになったわけだし。

『極北クレイマー』での広崎消防士のなまじ真実を知りたい純粋さが『極北ラプソディ』でも市民病院に影を落としてるのも事実。
広崎消防士が救われるのは彼を糾弾する人々はいないということ。
三枝先生が医療ミスや医療事故でないとしても社会の受け取り方はちがう、社会のあいまいな歪みが三枝先生逮捕の件から見えなくもない。

  • No.106 by 風人  2015-12-02 09:15:05 

東城医大も『極北シリーズ』の極北市民病院も負の遺産を背負ったことにかわりない。

東城医大は碧翠院を白鳥さんの手を借りたとはいえ負の遺産を背負い、また極北市民病院も室町院長らが『極北クレイマー』で逃げたことや『極北ラプソディ』で南雲監察病院を調べ壊したことで負担が重なる。

東京にほど近い桜宮市の東城医大、北海道にある極北市民病院と場所は違い病院の規模のちがいはあれど抱えてることは似てなくもない。
東城医大の方が白鳥さんという官僚のなかの変わり種が近くにいることで目配りも利くかもしれない。
田口先生もなんだかんだで着実に出世してることで視野や思考が広がる。

極北市民病院の今中先生も彼なりに病院のいく末を考えることで大学病院に戻らない選択をしてる。

大学病院もまた閉鎖的な場であることは『桜宮サーガ』のなかで何度か示唆されてる。官僚社会と似てなくもない現実がそこにある。

病院や診療所、あるいは医療そのものが21世紀なってよりむずかしい時代になってる。

白鳥さんや世良先生たち『桜宮サーガ』のなかの人物たちがおこなったことが正しいか否かはまだまだわからない。

  • No.107 by 風人  2015-12-02 11:19:38 

『極北シリーズ』は『桜宮サーガ』のなかで好きなシリーズかもしれない。
『田口白鳥シリーズ』みたいに大がかりな事件や出来事はないけど地域地方のちいさな出来事が積み重なってるのが読むたびに伝わる。

そこに人間模様のドラマが彩りや喜怒哀楽を添える。

後藤先生の生い立ちは不幸と思うしだけど並木梢看護師が光りをあて叱咤激励もある。

今中先生にいいところがないのはしかたないけどそこは田口先生とどっこいなところ(苦笑)。

けど三枝先生の逮捕や市の財政破綻は身近にあり得ない話ではないと再読して再認識する。

地域地方だからこそそこに警察や消防、市役所、病院、市民など目に見えない感情や思惑などが世の中に存在する。中央とはまたちがうかもしれないし同じかもしれないけど……。

だけどちいさな地域や地方だから助け合うという『極北クレイマー』のラストにいたるくだりもまた事実。

けど『極北クレイマー』のラストに世良先生を“救世主”とサブタイトルあるのは『極北ラプソディ』を読むとさらに複雑に思う。

なにが正しいのか『桜宮サーガ』を読むと田口先生、今中先生たちと共にいち読者として悩むしう〜んと思う。

  • No.108 by 風人  2015-12-02 12:18:33 

田口公平、今中良夫このふたりは名前からして人となりがあらわれてる。

『極北クレイマー』を再読しながらこのふたりは性格や境遇が似てる。
田口先生は高階病院長や白鳥さんから毎回、無理難題を背負わされ今中先生も『極北クレイマー』のラストで大学病院に当初は戻りたかったのに自ら極北市民病院に残る英断をする。
ふつうに考えたら大学病院に戻って勉強や論文書いて研究や功績をつくることもできたかもしれないのにあえて茨の道を歩む。
『極北クレイマー』のラストの今中先生が持つ中央への決断や反発、あるいは極北市民病院を去った人々への思いはあたたかいものであり熱い闘志と思う。

だけどスポットライトをラストに浴びるのは“救世主”とサブタイトルに銘を打たれた世良先生(笑)。

『極北クレイマー』は問題が解決しないまま物語が終わってるけどそれは海堂尊先生が読者や医療に従事してる人たちへの問いかけと思う。
『極北ラプソディ』でも解決してないままだけど(苦笑)。

  • No.109 by 風人  2015-12-02 14:10:17 

『極北ラプソディ』の冒頭やむを得ないにしても世良先生の手腕で今中先生が築き上げた信頼を失ったのは痛手と言える。

だけど大人社会ではあり得ない話ではないから。
極北市民病院が生き残るためには雇用をまかなえるくらいの予算がないこともまた実情。

世良先生が当初から茨の道を歩んでるのは理解できても感情や心情は別。今中先生と読者は共感もあれば世良先生との距離感もある。

極北市民病院みたいに市から最低限の予算しかいただけない病院はおそらく地域地方に無数にあるかもしれないです。

三枝先生が作品中で極北市民病院の唯一の“良心”的存在とたびたび思い知る。

救急医療を雪見市の救急センターに任してるとはいえ医者にしたら地元の患者は診たいと思うのは心情。だけど予算や人がいないのではできない。

『極北クレイマー』のラストの今中先生の決意は世良先生と現状の前では脆くも崩れてる。だけど逃げない姿勢が今中先生にある。

読むたびに考えさせられる。

  • No.110 by 風人  2015-12-03 06:16:38 

世良先生なりに極北市民病院を救おうとする意思はあるようだけど過去ログに書いたように強引さも否めない。

救急患者を受け入れないことで生き残りを図ったとしても患者にしたら見捨てられる立場もある。

だけど“医療はボランティアではない”と世良先生のきびしい言葉も等しく現実。
『極北ラプソディ』はそんなきびしい現実を冒頭から顕してる。

海堂尊先生にしたら医療の現実を変えたい思いを作品に託してるからそんな書き方をしてると思われる。
『桜宮サーガ』では北に南に中央、あるいは海外にありとあらゆるキャラが動いてる。

医療の世界も官僚と同じで閉鎖的なのも否めない。皆それをオープンに窓口を広げようとしてる人物もいると思うけど壁はいくつもある。

  • No.111 by 風人  2015-12-03 07:33:32 

医者や医学生にとって母校は大切な存在でしょう。
『ひかりの剣』でも医学生時代の速水先生や清川先生の若き日が書かれてましたけど今中先生は『極北ラプソディ』で妙な帰りかたをすることになる。
『極北クレイマー』の頃はあれだけ大学病院に帰りたがっていたのにラストに教授からの手紙を断る姿勢をみせて『極北ラプソディ』にいたる。
精神的成長というにはかんたんだけどそれだけでは内に秘めたところもないわけではないと思う。

『ジーン・ワルツ』もだけど教授という地位にある人は頭がかたいというのが海堂尊先生の印象でしょうか。大学病院や医学生を束ねて導くという立場にあり未来につなげてはいると思いますが。
研究や論文云々で成り立ってるのもあるけどそれが医療の世界を狭めてる要因でもある。

『極北ラプソディ』の今中先生が母校に複雑な思いを抱くのは大人になったからか。

  • No.112 by 風人  2015-12-04 05:52:06 

医療の世界では論文ありきはあるでしょうね。

世良先生は『極北ラプソディ』で論文に否定的な意見を今中先生の恩師水沢教授におっしゃってたけど。

論文や研究を個人のテーマや熱意あれば個人にプラスに働くことはあると思う。だけど論文だけを評価されて研究が現場優先で滞るのもある。

『桜宮サーガ』のシリーズけっこう読んだけど医療世界のバランスがいびつなことに気づく。

患者を優先すれば予算がなくなり赤字になる。経営を考えたらできないことは受け入れない対応をせざる得ない。

白鳥さんや姫宮香織が医療事故など含めて物語内としてそれにメスをいれようとしてる。
だけど現場は追いつかない。中央と医療現場の実情の解離ある。

『極北ラプソディ』で世良先生は強引な手腕ではある。だけど聞くべき人たちの場では意見をぶつける。
ひとり矢面に立つ世良先生の心境は再読してても冒頭からわかりにくい。

真意を見せないのかただ言いたくない黙ってるだけなのか。歳を経た世良先生の気持ちのうちはふしぎなもの。

  • No.113 by 風人  2015-12-04 07:03:08 

医療やドクターヘリの話題は散見できる。
おそらくどの地方でもドクターヘリ導入や予算の割り振りしてる。
だけど『極北ラプソディ』を読んだら経験あるパイロットや整備士などの確保は重要だけど熟練者はそういるわけではない。
予算がないとパイロットや整備士はつかない。

また特にこれから冬に入ればいくらドクターヘリでも判断によっては飛び立てないこともある。

人間が人間のことをやるには無理難題諸問題が無数にいくつも重なる。

『桜宮サーガ』はシリーズ全体から医療を通して人間を問う一面もある。

  • No.114 by 風人  2015-12-04 08:49:34 

『極北シリーズ』の木村警察所長は西園寺さやかにやはり利用されただけのようですね。

別作品ではあるけど『相棒』風に言えばとかげのしっぽ切りになったというべきか。

救急医療体制に警察や消防は地域医療に深く関わるから。どんな田舎で救急車やそれに近い車輛はある。

『極北ラプソディ』で世良先生は極北市に切り込みを入れていくのは極北市を治療する姿勢ではある。
だけど意見の筋は通っても予算が市にないから通らない。

身近にあることと思えないと危機感がないのが現実でしょう。

  • No.115 by 風人  2015-12-04 14:41:40 

『極北ラプソディ』を再読してると老人への訪問看護と孤独死も書かれてることに気づく。

いまは都会でも孤独死がある時代だからこれらの諸問題はどの地方地域も抱えてると思う。

ただ世良先生の対応として死人は診て病人は診ない(正確にはお金を払わない患者だけど)ことに一般市民としては違和感ある。
うまく言えないけどこういう違和感が医者と一般市民の間の医療についての考えのちがいとなんとなく実感する。おそらく中央官僚ならもっと違和感あるはず。『イノセント・ゲリラの祝祭』もでしたが。

海堂尊先生の本の作り方は物語内でその都度、問題提議して読者に問いかけしてる。

違和感や疑問持つことは結果的に社会や市民が動くことになるきっかけでもある。

  • No.116 by 風人  2015-12-04 16:07:23 

医療に限ったことではないけど『桜宮サーガ』の本を読むと専門職と一般市民の意識の解離はあると思う。

田口先生の愚痴外来にしても一見、不要にみられがちだけどそれで救われる患者もいる。

救急体制はもちろん必要だし癌治療や代理出産なども技術を経るたびに必要とされまた問題にされる。

“神の領域”を人間は医療も含めて犯してはいると思うけどこれだけ技術が進んでしまうと一般市民としてはどこまでが“神の領域”かわからなくなるのも事実。

ただ昭和時代にくらべたら癌告知などは医者からは患者に伝えやすくなった利点もまたある。

どこまでが問いでどこに答えがあるのか『桜宮サーガ』は田口先生や今中先生などを通して問いかけを続けてる印象。

  • No.117 by 風人  2015-12-04 18:03:55 

『ジェネラル・ルージュの凱旋』も『極北ラプソディ』もドクターヘリがイラストで表紙を飾ってる。イラストの印象は異なりますけど。

この辺、出版社はちがうけど海堂尊先生の本は表紙がまたおしゃれで格好いい。

『桜宮サーガ』の根幹を成す『田口白鳥シリーズ』のイラストは医療器具やドクターヘリなど硬派、『極北シリーズ』などは淡いイラストなど各出版社によって違えてる。

ちなみに私が読んでるのは文庫の方なのでカバー版を読んでる方はまたちがうと思います。そこはご了承ください。

  • No.118 by 風人  2015-12-05 05:44:41 

『極北クレイマー』では速水先生は今中先生の電話対応の出番だけでしたが、『極北ラプソディ』では『凱旋』後の速水先生と花房さんの活躍がしっかり書かれてました。
速水先生はどこいっても“将軍(ジェネラル)”だからまわりが扱いに手を焼くなか桃倉センター長だけはしっかり手綱を握ってる。
速水先生は『凱旋』でもですが、救急医療のためなら子どもであり鬼でもある。『極北ラプソディ』でもかつての同僚、佐藤先生にも触れてましたし(笑)。
ドクターヘリに乗ることはなくてもお金勘定なくても救急医療には『桜宮サーガ』のなかでは誰よりも必死だと思います。
それで迷惑をかぶるのは東城医大や雪見市の救急医療センターの同僚たちですが(苦笑)。

基本的に『桜宮サーガ』の人物たちは白鳥さん、田口先生、速水先生、彦根くん、世良先生などは自然ともしくは意図しなくても敵をつくってしまう傾向があるんでしょう。

速水先生の場合は経済感覚のなさから収賄容疑をかけられたけど愛用してるチュッパチャップスがもとで『凱旋』で田口先生の思わぬ手から東城医大を追い出されタヌキの高階病院長にしてやられた(笑)。
速水先生の敵は救急医療や患者そのものを襲う事故と言えますが、高階病院長や桃倉センター長など年長者に逆らえない。これは田口先生、今中先生、曽根崎理恵先生もまだまだ知らない経験を積んでないから。

いろいろな人間関係が垣間見えるのも『桜宮サーガ』の魅力。

  • No.119 by 風人  2015-12-05 10:54:14 

『極北ラプソディ』では速水先生や花房先生以下雪見市救急医療センターの面々とドクターヘリの活躍が読めるのが楽しいところ。

『極北ラプソディ』のアクション編ともいうべきでしょうか。
いきなりドクターヘリに乗ることになった今中先生が患者を乗せたら置いてけぼりに遭うのはリアルに悲惨ですが(苦笑)。
ほんとにドクターヘリに乗る医者が置いてけぼりにあうかはわからないですがひとつの笑いです。

だけど今中先生が桃倉センター長の息子と話をする場面は印象に残る。医者もスキーヤーをやるのも人一倍の集中力や努力がうると今中先生が諭す場面。
似たような場面は『ひかりの剣』で剣道の修行に励む速水先生の姿にかぶる。
もしかしたら海堂尊先生自身の体験から物語が生まれてるニュアンスは『桜宮サーガ』全体のあちらこちらにあると思う。

  • No.120 by 風人  2015-12-05 16:03:10 

『ジェネラル・ルージュの凱旋』を読んだ時は速水先生と花房さんがくっつくのかと思ったら『ブラックペアン1988』の時代は世良先生と花房さんがデートしてて『極北ラプソディ』では桃倉センター長が速水先生と花房さんの関係かなと思わせておいて世良先生と花房さんがラストにくっついてしまう。

『桜宮サーガ』全体をだいたい把握してると人間関係や物語はいい意味で裏切られておもしろいもの(笑)。
読者として把握してるつもりでもあちらこちらで人物が動いてる。
だけどてっきり世良先生は佐伯先生を探してるのかと思ったら深読みしすぎてたよう(苦笑)。

花房さん視点からしたら世良先生を探してたといえますけど。

『極北ラプソディ』読むと極北市民病院と雪見市救急医療センターの環境が医者や看護師、患者にとっても天と地ほどの差がある。地方地域医療にはその地の首長の考え方の違いが市政などにあらわれる一面もある。

『極北クレイマー』でおさまらなかったのを『極北ラプソディ』で補完してる。

  • No.121 by 風人  2015-12-06 05:34:35 

『極北ラプソディ』で世良先生はおそらく将来ある今中先生を世間の風聞に晒さないためにわざと雪見市救急医療センターに向かわせたと考えられる。
仮に世良先生の言葉や手腕で極北市民病院がつぶれても今中先生がマスコミに晒されることはない配慮と深読みできる。またそれが世良先生の物言わない大人の対応ならとりあえず納得できる。
だけど七夕に今中先生はドクターヘリでかつての古巣に向かいそのまま帰ってくることになる。
世良先生がおそらく極北市民病院に限らずそれまでの他の病院のいくつかがおそらくつぶれたことなどはたぶん半分は本音と思う。
病院をなくすことで苦渋を舐めるのは役所や市民そのものと地元や役所、もっといえば中央官僚たちに知らしめるためと考えられる。
だから世良先生が強気に出れる反面、世良先生の胸中ではつぶしてきた病院や市民たちには半ば申し訳ない後悔の一面もあったとも考えられる。
だから今中先生が極北市民病院に戻ってきた時は本心からも素直さから口がこぼれたと思う。

  • No.122 by 風人  2015-12-06 06:17:18 

基本的に速水先生のやり方に同意したり巻き込まれると誰かは損したり職場を離れたり辞めないとならないのはジンクスみたいなもの。

『凱旋』でも花房さんはわざととはいえ速水先生の収賄容疑に乗っかったわけだし『極北ラプソディ』でもドクターヘリ運用のために越川さんが辞めざる得なくなる。
速水先生のやり方に『桜宮サーガ』のなかでついていけるのは佐藤先生や如月翔子、花房さん、雪見市救急医療センターの面々くらい(苦笑)。

『極北ラプソディ』で海堂尊先生が書きたかったのは極北市民病院を救う暗中模索の物語とドクターヘリの活躍と必要性、さらにドクターヘリを越えるドクタージェットのさらなる必要性、そして離島の診療所のあり方でしょう。
あとはほのかな恋愛がヘリパイロットの大月さんとフライトナースの五條さん、世良先生と花房さん。

田口先生と今中先生の恋愛はどこかで書かれてるんでしょうか。

  • No.123 by 風人  2015-12-06 10:20:35 

世良世良は東城医大を離れて佐伯先生を失ったことも衝撃だったんでしょう。
医療改革のために尽力はしたと思うけど常に地元や市民病院のためと言いながらその姿勢は敵をつくることでしかなかった……。

神威島の久世先生とのちがいは相手との対話や話し方、姿勢だったんでしょう。
官僚や役所にはたしかに融通きかない四角四面の型にはめた役人もいるでしょうけど若者ややる気のある人たちが聞かないわけではないのは『極北ラプソディ』で世良先生も口に出してる。
方向性がややずれてた。

神威島みたいな離島などには現実はなかなか優秀な医者は来ないのが現実。

『極北ラプソディ』では桃倉センター長を救うためと神威島に世良先生たちを送ったドクタージェットのパイロットを救うためにドクターヘリやドクタージェットの必要性が書かれてる。
後半の展開としては熱い物語。

白鳥さんや彦根くんは『桜宮サーガ』のなかの日本を東日本、中央、西日本と統合する思想があるんでしょうか。
『極北ラプソディ』に白鳥さんの名前は出ませんでしたが『極北クレイマー』では姫宮香織、そして斑鳩室長の影が見えるから地方だからこそ中央の影響が見え隠れしてる雰囲気ある。

『極北ラプソディ』後の極北市民病院が気になるのもあります。

  • No.124 by 風人  2015-12-06 15:03:05 

『極北ラプソディ』は一冊で四部に分かれてる。

一部では前作『極北クレイマー』のラストからの復習と世良先生が前作ラストで救世主と銘を打たれてからの極北市民病院の実情。
たしかに市役所の加藤課長や残った角田師長たちは残されて行き場のない者たちかもしれないけどどうあれ残ってそこで頑張ることも大切と思われる。

二部では世良先生の意向により極北市民病院から雪見市救急医療センターにとばされた今中先生を通してドクターヘリの必要性、ドクタージェット構想、速水先生の優秀だけどわがままっぷり。だけど桃倉先生長を中心に速水先生と伊達先生のバランスが取れてる雰囲気ある。
救急医療センターを今中先生が見ながら徐々に自分の考えを自覚して二部の最後に今中先生はドクターヘリでとんぼ返りする(笑)。
フライトナース五條さんと仲良くなれそうだったのにチャンスを結果的に逃す。

三部目ではドクターヘリのアクション編ともいうべき活躍。
桃倉センター長の息子さんが活躍するスキージャンプ大会のなかの惨事。皮肉にも桃倉先生自身が命の危機に遭う。
またドクターヘリがいかに扱いや判断がむずかしく速水先生の決意と行動で越川さんが辞表を出すことになるが桃倉先生は命を救われる。
また男たちと五條さんの酒飲み勝負がみられる(笑)。

最後の四部では世良先生と今中先生の未来の兆しが離島、神威島にある。
地域地方医療でなにが必要で誰に話を向けたら、というひとつの解答。
世良先生自身の生き方含めて。
神威島編はしっとりと感動させるなにかはある(涙)。久世先生と『極北クレイマー』からひと皮むけて大人になった後藤先生の存在がさりげない。
そして再び雪見市救急医療センターの伊達先生と五條さんと再会して伊達先生の過去もちらりと語られる。
なぜ、彼がフライトドクターになったのか……。

『極北ラプソディ』は『田口白鳥シリーズ』とはちがう意味で内面のアクションが詰まってると思う。救えない命もあるけどなぜ救えないのかは読んだら切実に理解すると思う。

  • No.125 by 風人  2015-12-06 15:37:24 

ちょくちょくこのトピを見てる人いるんでしょうか。
興味があるなら本屋やブックオフ、中古書店などで“海堂尊”の棚をご覧になって少しで構わないので読んでみてください。
そこから興味持つのも構いませんしつまらないと思ったら無視してても構いません。
一度は“海堂尊”の本をご一読ください。

  • No.126 by 風人  2015-12-08 05:41:08 

結果的に市が財政破綻するのはムダなことや施設にお金を垂れ流すからでしょう。
『極北クレイマー』で市が遊園地やスキー場などに予算を使ったがために最終的に破綻した。
さらに『極北ラプソディ』で(一般から見ても)実態がよくわからない南雲監察医院にも予算が流れてた。

たぶんそういうことや施設は日本のどこにでもあって役所の無自覚や市長などの意向が反映されると思う。

『極北ラプソディ』で速水先生たちが所属する雪見市救急医療センターと世良先生、今中先生たちが所属する極北市民病院では少し市をまたいだだけで医療環境が医者にも患者にもちがう。
首長の意向やパフォーマンスであっても医療に能動的姿勢あれば環境が変わる一面もある。

ドクターヘリは当然、パイロットや整備士、管制士などがいてはじめてヘリは舞い上がる。予算も当然食う。
だけど時代や地元が必要としてる。

『極北ラプソディ』ではドクターヘリを動かし携わる人たちのドラマも書かれてるところはまた魅力的。
パイロット大月さんとフライトナース五条さんのラブロマンスもよかった。

けど、今中先生が惚れる女性は『極北クレイマー』の並木梢、『極北ラプソディ』の五条さんと気が強い。
姫宮香織は田口先生には出会うことないのに他作品では今中先生らその作品の主人公に出会ってる。
姫宮香織=氷姫は霞ヶ関の若き官僚たちさえ相手にしてないし彼女は恋愛に興味ないのかな。

  • No.127 by 風人  2015-12-08 15:45:54 

NHKでドクターヘリのドキュメント番組を二度ほど録画しそこなってるorz。
気づく時はあんがい録画し忘れてる。
だけど二度ほどざっと見た感じ現実は『極北ラプソディ』と同じかそれ以上に緊迫してた印象あった。
けど『ジェネラル・ルージュの伝説』にもありましたがマスコミは映像は使うところしか使わないというのもある。
取材される側の意向あれば取材する側の演出や意図もある。
『伝説』で佐藤先生が今回の取材はなかったことにとお詫びする場面ありましたがあれも医者が一般市民に対する意思や考えとも思う。

『桜宮サーガ』全体も含めてフィクションはドラマティックだけど現実はもっと凄惨で助けられない人や命もある。『桜宮サーガ』いくつかシリーズの本でも命が無情に失われてる場面はいくつもある。
海堂尊先生は医者にとって都合のいい場面や物語だけで本を書いてない。それもまた海堂尊先生が見た現実であり伝えたい現実と思う。

たとえば官僚と医者たちにも距離があるように医者と一般市民の間にも理解しきれない距離がある。マスコミもまた同じ。

その辺は読んでて自然と複雑に考えざる得ない余韻ある。

  • No.128 by 風人  2015-12-09 04:28:34 

海堂尊先生が作品中に一般市民、マスコミ、官僚などを登場させて医者について辛辣なことを書くのは“理解されてない”無理解が現実にあるのを理解されてるからでしょう。
市民の理解不足、マスコミの取材不足、官僚の理解不足や手腕にいいように利用される医療の現実など。
目に見えるあるいは見えないところの隔たりがある。
東城医大はバチスタスキャンダルが作品中に尾を引き、極北市民病院は三枝先生逮捕が尾を引いている。
理恵先生が所属してるマリアクリニックももしかしたら理恵先生の代理出産の意向によって未来では市民やマスコミの下に白日に晒され危機になったかもしれない。

もちろん海堂尊先生の作品や新聞報道、ニュースなどを見ても理解されないできない点もある。

以前も書きましたが、どこまでが“神の領域”なのかは一市民には判断はしにくい。批判はできても医療がどのような道を歩むのか作品中の田口先生や今中先生のように医療に邁進従事する者たちでさえその世界に身を置けばおくほどわからなくなり迷うものではと思う。

  • No.129 by 風人  2015-12-12 04:53:56 

『桜宮サーガ』のシリーズ読むと市民、マスコミの立場もある程度は配慮されてる。

市民にとってより良き医療をすれば当然、赤字はなくなり黒字になる。
『極北ラプソディ』で世良先生のマスコミへの対応は決して良いものではないけど病院経営においては黒字の結果を出してる。市役所の加藤課長は驚いてたけど(笑)。

『桜宮サーガ』の『田口白鳥シリーズ』でも書かれてるけど政治と医療の相性がよくないという一面もある。
政治の垂れ流しや箱モノ行政より医療にお金や人をつかってほしいのが海堂尊先生の意思と思われる。
それを『バチスタ』以来、作品がヒットしてテレビやマスコミに出て意思をあらわすことでドクターヘリなどを具現化してるところもある。

『極北ラプソディ』読むとドクターヘリの必要性、さらなるドクタージェット構想の必要などわかる。

まだまだ医療が追いついてないところは多々あると思うけど海堂尊先生の本に医療の未来が記されてると思う。

  • No.130 by 風人  2015-12-13 06:17:53 

『極北ラプソディ』の漂泊と書いて“さすらい”と呼ぶ雪見市救急医療センターの面々が通う居酒屋もなにげに渋い。

今中先生が通ったのは作品中では数えるほどでしたが救急医療センターの面々にとって憩いの場。

東城医大の酒豪と呼ばれた速水先生をKOするヘリパイロット大月とCS越川。
『極北ラプソディ』はヘリに携わる人たちの物語でもある。

けど実際な話、『極北ラプソディ』読んで航空機パイロットや管制は命懸けというの伝わる。
簡単に飛んでるように見えて送電線に配慮したり乗客の命に気を配ったり医者とは違う意味で命懸けの職業。

海堂尊先生が医療だけでなく市民、マスコミ、ヘリパイロットなどあちこちに取材しそれを本に反映させてるの伝わる。

  • No.131 by 風人  2015-12-15 05:49:43 

読みたかった『極北ラプソディ』は今年は読めたけど読めば読むほどあちこちに伏線が『桜宮サーガ』シリーズに張られてる。
彦根くんはある意味、したたか。白鳥さんや世良先生はおそらく利用されてるのを理解しながら動いてるところもあるけど未読な作品ではどうなってるか期待と不安どちらもある。

『極北』シリーズでは三枝先生を訴えた広崎広明消防士とて加害者であり被害者でもある。
西園寺さやか=桜宮小百合、引いてはその背後にいた斑鳩室長によってことがどうなるかわからないまま操られたんだから。
それでも『極北ラプソディ』で市民病院の対応を広崎広明が批判する顔を見せながらも今中先生はそれでも彼を責めることはしない。
三枝先生の逮捕はあったのはやむを得ない事態として受け止め医者は病院を経営し現状のなか対応せざる得ない。

田口先生や今中先生のように現実、リアルタイムで医療に従事してる人たちは常に医療の在り方に疑問を持ちながら悩み葛藤してると思う。

  • No.132 by 風人  2015-12-17 16:27:09 

『極北クレイマー』の広崎広明消防士が欲しかったのはことの事実だけ。

慰謝料や賠償金を求めてないのは物語の中で終始一貫してる。

だけど、医療事故の事実や真実を求めるにはパンドラの箱を開けるくらいの気持ちや葛藤が必要かもしれない。

被害者がある一面から見れば加害者になることになるのが裁判かもしれない。

『桜宮サーガ』で悪役そのものは桜宮巌雄や桜宮小百合、斑鳩室長などきわめて少ない印象もある。東城医大の黒崎先生なども悪役だけど彼らは医大のなかで時に失態を書かれコミカルなところもある。

まだまだパズルのピースが埋まらない。読めば読むほど謎がある……。

  • No.133 by 風人  2015-12-19 05:07:46 

よくよく考えたら『極北クレイマー』の広崎広明消防士は、『極北ラプソディ』でも消防士を続けながら出てきたことを思ったら彼もまた地元を離れなかったひとりということになる。

『極北クレイマー』を読めばわかるけど彼が欲しかったのは妻や赤ん坊が亡くなった事実が欲しかっただけで、賠償金が欲しかったわけではない。

先にも書いたけど、斑鳩室長や西園寺さやか(桜宮小百合)に利用されたに過ぎたにすぎない。

もしも彼がお金目当てだったら『極北ラプソディ』に出てることもなかったし今中先生たちも忘れられた存在になってたかもしれない。

『極北クレイマー』はある意味、また彼の物語でもあり被害者が別の角度から見たらあるいは何らかの行動をしたら加害者になり、市民病院から必要不可欠な存在の人物を社会的に白日のもとに晒すことになる者として書かれてる。
広崎広明消防士だって三枝先生によって極北市民がいかに救われてたかは理解はしてただろうけど妻や赤ん坊を失った感情や気持ちはまた別。

理屈やお金では割りきれないものがあるとして書かれてた人物と解釈できる。

『極北クレイマー』『極北ラプソディ』の両方に登場しながら医療費を支払わなかったために亡くなった田口さんもこの人もある意味、印象に残る人物。

田口さんの場合は市民病院の赤字経営を誰がもたらすかという意味で書かれなおかつ患者としてのあり方も書かれてたと言える。
『極北ラプソディ』の冒頭で亡くなるのはたしかに世良先生の不手際でもあるけど医療費を払わなかった田口さん自身の責任でもある。

広崎広明消防士も田口さんも市民ではあるけど、医療の非情な現実があるという意味を伝えるためには必要不可欠な人物だったと言える。

  • No.134 by 風人  2015-12-21 08:59:58 

とりあえず今年後半に『マドンナ・ヴェルデ』『極北ラプソディ』を読めたのは実によかった。

『桜宮サーガ』は未入手な本がいくつもあるからそれをたのしみにできる(*^^*)。

  • No.135 by 風人  2015-12-27 07:27:13 

『極北クレイマー』や『極北ラプソディ』読むと北海道らしいよさもあるけど、また不便さもあるの書かれてる。
『極北クレイマー』の時の今中先生は車ないと不便なのを同僚に言われ病院の車を借りる羽目になる。

また北海道も地方ゆえか娯楽の少なさもある。『極北クレイマー』『極北ラプソディ』ともに。

今中先生がえっちな本を持ってないのは根がまじめだからでしょうね(笑)。

  • No.136 by 風人  2015-12-28 11:10:15 

『極北シリーズ』で亡くなるのは田口ではなく田所さんでしたね。

似たような姓名持つ人物いるから『桜宮サーガ』のシリーズ読んでるとほんと混乱する(苦笑)。

主要な人物はそれなりにおぼえてるつもりでも人物がなんやかんやあちこち物語を行き来してるし歳もあるから追い付かない。

  • No.137 by 風人  2016-01-01 07:13:19 

NHKの土曜のドキュメント番組でドクターヘリ、再放送してくれないでしょうか。

二回見てて録画し損なってるから(苦笑)。
『極北ラプソディ』のドクターヘリを直に見てる感じして迫力あった。

NHKさんお願いします。

  • No.138 by 風人  2016-01-09 10:10:53 

去年は『極北ラプソディ』『マドンナ・ヴェルデ』を読めたのは実によかった。
けど『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』の女性の妊娠や出産に関わることは読んでて現実的にこわいなと思う。もちろん、生命誕生の瞬間は素晴らしいと思うけどなかには妊娠や出産できない女性もいる現実。
また妊娠しても子供に障害があったり奇形児になるおそれもある。

それらになんとかするために代理出産という手段もあるんだろうけど代理出産もまた問題をはらんでる。

『ジーン・ワルツ』の理恵先生は怖い一面あったけど『マドンナ・ヴェルデ』では一女性としての顔を見せてたと思う。
おそらくもうひとりのヒロインである彼女の母親の言葉によるところは大きい。
マリア先生もさりげなく代理出産で生まれた子供たちの未来を案じたと思う。

『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』は読むにはまだまだ勇気いる本。
男性にとっては。

  • No.139 by 風人  2016-01-10 05:14:08 

こう冷たいと『極北シリーズ』を思い出させる。
実際の北海道の寒さはこの比ではないと思うけど。
『極北クレイマー』『極北ラプソディ』は読んでると地域地方医療のきびしさがほんと伝わる。
だけど、『極北ラプソディ』で首長の意思や主張ひとつで地域地方の現状の裏側も見える。それが選挙アピールや選挙対策であっても上手に利用し利用されないという相互関係もある。
実際に地域のニュースに目をやるとそういう一面が垣間見えなくもない。

  • No.140 by 風人  2016-01-11 11:26:06 

『桜宮サーガ』シリーズを読むと社会の目に見えないところが医療関係を中心に見えてくる。
もちろん、海堂尊先生の表現がすべてではないですが。
いくぶん事実とフィクションを織り交ぜながら現実の我々に訴えるメッセージは各本ごとにある。
霞ヶ関官僚のことはニュースや新聞を目にしてもマスコミが伝えることは時に曖昧なこともある。
『イノセント・ゲリラの祝祭』はそんな意味ではドラマティックにわかりやすくエンターティメントな作品。

  • No.141 by 風人  2016-01-12 05:23:26 

『極北ラプソディ』でドクターヘリの運用の難しさもある。
ヘリパイロットの育成、熟練した整備士、天気天候による飛行不可の状況。

一見、簡単に物事をおこなってるように見えながら社会的状況大人の事情もある。

社会の事情が見えてくると安易にモノが言いにくいのもある。

医療に関係なく社会が“目に見えない善意”で支えられてるのも事実。

医療も含めておそらく人間は答えが出ないものと思う。
具体的な正解や正しさはなくてもそれに近い答えを導くことで満たそうとするものではないだろうか。

『桜宮サーガ』シリーズで白鳥さんはこれ!と決めたら有言実行型。実行した上でそこから思考し悩みまた答えを出してゆくタイプ。
白鳥さんは官僚のマイナス面もわかってるからなおさら。
田口先生は白鳥さんや東城医大を通して経験することから医療の問題や欠点から答えを出してゆく。組織の改善や患者にどう接するか。
高階病院長が田口先生をリスクマネジメント委員にしたのは彼が病院を見る目や思考があったと判断したからでしょうか。

  • No.142 by 風人  2016-01-20 07:19:24 

癌の数年後の生存率が上がってるのは治療技術の向上などでしょうか。
桜宮サーガのシリーズ内でも癌はたびたび取り上げられてる。
時代の変遷が見える。
だけど、まだまだ人類は癌を克服するには至らないか……。

  • No.143 by 風人  2016-01-20 14:56:19 

癌の生存率下がってたんだ。今朝のニュースを誤解して見てた。
癌は継続的な検査や治療は必要ということ。転位するのは誰もがあること。
まだまだ人類は癌を克服できないんだ。

  • No.144 by 風人  2016-01-21 13:52:01 

久しぶりに『イノセント・ゲリラの祝祭』を読むと官僚の悪癖が如実にあらわれてる。
白鳥さんと彦根くんの暗躍、八神がほんとふたりの企みに気づいてないのがお気の毒。
官僚社会の悪癖はいつの世もなくならないともいえる。

彦根くんは虚実両方の存在として自らをとらえてるんだろうか。
成功も失敗も表裏一体ともとれる生き方。
ある意味、桜宮サーガ内においてとんでもない大ボラ吹きなわけで。
彦根くんについてはまだまだわからないところある。

  • No.145 by 風人  2016-01-22 07:13:22 

あらためて『イノセント・ゲリラの祝祭』を読むとバチスタ事件の被害者遺族の在り方がむずかしく思われる。
『桜宮サーガ』自体が医療サスペンスの一面あるシリーズだから一冊の本、あるいはひとつのシリーズごとで“命”や“医療の在り方”がたびたび問われる。

海堂尊先生の立場からしたら本当書きにくいかもしれないけど一歩も二歩も前へ踏み込んだ表現してる。
実際の心境や葛藤からしたら悩むと思いますけどあらためて読むとむずかしい問題。
海堂尊先生が本を通して伝えたいこと伝えてるべきことは大事かつ重たいもの。

  • No.146 by 風人  2016-01-23 05:56:44 

他の『桜宮サーガ』のシリーズもだけど『イノセント・ゲリラの祝祭』は医療と官僚の駆け引き。
これに監察医などが関わるからあらためて医療と現実の解離が如実に見える。
どこかで既得権益を考えるのが官僚、社会の悪癖とわかっててもなかなか打破できない。
作中においては白鳥さんだけが官僚においての“毒を以て毒を制す”という感じ。
本来はそういう気持ちがすべての分野の人たちにあれば社会はよくなるかもしれないけど。

白鳥さんは霞ヶ関と桜宮市、あるいは他から官僚社会をぶち壊そうとしてる。

  • No.147 by 風人  2016-01-24 05:52:15 

『イノセント・ゲリラの祝祭』がある種、社会派ぽい一面なのは作品中で新聞記事や別宮葉子の活躍などがあることで田口先生の動向とは別に書かれてること。
反面、彦根くんは虚実両方な感じする。
わざとそんな態度を取ってるのか、あるいは別に秘めた思いがあるのか。『イノセント・ゲリラの祝祭』では謎のまま。だけど、白鳥さんとの接触や『極北ラプソディ』で名前が出てくることから見え隠れはする。

  • No.148 by 風人  2016-01-26 07:46:25 

海堂尊先生、またそこまで委員会に出演されないでしょうか。
まだまだ『桜宮サーガ』はパズルのピースが埋まらない。
いまの時期は『極北ラプソディ』で書かれてたようにドクターヘリでも出動が困難な時あるようですね。

  • No.149 by 風人  2016-04-03 17:12:35 

『極北ラプソディ』は地域医療の問題を取り上げてたけど、つい最近読んだ『モルフェウスの領域』は冷凍睡眠を取り上げてた。
だけど国民を守る法律が時に国民を苦しめることにもなる問題提議。なんとも難しい問題と思う。
ただ『モルフェウスの領域』の物語自体は私が読んだなかでもロマンチックな本。
ヒロイン日比野涼子、主人公西野昌孝、そして『ナイチンゲールの沈黙』からの登場の如月翔子そして冷凍睡眠されてた佐々木アツシ少年(本来の主人公と思う)。田口先生、佐藤先生、高階病院長という懐かしき面々。
物語の根幹を成してるのは日比野涼子、西野昌孝、そして佐々木アツシ少年。
癌治療のために五年間、冷凍睡眠(コールドスリープ)されてた物語はほんと衝撃ある。
けどラスト近くの涼子の上司が実は八神だったのが笑えた。
けど冷凍睡眠については作品内で記されてたこと以外にもいろいろと問題ありそうに思えた。

  • No.150 by 風人  2016-04-04 05:28:56 

『モルフェウスの領域』はいままで海堂尊先生の桜宮サーガのなかでいちばんロマンチックな感じした。
もちろん医療問題にも書かれてるけどそれ以上に日比野涼子と西野昌孝のロマンス、佐々木アツシ少年の成長。みごとにトライアングルを紡いでるように見えるのは気のせいだろうか△。
涼子がさびしい女性として書かれ西野は優秀な男性として、アツシ少年は家庭を喪ったけど代わりに得るモノはあった。
またもうひとりのヒロインといえるオレンジのプリンセス村田佳菜。
病棟のなかでは年上であっても子どもっぽさは抜けずアツシ少年を傷つけてしまうのはやむを得ないともいえる。
東城医大の現状が『モルフェウスの領域』ではけっして明るくない一面もあって少々、考えさせられる。『螺鈿迷宮』での負の遺産を背負ったのも影響してるように思える。

  • No.151 by 風人  2016-04-04 07:10:01 

『モルフェウスの領域』で田口先生、如月翔子、佐藤先生、藤原看護師、猫田総師長(総師長になってた)、高階病院長などの面々はほとんどかわりなかったですね。
もちろん東城医大の現状が変わりつつあるのは伝わりましたが。
田口先生は論文ひとつ書かずにセンター長に出世し如月翔子も師長、ただし小児科病棟の勤務実態がたいへんなのはうかがえる。
佐藤先生と日比野涼子との会話に垣間見える医療研修生の実態。研修生が使えないのはどこもあるという愚痴。
『極北ラプソディ』でもドクターヘリに乗せたくない研修生の親というのもあったから研修生がいろいろな意味で育たない環境が根づいてるのではと思われる。
医療が限られた狭い環境というのもある。いかに広くクリアな透明度ある環境にしたくても官僚や古い学会、論文ありきな体質があるものと痛切に伝わる。
そこを『桜宮サーガ』というフィクションから伝えようとする海堂尊先生の姿勢もまた伝わる。

けど如月翔子のほんの少しプライベートな一面が見れたのは面白かった。白衣の天使が実はプライベートではジーンズに革ジャン。背中に金のドクロの刺繍。
彼女はいい意味で砕けた性格は『ジェネラル・ルージュの凱旋』から変わってない(笑)。
田口先生はヘタレと言われてるけど芯や幹はしっかりしてると思う。

  • No.152 by 風人  2016-04-05 16:31:34 

いままで読んだ『桜宮サーガ』シリーズのなかでもっとも共感したのは『極北クレイマー』と『極北ラプソディ』の『極極シリーズ』。
地域地方医療の問題点を浮き彫りにされたところはリアルに身近に感じる。
『極北クレイマー』の室町病院長は最後に逃げた人物ではあるけどどこか憎めない人柄もある。この人なりに極北市民病院を救おうとしたのもまた事実と思う。
『極北ラプソディ』の世良病院長の手腕は一方はマスコミ対策もしくはマスコミ向けアピール。これは白鳥さんによく似てるところ。
手腕としてできないことはしない。そして可能な限り人件費含めて削れるところは削り赤字をなくし黒字を生み出す。ただし利益はない。
『極北ラプソディ』ではまたドクターヘリの運用、人材育成などヘリやパイロットについても触れられてた。ここはたいへん興味深く読ませてもらった。
私の地元の医療センターにドクターヘリがあって以前、母の付き添いで通った頃にドクターヘリを何度も見かけたのがきっかけだった。
ヘリ運用またヘリパイロット医療、運用に関わることだけどドクターヘリもまた飛行距離が限られてたり夜間でも着陸できないところあったり物語を読みながらどきどきした。

  • No.153 by 風人  2016-04-05 16:31:56 

いままで読んだ『桜宮サーガ』シリーズのなかでもっとも共感したのは『極北クレイマー』と『極北ラプソディ』の『極極シリーズ』。
地域地方医療の問題点を浮き彫りにされたところはリアルに身近に感じる。
『極北クレイマー』の室町病院長は最後に逃げた人物ではあるけどどこか憎めない人柄もある。この人なりに極北市民病院を救おうとしたのもまた事実と思う。
『極北ラプソディ』の世良病院長の手腕は一方はマスコミ対策もしくはマスコミ向けアピール。これは白鳥さんによく似てるところ。
手腕としてできないことはしない。そして可能な限り人件費含めて削れるところは削り赤字をなくし黒字を生み出す。ただし利益はない。
『極北ラプソディ』ではまたドクターヘリの運用、人材育成などヘリやパイロットについても触れられてた。ここはたいへん興味深く読ませてもらった。
私の地元の医療センターにドクターヘリがあって以前、母の付き添いで通った頃にドクターヘリを何度も見かけたのがきっかけだった。
ヘリ運用またヘリパイロット育成、運用に関わることだけどドクターヘリもまた飛行距離が限られてたり夜間でも着陸できないところあったり物語を読みながらどきどきした。

  • No.154 by 風人  2016-04-06 07:41:44 

『モルフェウスの領域』は半分はSF、半分は恋愛モノという印象。
コールドスリープを監視するヒロイン日比野涼子、また彼女を見守る西野。
前半はアツシ少年が機械のなかで睡眠したままで涼子に見守られるくだりは孤独な女性の一面を垣間見る。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』もだけど女性の一人称で書かれてると大人のいい意味でえっち(性的な意味ではなく)。大人の女性の生活を見てる感じ。
後半になりアツシ少年を覚醒させると涼子の女性としての苦しみはさらに増す。また未来科学センターでひとりでいたことから佐藤先生や如月翔子への対応で困惑しながら現実やアツシ少年と向き合う姿勢が見えてくる。
彼女の物語として読むとまた印象が異なる。

  • No.155 by 風人  2016-04-06 13:32:53 

西島秀俊さん朝ドラに出演。
『桜宮サーガ』もしくはドラマ『バチスタシリーズ』から速見先生のイメージある役者さん。
速見先生の救命救急医療に伝わる熱い思い、もしくは“ジェネラル”または“将軍さま”として揺るぎない信念。
経済感覚がないところややや女心に鈍感なとこある速見先生はある意味、オレ様主人公。
だけど作品内においては田口先生や今中先生より脇役になってる。
映画『ケルベロスの肖像』でも速見先生は伊藤敦史さん演じる田口先生より格好いいのに扱いとしては救命救急医療に携わり脇役。だけど、部下を信じて任せる器もある。

  • No.156 by 風人  2016-04-06 17:48:37 

西島秀俊さんが朝ドラで「安心してください」と台詞あった時はドキッとした(苦笑)。
けど速見先生とイメージちがいすぎ。
伊藤淳史さんも地域発ドラマでかなりイメージちがってた。

  • No.157 by 風人  2016-04-07 09:52:40 

『ジェネラル・ルージュの伝説』にある『桜宮サーガ』の年表や時系列を見ると昭和から平成、そして21世紀もしくは現実世界よりほんの少し先の未来まで記されてある。
間々の作品を読めてないからミッシング・リンクがなかなか埋まらない。
現時点で私が読んだなかでの桜宮サーガの未来の時代は『モルフェウスの領域』。
『ナイチンゲールの沈黙』の佐々木アツシ少年が将来の癌治療のためにコールドスリープ(冷凍睡眠)されてたのは素直に驚きと衝撃しかなかった。
だけど、『モルフェウスの領域』でピエロだったのは八神課長。『イノセントゲリラの祝祭』で白鳥さんにハシゴ外しをされ『モルフェウスの領域』では西野昌孝にやられるという(苦笑)。
この西野昌孝は『極北ラプソディ』に少しだけ出てたと思う人物。

  • No.158 by 風人  2016-04-07 11:32:54 

ヘリの事故を見るとこわいと思う。
『極北ラプソディ』でドクターヘリのことが事細かなくらいに劇中描写されてるけど乗る際に“同意書をお願いします”とあった。
ヘリパイロットや整備士に命を預けてる描写と思うとリアルにこわいものある。
作品内では速見先生は一回乗って置き去りにされて以来、一度も乗ってないという。
ただし、作品内でちゃんと格好いい場面は用意されてる(^_^)v。
だけど、物語のなかで研修医の親御さんは子どもをヘリに乗せたくなくてフライトドクターをやめるともあった。

  • No.159 by 風人  2016-04-09 09:02:05 

『ジェネラル・ルージュの伝説』にある短篇-残照2007-では東城医大に救命救急センターは存在してたのに『モルフェウスの領域』ではなくなってる。
これに似たようなのが『極北ラプソディ』の世良先生の手腕。極北市民病院から医者がいなくなったために救急医療ができなくなり隣の雪見市と桃倉センター長に依頼することになる。
どちらも救命救急から離れることはよく似てる。医者がいなければ対応できないし予算がなければなおさらできなくなる。
けど『モルフェウスの領域』での東城医大の現状は『極北ラプソディ』にかぶるくらい相似形。
『極北ラプソディ』では極北市の他の診療所からの協力もあるけどそれでも地域医療がむずかしいの伝わる。
残照-2007-で興味深いのはマスコミの視点。ドラマだとドラマチックに演出してるところにツッコミというメスを入れる巧みな描写。ドクターヘリにフライトドクターはふたりは乗せないと指摘する佐藤先生。
佐藤先生のだじゃれは『モルフェウスの領域』でも健在だった(笑)。

  • No.160 by 風人  2016-04-11 18:12:22 

ドクターヘリが高速道に着陸訓練のニュース。
少しずつではあるけどドクターヘリが身近になる世の中になるんだろうか。

  • No.161 by 風人  2016-04-14 06:20:00 

これからの時代はドクターヘリの運用はさらに高まる感じする。
とはいえドクターヘリの難敵は送電線や気象環境、またパイロットが育ちにくい時代など。運用されてもパイロットや整備士が育たないと結局はお飾りになることもある。
地域地方はパイロットや整備士の確保に熾烈になるのではと思う。

  • No.162 by 風人  2016-04-16 06:51:21 

医療の世界では論文ありきが古い慣習としてあるんでしょう。
だけど、『田口白鳥シリーズ』の田口先生は論文を書かずにセンター長にまで上ってる。
海堂尊先生が論文について各作品内で批判めいた表現あるのもほんと。『極北ラプソディ』で今中先生の母校で世良先生がいきなり論文批判してるのもそのあらわれと思われる。
田口先生に論文を書かせないで本人がのぞまない出世をさせてるのもあらわれといえなくもないと思う。
論文云々より経験を積ませ現場経験が大切と暗に伝えたい節もあるように感じる。

  • No.163 by 風人  2016-04-17 07:33:25 

『モルフェウスの領域』はふつうに医療問題もテーマにあるけど日比野涼子、西野昌孝のふたりの場面は随所に大人な雰囲気。
『夢見る黄金地球儀』における日常に近いけどこちらは主人公が一家庭を持って庶民的。
その都度、日比野涼子と西野昌孝は出会いを重ねながら時に親密、時に互いの思いを絡めながら交錯する。
これがラストにつながると思うと切ないものもある(涙)。
日比野涼子の女心とも言えると思う。

  • No.164 by 風人  2016-04-18 09:39:39 

高階病院長、田口先生の関係は『モルフェウスの領域』でも変わらず。
だけど東城医大から救命救急が消えた現状。速水先生も不在。
しかし速水先生の言葉や影響力は佐藤先生、如月翔子に受け継がれてる。
明らかに佐藤先生の言葉の端々から『残照--2007』から経験を積まれたと思う。如月翔子もまた同様。
如月翔子が佐々木アツシに情はある。浜田小夜の牧村瑞人への愛情とはまたちがうだろうけど。
『モルフェウスの領域』で如月翔子は迷って悩み葛藤はしてるけど彼女は発言や行動にすでに“答え”が出てる節もある。
天の掲示みたいな速水先生の言葉が芯から伝わりそれがアツシ少年や村田桂奈にも伝わる。

  • No.165 by 風人  2016-04-19 05:17:01 

熊本地震でドクターヘリによる救助や患者の受け入れ体制などのニュースを目にした。
『極北ラプソディ』のドクタージェット構想ほどではないにせよ迅速な対応が求められてる感じが実感した。

  • No.166 by 風人  2016-04-23 10:48:29 

桜宮サーガの舞台はあたりまえだけど架空の日本や世界が舞台。
桜宮市を中心に北は北海道から外国はドイツ・ブリュッセルなど各地が舞台になってる。
『ジェネラル・ルージュの伝説』に記載されてる年表や人物、作品中の歴史などは現実に勝るとも劣らない情報の質と量。
人物間の行き来や関係が知らないところであちらこちらでつながってる。
『極北ラプソディ』のドクタージェット構想は海堂先生の願望と思われる。また離島や田舎でも大きな手術は出来なくてもあらかじめCTなどがあれば島民の健康管理で早期発見につながる。
『モルフェウスの領域』のコールドスリープ(冷凍睡眠)はややSFじみてたけど海外では実際にやってみようという動きがないわけではない。
病気や怪我に立ち向かえられるのは医者や看護師だけ。
医療がむずかしい世の中になってる現実もある。

  • No.167 by 風人  2016-05-05 09:43:28 

『桜宮サーガ』シリーズは基本的に医療に携わる大人たちの物語でもあるけど『ナイチンゲールの沈黙』や『モルフェウスの領域』のように少年少女たちのことも語られてる。
そんな意味では年齢層は登場人物や読者も幅広い。
『モルフェウスの領域』で佐々木アツシ君の両親にも何らかの事情があって彼を手放さなくてならない事情があったとうかがえる(--;)。
ちいさな謎だけどひとそれぞれな事情でしょう。

  • No.168 by 風人  2016-05-12 14:26:35 

ようやく『ケルベロスの肖像』を手にいれた。
冒頭、少しだけ読んだけど白鳥さん依頼状に“でぇす”と記す神経がわからない(苦笑)。
だけど田口先生、ようやく高階病院長の依頼を断れたと思ったら実は依頼した相手が『螺鈿迷宮』や『極北クレイマー』で活躍した白鳥さんの部下、姫宮香織からだったとは……。
映画では田口先生(伊藤淳史さん)が冒頭、戦車のパレードというハデな出で立ちでしたけど。
小説の方は例によって深く静かに始まる感じ。

  • No.169 by 風人  2016-05-12 16:28:50 

ようやく田口先生は姫宮香織に出会えたかと思うと、田口先生も『極北クレイマー』の人物たち同様に半ば呆気に取られ今度は『螺鈿迷宮』の主人公の天馬大吉くんにも警戒されなんとなく前途多難な雰囲気←いつものことだけど。
けどわずかながらに『モルフェウスの領域』に繋がる一端もある。高階病院長からの引退話は真意はどうあれ物語は繋がる。
それにしても東堂文昭、映画版では生瀬勝久さんが演じてたままに近い雰囲気。高階病院長でさえ脇役になってしまう存在感。
“リヴァイアサン”の名前も出てきてAIセンターを陥落させる犯人が誰なのかまだまだわからない。
八神課長が『モルフェウスの領域』で西野昌孝に陥れられる未来を考えたらなんだか気の毒に思えてしまう(苦笑)。

  • No.170 by 風人  2016-05-12 20:15:41 

映画版では別宮葉子が犯人だったけど小説では素直に西園寺さやか=桜宮小百合だったことにふしぎと安心した。
ブラックペアンの件がようやく『ケルベロスの肖像』で白日の元に晒されたのは気の毒だったけど、桜宮小百合は正体を現さなかった方が黒幕に撤せられたでしょうけど物語としては成り立たなくなる。
『田口白鳥シリーズ』としては『ケルベロスの肖像』でとりあえず収束した感や読後感あった点はよかった。
最後の最後に田口先生が高階先生を言い負かす下克上もよし(苦笑)。
けど黒崎教授、兵藤くん、そして藤原看護師たちといった面々がまわりにいると思うとぞくぞくするこわさとおもしろさある。
まさに大学病院は魑魅魍魎……。

  • No.171 by 風人  2016-05-13 04:48:25 

『螺鈿迷宮』から『ケルベロスの肖像』で天馬大吉くんは変わった感じあります。
彼なりに桜宮家に思うところあったとうかがえる。
また高階病院長なりに桜宮巌雄に敬意はあったのは本当と思う。
それに結局のところAIはひとつの施設を潰したところでいつの間にか世界中に渡ってるのも事実。
彦根くんは檜山シオンに裏切られた感もあるけど彼女にしたら事実を表に出すこともまた真摯な思いがあったと思う。
田口先生も彦根くんも桜宮小百合に打撃は受けたけどそれを高階病院長に救われてもいる。
ある意味、『ケルベロスの肖像』はひとつの集大成感や到達感はあった感じする本。
ラストのくだりで彦根くんと斑鳩との会話で“勝ち負けはない”というのあったけどおそらくそうなのかもしれない受け止めもまたある。

  • No.172 by 風人  2016-05-13 05:33:42 

『ケルベロスの肖像』のラストでコールドスリープ法案が通り未来科学センターを桜宮に誘致するという話あったけどこれは『モルフェウスの領域』につながるんでしょうね。
ということは深読みかもしれないけど未来科学センターを実質は裏で操ってたのは実のところ白鳥さんだった可能性はある。
『モルフェウスの領域』で白鳥さんは出てきてないけど八神課長はまた一杯喰わされたことになる。

  • No.173 by 風人  2016-05-13 08:06:34 

『ケルベロスの肖像』では白鳥さんは表立っての活躍はなかったですね。
砂井戸さんというなんとも謎なふしぎな人物との厚労省での絡みが結果的に東城医大をいちおう救うというふしぎな展開。
明らかに今回の物語だと、田口先生はそれまでのシリーズのなかでヘタレ気味が目立つ印象あったけど逆にそれが東城医大を救うことになったとも解釈できる。
周囲の評価は高階先生の懐刀なわけだし。
黒崎教授、兵藤くん、藤原看護師たちもそれなり疎まれ慕いからかいながらも支えてる。

桜宮小百合にしたら高階先生が表舞台に前面に立たすことがとりあえずの目的としたらそれはすでになされてた。

だけどもう少し田口先生と姫宮香織の対面は何かあったらよかったと思わなくもない。

田口先生はなんだかんだで高階病院長に似てきたということでしょうね(苦笑)。
白鳥さんから鍛えられたことかあるいはそれまでの無理難題な事件を解決してきた経験からか……。

田口先生の成長は目にみえるところはあまりなく目に見えない部分での成長があるということでしょう、たぶん。
本人とまわりの評価が一致しないのも現実にもあるわけだし。

  • No.174 by 風人  2016-05-13 21:05:51 

解釈や感想のしかたによっては『チーム・バチスタの栄光』から『ケルベロスの肖像』までの一連の『田口白鳥シリーズ』は田口先生の出世物語でもあるけど笑うに笑えない冗談のような物語でもあるといえる。
バチスタ事件から無理難題を押し付けられ『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』と同時多発な事件も解決し『イノセント・ゲリラの祝祭』でもAI運動を推進し『アリアドネの弾丸』でも事件解決に助力した。
当然、そこには白鳥さんの助力もあるけど。
『ケルベロスの肖像』を読むとたしかにAIセンターは桜宮小百合によって潰された。一度は田口先生も彦根くんも意気消沈した。膝を一度は屈した。
だけど立ち直りが早かった。

『ケルベロスの肖像』を読むとなんとなくだけど高階病院長の過去の医療ミスはたしかに暴かれた。
だけど、そこに東城大の崩壊とまではすぐさま結びつかなかった。
ほんの少し先の未来の『モルフェウスの領域』でも東城医大は存続してる。救命救急医療は少なくとも存在しなくなったようだけど。

それと『ケルベロスの肖像』を読んでて気づいたけど終わり方がいくぶん『極北クレイマー』の終わり方に若干、似てる。書いてる人や物語が似たような形が同じだからなのもあるかもしれないけど。

『極北クレイマー』では今中先生は飽くまで臨時という形で病院長の地位になったけど『ケルベロスの肖像』では田口先生は半ば将来が確定してしまってる。

  • No.175 by 風人  2016-05-14 05:50:10 

『ケルベロスの肖像』で新たに登場した人物もいるけど活躍してない。
そのひとり天馬大吉くんが連れてきた別宮葉子とはちがうもうひとりの人物、冷泉深雪。
斑鳩や南雲先生などは描かれはしないまでも西園寺さやか=桜宮小百合との結託はあったのはおそらく事実だろうけどこの冷泉深雪なる人物は『ケルベロスの肖像』ではただ出てきただけのように思える。
てっきり何かしら活躍があるかと思えば何もなし。
姫宮香織ほどにも人格がおもてに出ていない。

桧山シオンは彦根くんを裏切ったように思えるけど、私は裏切ったとは思ってない。
彦根くんの操り人形である必要が桜宮小百合の言葉によって操り人形たる必要がなくなっただけのこと。
高階病院長には気の毒な一面は拭えないが彼女にしたら真実を露にするのもまた彼女のなすべきことのひとつに過ぎなかった。

  • No.176 by 風人  2016-05-14 10:07:13 

姫宮香織は高階病院長にぞっこん(←言葉古いのは歳か(苦笑))らしいけど高階病院長のどこがいいんだろ?
それもまた桜宮サーガの新たな謎というよりふしぎか。
『ケルベロスの肖像』で過去、現在、未来へと紡がれる『桜宮サーガ』の物語がとりあえずひとつの終着点収束点、新たな出発点となってるのはたしか。

今回の物語は東城医大、霞ヶ関、AIセンターと複数の舞台で各々の物語が動いてもいた。

東城医大では例により高階病院長から田口先生への依頼、ただし正確には白鳥さんからの依頼を曲解した姫宮香織から(これもわざとか故意かわからないふしぎさ(笑))。
一見、関係のない兵藤くんからのクレーマー依頼。
この渡辺金之介さん、大人の解釈か深読みしすぎかもしれないけど一種の医療マニアとも取れる人物。
自分の治療を装いあれやこれや難癖つけながら単に(?)東城医大の内部を知りたがったとも取れる。
田口先生に劇中、やりこめられたのを見ると何かしら知りたかった節もあると思う(深読みと思うけど)。

霞ヶ関は白鳥さんと絡みある二人目の部下、砂井戸さん。
おそらくこの人の経費処理でぼろが出てやりこめられた官僚が多くいたのでしょう(苦笑)。
一見、のろのろしてるように見えながらたぶん物語内で書かれてないところでは“見えない働きしてる”官僚。
おそらく白鳥さんも砂井戸さんが失敗しなかったらおそらくは大損失や大失敗は免れなかったと思う。
たまたま扉の押し引きを知らなかったか勘違いかしたかで運よく助かった。
だけど、おそらくは“アリジゴグ”の異名を持ってることからまわりの評価がある人物と思う。
ウスバカゲロウ、薄馬鹿下郎のもうひとつの異名も怪しいと考えた方がふつう。

そして今回の舞台、AIセンターにそれぞれの作品のホストをつとめたゲストが集う。一部はとんずらしたけど。
東堂文昭教授は目玉キャラなのに大風呂敷広げただけなのかあるいは田口先生と親交ができただけ謎。
斑鳩室長、南雲先生ともに極端に目に目立つ暗躍はないのは『ケルベロスの肖像』までに事前準備はあったから。
西園寺さやか=桜宮小百合のために舞台を用意しただけ。
天馬大吉くんにしたら見たかったんでしょう。
おそらくは巌雄先生の言葉がいやなくらいしみつきまた影響してるから。

これらの人物が錯綜し物語の内外で絡みあいながら物語の勝負としては“痛み分け”。

だけどAIセンターはなくともAIは自然と世界に広げ伝わるというラスト。
施設ひとつを潰したという点では『極北ラプソディ』の南雲監察医院と中身はかわりない。規模がちがうくらいで。

物語の流れとして見たら東城医大も桜宮小百合もダメージはあった。
東城医大が後々、縮小の一途はあるにせよ健在。
かたや桜宮小百合は表立って舞台に今後、出てこれるかあやしい(まあ出るでしょうが)。

物語としては後味の悪さもあるけど『田口白鳥シリーズ』としては完結。
けど過去、現在、未来へと物語の中の時も流れる。

そこが今後、気になるところ。

  • No.177 by 風人  2016-05-14 15:38:05 

冷泉深雪なる人物はググったら『輝天炎上』からの人物。
桜宮サーガはあちこちに人物が行き来してるのは理解してるつもりでも新たな登場人物はなかなかわかりにくいもの。
謎がひとつ解明されてもまた次々と新たな謎や物語が浮上しパズルのピースは埋まらない……。

  • No.178 by 風人  2016-05-14 19:05:44 

『モルフェウスの領域』はある程度はSF恋愛モノという受け止め方できるけど、『ケルベロスの肖像』のクライマックスでだれが「逃がさないわよ小百合」と言った人物は誰かというのも劇中、田口先生が触れてるけどオカルトじみてる。
かたやSF、かたやオカルト的というのも海堂尊作品それぞれにちょっと興味深い。
『ケルベロスの肖像』でひとつの物語はとりあえず幕を閉じている。だけど謎も多く残った。
天馬くんが助かったということは桜宮小百合もどこかで生きている。
「逃がさないわよ小百合」と言った人物は誰か、あるいは幻聴なのか。
謎だ……。

  • No.179 by 風人  2016-05-15 05:45:21 

東城医大に脅迫文を出したのが本当に桜宮小百合だったのかも謎。
物語としては物語のスタートとしては必要だけど、そもそも小百合にしたらAiセンターを潰すことが目的だから脅迫文があることでむしろ東城医大に警戒を抱かせるのは彼女側にしたら本来はマイナス要素。
田口先生も作中、触れてるけど小百合らしくなくむしろすみれぽい。

  • No.180 by 風人  2016-05-15 07:58:52 

映画『ケルベロスの肖像』だと別宮葉子が犯人、白鳥さんがブラックペアンを患者の体内に残したという形になり改変されてた。
田口先生の戦車パレードなどはあんがいそのままでしたけど。
けど小説の方が重厚でしょうか。
『桜宮サーガ』の中では『田口白鳥シリーズ』はエンターティメントな一面もあるから映像になると改変はやむ無しもある。

しかし、冒頭では高階病院長からの依頼を断ろうとすれば姫宮香織からの依頼とわかると掌を返して承諾する田口先生。
だけど、最終章では高階病院長からの依頼は今度は言葉を聞かずに承諾しあまつさえ高階病院長を最後に手玉に取る手腕。

これもひとつの成長なんでしょう。

『ケルベロスの肖像』では田口先生の心や精神に白鳥さんがパラサイトしてしまった一面も書かれそこは面白かった点でもある。

  • No.181 by 風人  2016-05-15 12:21:06 

『ケルベロスの肖像』は物語の前後がなんというかオカルトじみてる。
本当に脅迫文を出したのが桜宮小百合なのかという疑問。
先にも触れたけど脅迫文を出したことで当然、東城医大側は警戒心を持ったわけだし。
脅迫文がないままだったらおそらく水面下で桜宮小百合たちは動けたはずと推測できる。

物語のラストで脅迫文を出したのは小百合ではなく実はすみれだったのではと答える田口先生。
『桜宮サーガ』のなかで桜宮姉妹と接点があるのは田口先生、白鳥圭輔、姫宮香織、天馬大吉、別宮葉子、正体は知らないままではあるものの『極北クレイマー』の広崎広明消防士。
これに斑鳩に南雲忠義。
もし東城医大に脅迫文を出せる者がいるとしたら誰か……。

もしもだけど意外に天馬くんだったらリアルにこわい可能性があるかもしれない。
作中では天馬くんは桜宮家に共感あるとも言われてた。対して東城医大には愛情はない。

  • No.182 by 風人  2016-05-15 18:33:44 

『ケルベロスの肖像』は先に書き込みしたところ以外にもいくつか話を盛り込みはある。
リヴァイアサンの輸送に航空自衛隊はよくて陸上自衛隊には難を示す田口先生。
こういうところも大人といえば大人。大人は些細なことでも難を示すことは社会や組織では必要不可欠といえなくもない。
かんたんに首を縦に振ってれば作品中の田口先生のように上司から無理難題をふられる。

まあ白鳥さんみたいに姫宮さんはともかく砂井戸さんを急かすのは別な意味で問題あったかもしれない。
もちろん経費処理はどんな職業でも早いに越したことはない。
リヴァイアサンのコイルの契約がもしなされていたと思うととてもではないけど東城医大は倒れたことになってたわけだし。
桜宮小百合はそれを狙ってたと思える。

ただ警察権力には勝てないところもある。情報統制は『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』において斑鳩室長が腕を振るってるのがわかる。
『極北クレイマー』の三枝医師逮捕の一件も『イノセント・ゲリラの祝祭』で桜宮だけでなく日本全国に伝わってることからもわかる。

メディアを使った情報戦は東城医大(と白鳥さん)が先手を打ったとしても斑鳩室長からの情報統制には勝てないところもあると言える。

もし高階病院長が表に立たなかったら東城医大側のダメージは少なかったと思うのは否めない。
東堂文昭教授とリヴァイアサン導入で浮かれてたのもあったかもしれない。

  • No.183 by 風人  2016-05-16 04:09:35 

『ケルベロスの肖像』においての桧山シオンの行為を裏切りととらえるのは個人レベルにすぎないと思う。
彼女は意思を持つ人間であり人形ではない。
それらは『イノセント・ゲリラの祝祭』などでも示されている。
彼女がなぜ彦根くんの側で人形のようにあったかはわからないけど『ケルベロスの肖像』では真実を包み隠す行為はAiに携わる者として許されないものであったかもしれない。

  • No.184 by 風人  2016-05-16 07:01:29 

天馬くんは『螺鈿迷宮』の後に彼なりに医学というものに真摯に向き合う姿勢にはなったみたいだけど、『ケルベロスの肖像』を読む限りでは一医学生という感じを装いたいようにも見える。
『螺鈿迷宮』の経験が彼を成長させたのは言うまでもなく『ケルベロスの肖像』でも失墜してた田口先生や彦根くんが落ち込むなか数少なく真正面から桜宮小百合に挑んでる。
白鳥さん不在では田口先生も彦根くんも頼りないなか天馬くんが事実上、東城医大を救うことになる役割を担ってるとも言えなくもない。

『桜宮サーガ』全般に言えることが“医療が誰のためにあるか”というが作品全体のテーマと思える。
Aiセンターひとつにしても厚労省や国の許可なくはできない。また潤沢な資金力も必要不可欠。
だけど利権やお金だけで医療が成り立っているかというと実際はそうではない一面もある。

東城医大も極北市民病院もマリアクリニックなどもそこに住む市民や患者によって支えられてる一面や市民の声もある。
有形無形の支援や声が目には見えないけどあるのも事実。

桜宮小百合はおそらく医療の負の一面しか見てないまま育ったのではないか?と思われなくもない。
東城医大を恨む気持ちは理解はするけど、Aiと解剖は上手にすれば両立できるわけだし。

実際、東城医大は碧翠院を潰したことで桜宮市の負の一面を背負うことになったのも事実。
ただでさえ経営難な上、バチスタ・スキャンダルから続く不祥事で市民から批判の声はある。
三船事務長が懸念するのもその一面。

まだまだ東城医大側と斑鳩室長・桜宮小百合・南雲忠義側の戦いは続くんでしょう。

  • No.185 by 風人  2016-05-17 04:50:42 

『ケルベロスの肖像』はあちらこちらいろいろつながってる。
登場人物がそれまでの集大成的に集まってるためかいくぶん他作品にくらべて少ない台詞や行動で各々の人物の印象はまとめられてる感ある。
後味の悪さは否めない。
東城医大、桜宮小百合にとっても勝ち負けではない終わり方。
前向きな終わり方としたら田口先生がいずれは東城医大を継ぐという未来の在り方。
『モルフェウスの領域』でも論文をたいして書かずに出世してることからうかがえる。だけど相変わらず苦労しまわりからは変わらない印象を持ってることからある意味、人格者であり人徳者。

海堂尊先生がそれなりに現状の医療界に懸念や不満はあるんだと思う。
だから作品内のあちこちで論文批判したり人材不足、医療が誰のためにあるか?という悩みを物語内で浮き彫りにすることで提議をしてる。

  • No.186 by 風人  2016-05-17 07:34:08 

『ケルベロスの肖像』の物語内で語られてないけど西園寺さやか=桜宮小百合は『極北クレイマー』で広崎広明に接触したように飯沼さんなる人物にもうまいこと言いくるめて接触したと思われる。
この辺、斑鳩室長共々やることがあざといといえる。

  • No.187 by 風人  2016-05-17 15:07:10 

『桜宮サーガ』シリーズ読むと一個人の思惑や思想がなんだかちいさいものにも思えてくる。

もちろん医療改革や委員会、設備投資、患者の待遇改善、ドクターヘリの運用などやることは無数に終わらないくらいある。

だけど『ケルベロスの肖像』を読んだ限りはAiセンターもひとつの箱モノであるのにかわりない。
彦根くんと斑鳩室長との会話でむなしく感じるのは税金を使って作った建物やわざわざ海外から運んだ“リヴァイアサン”それに使われるコイル、人員などをひとりの人間の私怨(桜宮小百合)で破壊してしまう。

だけどそこに“勝ち負けはない”というモノも読むたびにむなしさが襲ってくる重荷が肩に感じる。

海堂尊先生が伝えたいことは医療改革、地方地域医療などもあるんだろうけど箱モノ行政にはこういう一面もあるかもしれないです、と暗に伝えてる感じする。

そう感じるのは私が大人になってるんでしょうか。

彦根くんと斑鳩室長、桜宮サーガ世界で税金の無駄遣いして争うな!と言いたい←と言いたいので言ってみた(苦笑)。

  • No.188 by 風人  2016-05-18 06:22:00 

厚労省がメタボ検診見直しのニュース。
『桜宮サーガ』の各々の作品内でもメタボは語られてる。『桜宮サーガ』の本を読むようになってから厚労省の名前を気にするようになった。

  • No.189 by 風人  2016-05-18 09:00:24 

『ケルベロスの肖像』は脇役の方が目立つ感じ。
田口先生は神輿に担がられてる感も半端ないけど。
院内で情報する際の患者の美智さん。この人みたいな薬より本人の気概やパワーから治療する(あるいは治療してゆく)みたいな患者さんはたぶん病院にひとりはいる。
天馬大吉くんも脇役にかわりないけど最後にいいところを持って行く。
斑鳩室長、南雲忠義このふたりの存在感も目に見えない畏怖感を抱かせるものある。
渡辺金之助さんは深読みでなければおそらくただのひと。
砂井戸さんはこのひとはあやしいというより読者に興味を抱かせる人物。

いくつか列挙しても『ケルベロスの肖像』は主役側より脇役側の方があんがい書かれ地味ながら活躍してる印象ある。

主役側が田口先生は担がれ白鳥さんは今回、バックヤードにまわり高階病院長は東堂文昭との絡みとはいえおもてに出てしまった。同時に田口先生を振り回したことで委員が揃う時に彼らを調査するとか本来の田口白鳥コンビなら調査する姿勢はあったかもしれないがおろそかになってしまった。

先手を打つはずがいくつかは後手にまわり桜宮小百合に好きにされたのも事実であり敗因。

Aiセンター設立やリヴィアサン導入、戦車パレードなどが物語のなかで立て続けに起こってるから脅迫文についても脅迫文の中身さえちゃんと捜査しきれてない。

田口先生はふつうに仕事するだけでもオーバーワークなのはあながち嘘でもなかったと思う。
Aiセンター所長なのになぜか雑務(苦笑)。

委員の身辺調査くらいはふだんの田口白鳥コンビならおそらく行ってたはずでしょう。

  • No.190 by 風人  2016-05-18 17:10:20 

海堂尊先生が必ずしも解剖医を批判してないのはわかるけど、もし解剖医側から『桜宮サーガ』もしくは医療サスペンスモノを書いたらどうなるんだろう?

ふとそんな疑問が今さらながらわいた。

『桜宮サーガ』内ではAiと解剖は同居できると一応、結論になってる。
だけど、必ずしも意気投合はしていない足並みの悪さ。

現実もたぶん医療の世界そして医療の世界にもいろいろな派閥やグループ、大学病院ごとによる血脈あってさらに大人の世界になると医療、警察、官僚などそれぞれの世界の対立と協力が存在している。

『桜宮サーガ』シリーズを読むと報道やニュースを見ると官僚の見えない影はちょっとながら意識してしまう。

  • No.191 by 風人  2016-05-20 03:56:48 

『ケルベロスの肖像』の冒頭は姫宮香織のペース(笑)。
彼女の名前を田口先生が聞きそびれるというエピソード。
天馬大吉くんには軽くやられ4Sエージェンシーの城崎さんには依頼は不発。
『ケルベロスの肖像』はあちこち読むと田口先生にしては不調感もある。白鳥さんがそばにいなかったいうのもあるのか。

素直に考えたらその不調感があったからAiセンターの焼失と高階病院長の過去の医療ミスの公表だけで済んだかもしれない。

桜宮小百合の狙いがそれだけだった可能性も否めないけど。

  • No.192 by 風人  2016-05-21 05:45:09 

高階病院長が田口公平に東城医大の後を託したいのは彼が後を託すに値する人物と見込んだからでしょう。

けど高階病院長みたいに組織のトップに立つ者の“孤独”あるいは他人に託す思い読んでて長いけどそこには気づかなかったな。

『桜宮サーガ』は基本的に型破りな人物が多いから高階病院長も組織のトップに立ちながら孤独という側面。
田口先生自体は出世街道に興味ないのにいつの間にか幾多の事件に関わり知らずに歩んでた(苦笑)。

高階病院長はある意味、『ひかりの剣』や『ブラックペアン1988』からの過去の人物。
佐伯前病院長に見出だされ後を託された経緯がある。

けど田口先生から話題ひとつ見つけるのもたいへんな上の人物。共通の話題を見いだすのは人生や経験に重なるところないとむり。

渡海征四郎は『モルフェウスの領域』のヒロイン日比野涼子に影響を与えた人物ぽいけどなぜ海外に身を置いたか謎。

まだまだわからないところあるシリーズ。

  • No.193 by 風人  2016-05-21 13:31:06 

高階病院長はいつ田口先生を後継者として見据えたんでしょう。

たぶん読んでない作品のなかにヒントはあるでしょう。

『ひかりの剣』では高階講師時代に速水先生と清川先生という両者を鍛えている。『ブラックペアン1988』では研修生としての速水先生、島津先生、田口先生とわずかながら出会っている。

だけど少なくともこの時点で高階病院長と田口公平との接点はごくわずか。

『桜宮サーガ』の物語の発端となる『チーム・バチスタの栄光』冒頭においても田口先生は愁訴外来(愚痴外来)を大学病院の隅でひっそりしながら行ってる。
ただ本人の意に反し物語が進むにつれ愁訴外来の存在は院内、果ては姫宮香織の口を伝って北海道極北市にまで伝わる。
多少の浮き沈みはあれど。

佐伯前病院長が高階権太に跡目を譲った経緯は『ブラックペアン1988』に記されてるけど、高階病院長がいつどこで田口先生を見定めかまだ不明。

『桜宮サーガ』は架空の歴史とはいえ人物の行き来や関係が深く果てしなく繋がってる。

  • No.194 by 風人  2016-05-22 05:33:20 

田口先生がかつて恋した相手は桜宮すみれあるいは桜宮小百合、どちらだったのか。
個人的にはすみれの方と思うけど。
けど『ケルベロスの肖像』は田口先生にも他の人物にも残酷な結末と言わざる得ない。

  • No.195 by 風人  2016-05-23 08:11:28 

『ケルベロスの肖像』ではリヴァイアサンという目をひく存在がありながら医療対警察という展示物の対決もさりげなく書かれてる。
実際には警察側の資料を見たいという客が多く警察側の圧勝。
こういうところもなにげに辛辣。
『ケルベロスの肖像』はそれまでの田口白鳥シリーズの集大成でもあるからイベント尽くし。

  • No.196 by 風人  2016-05-24 07:05:35 

黒崎教授は実は器が大きいのでは?と思わなくもない。
たしかに過去に速水先生が“ジェネラル・ルージュの伝説”でのことや『凱旋』での煮え湯。
また東城医大内部での高階病院長との確執や出世、内部抗争などを考えたらそれなりに高階病院長や若輩者とはいえ田口先生の評判や藤原看護師の助けとは情報ネットワーク←これは別に兵藤くんからもありますが。

けど『凱旋』においては速水先生の収賄疑惑では『伝説』でのことを踏まえながらもこれ見よがしに叩きのめそうとはしないであっさり手を引いている。
過去のことも含めて速水先生が自分に相反する存在と快く思わない一面はあるけど、彼が少なからず救急や医療の“神”に認められた節も不本意ながら認めている。

バチスタ・スキャンダルの発端で高階病院長がなぜ田口先生を見定めたかを彼なりに見極める立場や気持ちもあったかもしれない。

本来なら黒崎教授は高階病院長に次ぐNo.2の立場。兵藤くんの言葉でも院内選挙があれば出る可能性は示唆はされていた。

おそらく黒崎教授なりにたしかに快く思わないところは大人だからいくつもあるでしょう。だけど、東城医大がなくなっては元も子もなくなるぐらいの想像はできるし東城医大に愛憎入り交じる気持ちもあると思う。

深読みかもしれないけど高階病院長の掌で彼も踊ってたひとりかもしれないがそれを大人として許容する度量をひそかに兼ね備えた大人ではないでしょうか。

  • No.197 by 風人  2016-05-24 16:19:47 

『ジェネラル・ルージュの伝説』と桜宮サーガの各シリーズの本を合わせて読むと海堂尊先生の半生から医療の実情を踏まえながら海堂尊先生の姿がより鮮明に見えて伝わる感じする。
いまさらながら……。

ある程度、実体験や経験を踏まえて物語に生かして書かれてるの伝わる。
取材や経験、あるいはテレビ出演などからも作品に生かされてるところもある。

医者、看護師、患者、官僚、マスコミなどいろいろな立場の人物が多彩に出てくるのも『桜宮サーガ』の特徴のひとつ。

辛辣に書きながらも伝えることは伝えるニュアンスはしっかり作品ごとにあるのも事実。

  • No.198 by 風人  2016-05-25 08:52:45 

天城雪彦、この人物もまた興味ある人物。
『ケルベロスの肖像』でわずかに過去の事柄として名前が出てくるけどここにもまた過去の確執や感情が見え隠れする。
名前だけみたらなんとも高貴感ある感じだし『ケルベロスの肖像』で田口先生もある程度は知ってるとされる。
どんな人物なのか興味ある。

  • No.199 by 風人  2016-05-26 05:14:10 

『ケルベロスの肖像』は名言名文が多くある。
それまでの集大成と感じが文章や文章の端々にもあらわれてる。
高階病院長の過去にも触れられてるから『ブラックペアン1988』からの過去からの物語。
現在を生きる田口先生、白鳥さんにも過去のことは少なからず些細なことかもしれないが過去の事柄として伝わり何かしら思い至る。
ラストに東城医大は危機に陥る。だけど救う策を白鳥さんが持ってくる。
未来科学センターが法案を通り東城医大に救いの手が伸びる。
一方では未来への光りも記されてる。
過去、現在、未来、そして日本だけでなくドイツやアメリカ、アフリカのノルガ共和国などあちらこちらで人物たちは時にひそかに時にハデに活躍してる。

渡海先生も謎がある。実に興味深い。

  • No.200 by 風人  2016-05-27 05:23:19 

『モルフェウスの領域』のコールドスリープ(冷凍睡眠)はあらためて読むと凄い技術と思う。
もちろん現実においての実用化は問題や法律など諸々あると思う。
現段階での治療できない病気が未来において治療できるまでの間、コールドスリープする者あるいは作品中の涼子のように見守る者。
反面、法律によって守られているところ守られてないところもある。
そういう諸々の問題はまだまだ仮に実用化したらそれこそ問題として浮き彫りになる。
海堂尊先生はペンを武器に政治や世論に訴えているのは各作品を読めば伝わる。

作品内の日比野涼子は大人の女性である反面、寂しい女性のようにも書かれてる。
それをモルフェウス=アツシ、あるいは西野との交流により救われてもある。
だけど物語のラストはある意味、残酷といえる結末。

医療が“誰のためにあるか?”というのも『モルフェウスの領域』でも問いかけとも思う。

  • No.201 by 風人  2016-05-27 08:45:44 

『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』は内容が衝撃的なので読む機会は意識的に少ない。
だけど『マドンナ・ヴェルデ』はヒロインの母親がほんと奔走する物語。
『桜宮サーガ』は基本的に医療従事者の物語だけど、『マドンナ・ヴェルデ』のヒロインの母親は特に医療に関わっていないふつうの母親。
ヒロインたる娘から代理母になってほしいという依頼をはじめは受ける。
だけど、物語が進むにつれ“生まれてくる子ども”の立場で考え動き反発する。
“母親”という視点から海堂尊先生が書いてる。代理母の問題が諸々あるなか解決しわだかまりないように動く。
妊娠や出産というのが女性しかなくとてつもなく大変な作業、生命を生む(産む)行為なのは伝わる。
反面、まだ独身だから実感ないけどいざそういう立場になったらこわいと思う。

『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』は両作品はさほど男性陣は活躍が少ない。

  • No.202 by 風人  2016-05-27 18:25:54 

速水先生がタバコを吸えないのは意外な一面。
『極北ラプソディ』ではヘリパイロットの大月さん、CSの越川さんと酒飲み勝負で競い敗北(苦笑)。
タバコを吸えないのは意外な一面すぎてお茶目(笑)。
速水先生は東城医大でも極北救命救急センターでもジェネラル、将軍さまでも経験積んだ大人たちからは子ども扱い。
高階病院長も桃倉センター長も扱いには手を焼きながらも手元には置いておきたい。
この辺も大人の事情がうかがえる。

  • No.203 by 風人  2016-05-28 05:54:10 

『桜宮サーガ』シリーズは『シムシティ』に喩えられてたけど『仮面ライダー』にも近いところあるようにも思える。
桜宮市を中心に過去、現在、未来の時間が行き交い東京霞ヶ関、北海道極北市や雪見市、ドイツのブリュッセル、アフリカのノルガ共和国など様々な人物が重なりあう。

『ブラックペアン1988』の佐伯病院長の過去の時代を経て高階病院長の『チーム・バチスタの栄光』からの現在、『モルフェウスの領域』などの未来。
また北海道には『極北シリーズ』で主人公を担った今中先生など。
霞ヶ関を舞台にした白鳥圭輔 & 姫宮香織コンビ、『螺鈿迷宮』の天馬大吉くんなど。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』の曽根崎理恵先生。

医療をテーマにした作品だからか人物や世界観が広く奥深い……。

東城医大は田口先生と白鳥さんの真逆師弟コンビで守られたところある。
真逆な関係は『ひかりの剣』などでも見られる作品の魅力。

  • No.204 by 風人  2016-05-28 13:53:57 

『ケルベロスの肖像』は物語の最初と最後が見事に結実してる。
冒頭、高階病院長から依頼を真っ向から断る意思表示であっさり受け取られたと思ったら相手は白鳥さんからではなく姫宮香織からだった。
白鳥さんから『会ってはいけない』と念を押されてたのに会ってしまう(苦笑)。
終始、依頼を受けるまで彼女に振り回される田口先生。

結果的に東城医大は物語内のスキャンダルとAiセンターの焼失ということで多大なダメージを被ることになる。
けど、引退を考えていた高階病院長からの院長代行の命をなにも聞かずに受け取る田口先生の成長は見事なもの。
あまつさえ高階病院長に自身を説得してくださいというアクティブ・フェーズ。
物語の前半に天馬大吉くんにやややりこめられ4Sエージェンシーの城崎さんに依頼を断られたことに比べたら最後に得たモノは大きいとも取れる終わり方。

敗北から得るモノはあるとも言える。
桜宮小百合は表立っては動けないとは思えないけどどうなるのか。

  • No.205 by 風人  2016-05-28 15:50:07 

『極北ラプソディ』で『モルフェウスの領域』の西野昌孝はちょっとだけ出てた。
『極北ラプソディ』の物語にほとんど関わらないけど、『モルフェウスの領域』の伏線としてコールドスリープ(冷凍睡眠)の話題はちらっと出てる。
この辺、『桜宮サーガ』シリーズの世界観が広く人物が行き来してるところ。
さりげなく話題を振っておいて別な時間や場所で物語が展開する。
ちゃんと読んでおかないと見落とす(>_<)。
あちらこちらで人間関係、人脈が広がってる。

  • No.206 by 風人  2016-05-29 05:48:29 

『アリアドネの弾丸』を再読中だけど、西園寺さやかから桜宮小百合が覚醒する描写は一種の自己催眠か暗示でもかけてたように思う。
同一人物でありながら『極北クレイマー』での西園寺さやかは記者としての人格を宿し、本来の桜宮小百合に戻ると復讐の鬼と化す。
だけど桜宮小百合としての人格でしょうか。めらめらと燃えるものを宿しながら内に醒めたような性質もある。
『ケルベロスの肖像』では悪鬼ともいえる憎悪を高階病院長と東城医大に向けながらもなんだかんだで目的は達してる怖さ。

  • No.207 by 風人  2016-05-29 13:16:22 

『アリアドネの弾丸』を再読したら南雲先生の極北市監察医務院を潰したのは世良先生と彦根くんだった。
『極北ラプソディ』で監察医務院に火をつけたのはもしかしたら彦根くん?と考えたら驚く。
あちこちで『桜宮サーガ』は人物が動いてる。
彦根くんは大阪府知事・村雨なる人物とも関わりあるのも書かれてた。

  • No.208 by 風人  2016-05-29 15:09:43 

『アリアドネの弾丸』をあらためて読むと、斑鳩室長と桜宮小百合たちは合法的に東城医大を潰しにかかってる。
だけど、それは失敗した。
しかし『ケルベロスの肖像』では公的には死人である桜宮小百合自らが打って出ていくことで非合法に潰しにかかった。
長い物語のほんの一端にしかすぎないはずだけど、物語内の人物でも人生の一端ないし一部でもある。それを考えたら長い物語のほんのごく一部にしかすぎないけど、それがまた物語や人物に影響を大なり小なり与えてる。
『ケルベロスの肖像』で物語は一応は幕を閉じているけどおそらく『モルフェウスの領域』などに未来につながる物語に至るなかまだ語られてない物語もあるでしょう。

  • No.209 by 風人  2016-05-30 08:03:10 

『アリアドネの弾丸』では桧山シオンに救われ、『ケルベロスの肖像』では彼女によって真実が露になる。
単に裏切りとも皮肉と言えないむずかしさ。
桧山シオンの存在は好き。姫宮香織とはまたちがう魅力ある。

彦根くんとシオンさんとの間に恋愛関係はなかったみたいだけど。

『イノセント・ゲリラの祝祭』で彼女は田口先生に会わずじまい。
だけど『アリアドネの弾丸』で会うことを果たし事件解決に貢献する。
桧山シオンは全体的に描写が少ないからありのままの表現から受け取った方がいい人物と思える。

  • No.210 by 風人  2016-05-30 13:57:16 

『ケルベロスの肖像』でもしも、田口先生が依頼を断ったままにしてたら高階病院長は誰に依頼するつもりだったんでしょう。
もし依頼を断ったら物語は進まなかっただろうけど。

黒崎教授に頼むことはまずあり得ないしかといって坂田局長だと畑違い。
白鳥さんや姫宮香織に丸投げということもまたあり得ない。
東城医大や東城医大の血脈に関わる人物でないとAiセンターは稼働しないと考えた方が妥当。
ただし速水先生ではない。おそらく田口先生がよほど動けない非常事態ならともかく。わざわざ速水先生を北海道から呼び戻すとなると救命救急センターとの関わりもあるわけだし。
だけど高階病院長は北海道側の人物と関係ないし接触はあったあるいは相応の信頼関係がないと速水先生は救命救急センターに置かれない。

でも、もしも『ケルベロスの肖像』冒頭で田口先生が依頼を断ったままにしてたら誰が表舞台に立ったのか気になる。

  • No.211 by 風人  2016-05-30 14:39:45 

姫宮香織の名前の由来を田口先生が聞きそびれるというのも珍しい話。
田口先生は多くの物語のなかで登場人物たちの名前の由来は聞いている。
『螺鈿迷宮』でも姫宮香織は自身の名前については特に語ってなかったと思うけど。
姫宮香織は言葉のセンスがずば抜けている(爆)。
名前と言葉遣いはまたちがうけど。
姫宮姓から察するとそれなりにお嬢様、『イノセント・ゲリラの祝祭』などからわかるように各省庁が彼女を欲しがってたという逸話。
お嬢様や名家というのは考えられる。
それと名前の香織を結びつけるのはむずかしいけど。
高階病院長に好意を抱いてるのは『ケルベロスの肖像』を読んだら一目瞭然(*^.^*)。

  • No.212 by 風人  2016-05-31 19:14:17 

『極北ラプソディ』はやはり好きな作品。
あらためて読むと世良先生と彦根くんの結びつきは納得いくものもあるけどのみ込めないところも曖昧ながらある感じ。
だけど極北監察市民病院を潰したのは世良先生、彦根くんだったのは確実だったように思える。監察市民病院を火事にしたのを彦根くんとは思いたくはないけど。
どちらにせよ監察市民病院をこの時点で潰して斑鳩一派の拠点を潰してるのも事実。
後に出てくるドクタージェット構想も含めて医療と司法の対立で日本地図を塗り替えようとしてるとも言えなくない。

  • No.213 by 風人  2016-06-01 04:08:37 

『極北シリーズ』の木村署長、この人も斑鳩室長と西園寺さやか(桜宮小百合)に利用されたという一面は否めないけど監察医務院の実態は知ってたでしょうね。

  • No.214 by 風人  2016-06-01 13:59:35 

『極北ラプソディ』を読むとドクターヘリが飛ぶことで市民の命が助かっている一面がずっしり重みある。
もちろん救急車も含めて。
地元の医療センターからあちこちに飛んでる姿はたびたび見てたから。
いざという時は高速道路にも着陸して患者を助けないとならない。ニュースでそういう訓練も流れてたから読むたびに実感する。

  • No.215 by 風人  2016-06-02 05:14:00 

『極北ラプソディ』で彦根くんは名前が直接出てきて触れられてるけど、天城先生については“さくらの樹”という形で喩えらるてるのは『ケルベロスの肖像』での高階病院長の過去話と表現がよく似てる。
天城雪彦なる人物がそれなりの人物がうかがえる。
『ブラックペアン1988』の続きを読まないとわからないもの。

  • No.216 by 風人  2016-06-02 09:40:18 

『極北ラプソディ』の世良先生と『ケルベロスの肖像』の高階病院長の言葉が天城雪彦という人物の存在で点と点が結びつきそうですね。
おそらく高階病院長は天城雪彦が植えようとした“さくらの樹”をなんらかの事情で取らざる得なくなり時が経った後に後悔の念が人知れずあり、また世良先生もその事が原因か否かわからないけど東城医大を去るきっかけかあるいは高階病院長か誰かに復讐の念があったということでしょうね。
『桜宮サーガ』は気をつけないと人同士の点と点の人間関係はわからなくなる。
新しく読もうとした時にようやく思い出す。もちろん物語一作品でも楽しめるつくりは納得するけど、ささいなところから物語が広がってる。

  • No.217 by 風人  2016-06-02 17:13:45 

『アリアドネの弾丸』や前後のシリーズを考えたら高階病院長と兵藤くん、そして藤原看護師は結託して田口先生を説得もしくは懐柔してるおもむきある雰囲気。
とりあえずまずは高階病院長から田口先生に旨を伝えながら優柔不断、出世に興味ない彼に後押しするために高階病院長はすぐさま兵藤くんに再び旨を伝えて彼から田口先生を懐柔、兵藤くんが失敗した場合は藤原看護師が控えてる二段構えだったのではと推察できる。
そもそも『アリアドネの弾丸』冒頭に至ってはほんの15分ほど前の話題がすぐに兵藤くんに伝わるだろうか?
考えたくはないけど病院長室の室内か側にいた可能性も考えてしまった(( ̄_|(笑)。
だけどそうでないと“廊下トンビ”の異名もないわけだし。
『モルフェウスの領域』でも如月翔子、桂奈、田口先生以外でアツシ少年の覚醒を知ることができたのは高階病院長、深読みしたとしても藤原看護師。
兵藤くんは高階病院長、藤原看護師からふたつの情報ネットワークがあってもふしぎではない。

  • No.218 by 風人  2016-06-03 06:00:42 

司法と医療の対立を『田口白鳥シリーズ』を軸に考えたら司法側がやり過ぎた印象を与えてる感じもある。
もちろん作品内では斑鳩室長の意向が目立つ。『アリアドネの弾丸』で彼が強く出れないのは加納警視正に貸しがあるから。もし賃借関係がなかったら高階病院長はこの時点で殺人犯として起訴された可能性は充分にあった。
田口先生の白鳥さんをはじめとする人間関係の良さが結果的に東城医大を救うことになる。
加納警視正がどの程度かは別にしても東城医大にシンパシーあるのも事実。
『桜宮サーガ』は相手の足元をすくったり転ばしたりの連続的な物語。医者、官僚、市民に関係なく。
けど『アリアドネの弾丸』で斑鳩室長は過激にしすぎたと思う。北山錠一郎、宇佐美警視というふたりを犠牲にしても東城医大は潰れなかった。
官僚的発想からしたらこの人物を危険視して後々、“ハシゴ外し”された可能性もあるんじゃないか思う。
『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』でこの人もまた表舞台に出たことで警察庁内部から不満の声がないとは思えない。ある程度は封殺されたかもしれないけど先読みしたら斑鳩室長がいることで封殺してもクーデターないし権力が時の流れで変わるとも言えない。
高階病院長を『アリアドネ』『ケルベロス』と二度に渡り苦しめたものの白鳥さんのコールドスリープ法案で未来科学センター設立で東城医大はなんとかやっていけてるよう。
『モルフェウスの領域』での霞ヶ関の人事が変わってる可能性もある。

  • No.219 by 風人  2016-06-04 09:46:38 

Aiの理念や理想、提言などは『ケルベロスの肖像』以前にある程度、綿毛となって世界に飛んでたともいえなくもない。
高階病院長、白鳥さん、田口先生にせよ大学病院や地域地方、国レベルでしか考えが至らなかったとも言える。人間は個人レベルを基準に思考し判断するからやむを得ない(--;)。
『アリアドネの弾丸』から『ケルベロスの肖像』までたいして時間が経ってないことから東城医大側が功を焦ったとも取れる。

どちらにせよ医療と司法の対立が『桜宮サーガ』世界には現実以上にあるかもしれない。
それによって日本地図だけでなく世界地図を変える壮大なスケールがあるかもしれない。

『極北シリーズ』も極北市や雪見市も桜宮市同様に一地域でしかない。
だけど、医療を変えようとする人材や日々、医療に携わりながらそこから医療改革を模索思考しようとする者たちはいる。

斑鳩室長が桜宮小百合、南雲忠義以外にも駒は控えてあるでしょう。
斑鳩室長は読むたびに闇が深い人物の印象を与える。
『アリアドネの弾丸』で東城医大が助かったのは加納警視正(と玉村警部補)がいたからこそ。
加納警視正自体が後々の歴史で官僚か医療寄りになるかでまた歴史も変わるんでしょうか。
白鳥さんたちの同期であるスカーレットこと小原なる人物も私が読んだ範囲では名前しか出てきてないけどどちら寄りの人物か興味ひく。

『モルフェウスの領域』などのほんの少し先の未来を描いた作品で霞ヶ関にたぶん動きがあったと前向きに思いたい。

  • No.220 by 風人  2016-06-05 09:16:26 

斑鳩室長ら官僚が『アリアドネの弾丸』で失敗したのはひとつは人選にあるかもしれない。
宇佐美警視は桜宮小百合に知らなかったから失礼な口を聞いてる。
桜宮署の人たちはもちろん玉村警部補など含めて存じてる。おそらく加納警視正も桜宮市に派遣されたことから桜宮巌夫や桜宮一族のことは熟知してたと思う。

だけど宇佐美警視は知らなかったとみえる。これは彼が警察官僚なのに知らなかったのは官僚として抜けてたのではないかと思う。
表現としてよくないけど官僚としては優秀ではなかったかもしれない。

『アリアドネの弾丸』でそれこそ桜宮市の医療を握る東城医大を陥れるなら桜宮市にも東城医大にも精通した人こそが適任だったと思われる。

もしもという可能性だけど加納警視正が敵に回ってたらたぶん白鳥さんでも手が出せなかったと思われる。そんな可能性もなかったとは言えない。

  • No.221 by 風人  2016-06-05 16:31:38 

『アリアドネの弾丸』で白鳥さんが普段、仕事をしてないように田口先生は思ってるみたいだけど『イノセント・ゲリラの祝祭』『ケルベロスの肖像』を読む限りは普段は公務員してる。
おそらく霞ヶ関のなかで上手にやってるんだと思われる。『イノセント・ゲリラの祝祭』『ケルベロスの肖像』でも坂田局長と姫宮香織を上手にコントロールしながら仕事してる雰囲気や描写ある(←雰囲気か)。
『ケルベロスの肖像』ではバックヤードに回りその描写あったらことでけっして不真面目とは思えない。
白鳥さんの家庭描写などないからそこはわからないけど。

  • No.222 by 風人  2016-06-06 03:31:34 

白鳥さんは官僚という範疇から外れた人物ではあるけど、斑鳩芳正室長も範疇から外れた人物と思う。
この辺『桜宮サーガシリーズ』の官僚の人事もおそらく一般社会からズレてると思う。
白鳥さんもたしかに危険な人物だけど、斑鳩室長も匹敵するかそれ以上に危険な人物と思う。

  • No.223 by 風人  2016-06-06 04:12:43 

『モルフェウスの領域』で未来科学センターが白鳥さん発案のものでなおかつ桜宮市に誘致され東城医大の手にある。
『モルフェウスの領域』だけを読んだら田口先生と白鳥さんが袂を分けた方に見えて早とちりしたけど『ケルベロスの肖像』を読む限りはそんなことはなかった。
『モルフェウスの領域』で白鳥さんの名前は出てこないから。
シリーズ全体を把握するにはほんと労力いる。
一見、関係なさそうな話が実は別の物語でメインを飾る伏線が『桜宮サーガ』はよくある。
それに関係ないように人物が動いてるように見えて実はこうだったというサスペンスのお決まりみたいなのもある。

白鳥さんは『モルフェウスの領域』においてもバックヤードにまわりながら東城医大や未来科学センターを手助けしたということだろうか。
八神課長を再びハシゴ外ししながら?
まだまだ物語に書かれてないことあるんでしょう。

  • No.224 by 風人  2016-06-06 06:31:00 

『アリアドネの弾丸』から察すると『極北クレイマー』での三枝先生逮捕で斑鳩室長らの策は何らかの形で失敗したんでしょう。
加納警視正から斑鳩室長に釘を刺されたような発言があったことから広崎広明の奥さんと赤子が亡くなった一件は清川先生、水沢教授たちによってあらためて検証されたとか?
その辺、具体的に『アリアドネの弾丸』では詳しく書かれてないため想像の域は出ない。
『極北ラプソディ』のなかでも三枝先生の一件は書かれて清川先生たちが働きかけしているとあった。
『極北ラプソディ』から『アリアドネの弾丸』まで間にも司法と医療の対立の物語があるんでしょうか。

  • No.225 by 風人  2016-06-06 09:24:13 

黒崎教授はたしかに高階病院長、田口先生、速水先生らを疎ましく思いながらも東城医大を守りたい志しや信念は秘めてるんでしょうね。
そうでないと個人的感情を越えたところで組織運営しないと医大そのものが崩壊しかねないだろう。
『ジェネラル・ルージュの凱旋』では『伝説』による速水先生の所業(手腕)による鬱憤や鬱積ありながらも沼田先生をなだめ自らも言いたいことがあるであろうなか堪える姿勢。
『伝説』での城東デパート火災の一件で速水先生が“神に選ばれた”ことに納得はしないながらもあの場で自分が凡人と理解したのか。
けど東城医大を守るためには『アリアドネの弾丸』で院長代行の任に着く。そんななかでもちゃっかり作中ドラマ「霧のロミエッタ」にエキストラ出演してしまう名演ぶり。
おそらく東城医大のNo.2の座に甘んじながらも院内組織を保つために敵対しながらも高階病院長を内心は認め速水先生も東城医大からは離したくない思いも不器用ながらある。
たぶんわざと東城医大内では強面な姿勢やポジションと理解しながら医大を支えてるんだと思う。
高階病院長や田口先生たちからは院内ではあえて意見対立としてのポジションでいることもNo.2の器と思う。

黒崎教授みたいな立場だとあえて憎まれ役をしなくてはならないから高階病院長とはちがう立場や気持ちで気苦労が絶えないと思う。

  • No.226 by 風人  2016-06-06 13:49:31 

『桜宮サーガ』シリーズは基本的に書き手である海堂尊先生がもと医者であるから医療従事者側が主体ではある。
もしくは患者、あるいは我々一般市民。

だけど、斑鳩室長たち司法側にもある種の彼らなりの信念や正義はあるんでしょう。
だけど、そのために『アリアドネの弾丸』では一技術者である友野くん、癌患者であった北山錠一郎そして宇佐美壮一警視が犠牲になってる。
友野くんはたまたま『アリアドネの弾丸』でその場に居合わせた不幸な人物ではあったけど北山錠一郎、宇佐美壮一警視ふたりを犠牲にするほどだろうか考えさせられる。

“北の発動”では訴えた広崎広明も逮捕された三枝先生、どちらも被害者に思えてならない。
広崎広明は賠償金や慰謝料というお金を求めてたわけではなく“真実”を知りたかった一市民。
一市民であるが故に西園寺さやか(桜宮小百合)につけ入られる隙があった。
『ケルベロスの肖像』の飯沼さんもまた同様。
物語内に限ったことと思うが、斑鳩室長や桜宮小百合の手段は情に訴えながらもやり方はなりふり構わない印象もまたある。

  • No.227 by 風人  2016-06-07 03:59:34 

『極北ラプソディ』で広崎広明はほんのわずかしか出てこない。
三枝先生逮捕の原因でありながらまた自らも極北市民病院の実情を変えてしまったことを内心、悔やんでるのではないかと思う。
生者は診ないで死者はみるという世良先生の意向で変わってしまった市民病院。
『極北クレイマー』で広崎広明自身が知りたかったのは“真実”だったけどそれがパンドラの箱にも匹敵するとは思いもよらなかったと思う。

『極北ラプソディ』で世良先生により極北市民病院がつぶされるかもしれない今中先生の心情。
けど世良先生がなぜ医療債権者という変わり種になったのもまた謎。
訴えたいものがあるというのは伝わる。だけど方法が間違ってたのでは?と神威島の久世先生から諭される。
世の中が寛容であるのを久世先生は知ってる人物。
『極北ラプソディ』自体は極北市民病院が変わるのではという未来への兆しを持ったまま物語が終わりを迎える。
作品中で今中先生が思いきった手術ができるというのも一端でありもしかしたらそれが未来の極北市民病院を救う経験になるとも言える。

  • No.228 by 風人  2016-06-07 04:45:20 

『ブラックペアン1988』から『ケルベロスの肖像』まで高階病院長が患者の体内にペアンを残したことを悔やむのは相当悔やみ葛藤あったと思う。
だけど『ブラックペアン1988』を読んだ限りでは患者を救うためにペアンを残すしか判断をはなかった。
これを“医療ミス”と呼ぶかどうかがひとつのテーマでもあったと思う。
もちろん患者や患者の家族から医療ミスと呼んで当然かもしれない。

だけど体内からペアンを取り除く技術は『ケルベロスの肖像』の時代になってもおそらくなかったという高階病院長の言葉。
患者が生を全うしたことが唯一の救いではあったと思われるのに過去を掘り返した桜宮小百合。
『ケルベロスの肖像』で小百合がしたことは患者の家族の傷を戻すようなものであったようにも思われる。

『桜宮サーガ』は“生老病死”をどの立場や考え方で読む方で変わってしまう。それは現実にも言えること。
『ケルベロスの肖像』で過去の一件から批判を受け止めるしかない高階病院長。
よかれと思った過去の手術が現代に批判としてよみがえってしまう。

『極北クレイマー』の三枝先生のように逮捕とまで至らないまでも東城医大そのもの存在を揺るがすほどの一件。
共通してるのはよかれと思ったことが医療従事者や患者や患者の家族を苦しめ、そして市民を救うための病院が危機的状況に追いやられること。

『桜宮サーガ』の各作品を読むと“医療が誰のためにあるか”というのを考えさせられる。

  • No.229 by 風人  2016-06-07 05:40:18 

『マドンナ・ヴェルデ』でもヒロインの母親こそが実のヒロインだったと言える。
彼女は代理出産で生まれてくる赤子の立場や将来を考えて彼女は物語の中を動きまわる。
代理出産は時おりニュースになるけど責任の所在はわかりにくい。
立ち会った産婦人科の医者、あるいは代理出産を求めて子どもを欲しがる人たち、また代理出産に協力する人たちなどいろいろな立場や境遇ある。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』を読んだ限りではいちがいに割りきれるものではない。

なにより男性の立場からは見守って共に歩くか最悪逃げてしまうこともある。

『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』は表現が同じ海堂尊先生が書いてるはずなのに描写が実に女性的。
『伝説』にもあったけどほぼ登場人物は女性がメイン。清川先生など一部は男性出てくるけど。

代理出産もまたわかりにくい問題。

  • No.230 by 風人  2016-06-07 06:29:05 

医療の進歩と人間の精神は必ずしも比例しない。
癌は常にあるものだしコールドスリープ(冷凍睡眠)もまた医療のひとつの未来の担い手。
だけど何かをしたら何かで足を引っ張る。それが法律だったり人間の心や気持ちだったり無数にあると思う。

『極北シリーズ』は市民感覚だなと思う。だから好きなシリーズ。
市民病院だけでなく劇中の会話程度ではあるけど診療所などにも触れられてる。
市民の足元を市民病院や診療所あって助かってる一面もある。
だけど予算がつかないと救急医療に対応できない現状ある。
『極北ラプソディ』で世良先生は黒字にしても結局、それはなかなか実を結ばない現実。そこは市役所の対応如何で左右される社会のむずかしさ。

見えない駆け引きや交渉がないとも言えない。世良先生は直接マスコミに訴えるよりネットを通して訴えるのもひとつの方法。

だけどおそらく久世先生は後藤先生と共に(ネットを通して)それをたぶん見てたんではないでしょうか。世良先生に悲壮感がありすぎことを感じてたから諭したんでしょう。

  • No.231 by 風人  2016-06-07 12:44:28 

『輝天炎上』をようやく見つけた。
『ケルベロスの肖像』で天馬大吉くんがいくぶん大人じみてたからミッシング・リンクとなったところがようやく読める。

だけど海堂尊作品はたまにあとがきを気にしてしまうようになった。
本好きな人たちがあとがきから読むというニュアンスもわかる。

海堂尊作品は物語のわかりにくいところなどがあとがきでほどよくわかりやすくなってるからあとがきもおもしろい(笑)。

  • No.232 by 風人  2016-06-07 14:02:54 

『桜宮サーガシリーズ』にはところどころ海堂尊先生が『ゴジラ』『ガメラ』『ウルトラマン』のリアルタイム世代なのかたまに医療の現実と未来を登場人物たちが悩み考える心情描写のなかでそれらの空想作品の名が時々出てくる。

70年代に空想として描かれてたことが徐々に現実に追いついてきてる現実もある。

田口先生や今中先生が思うことは医療に携わる者たちの気持ちそのままでしょう。

  • No.233 by 風人  2016-06-07 16:18:23 

『輝天炎上』相変わらず天馬くんのモテぶりは変わらないし冷泉深雪さんのキャラはおもしろい。
冒頭から清川司郎が出てきて『ひかりの剣』から何年も経ってるのが伝わる。彼が教授になってその後、笹井先生と島津先生のお馴染みな面々の登場。
笹井先生のお話だと解剖医が忙しいか否かはそのひとの人柄や個性な感じする。読んでると天馬くんたち医学生の気持ちにちょっとなれる(笑)。
解剖医で西郷綱吉みたいに面倒な会議の時は参加しないがらも多数が選ぶ出世街道ではなく少数が選ぶ出世街道を目指す人もいる。
南雲忠義先生も解剖医だけどこの人物もわからない人物。

天馬大吉くんはさりげなく田口先生の存在を意識しながら避けてる描写ある。
だけど恋愛面では恵まれてるだけマシな感じ。別宮葉子さんに冷泉深雪さん。両手に花。

『桜宮サーガ』で花房師長は何年も速水先生を追いかけてたり田口先生や今中先生が恋愛に縁が少ないことを考えたら天馬大吉くんは恵まれてる方だ。

  • No.234 by 風人  2016-06-07 16:23:25 

訂正、花房師長が追いかけていたのは世良先生(『極北ラプソディ』から)

  • No.235 by 風人  2016-06-07 19:23:18 

『輝天炎上』を読むと天馬大吉くん達医学生の若さ溢れる気持ちや心情を書きながら『ケルベロスの肖像』のもうひとつの一面が記されてる。
“死因不明社会”という問題を課題にしながら天馬くんと冷泉深雪さんはそれぞれふたり一緒に各先生たちにアプローチしてゆく。
彦根くんや陣内教授などに出会いながら解剖医の実態やAiが在るべきところはどこか彼らなりに考えてゆく。
そして田口先生との出会い。はじめは舐めてかかってたら田口先生は思わぬところからパンチを放つ。Aiセンター会議には出席を取りつけるものの田口先生に言い負かされてしまう印象。
だけど『ケルベロスの肖像』の田口先生側、『輝天炎上』の天馬大吉くん側、読んだ感じだと双方引き分けという感じもする。
ただ高原美智さんのことについては医学生である天馬大吉くんより医者である田口先生の方が配慮ある。
延命治療という言葉も出てきた。それは患者が心から望むかどうかによると思う。

そして西園寺さやかこと桜宮小百合、こちらも『極北クレイマー』で書かれなかった裏側が書かれてた。
小百合は桜宮一族の怨念を背負って生きてるとしたら哀しい生き方に思える。

  • No.236 by 風人  2016-06-08 04:09:27 

『輝天炎上』をざっと読んだら『ケルベロスの肖像』の裏側。
実は……だったいうことが多く、かつての碧翠院もしくはAiセンターが桜宮一族と東城医大を中心に長年の憎悪や感情などすべてのひとの気持ちが一点に集められた感じ。
実は生きていたすみれ先生、『ケルベロスの肖像』のラストで天馬くんがなにも語らなかったのもわからなくもない。
だけど東城医大側がこれでは何も知らなかったことが多いと思う反面、知らないこと特に田口先生にとってはすみれ先生がもし生きてたと知ったらと思うと“知らないまま”であった方がいいようにも思う。

そして『ケルベロスの肖像』で利益造反と田口先生の依頼を断った城崎さん、この人も桜宮一族だったとは。
小百合の怨念たるや凄まじいけどそれを防ごうとするすみれ。

桜宮小百合は徹底して東城医大だけでなく遠い身内とはいえ三枝茉莉亜先生や三枝先生たちまで巻き込むのは真に恐ろしいのは女性の情念。
まるで怪談話でも見てるかのようにそこまで憎みきれるものか感じる。

桜宮小百合は死者の名前を騙り生者を巻き込む。
小百合が騙ってた“西園寺さやか”もかつて亡くなった人物とは。

東城医大と桜宮一族の因縁は桜宮市だけでなく遠く北海道にまで実は及んでた……。
いやもしかしたら世界中にまで小百合は怨念を広げるかもしれないと天馬くんは懸念してた。

『輝天炎上』はあまりにあれやこれや情報がありすぎる。

  • No.237 by 風人  2016-06-08 05:25:11 

東城医大ひいては田口先生にとっては知らない方がしあわせとも言える。

『輝天炎上』を読む限りでは読者にとっては衝撃が大きい。

天馬大吉、桜宮小百合、桜宮すみれ、と『ケルベロスの肖像』だけでは東城医大 vs 桜宮小百合に見えた関係が実は隠れた三すくみな関係だったとは……。

医療と司法の対立のように見えながら実は桜宮市に長く続く怨念や怨恨が人々を呼び過去をさらけ出した。
だけどそれは高階病院長だけでなく桜宮すみれと小百合でもあった。

天馬くんが別宮葉子さんと冷泉深雪さんと待ち合わせした場所が桜宮三姉妹像の前だったというのも情景描写ではなく伏線だったとも思われる。

因縁が恐ろしいくらいに絡み合いAiセンターに収束してゆく。

盗聴機を仕掛ける描写は妙に生々しい。

  • No.238 by 風人  2016-06-08 11:18:58 

『ケルベロスの肖像』の田口先生、『輝天炎上』の天馬くん。
ふたりはある意味、表裏一体に書かれてたかもしれないですね。
『ケルベロスの肖像』では田口先生は自分ももしかしたらサボッてた学生時代を過ごしてた天馬くんみたいに留年したり放校が近いとか言われたりする学生になったかもしれないと思っていたり、対して天馬くんは田口先生を避けながらも評判を耳にしながらいざ相対するとはじめは大人を舐めた態度をして序盤から中盤にかけては優勢なものの、ある一言でグッとこらえなくてはならない。
見方を変えればこの駆け引きは高階病院長と田口先生みたいなものにも相似する。
ただ田口先生ははじめから相手に自らの要求を口出すほど腹黒くない(と思う)。
天馬くんは物語の後半でそう決めつけてたけど。

『桜宮サーガ』では現実と同じで自己と他人の評価は必ずしも重ならない。

たぶんこれは桜宮すみれ小百合姉妹にも言えると思うけど、このふたりには自分を客観視する環境がなかったのではと思える。
碧翠院の閉ざされた環境や施設、あるいは桜宮市以外のことを知ってても北海道の南雲監察医務院、東京のマリアクリニック。
東京自体を人が多いところと他人事そのままに感じる小百合。
ドライなところもある。

ひかりに生きてる東城医大にしてもバチスタ・スキャンダルに限らず多くのひとやモノを背負ってると思う。

  • No.239 by 風人  2016-06-08 13:43:50 

田口先生が人としても医者としてもまっとうなのはシリーズ全般(個人的に読んだ範囲ですが)出世欲や上昇志向がなく凡人に近いところと思う。
凡人に近いがゆえに白鳥さんみたいな変人官僚や速水先生みたいに天才肌な人とも付き合え、後輩で生意気であるけど彦根くんとも付き合える。

それは院内の人間関係や患者についても同じようなことが言えると思う。
不定愁訴外来、別名愚痴外来とも呼ばれる本来の職場。
心の治療に近いところがあり患者さんから愚痴を聞いて最適な治療に導く。
救急対応や直接的な治療はすることはないものの患者の心のケアをモットーとする。

これを田口先生の人柄や経験、人間関係などを踏まえたら東城医大には必要不可欠な人材たる素質はある。
速水先生みたいに“神”に選ばれたわけでもなく世良先生みたく流浪でもなく一見、なんの才能がないように見える(東城医大での評価も変わらない)。

だけど凡人的な立場や資質、聞き上手であるがためにリスクマネジメント委員会や厚労省の会議などでは場の空気が読め適切な方向へ導ける。
中間管理職的でありながら操り操られが無意識(無自覚?)にできてる節もある。

『輝天炎上』で現役医学生である天馬くんからしたら目上だから高階病院長の懐刀や大人としての接し方から嫌な人に見えてもそれは社会での人間付き合いだからしかたない。

凡庸であるからこそ物事を分け隔てなく見れる目を備えてる。
バチスタ・スキャンダルから始まる幾多の事件や難題も常識を常に持ってることから意見できる。

本人がおそらくは自分が持ってるであろう秘められた能力や才能に無自覚だからこそ生き抜いてるといえる。
仮に自覚しても田口先生の人格なら自惚れることはないと思いたい。

  • No.240 by 風人  2016-06-08 17:28:33 

彦根くんとシオンさんは『ケルベロスの肖像』で生きる道がちがったでしょうか。
恋愛関係ではなかったふたりだけど、Ai関係や医療を志すなにかで気持ちは一緒だったように思われる。
西園寺さやか=桜宮小百合によってシオンさんにしたら自立を促された前向きな解釈もできる。
真実を隠すことは画像診断に関わる者として見逃すことができなかったでしょう。

  • No.241 by 風人  2016-06-09 05:43:02 

『ケルベロスの肖像』で彦根くんを操ってたのは城崎さん。
だけど城崎さんから依頼を本当に受けてたのは桜宮すみれ。
すみれは小百合の復讐を止めたかった。だけどAiセンターは破壊された。

田口先生がどれかの作品であったけど医療の世界は広いようで狭い。

これは『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』の表裏にも言える。
物語のからくりを知ればそれはたいしたことはない。
だけど、実際の人間関係は感情や怨恨、利害などで複雑に絡み合っている。桜宮市に集約され収束されてゆく。

Aiセンター破壊で真実に近かったのは桜宮小百合すみれ姉妹、天馬大吉。
田口先生がいつか真実を知ることがあるのだろうか思う。
小百合はともかくすみれが生きていたのを未来に彼が知ることがあるのか。

天馬くんは若いわりに口はそれなりに堅いからおいそれと田口先生に伝えないでしょう。
彼もまた桜宮姉妹に心をとらわれたひとりだから。

とはいえ天馬くんの恋愛関係は順当なら別宮葉子さん冷泉深雪さんでしょうね(笑)。

  • No.242 by 風人  2016-06-09 06:42:56 

『桜宮サーガ』で医学生である天馬くん、あるいは医学生だった時代に思いを馳せる田口先生や今中先生の描写は海堂先生の実体験によるところがあるんでしょうね。
麻雀ばかりしてたり適当にサボッたり論文を途中で書き留めたりなかなか認められなかったりと『伝説』にある自身の史実と医学生、外科医、大学院など順風満帆ではなかった印象。

田口先生も天馬くんも適度に不真面目さは兼ね備えてる。
今中先生は凡庸ではあるけど凡人であるがゆえに物事を素直に見れて答えを“心”に秘めてる。それを速水先生に見抜かれてた。

ある意味、田口先生も今中先生もふつうの人に近いけどそんな人物を“主役”に据えるのは才能と思う。

  • No.243 by 風人  2016-06-09 07:09:50 

田口先生は自分をはじめは自分を客観視できてないけど幾多の事件や難題のなか東城医大で自分がどう見られてるか少しずつわかってくる。
ただし読者ほどではなくほんの少し自覚したというほど。

黒崎教授や神田技師などの関係は比較的に明確に見える。

『アリアドネの弾丸』での対マスコミ対策会議では不本意ながらも田口白鳥組に協力してる姿勢、神田技師も登場当初は失礼な態度ではあったけどしだいに頭を下げる態度は見せる。

院内対立は組織を保つために“必要悪”として必要なんでしょうね。

高階病院長は病院長ではあるけどワンマン体制にはしてない。
田口先生速水先生島津先生らを巧みに操りながらも黒崎教授や沼田先生たち一派にも配慮はしてると思われる。

黒崎教授は長年の付き合いだから疎ましく思いながらも院内のバランスを取るために減らず口を向けながら沼田先生らを押さえコントロールしてると思う。No.2のポジションだからか。

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』を読んだら組織や世界に生きる表裏な人たちがそれぞれ見えてくる感じはある。

田口先生が天馬くんたち医学生にどう見えてくるかというのも将来の起点なんでしょうね(苦笑)。将来、いまの高階病院長みたいに腹黒タヌキみたいなあだ名をつけられそう。

  • No.244 by 風人  2016-06-09 18:23:54 

『輝天炎上』で桜宮小百合が宇佐見警視の存在を思い出すのは女性としての心や感性からかあるいは悪意からか。
読むと悪意の方が強く思える。
小百合は負の力を背負いすぎてるのが読んでいたたまれない。

  • No.245 by 風人  2016-06-10 09:47:03 

高原美智はなぜ死の間際に天馬くんのそばですみれの名を出したんだろう?

単に死ぬ間際に見た幻ならそれは美徳だけど、もしももしかしたらすみれが生きてることを密かに知っていた(知らされていた?)あるいは生きてるなかでの第6感みたいなものがあったとか。

『輝天炎上』のなかですみれ側から書かれた物語にも東城医大に入った描写はない。

なぜ美智さんはすみれが生きてるのを知ってんだろうか?
人間の“生老病死”にはまだまだわからないことあるんだろうか。

  • No.246 by 風人  2016-06-10 12:15:40 

桜宮小百合すみれ姉妹はおそろしいくらいに行動が似てるのが『輝天炎上』で浮き彫りにされてる。
似たような時期に同じアパート流星荘にいながら微妙に異なる。
すみれは小百合から東城医大破壊を阻止したいと思いながら自ら破壊したいと願う。
女性の情念はおそろしい。

清川吾朗・志郎兄弟はそれぞれちがう道を歩んでるみたいなのに。

生き方がちがう兄弟もいれば似てしまう姉妹もいるということか。

  • No.247 by 風人  2016-06-10 17:40:25 

4Sエージェンシーの城崎さんが東城医大の敵となることもあるんだろうか……。
彼は自由に生きてる存在として書かれてるようだから。
一方ではしがらみがない存在。自分の血筋以外については。

『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』では東城医大を守ってくれた。
しかし未来はわからない。

桜宮小百合すみれ姉妹がいる限り狙われないとは言えない。
『輝天炎上』では城崎さんはすみれ側についてなおかつ彼女からの要望で彦根くんを操った。

すみれがひとつ有利な点は城崎さんを通じて東城医大側の人物を操れる可能性は秘めてる。
『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』では結果的に東城医大を守ったことになる。

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』を読むと未来はわからない。光も闇も秘めてる。
必ずしも希望の輝きだけではないと理解する。

  • No.248 by 風人  2016-06-11 06:24:32 

『ケルベロスの肖像』が光としたら『輝天炎上』は闇でしょうか。
いちがいにそうとも言えないけど。

桜宮小百合が三枝茉莉亜や理恵先生と相対する場面はまさに光と闇の対決ともいえる。
三枝先生を罪に追いやったのは小百合ということを茉莉亜先生は気づいてた。
三枝先生は『極北クレイマー』の舞台極北市民病院で唯一の人徳者。
だけど、西園寺さやかに化けた小百合により広崎宏明を操り罪に追いやられた。

北に南に斑鳩室長、桜宮小百合の手はまるで蜘蛛の巣のように広がってるようにも見える。

だけどそれと戦う者たちもいる。三枝茉莉亜先生の命はいずれは亡くなったでしょうけどその志は誰かに受け継がれるはず。
東城医大の佐伯前病院長から高階病院長、そして田口先生へのように……。極北市民病院も室町病院長から一時的とはいえ今中先生、彼から世良先生へと……。

時代や形はちがえても受け継がれるものはあるはず。

『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』の舞台マリア・クリニックもまたつぶれゆく病院。
だけど未来はわからない。誰かが継ぐかもしれない。

『イノセント・ゲリラの祝祭』で白鳥さんが知ってたことから気にはしてたかもしれない。

  • No.249 by 風人  2016-06-11 08:41:47 

すみれはよく流星荘で小百合の隣に住めたもの。
ふたりとも公には死人扱いになってるとはいえ互いに姉妹。
ちょっとでも挙動があったら気づかれたかもしれないのに。
小百合が生きてる限りすみれはずっと生き続けるんだろうか。
誰にも気づかれないまま。

姉妹の争いのたびに桜宮家に関わった田口先生、白鳥さん、姫宮さん、天馬大吉くんなども事の真相を知る知らないに関わるんでしょうか。

  • No.250 by 風人  2016-06-11 09:31:27 

『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』の理恵先生とユミさんはわずかとはいえ桜宮小百合と出逢った。
このわずかな出逢いもマリア・クリニックにいる人たちに影響を及ぼすのだろうか。

少なくても『マドンナ・ヴェルデ』においては理恵先生は実のお母さんや茉莉亜先生に説得されたことで子どもを利用しないと誓ったけど、妊娠中の理恵先生は小百合に怨念と共にに抱かれた。

短い場面だけど、ぞくっとする怖さしか感じなかった。

  • No.251 by 風人  2016-06-11 13:00:41 

『輝天炎上』はヒロインが多いこと。
冷泉深雪、別宮葉子、桜宮小百合、桜宮すみれ、姫宮香織、桧山シオン、出番は少ないけど国見淳子教授。あと小百合についてる南雲杏子。
マリア・クリニックの三枝茉莉亜、曽根崎理恵、ユミさん。
これだけ舞台の表裏に女性たちが出てるのになぜ肝心の会議の場で島津先生を連れてくるのか笑えて泣けてくる。

あらためて読むとAiセンターひとつをつくるにしても意見はさまざま、解剖医は基本的に乗り気ではないか否定派。
様々な意見があるのはいいけど閉鎖的になるというのはどこの社会や世界にある。
むずかしいところ。

  • No.252 by 風人  2016-06-11 17:17:31 

『輝天炎上』をあらためて読むとAiセンターが何故、碧翠院に酷似した姿かもわかる。
高階病院長たちが外部業者に丸投げしたとすればいささか無頓着すぎる。見方を変えれば特定の業者と癒着してない清廉さもあるけど。

『ケルベロスの肖像』で強固に見えた姿勢が『輝天炎上』ではむしろ穴だらけという。

東城医大側にしたら守ることに専念すればよかったんだろうけどせめて会議に参加した人たちの身元調査くらいはできたと思うのに。
そしたら西園寺さやかの正体は白日のもとに晒せたはず。
白鳥さんがバックヤードに下がったのも要因。
脅迫状だけでは白鳥さんの関心が低かったのか。あるいは白鳥さんは事件が起きてからでないと動けないのか。

  • No.253 by 風人  2016-06-11 20:49:12 

田口先生がもし本当にヘタレな医者だったらバチスタ・スキャンダルに始まる東城医大を取り巻く事件や難題は解決に至らなかったと思う。
ちゃんと秘めてるんだと思う。
速水先生みたいに救急に迅速な“神”みたいな救急対応は不可能だろうけど、交渉や会議などに田口先生の能力は発揮される。
引くところは引きながら旧友や会議の進行においては出すべき駒を引き出す思いきりのよさ。

ありきたりの会議そのものは曳地さんとの会議みたいなものという解釈がされてるからある意味、場馴れをしてる。

また不定愁訴外来(愚痴外来)でひとの話を聞くことに慣れて長けてる。

もし本当にヘタレだったらバチスタ・スキャンダルから始まる難題はクリアーされてない。
『ケルベロスの肖像』においては白鳥さんがバックヤードにまわったことでコンビの真価が発揮されないままだったと思う。←そう書くと白鳥さんに依存ないし共存みたいだけど(苦笑)。

田口先生をヘタレと思ってること自体、未来において桜宮小百合とすみれは足元をすくわれるのでは?と思わなくもない。

『ケルベロスの肖像』のラストでは高階病院長にようやく勝てたんだから。

  • No.254 by 風人  2016-06-12 08:28:31 

『輝天炎上』で田口先生島津先生があらわれる前の会議前でもいろいろな人間模様や伏線あった。
『極北ラプソディ』の世良先生と今中先生との話題に出てきた日本三分計画。
やはり彦根先生が黒幕みたい。医師ストライキしたことであちこちから敵をつくってるにも関わらず飄々としてる。
ドクタージェット構想と日本三分計画は連動してると考えた方が素直でしょうか。
白鳥さんから国家転覆してると言われるのもどうだろう?白鳥さんだって官僚としては規格外なんだから(苦笑)。
彦根くんも白鳥さんもけっして上昇志向ではない。田口先生もだけど。
速水先生や島津先生にしても出世は二の次。
それゆえに田口先生島津先生速水先生それぞれある程度、高階病院長から被害を被っている。
島津先生はさほど被害はないように思われるけど物語の外では田口先生と同様な目に遭っててもふしぎではない。
本来ならAiセンター長は島津先生がなるべきと天馬くんは評してたけどそれは外からの評価であって内部の、高階病院長の評価ではない。

外部者と組織の内部にいる者では評価がちがうというのも本人の思いとのズレもある。

  • No.255 by 風人  2016-06-12 09:36:55 

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』で物語はひとつの終わりを迎えているとすれば、新たな出発点となる物語はあるんでしょうか。
『モルフェウスの領域』で東城医大が潰されず変わらず田口先生佐藤先生如月翔子、そして高階病院長の姿がある。
白鳥さんの協力あって再び桜宮市民に愛される東城医大があったはず。

病院の再建がかんたんにいかないのは『極北ラプソディ』で書かれてるけど似たような経緯があったかもしれない。
だけど世良先生は極北市民病院で根を張ると仰って『極北ラプソディ』はラストを終える。
世良先生が東城医大か高階病院長あたりに関心がないと桜宮市を訪ねることはなさそう。

少しずつ再び信頼を取り戻していったと考えるか想像した方が無難。

  • No.256 by 風人  2016-06-12 19:39:07 

『輝天炎上』で田口先生、兵藤くんが講師として活躍してる姿も見れるのもおもしろいところ。
留年生の天馬大吉くん、優等生の冷泉深雪さんのある意味凸凹コンビそれぞれがちがう受け取り方をしてるのもひとつ。
田口先生はしっかり医者が命を見届けることは高原美智という患者を通して教えたと思う。
対して兵藤くんは講師であっても医学生からやや小馬鹿にされてる。これは不定愁訴外来(愚痴外来)での田口先生の評と近いところある。

  • No.257 by 風人  2016-06-14 06:41:47 

医者や医師が講師として立つ場面は新鮮。
天馬くんが『螺鈿迷宮』で不まじめだったけど『輝天炎上』では比較的、まじめになってる。本質はそう変わらないみたいだけど。
『輝天炎上』で清川司郎をはじめとしていろいろな先生方に出会い田口先生とも出会う。
ただ田口先生を見くびってたのは純粋な若さからと思う。ひねくれた若さだったらのびしろがない。
それだけ天馬くんには厳雄先生の“言葉”がしみついてるんだと思う。
事件の真相を知るのは天馬くん、桜宮すみれ、桜宮小百合、城崎さん。
すみれや小百合の二重螺旋は永遠に桜宮を取り巻くんでしょうか。

Ai自体の理念や理想は綿毛になって世界に飛んでるだろうから斑鳩室長がいかような手段をこうじても無理な気がする。
斑鳩室長が連れてた秘書は本田と名乗ってた。
おそらくまた別作品で活躍する人物でしょうね。

  • No.258 by 風人  2016-06-14 07:59:42 

冷泉深雪は優等生なキャラクターで頭よく美人、洞察力行動力ある。
反面、ちょっと天然なとこもわずかにある。なにより若いからお酒に弱い。
『輝天炎上』では別宮陽子と共に天馬くんのサポート兼三角関係のちいさい火種というとこも微笑ましい。

藤原看護師、如月翔子、浜田小夜、桜宮姉妹、『極北シリーズ』の梢、五條看護師などとはタイプが違う。
優等生なところは浜田小夜にやや近いけど若いから物事をありのままに見れるのは長所。
ちょっと天馬くんにやきもきしてるのは学生らしい一面。自分に近しい異性になにかしら思うのはいいところ(笑)。

天馬くんが別宮陽子、冷泉深雪というヒロインをふたり持ってる?のに田口先生や今中先生が不遇……。

いずれ田口先生や今中先生の恋愛を海堂尊先生に書いてほしい。

  • No.259 by 風人  2016-06-14 13:06:49 

『輝天炎上』は桜宮すみれや桜宮すみれ視点の物語は表現が女性的になってる。
小百合がマリア・クリニックを訪ねた場面は『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』の舞台だからよけい女性的に想起される。
小百合、すみれの物語は天馬くん視点がメインとしたら全体からは浮いてる感じあるけど小百合やすみれもまたメインヒロイン。
『ケルベロスの肖像』で出た謎は解けたけどまた新たな予感を感じさせる。

  • No.260 by 風人  2016-06-14 16:03:51 

いくら医療においても形骸化してる点があっても腐敗してる人たちいれば改革する人たちもいる。それが少数や意見が少なくても。
大学病院や医療センターなどないと地元の人たちがなにより不便になるし医者を志す若者が勉強する場もなくなる。
『桜宮サーガ』は架空の東城医大、極北市民病院、マリア・クリニックなどを舞台にしながら海堂尊先生は訴えてる。
読むたびにメッセージが大きいの伝わる。

『ブラックペアン1988』の若き日の田口先生たちと『輝天炎上』の天馬くんたちは時代はちがうけど何かしら学ぶべきところは重なると思う。
医療も先人たちの経験や血脈がないと続かない。

桜宮すみれや小百合がもしも東城医大を潰してたらそんな若い世代が医療や医学を勉強し学ぶ場が桜宮から消えてたんだろうか。

  • No.261 by 風人  2016-06-15 04:17:20 

なぜ建設業者を丸投げしてしまうのか東城医大は……。
なんとも最大の盲点と思うんだが。それだけ医療従事者が自分たちが新たに建てる施設の業者には無関心なのか思わざる得ない。

マリッツアと桜宮小百合の人間関係が想像できないのも盲点だけどそこは致し方ない。人間関係は当事者にはなかなか把握できない。お互いに。

だけどAiセンターが破壊されるためにつくられたいうのもほんとどうかと思う。

医療の世界が閉鎖的というのも『桜宮サーガ』の各作品読むというのもわかる。
解剖医はAiに興味を示さなくむしろ反対的。患者のためになるという大義があっても首を縦に振らない。
『輝天炎上』で解剖医が儲かるのか儲からないのかというのもひとつの視点や考え方。“儲かる”ということに主軸を置くのも日本人の悪いところだけど(苦笑)。

『輝天炎上』では天馬くん視点でいまの時代の医学生の考え方や現代的な視点だと思う。
『ブラックペアン1988』で田口先生島津先生速水先生それぞれが論文の中に後の運命を決定づけてる場面がある。

田口先生は渡海先生の言葉があったから血をあまり見ることのない不定愁訴外来(愚痴外来)をつくることになる。

  • No.262 by 風人  2016-06-15 07:41:00 

高階病院長と彦根くんは『ケルベロスの肖像』で互いに初対面だったいうのも意外な話。

彦根くんが田口先生たちより後輩だったから面識なかったんでしょうか。

医大に講師や生徒として在籍しても接点のない人物はいるでしょうね。
たまたま時期がズレてたり講習を受けなかったりとかあってもふしぎではない。

高階病院長の東城医大の『ケルベロスの肖像』後の未来においての構想のなかに彦根くんが関わることあるんだろうか?

けど『極北シリーズ』には速水先生という東城医大の血脈あり世良先生もまた同じ。
別系統で三枝久宏先生から清川吾郎につながる帝華大、帝華大は白鳥さんの血脈でもある。

東城医大と帝華大はライバル関係にあるけど医療社会に出ると人間関係で協力関係があるのも興味深い。

白鳥さんの帝華大時代がどんなのだったのかも気になる。
なぜ、医者ではなく官僚になったのか。その物語は見てみたい。

  • No.263 by 風人  2016-06-16 05:04:12 

百人いれば百通りの真実がある。
まさに『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』の田口先生、天馬大吉がそれぞれ合わせ鏡なように田口先生は事の真相をほとんど知らないまま、逆に天馬大吉くんは事件の真相にもっとも近いところにいた。

これは『極北クレイマー』の三枝先生、三枝先生を訴えた広崎広明にも似たようなことが言える。
三枝先生と広崎広明は母子が亡くなったことで広崎広明は西園寺さやか(桜宮小百合)に言われるがまま訴える形になった。
広崎広明にとっては母子が亡くなったことの真相を知りたかったのに三枝先生を逮捕するきっかけをつくり極北市民病院を窮地に陥れた形になった。

三枝先生にしても極北市民病院にはAiがなかったためかあるいは本人の人柄によるものか広崎広明に強く訴えることはしなかった。

『輝天炎上』で三枝茉莉亜先生は遠くにいながら事の真相は感じてたんでしょう。
桜宮小百合がマリア・クリニックを訪ねたことで桜宮市に起こることを予期してたのかもしれない。

  • No.264 by 風人  2016-06-17 09:53:35 

天城雪彦、この人物は何者なんでしょうね。
まだ読んでない作品に出てる人物でしょうから興味ある。高階病院長が胸の内に気にしながら清川司郎もまた気にしてる。
だけど去就については語らずというのがまた謎や魅力を深めている雰囲気。

たまにググっては他の方のブログレビューなどは参考程度に見るけどやはり読まないとわからない。

  • No.265 by 風人  2016-06-17 13:01:41 

『極北クレイマー』の三枝久広先生はほんと魅力的な人物。
極北市民病院のなかで数少ない人格者。
不良医者でもあった後藤先生でさえも慕い、ろくでもない院長ではあったが室町病院長や仲たがいしてる病院内のグループでも三枝久広先生を庇う姿勢は共通して見せてる。
それが西園寺さやか(桜宮小百合)の手によって司法に委ねられるのがなんとも悲しい結末。
三枝久広先生はバチスタ・スキャンダルを遠くで見ながら自らもまた司法の手で裁かれるこてに複雑な表情を見せていた。

三枝久広先生のその後の去就もどうなっているのか……。

  • No.266 by 風人  2016-06-17 15:10:15 

彦根くんと斑鳩室長の戦いは桜宮市から大阪浪速市に移る。
『桜宮サーガ』はいろいろな人間関係がある。医療の世界が広いのか狭いのか(笑)。
『田口白鳥シリーズ』だけでなく『極北シリーズ』『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』など各作品ごとに派生してるからいろいろな読み方ができるし考えさせられる(--;)。

  • No.267 by 風人  2016-06-18 08:08:13 

『螺鈿迷宮』をもう一度出して読みたいところ。
ぐうたら天馬くんが生まれ変わるきっかけの物語。
海堂尊先生の『伝説』によるとありとあらゆる“死を封じた”物語でしたっけ。
『螺鈿迷宮』はドラマ版も凄かったけど小説は妙に昭和の背景が色濃かった印象。
桜宮市の戦前戦中戦後と巌雄先生の言葉を借りて語られる。

  • No.268 by 風人  2016-06-18 14:21:42 

桜宮小百合すみれをくらべるとすみれはさほど田口先生を嫌ってる雰囲気はないと思う。
すみれはあくまで『輝天炎上』では“田口先生”と呼んでいる。憎いという気持ちが個人的心情まで至ってないと思う。
もし憎かったら小百合みたいに面と向かって言葉や表現に出てると思う。
この辺もまた女心の微妙なところでしょうか。

その田口先生にしても天馬くんからAiセンター長としてと神経外科の講師、あるいは愚痴外来の先生としてのイメージと実像の乖離がある。
天馬くんは比較的、勘がいい方に書かれてるからでしょうね。

  • No.269 by 風人  2016-06-18 15:13:33 

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』は同じ時系列同じ物語だけど、田口先生と天馬大吉側それぞれが同じ言葉を受け取りながらもまた違う感銘を受けてるのもおもしろいところ。
田口先生も正確にいえば東城医大が心からは好きではないけど不定愁訴外来をはじめ居場所や学生時代の思い出がある。幾多の事件や難題に関わるうちに愛着を持ったと思う。
対して天馬くんはたしかに東城医大に共感するところは少ないと思う。ちがう言い方したら碧翠院の件に関わるまでは不真面目でもあった。
だけど碧翠院の一件で変わるきっかけになったのもまた事実。
『輝天炎上』の物語が彼に何らかの影響をもたらしたのもあると思う。
田口先生を“恋敵”というのも起因してるはず。

田口先生たちが未来の東城医大を支えるのは確定的としてその時に天馬くんや冷泉深雪さんがどうなるかというのも未来への鍵なんでしょう。

  • No.270 by 風人  2016-06-19 05:27:53 

『螺鈿迷宮』の冒頭では天馬くんはいかにも不良医学生。
『輝天炎上』では留年生ではあるけど授業に真面目に出て成績をおさめてる様子はある。
だけど、本質(の一部)は変わらない様子もある。
天馬くんの背景が『螺鈿迷宮』の時は亡きご両親に甘えているのがある。それをうまい具合に別宮葉子に突かれてる。

  • No.271 by 風人  2016-06-19 06:11:08 

桜宮小百合はたしかに表立っては出てこれないだろうし“西園寺さやか”としてもおそらくは出てこれないと思う。
だけどAiセンターの会議に斑鳩室長、南雲忠義と共に現れてるのは小百合の剛胆や思いきったところと思う。
堂々とかつて見知った田口先生や天馬大吉の前に現れるなんてふつうはできない。

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』では東城医大側も本来なら黒幕として座るべき高階病院長が自ら前面に出たのも大いなる敗因のひとつ。
それは桜宮小百合もまた同様。天馬くんがいてもいなくても小百合は正体をあらわしたと思うけど。

すみれが田口先生をどう想っているのかも気がかり。東城医大は憎しと思うけど田口先生に憎しみは抱いてはないと思いたい。
田口先生がかつて恋した相手はすみれと考えた方が無難な感じ。そちらの方がしあわせな思い出と思う。

  • No.272 by 風人  2016-06-19 10:22:10 

『螺鈿迷宮』を再読してると元気だった頃の高原美智が出てきてちょっと重く複雑な気分。
同時に天馬くんと結城さんが禁忌の地に足を踏み入れるのはふつうに怖さある。

  • No.273 by 風人  2016-06-19 11:24:16 

『螺鈿迷宮』も先にドラマのイメージあると再び実感。
桜宮巌雄先生は柳葉敏郎さんだわ(笑)。小百合が水野美紀さん、すみれが栗山千明さん。
ドラマでは桜宮姉妹は双子設定ではなかったと思うけど。
けど『螺鈿迷宮』は怖い物語に思える。“死”を司る碧翠院。
ひとり、またひとりと消えてゆく病院。

けど、小百合やすみれはともかく小説内では南雲杏子が生き残ってるから彼女からアシがつきそうな感じもするけどどうなのだろう。
彼女はなんとなくドジを踏みそうなイメージある(苦笑)。
碧翠院の生き残りはすみれと小百合、高原美智、南雲杏子。だけど美智さんは『輝天炎上』で亡くなった。
すみれが白鳥さんに情報をリークする線もありそう。

  • No.274 by 風人  2016-06-19 12:03:07 

すみれが水野美紀さん、小百合が栗山千明さん。意外に忘れてる。

  • No.275 by 風人  2016-06-19 14:37:21 

姫宮香織はどの作品でも目を惹く存在。
『螺鈿迷宮』『極北クレイマー』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』、個人的には『極北クレイマー』の雪ダルマもしくはスノープリンセスが笑えて印象に残る。
見た目が背が高い高すぎる女性、それだけでもある意味、マンガ的。
けど能力においては霞ヶ関の若き官僚たちが一目置いて側にほしいほど。

『螺鈿迷宮』では天馬くんを怪我に怪我にと導く(苦笑)。
けど『螺鈿迷宮』執筆の10年前にすでに姫宮香織らしいキャラクターの構想はあったらしいから凄いもの。

  • No.276 by 風人  2016-06-19 16:40:54 

『桜宮サーガ』全般に言えるかもしれないけど(まだまだ読めてない作品あるけど)、敵が見えてるうちは敵味方互いに双方出方がはっきりしてる。
だけどどちらかが姿をはっきりさせないうちは敵の出方を待つか防戦にまわるしかない。
『螺鈿迷宮』では当初、天馬大吉くんの目を通して碧翠院の表裏が見えてくる。そこに正しい正しくない一面が見える。
ドジな姫宮香織が厚労省の役人とは誰もが思わない。『極北クレイマー』前半ラストにも似たような大どんでん返しある(笑)。

  • No.277 by 風人  2016-06-20 05:41:05 

『螺鈿迷宮』を再読してると、あっさり登場人物のひとりが気づかない間に消えているミステリー。
フッと現れただけなのにすでに物語から消えている。
碧翠院の未知なるこわさ。しかも謎は解けてないからこわさが際立つ。

だけど、一方では東城大と碧翠院の関係も明らかになる。
前半は碧翠院側に感情が揺らぐ気持ちもある。後にすみれが復讐したがる気持ちも理解しないではない。

  • No.278 by 風人  2016-06-20 06:20:14 

『螺鈿迷宮』では誰もが白鳥さんと姫宮を厚労省の人間とは思わない。
役人らしくないのもあるけど。とかくどの作品に登場しても役人らしくない(苦笑)。
姫宮香織も『極北クレイマー』に登場した時も『螺鈿迷宮』の白鳥さん同様に身分を伏せながら業務しながら極北市民病院をうかがって役目を果たしたら自然と姿を消している。
だけど『螺鈿迷宮』では桜宮一族は白鳥さんに潰される運命にある。
あらためて読むと碧翠院側にも感情移入するところはある。

  • No.279 by 風人  2016-06-20 07:22:39 

『螺鈿迷宮』で天馬くんが潜入してからわずか二日でひとがふたり亡くなるというこわい話。
白鳥さんが登場すると物語がやや加速度的になる。
天馬くんなりに謎解きをしながら一方では二重スパイの任を託される。
不良医学生ではあるけど物事を見たり考える視点は純粋。物語が進むにつれ医学生としての一面が浮き彫りにされていってる。これは以前に気づかなかったところ。
再読すると違う一面が見える。

  • No.280 by 風人  2016-06-20 12:20:15 

あらためて『螺鈿迷宮』を読むとはじめの頃が読んだ時は東城医大側か正しいように見えたけど、再読すると東城医大が利権利益のために碧翠院をつぶしたように読めてしまう。
何度か読みなおすと立場逆転なる。
碧翠院に闇がある。だけど闇に光を射すことで光をもたらす。
しかし光も闇も一緒にすることはできないのでは?と矛盾が生ずる。

『螺鈿迷宮』で碧翠院をつぶしたことは東城医大、そして桜宮市が医療でつぶれる一端としたら『螺鈿迷宮』で起きたことはとんでもなく大きく重かったことに気づかされる。

  • No.281 by 風人  2016-06-20 14:03:51 

『螺鈿迷宮』は桜宮市の怖い話も物語に加わってるからなおさら怪奇めいたのもある。
だけど、天馬くんはそれを含めてひとつずつ解いていく。桜宮の童歌と共に……。

読んだ当初は東城医大側に感情が向いたけどあらためて読むと碧翠院が滅んでいいのか疑問符がある。
たしかに東城医大の経営の傾きは懸念すべきこと。だけどそれで他人の畑を荒らしていいかと言えばちがう。

天馬くんほどかは別にして碧翠院の方に共感に近い気持ちは胸に宿る感じする。

  • No.282 by 風人  2016-06-21 04:34:09 

『螺鈿迷宮』の桜宮すみれの邂逅を聞くとかつて恋した相手は田口先生みたいな感じ。
各作品でも田口先生は誰かに想いを寄せていた。それがすみれ先生なら納得いかなくもない。

田口先生が腰抜けや意気地無しだったかわからないけど何か結ばれない事情があったかもしれない。

だけど田口先生は東城医大から碧翠院の患者治療を見守ってた。

田口先生とすみれ先生の間に敵視する感情は見られない感じ。
むしろ小百合先生の方が敵意をむき出しなのが『螺鈿迷宮』からもひしひしと伝わる。

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』で一応の決着は迎えたにせよ水面下では未来において続いてないともいえないのがこわい。

  • No.283 by 風人  2016-06-21 06:51:30 

一見、古い病院でもAi(オートプシー・イメージング)はあるかもしれない。
だけど『螺鈿迷宮』の碧翠院、『極北ラプソディ』の神威島の診療所では用途がちがってる。
けど、桜宮巌雄院長や久世院長にしても歳を取ってるにも関わらず最新の医療機器に目をつけるのは経験や勘からか。あるいは自らの地をちゃんと永らえさせるためか。

『螺鈿迷宮』で悪役であるはずの巌雄先生にも医療には信念はある。また小百合先生について一部ではあったにせよ白鳥さんは共感すべきところはあった。

だけど碧翠院はやり過ぎた。なぜ死者が一日二日と続けて存在するのか。
行方不明になった人たちはどうなったのか。
見逃せない事態が立て続けに存在した。

でもあらためて読むと碧翠院に闇はあるけど東城医大は“闇”を吸収どころかえってマイナスになったのではと思えてしまう。

桜宮すみれ小百合姉妹が復讐するのもまた理解してしまいそうでこわい物語と思えてしまう。

  • No.284 by 風人  2016-06-21 07:16:15 

碧翠院、あるいはAiセンターがあったあの地はどうなったのか疑問が生じる。
二度も医療施設が(意図した)火災で崩壊し現実的に考えたら“いわく付きの地”になるんじゃないだろうか?
三度も医療施設が建つことは考えにくい。

  • No.285 by 風人  2016-06-21 08:58:02 

『螺鈿迷宮』のラストでコートで身を隠す女性、はじめは小百合かと思ったけどすみれにも取れる。どちらにも見える描写してる……。
この辺もまた海堂作品がミステリーなのは間違いない。

  • No.286 by 風人  2016-06-21 19:22:52 

『螺鈿迷宮』『輝天炎上』で数少なく生き残った高原美智。
彼女はほんと病気と戦い寿命をまっとうした人物と思う。
『輝天炎上』でたしかに一度は命尽きかけ天馬くんの心臓マッサージで一度は息を吹き返した。
だけど二度目はなかった。
よくドラマで見るシチュエーションだけど小説でも見られるのもまた意外だった。
美智さんは田口先生の言葉によると天馬くんに別れが言いたかったから一度は戻ってこれた。
碧翠院の忘れ形見の美智さんにしたら天馬くんは孫そのもののような存在だったでしょう。

延命処置や治療は本人が望まない限りは医者は手出しできない現実もある。
『輝天炎上』の美智の場面は短いけど考えさせられるものはいくつもある。

  • No.287 by 風人  2016-06-22 06:25:28 

『ケルベロスの肖像』での田口先生側、『輝天炎上』での天馬大吉側からの高原美智への描写や心情は異なる。
田口先生は神経外科の医者としてあるいは医療に従事する者として、天馬くんは一青年や一学生として、海堂尊先生は表現が豊かと思う。
おそらく医学生、研修医、医者としての経験を経てるからそれだけ書けるんだと思う。
学生の頃は命に対して真正面から受け止められても医者としては目の前で命が失われることには割りきることも必要とされる。
命が失われる描写は他作品でも見られる。それに対して医者としてどう向き合うかというテーマもあると思う。
『ジェネラル・ルージュの凱旋』での後半クライマックスの展開は救急搬送される患者が誰もが救える救えないという振るいにかけられる場面は割りきって描写されてる。

  • No.288 by 風人  2016-06-22 07:00:27 

『螺鈿迷宮』で結城さんが桜宮巌雄先生に殺されなかったのはギリギリ天馬くんの運があったからでしょうね。
ふつうならそれまでの被害者同様に殺されてもふしぎではない。
天馬くんが麻薬中毒寸前まで侵されながらも姫宮香織の機転がなかったら彼も助からなかっただろうし。

けど“死を司る”翠碧院がなくなったことは桜宮市に闇をもたらすことになったのか。

『夢見る黄金地球儀』で翠碧院があった地(Aiセンターがあった地でもある)は結局なにもないままだったんじゃないかな?

気づけば故郷の街の風景が変わったものになってるのは現実と変わらない。

なんとなくだけど地元の大学病院や医療センター、あるいは町の診療所などにも見えない事情は無数にあるものと実感してくる。

  • No.289 by 風人  2016-06-22 08:48:30 

『輝天炎上』の天馬くん視点の物語は新鮮。
同時に医学生から見た東城医大の現状。正しくはAiについてのそれぞれの認識ともいえる。
教授方は権力あっても逆に権力に締め付けられる閉鎖的方向もひとつ。『極北ラプソディ』でも論文ありきというのまたひとつの現実。

まじめになった天馬くんからでも医療からの大人社会のいびつさはなんともし難い。
Aiひとつ解剖医は懸念を示すあらわれ。
だけど『螺鈿迷宮』の時は白鳥さんに軽くあしらわれた天馬くんだけど『輝天炎上』では一学生もしくは個人として白鳥さん意思を向ける。
そこは彼が芯が通ったことのように思える。白鳥さんみたいなペーパードクターに好きにやられたら別な意味で医療がこわされかねないのもまた事実。

天馬くんが将来、東城医大ひいては厚労省もしくは白鳥さんにとって敵味方どちらになるのか。

けど医療においては不定愁訴外来(愚痴外来)みたいなところもまた必要不可欠と思う。
心と身体の治療を健康にしていくこと。

『螺鈿迷宮』での白鳥さんが取った“見せながら治療”は『極北クレイマー』でも姫宮香織が実践してた。
『アリアドネの弾丸』では白鳥さんの口八丁でとある患者さんは納得してた一例もあるから。
患者が納得するのがいちばんの治療法。

  • No.290 by 風人  2016-06-23 07:58:40 

『螺鈿迷宮』後の白鳥さんが型破りな官僚として力を振るってるところもあるけど官僚としての制約や縛りもある。
巌雄先生が伝えたようにところどころでは白鳥さんに異を唱える者たちもいるだろう。
出る杭は打たれるのは世の常。
『モルフェウスの領域』や『夢見る黄金地球儀』など未来の時代の作品を読めてないからその辺はなおさら不明瞭。

未来科学センター(コールドスリープセンター)で東城医大が健在なからくりはわかったけど。

『モルフェウスの領域』では白鳥さん一切出てこなく代わりに八神課長が煮え湯を飲まされるのが気の毒。

医療が真実、誰のためにあるのかというのが『桜宮サーガ』全体のテーマでしょうけど海堂尊先生は答えを見いだせるんでしょうか……。

  • No.291 by 風人  2016-06-23 09:19:48 

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』で高原美智は生をまっとうしたと思う。
『螺鈿迷宮』のエピローグからと考えても短く長く太く生きたのではないかと思う。
田口先生が忙しい合間も週三回は話を聞きに来てたのも労力ではあるけど美智にしたら救いや癒し、過去の邂逅の時だったかもしれない。
不定愁訴外来(愚痴外来)には決まった薬や処置はない。
田口先生によると極楽病棟にいる看護師たちがいちばん労力したと思うけど。
薬や毎日の処置が効かずあるのは日々を生きる生命力だけ。
桜宮巌雄先生でさえタメ口を聞く患者。
高原美智さんは死ぬことを求めず生に生きたのは正しい姿だったと言える。
極楽病棟で彼女の世話をした看護師たちも物語では明確にされなかったけど報われた点もあると思う。
田口先生が記したカルテがその一端と思われる。

  • No.292 by 風人  2016-06-23 13:02:44 

医療施設も税金で作られてる背景はある。
いまウチの地元の医療センターを通ると新施設らしい建造物を組み立ててる途中みたい。
『イノセント・ゲリラの祝祭』から『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』あたりまで東城医大は新施設をつくろうとしてたけど『アリアドネの弾丸』の事件が響いたのか中止になったんだろうか?
医療もいい意味で税金をいい方向に使ってもらいたいもの。

  • No.293 by 風人  2016-06-24 08:52:17 

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』でもし東城医大が潰されてたら斑鳩・南雲主導で新たな病院や施設をつくるつもりだったんだろうか。
Ai主導ではなく解剖医主導という形で。
もし仮にそうだとしても東城医大にいる医者や看護師、患者、医学生などがあふれることになる。
当然、新たな施設をつくるにしても三年や五年はかかるだろうし。
その間、患者や医学生などはいくところがなくなる。
『極北ラプソディ』で破綻した極北市民病院のように入院患者さえいなくなる病院のようになる。

もしも地元に大学病院や医療施設がなくなったら患者も医学生は行き場を失う。
斑鳩や南雲はAi主導が気にくわない、また小百合は東城医大が憎いにしても第三者の市民たちを考えてないのではないだろうか?
現実に置き換えたらとてつもなく大変な事態ではないだろうか。

  • No.294 by 風人  2016-08-07 15:21:41 

『ナニワ・モンスター』ようやく読めたけど町の診療所、浪速の検察、浪速の村雨府知事と三部構成になってる。
外国からの未知のウィルスを空港で水際防御してもウィルスはいつの間にか侵入してる恐怖。
またウィルス早期発見キットも全国に均等に配分されてるわけでもなく偏った配分されてるところにもお役所の仕事が見える。
二部の主人公の鎌形さんはいままでにないタイプの感じした。
自身も役人なのに堂々と霞ヶ関にガサ入れして切り込んでゆく。白鳥さんとはまた別なタイプとおもう。
けど相変わらず斑鳩室長、この人物はどの作品に出ても存在感が異質なのは変わらない。『弾丸』で北山、宇佐見警視を犠牲にしても平然としている。
三部においての村雨府知事は全盛期の橋下徹を彷彿させる。
『極北ラプソディ』でほのめかされた日本三分計画も明らかになる。
彦根くんの行動の謎もいくぶん明らかになってすっきりした。
『ナニワ・モンスター』のあとがきで舎人町の大河内が『白い巨塔』の大河内なる人物のオマージュではないかというのあったけど真相はどうなんでしょう。

  • No.295 by 風人  2016-08-07 17:20:53 

『ナニワ・モンスター』を読むと浪速にウィルスが侵攻したのは浪速を経済的孤立させるための中央からの攻撃だったとも読み取れる節がある。
ウィルスを媒介させることで他県から人を呼び寄せないようにして観光地など疲弊させてゆく。
そうさせること地方政治や地方経済に打撃を与える。
『ナニワ・モンスター』はそんな一面も持つ作品と言えなくもない。
中央と地方の戦争にウィルスが使われる(かもしれないニュアンス)。
『桜宮サーガ』は医療と司法の戦いでもある。

  • No.296 by 風人  2016-08-08 05:53:43 

『桜宮サーガ』シリーズを読むと医療を通して社会のいろいろな側面が見えてくる。
もちろんフィクションもあるけど(苦笑)。
海堂尊先生はいろいろな視点を据えて書いてるから角度が変われば思考や思想、価値観など変わってくる。いちがいにどれが正しいかは言えない。
おそらく斑鳩室長にも彼なりの正しい視点や正義があるはず。だけど底が見えない人物として書かれてる節がある。
医者、看護師、厚労省官僚、事務方、患者、患者や遺族の家族、警察関係者など数を挙げたらきりがない。
無数の人生が『桜宮サーガ』には書かれてる。
たとえば『伝説』の短編で三船事務長は厚労省からの事務方として書かれ速水先生にいいように振り回されてる人物だけど彼とてひとの子。ひとりの人間として書かれている。奥さんや子どもがいるひとりの人間。
ただでさえ赤字続きの救命救急病棟に予算が出せなくなおかつそこにドクターヘリ配備などは無理なのはあたりまえ。
役人として杓子定規の一面あれば旦那さんや父親としての姿を垣間見せる。
東城医大で事務方として高階病院長に理解を求めながらもなかなか思うようにいかない。
そんななか自分の奥さんが事故に遭うなか速水先生たち救命救急のスタッフの真の姿を見て少しずつ考えが変わり医療従事者でない自分が奥さんを含めた救急患者にできることを最大限にする。
物語は怪我を治療し終えた奥さんと共にタクシーに揺られながら病院や医者について会話しながら終わる。

  • No.297 by 風人  2016-08-10 07:17:20 

天馬大吉くん視点の『螺鈿迷宮』や『輝天炎上』だと海堂尊先生は若き日を思い出し自らの経験からか学生ぽい感覚が表現にあらわれてる。
田口先生や白鳥さんだとちょっと歳いった中年感覚とはまたちがう。
田口先生たちも天馬くんも麻雀というのがひとつの共通点になってる。
『螺鈿迷宮』では賭け麻雀しながらダメ学生として書かれ、『輝天炎上』では優等生で美人の冷泉深雪が麻雀をしてるひとの感想にあれこれ内心ツッコミしたりモラトリアムは卒業したようだけど大人になりかけながら同世代の女性に翻弄される姿はかわいらしいもの。
『伝説』での海堂尊先生の半生や経歴が記されてるけど必ずしもまじめでなかったり挫折あったりと悩んでたよう。
『螺鈿迷宮』の構想は執筆か発刊かわかりませんが10年前にはあったようだし。
どの登場人物も海堂先生の“分身”に思える。

  • No.298 by 風人  2016-09-05 08:53:21 

『玉村警部補の災難』、ようやく手にいれたけど短編集だけど従来の医療従事者目線ではなく加納警視正と玉村警部補の警察モノに医療関係が加わる形になってる。
加納警視正の無理やりな捜査に田口先生が捜査にやむなく協力する。
少し斑鳩室長と加納警視正の関係も書かれている。
けど、作品内でネットゲームが話題に出ている。
しかも玉村警部補、しっかりゲームにハマッている。けど独身かと思ったら妻子はいるみたい。
妻子が田舎に帰っている間、有給休暇をとってネットゲームをやろうとしたら加納警視正につかまる。
だけど加納警視正も捜査の間に関係のない時間ならやってもいいと意外にまるくなってる。
『東京都二十三区内外殺人事件』は警察の管轄や所轄で死体の扱いが異なるというお話。
解剖至上もあり監察医の仕事の問題点などに別な形に書かれてある。
『青空迷宮』でテレビ番組の収録に起きた殺人事件を加納警視正と玉村警部補が飛び込む。そこにおなじみデジタル・ムービーアナリシスと今回はグーグルアースが絡む。
あとの二つもまた医療が絡む。
田口先生と玉村警部補の苦労がいつになったら終わるのか共感と同情を感じずにいられない。

  • No.299 by 風人  2016-09-10 09:18:31 

『ナニワ・モンスター』この本もまた読みごたえあった作品。
市井の町医者から物語が始まり、医者徳衛先生とその息子がインフルエンザウィルス「キャメル」が海外に渡航歴がない患者が発症したことに治療と疑問を持つ町
またキャメルを見分ける発症キットがなぜ浪速以外にもまばらな地域に配布されたという疑問にあたる。
第二部になると物語は検察に舞台を移すという一見、医療とは無関係にありながら実は医療と深い結びつきがあるという。
浪速検察から中央、国の在り方そして斑鳩室長が各省庁の負い目やスキャンダルを握る闇の一面。
白鳥さんと同期の八神課長はここで煮え湯を呑まされる。
霞ヶ関内部をフィクションの物語ならではでえぐった描写をしている。
二部の主人公で鎌形さん、カマイタチの異名がありながらこの人物もまた彦根先生と縁ある人物。
このことも含めて『ナニワ・モンスター』のラストが意味深いものになる。
三部は村雨弘殼府知事っ彦根先生を主人公に据えながら解剖率100パーセントという舎人町(とねりまち)から医療裁判がゼロという町の種明かし。
おそらく社会問題としての医療をどうしたら解決できるかという見本を提示してゆく。
そして『極北ラプソディ』などいくつかの物語で語られた日本三分計画が明らかになる。
各地域各地方のGDPをもってすれば東京や関東に匹敵する事実。
彦根先生は関東、西日本連合、東日本連合に分けるという壮大な計画。道州制よりさらにおすすめた計画といえる。
だけど、村雨弘殼府知事はラストに悩む。浪速府にできる死後画像センターを司法か医療に委ねるかで悩む。
斑鳩室長の影を鎌形さんに見てしまう。彦根先生が恐れるくらいの斑鳩室長の影がラストに府知事を悩むところで物語は終わる。

  • No.300 by 風人  2016-09-12 05:40:05 

医療と司法の対決は『田口白鳥シリーズ』でも見られたけど『ナニワ・モンスター』から始まるシリーズはまた別角度からということでしょう。
浪速府を舞台に医療と司法がぶつかり合う。
『ナニワ・モンスター』において怖いのはインフルエンザウィルスを用いての中央(?)から地方への攻撃、そして経済的孤立という一種の戦争であるというシミュレーション的にも読めること。
町医者、検察、そして府知事という異なる三者の視点から物語の角度も異なり切り口もちがう。
町医者徳衛先生はほぼ我々一般人と視点が変わらない市井からの感情や気持ち。
検察、カマイタチ鎌形はややクセがある人物ながら彼なりに独特の思想や信念がある。
そして村雨弘殻府知事、あとがきにも書かれていますが全盛期の頃の橋下徹府知事を彷彿させる。
村雨府知事と出逢いを意図したものにする彦根先生は相変わらずしたたか。
インフルエンザウィルスを用いて経済的孤立を促しなおかつメディアを使い煽りながらインフルエンザウィルス・キャメルが弱毒性というの伝えない中央からのメディア攻撃。
異なる三者の視点で物語で書かれなおかつ中央からの意図が見え隠れする姑息な方法。
いちおう物語は完結するけど少し余韻を残す。
『ナニワ・モンスター』は仮想シミュレーションとしての意味もあると思う。

  • No.301 by 風人  2016-09-12 08:58:14 

医療裁判がゼロという『ナニワ・モンスター』の舎人町(とねりまち)。
だけど医療がお金を生む仕事なのもまた実情と思う。
厚労省の天下り団体しかり(『極北クレイマー)、現実において医療裁判を生業としてる検事や弁護士などもいるでしょう。
医療はボランティアではないにせよ、善意と思ってしまい傲ってしまう市民もまたいる。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むと医療の在り方や見方は変わる。
昭和と平成のふたつの時代でも医療は目まぐるしく変わる。
『チーム・バチスタの栄光』にあったとおもうけど教授になれたのに身に覚えのない前時代的からあった負債やマイナス面をいまいる教授たちが背負うという不遇な在り方。
各々の作品で書かれていることの共通点に医療の世界が閉鎖的なのも一因してるとおもう。
論文ありきで経験を実地で積めないのもあり、また教授になっても閉鎖的な環境や人手不足などがあり遅々として進まず権力があるように見えながら実体はさほどない。
『イノセント・ゲリラの祝祭』の西郷教授みたいにあえて競争率の割合が少ないところで教授になろうとする者もいるでしょう。
だけど、小児科医療の不備や大学そのもの移転など大学がない地域地方は過疎になるだけ。
仮に出世したり教授になれたとしても生徒がついていかないと根本的な意味は成さない。
医大の存在ひとつを取っても地域や地方にとっては死活問題。
『ナイチンゲールの沈黙』の小児科医療の在り方、『極北シリーズ』における医大を手放してしまった市、『ナニワ・モンスター』で大学を手放さない地方自治、それぞれ異なる問題に一見みえるけど実は未来を次世代への提議と未来への在り方。
それぞれを読むとすべての面では重ならないけど、重なっている点はある。

  • No.302 by 風人  2016-09-12 18:15:54 

『極北クレイマー』『極北ラプソディ』で大学を手放してしまった極北市、対して『輝天炎上』『ナニワ・モンスター』で書かれている浪速府。
大学が地元にあるとないとでは人の流れがちがうという現状。
大学がないと人材が企業に流れないというのもある長いものの見方をしたら定住者確保にもなる。
極北市は誤った判断をして浪速府は頑として大学を手放さないという姿勢。こういう一見、些細なことで地方自治の首長の姿勢如何によるということ。

  • No.303 by 風人  2016-09-13 03:45:36 

高階病院長は腹黒で部下に仕事を丸投げすることもあるけどちゃんと足元を見ながら未来への水平線を見てたと思う。
『ブラックペアン1988』で患者の体内にペアンを残したことを病院長になってからもずっと胸に残っていたのは悔恨の意志があったからでしょう。
どういう因縁か私がたぶん未読なところに天城雪彦なる人物との因縁。
病院長として大学病院のトップではあるけどそれを理解してくれるのはたぶんに藤原真琴看護師、黒崎教授くらいのかつての若き日を共に過ごした同僚でしょう。
だけど、佐伯前病院長は去り渡海先生も去って世良先生も東城医大から姿を消した。
彼らが去ったことで得るものより失ったものが大きかったかもしれない。
失ったものが大きいぶん次代を田口先生、島津先生そして速水先生たちに託している部分もあったでしょう。

  • No.304 by 風人  2016-09-22 05:32:45 

『ブレイズメス1990』をようやく読めた。
謎の人物天城雪彦、彼に関わるマリッツア。
『輝天炎上』への因縁が紡がれてゆくのわかる。
天城雪彦が登場するだけで作品の雰囲気が変わる。まるで『ルパン三世』みたい。
けど『ブレイズメス1990』ではやや高階先生が失速された感じ。
そこは少し残念な感じ。

  • No.305 by 風人  2016-09-22 06:19:33 

『ブレイズメス1990』はある意味、おすすめな一冊。
『桜宮サーガ』の主な因縁が紡がれてゆくはじまりと思える。
天城雪彦の人物が強烈。
この一語に尽きるかないまのところ。
世良先生が『極北ラプソディ』の回想でなぜ“ジュノ”と誰かに呼ばれているかやっとわかった。

  • No.306 by 風人  2016-09-22 09:05:15 

佐伯病院長は渡海先生にも高階先生にもそして天城雪彦先生にも何かを託したい思いはあったんでしょう。
だけど、何かしら理想を誰かが何かが阻む。
『ブラックペアン1988』『ブレイズメス1990』このふたつの物語だけでもかなり鮮烈な印象。
世良先生がまだまだぺーぺーの若手なのがこれもまた新鮮。
『ブレイズメス1990』の冒頭から外国の学会への描写が『ルパン三世』みたい。
読んでていまままでの作品と雰囲気が異なる。

  • No.307 by 風人  2016-09-22 19:11:02 

『ブレイズメス1999』の天城先生のハーレー、『極北ラプソディ』の世良先生のハーレーはおそらく同じものなんでしょう。
世良先生は『ブラックペアン1988』から渡海先生から教わったこと、『ブレイズメス1999』で天城先生から多くのことを教わり悩んでいる。スリジエセンターの成否が天城先生や世良先生の運命を左右したんでしょうね。
なぜ世良先生が医療債権請負人となったのか『ブレイズメス1999』の次で語られてると思う。

  • No.308 by 風人  2016-09-23 05:13:02 

碧翠院桜宮病院に悪意を感じる者もいれば感じない者もいる。
過去、現在を通じて同じ存在を見てもそれぞれ違う感じ方をしている者たち。
だけど、天城雪彦が東城医大に在籍していた頃は佐伯清剛病院長と桜宮巌雄病院長は通じ合っていたようにも思える。それがたぶん事実。
だけど、時代が変わり東城医大は高階病院長の代になりあのバチスタ・スキャンダルで経営難を余儀なくされる。
それがきっかけで『螺鈿迷宮』につながる。

  • No.309 by 風人  2016-09-24 05:29:53 

『ブレイズメス1990』の一章と二章の舞台はフランスそして世界に二番目に小さい国のモナコ公国。
このくだりを読んでるだけで気分は『ルパン三世』。
三章からは従来通りの海堂作品の様相ながら天城雪彦、この人物は高階先生たち東城医大の先生や講師らに一石を投じ波紋を呼ぶ。
読んでいくと生前の桜宮葵がよもや出てくるとは思わなかったけどバブル三部作は過去にあたるから出てきてもふしぎはないけど驚いた。

  • No.310 by 風人  2016-09-24 07:04:45 

『ブレイズメス1990』と『極北ラプソディ』の世良先生はまるで別人。年月が人を変えた表現があてはまるかもしれないけど『ブレイズメス』の頃は血気さかんで手術したがりなのに『極北ラプソディ』では年配の患者さんの他愛ない世間話に飽きるまで付き合っている。
登場人物の変化や成長というのも『桜宮サーガ』のひとつの楽しみではある。
『極北ラプソディ』の後半で天城雪彦とさくら、スリジエハートセンターについて世良先生はわずかに語るのみ。
『ブレイズメス1990』で天城雪彦の人となりはわかったけどまだ謎は残るのが気がかり。

  • No.311 by 風人  2016-09-28 05:34:23 

『ブレイズメス1990』での差益清剛病院長を見ると、大学病院内に天城雪彦という存在を入れることであえて火中の栗を手にしようとしている感じもある。
世良先生は黒崎助教授、垣谷先生、高階先生が未来の東城医大を担う医師たちとわかっている。だけど、世良先生は今作では天城雪彦のお目付け役でもあるという。
天城雪彦にとってギャンブルとお金はある種の美徳のようでもある。ギャンブルのない日本に魅力を感じないのも納得はする。
ギャンブルとカジノ構想、これは『ナニワ・モンスター』でもちらりと触れらている。
秘書時代の村雨弘殻府知事、この人物もまた少なからず天城雪彦に影響を受けている。

  • No.312 by 風人  2016-09-28 06:11:02 

『桜宮サーガ』のなかで不気味な人物は斑鳩芳正でしょう。
読んでてもただ不気味な印象しかない。
斑鳩室長が守りたいのは司法主導の医療ということでしょうか。『弾丸』で彼がラストに白鳥さんを糾弾するのは司法の担い手でもあるからだろうと思う。
だけど、明確な背景は語られていない雰囲気。『ナニワ・モンスター』ではカマイタチ鎌形さんとも親交ある。それにより鎌形さんから村雨府知事に死後画像センターに計らいをしてほしいと伝える。
明確な背景は見えないけど彼なりに司法としての正義はあるのかもしれない。

  • No.313 by 風人  2016-09-30 09:05:49 

若き日の世良先生と『田口白鳥シリーズ』の田口先生もまた対照的に書かれている。
世良先生は佐伯病院長に忠誠心あり気概にあふれる若者、対して田口先生は大学病院の隅っこで細々と不定愁訴外来をしながら幾多の難題や事件に関わるうちに内面に、大学病院にある一定の親しみや愛着があることに気がつく。やめてやろう、と思いながらも物語のなかではしっかりと知らずに守っていたことに気づく。
バブル三部作の世良先生、『田口白鳥シリーズ』の田口先生は互いに描かれ方は異なるものの気持ちは同じように重なる。
そのなかには失意や悔やみもあると思うけど。
『極北ラプソディ』で大人になった世良先生は『田口白鳥シリーズ』の東城医大をどう眺めているのか。高階病院長を憎い気持ちがあるのか。
渡海先生や速水先生にはある種の思いはあるでしょう。
てっきり『極北クレイマー』のラストに世良先生が登場した時は佐伯前病院長か渡海先生を探しているかと思ったら、実は安住の地を求めていたのはほっとしないでもなかった。
『ブレイズメス1990』に名前だけ出てくる富士見市の病院、『極北ラプソディ』の神威島これはおそらく田舎や離島だから病院でやるやれることはそう多くないんでしょう。
検診や検査を毎日することで患者さんの病気を見逃さないようにして目に見えて悪ければ都会や本土の病院で治療し連携する。
富士見市の病院も舞台に書いてほしいです。

  • No.314 by 風人  2016-10-01 05:36:41 

『ブレイズメス1990』の高階先生は患者のことを第一に考えるために結果的には医学教室が分脈しまたルールに縛られてしまった。
そういう意味では帝華大の阿修羅はむしろ凡庸な医師になってしまった。
佐伯病院長はそれを危惧した可能性もある。
天城雪彦が作品内で語っている通り医療にはお金は必要。
天城雪彦は作品内でスピードが誰よりも速いかもしれない。
型にはまってしまった高階先生では敵わないのもある。
現実に置き換えたら多くの医師たちは思考停止した現状だから結果的には未来が先細る、これは『桜宮サーガ』内でも論文ありきなことでも語られている。
だけど『田口白鳥シリーズ』では病院長となった高階先生は挫折を胸に秘めながらも田口先生をリスクマネジメント委員会に指名しAiセンター長に任命し厚労省の坂田局長や白鳥さん姫宮さんに力を借りている。
形はちがえと医療のためにお金を求めていることはかわりない。
Aiセンターにかけた思いはかつてスリジエハートセンターという“さくらの樹”の苗を潰した後悔からでしょう。

  • No.315 by 風人  2016-10-01 06:08:28 

医療の未来が先細るのは『田口白鳥シリーズ』のオレンジ病棟の経済破綻、『極北シリーズ』の極北市民病院、『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』のマリアクリニックと作品内で書かれている。
どれも経済的に経営がたち行かなくなる。
天城雪彦が『ブレイズメス1990』で出した問題提議は後々、各作品内で問われている。
『極北ラプソディ』で世良先生が徹底的に無駄をなくしてゆくのは天城先生の理念を受け継いだから。医療債権請負人として。
世良先生の変わりようがそしたらある程度は納得できる。天城先生みたいな手術は世良先生はできないだろうけど医療債権請負人として病院や地域への治療をできると考えたのではないだろうか。
おそらくスリジエハートセンターが高階先生たちによって潰され失意だった世良先生は何らかの経緯で神威島にたどり着いた。そしてそこで救われた。
そして医療債権請負人として全国を渡り歩いた。
だけどうまくいくわけもなく常に前へ前へ前に向きすぎるあまりなにか大切なものを失った。
だけど、花房さんはずっと待っていた。いつかは自分のもとに戻ってくるのではと彼女は信じてたのはないでしょうか。
東城医大の血脈の内には天城先生や世良先生の理念や信念を受け継ぐ速水先生やオレンジ病棟のスタッフがいる。
絶望しないでほしいと心の内で花房さんは世良先生に願ってたんじゃないでしょうか。
女心ならたぶんそうだと思いたい。

  • No.316 by 風人  2016-10-02 06:02:13 

高階病院長へのお金の集め方は坂田局長や厚労省に協力を求めにいくこと。
天城雪彦みたいにフランス王族マリッツアの協力や企業の著名な人物が自分に手術を求めてくるわけではないから厚労省に協力を求めるのは当然なやり方に思える。
天城雪彦みたいな人物は現実にはなかなかいないと思える。
医療従事者が製薬会社と癒着みたいな関係なのは『ブラックペアン1998』や『凱旋』でも触れらている。
だけどそれは昭和時代やその名残りくらいでしょう、たぶん。いまの時代は厳しいから。
医療がお金を求めない結果が先細りになり患者に医療負担を強いているという暗示もあるかもしれない。

  • No.317 by 風人  2016-10-02 08:51:11 

垣谷先生は人間としても医師としても真面目と思う。『バチスタ』では白鳥さんにやられましたけど、ある意味こういう人物がいないとルールや規則を病院内で逸脱してしまう。
杓子定規ではあるけど、ある一定の線を引くことで病院の規律が保たれる一面があると思う。
『ブレイズメス』でもそこはかとなくそんな役割の人物と思う。ちょっと空気になってしまい活躍の場面が少ないけど。

  • No.318 by 風人  2016-10-03 10:27:21 

『ナニワ・モンスター』はインフルエンザウィルスによる経済封鎖による戦争シミュレーションですね。
町医者、検察官、府知事と異なる立場の人物たちがそれぞれの立場や観点から疑問を持ったり中央に戦いを挑んだり。
徳衛先生は一介の町医者だからたいした力はなくても保健所などには文句を言うことはできる。患者や町を救うため。
さりげなく息子の祥一くんが大学病院や会社に顔が利く人脈を築いているのも助けになる。
検察の鎌形雅史は中央に戦いを挑んで日本を綺麗にしてゆく。村雨府知事と人脈ができることで物語が動く。
村雨府知事もまたフィクサー、彦根先生に操られながら(?)自分の望む浪速や日本にしてゆく気概がある。
中盤に検察の視点が入ることで中央の闇が見えて『田口白鳥シリーズ』の接点が白鳥さんや八神課長から見える。
三部目で村雨府知事の視点をしながら医療に足りないものが露になりながら改革をしてる地もある。だけど彦根先生にとっては再生と破滅は同義語かもしれないと示唆される。
そして彦根先生と村雨府知事は因縁の地の桜宮で互いに邂逅しながら彦根先生にとって最大の強敵、斑鳩芳正とすれちがう。ここで『弾丸』や『肖像』へと繋がる。
村雨府知事は『ブレイズメス1990』での場面に繋がる。
最後は浪速府は彦根先生の戦略と村雨府知事の会見で浪速府は経済封鎖から救われる。
『ナニワ・モンスター』は町医者の視点から検察、そして府知事へと視点が変わりながら物語を浮き彫りにさせそこにあるのがインフルエンザウィルスによる戦争(シミュレーション)というのが伝わる面白さがある。

  • No.319 by 風人  2016-10-04 17:33:31 

彦根先生はある意味『桜宮サーガ』の主要人物のひとりではあるけど、反面東城医大の麻雀四天王のなかではある意味幼さを残している人物でもある。
『イノセント・ゲリラの祝祭』『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』の活躍においては時に脇役、時に主役となり厚労省もしくは霞ヶ関に反旗を翻すように医療庁を提唱する。
だけど、これは白鳥さんとの茶番であくまで“言いましたよ”くらいの寸止めないしブレーキがかかり『祝祭』は幕を閉じる。
でも、霞ヶ関の面々からは警戒されることになる。
『弾丸』においては桜宮Aiセンターの旗揚げに協力はしながら桧山シオン先生を白鳥さんと田口先生に紹介し東城医大の危機に力を貸す。
『肖像』においては斑鳩室長と桜宮小百合の手により桜宮Aiセンター破壊という苦渋を飲まされるが、これが『ナニワ・モンスター』の続編へと繋がるらしい。
彦根先生は敵も作るし味方も作る。虚実なことは表裏一体、再生と破壊はほぼ彼には同義語。
だけど、彦根先生自体がおそらくおもてに出る“英雄型”ではなく“黒幕型”と思われる。
だけど『祝祭』や『肖像』のようにおもてに出る時はちゃんと出る。
けっして誰かの背中に隠れるだけの行動行為はしないしある程度の筋は通す、真っ直ぐさはある人物。

  • No.320 by 風人  2016-10-05 04:33:59 

彦根先生は先輩の田口先生であろうが府知事の村雨弘殻であろうが、何らかの形で操ることに長けている。
だけど先にも書いたけど“黒幕型”ではあるけどおもてに立たないタイプではない。
人物の趣向としてはまわりの人物からは誤解を招き漁夫の利を得て先をいくタイプではあるけど、ひとより先の道を進めばそれがまた危険なことを理解はしているようにも思われる。
ひとより先の道を歩けばそこに危険や困難があることをそれとなく自覚や示唆もされている。
だからかもしれないけど、警察庁の斑鳩室長はマークし浪速府検察庁のカマイタチ鎌形さんも過去に一度は面識はあるよう。この辺の彦根先生への霞ヶ関の警戒のしかたがややふつうではないと思う。
白鳥さんは『輝天炎上』では冗談めいて彦根先生が国家転覆をたくらむ反乱分子云々と言ってたと思うけど、警察庁と検察庁のキレる人物がふたりもマークしてることから彦根先生が只者ではないのが伝わる。

  • No.321 by 風人  2016-10-05 12:43:35 

『ブレイズメス1990』と『極北ラプソディ』の世良先生の違いが凄い。
年月はひとを変えるというが、『ブレイズメス』の頃はまっすぐかつ血気盛ん手術したがり。だけど医者であることの意味を何かしら掴みとろうと悩む姿が実にいい。
『極北ラプソディ』では手術にほとんど触れることなくラストのクライマックスで今中先生を補助する時だけ。
反面、今中先生や他の事務員が勝手に院内のことをマスコミにしゃべらないよう釘を刺したりちゃんとお金を支払う患者さんの不定愁訴(愚痴)に長々とつきあったり黒字にするために節約やできることをしたりまるで別人。
『極北シリーズ』は今中先生を通して語られる物語だから。
今中先生の立場からしたら世良先生に市民病院が本当につぶされるかもと懸念したり自分や市民病院はどうなるのかある程度、先を考えないとならない。
『ラプソディ』で救命救急センターでの経験は何かしら考えること医者であることの意味を桃倉センター長や速水先生たちから悟らせられるともいえる。
『極北ラプソディ』では問題が解決しないまま物語が終わる、というのが逆に印象的。
問題は解決しないけど世良先生、花房さん、速水先生の関係に決着がつく終焉。
世良先生は神威島での経験も興味あるところ。『ラプソディ』内では語られるだけで詳細はちょっとぼかされてる。
世良先生の背景に花房さんをはじめ高階先生天城先生垣谷先生らがみえるようになる。

  • No.322 by 風人  2016-10-06 08:05:09 

田口先生の若い頃は『田口白鳥シリーズ』などの回想や邂逅などの場面や『ブラックペアン1988』で少しだけ出てくる。
だけど白鳥さんの若い頃については全体を通してもさほど語られていない。もちろんある程度、物語を通しての台詞や場面はわずかにはある。
映画『ケルベロスの肖像』では高階病院長に代わりブラックペアンを残した術者として桜宮小百合につるし上げはされる。
これを踏まえたとしても白鳥さんがいつ官僚になろうと思い決断したかは大部分は謎。
東城医大にAiセンターをつくろうとしたきっかけは彼も何かしら天城雪彦先生のスリジエハートセンターの失敗や挫折を直接ないし間接的に知ってたみたいに思える。

  • No.323 by 風人  2016-10-07 05:01:01 

選択肢が増えるのは良き可能性と悪い可能性も同時に秘めている。
天城雪彦は『ブレイズメス1990』では当初は頑なに日本行きを拒む。自分にとって不本意な選択をすることもあるからと世良先生に言う。
やや達観した視点を持っているのも天城雪彦の特徴のひとつ。
バブル三部作は近くて遠くにある未来の水平線とより近くて現実にある足下のふたつを描く視点がある。足下さえ見てない人間が未来を語る資質や資格がないと読者がいる“現実”に警鐘として伝える趣旨もあるかのように……。
『桜宮サーガ』の世界でもバブル時代は遠い出来事ではあるかもしれないけど『田口白鳥シリーズ』を含めた他シリーズにも何らかの影響は伝わっている。
高階病院長、藤原看護師、黒崎教授、世良先生たちは少なくともその時代を生きたから何かしら田口先生や今中先生に伝えたいものがあるのかもしれない。
黒崎教授の『凱旋』での速水先生への葛藤、本心の打ち明け、『弾丸』のコメディリリーフな役割などは80年代後半から90年代前半などいまのドラマにも通じる二枚目半(もしくは三枚目?)的なリアクションはそういう時代を彷彿させなくもない。
当初、黒崎教授は悪役かなとも思ったけど“必要悪”の側面を持つ対立軸を院内に持たせる人物でもあった。高階病院長や速水先生への複雑な思いや確執はあるだろうけど必要以上には悪役には徹しない潔さが黒崎教授にはある。
それもまた内に秘めた格好よさであり愛される人物。

  • No.324 by 風人  2016-10-07 06:28:00 

『ブレイズメス1900』では明らかに目を引くのは天城雪彦だけど、それとは対照的なのが薩摩大から東城医大へやってくる駒井という人物。
どう見ても医者よりは観光ガイドに向いている(笑)。
はじめは赴任したばかりの天城雪彦に反発を当然のように持ちながら調子のよさはあれど空気が読めない人物なのは読むたびに可愛らしくもある。
はじめのうちは調子はいいんだけどところどころで空回りしてしまう。
『桜宮サーガ』では田口先生は空気を読む人物、白鳥さんや彦根先生は雰囲気や空気をわざと破壊して進むタイプ。正確には相手や敵への牽制もあるからいちがいにすべてが悪意ではないとフォローする。
だけど、駒井という人物は本当に空気が読めない人物なのは気の毒。医学以外にもそれなりに知識が豊富なのが実にもったいなく笑いを誘う。
必ずしも『桜宮サーガ』の世界の登場人物は才能や人物評価などは比例しなくデフォルメされる。
黒崎教授などは二枚目半もしくは三枚目に書かれながら東城医大にとっては必要不可欠な悪役でありコメディリリーフ。
駒井もまたそこに通じる人物。
調子がいいのと知識が豊富なのは長所だけどおそらくそれが彼の半生のなかでは生きていない(苦笑)。

  • No.325 by 風人  2016-10-07 17:50:02 

本当にスリジエハートセンター創設は医療から“こころ”を奪う存在なのか。
『ブレイズメス』だけではわかりにくい。
だけど、天城雪彦先生の言葉には嘘偽りもまたない。
医療がカネ稼ぎや経済を優先することがいけないのか、というのもひとつのテーマになっているし後々の作品にもつながっているところ。
『田口白鳥シリーズ』ではオレンジ病棟が破綻、『極北シリーズ』で極北市民病院が一度は経営破綻し世良先生が医療債権請負人として経費を削れるところは可能な限り削り黒字を出しているも報われない。
『極北ラプソディ』の世良先生のやり方は全然ちがうように見えながらもどこか天城雪彦先生の経営理念に近く似てるところもないわけではない。
多少は“こころ”を世良先生が自覚しないままどこかで忘れていたようでもある。
まだまだどちらにせよ『桜宮サーガ』は欠けたパズルのピースがある。

  • No.326 by 風人  2016-10-08 08:52:31 

『ブレイズメス1990』で公開手術を行った天城雪彦先生だけど、見方を変えたらいまの時代のカメラやモニター技術、通信技術の発達で遠方からでも手術が行えたり指示ができたりあるいはある程度、患者や患者の家族も見ることできる。
『ブレイズメス』の公開手術はその走りとも言えなくもない側面もある。
“サーカス”という表現は思考の余地はあるだろうけど、患者や患者の家族にしたら手術の経過を知りたいのもある。
天城雪彦先生の公開手術は医療のひとつの透明化とも考えられる。
だけど、まだまだ時代が許さなかった一面がある。
天城雪彦が戦わなければならないの旧態然とした医療体制はもとよりもっと奥にある社会背景でもあるのだろうか。
深読みしすぎだろうか。

  • No.327 by 風人  2016-10-09 07:08:48 

『桜宮サーガ』内で不定愁訴外来はそれなりに有名なよう。
医療裁判をなくすには患者の不満をなくすことが大切なことと言える。
ちょっとした不満やささやかな誤解から医療裁判が生まれることもあるから。
『ナニワ・モンスター』の舎人町(とねりまち)では医療裁判はゼロという。
町の人たちの身体をつねに診療所が診て気遣う配慮がなされている。
解剖率も当初は100%と謳いながらも現実は80%になりながらも高い数字を保っている。
これらは彦根先生が大河内先生に提唱し実現し得たことのひとつ。
だけど彦根先生がやろうとしていることは創造と再生は表裏。
『ナニワ・モンスター』のラストも村雨府知事が“なにかをやろうとすればいつもひとりだ”みたいな邂逅に似る。
彦根先生と村雨府知事の進むベクトルは似てるようで違い最終的には交わらないとも示唆されている。
司法と医療の分離は海堂尊先生が架空の『桜宮サーガ』世界を通じて目指すところのひとつ。
医療庁は霞ヶ関ではなく浪速府にと彦根先生は願っている。
すでにその医療庁旗揚げへの資料は彦根先生と村雨府知事の手元にある。
彦根先生は局長の逮捕ではなく厚労省が持つ資料にあったという。
これらがいろいろな布石にまたなっているんだろう。

  • No.328 by 風人  2016-10-09 12:05:15 

今朝の報道2001で都心のドクターヘリが話題になってたけど明らかに病院の立地条件がヘリの発着には向かない。
『極北ラプソディ』でドクターヘリの活躍が事細かに書かれてたけど臨時にスーパーの駐車場を使うことも書かれてた。
だけどヘリ全般の弱点は送電線と書かれていた。
だけど役所の人間にはわからないんでしょうか。
市街地から少し外れたところにドクターヘリ発着の救命救急センターに必然的に都会はなると思う。私の地元でもドクターヘリがある医療センターは中心部から外れた少し郊外にある。
最近の東京は豊洲移転も含めて病院やドクターヘリなどいろいろ巻き込んでいる雰囲気。

  • No.329 by 風人  2016-10-10 05:15:20 

『桜宮サーガ』の物語の中心は桜宮、北海道は極北市や雪見市、関西は浪速府、東北は『ナニワ・モンスター』で少し舞台になっている。
名称においてのみだけど東北大、薩摩大が出てきている。
だけど、なぜか四国だけは玉村警部補や加納警視正の間でお遍路が話題になるけど警察捜査の手さえおよばないよう。
桜宮や東城医大、碧翠院および碧翠院跡地などと同様に四国に何かしら結界があるようにも書かれている。
『玉村警部補の災難』に収録されている「エナメルの証言」は四国がラスト舞台になりそうなところで終わりを迎えまんまと犯人の一味は逃げおおせる。
加納警視正が強権発動してたらおそらく四国が舞台になったか数行とはいえ事件解決の顛末がまたあったでしょう(苦笑)。

  • No.330 by 風人  2016-10-11 05:06:13 

『ナニワ・モンスター』にもそれぞれの人脈から物語の中心である桜宮に収束されるところもある。
冒頭、菊間徳衛先生が息子の祥一先生の助言により診療所に不定愁訴外来を儲けて、二部の検察鎌形さんを主人公に据える物語においては八神課長が桜宮という名前に嫌な思いを思い出すも具体的な内容はなぜか思い出せず斑鳩室長が桜宮で公報室長という立場を兼任しながら赴任。
白鳥さんは彦根先生と連絡が取れないのをぼやきながら国見淳子先生に霞ヶ関の内情とAiについてのレクチャーをしながら桜宮にもAiセンターを立ち上げることを伝えている。
そして三部目において彦根先生、村雨府知事をそれぞれ結びつけたのが天城雪彦先生であるのを示唆している。同時にふたりの前に立ちはだかる斑鳩室長。
“桜宮”がひとつの大きな結界を持っている可能性もあるしそこに人物たちを引き寄せる何かがあるのかもしれない。
田口先生の不定愁訴外来でさえひとつの“結界”と加納警視正は示唆している。
だけど四国だけは特別な結界なのかあるいは別の何かなのかはいまのところ不明。
北海道の南雲監察所も何かの結界だったと考えられる。だけど世良先生、彦根先生の手によって破壊された。
機能していない監察所は彼らからあるいは社会から不要と言わんばかりに。
“結界”の表現が今後どのような意味を持つのか。

  • No.331 by 風人  2016-10-11 07:58:46 

『極北ラプソディ』で世良先生がお金を払わない患者を一見すると見捨てているように見えながらも、なんとか地方行政にお金を捻出する方法を示唆をしているようにもみえる。
これが後々に『ナニワ・モンスター』の日本三分計画にもつながっているのがわかる。
世良先生がお金にこだわる姿勢は天城雪彦先生につながる思想と合致する。
医療債権請負人になった過去はわからないけど経済観念をちゃんと医療に痛みを伴いながらでも浸透させようとしているかもしれない。
世良先生自体も自らがその地域にとっては痛みを伴う存在と自覚はしている。最終的にその地域の病院が潰れる経験をしてきたからでもある。
極北市にちゃんとした医療の経済観念を伝える。そのためには患者であった人間が死んでしまうのはやむを得ないと思いながらも医者としては何かしら他人にはわからない葛藤があると思う。
助けられる命であっても助けられない時や場合もある。
『桜宮サーガシリーズ』はどの立場で読み考えるかで思考や感想はまるで違う一冊になる。
『バチスタの栄光』で氷室先生を変えたのは実験動物として扱われるモルモットたちを醒めた目で彼は見ていたから……。
『沈黙』においては本来なら早めに自首をしておけばことは大事にならずに済んだ可能性を秘めていた。
『凱旋』では速水先生は自らの立場より目の前に毎日いる救急患者。だけど速水先生のあたまには経済観念がない。
これがきっかけで速水先生は雪見市に飛ばされる。
だけど、見方を変えたらこの一件は雪見市救命救急センターには御の字でもある。速水先生が患者を呼ぶ体質で市民から批判されることはなくまた先輩である世良先生の要望にも応える形になってあらわれている。
『凱旋』の一件がなければ速水先生は北海道に来ることはなかった。
まあ現実にこんな都合のいいことは少ないけどそこは架空だから。

  • No.332 by 風人  2016-10-12 12:47:39 

『極北ラプソディ』の冒頭や後半で患者が先生に患者する描写が二度ほどあるけど読むうちになんとなくわかってくる。
お医者さまがいなかったら病気から救ってもらえない。
お年寄りや年配の人たちがお医者さんに感謝する気持ちはあたりまえなことだけどあたりまえなことを切実に受け止める気持ちは大切。
そこにどうしても経済事情や観念があるのは現代社会ではあたりまえなところ。
それが結果的には市民病院の破綻や救命救急の縮小などになってしまう。
『極北シリーズ』は全般的に市民や医者からの日常から医療問題を取り上げ掘り下げていきながら物語が進む。
けっしてハデさはないけど主人公である今中先生を通して伝わる物語。
お医者さまに感謝する気持ちが病院を支えている。
ムダを省きながら病院が安泰になっていけたら理想的だけど現実はむずかしい。

  • No.333 by 風人  2016-10-13 06:27:04 

天城雪彦先生の考え方はおそらくいまの時代でも受け入れはむずかしいと思うけどバブル時代ならなおさらだろう。
だけど登場人物たちに影響はかなり残していると思われる。
高階先生は病院長になりバチスタスキャンダルなど苦難や難題を抱えながらもスリジエハートセンターを何らかの形で潰してしまったことを悔やみながらAiセンターに託す思いがあり厚労省や坂田局長、白鳥さんらに協力を求める姿勢はギャンブルができないしない姿勢の反動や裏返し、あるいは日本的な姿勢ともいえる。
なかなか人間は己の思考や姿勢を変えるのはむずかしい。なら自分なりの方法に落ち着いたかもしれない。
それは世良先生にも同じことがいえるかもしれない。
医療債権請負人として地域地方の病院を立て直そうとしながら失敗挫折を幾度も経験したであろうは『極北ラプソディ』で語られている。
だけど無駄を削ぎおとしちゃんとお金を払う患者には快く対応しお金を払わない患者は拒否する。
医者がボランティアではない、のは『桜宮サーガ』内でも語られている。
世良先生が徹底した姿勢で黒字を出しながらも黒字倒産してしまう可能性もまた示唆している。
市が医療に予算が取れないのもあるせいで。
『極北ラプソディ』で極北市民病院および市が疲弊してるのは描写から伝わる。
市長や市職員が不真面目ではないこともつけ加える。彼らとて自らが招いた事態なのは自覚している。
『極北ラプソディ』は物語内で問題が解決しないまま終わる問題。
他シリーズはある程度、解決したり解決への兆しや希望を示唆する終わり方する。だけど『極北ラプソディ』はそれがない。
むしろ世良先生の長い旅が終わりを告げる物語。

  • No.334 by 風人  2016-10-14 06:04:54 

雪見市救命救急センターには桃倉センター長を中心にふたつの指揮系統がある。
伊達先生を中心とした空飛ぶ指揮系統、そして速水先生を中心とした飛ばない指揮系統。
速水先生はドクターヘリがあれば患者がすぐに自分のもとにやってくるから自分は乗らないという。おそらく東城医大にドクターヘリがもしも導入されてもおなじことを言ったでしょう。
今中先生が雪見市救命救急センターで半月働いてる時に興味深いことがひとつある。
よそ者である速水先生に世良先生のやり方を問う場面。
今中先生は結果的に雪見市救命救急センターに出向したことで自分の立場を見つめなおしまた他病院や他の市の意向などを目にする視野を持てたことで疑問を持てた。
速水先生はぞんざいな接し方やちょっと備品を無駄遣いすることはあっても救急医として優秀。
多少、雪見市救命救急センターでよそ者扱いされてても“将軍(ジェネラル)“は健在。
破綻のない意見を今中先生に伝える。
世良先生ができない事態を考慮し彼ができないのであれば自分がおこなうという。
ただそれだけ。
たんに先輩後輩の間柄でないのを匂わす。『伝説』でほんの少し触れられていた。

  • No.335 by 風人  2016-10-15 04:32:03 

日本ではお金の話題はデリケートというのはむかしもいまもある。
それこそカジノ構想などは猥雑な印象を与える。『ブレイズメス』でも天城先生と高階先生たち東城医大側に経済思想や観念に解離がある。
いまの時代でも天城先生の考えは浸透しにくいと思われる。
バブル三部作は若き日の世良先生を主人公に据えて彼の視点を通して物語が動く。
『田口白鳥シリーズ』の田口先生が消極的なのに対して世良先生は悩みながらも積極的に動くあるいは動かざる得ない。
バブル時代といまの時代のちがいもあるしいろいろな読み方ができる。
高階先生にしたら過去の失敗や悔恨があるからなにかしら田口先生や島津先生、速水先生たちに何かを伝えたい思いがあると思う。
世良先生、田口先生、そして天馬大吉とそれぞれの世代のちがいが読むたびにちがう。
天馬くんが将来、東城医大にとってどんな存在や役割なのかもわからない。

  • No.336 by 風人  2016-10-15 09:55:37 

組織の上に立つ人物は佐伯清剛病院長、高階権太病院長、室町病院長、そして『極北ラプソディ』で病院長の座についた世良雅史。
室町病院長はややコミカルに書かれ人望がない人物ではあったけど今中先生を巧みにあやつることはしてた。
佐伯清剛病院長は東城医大に高階先生や天城雪彦先生という人物を入れることで火種をいれそこに刺激を生みおそらくいまに痛みがあっても未来への改革をなそうとする意志を感じられる。
渡海先生を失った痛みもあるからなおさらかもしれない。
病院長となった高階先生時代の変遷もあるだろうから佐伯前病院長とはまたちがう。
大学病院の片隅にいた田口先生を次期後継者にするという考え、バチスタ・スキャンダルをはじめとした難題や事件を白鳥さんと共にではあるが解決し少しずつ大学病院の在り方や少し先の東城医大についても考えてきている。
高階病院長がいつ田口先生を次期後継者にしようとしたかは謎。
『チーム・バチスタの栄光』のラストで田口先生が試験をすっぽかしながらも卒業をしたことがふたりの間の賃借関係ではあったけど『弾丸』以降はほぼ互いに口に出していない。
島津先生は画像診断に長け速水先生は救命救急手術に長けているが経済観念はなし。
沼田先生は自分のテリトリーからは出ない。
『田口白鳥シリーズ』において論文を書いて実績をおさめている先生は他にもいるだろうけど高階病院長から未来の東城医大、ひいては桜宮の未来をまかせる人材がそんなにはいなかったと考えられる。
田口先生は不定愁訴外来、リスクマネジメント委員会、Aiセンター長などを経験したことで視野や思考は広がっている。
一見、優柔不断にみえながらも決断や行動ができるということ。難題や事件解決時は白鳥さんのサポートはありましたけど。

  • No.337 by 風人  2016-10-16 05:01:08 

『極北ラプソディ』全般の世良先生の発言や行動は一見すると合点がいかないことが多い。
だけどある程度の背景を理解したら納得いく。
東城医大の血脈や過去の背景などを通していったら大方は筋が通っている。
だけど三枝先生への支援については東城医大、極北大、帝華大などライバル関係にある各大学が枠を越えて(?)連携をしているように思われる。
この辺りはまた謎。
三枝先生の一件は他作品では司法の暴走などみたいに揶揄されまた失敗に終わるみたいなことからも何らかの形で解決へ道筋がたどったと思われる。

  • No.338 by 風人  2016-10-17 05:13:13 

バブル三部作で分化してしまった教室が後の『田口白鳥シリーズ』での院内勢力分化にもなり各教室の教授の権威にもなったともいえる。
権威はあってもバブルがはじけた時代以降は生徒がつかない教室もいる。
佐伯前病院長から引き継いだ高階病院長はこれらは自らが招いた事態ではあったけどどうしようもできないんでしょう。
リスクマネジメント委員会や沼田先生のエシックスコミュニティなど時代に合わせた組織形態の変化などもある。
大学病院という白い巨塔の内にはいろいろな人々の思惑もあれば権威の低下、医学生の教育など目に見えないいろいろなものが存在する。
地方の医大も人材不足もあってぎりぎりのなかおこなっている。
小児科医療、大学を手放してしまった市あるいは断固として手放さない地元。
小児科医療がないと親は子どもを預けることもできないし大学がないと地元の人間がどんどん他地域他地方にいってしまう人材流出につながる。
一見、つながりがないことが実は地元に直結していることと気づきにくい。
大学病院の教室分化もあれやこれや手を出して分化してしまえば特化的な教育になるかもしれないけど結局、現場では関係ないことのようでありながら実は関係あることを再び実地で学ばないとならないことになる。
医療の世界には難題に終わりがないかもしれない。

  • No.339 by 風人  2016-10-17 06:19:35 

世良先生が天城雪彦先生から受け継いだものは医療改革の精神ではなくなにか別なものだったかもしれない。
世界中を敵にまわしてもあとになにも残らない虚しさ。
速水先生に花房さんをあずけたかふったかわからないけど彼女は長い時を経て自分のもとに戻ってきた。
『ブラックペアン』では「となりのトトロ」をふたりして見て『ブレイズメス』では花房さんは世良先生の奥さんに勘違いされてそれとなく伏線は張られているけど『スリジエセンター』でおそらく挫折し東城医大を離れ別れたんでしょう。
医療債権請負人になぜ世良先生がなったのか。神威島に来るまでの間に全国を放浪し神威島で久世先生に救われ医療債権請負人になる決意をしたのか。
市民病院を安住の地とした世良先生は東城医大をどう見つめているのか……。

  • No.340 by 風人  2016-10-17 13:56:00 

『ナニワ・モンスター』を基点としながら海堂尊他作品を読むと日本全国の架空のシミュレーションにもなってるおもむき。
『極北ラプソディ』の監察病院つぶしもそのうちのひとつでしょう。
益村市長と世良先生は彦根先生つながりどつながりがある。
おそらく世良先生は極北市民病院の病院長になる前後と市長選挙の前後でつながりを持ち世良先生は彦根先生の存在を彼に紹介した。
おそらく彦根先生の戦略でしょう。
『ナニワ・モンスター』の三部目で益村市長が顔を見せてたことから明らか。
『イノセント・ゲリラの祝祭』で医療庁という花火、そして医翼という存在を知らしめる。だけどこれは霞ヶ関と官僚に示唆をしただけではあるけど彼らに目をつけられることになる。
そして浪速共和国独立を打ち立てる村雨府知事。そして道州制を掲げる各知事たちとの連携。
『ナニワ・モンスター』でのインフルエンザウィルス・キャメルの発症が中央からの火花が地方に向けられる意味合い。
無関係に見える思えることが実は経済封鎖という中央対地方の戦争という事実。
日本三分計画、ドクタージェット構想の大部分は見えている。
都道府県単位では予算は少ないけど北海道、東北、四国、九州などの道州制の単位にすればヨーロッパの国々に匹敵する予算というのも『ナニワ・モンスター』を読んでて感激したところのひとつ。
考え方が海堂尊先生は二歩三歩と前を向いている。

  • No.341 by 風人  2016-10-17 18:33:55 

『極北ラプソディ』をあらためて読むと世良先生の心境が最初と最後でぜんぜん変わってることに気づく。
はじめは医療債権人として以前とおなじようにやってただろうけど最低限、今中先生を将来に傷をつけまいと救命救急センターに派遣する。
だけど今中先生はほんの半月ほどで市民病院に戻ってくる。将来ある若者の将来を救う意思はある。
しかし市民病院を救うという意思はあってもできることは限られる。たぶんそれゆえに極北市に来るまでの間にいくつかの地方病院がつぶれて挫折を味わったと思う。
だから極北市にはじめて来た時もそれまでと変わらないだろうというあきらめが本心がどこかにあったんでしょう。
だけど今中先生は戻ってきてしまった。
そしてドクタージェット構想のトライアルの際に運命の悪戯かかつての恋人であった花房さんとの再会してしまった。
花房さんとの過去をおそらく捨てたけど彼女は速水先生とは結局うまくいかず北海道でマスコミ通したり講演会を通して世良先生と出会う。
今中先生は戻ってきたし花房さんも極北市民病院付けの看護師になってしまう。
これではおそらく市民病院がつぶれるわけにはいかないと覚悟したんでしょう。

  • No.342 by 風人  2016-10-18 06:44:41 

『極北ラプソディ』の世良先生の対マスコミ戦略、対市役所戦略はやり方はともかく理にかなっていることもある。
マスコミが移り気なのは他作品でもたいがいは語られている。
東城医大は事件でたびたび作品世界で報道されているけどちゃんと誠意ある対応をマスコミや市民についておこなえばさらされることはない。
それは『極北ラプソディ』でもおなじ。ただし世良先生は新聞各社ではなくネットを通した訴え。
これもいまの時代の在り方。
市役所に対しては必要以外なことは口に出さないだけ。
黒字経営しても再び病院が破綻する原因が病院ではなく市役所の対応にあるということ。予算がなければ人員はおろか薬も買えない。レントゲン検査ができない。
だけど神威島の久世先生はいう。“世の中そんなに悲観したものではない“と。
世良先生のやり方が悲壮感あるものに久世先生にはマスコミを通してそう見えたんでしょう。
『極北ラプソディ』で彼なりに光りを見つけた世良先生、花房さんが一緒にいるからたぶんだいじょうぶと思う。
だけど今中先生は恋愛の要素がない。これは『田口白鳥シリーズ』の田口先生もだけど。
いつこのふたりが恋愛をしてくれるか気になるところだ。

  • No.343 by 風人  2016-10-18 08:55:10 

日本三分計画をたてる彦根先生、霞ヶ関の闇を掌握している斑鳩芳正。
どちらが悪人かといえばどちらも悪人でしょう。
彦根先生は巧みにひとを利用し操ることに長けて逃げることもうまい。
斑鳩芳正は不要となった人間はたとえ味方や内部の者でもその命さえ利用する。
彦根先生はひとの心や気持ちを多少は踏みにじることもある。だけど命はおそらく奪わない。
斑鳩芳正は命を奪う。
ある意味、このふたりも鏡のように表裏一体なようにも映らなくもない。
『輝天炎上』での彦根先生と斑鳩芳正の対比、これが『ナニワ・モンスター』そして続編『スカラムーシュ・ムーン』(未読)につながる。
『ナニワ・モンスター』で互いの目的が明らか、浪速府につくるであろうAiセンターの存在がふたりの勝敗を決するであろう。
その鍵は村雨府知事。臥竜たる彼が大きく左右するかもしれない。

  • No.344 by 風人  2016-10-19 09:27:29 

村雨府知事はどうしても橋下徹さんにかぶる。
浪速共和国、西日本連合これらは壮大。
だけど現実に置き換えたら無理そう。
天城雪彦に『桜宮サーガ』の人物たち何人かは影響を受けている。
高階病院長、黒崎教授、世良先生、垣谷先生、彦根先生、村雨府知事、『バチスタ』の桐生恭一先生、マリッツィアを通しての桜宮姉妹など。
天城雪彦、バブル三部作のなかで光彩を放つ。
『ブレイズメス』においてはまだスリジエハートセンターの前のセレモニーだから物語が中途になっている。
だけど天城先生を守れるのは世良先生だけと気になる一言。
後々の物語において天城先生を誰もが語りたがらない。
高階病院長は田口先生に、世良先生は今中先生に伝えている。
それぞれの形であまりいい形に終わらなかったと想像はできる。藤原看護師でさえ語らないのはスリジエハートセンターがつぶされなくなったのは当時の東城医大、あるいは桜宮市に大きな悔恨を残したと思われる。

  • No.345 by 風人  2016-10-20 05:50:22 

『桜宮サーガシリーズ』に時おり『ウルトラマン』『ゴジラ』『ガメラ』『ゲゲゲの鬼太郎』など他作品の名前が出てくることある。
おそらくウルトラシリーズなど未来が希望溢れる時代だった過去と21世紀をすぎてもフィクションに科学技術が追いついても人間(の中身)が意外にも技術発達をいいことに生かせないあるいは何かしらの虚しさが田口先生や今中先生を通して宿っている。
あるいは書き手である海堂尊先生の内にそんな思いが現実と離れたところにあるのかもしれない。
あえて他作品の名前を出すことフィクションの科学技術を通して医療に訴える何かがあるのかもしれない。虚しさも含めて。
『モルフェウスの領域』のコールドスリープ(冷凍睡眠)はまだまだ現実に出来ても海外でもたぶん法整備さえ追いついてないと思う。
実際におこなったら『モルフェウスの領域』同様にいろいろ法律の壁が被験者や医療従事者、あるいは被験者の保護者などを阻むでしょう。
そういえば世良先生と西野さんはいつ知り合ったのか?『極北ラプソディ』ではすでに互いを知ってたようだけど。
西野さんは一見するとややイヤな男性だけど、涼子さんについてはひとつの思いはあると思う。不眠症や少し屈折した部分はあると思うけど。
涼子さんや西野さんは孤独を知り理解している人物。その対比に如月翔子がいる。
そういう風にも『モルフェウスの領域』は読める作品。

  • No.346 by 風人  2016-10-20 07:23:22 

速水先生は孤独と表現するより孤高。
東城医大にいても雪見市救命救急センターにいても。
だけど『ケルベロスの肖像』のボーナストラックで直接は出てこないけど如月翔子が医大で待ってくれている。
速水先生は患者を救うためなら経済観念はないしヘリパイロットのルールさえ無視させる。ある意味、子どもではある。
だけど“ジェネラル(将軍)”には基本だれも逆らえない。そういうルールを東城医大でも雪見市救命救急センターでもつくってしまった。
したがう人たちは大変だけど命を救うために間違ったことをしてるわけではない。だけど、社会や会社にはある一定のルールがある。
それに逆らっている限りは速水先生は孤高なまま。
いずれ東城医大に帰った時に如月翔子さんが受け止めてくれるでしょう。その時に“大人”になってるかどうか(苦笑)。

  • No.347 by 匿名  2016-10-21 11:55:55 

本来なら『極北クレイマー』のラストで市民病院が破綻した時点で今中先生は大学に戻るのが現実の姿勢と思う。
だけど物語内の今中先生はあえて残った。出世が目的でもなく市民病院や市民病院に来る患者のためあるいは自身のためか。
『極北クレイマー』のラストは世良先生の登場で希望になったはずが、『極北ラプソディ』の冒頭では希望さえ潰えたような印象さえ与える。この落差は読んでて驚いた点。
だけど後半にほんの少しだけ黒字経営という兆しはみえる。兆しがあっても全体として微々たるもの。
ちゃんとお金を支払う患者には薬を減らす治療をして愚痴や世間話に耳を傾け不定愁訴外来をして患者を心身ともに治療してゆく。
そういうあたりまえなことをしていけば黒字にもなる。
だけど極北市にはそれが根づいてなかったし室町病院長や先々代の病院長が現代に残した負の遺産。
だけど一度は破綻した病院に残る姿勢の今中先生を描くのはフィクションならではだけど現実にそうあってほしいというのも海堂尊先生の願いのひとつと思われる。
ある程度、『極北ラプソディ』でも世良先生は今中先生を救命救急センターに派遣する形で彼の将来を傷つけまいと救済措置をぶっきらぼうながらにしている。
おそらく現実の医者に対しては“こういう判断もありうるんだ”と伝えてもいるかもしれない。

  • No.348 by 風人  2016-10-22 05:49:29 

『スリジエセンター』が未読だからわからないけどそこで世良先生は挫折したんでしょう。
本来なら桜宮に根ざすはずが挫折を経験し佐伯外科のキャリアを捨て放浪した。そして神威島と久世先生に救われた。
その後、何らかの経緯があって医療債権請負人になった。
佐伯外科のキャリアを捨てる覚悟ができるまで医療債権請負人になった後もおそらく苦い経験ばかりだったでしょう。
地域地方の病院が救えなかったから。世良先生は自然と世界を敵に回すような生き方しかできなくなった。
ひょっとしたら医療債権請負人という第二の生き方でさえもどこかで絶望や悲観があったと思われる。
花房さんと別れてまでというのも天城雪彦先生とスリジエハートセンターの存在はそれほど大きかった。
だけど花房さんは長い時を経ても世良先生を待っていた。女性にしたら十数年はさほどでもないのかわからないけど。

  • No.349 by 風人  2016-10-22 12:43:12 

『極北ラプソディ』の戸田整備士は目立つ人物ではないけどドクターヘリ側においては欠かせない。
越川さんほどではないけど作品内でドクターヘリについて説明したり越川さんや大月さんのフォローを影からしてくれる。
ほんの少し大月さんと五條さんのラブフライトを応援してくれる。
速水先生の活躍に目がいきがちだけど戸田整備士がいないとドクターヘリもまた飛べない。

  • No.350 by 風人  2016-10-23 10:57:56 

『輝天炎上』を読むと天馬大吉、冷泉深雪は平成生まれの世代の雰囲気。
昭和世代の田口先生たち大人とはやや世代の壁や境界があるともいえる。
それは大学病院という箱の中の世界も時代ごとにちがうのかもしれない。
天馬大吉をいちがいに不真面目とは思わない。彼なりに桜宮巌雄から託されたものは内にいきている。
ただ別宮葉子や冷泉深雪と異性に振り回され若い時間を謳歌し悩んでもいる。
基本的に『桜宮サーガ』は田口先生に対する白鳥さんのようにだいたい“対”で書かれている。
『輝天炎上』の天馬大吉の対は冷泉深雪ともいえる。かたや留年生、かたや優等生という対もあるけどそれ以外の意味も物語内に含まれている。
冷泉深雪のまっすぐさは『桜宮サーガ』の物語全体を考えたら『輝天炎上』においてはまだまだ彼女にとってはスタートでしかないと思われる。
医学生としてあるいはその先にあるのは前へと進む道かもしくは他の人物のように苦い挫折をするのか。それはわからない。
だけど天馬大吉という存在によって医療が必ずしも輝ける未来ではないという一面はおそらく理解はしてる。しかしそれを受け入れるかどうかでまたちがう歩みもあると思われる。
その辺ももしかしたら未来の東城医大、桜宮を左右することもあるかもしれない。

  • No.351 by 風人  2016-10-30 04:48:57 

医師が目の前の患者を救うことに必死になるというのはおそらく大半の医師がそうしているあるいはそうせざる得ない状況だからと思う。
日本的な思考としてはそこに経済観念もしくは金儲けの思想を持ち込むことは“医は仁術”の思想に反するから従来からタブーとされてたと思う。
だけど『ブレイズメス』の天城雪彦なる人物を海堂尊先生は生み出したのか。
そこにひとつの答えがあるように思われる。
現代の時代が医療破綻したことへの答えがバブル時代にあるのか天城雪彦にあるのか。
後々の『桜宮サーガ』の時代においては東城医大オレンジ病棟、極北市民病院が一時的に破綻、マリアクリニックも未来においては不透明。
この三例をとっても経営が行き届かなくなる。
だけど過疎である離島の神威島は高度な治療や手術はできなくても病気の早期発見はできまた患者を毎日診ることで医者と患者が共存している。
神威島に似た例は『ナニワ・モンスター』の舎人町(とねり)。
患者が何を求めているかということにある種の集約はされる。
東城医大においても病院長室よりもファミリーレストランが階上にあるというのも時代や病院の象徴と思う。
すべてに行き届いた治療やサービスは現実においてもまだまだと思う。
だけど東城医大に限らず日本の医療が破綻するのを『ブレイズメス』内で天城雪彦先生は予見をしている。
だけど彼は先鋭的にやり過ぎたんでしょうか。
海堂尊先生の書く人物は人となりがシャープかつ二歩三歩先をゆく人物が目立つ。
だけど反面敵をつくりやすい状況もつくる。
『ブレイズメス』においても高階先生はラストに天城雪彦先生のやり方は受け入れられない姿勢を見せる。

  • No.352 by 風人  2016-11-01 09:48:34 

『桜宮サーガ』のシリーズを読むとある程度、医療関係のニュースに耳を傾けることある。
いつもではありませんけど。
地元の医療センターがおそらく新棟を建てているみたいだし『桜宮サーガ』劇中の物語に重なる。
またドクターヘリや厚労省関係のニュースもなんとなくは気になる。
あと過疎地域の診療所の話題など。
医療が身近に思える。
それでもまだまだ読めてない作品が多々あるから作品世界は謎だらけ。
いまの医療従事者たちは経済観念に悩み苦しみながらあえいでいるんでしょうか。
『ブレイズメス』から他のシリーズから波及を考えたら現実に伝わることから多くあるように思われる。

  • No.353 by 風人  2016-11-02 04:14:39 

新装版の『螺鈿迷宮』を中古で買ったけど刷行のところを見たら第3刷だった。
海堂尊先生の作品は新装版になっても読まれているのが伝わる。
海堂作品は上下に分かれてるのが常だけど新装版になって出るのは読みやすくもたのしい。
『螺鈿迷宮』そのものに関しては時代は平成時代と同じ時の流れだけど作品の冒頭や舞台となる碧翠院に昭和時代の面影やおもむきがある。
桜宮巌雄先生が『ブレイズメス』の頃は東城医大もしくは佐伯清剛病院長と蜜月だったのはうかがえる。だけど高階病院長は欲張ったんでしょう。
光と闇は同時に取り込めない、とラストに言い残しそれは後の作品で東城医大は徐々に変えていかなくてはならない。
天城雪彦先生の理念や思想、桜宮巌雄先生の信念や遺したモノそれらは形を変え有形無形として人物たちの心や気持ち、もしくは“結界”という形で取り巻くものではないだろうか思われる。
天馬大吉、冷泉深雪などの若き医学生が如何なる道を選ぶのか、というのも未来の桜宮もしくは医療の在り方を問う。

  • No.354 by 風人  2016-11-02 17:29:24 

桜宮サーガ内で解剖が行われた場面があるのは、『螺鈿迷宮』と『極北クレイマー』だけだったかな。
どちらも食事時に読むと食欲をなくす場面でもある。
けど死に目を向けろ、というのも桜宮サーガの一貫した姿勢でありいまの医療が招いた現状のひとつでもある。
医者、警察とアプローチは違えどメッセージとして訴えているところはおなじ。
『玉村警部補の事件簿』の「青空迷宮」にせよ真犯人は殺害された被害者が知っておりそれを加納警視正と玉村警部補が突き止める。
バブル三部作の昭和時代の医療がよかった、というのはリアルにむかしのお話。
手術も高度化にもなるけど医者や医学生が育たない時代でもある。
『螺鈿迷宮』から『輝天炎上』の天馬大吉くんの成長は素晴らしい。本質は変わってない面もあるけど(苦笑)。
『ケルベロスの肖像』と対比したら『輝天炎上』互いの表裏はおもしろい。
田口先生は『肖像』においてはAiセンター会議で一番上の席に置くけど実際は高階病院長らのマリオネット。
だけど『輝天炎上』の天馬くんから見たら権威があり権力があり実は実力あるのでは?と疑われる(苦笑)。
どちらも見方は正しいと思う。本人や他人のちがいはあるけど物事の受け取り方はひとによる。
いちがいにどれが正しいかは絶対ではないと思う。
人間はなかなか自分を見ることはできないから。

  • No.355 by 風人  2016-11-03 10:34:52 

『螺鈿迷宮』をあらためて読むと碧翠院側がかならずしも悪い側には読めなくなる。
地域のサテライト病院として“闇”を背負い抱えてきた長い年月。
ひとの“死”を 背負ってきた地域病院。
それを己の利益優先のために潰そうとする高階病院長と東城医大、そして白鳥さんと姫宮香織。
もちろん自殺や安楽死はいけないと思うけどひとが次々と亡くなる碧翠院の怖さ。
だけど巌雄先生たちは最後まで抵抗する。そして娘に託す思い。
続編『輝天炎上』のラストに至るまで読んでも桜宮小百合・すみれがどちらとも実は生きているようにも思える。
桜宮巌雄先生の意思は清川司朗先生などに受け継がれているわけだし。
東城医大の血脈とはちがう形で彼の意思は天馬くんや清川司朗先生、そしてふたりの姉妹の内で生きている。
『輝天炎上』ですみれや小百合が亡くなったとは思えない。
あり得ないことが『桜宮サーガ』のシリーズでは起きるから。
まだ医療の未来はわからないものだし。

  • No.356 by 風人  2016-11-04 05:12:54 

『輝天炎上』での天馬くんと美智さんの再会は何を意味するのか。
たんに再会だけではないのは『肖像』での田口先生と美智さんの治療や愚痴を兼ねたいきさつからでもわかる。田口先生は美智さんの内にすみれを見ている。あるいは見ることができた。
なら天馬くんにとっては?
医学生として初めて触れた患者が高原美智であった。過去への邂逅ではない何かを彼に託すために高原美智さんは二年もの間生きていたと思われる。
『肖像』ではおおざっぱにしか描写されてないのを『輝天炎上』では天馬くんを通して事細かに描写されている。
田口先生が大人としてやらなければならないことが多くあり田口先生の物語にとっては美智さんは一患者。忙しいなか毎週のように治療の具合や愚痴を聞いてカルテに記す。
だけど天涯孤独の天馬くんには数少ない家族同然な人物。そのぶん情や気持ちがある。
しかし将来、医者になる上で何が必要かというのも美智さんが亡くなった直後に田口先生や田口先生が記したカルテを通して問われる。
患者が延命治療を望んでいないというのもある現実。
『輝天炎上』で天馬くんと美智さんの場面は決して長くはない。むしろ短いけど中身は濃い方。
涙を誘う場面のひとつ。

  • No.357 by 風人  2016-11-04 12:11:36 

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』は読み方を変えたら『スカラムーシュ・ムーン』の浪速の死後画像センターへの布石とも読めますね。
『ナニワ・モンスター』で作品世界の日本地図がだいたいあらわになった。そこからシミュレーション的に各人物が事細かに桜宮、霞ヶ関、浪速などから動いてるのがわかる。各人物は駒のようでもありまさに医者、官僚、政治家などが各々の思惑で動き動いている。
彦根先生を白鳥さんは本気で警戒してないまでも斑鳩芳正はどの作品に登場しても不気味さを醸し出す人物。
とはいえ“火喰い鳥”である白鳥さんは『弾丸』で怒りの表情は見せたものの『ナニワ・モンスター』では斑鳩室長らのルーレットの存在を知りながらも手を出す様子は一切なし。あくまで知り理解はしてる程度の理解に留めている。
若き官僚としては迂闊に官僚の闇に触れることを暗に知っていると考えた方が自然。
だけど斑鳩芳正が医療が主導になるのを許さない背景はたんに警察官僚ということでしょうか。
南雲忠義、桜宮小百合ほどに個人的感情や気持ちがはっきり見えない人物だから掴みどころがない。
『スカラムーシュ・ムーン』を読めばまた何かわかるとは思うけどなかなか中古書店で見かけない、(;´д`)。

  • No.358 by 風人  2016-11-06 18:00:05 

『ケルベロスの肖像』はややもするとおおざっぱ。
だけど田口先生が桜宮小百合の生存を知らないのは何かの伏線にも思える。
『輝天炎上』の表裏の関係。『輝天炎上』において小百合は東城医大に手紙を出しのちにAiセンター長が田口先生であるのを知る。
これがただ知ったというだけならともかく未来への伏線としたら物語に影響があるんじゃないだろうか?
真実、『輝天炎上』ですみれ小百合姉妹が亡くなってたとしてももしも小百合が誰かの子を身籠っていたら……とも考えられる。そしてその子が未来の桜宮や東城医大を守るとか……。
さすがにそれは想像力を拡大しすぎか(苦笑い)。

  • No.359 by 風人  2016-11-07 05:44:08 

自分の中で小百合とすみれが入れ替わっているのはドラマ『螺鈿迷宮』かあるいは『桜宮サーガ』全体の情報量の多さか(苦笑い)。
けど『ケルベロスの肖像』をあらためて読むと『ブラックペアン1988』からのバブル三部作は現在に至るも尾を引いてることが伝わる。
『肖像』『輝天炎上』については人物からの視点で読めるのはもちろんだけど過去(の作品)からも読めるという視点。
マリッツイアと小百合の関係も合点がいく。
天城雪彦の無念をどこかで晴らしたいという心情があるのか。
『スリジエセンター』で何があったかは私は未読なので知らないけど『肖像』の高階病院長は天城雪彦が植えるはずのスリジエ(桜)の樹を引っこ抜いたことを彼は後悔していた。
『ブレイズメス』のラストで敵意を露に燃やしていた高階先生、だけど時を経るにつれ後悔が何かしら芽生えてきた。
田口先生から見ても高階病院長は伝説多い人物。
黒崎教授は一見すると高階病院長に隠れがちだけど『田口白鳥シリーズ』における院内対立の必要悪でもあり時にコメディリリーフ、病院長代行、口では悪態をつくものの田口先生、速水先生ら次の世代に何かしらの期待とあえて対立する立場にいることで東城医大に必要不可欠な人物。
小物なように見えて意外にしたたかというか器用貧乏ではないだろうか。
『肖像』のラストで田口先生に悪態をつくのは信頼の裏返し。院内対立としていえば自分の配下が後継者にならないのは本音を口に出せば残念と思う。
だけど高階病院長が選んだ後継者なら使われてもいいという度量はある。
黒崎教授を主役に据えたコメディな物語を書いてほしいところでもある。

  • No.360 by 風人  2016-11-07 08:50:11 

冷泉深雪は『肖像』と『輝天炎上』といまのところ活躍が少ない。
『輝天炎上』で人となりは浮き彫りだけど。天馬くんにちょっと手を出されたりはにかんだり。
じゃじゃ馬な別宮葉子とは対照的であり桜宮姉妹ともまた異なる魅力。
若いぶん真っ直ぐを画に書いたような大人になりかけの美少女と言える。
天馬くんからみれば幼馴染みではないヒロインのポジションに位置する彼女。『輝天炎上』では碧翠院のことを知らないがゆえに天馬くんと接点を持ちながら知っていき関係が少しずつゆっくり進む。
だけど天馬くんと葉子さんから幼馴染みでないから時に仲間外れにされそうになるのが嫌なのか首を突っ込んでゆく。
天馬くんと同級生でなおかつ優等生、また融通が利かない。だけど先輩である天馬くんにはそこそこフォローしちいさくチクリと刺す可愛らしさもある。
『輝天炎上』ではAiセンター絡みや医療にとっての“死”については天馬くん同様に彼女なりに考えるけど優等生らしく自分の範疇を越えた考え方ややり方には納得しない一面や大人社会の医療としての壁に突き当たる。
ところどころに悩むところはあるのも特徴。
『輝天炎上』を彼女視点で読めば先輩である天馬くんにほのかな恋に近い感情や気持ちを抱いているのでは?と思わせる場面はある。
東城医大の医大生のなかで偏見なく見てる唯一の異性といえなくない存在。
反面、純粋かつまじめで正義のカタマリみたいなところがあるから逆に世の中のけがれや裏を知らなく知った時に対処できなく悩む一面があるのが彼女の魅力のひとつ。

  • No.361 by 風人  2016-11-07 17:12:50 

高階病院長がいつ田口先生を次期病院長候補にしようとしたかは謎だけど、『肖像』から遡って考えたら『凱旋』の速水先生の収賄の件を黒崎教授はウィーンから帰った直後に委員会を開いた場で目の当たりにしてる。
この時に田口先生が委員会を開いているのを知っている。見方を変えたら“高階が選んだ小僧がどう解決するか”を見定める機会でもあったと思う。
『凱旋』においては本来の目の上のたんこぶである速水先生に本音を吐き出しながらも彼が東城医大そして桜宮に必要であるのを認めている。
だけど速水先生と同期の田口先生、島津先生には特に言及していない。
田口先生には委員会をスムーズに進めるよううながしながら最後は疲れたからと退場している。
そして『凱旋』の顛末は後々、高階病院長から速水先生が極北に行ったぞくらいは伝えているはずなのは想像つく。
『弾丸』では高階病院長が逮捕され不在ななか誰が大学病院を一時的に任せられるかとなったらNo.2の黒崎教授しかいない。
白鳥さんに言いくるめられ田口先生と白鳥さんに事件解決を任す以外にはない。
テレビドラマにエキストラ出演したとあったけどたぶん本音は心労があったんじゃないのかと想像できる。
『弾丸』のラストでいつも面倒事をワシに押しつけての言葉は同じ時代を東城医大で過ごした者だから高階病院長に言える信頼の裏返しでもあったと思える。

  • No.362 by 風人  2016-11-08 05:03:47 

高階病院長にとっても渡海先生と天城先生は影響があったと思われる。
本来なら高階先生と渡海先生は真正面から戦わなければならないのを渡海先生の勇み足からふこうなすれ違いがあって戦わずして渡海先生は東城医大から去ってしまう。
渡海先生が海外に渡ったいきさつはいささか不明ながらノルガ共和国にいるらしい。『モルフェウスの領域』ヒロインの涼子の回想にて登場している。
そして天城先生については『ブレイズメス』にて他の医師同様に相容れない姿勢を見せて物語の流れから天城先生からみてライバルに位置する。
未読な『スリジエセンター』にて天城先生を何らかの形で失脚させ彼を失意のもとへ追いつめたと考えられる。
『ブレイズメス』で分化しすぎた教室、高階先生のもとで統制されていったことを佐伯病院長は満足しておらずあえて火種となる存在である天城先生を自ら招いている。
だけどそれがおそらく互いに悔恨を残す結果になったとも考えられる。
『ブレイズメス』の時点で天城先生は好き勝手にやっている。
それは助教授であった黒崎先生であった彼の目に余る行為。だけどそれは佐伯病院長の庇護下でもあるから何も言えない。
佐伯病院長は渡海先生が去り高階先生と黒崎助教授では満足がいくことはなかった。天城先生の招致であえて破壊を伴う創造をしてると思われる。
この辺の考え方は彦根先生に継承されるよう。

  • No.363 by 風人  2016-11-08 07:05:14 

書き手の海堂尊先生にしてもかんたんに国家は変えられないのはおそらく理解はされているでしょう。
あくまで架空の『桜宮サーガ』の世界を通してこういう考え方もあります、提示(プレゼン)してるとも考えられる。
『イノセント・ゲリラの祝祭』の医療庁、『極北ラプソディ』のドクタージェット構想、『ナニワ・モンスター』の日本三分計画などひとつひとつのパズルの組み合わせは壮大。
『祝祭』でしたか。医療あっての国家という発言。国家が疲弊するなか国家を支えるのは国民。
だけど国民を支えるのは医療という土台。それが崩壊した現代に何が医療にできるかという提唱。
Ai(オートプシー・イメージング)による画像診断、『ナニワ・モンスター』での解剖率百パーセント(実数は八十ではあるが)、市民が安心して健康に生きられる社会。
だけど現実には壁がいくつもある。
医療と司法の対立は続く。『スカラムーシュ・ムーン』で如何なる決着をつけたか私は知らない、未読だから。
だけど、各々の作品を読むといろいろな人物たちの思惑思想感情気持ちなどが複雑に絡む。
現実の社会とほとんど差がないくらいに詰まっている。

  • No.364 by 風人  2016-11-08 14:17:45 

彦根先生と斑鳩室長の間に勝ち負けがないというのも大人のものの考え方のひとつでしょう。
『肖像』を読んだ時にその文面があった時に意外に思えたけど後々、また読んだらああそういう関係でもありそんな見方が互いにあるんだと思う。
だけど『ナニワ・モンスター』の日本三分の計や『極北ラプソディ』の南雲監察病院潰しなど見たら日本地図の塗り替えにもみえる。
世良先生もほどよく彦根先生に使われている身。極北市の益村市長への体のいい伝言受け渡し人?
斑鳩芳正個人にはある特定の思想はないかもしれない。ただ医療から国家を守るために徹しているのかもしれない。
警察主導という思想はあるけど口に出すことは少ない、彼なりの司法の担い手とも解釈できる。
本当の本意はわからないけど。
『肖像』『輝天炎上』で双子の桜宮姉妹は炎に包まれた。仮にすみれが生きてたとしても表だって支援や支援者は募れないはず。
仮に生き延びていたら斑鳩・南雲親子のラインは残っているはず。
この辺も実情は謎ありき。
どの登場人物もすべてではないにせよ桜宮というひとつの都市もしくは結界に集約されてもいる。

  • No.365 by 風人  2016-11-10 06:15:06 

『ケルベロスの肖像』をあらためて読むと、Ai会議に総勢17名いるでしょうかね。
大半はオブザーバ参加だけど。
だけど会議にほとほと疲れる田口先生、かたや『輝天炎上』で素晴らしい会議と評しながらどこか空虚だった若い天馬くんたち。
大人と学生ではものごとの受け取り方がちがうのを端的に表現している点かもしれない。
空虚と評した冷泉深雪は本質的にAi会議に参加した真犯人が醸し出す雰囲気を無意識に嗅ぎ取ったかもしれないのではとも思う。
彼女が桜宮一族に縁がない、真っ白な無垢さゆえかもしれないのは深読みでしょうか。

  • No.366 by 風人  2016-11-10 10:21:14 

インフルエンザの注射は『ナニワ・モンスター』で触れられていたかな。
むかしは全国的に学校などで施行されていたけどいまはおこなわれていないという。
『桜宮サーガ』の物語を読むと現実とフィクションを通して現実にある思惑がみえ隠れする。
メタボやインフルエンザも国というよりは官僚にいいように操られる。
『ナニワ・モンスター』の徳衛医師みたいに国や官僚の思惑に疑問を持っても一市民は何も言えないのが現状。
だけどそこにメスを入れるのが彦根先生。
あの手この手の人脈を使い村雨府知事、検事鎌形、テレビメディアを使いインフルエンザウィルスキャメルのパニックから浪速府を救う。
『ナニワ・モンスター』においてはキャメルによる経済封鎖から国に無血クーデターを起こすであろう浪速府や他地方を救うことで物語は終わる。
だけど彦根先生は次に新たに処方される新薬をめぐっての利権争いが起こることを予見をしている。それが『スカラムーシュ・ムーン』にもなっているはず。
『ナニワ・モンスター』を基点に読むと『桜宮サーガ』が架空のシミュレーションに読めてしまう海堂尊先生の作風作品世界の見事さ。
『バチスタ』からの桜宮から日本地図へと広げてゆくスケールアップ。
『ブレイズメス』ではわずかながらほんの二章分ながらフランス・モンテカルロおよびモナコ公国が舞台になる。『イノセント・ゲリラの祝祭』でもわずかにドイツが描かれている。
あと『弾丸』で高階病院長がモデルガンにハマッていることからアメリカにいたことも断片的に書かれている。
これらのことから日本だけでなく世界に目を向けている節もある。
『肖像』のラストでAiセンターで小百合に破壊はされたが、Aiの理念や思想は世界に綿毛のように翔んでいく希望的思いからも伝わる。

  • No.367 by 風人  2016-11-13 06:14:46 

カジノ法案は現実の世界はようやく審議入り。
『桜宮サーガ』の世界では天城雪彦先生のなかでは確立されてはいるけど彼は政治家ではなく一医者。後に村雨府知事にカジノ構想は受け継がれる設定になっている。
現実の橋下徹府知事および市長時代の構想が『桜宮サーガ』にスピンオフされそれが医療にも繋がる形としてあらわれている。
『ブレイズメス』では“日本人は重い腰をなかなか上げない”みたいな台詞でカジノ構想が頓挫するのは外国人からそう見られている。
海堂尊先生の表現は先鋭的、だけど的確にとらえている一面もある。
とはいえ主人公側が相手側に勝ってハッピーエンドということもない。
ひとつの物語がそこで終わってないからでしょう。次へ次へとゆっくり大胆に人物や世界観を広げてゆく。
だけど必ずしもその物語にとっては過去のことでも風化させないようにあちこちの物語に散りばめられて存在している。
過去の事象は現代の世界や人物たちに影響を与え現代の人物たちの事象はほんの少し先の未来の世界や人物にまた影響させている。

  • No.368 by 風人  2016-11-13 15:25:00 

『輝天炎上』で別宮葉子はアグレッシヴに書かれているけど冷泉深雪は優等生ゆえにやや一部は融通が利かない。
ふたりの間に天馬くんはふたりの性格や内面に引っ張られるからある程度は柔軟にやってのける。
そのぶん異性に引っ張られて損をする。
甘いことを言ってもあるいは女難(?)をかわしてもまた別な形でやってくる。
異性にうかつなことは言えないやってはいけない、とつくづく感じながらも別宮葉子も冷泉深雪も天馬くんから離れない。
別宮葉子は天馬くんの“運”を変えた“幸運の女神”だからおそらく離れることはない。
なら冷泉深雪は?ということになる。
『輝天炎上』においては死因究明社会の問題をレポートの題材にし再び天馬くんはAi(画像診断)、解剖などを学ぶために東城医大内の各教室、浪速府、房総などをふたりしてすすむ。
冷泉深雪は立ち回りがそれなりにうまいけど融通が利かない、だけどそれは彼女の内のちいさな世界ということ。
物語が四部に移りAiセンター会議にオブザーバー参加の際には登場人物の誰とも深い因縁や過去がなかったためか彼女は自然な感想を述べている。
“素晴らしい会議だったけどどこか空虚”。
深読みしたらどこか存在感が空虚な人物があの場にいたことを示唆してたかあるいは犯人側の狙いを本質的にどこか感じていた女性の勘とも解釈できる。
『輝天炎上』ではまだその辺の能力?を自覚していないかもしれない。
西園寺すみれ(桜宮小百合)がどう彼女を見たかも作品内では語られていない。

  • No.369 by 風人  2016-11-14 07:55:18 

高階病院長は強欲であったのは否定できないでしょう。
佐伯前病院長時代は碧翠院と蜜月であったにも関わらずその関係を一方的に絶とうとした。
もちろん心情的に桜宮巌雄には個人的な尊敬もあったと思うがそれが裏腹になってしまった。
『ケルベロスの肖像』と『輝天炎上』を読めばまさにおもてとうらの存在。
小百合の憎しみ、小百合の憎しみは理解しながらもそれをとどめようするすみれ。
ここにも双子姉妹の表裏が書かれている。
本編においていえば田口先生と天馬大吉の出会い、対比もある。
『肖像』と『輝天炎上』はまさにいろいろな人物の表裏。
過去から引っ張られた因縁というのも物語の本質からいえば恐ろしいこと。
ただ高階病院長はブラックペアンを患者の体内に残したことも天城雪彦先生についても忘れてはならない過去として彼に残っている。
だけどそれがはたして公の場では通じないのが大人の社会でもある。
『肖像』から『モルフェウスの領域』などほんの少し先の未来で東城医大がどう経営難を越えたかはくわしくは謎。
いろいろ謎が含まれている。

  • No.370 by 風人  2016-11-14 11:50:35 

すみれは憎しみにとらわれているけど小百合は東城医大を憎む気持ちはあっても田口先生を憎む気持ちはさほどないみたい。
『輝天炎上』の二部三部それぞれすみれ、小百合の心情はわからなくはないけど彼女たちは医療の未来を見ていないのかもしれない。
小百合についていえば碧翠院で高原美智たち患者に働かせるトライアルをしてることで治療に励んでいたと言える。
患者に生きる希望や将来を与えようとしてた。
最後の患者となった高原美智、彼女にその思いは受け継がれ田口先生、天馬くんそれぞれに小百合の気持ちは託されたとみるべきでしょう。
だけど、小百合がひそかに生きていたのを知っていたのは兄であった城崎さんと天馬くんのふたりだけ。
田口先生は知ることもなく『肖像』は終わりを告げる。
天馬くんは小百合の生存を知っていて田口先生は知らないというニュアンス。
『田口白鳥シリーズ』は『肖像』で終わりを告げているけど東城医大の物語は終わっていない。
『領域』などにおいてなお続いている。
『肖像』から艱難辛苦あったであろう東城医大が如何なる再建の道のりだったか……。
『領域』でわずかながら語られているがそれとて全体の一端でしょうね。
その間にも高階病院長と飯沼さんとの裁判、白鳥さんが未来科学センター(コールドスリープセンター)を立ち上げるまであるいは加納警視正からの事件依頼などないとは限らない。無数ともいえる出来事はあったでしょう。
天馬くんや冷泉深雪たち医学生も一度は東城医大がなくなるかもしれないことで学生としては危機感をおぼえたかもしれない。彼らは情報網を意外なほど持っている(兵藤先生あたりが口を滑らしたりして(苦笑い))。
どちらにせよ再建まで茨の道は難くなかったと思われる。

  • No.371 by 風人  2016-11-17 07:38:18 

東城医大が災難に見舞われるのは碧翠院と対極にあった存在だから?
あるいは桜宮という土地時代がひとつの“結界”だからでしょうか。
主要人物である田口先生からさほど桜宮に縁がないはずの八神課長まで何かしら切っても切れない縁が薄くてもある。
『ナニワ・モンスター』では何故か八神課長は桜宮の名を思い出してもそこにあった縁はあたまから抜けていた。田口先生と彦根先生にしてやられた『イノセント・ゲリラ』、『ナニワ・モンスター』時点では『領域』の未来科学センターの話題はなかったと思うけど何かしら桜宮関係で苦渋を飲まされた可能性はある。たんに本人が忘れたか記憶からないだけで。
北は北海道極北市や雪見市、そして近畿は浪速府、彦根先生がいる房総など。
ありとあらやる都道府県に桜宮あるいは東城医大の人物が散らばっている。
海堂尊先生は意味なく人物を移動させることはしない。そこに意味を見出だす。
世良先生が極北に現れたのを桜宮小百合は過去の記憶から彼が東城医大の人間であるのを知っていた。
それを繋いだのはかつての天城雪彦先生。『ブレイズメス』で天城先生に連れられた世良先生は桜宮姉妹と出会っている。
現在に直接出会わなくても互いに(薄くても)縁は存在している。
これらが後々に意味がある場合も『桜宮サーガ』にはある。
浜田小夜にしても罪を償った後に『夢見る黄金地球儀』に出ている。
『夢見る黄金地球儀』以前に4Sエージェンシーにいかなる形で現れたかはまた謎でもあるが。
その辺の断片はパズルのピースのよう。
そういうところを探すのままたたのしみ。

  • No.372 by 風人  2016-11-17 16:27:29 

まだまだ物語内で語られていないところは多々ある。
バブル三部作以前をはたして海堂尊先生が書くかはわからないけど。
桜宮家からいつ城崎は出奔したかこれはある程度、『沈黙』あたりで彼の口を使って語られているけど具体的に詳細は不明。
田口先生が不定愁訴外来をつくるきっかけのひとつは『ブラックペアン』の渡海先生の言葉、『田口白鳥シリーズ』で不定愁訴外来の立ち上げのきっかけはたびたび語られているけどこれもまた細かな事柄は不明。
ドイツのクリフによるDMA(デジタルムービー・アナリシス)の開発の経緯。
渡海先生が日本を離れた具体的な理由。そしてノルガ共和国に身を置く真相←これは『領域』の涼子との触れあいで語られてたような雰囲気。
いくらでも謎は拾えるけど具体的に物語のなかで解決してる事例はあんがい少ないかもしれない。
読み落としして気づかぬ間に解決してたり作品内で時が過ぎてる場合もないとはいえない。
情報量が半端ないおもしろさ。
田口先生や白鳥さんをひとりひとり人物を取り上げても現実の人間とたいして変わらない奥深さ。

  • No.373 by 風人  2016-11-18 06:15:50 

田口先生がすみれたちと親しかった頃は彼が警察関係者と接触はなかったんでしょう。
まだ若かったし不定愁訴外来もなかったからでしょう。
せいぜい速水先生や島津先生の旧友、兵藤先生ら同僚などから警察関係の話題を耳にすることはあったと思われる。
だけど不定愁訴外来を設けリスクマネジメント委員会、Aiセンター会議などの委員をつとめることで徐々に人間関係が広がりを見せてゆく。
『沈黙』においては牧村瑞人という少年が容疑者の疑いがあっても大学病院のひとりとして警察署長に意見する姿勢を見せる。ちゃんと地元警察にも東城医大は協力の関係を示しながらいざという時には真っ向から立ち向かう(ような)姿勢を見せる。
おそらくかつてのすみれたちと親しかった頃はそんな姿勢を見せる人物ではなかったと思う。
だけど高階病院長はどこかで田口先生の人物像や器を見極めたんでしょう。
『田口白鳥シリーズ』を全般的に見ても田口先生がヘタレなところや失敗につまずくこともある。
だけどどこかでチャンスを見いだしたり他人に操られながらも意見する姿勢を見せる。
医師あるいは医者としての境界線を守りながら個人の意思をあらわす言葉や表現力を持っている。
バチスタ事件で遺族に頭を下げる機会を生かしてもいる。
不定愁訴外来という立場や職業からいろいろな人間を知っている利点もある。
不器用ながらも空気を適度に読んで院内の立場や地盤を本人でさえ気づかぬ間に築いている。
高階病院長、藤原看護師、黒崎教授この三人という重鎮あってのところもある。

  • No.374 by 風人  2016-11-18 10:46:44 

桜宮小百合は東城医大を憎んでも田口先生には憎しみは抱いてないだろう。
『輝天炎上』では4Sエージェンシーの兄の城崎に頼んである程度は東城医大の事情を知る。
だけど、Aiセンター長が誰かをとりあえず知らないままだったが盗聴機を通じて知ることになる。
『輝天炎上』の顛末を考えたら田口先生を危険な目に遭わせたくない一面をあったかもしれない。
ふつうに中年と化した田口先生が火の中に飛び込んで桜宮姉妹と再会したら事の真相を知らないままよりさらに悲惨な目に遭わなくもないし物語としては格好よくない。
『肖像』で事の真相を知らないままの方がしあわせだったといえる。
『輝天炎上』で天馬くんに真相を知ってもらうことで逆に田口先生に余韻を残す綺麗な終わり方と表現できる。
『輝天炎上』から『領域』など先の時をゆく物語はまだまだ語られてないパズルのピースやミッシング・リンクもあるからそこをどう海堂先生がどう描くのか。

  • No.375 by 風人  2016-11-18 14:43:16 

病院経営者が建設関係に疎いのは『ブレイズメス』で天城先生以外は疎いことに触れられ『肖像』『輝天炎上』で再度、触れられている。
だけどAiセンターにもしマリッツアが関わってなかったら事なきを得ただろうに。
本来ならスリジエハートセンターが建って芽が出て桜の樹がなってたら高階病院長や東城医大は桜宮家とマリッツアから怨恨を買うこともなかったということ。
だけどそれだけ天城雪彦への思いがマリッツアは深く桜宮姉妹(すみれ、小百合)にも通じるものはなにかしらあったとするべきか。
桜宮市あるいは桜宮の土地そのものがひとの思いを具現化し創っては壊しの歴史を繰り返す土地なのかもしれない。
桜宮のAiセンターは後世に語り継がれることもないまま紅蓮の炎に消えた。
浪速府の死後画像センターの決着は如何なるものになるのか……。
『玉村警部補の災難』でも物語内のGoogleはいまだ過去のままの画像になっているというのも興味ある事例かもしれない。

  • No.376 by 風人  2016-11-19 07:19:04 

斑鳩芳正と加納警視正がなぜふたりして桜宮にいるのかというのもまた謎。
玉村警部補みたいな平凡に近い刑事でさえ何かしらは感づいている。
警察が医療に主導権を握るための何かしらの案件があるということかもしくは何か異なる物事があるのか。
『肖像』では堂々と斑鳩は現れているけどこれは西園寺さやか(桜宮小百合)を隠すダミーであったと見るべき。
『肖像』『輝天炎上』には加納警視正は一切、登場していない。だけど、『ナニワ・モンスター』でのカマイタチ鎌形による検察のガサ入れがあったことは坂田局長や白鳥さんもある程度の警戒はしている。
鴨下局長の逮捕が厚労省全体を震わしているおそれがある。
斑鳩の人間関係が広い。加納警視正ともカマイタチ鎌形とも交流がある。そして霞ヶ関内にある非合法暴力的組織を束ねておりなおかつルーレットを用いて霞ヶ関にあるネタをマスコミに売ることでめくらましにもしている。
おそらく『桜宮サーガ』内の登場人物でもっとも権力を有している人物にちがいない。彼より上もいるとは示唆はされているけどおもてに出てきてはいない。

  • No.377 by 風人  2016-11-20 06:11:47 

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』の城崎さんの活躍はまさに裏方。
『アリアドネの弾丸』でも裏方でしたが。
『肖像』と『輝天炎上』では城崎さんは桜宮すみれにこき使われながらも東城医大防衛に専念する。どこまでが本音かはわからない。
『弾丸』では白鳥さんを通じて再び東城医大あるいは田口先生と縁ができる。そして『肖像』『輝天炎上』で陰から活躍する。
彦根先生が『肖像』で活躍できたわけもうなずける。裏ですみれがあれこれ考えておもてで城崎さんが動くことで彼女は隠れた存在になる。
小百合の方がある意味、狡猾ではあるけど暗躍という意味では『輝天炎上』ではすみれの方が上回るかもしれない。

  • No.378 by 風人  2016-11-20 14:35:37 

『ナイチンゲールの沈黙』で小児科病棟で子どもの患者に不定愁訴外来を受けさせてみようかという案が持ち上がった際に子どもでも打算や競争があるみたいなことは書かれていた。
だけど『桜宮サーガ』のシリーズが進むたびに大人社会の打算は凄まじいものがある。
『ブラックペアン』では渡海先生が佐伯病院長の失態を露にしようとし、『ブレイズメス』では天城雪彦先生のやり方に高階先生以下誰もが反発を抱く。
『極北シリーズ』で今中先生の苦労を室町院長は鼻で笑い世良先生は台無しにしていく。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』はやや母性に溢れた作品だから打算そのものは少ない。このふたつの作品は母性を問いかけるニュアンスもある。また生まれてくる子どもにたいして。
東城医大もだけど白鳥さんらがいる霞ヶ関は伏魔殿、打算のカタマリとも表現できる。
『イノセント・ゲリラ』『ナニワ・モンスター』では如実に顕れている。
善悪はともかくとしてあの斑鳩室長にしても何かしらの信念はあるように見受けられる。彼は医療が主導権を持つことはままならないんだと思う。
『肖像』では桜宮小百合に活躍の場を譲っただけ。大人として分をわきまえた。それは『肖像』のエピローグで語っている。
大人も子どもも本質はもしかしたら変わらないのかもしれない。表現や方法が異なるだけ。
そんななかで田口先生や今中先生みたいに出世を求めない人物いれば白鳥さんや彦根先生みたいにギリギリ綱渡りしながら高みを目指す人物もいる。そのなかで己の目的や目標に辿り着こうとする。
斑鳩室長は本意がわからない人物。高階病院長の方がわかりやすいくらい。

  • No.379 by 風人  2016-11-20 16:42:16 

『ナニワ・モンスター』のカマイタチ鎌形さんみたいな人物が検事や検察にとっては国民の理想かもしれない。
二部の検事や検察の描写は医療が主題の『桜宮サーガ』からしたら異質にはじめは見える。だけど厚労省にガサ入れをして少しずつ事の真相が見えてくる。
『桜宮サーガ』によくあることのひとつだけど無関係な事象や事柄が後々、物語の種明かしになる。
検事や検察が鎌形みたいな人物なら汚職や賄賂などは必要悪程度にしか社会に残らないのかもしれない。社会を完全に清廉潔白にするのは現実的に不可能。
社会には必要悪は必要不可欠。
鎌形はそれをよく理解してる人物に思われる。だけどこの人物もまた彦根先生と因縁ある。
『ナニワ・モンスター』二部の霞ヶ関の描写は『イノセント・ゲリラ』とはまた様相がちがうのも興味深い。
活躍する鎌形たち、ルーレットする斑鳩たち、『イノセント・ゲリラ』がまだ社会のおもてに出ている一面とするなら『ナニワ・モンスター』二部は霞ヶ関の裏もしくは闇の一片でしかないかもしれない。
Aiセンターもしくは死後画像センター、正しくはどちらも同じ機能を施設ではあるが医療か警察主体で名称が変わることが示唆されている。
これらも霞ヶ関の国民が知らない一面かもしれない。フィクションではあるけど。

  • No.380 by 風人  2016-11-22 07:08:04 

『輝天炎上』のラストにおいてすみれは死なないと天馬くんに言い残しているから死んでない可能性もある。
だけど『ブレイズメス』『螺鈿迷宮』を経ての桜宮姉妹、双子のDNAもしくは遺伝子の因縁。
『輝天炎上』のすみれ視点の物語はまさに憎しみに満ちている。マリアクリニックの曽根崎理恵先生、茉莉亜先生も桜宮一族と血脈や因縁があるのも驚き。
だけど三枝先生が罪に追いやられたのは小百合からの因縁ともいえる。

反面、すみれは『輝天炎上』で一見こちらは空虚に書かれてるようで鶴岡師長との縁、兄である城崎との接点からかろうじて実存を得ている。
小百合もすみれも戸籍という現実からは亡くなっていて存在はしてないことは同じ。
同じだけど似て非なる。
小百合は憎しみにとらわれながら斑鳩や南雲父娘という社会組織にいる者たちのバックボーンが存在する。
たいしてすみれはやや社会から離れた鶴岡師長や兄城崎という社会の枠組みから離れた協力者や親しい者。
たぶんに愛情や人間的な面からしたらすみれに分がある。
権力組織を背景に持つ小百合はそこがやや欠けているかもしれない。
だけど、双子ゆえに鏡合わせかもしれない。
マリツィアも真実を知りながら小百合には多く語らない。

  • No.381 by 風人  2016-11-23 13:58:29 

『輝天炎上』での実存がないまま生きているすみれや小百合の気持ちはいかがなものか。
死亡届は出され戸籍は存在してないだろう。
だけど生身の身体を持ち生きてはいる。
その一方で東城医大に憎しみに駆られる思い。
『輝天炎上』で桜宮家を再興しようとする動きは皮肉なことにふたりにそれは見られない。
小百合は復讐に燃えすみれは阻止しようとする。
巌雄先生や華緒さんにしたら生きている道があるならしあわせに生きて欲しかったのではないでしょうか?
なにぶん巌雄先生は『螺鈿迷宮』で亡くなっているのでその真意は謎のまま。
巌雄先生はいずれ白鳥さんが“出る杭は打たれる”みたいな形である種の予見はしている。
誰が白鳥さんに刃を向けるかは『桜宮サーガ』は登場人物が多いためにわかりにくい。
もしもすみれや小百合が『輝天炎上』後に生きていたらその可能性はないとはいえない。
『桜宮サーガ』の世界では死者が生き返ることがあり得る世界であるかもしれないから。
ひとつひとつの本やシリーズ全体に謎や伏線が散らばっているからどこかでその線を辿って人物や物事が生きているあるいは息を吹き返すことがある。
だからすみれや小百合が『輝天炎上』で亡くなったという風に思えないのかもしれない。

  • No.382 by 風人  2016-11-23 15:06:10 

巌雄先生は「すみれが戻れば桜宮家は安泰だ」みたいな表現を残してもいましたね。
もしかしたらこれが桜宮家再興の言葉かもしれない。
ただあくまで亡くなる直前の言葉だから嘘はないと思われる。
それにすみれにしても『輝天炎上』に「わたしは死なないわ」と言葉を残している。
すみれの心から田口先生への気持ちが消えていないのは『輝天炎上』で彼がAiセンター長をつとめたことへの驚きから理解できる。
小百合は東城医大も田口先生もおなじにしか見えていない。
だけどすみれは東城医大と田口先生を組織とかつての恋人(?)ということかろうじて分けてみている。
『螺鈿迷宮』『輝天炎上』をとおして読むと小百合は憎しみにとらわれているけどすみれはいざとなると不器用なぶん人間らしくもあると思われる。
実際に過去の田口先生とのいきさつは物語のいくつかで田口先生をとおして邂逅として語られ『肖像』で彼は人知れずその過去に涙する。
『輝天炎上』でのすみれの驚きとはまた対照的ともとれる。
田口先生、桜宮すみれのつながりは『肖像』『輝天炎上』を読む限りは絶たれたようにも思えない。
この辺もいずれは回収されるのか。

  • No.383 by 風人  2016-11-24 16:34:19 

『輝天炎上』は基本的に天馬くん、冷泉深雪、桜宮小百合、桜宮すみれの視点で物語が語られる。
同時に『ケルベロスの肖像』の裏側でもあるため天馬大吉が事実上は物語の中心に位置する。
『肖像』『輝天炎上』共にクライマックスの場面では西園寺さやかに化けた桜宮小百合に一蹴されるもののすみれから託されたことを担う。
だけど『肖像』『輝天炎上』においてはいちおうの勝利をおさめたのは小百合自身の情念でしょう。
桜宮のAiセンターを崩壊させた事実。それは幽霊でも何でもないそこにある現実。
『肖像』においても斑鳩室長はそれを認める度量。だけど彦根先生はこれを敗北とする潔さもある。
高階病院長や田口先生は徒労に終わるむなしさ。
天馬くんは城崎さんを通じて知るすみれの生存とクライマックスの別れ。
これらがおそらくまた天馬くんの人生を左右することはあるでしょう。

  • No.384 by 風人  2016-11-26 12:16:27 

速水先生を一度は東城医大に復帰させようと『ケルベロスの肖像』でありこの時は高階病院長の判断で留意された。
時期尚早と判断された旨はあったよう。
しかし『モルフェウスの領域』でもまだ東城医大に戻っていなかった。
速水先生が東城医大に戻っていない意味はなんだろうか思う。
東城医大の倒産は免れたが『領域』においても経営が順調かは不透明。明らかにわかるのは医療が先細りしてる現状は『領域』でも伝わる。
おそらくその辺の懸念もあるんでしょう。
速水先生が“大人になる”のを高階病院長は見守りおそらく桃倉センター長や世良先生に彼の成長を見守らせているのかもしれない。
『極北ラプソディ』を速水先生の視点で読むととてもよそ者の雰囲気はしない。だけどある程度の境界線は保ちながらいずれは雪見市の救急センターを去るよそ者という自覚はあると思われる。
桃倉センター長や伊達先生たちに時ににらまれながらも地道に成長や反省の兆しはある。
桃倉センター長はともかくとしても若い伊達先生や五條さんたちにしたら速水先生は苦労の種でも救急センターに患者を呼ぶ存在。
花房さんと別れたことでもひとつの成長はあったと思われる。
だけどまだまだ東城医大に復帰させるにはまだ何か足りないものがあるんでしょう。
速水先生不在のなか佐藤先生や如月さんたちの成長を促す意味も当然あるでしょう。
桜宮に速水先生が復帰された時に何かが成されるのか?と考えるのは読者としては深読みでしょうね(苦笑い)。

  • No.385 by 風人  2016-11-27 05:56:33 

『スリジエセンター』は未読だけど『肖像』や『輝天炎上』の人物たちが天城雪彦を語る様子をかんがみたら彼が失意のもと亡くなった可能性を否めない。
そもそも20年以上の時が経ったうえでのタンピング。
陣内教授やマリッツアの語る天城先生への思いや邂逅。
高階先生側からしたら『肖像』で陣内教授から代理店のメアドを聞く描写はあったけど最終的にAiセンターが小百合により崩壊したために代理店を通してマリッツアまでたどりつくことをしたかは不明。
Aiセンターそのものが崩壊したことで建築家まで確かめようとする気持ちがあったかどうか。高階病院長の『肖像』のラストの様子ではその気持ちさえなかったようにも思う。

  • No.386 by 風人  2016-11-28 06:23:41 

シリーズ全体を通して斑鳩芳正室長は実体が見えないような存在。
登場人物の誰もが印象をはっきりさせないというのもひとつの印象。
だけど医療に対しての姿勢ははっきり敵意を示している。
『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』『ナニワ・モンスター』などどの作品にあらわれても不気味な存在。
なにかの作品で田口先生が自然の作る闇よりも人間が作る闇の方が怖いのでは?と示唆する思いがあったと思うけど斑鳩室長はまさにそれを具現化した人物かもしれない。
霞ヶ関の闇もしくは暗部と表現すべきか。

  • No.387 by 風人  2016-11-28 13:38:32 

『螺鈿迷宮』を読むたびに碧翠院つぶしは正しくなかったように思われる。
安楽死などの行為はたしかに犯罪だけど、桜宮の闇を一手に引き受けた存在でもあった。
天馬くんはすみれと小百合を通して碧翠院を学び巌雄先生から短い間ながらも医者として必要な心や信念を教わる。
だけど患者が次々に亡くなる碧翠院はホラーでありミステリー。
描写のいくつかが都市伝説ぽいところも相まって不気味。
読んでるとバブル三部作(『スリジエ』は未読)をのぞけば『螺鈿迷宮』は平成や21世紀の時代なのになぜか昭和の雰囲気を醸し出すシリーズ。
この時点の天馬くん若いけど続編『輝天炎上』でもまだまだ若さを残す。
『輝天炎上』の高原美智さんとの別れはちいさな一歩のように見えて実は大きな一歩であると思う。
『輝天炎上』ではAiと死因不明社会について彼と冷泉深雪がいろいろな先生方に出会い学ぶことで社会の見えない壁や問題に突き当たり向き合うというのがひとつの姿勢。
清川司郎先生はたしかに臆病なところはあるけどそうせざる得ない姿勢は社会もしくは組織に属する人間には本人の意思に関係なくあること。
妥協や臆病、あるいは他人に意思を委ねるのもやむを得ない。

  • No.388 by 風人  2016-11-29 06:45:29 

田口先生みたいにいっこうに女っ気がないのと天馬くんみたいにふたりの異性に挟まれるのはどちらがしあわせだろう。
田口先生とてスケベ心程度は備えているのは『ケルベロスの肖像』でようやく姫宮香織と会う口実ないし理由を利用してることから必ずしも女っ気を意識してないわけではない。
だけど職場たる不定愁訴外来には東城医大の生き字引がひとり藤原真琴看護師がいて目を光らせている。
『バチスタ』では大友看護師といい仲になりそうだったのを阻まれ『沈黙』では浜田小夜に知らないこととはいえ父親に重ねられたり『凱旋』では如月翔子と親しくはなるが恋愛関係には当然のようにいたらない。
田口先生が双子の桜宮姉妹とある一定の関係を絶ってから彼のまわりに際立った異性はいないみたい。
基本的に東城医大から出ることは少ない。

片や天馬くんは幼馴染みでも別宮葉子がなんだかんだで時に彼をこき使いねぎらいながらのつかず離れずの間柄。
『輝天炎上』での冷泉深雪との出逢い。落第留年生と優等生とこれまたラノベやアニメみたいなありえないシチュエーション。
死因不明社会とAiについての問題を東城医大、浪速府や房総とあちこちをふたりしてまわりながら距離が近くなる。
『輝天炎上』は『螺鈿迷宮』同様に天馬くんを主役に置いているから物語の内容が若く描写されてる。
医学生や留年落第生徒という天馬くんの立場や位置。一方では深く刻み込まれた桜宮家との因縁、一方では冷泉深雪との異性への恋心に近い感情や思い。
若いけどだからといって感情や気持ちのおもむくままに行動や発言はしない。多少の医療社会や田口先生をはじめとした大人たちへの感情はあるけど。
だけどそこから学び取れるなにかを得ている。
冷泉深雪という優等生な異性がいることで際立つ一面。
だけど恋愛関係として考えると三角関係はふつうに苦労ありそう。

  • No.389 by 風人  2016-12-02 13:44:36 

『外科医 須磨久善(ひさよし)』があった。
中古書店で280円。ちょっと安かった。
本来なら『スリジエセンター』や『スカラムーシュ・ムーン』から再び読むところだけどあいにくこの二冊は見当たらないorz。
著者である海堂尊先生もまたこの本の須磨久善もどちらも医者であり作家であるという共通点。
医者であり作家でもある海堂尊先生が同じ職業の実在の人物を書くという。
『伝説』で解説は読んだはずだけどいまはあたまから抜けているorz。
だけど『外科医 須磨久善』の冒頭とあとがきちらっと見たら海堂尊先生からの言葉、そして『ブレイズメス』で書かれた“公開手術”という言葉が真っ先に現れている衝撃。そしてあとがきには再び著者で海堂尊先生から、さらにドラマ『相棒』の杉下右京を長く演じている水谷豊からのあとがき。
『ブレイズメス』のあとがきでも作家西尾維新さんが書いてましたが『外科医 須磨久善』も劣らない雰囲気。
『ブレイズメス』で天城雪彦がおこなった公開手術を須磨久善先生なる人物は現実におこなったということか。
ノンフィクションということだから海堂尊先生を通した現実が伝わることになりそうな一冊。

  • No.390 by 風人  2016-12-02 15:39:10 

『外科医 須磨久善』ちょっとだけ読んだら須磨久善なる人物が『ブレイズメス』の天城雪彦先生のもとになった人物ぽい雰囲気を醸し出している。
“公開手術”そして海堂尊先生は須磨久善先生の公開手術をギャンブルと表現しているこのふたつ。
海堂尊先生の表現力などもあると思うけど。
だけど須磨久善先生が公開手術したのは1992年というこの年月の古さというのも衝撃な事実。
バブルがはじけた日本の時代。
ノンフィクションという本だから無意識に自分が生きた時代を重ねたかもしれない思い。
しかしみごとに海堂尊先生の『桜宮サーガ』の『ブレイズメス』とも重なる時代。
明らかに天城雪彦先生は現実の須磨久善先生からの思いやイメージから出てきた人物と考えた方が妥当だろうか。

  • No.391 by 風人  2016-12-03 06:25:16 

『外科医 須磨久善』を読むと海堂尊先生が須磨久善先生をもとに『桜宮サーガ』のいろいろな人物に投影させている雰囲気ある。
だけど医療社会の現在も書かれている。“日本人は新しいことに拒否反応を示す”のくだりは医療に限らずほぼすべての世界や分野にあることと思われる。
『ブレイズメス1990』の天城先生の公開手術とギャンブル、『田口白鳥シリーズ』の白鳥さんによるAi提唱、彦根先生の医翼宣言、医療庁など。いくつかはフィクションの物語を通しての現実への呼びかけであると思う。
『伝説』を読むと海堂尊先生が書かれたことのいくつかは現実に追いつかれているらしい。
架空の『桜宮サーガ』世界とこちらの現実世界が重なっているところもないわけではない。
もしかしたら『外科医 須磨久善』などいくつの本を通してあちらの世界とつなげているのかも(笑)。
だけど『桜宮サーガ』な世界でも田口先生たち登場人物たちは医療が誰のためなんのためにあるのか日々を悩み葛藤する。
答えを見出だそうとしながら答えは見つからない。
海堂尊先生の本を読むと医者が日々悩みながら病気や患者あるいは地域地元に接しているのが伝わる。

  • No.392 by 風人  2016-12-03 11:25:03 

『外科医 須磨久善』はノンフィクションだから海堂尊先生が須磨久善先生を取材したことを追っていってる点が架空の『桜宮サーガ』シリーズとは異なる。
過去からおそらく現在への須磨久善先生を追っていって書いてたはず。
1992年と冒頭に出てきた時にふつうに驚いた。90年代なんてつい最近までそんなむかしではないと思ったけど現実の自分が歳を取ったことへの現実も見えるから自分に重ねあわせたらむかしなんだということ。。
だけどそんな古い時代に公開手術という場を設けるだけでも本の中でも現実に例は少ない。
なおかつ衆人監視のもとで手術をしながら質問者に的確に答えあまつさえ当然、ミスは許されない。
この辺の描写はまんま『ブレイズメス』の天城雪彦先生を彷彿させる。だけど『ブレイズメス』は架空世界の出来事、『外科医 須磨久善』は現実にあった出来事。
読んでた『桜宮サーガ』の世界そのものが現実に一部であれ起きてたといいこと。
また須磨久善先生の奥さんが出てきたところも現実味ある。旦那さんの活躍を心配なさってたと思われる。
こういうところも『桜宮サーガ』の人物たちに重ならなくもない。
医療従事者の家族というのも『伝説』で医者ではないけど三船事務長を通して語られた場面があった。
いろいろ重なって読めるのはすごい一冊かもしれないと感じ始めているかもしれない。

  • No.393 by 風人  2016-12-06 05:37:51 

『外科医 須磨久善』を読むと須磨久善先生の半生はバラエティに富んでる。
バチスタ手術をOKした院長もさりげなく凄い。もしも失敗すればおこなった病院の信用にも関わることなのに須磨久善先生に承諾する。
だけど『外科医』にいくつか書かれている事柄、阪神大震災の出来事などや『プロジェクトX』に取り上げられたこととか現実の重みが伝わる。
須磨久善夫妻には子どもはいないけど犬を買っていたらしい。
だけど犬が病気になった時はいくら本人が医者であっても獣医ではないからうまく伝えられなかったり獣医とのコミュニケーションのむずかしさもあったよう。
おそらくそんなところも医者としてのコミュニケーションに考えたり役に立てようとしてた節もあったんじゃないでしょうか。
外国で安住の地を持っても飼い犬が道を示してくれたというのも運命的。
世の中にはなにかしら人間関係や天運に恵まれた人物がいるかもしれない。
人生に選択肢はあってもいちばんむずかしい選択することは大抵の人間はしない。
だけど須磨久善先生はそれができる人生のよう。

  • No.394 by 風人  2016-12-08 09:43:44 

『ブラックペアン1988』『ブレイズメス1990』あと未読の『スリジエセンター』が『桜宮サーガ』の世界ではバブル時代にあたる。
『ブラックペアン』には花房さんとデートする若き日の世良先生が「となりのトトロ」を見に行くという描写があったり『ブレイズメス』の時代には医療従事者たちが病院の食堂で食事をする場面があったり21世紀の今日(こんにち)からしたらあきらかにちがうのが伝わる。
バブル時代で浮かれる日本人の姿を海堂尊先生は医療については荒波の時代として書いてる節はあるかもしれない。
作品内の高階先生と天城先生の対比を見る世良先生が客観的にふたりを見つめることにも時代の息吹きがあるかもしれない。
またノンフィクションである『外科医 須磨久善』は冒頭からいきなりバブル時代の現実のなか須磨久善先生の活躍が語られる。
以前にも書いたけど『ブレイズメス』の天城先生と現実の須磨久善先生は重なる。
フィクションあるいは現実にせよ高度成長期とはちがう意味で日本人が輝いていた時代かもしれない。虚飾であった可能性も否めないが。

  • No.395 by 風人  2016-12-08 19:53:07 

『外科医 須磨久善』のあとがきになぜ水谷豊さんのあとがきがあったのか謎だったけど読んだらなぞでもなかった。
ドラマ『外科医 須磨久善』で須磨久善先生を演じられたようですね。
それにしても須磨久善先生の半生にしても人生の選択に迷うことはあるだろうしつまずきということもあるだろうけどすべてや完璧、完全というのは読んだら求めていない雰囲気。
失敗も成功もあるだろうけど大半が自分にとって前向きでありわがままを言わなければたいていはうまくいくみたいな感じ。
以前に読んだ『ゲゲゲの女房』の水木しげるさん武良布枝さんにも近いところはある雰囲気。
なにをしあわせとするか?というところは共通している。

  • No.396 by 風人  2016-12-15 16:01:47 

今年は『ブレイズメス1990』『ナニワ・モンスター』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』『玉村警部補の災難』『モルフェウスの領域』『外科医須磨久善』と海堂作品を七冊読めた、例年にない本に出会えた年。

個人的に名作だったのは『ブレイズメス1990』『ナニワ・モンスター』『外科医須磨久善』の三冊。
『ブレイズメス』では謎の人物だった天城雪彦の鮮烈な魅力や人物像。
ギャンブルと人の命をおなじように扱ってみえるように誤解されがちだけど人生がかかっているとしたら全財産を投げ出すくらいの覚悟や手術も必要ではないだろうかと思う。
『外科医 須磨久善』を読むと天城雪彦先生のモチーフは現実の須磨久善先生なのが伝わる。生き方、思想、行動力、運などすべてではないだろうけど。天城雪彦先生にいくぶんフィクションとしての魅力はあるから。
天城雪彦先生も須磨久善先生も医療の現実や社会に立ち向かう姿勢は重なる。『ブレイズメス』『外科医』どちらも読めば伝わるはず。
『ナニワ・モンスター』はまさに日本国内の架空のウィルスに経済戦争シミュレーションモノ。
多くの物語のなかであれこれ謎の動きをしていた彦根新吾先生の謎が明らかになる。
『イノセント・ゲリラの祝祭』『アリアドネの弾丸』『極北ラプソディ』などで何をやってるんだと思いながら追いかけていたら浪速府村雨府知事と一緒になって地方独立を謳い浪速府に医療庁の創設をたくらんでいたとは。読んでて吹っ飛んだくらいに天城雪彦先生とは違う意味で衝撃あった。
来年は『スリジエセンター』と『スカラムーシュ・ムーン』は読んでみたい。

  • No.397 by 風人  2016-12-26 15:28:15 

『カレイドスコープの箱庭』を冒頭を少し読んだら相変わらずいろいろな人物が出てくるけど高階病院長と田口先生の立場の入れ替わりや妙に意気消沈な彦根先生など少しだけ時代は未来になってる。
『肖像』からほんの三ヶ月程度なのに。
彦根先生が落ち込んでおとなしいのは『スカラムーシュ・ムーン』で司法か斑鳩室長に負けたんでしょうか。『肖像』のラストでは意気があったのにまるで可愛い後輩のようにおとなしい。
だけど『肖像』からほんの三ヶ月しか経ってないから東城医大の経営や患者からの信頼がいささか頼りない印象があるようにも映る。
幾多の事件や難題を抱えていた病院なだけに現実ならなおさらと思う。
しかし藤堂文昭、この人はアメリカがよく似合う(笑)。
『桜宮サーガ』内ではノーベル賞に近い人物とされるだけにインパクトある。

  • No.398 by 風人  2016-12-27 16:25:29 

『カレイドスコープの箱庭』のアメリカの一場面。
よもや曽根崎伸一郎の登場もあったのは驚き。ネットだけでなく直に本人が足を運び議論するのは好感ある。
あの藤堂文昭を唸らせるのはたいした存在。
『箱庭』でのアメリカへのAi標準化国際会議は無駄足ではなかったのは明らか。『肖像』で桜宮のAiセンターは破壊はされたが、ひとの思想までは消せなかったとうかがえる。
『祝祭』においてもひととのつながりは広いようで狭いと表現されてたけど海堂作品はそういうの多々ある。人物たちがさほど自覚してないだけ。現実にも通じるところ。
田口先生は『バチスタ』以降、人脈を広げているのは事実。おそらく『箱庭』や『領域』などの経験が未来の東城医大ひいては桜宮に通じている雰囲気ある。
上昇志向がないのは変わらないけどさすが次期病院長に就くというのは難色を示す。
明らかに佐伯前病院長や高階病院長とタイプが異なるのもあるし田口先生が権威を振るうひとではない。
だけど『箱庭』『領域』ともに白鳥さんや如月翔子などは着実に田口先生を次期病院長に、という雰囲気もある。高階病院長に似てきたとあるし(苦笑)。
ある意味誉め言葉ある意味ちょっとした嫌みも含んで。

  • No.399 by 風人  2016-12-28 06:24:25 

田口先生は成長してないようで成長や進歩はあるでしょう。
物語の時系列がほんの三、四年程度ですからね(苦笑)。
『箱庭』での高階病院長とのやりとりを読むと『バチスタ』『凱旋』『沈黙』『弾丸』からとかなりちがう。のらりくらりとやり過ごそうとしてたのに比べたら『肖像』『箱庭』は意外なくらいにあっさり依頼を受けている。
不定愁訴外来だけやってるよりははるかにアクティブに動いているということ。院内業務としては不定愁訴外来、リスクマネジメント委員会、Aiセンター長。
Aiセンター長の肩書きはてっきり『肖像』でのAiセンター爆破事件からなくなったと思ったら存在したままなのは少し驚いた。
組織に属す限りは肩書きはかんたんに消えるものではないということか。
だけどもし『肖像』でもし病院が破綻してたら『箱庭』での同窓会はなかった可能性もある。
そういう意味では『肖像』のラストで高階病院長の言い分をひっくり返したのは田口先生たちにとってはプラスだったかもしれない。
桐生先生は一時は医者は廃業かと悩んでたのは気の毒だったけど子どもを助けたいという一心が『ブレイズメス』でもわずかに語られてたけど『バチスタ』から『箱庭』へとようやくつながる。
ある程度の登場人物への救いある措置はしてある。

  • No.400 by 風人  2016-12-31 04:32:00 

『相棒』シーズン6の白い声のノベライズを読んだけど海堂尊作品にそっくり。
だけど死体が画像診断は現実には数えるほどしかされてなく事件性がないまま扱われる。
海堂尊作品はそこに切り込んでいくことで作品を通して社会に問題提議をしてゆく姿勢。
『相棒』の「白い声」については犠牲となる人物が重たい。
死ぬ必要があって訴えるのはドラマだからかあるいはあえてテーマを伝えるためにやむない演出なのか。
さりげなく舞台が城南大学というのは『仮面ライダー』ぽい点は面白かった。

『桜宮サーガ』と『相棒』シリーズは違う。
『桜宮サーガ』はほとんどの作品は医療や医療従事者があってそこに日々の難題や事件あってなにかを訴える。
Aiを伝えるのは“死者に耳を傾けろ”と『バチスタ』から唱えたり訴える人物は作品により異なるけど一貫している。
だけど『極北クレイマー』の三枝先生みたいになまじAiをしてなかったばかりに証拠を不十分とされ逮捕に至ることもある。つねに世の中に悪意がどこかに潜んでいたり闇に手を伸ばす者もいる。
『相棒』シリーズも共通してるのはどんな地位ある人でも犯罪に手を染める者がいること。
なりゆきから犯罪に手を染める者たちもいるが中には加害者でもあり被害者もいる。
右京が許せないのは何者であっても犯罪行為に手を染める者に彼は憤る。

とはいえ『桜宮サーガ』の白鳥さんは『螺鈿迷宮』で桜宮巌雄先生から警告を受けている。
いずれは白鳥さんが誰かの標的にされる、と。
これは『相棒』における右京ら特命係が常に警察上層部から疎まれたりまたは別な第三者から狙われていることに似る。

  • No.401 by 風人  2017-01-02 07:53:52 

『チーム・バチスタの栄光』から『カレイドスコープの箱庭』までおおよそ三年経っているけど、電子カルテに嫌いを示す医療従事者もいるということ。
以前に母が地元の医療センターにお世話になった時も母を診たお医者さまが電子カルテよりは紙のカルテの方が書いているというようなことをおっしゃってたかな。
だけど時代やハイテクの流れがある。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むとハイテクとローテクの両方が生きているところもある。
必ずしも最先端やアメリカ諸外国の医療が正しいと思うわけでもないという風潮やむかしながらの堅い意識を持つ医療従事者などもいる。
どこかでそういうのが時に時代の妨げにもなるしまた逆にむかしながらだから信頼あるというのもある。
どう何を受けとるかでそのものの印象は異なる。

  • No.402 by 風人  2017-01-04 18:55:38 

『カレイドスコープの箱庭』で速水先生と彦根先生の会話から察するに彦根先生は今中先生が極北市民病院に不在の時に訪れているような雰囲気。
実際、『極北ラプソディ』で今中先生と彦根先生は一切出会っていない。
今中先生を雪見市救命救急センターに派遣した時にも目に見えない日本三分構想やドクタージェット構想などを話し合ってた可能性はある。
だけど速水先生はどこで世良先生が彦根先生と会ってるのを耳にしたのか。
医療の人間関係は広いようでせまいとあるから何かしら風のうわさは流れてきたかもしれない。

  • No.403 by 風人  2017-01-05 09:00:03 

白鳥さんがなぜ官僚を志した(?)というのも興味あるところ。
『ナニワ・モンスター』での描写からかなりAiに早い時期からこだわっていたのがうかがえる。
基本的に東城医大が舞台になることが多くライバル帝華大についてはまだまだ語られていないのではない。
ある程度は各作品の描写や台詞から拾えるけどイコール具体的に語ってるわけでもないから読者にしたらいささかなぞになる。

  • No.404 by 風人  2017-01-06 16:14:03 

『カレイドスコープの箱庭』において田口先生ほど特異な存在な准教授は現実にはいないでしょう。
だけどいくつかの作品では海堂尊先生は論文ありきな医療界にある種の警鐘を鳴らしてもいる。
かといって論文警視ではないとも思う。『極北ラプソディ』で世良先生の口を借りて論文批判はするけど研究が滞っていた今中先生にひとつのチャンスを与えてもいる。
今中先生の方が平凡な医師として書かれている。田口先生が特殊なだけ(苦笑)。
論文は書いてもいないAiに理解はしてても放射線科医でもないのにAiセンター長を東城医大でつとめAi標準化会議に出席し出席者を束ねないとならない。
Aiの在り方を『箱庭』であらためて説いているともいえる。
もし高階病院長が本当に引退したら次期病院長は田口先生なんでしょうか。『箱庭』では田口先生と不定愁訴外来に口を出す者はいなくなってしまう現状。唯一は兵藤先生だけが犬のようにしっぽを振るだけ。
だけど『箱庭』で白鳥さんと兵藤先生がある程度どのような情報交換をしてるか明らかになったのもおもしろい。鬼の居ぬ間、というのをふたりは巧みに利用してたみたい。
だけど藤原看護師は不定愁訴外来に予期せぬ来客があるたびに出勤しては珈琲を淹れては先生たちの世話をするのも大変な労苦かもしれない一面もまたうかがえる。
大学病院の人間模様がうかがえるのも魅力。

  • No.405 by 風人  2017-01-07 09:21:24 

とりあえず文庫化になってる本から読んでいきたいけどもうかなり読んでるから実質は少ないはず。
『モルフェウスの領域』の続編『アクアマリンの神殿』からでしょうか。
『領域』はある意味SFであり複雑な恋愛モノとも取れる、やや視点が違った作品だった。
西野さんは嫌みな人ではあるけど決して不誠実ではないと思う。頭いいぶん嫌みさがおもてに出てしまうもしくは誤解を生む人物ともいえる。
仕事そのものについては『極北ラプソディ』や『領域』においても真剣そのものがうかがえる。ちゃんと己のテーマを具現化しさらに追求する。
恋愛するとやや厄介にも思える人物ではあるかもしれない。
西野さん涼子さんの関係が輪廻の輪のようになるのか。
『領域』のコールドスリーブ(冷凍睡眠)は人類の夢ではあるけど一方では被験者の人生や権利を奪うものでもある。
それを田口先生や如月翔子、高階病院長東城医大は守らないといけない側面もある。
医療が社会により成り立つ一面はあるけど逆に社会がその進歩を止めたり阻む一面も『桜宮サーガ』にある。

『極北シリーズ』はそのなかでも端的かつわかりやすく描写してた。
市民病院の破綻、地域地方の首長の政(まつりごと)しだいで町や市の運命が左右にふられる。

『領域』のようにコールドスリーブがもしも未来において日常的になれば問題は無数にあふれ出る可能性は否めない。
『桜宮サーガ』は過去、現在、未来の時間を紡いでいる。
無関係な事象はないということ。

  • No.406 by 風人  2017-01-09 05:46:41 

桜宮市に人物が来るのは土地や結界に招かれるからでしょうか。
田口先生をはじめ白鳥さん、桜宮姉妹、斑鳩芳正、加納警視正、幾多の人物が桜宮を訪れては難題や事件あったり。
不定愁訴外来を結界と呼んだのは田口先生、藤原看護師、加納警視正くらいでしょうか。
もとは田口先生が医学生時代にサボりの時にたまたま見つけた東城医大で設計ミスからできた物置部屋。
それを田口先生は自らの職場にして不定愁訴外来にした。

だけど桜宮市にはまだまだ結界がいくつも存在する。
碧翠院桜宮病院があった土地もそう。『輝天炎上』ですみれ・小百合姉妹が潜伏してた場所は殺人事件があったアパートとされる。
『伝説』の城東デパート火災も加納警視正たちによると桜宮の負の遺産。

これらが意味してるものは何なのか。
意味なんてないかもしれないけど。

  • No.407 by 風人  2017-01-10 14:49:00 

『ブレイズメス』で触れられていた富士見の診療所を舞台にした話も見てみたいもの。
不定愁訴外来ができる人は根気ある人やひとの話を聞くことをよろこびに変えないとできないと思われる。
『ブレイズメス』から『極北ラプソディ』の世良先生の患者の対応や接し方あるいは治療ということへの考え方など考えたらまるで別人。
『ラプソディ』では長々と話す患者のおばあちゃんに対して親身に接してはお土産を手にして感謝を示す。
『ブレイズメス』では手術や治療をしたいと意気込みはあるけど患者に向き合ってるかはいささか疑問の余地はあるように思われる。

不定愁訴外来で愚痴や不満を聞くのもひとつの治療行為。患者の精神的ケアは結果的には病院内の精神的ケアにもつながる。
『ナニワ・モンスター』でも浪速府のちいさな町の診療所でもいちおうの効果は示していることからもあらわれていた。

富士見の診療所はどんなところでどんなお医者さまがいて患者にどんな治療をしているのかというのか興味深い。
不定愁訴外来は『田口白鳥シリーズ』でさんざん書かれてるけど他のお医者さんの治療も見てみたい。白鳥さんが『螺鈿迷宮』で患者と話ながらおこない『極北クレイマー』でも姫宮香織も若干はしてたけど。
不定愁訴外来が必要な時代なんでしょうね。

  • No.408 by 風人  2017-01-11 06:55:38 

『カレイドスコープの箱庭』で桐生先生、彦根先生、速水先生のそれぞれの立場でAiをどうとらえエシックスとどう接するかで各々の考え方がわかるのもおもしろい。
彦根先生が年下なのもありある意味、わずかながら本来の性格が彼はあらわれてるみたいでもある。
対して速水先生は救急の立場から物事をとらえるあまりにスピードスターではあるけど世界観に欠けるというところでしょうか。
桐生先生ほどに医療の世界や現実を理解するにいたらない。
桐生先生は一度挫折してることもあるしある種の領域に達しているから語れる。挫折しないと学べないこともある体現者。
手術できない医者が哲学者になるという表現にひとつの挫折と苦労が感じられる。
まだまだ彦根先生や速水先生は島国の医者というとらえかたもできる。
『ブレイズメス』での発表会での帝華大の面々にかぶらなくもない。
いろいろ人物たちの意見に医療の在り方やAiの未来などが見えてくる。
ただ前向きな未来あれば医療の現実が狭くなっている現実も目の前にあるように迫る物事もある。
常に医療が誰のためにあるか、というのを医療従事者は問われ向かうのもひとつの姿勢。

高階病院長は『ケルベロスの肖像』で一度は病院長の地位から退いたものの田口先生にやりこめられ『箱庭』『領域』においても病院長の立場にいる。そして田口先生たちをはじめとしてイヤイヤながらも彼らを導く立場にいる。
『箱庭』においても市民の要望から東城医大がなくなるのを望まなかった市民たちがいるというのもひとつの展望。
だけどなぜ田口先生が次期病院長なのか?という謎は明らかではない。
佐伯前病院長や高階病院長のように手術畑でもないのに。
ひとつ言えるのは出世欲にまみれてないことや病院内をある程度、把握できる立場にいたということ。不定愁訴外来やリスクマネジメント委員会のポジションから適切だったとうかがえる。

  • No.409 by 風人  2017-01-11 07:44:25 

海堂尊先生、『伝説』の自身の半生でチャンスを得てもいるけど逃してもいるが『箱庭』の半生を綴っていますが逃してますね。
『笑っていいとも!』に出演できる機会があったのに逃してしまったというorz。
ただこの時期はテレビ出演を控えてたとあったから出演しなかったのは天啓ではなかったでしょうか。
『伝説』でもだったけどなにかを逃したらまた別なチャンスや機会はおとずれると思われる。
これらの経験は結果的に作品や作品内の表現に生かされているように思う。
田口先生はAiセンター自体は小百合により崩壊したはずなのにセンター長の肩書きは残るみたいになる(苦笑)。
それと似たり寄ったりに思う。

医療ミステリーとして『桜宮サーガ』は作品世界が構築されているから医療関係者や医療に興味ある読者が手にする作品。
注目の度合いがちがうと思われる。
だけどけっして日の目を見ないわけではない。
ちゃんと社会に根ざし問題提議をしてると思うし架空の『桜宮サーガ』世界とこちら側の現実がいくつか重なってると思う。

  • No.410 by 風人  2017-01-11 18:20:19 

加納警視正と玉村刑事のお遍路いくいかないのやり取りは海堂先生のお遍路ミステリーへの憧れでもあり布石みたいですね。
『玉村警部補の災難』に収録されている「エナメルの証言」でわずかに四国が数行書かれるだけで終わっている。
だけどお忙しい合間に日本各地で講演してるから四国にもお越しになってたんですね。
しかし遍路参りは短時間でそうまわれないのも切ないはなし。

  • No.411 by 風人  2017-01-12 05:43:16 

組織の上にひとを使うのと組織の中や下にあって使われる者。
『桜宮サーガ』では田口先生が物語では『バチスタ』から『肖像』までは前者であったけどやや『箱庭』では立場が異なる。
表向きな立場は高階病院長が上司であるが『肖像』のラストに引退を決めてたのに部下である田口先生に言い括られ結局、立場として変わらないまま。その心情は別として……。
だけど『箱庭』では田口先生が助言を求めたことから経験者としてそれなりに適切なアドバイスをせざる得ないし実際にアドバイスをしている。
『モルフェウスの領域』で被験者であるアツシ少年の人生を守るためやこれからの医療のためにも田口先生に論文を書きなさいと指示している。

心情としての立場は逆転していても病院長や以前の経験もあって高階病院長は部下たちをしっかり束ねている。
『肖像』や『箱庭』においては部下に一任するプレッシャーや責任の重さについてはやや吐露した心情から組織の上に立つ者の苦労がうかがえる。
だけど『箱庭』では田口先生から助言を求め『領域』ではこれからの医療のためやアツシ少年のために指示や示唆ができるおこなうのは人の上に立つ資質があったのではと思われる。
バブル三部作の過去の悔やみや省みたことのあらわれでしょう。
勝者なだけでは人の上に立てないことの具現ともいえる。
ただの腹黒タヌキではない。底が深い、と思う。

  • No.412 by 風人  2017-01-13 18:58:04 

『桜宮サーガ』シリーズはあらためて読むと謎が解けるところもあるけど謎が深まります。
『玉村警部補の災難』に収録されている「四兆七千億分の一」に出てくるネットゲームの話題で被疑者の馬場利一がバンバン、ヘンロは玉村警部補。
ユナちんはもしかしたら『極北クレイマー』に登場した布崎夕奈の可能性あり。モズクは不明。
ドミンゴは『箱庭』で名前だけ出たドミンゴ教授でしょうか?
海堂作品特有の符号や他作品への伏線はあると思う。

  • No.413 by 風人  2017-01-14 07:44:18 

『箱庭』で田口先生の肩書きにリスクマネジメント委員会はともかくAiセンター長と電子カルテ委員会の肩書きを残したのはいざという時のための措置なんでしょう。
もしその肩書きを必要とする難題や事件があった時のために慣れた人物が組織内で動きやすいのもあるし反感を持つ人物がいたとしても反発が少なくスムーズでもある。
肩書きを置いておくことで長く組織内の環境に抑止力にもなる利点があるともいえる。
新たに肩書きをもらった人だと事情を聞くのさえ厄介だろうし余計に手間がかかることもある。
『桜宮サーガ』はけっこう組織内に良くも悪くも組織ね利点と悪癖どちらも等しく描写されている。肩書きある人物はそれなりに本人が厄介に思えばこそまわりからも面倒だけど結果的には組織を守ることにもなる。

  • No.414 by 風人  2017-01-14 10:03:49 

組織において肩書きが必要不可欠は否めない。
Aiセンター長の肩書きを『肖像』の時点で消していたらまた一から行わなくてはいけない。あるいは引き継ぎにしても同様。
電子カルテ委員会の肩書きは『バチスタ』の時点では生きてたでしょうしほぼ電子カルテに移行した時点で役目自体はその時に一度は終えた。
だけどニ、三年の間に電子カルテの目に見えない問題が『箱庭』で浮き彫りにされた。
高階病院長が田口先生からその肩書きを消さなかったのもひとつのリスクマネジメントや組織の上に立つ者の判断。
不可避とされない事態への予見であり保険。

もうひとつは田口先生が肩書きによる権力を無駄に行使しない人物というのもある。
職権乱用にいたることはしない人物だからこそ肩書きを温存し生かすことができる人物ともいえる。白鳥さんがいることで悪評がついてしまうのはおまけみたいではあるが。

田口先生は兵藤先生が適任と思ってるらしいけど彼みたいに組織内を廊下トンビが如くうろうろされたら情報漏洩になるおそれもあると思う。
知らないですむ情報があるなら越したことはないしよけいな軋轢を生むことはない。
田口先生がAiセンターやリスクマネジメント委員会、電子カルテ委員会の長が適任なのは彼ひとりが背負うことで組織が安全に運営できる。
よけいなことを漏らさないだけそれは組織内にとっては信用に代わる大きなこと。目には見えてあらわれるわけではないけど地道に長い目ということでしょう。

  • No.415 by 風人  2017-01-16 14:50:54 

『バチスタ』以降、海堂尊先生の『桜宮サーガ』シリーズよく読むようになったけど医療の世界にもいろいろな事情があるということ。
個人的に勉強になったのは『イノセント・ゲリラの祝祭』の悪辣な官僚の骨抜き政策や案など。
『祝祭』では白鳥さんと彦根先生が打破しますけど(苦笑)。『祝祭』の霞ヶ関、厚労省の描写や八神課長と白鳥さんの駆け引きが面白い。
『祝祭』から『ナニワ・モンスター』へとつながる医療庁の旗揚げ、日本三分計画。『極北ラプソディ』にもつながるいろいろな伏線。
『ナニワ・モンスター』のインフルエンザウィルス“キャメル”による中央と地方の経済戦争。
『極北』シリーズ(『極北クレイマー』『極北ラプソディ』)は地域地方の市民病院の経営がいかに大変か伝わるシリーズ。一市民としては『極北シリーズ』がもっとも共感した作品。
バブル三部作のうち読めたのは『ブラックペアン』『ブレイズメス』だけど昭和と現在では医療の形態やニーズがちがうというのもある。
『極北ラプソディ』であったけど科学技術は未来にむけ飛躍的に進んでるけど実際に使う人間はさほど技術ほどに精神的に進歩していない寒々とした現実や現状。
医療という存在がせまくなっているかもしれない現実。
いちがいに“患者のため”という定義にしても医者も患者もそれぞれ求めるものはちがう。
不定愁訴外来みたいな存在はまた必要と思われる。

  • No.416 by 風人  2017-01-18 18:14:59 

『カレイドスコープの箱庭』の冒頭はいくつか触れられている。
かつての桐生先生に思いを巡らしまた『肖像』で失墜したはずの東城医大が市民の声という形の要望で存続していること。
桐生先生がドミンゴ教授の代理という形で一時的に来日というのも『田口白鳥シリーズ』が終わっていることの証し。
高階先生が引退したいというのも組織のトップの重責もあるでしょう。大学病院の職員八百名の人生を背負い病院という職業から患者の命は当然とし医療ミスから患者の遺族から訴えられる危険もある。
だけど前病院長である佐伯清剛から引き継いだ目に見えない理念や信念、教えなどあるでしょう。

しかし『肖像』のラストや『箱庭』での様子を見たら田口先生が病院長になると表向きはガラリと変わる雰囲気はありそう。だけど藤原看護師や黒崎教授などバブル三部作からの人生が引退しない限りはそう変わらないともいえる。
『箱庭』では論文をろくに書いてない田口先生を本来なら黒崎教授が叱るなりしないといけないけど『肖像』のラストで田口先生の背中を推したことで面と向かって言えなくなったのも悲喜劇。
結果的に論文を書くのは『モルフェウスの領域』までおあずけ。
大学病院の時代ごとの環境や人材不足などいろいろな要因があるというのも背景でしょうね。
田口先生みたいな人物は現実にはいないでしょうけど海堂先生は一部の本で論文ありきの在り方をまた批判もしている。

  • No.417 by 風人  2017-01-22 10:37:45 

『カレイドスコープの箱庭』はいろいろなことが書かれているけど白鳥さんのAi標準化会議のよけいな人物や組織外しは半ば確信的でしょう。
あるいは書き手の海堂先生が今回の物語に関係ない司法対医療の図式から外したかった思惑もある。
だけどAiを医療主導でおこなうには半ば確信犯的な骨子や構築もあるでしょうね(苦笑)。
ただエシックスにおいては日本のような島国的論理ではなく世界的に拡大的な論理を用いることで世界から日本にぐうの音を言わせることもひとつの方法。
前夜祭的に行われた田口先生、白鳥さん、速水先生、彦根先生、桐生先生の飲み会でもあった前会議がそれを物語る。
手術ができなくなった桐生先生ではあるけど東城医大を離れてから挫折を経験したことで葛藤や悩みを経てひとつひとつのステップを踏んだことは難くない。
桐生先生だけが世界的視野や経験を持つ医者として書かれている視点もある。
論理は上手に用いれば神にも匹敵しうる力でもあるけど日本はちいさな社会や世界での論理でしか答えられない現実社会もまた存在する。
だけどシリーズを読んでいくと田口先生の頭のなかではエシックスの沼田先生は誰かと競わせたいようで引っ張り出される。直接は出てこないけど。
エシックスという論理を如何に使うか、というのも社会が抱える問題のひとつでしょう。

  • No.418 by 風人  2017-01-22 14:15:20 

Aiとてなんでもわかる万能でないことは『玉村警部補の災難』収録の「エナメルの証言」にある。
“CTで三割、MRIで六割しか死因はわからない”とある。
ただ『祝祭』や『輝天炎上』などにあるように解剖と共存する手を取り合うやり方が望ましいと言えるでしょう。
だけどそこに既得権益なり利益が関わろうとするのが大人社会の複雑さ。
Aiをするとお金をかかるようになっているAi以前の社会の問題もある。
社会のゆがみやひずみと言うのはかんたんだけど一方でそんな目に見えない存在が闇をうむこともあれば光りをうむこともあるのが現実社会。
『桜宮サーガ』シリーズのひとつひとつを組み合わせていけば社会や世界の見えない存在がフィクションであるのを通して見えてくる。

  • No.419 by 風人  2017-01-26 09:02:57 

『スカラムーシュ・ムーン』『スリジエセンター』などはまだ文庫化に至ってないみたい。
それだけある程度は追いついた感じ。
文庫で手に入れてないのは『アクアマリンの神殿』などごく数冊。
『カレイドスコープの箱庭』であらためて海堂尊先生のトピックスや作品内の歴史年表や時系列などが整理されてることで各作品間のつながりがわかりやすい。
『箱庭』で速水先生がちらっと彦根先生に睨みを利かせるのは彦根先生が後輩にあるまじき行動をしてるからでしょう。
彦根先生が救急センターをたずねでもしたら手足の如くこき使われるのをわかってるから近寄らない。
すずめ四天王が揃ったのは現時点では『箱庭』だけでしょうか。
また過去の物語に触れられる作品があったら海堂先生が書かないとも限らない。『輝天炎上』で天馬くんはすずめ四天王については興味ありそうだったから医療サスペンスとは違う形で関わる形も考えられる。
『輝天炎上』で天馬くんは島津先生、彦根先生そして田口先生と三人とは出会ってるわけだし。
Ai絡みでなくとも大学病院に在籍してる間あるいは卒業後の進路如何によってはいくらでも縁はあるはず。

個人的には田口先生、今中先生の恋愛モノを書いてほしいところ。
というか天馬くんは別宮葉子に冷泉深雪と囲まれすぎ。

  • No.420 by 風人  2017-01-26 14:39:21 

『桜宮サーガ』のシリーズを読むと医者や看護師などにいろいろな人物がいて医療に従事してそれらを含めて病院という存在に社会が支えられていること。
速水先生みたいに救急医療をする者もいれば田口先生みたいに手術とはほぼ無縁の不定愁訴外来を生業とする者もいる。
彦根先生はネットを通しながら病理医をする先生もいる。
桐生先生や天城先生のように心臓手術をする先生もいる。桐生先生は『バチスタ』で挫折を余儀なくされたのもある。
『箱庭』では以前と変わらないままでありながら手術できなくなったことからの挫折からの脱却と成長、ある種の本人なりの哲学を構築された雰囲気はある。
救急病院に市民病院が対応できない『極北ラプソディ』のような医療の先細りもある。
世良先生の判断は市にすればたしかに厄介かも知れないが市から予算が出ないことには人員をつけられない背景もある。
世良先生は過去の出来事からいかなる経緯かは不明だけど医療債権請負人となった身。
『極北ラプソディ』で察した範囲内でも神威島に至る経緯や医療債権請負人と活躍するなかでも紆余曲折があったように思われる。花房さんを振ったことからもうかがえる。
高階病院長にしても過去の悔やみある。『田口白鳥シリーズ』で『弾丸』以降振り返っていることからスリジエセンターを潰したことがよほど後悔になってると思われる。
天城先生の撒いた種?は高階病院長、世良先生、桐生先生、村雨府知事、彦根先生、藤原看護師のなかで生きている。
天城先生の人物像は『ブレイズメス』を読んだだけでも伝わる。

  • No.421 by 風人  2017-01-30 15:04:16 

スリジエセンターは何らかの形で高階先生に潰されはしたけど、いろいろな形で高階先生たちの内に心残りや後悔として残った……。
スリジエ(さくら)がオレンジ病棟に変わったのもひとつの継承なんでしょう。
速水先生の内に何らかの形で考えはあったと思われる。
世良先生が医療債権請負人になったのもおそらく『ブレイズメス』での過去のやり取りそして東城医大になんらかの限界を感じたからでしょう。現に『ブレイズメス』において高階先生たちは議論とはいえ天城先生に納得できる答えを返していないのを世良先生は直に見ている。

  • No.422 by 風人  2017-02-17 08:20:58 

他の本ばかり読んでるので海堂先生の本は今年まだ読んでない。
『外科医 須磨久善』は去年一度読んだくらい。
『カレイドスコープの箱庭』でいったん完結した感があったのかもしれない。
まだ文庫化にいたってない本もあるからゆっくりじっくり読まないとならない。
『スカラムーシュ・ムーン』『スリジエセンター』を早く文庫化してほしいもの。

  • No.423 by 風人  2017-02-18 06:38:11 

『ケルベロスの肖像』の物足りなさを『輝天炎上』がフォローしているが『肖像』はもう少し踏み込んで欲しかった。
田口先生がなにも知らないまま物語を終えているのはある種の切なさ。
小百合・すみれ姉妹は本当に亡くなったのか。謎のまま。
城崎さんは妹ふたりの生死は気にならないのか。『夢見る黄金地球儀』ではまだ4Sエージェンシーは続けたと思うがいずれは4Sエージェンシーを城崎さんは離れるつもりか。
『桜宮サーガ』の大半の登場人物は社会や病院などの組織の内にいる人間が主役をつとめる。
ただ城崎さんに限っていえばその枠から出ようとしてる感はある。自由でもあるし自分勝手とも取れるが、『輝天炎上』でのすみれとの会話から察するに父である巌雄先生との間になんらかの確執があったと思われる。
とはいえ習った医療関係は彼が芸能界に身を置いた際に皮肉にも歌手育成に役に立つことになる。
城崎さんもたぶんに医療から逃れられない運命にあるとも取れる。本意ではないかもしれない技術や知識だろうけど役に立つのはなにかのひとつの証明。

  • No.424 by 風人  2017-03-12 15:12:23 

今年は他の本に目移りしている。
肝心の『桜宮サーガ』シリーズにはまだ手を出してないことに気づく。まだ三月だけど。
『特Aランク病院の愉悦』でしょうか。田口先生を主役にしてる本を読みたいですね。

  • No.425 by 風人  2017-03-13 12:58:56 

ようやく『ランクA病院の愉悦』を手に入れた。
『玉村警部補の災難』同様に短編集なので読みやすい。
はじめの『健康推進モデル事業』で厚労省の小太りの上司は明らかに白鳥さんですね。
だけど『夢見る黄金地球儀』の久光譲治でしょうか。彼が出てきてる。

  • No.426 by 風人  2017-03-13 17:29:46 

『ランクA病院の愉悦』に収録されている「緑剥樹の下で」に登場しているセイは渡海征四郎なんですね。
『モルフェウスの領域』でヒロイン涼子に大きな影響を与えた人物と思うけどノルガ共和国で一匹狼的に活躍するのがこの人物の在り方なんでしょう。
なにものにも縛られず己の信念のまま生きていく。それを考えたら『ブラックペアン1988』のラストで東城医大という組織を出たことは正しかったように思われる。
基本的に組織や縦社会に縛られるとなにもできない反骨精神のあらわれとも渡海先生はそんな風にいえる人物。
だけど佐伯清剛病院長はおそらくそんな一面さえも認めた上で若き高階先生と競わせることで東城医大の未来を担いたかったんだろう。
だけど渡海先生には東城医大はおろか日本が狭かったのかもしれない。
いずれどこかで他の人物と渡海先生は出会う未来があるかもしれない。

  • No.427 by 風人  2017-03-14 05:03:55 

渡海先生は『モルフェウスの領域』『緑剥樹の下で』では謎の人物扱いなのは格好いい反面、いささかもったいない使われ方してるともいえる。
おそらく海堂尊先生の頭のなかではいろいろ活躍されるアイデアはいくらかはあるでしょうけど。
「被災地の空へ」は自衛隊との連携や縦割り社会が被災地への行き来を困難にしてる描写や救急医の在り方などがリアル。
速水先生と似た者同士の満島、この人物もまた深いことを考えている人物。
速水先生がまだ若いというのもあるんでしょうけど広い視野や思考というのが救急医やドクターヘリを扱うフライトドクターには必要なんだと思う。
それに被災地に同類の人間がふたりいる必要はないというのは理解する。
ひとりいれば事足りる。
短編ではあるけど必要なことを書かれてある。
『ガンコロリン』には八神所長と別宮葉子が出てる。ちゃんとそこかしこに『桜宮サーガ』のシリーズの一端と伝わる。

  • No.428 by 風人  2017-03-14 05:30:36 

「ガンコロリン」はコメディ色が強い話。
癌を治す特効薬の末路は癌手術を出来る医者が育たないままになりさらに新たな癌が生まれるという始末。
雰囲気としては『世にも奇妙な物語』ぽい。『世にも奇妙な物語』に似た物語があったでしょうか。

  • No.429 by 風人  2017-03-15 06:23:18 

『ランクA病院の愉悦』に収録されている「被災地の空へ」で速水先生が死体検案書にサインをする時の気持ちは複雑だったでしょう。
救うべき命を救えず相手の魂はすでに天に返り肉体は死と化している。
だけど死者を看とりひとがが現世から還ったことを現実に示すこともひとつのおこない。
ただサインをするのではなく検案書を記すことでひとが生きていた証を本人やその遺族に届け伝わることにもなる。
『桜宮サーガ』シリーズではたびたびひとが亡くなる描写は少なくない。
患者を救えなかったことに後悔もある地方病院の医者の気持ち。
また虐待を見過ごさないために死者の声に耳を傾ける気持ちなど。
“死者に耳を傾けろ”は『桜宮サーガ』の一貫したテーマのひとつでもある。
死体検案書にサインを記すというのも救急医としては報われないし満足いかない行為ではあるだろうけど誰かがおこなわなくてはならない。
現実に東北が震災に遭った当時に速水先生のような気持ちを抱えた救急医がいたとも思われる。
だけどそれが無駄な行為でもない。命が失われるのは悲しいことだが誰かがサインし示さなくてはならない。

  • No.430 by 風人  2017-03-15 12:49:44 

『ランクA病院の愉悦』収録の「被災地の空へ」で速水先生の勘が働かなかったことは素直にいい兆候ではなかったでしょうか。
『伝説』や『凱旋』の時みたいに救急患者で被災地があふれていたら速水先生のチームだけでなく満島先生たち他のチームもつぶれてたのではないでしょうか。
マンパワーにも限りはある。これはボランティアにも同じことがいえる。
軽症患者といえど患者。物語内ではそれでおさまりドクターヘリで重症患者は各々の病院に運ぶ。
行政や自衛隊の不便な縦割り社会の一面が読み取れるのも複雑なところ。
とはいえ行政や自衛隊がいなければ情報や現場が統制が取れない一面も生まれる。
まだまだこの辺りの連携はむずかしいんでしょうね。
だけど救急医にも速水先生や満島先生などいろいろあり風の噂もある。
だけどしっかり現場指揮を取れる人物が取ることは現場に混乱を少なくさせる利点もある。
短編ではあるけど情報量がかなりある物語。

  • No.431 by 風人  2017-03-20 06:33:42 

『ランクA病院の愉悦』の「健康推進モデル事業」はある意味厚労省など役所がおこなうことはわからないことへのブラックユーモアでしょう。
『桜宮サーガ』全体でもなにかとメタボをところどころに挙げながら登場人物たちは疑問を持ち吐息を漏らすのにあらわれている。
「健康推進モデル事業」もそのひとつ。仮にいくら快適に健康的に過ごせたとしても職場で生きられなかったらメンタル面から不健康になってしまう。ある意味現代社会のストレスの源である会社という誰もが直面する現状にもスポットをあてていると取れる。
肉体的健康か精神的健康かどちらを取るかを聞かれたらみな両方取りたいでしょう。それで会社で出世できたら万々歳でしょうけど。
現実はそんなうまくいかない。
物語内の主人公は結果的に会社を辞するものの愛する人を得て田舎に帰り健康に生きるという顛末。
だけど厚労省に限らず役人のやることはわからない。既得権益や天下りの一環がおおもとだからタチが悪い。『桜宮サーガ』では時にコメディとリアルさを交ぜて書かれてる。

  • No.432 by 風人  2017-04-02 18:43:43 

『ランクA病院の愉悦』収録の「ガンコロリン」のエピローグ部分はおそらくパラレルワールド的解釈でしょう。
作品自体が半ばコメディですし『桜宮サーガ』本筋の路線を考えたら癌治療が治療できることになってしまったら癌をテーマに作品は書けなくなるでしょう(苦笑)。
「ガンコロリン」に『モルフェウスの領域』の未来科学センターと八神所長に触れられているけど『領域』にはガンコロリンそのものには触れられていなかったから。
後半はパラレルワールド的解釈でいいと思う(笑)。

だけど癌を仮に治療できたとしても新たな耐性を身に付けた癌が現れるのは癌そのものもある意味、生命進化のひとつなんだと思う。
薬が毒というのも『桜宮サーガ』ではたびたび触れられている。薬自体も人間にとっては治療する良薬でもあるが一方では本来は身体が摂取しない成分も含まれるからそんな意味では害悪ないし身体における必要善であり必要悪。
人間の身体はむずかしい。

  • No.433 by 風人  2017-04-03 07:10:48 

『ランクA病院の愉悦』に収録の「ランクA病院の愉悦」にしっかり東城医大不定愁訴外来が出てくる。
これは田口先生の意向に関係なく医療関係者たちが宣伝したり自分の手に負えない患者が現れた際の措置でしょうか。
見方を変えたらほぼ宣伝にしか思えない(笑)。
良心的に解釈したら不定愁訴外来を積極的に取り入れる旨とも受け取れる。『ナニワ・モンスター』でも徳間先生は父親に伝えてたこともあるから『桜宮サーガ』の世界では不定愁訴外来は重宝されてると考えた方がいい。
現実に不定愁訴外来が浸透してるかはわかりませんが。

  • No.434 by 風人  2017-04-03 11:05:35 

「ランクA病院の愉悦」で東城医大の不定愁訴外来が取材を拒否したのは笑えた。
主人公はヤバいことを隠してるのではと揶揄や邪険な考えを一瞬持ったけど実際は不定愁訴外来からランクC病院に紹介できる患者はいないということだけ。
これは田口先生なりの誠意ある返答でしょう。
世の中にはこういうこともあるというひとつの答え。
それにしても『桜宮サーガ』世界では田口先生の存在が徐々に重宝されている雰囲気ある。

  • No.435 by 風人  2017-04-03 14:34:26 

『桜宮サーガ』は医療小説にちがいない。
だけどそのジャンルを確立や認知されるまでは長い道程でしょう。
とはいえ本筋の『田口白鳥シリーズ』、地域地方に焦点をあてた『極北シリーズ』、女性に視点をあてた『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』、バブル時代を舞台にした『バブル三部作シリーズ』。
『ひかりの剣』と『夢見る黄金地球儀』は『桜宮サーガ』シリーズのひとつではあるが医療小説ではないが組み込まれている。
『玉村警部補の災難』『ランクA病院の愉悦』それぞれの短編集ながら内容が充実してる。
『スカラムーシュ・ムーン』『スリジエセンター』を早く文庫化してほしいと共に中古書店に並ばないと買えないorz。

  • No.437 by 風人  2017-04-04 06:25:24 

医療において治療法やあるいは制度などにおいても絶対的な答えはないかもしれませんね。
手術や治療、薬などもあくまで効率や医師、患者などの精神的負担の軽減もあるだろうし制度においても医者と患者双方が納得するシステムの確立。とは医療費が高くなる現実もある。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むと医者、患者、官僚、地方行政、薬剤師、あるいは医療関係業者など様々な職業の人たちが携わり成り立つ。
一個人や患者から見える範囲はごくわずか。薬の適用や副作用などは懸念する患者はどこにでもいるのも現実。
基本的に『桜宮サーガ』の世界に官僚は利権や既得権益を頑なに守ろうとする。
例外は白鳥さんや姫宮香織、坂田局長など特殊な人たちくらい。官僚ではあるけど彼らは組織を内側から打破してゆく人物として書かれている。
現実に白鳥さんみたいなことしてたら左遷されっぱなしでしょう。
だけど『領域』や「ガンコロリン」では八神さんは出世コースから外れ白鳥さんにこき使われてるみたいでなんだか不憫。
その布石はたぶん『イノセント・ゲリラの祝祭』のハシゴ外しがきっかけでしょう。あれがたぶんふたりの立場を変えたはず。
白鳥さんはなんだかんだで東城医大に思い入れがあるわけだし救済措置を『肖像』で示し未来科学センターで具現化してる。
再びAiセンターができるか否かはわからないけど。
医療に限らずだけど技術の進歩イコール人間の心や精神、中身がまだまだ伴わない時代なんでしょう。
飛躍的に科学技術が進んでも人間の心や精神はいろいろ善悪、画策などがありそこに利益を求める人間もいる。

  • No.438 by 風人  2017-04-04 17:52:38 

『イノセント・ゲリラの祝祭』(上巻)で白鳥さんが彦根先生に苦言を呈した一件は医師会クーデターの件ですね。
だけど彦根先生はクーデターを起こした張本人にも関わらずとある地位を得て仲間から反感を買ってしまった。
『祝祭』の前半をあらためて読むといろいろな輪郭がみえてくる。

  • No.439 by 風人  2017-04-05 05:07:33 

『イノセント・ゲリラの祝祭』と『カレイドスコープの箱庭』の彦根先生の人物を見るといくぶん雰囲気変わった感じ。
“スカラムーシュ(大ボラ吹き)”という一面はたぶんに変わりないけど未読にあたる『スカラムーシュ・ムーン』で敗北(?)から何かを学んだ可能性があると思われる。
先輩として田口先輩は『箱庭』で心配する一面は見せながらもコイツは立ち直るだろうくらいは予見してるから。
『スカラムーシュ・ムーン』で斑鳩室長にやられたんだと思う。
警察か医療か主導になる組織で民間に伝わる内容も異なると思う。それがまた社会にどう作用し影響するかというのも考えるべき内容なんでしょうね。

  • No.440 by 風人  2017-04-05 09:31:57 

『桜宮サーガ』のシリーズを読んで気づかされるの主人公や主体が誰もしくは所属する組織などによって視点が変わるということ。
『田口白鳥シリーズ』は窓際医者だった田口先生が火喰い鳥の官僚の白鳥さんと共に難題や事件を解決してゆく。
『極北シリーズ』は地域地方の病院が舞台。
今中先生もまた田口先生同様に一見、平凡な医者ではあるが現状現場あるいは自分の居場所から病院や地域を考えて見る目や思考を彼は持っている。
おそらく今中先生みたいに個人や組織に属する者もしくは医者としては医師や看護師などはそれくらいの見識はあるでしょう。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』は産婦人科が舞台。
女性の出産や代理出産などを扱いながらすこしずつ問題をひも解き解決してゆく。
『ブラックペアン』に始まるバブル三部作は物語としていえば『田口白鳥シリーズ』の過去の時代にあたる作品。
かわりゆく時代と共に高階先生や世良先生、天城先生たちが挑む。
昭和の頃の医療の現状がよくわかる。
シリーズ総じていえるのは立場や立ち位置で異なる意見や意思があるということ。そこに利権や個人的思惑もあるがそれが遠回りして結局は良かれ悪かれ我々市民に伝わり提供サービスにもなるし医療費負担にもなるということ。
無関係とは思えない実感が読むたびに伝わる。

  • No.441 by 風人  2017-04-06 17:25:07 

黒崎教授は読むたびに愛されるキャラだな思う。
いい意味悪い意味含めて東城医大のナンバー2。
藤原看護師も裏という意味ではナンバー2かもしれませんが。
『アリアドネの弾丸』では高階病院長が逮捕されたことにより病院長代行を兼任する器。
白鳥さんから見てもものわかりの悪さは多少あるものの黒崎教授がいなかったら病院運営は成り立たないのもある。
バブル三部作時代においても佐伯病院長から気概がないと言われる存在ではあるが高階先生、世良先生を当時は従える立場にもある。
よくも悪くも等身大かつ典型的な権威を振るうタイプの人物ではあり無用小器用型。
だけど組織においては必要不可欠な存在なのも否めない。
組織は天才肌や才能ある者だけでは仲間意識や集団意識あるいは組織に帰属意識なども芽生えない。
ある程度は無用小器用な存在がどこかにいて組織を見守り監督指導するのも組織内から暴走や離反者を最低限なくすこともできる。
黒崎教授がある程度、権威を振るうというのも必要に見えてくる。
『箱庭』では『肖像』のラストの件があったから田口先生に自ら口を挟めなくなったのは自業自得と表現せざる得ない(笑)。

  • No.442 by 風人  2017-04-07 06:16:44 

『アリアドネの弾丸』で宇佐見警視が使ったトリック自体は意外に単純かつわかりやすい。
だけどそこにいくつもワナが仕掛けられてもいる。
不自然なところはよくよく読めばいくらでもあるけど逆に考えたらそこに嵌めようとする策略も見える。
『弾丸』は桧山シオンによる活躍がひそかに大きいこと。彼女の画像解析技術がなければ解決には至らない。
白鳥さんは直接的に面識がない友野さんを事件の概要や顛末から間接的に理解する洞察力もしくは想像力というべきか。
一見、関わりのない友野さん殺害事件と高階病院長の冤罪事件。
ふたつの事件をうまい具合に重ねている。
城崎さん率いる4Sエージェンシーの活躍もないと東城医大は救われない。
『弾丸』においては間接的ながらサンタモニカにいる加納警視正のバックアップがなかった東城医大は世間に批判され醜聞の嵐。
結果的には医療と司法の対立が『祝祭』より明確化されるのもひとつ。

  • No.443 by 風人  2017-04-08 07:46:12 

『アクアマリンの神殿』を購入するはずが別な本を購入してしまう。
ちらっと図書館で『神殿』見たけど『輝天炎上』のようにラノベぽい雰囲気だった。
天馬くんやアツシ少年(正しくは少年という年齢ではないが)が主人公になると田口先生や白鳥さんよりは作品が若返る雰囲気がある。

  • No.444 by 風人  2017-04-09 11:32:38 

『アリアドネの弾丸』で海堂先生は自らが書く登場人物の白鳥さんに“出来の悪いミステリー小説”と揶揄させる表現はまたおもしろい。
『弾丸』はよく読むとけっこう宇佐見警視たちが放った事件は矛盾だらけ。
これは事件に使われたコロンブスエッグという機器にいろいろな制約があるからと気づく。
医療機器が安全かつ精密機械であるということ。
CTなどもそうだけど医療機器は金属を引き寄せる磁場を持っていたり些細なことでも機器を壊したりエラーをもたらすこともあるから。
だけど『弾丸』においての斑鳩室長は圧倒的に存在感を放つ。
目に見えている相手や存在なのにまるで(司法の)闇そのもの。
作品中にもあるけど“自然にある闇より人がつくった闇の方がおそろしい”くだりはまさに斑鳩室長であるといえる。
この人物の将来を著者である海堂先生はどうするのか?
白鳥さんとて全面対決をしたら厚労省を巻き込む巻き込まないに関わらずただでは済まないのは自覚してる。
だからうかつに敵にまわせないまわしたくない存在。
『螺鈿迷宮』で巌雄先生が鳥さんが光りを浴びればそのぶん誰かが彼を敵に回し出る杭は打たれると仰ってたがそれが“誰”なのか?
すでに既出な人物なのかまだ見ぬ未知の人物なのか?
なぞ。

  • No.445 by 風人  2017-04-10 15:54:58 

『極北シリーズ』に地方の医者不足は書かれてましたね。
読むと痛切なくらいに研修医の実状が記されている。
『極北シリーズ』は『ランクA病院の愉悦』に収録されている短編でもわずかに触れられていたしこの辺は上手に海堂先生が巧みにリンクさせてる。
大学を地元からなくすと若者がいなくなる。
『輝天炎上』では浪速府が大学を地元から逃さないようにおこなっていた。地域地方によって特徴特色が出る。

  • No.446 by 風人  2017-04-11 06:21:33 

医療は立場によって異なるというのもある。
不定愁訴外来のような部署も必要な時代でもありドクターヘリが必要とされる地域や地方もいる。
厚労省など政府の思惑も現実に必要有無に関わらず政府や役所の意向も現実にはある。
どの立場になるかでまったく異なる。
大半は当然、一般市民は患者として診られるのが主。
だけどその患者にしても大学病院のような大きな病院かあるいは地方地域の市民病院や町病院、診療所など様々。
『桜宮サーガ』のシリーズを読んで気づくのは厚労省役人を含めて医療に携わる人たちが種々様々であるということ。
現実に白鳥さんみたいな役所を内部から潰そうという人物は現実にはおそらくはいないでしょうけど役所にもいちおうは改革の意思がある人物は少数ながらはいるでしょう。だけど世間の目にはおそらく触れない。
『桜宮サーガ』で白鳥さんが脚光を浴びてるのはフィクションだから。
『極北シリーズ』の市役所みたいに大半は地方と中央の狭間であえぐ者もいる。
お上には逆らえない現実もある。
むずかしいとしか言えない。

  • No.447 by 風人  2017-04-12 12:19:04 

白鳥さんが医者としてではなく官僚として医療改革(?)をする意図がいまだ明確ではない。
映画『ケルベロスの肖像』では小百合によって過去の医療ミスとされる事件が暴かれるけどこれは映画による改変だから原作と直接結びつくかは疑問の余地がある。
だけど東城医大には高階病院長、坂田局長を通じてシンパシーや意思の交流がある。
高階病院長と坂田局長のこの繋がりもあるから。
白鳥圭輔という人物は本人より本人を知る田口先生のように事件を通して関わる人物やもしく加納警視正やプリンス高嶺など同期の人物たちの口を借りた方がある意味理解しやすい。
『ナニワ・モンスター』でも“Aiバカ”と称される、なぜそう表現される云われがあるのか。
ただやはり『桜宮サーガ』全般にほぼ近いのは天城雪彦の影響が彼を知る者は節々に見られる。
良い悪いに関係なく。
逆に田口先生や今中先生などのように知らない人物は又聞きする以外ないという。
この辺にも人物の情報の解離もまたある。
速水先生は少なくても天城雪彦先生の言葉を聞いた人物であろうと思われる節がある。
白鳥さんも原作『ケルベロスの肖像』で“さくらの樹”を言ってることからなにかしら影響はあったのだろうくらいしかわからない。

  • No.448 by 風人  2017-04-13 16:19:30 

『アリアドネの弾丸』で興味深いのは警察庁に非合法犯罪組織があるくだり。
彦根先生がいかなる経緯で知ったかは不明だけど白鳥さんでさえ黙りすることからおそらく存在する組織なんでしょう。
『弾丸』ではそれ以上触れられてなかったけど他作品で触れられてるでしょう。
まさに自然の闇よりも人間がつくりだした闇のひとつともいえる。

  • No.449 by 風人  2017-04-14 04:49:48 

『桜宮サーガ』シリーズを読みなれると“Ai”の言葉が人工知能ではなくオートプシー・イメージングと勘違いする。
たぶんに現実に報道されるとしたらCTか画像解析など別な表現に変換されてるでしょう。

  • No.450 by 風人  2017-04-15 05:11:25 

『ランクA病院の愉悦』収録の「健康増進モデル事業」。
ほぼコメディとしてつくられてるけどなにげにこの作品のヒロインが可愛らしい。
一回関係を主人公を持っただけでその後は停滞気味なのに主人公を同僚(?)として気遣いながらなんだかんだ最後は主人公とケッコンそして主人公と田舎暮らし。
さりげなく女性のしたたかさもあるかもしれないけど『田口白鳥シリーズ』の田口先生、『極北シリーズ』の今中先生など結婚していない人物がいるなか「健康増進モデル事業」の主人公は結婚できてる。短編なのもあるからでしょうけど。
「健康増進モデル事業」ではなく「結婚推進モデル事業」なのではとうかがってしまう(笑)。

  • No.451 by 風人  2017-04-16 08:25:46 

『ランクA病院の愉悦』収録の「剥葉樹の下で」の物語も医療ですが国家間の交流も大切ということ。
国家の意地のために王の肉親だけでなく国民が犠牲になる理不尽さ。
渡海先生は人格にやや問題はある人物かもしれませんが筋は通している。
だけど彼は“先生”ではないし“医者”ではあるが本人自体が医者という型にハマッていない生き方をしている人物。
ノルガ共和国という架空の国ではあるがそこに生きている。
東城医大においても高階病院長や田口先生にも印象を大きく残している。
『モルフェウスの領域』のヒロイン涼子の幼少期には先生として彼女の人生に影響もおそらくしている。

  • No.452 by 風人  2017-04-17 09:32:06 

海堂先生の作品を読んでて思うのは主人公側に立った人物たちを絶対的な正義にはしてないのも魅力。
『螺鈿迷宮』や『アリアドネの弾丸』では白鳥さんは結局は相手側に負けにされている一面がある。
『迷宮』では桜宮巌雄先生からいずれはお前を討つ者が出てくるかもしれないと揶揄し『弾丸』では宇佐美警視の背後にいた斑鳩室長に釘を刺される。
『弾丸』において田口先生が斑鳩室長と白鳥さんの関係についてはなにもできないが故に自分の気持ちを吐露する呟きしかもたされない立場にいてなおかつ客観的に書かれている。
司法と医療の対立は『ナニワ・モンスター』に引き継がれ舞台は浪速府へ。
地域地方の独立を謳うのは日本ではまだまだ夢のまた夢でもあると思う面もある。
『ナニワ・モンスター』を読むとリアルな架空シミュレーション。
インフルエンザウィルス「キャメル」ひとつで地方が中央から分断される恐怖。
患者の隔離とはわけがちがうとも言いたいがある意味においては患者の隔離と地方の孤立分断は似てるところもあることに気づかされる。
『ナニワ・モンスター』で徳衛医師は患者は病気にかかっただけにも関わらず住み慣れた地を離れなくてはいけなく隣近所から追い出された形に終わることに複雑な気持ちを抱く。
このことをマクロにして別角度から見たら地域地方の孤立分断にもなるとも言える。
『ナニワ・モンスター』はミクロとマクロなことが場面場面はちがうけどかなり事細かに書かれてることに気づく。
そしてそれは市民ひとりひとりに無関係ではないことのあらわれ。

  • No.453 by 風人  2017-04-17 14:52:39 

新装版で『ブラックペアン1988』はあったけどまだ買うには早い。
先に『アクアマリンの神殿』を読みたいが行った先にはなかったorz。
海堂作品でラノベに近い雰囲気あるのは『輝天炎上』でしょうか。
万年落第生から一応の脱出を果たしつつある天馬大吉、幼馴染みの新聞記者の別宮葉子、東城医大で同じ班として勉強することになった優等生かつ合気道ができる美少女冷泉深雪。
この三角関係の先も気になるところ。
だけど天馬くんがすみれに惹かれているのもまた事実。
幼馴染みや勉強を共にする美少女、そして以前に邂逅を交わした桜宮姉妹の双子。
天馬くんの立場からしたらセピア色の思い出。
少なくても『肖像』での田口先生にとってもすみれの魂や志、彼女が残したモノは中年である田口先生にしても少なくても軽くないモノなのはたしか。
すみれが『輝天炎上』でAiセンター長が田口先生だったのを知った時は少なからず多少の動揺があったのもまた事実。
この辺が物語としてはまた絶妙。複雑に人間関係が交錯する。
『桜宮サーガ』は人間関係を逐一整理してないといつ誰がどこでどんな結果をもたらしたかというのがあちこちに大なり小なり波及するシリーズ。
無関係の事象がいろいろな人物に後々関わる。

  • No.454 by 風人  2017-04-18 14:35:43 

斑鳩室長はシリーズを通して不気味な印象を与えるが「四兆七千億分の一」では東城大医学部エシックスの沼田先生にDNA情報のマスターキーを渡したとされるけどこれは斑鳩室長の策にも思える。
何らかの形で斑鳩室長が沼田先生にぐうの音を言わして預けた形になったと考えるのが自然と思う。
沼田先生のエシックスは倫理を振るっているだけだからそれ自体はたいしたことはない。
斑鳩室長が何らかの形で納得させたとしか思えない。
DNA情報を警察側が持っていたらいざという時に権力側が暴走する怖れがあるから東城大医学部に託したとすべきでしょう。
逆に言えばいざ何らかの形でDNA情報が間違えていたら、東城大に責任を負わせる?というのは考えすぎでしょうか?
捜査をするのは警察、DNA情報を持つのは医大。
自然に思えるようだけど『桜宮サーガ』シリーズを読みなれるとその世界観にいる警察側を疑うようになってしまう(苦笑い)。

  • No.455 by 風人  2017-04-19 08:54:39 

白鳥さんと加納警視正の関係は互いに憎からず相手はたしかでしょうけどそれぞれ厚労省、警察庁という場や同じ世代ということもかりプリンス高嶺などと結託しながら彼らなりに霞ヶ関の古いやり方を変えていきたいのもおそらく共通の信念としてありそう。
『弾丸』で加納警視正が斑鳩室長に口を挟まなかったら東城医大は桜宮の地から消えていたでしょう。
間接的ながら北海道での三枝医師逮捕の件で少なからず警察庁は恥をかいた側面があったのも関係している。
『弾丸』を読むと司法の勇み足が怖い。冤罪事件が生まれるわけだ。
『弾丸』のラストで司法にはマスコミが甘いという田口先生の姿を借りての作家海堂先生の言葉や現実の重み。
つくづくこわい。

  • No.456 by 風人  2017-04-19 14:43:46 

加納警視正は警察庁の方に忠誠心あるでしょう。
あくまで東城医大については個人的行為や利用価値、利用頻度があるからややひいき目もないとはいえない。
だけど『弾丸』においての三日間の猶予を与えた功績は東城医大にとっては意義ある行為。
『玉村警部補の災難』の短編集でも田口先生を困らせる始末。
だけど見方を素直に考えたら事件の早期解決にもつながる。
医療が持つ患者の個人情報は警察捜査にも必要不可欠な存在。
医療、警察どちらの立場になって考えるかで考え方は変わる。
『桜宮サーガ』のシリーズ自体がいろいろな人物の立場や気持ちになって読める醍醐味。

  • No.457 by 風人  2017-04-22 06:08:03 

『肖像』で勝利をおさめたのは小百合の意思そのもの。
ただしくは司法の勝利ではない。
『弾丸』のように意図した司法側の意思は少ない。
ただ『桜宮サーガ』全体を読むと個人の意思で思想や制度を実現や具現化している人物は少ないように思われる。
現実に近い社会や世界観を書いてるから高階病院長のように病院長というトップにいるからといって大学病院や地域のすべてを担っているわけではない。
高階病院長は医療の手術畑を営んできた人物だから経済観念にはやや疎い。
これは病院関係者で経済に携わっていない人物のほとんどにいえるかもしれない。
司法側においては斑鳩室長は実像が見えにくい。
明らかに彼より組織の上の人物は存在はしてるでしょう。だけど私が読んだ限りは彼より上の人物はほぼ明確にあらわれていない。
Aiという思想が綿毛のように広がっているなかでは思想は無形かついずれ芽を出す思想だから止められない。
『箱庭』で田口先生が講演で語ったのも芽が出たひとつのあらわれ。
現実にAiやドクターヘリなどは海堂先生が『桜宮サーガ』という作品を書き伝えた実存のあらわれ。
なかにはこころよく思わない人間もいるでしょうね。これは現実もフィクションもおなじ。
権力に物事を訴えるむずかしさもある。

  • No.458 by 風人  2017-04-23 15:47:17 

『アリアドネの弾丸』をあらためて読むと斑鳩室長の不気味さ。
白鳥さんがでっち上げたデータを斑鳩室長は事実を知ってたのに自分に飛び火する恐れもあったからあえて黙っていた。
架空のデータということを宇佐見警視が知ってたら死ぬことはなかったかもしれないが警察庁上層部や斑鳩室長が裁判の場に立たないとなる恐れある。
『桜宮サーガ』の世界においていえば警察庁の存在はなりゆきしだい。
何らかの会議をおこなうにしてもひとや相手は選べないむずかしさ。
『箱庭』で白鳥さんは警察庁側の人選を加納警視正にしたいところを斑鳩室長と踏んでたのもある。
まだまだ白鳥さんや加納警視正、高嶺氏など若い世代というのは否めない。これは田口先生たちすずめ四天王などもですが。

  • No.459 by 風人  2017-04-24 10:44:42 

医療が敵にするのは時代ごとによる諸問題すべてでしょう。
明確な答えはいかなる立場でもおそらく存在はしてないと思う。
医者と患者というふたつの対極の立場も医者が一般的に社会的に陥れられるのは医療ミスという行為。
患者の側にしても医者を信じないと治療や手術などの受ける側の関係は成り立たない。
だけど医者からの情報をどこまで信じるか個人的や患者としての気持ち。
これに不具合が生じた場合に『桜宮サーガ』シリーズの不定愁訴外来のような存在が必要となる。
あるいは裁判となった場合に医者と患者側家族遺族などの橋渡しの存在が必要不可欠となる。
田口先生のような立場だと誰のための会議あるいは誰のためのAiかと問う必要は出てくる。
Aiを司法か医療かの主導権争いも物語内では医療に主軸を置くむきで書かれている。
とはいえいちおうは桜宮科学捜査研究所も置かれているからこの点は斑鳩室長たち警察庁が抜け目がない。
科学捜査研究所などもないと犯罪を見逃すおそれがある。
だけど利権なり利益が絡むのが社会。
『輝天炎上』の天馬くんと冷泉深雪のふたりが辿る物語はそれを明確にしている。

  • No.460 by 風人  2017-04-24 17:59:14 

『ナニワ・モンスター』久しぶりに読むと菊間徳衛医師の半生が深い。
冒頭ほんの数頁だけど年配の人物なので書いてあることは少ないけど内容が深い。
旦那や医師として亡き奥さんにできたことの少なさからの反省や悔やみ。
近隣の住人に慕われる町の診療所のありがたさ。
息子の祥一くんを親としてあたたかく見守る父としての瞳、祥一くんの奥さんには亡き奥さんに言えなかったことを伝える優しさ。
物語の本筋に一見、無関係なようでインフルエンザウィルスキャメルが子どもに感染した際には祥一くんの奥さんが役に立つという。
医者や看護師ではない人物だけど影から支えている雰囲気がさりげなく感動するかな。

  • No.461 by 風人  2017-04-24 19:43:37 

『ナニワ・モンスター』の第一部を読むとインフルエンザウィルスへの空港などでの水際防疫というのが如何ほどに役に立ってるか疑問。
たんなる国や厚労省の気休めにも思える。
インフルエンザウィルスなどは潜伏期間があるからその間はおそらくはわかるわけない。
国に戻って日常生活しているなかで潜伏期間から覚醒期間になり気づいた時には患者はあちこちへ移動した後。
基本的に意味を成してないと思う。
また別な言い方をしたら空港などで水際防疫をする以外にパフォーマンス的な方法しかないと言える。
患者となりうる人間あるいは感染の可能性あるだけでは旅行者を隔離はできない現状。
たぶんに人口が少なく行き来が少ない社会ならそれはできるかもしれないけど現実の現代社会ではどだい無理。
『ナニワ・モンスター』の菊間徳衛医者の視点はミクロからマクロを見ている思考。
町医者だから物語内でできることは少ないけど対応は迅速。

  • No.462 by 風人  2017-04-25 07:54:49 

『ナニワ・モンスター』で徳衛先生は警察とマスコミのつながりについて違和感を感じることに気づくのは『弾丸』『肖像』で田口先生がマスコミが報道を抑制なり警察にコントロールされていることと重なる。
権力による報道抑制やコントロールのこわさ。
『ナニワ・モンスター』は一種の仮想シミュレーション的な作品ではあるけど中央と地方の対立をミクロからマクロへと描いている本でもある。
徳衛先生は多少は気むずかしい人物ではあるけど歳を重ねている人物でもある。
『極北ラプソディ』の神威島の診療所もまた歳を重ねた人物と後藤先生が営んでるけど時間の積み重ねがある。
年配者の言うことに耳を傾けることは日常において大切。
だけど市井の人からの発信はむずかしい。
『ナニワ・モンスター』ではネットから伝えるという方法は用いられてない。また診療所という舞台であるから町医者は国の権力には逆らえないむきもある。
どう対処すればいいのかで苦悩する。

  • No.463 by 風人  2017-04-25 10:43:29 

『ナニワ・モンスター』で海外に渡航経験がない人物が特定のインフルエンザウィルスに通常は感染するわけがない。
おそらく政府の手による者の実行で少年はどこかで感染した。
テレビ出演している本田講師がインフルエンザウィルス『キャメル』が弱毒性なのを語らないのは斑鳩室長たち政府の方針。
現実に報道が偏った内容しか伝えない時はないとはいえない。
これは実にこわい。
情報の精査をする目と耳、思考は必要。

  • No.464 by 風人  2017-04-26 04:46:29 

『ナニワ・モンスター』の鎌形のガサ入れはある種の気持ちいい痛快感や爽快感ある。
村雨府知事との対面、交渉を経ての厚労省へとガサ入れする。
しかし府知事のそばにいる彦根先生への警戒。
彦根先生は鎌形をさほど意識してるかはさだかではないが鎌形は意識してるのはストライキの件で警戒感を抱いてた雰囲気。
一介の医者が常識的に考えて府知事と知り合いとは思わない。
高階病院長にしても厚労省のパイプは坂田局長白鳥さん姫宮さんくらいだろうから。
一見、無関係に見える事象が後々人物たちに深く関わるおもしろさ。
インフルエンザウィルス“キャメル”による浪速府の経済封鎖をどう解いていくかを各々の視点。
菊間徳衛先生は一介の町医者だしマスコミとのパイプはほぼないだろうから何も言えないもどかしさと町という存在を通しての町医者の役割。
彦根先生側の立場になるというのは悪い表現をすれば政府にマークされる側になる危うさ。
田口先生はなんだかんだで八神にマークはされたけど彼は白鳥さんがいるから何もできないに等しい。
斑鳩室長にしても田口先生はマークの対象の枠に入れるべきか否かのぎりぎりの範囲ではないだろうか。あくまで田口先生はそれなりに意見を発し誰かに操られ耳を傾けてる。
彦根先生ほど能動的ではないだけに外部からは動きが見えにくいといえる。

  • No.465 by 風人  2017-04-26 09:51:09 

『ナニワ・モンスター』の二部にある霞ヶ関の“ルーレット”。
ある意味ひとの作り出した闇。
八神室長を通して書かれ見ることで霞ヶ関の闇の恐ろしさが伝わる。
斑鳩室長のどの作品に出ても不気味な存在感。決して他の意見を耳に貸さないわけでなく暴君でも独裁者でもない人物ではあるが底無し沼のように深い……。
霞ヶ関の裏側の権力のいくつかは彼が持ってると考えるべき。
だけど権力という力を制御している。宇佐美警視なような暴発はしないくらいの適度なコントロール。
権力を制御する理性というのは奥深いものがあるかもしれない。
ふつうの市井の人々は権力に酔うもの。
高階病院長にしてもあくまで大学病院内や坂田局長などの力を借りるだけ。むしろそれが社会的にはほどほどと思う。
斑鳩室長の底が見えないのがこわい。
桜宮市や東城医大に起きたこともほんの一端でありすべてではない。

  • No.466 by 風人  2017-04-26 12:57:59 

『ナニワ・モンスター』を斑鳩室長や国、政府の立場側に立てば国を守ることは彼らなりの正義にも読める。
ある意味それは正しいとも思える。
『桜宮サーガ』は立場によって正義や倫理観が変わるおもしろさ。
何を主軸に置き主題にするかということ。
村雨府知事と鎌形検事を警戒する斑鳩室長。ふたりの背後に彦根先生がいることを感じているようにも思える。
文面だけではなかなかそのニュアンスはわからない。
再読やちがう物語を読む度に印象がちがうというのも特徴。
斑鳩室長は個人的には悪役な印象は拭えないですが彼の立場に司法を正義とするおもむきも理解しないではない。

  • No.467 by 風人  2017-04-26 14:52:24 

『ナニワ・モンスター』でわかるのはフィクションの物語を通して日本地図がよく見え理解できること。
浪速府のさほど大きくない町からインフルエンザウィルスキャメルに端を発し霞ヶ関官僚の闇、現実の社会においての無血革命と独立にむけての布石、斑鳩室長らは国を守る立場にいること。
だけど彦根先生による地域地方の経済レクチャー。虚実を使いわけながら実行に移す行動力。
首長の先端と末端の繋がり、発想を一歩も二歩ゆく飛躍した発想。
飛躍した発想にやや現実感はないかもしれないが良心的に考えれば時代の先を歩むこと。現実的にはどうしても否定的なニュアンスが混じるのあるからその辺の境はむずかしい。
だけど『ナニワ・モンスター』は改めて読んだら日本地図がちがって見える。

  • No.468 by 風人  2017-04-27 05:41:09 

彦根先生のように飛躍した発想した自体は悪くないと思う。
ただ現実にはできるできないの境界線があるのも事実。
日本三分の計にしてもいきなり日本を三つに分けるというの無理からぬこと。
興味深いのは経済的数値に置き換え各地方がどの程度の予算があるかということ。
四国でさえも欧州の国ひとつに匹敵するという事実。
思想と経済的数値が議論の場に値するか否かというのもある。
物語は基本的に相反する者や組織の片側でしか語られないというのもある。
『ナニワ・モンスター』の二部で斑鳩室長と本田先生との会話でも本田先生は斑鳩室長の本意が当初はわからないため思考にすれ違いがある。
日本三分の計にしても白鳥さんは『輝天炎上』で国家転覆を狙う彦根先生と明確に発言している。
この辺もまた思想が絡み合う。
彦根先生の発想自体が飛躍しすぎてる点もまたある。
現実にそれを受け止める土壌や土台の基盤や足固めが必要。
彦根先生のスカラムーシュ(大ボラ吹き)は若さもあるでしょうが固定した組織を持たない浅さもまたある。
田口先生が東城医大に、今中先生が市民病院にのように本人の複雑な気持ちを含めながらこのふたりの人物は組織に身を置いている。それはある意味日常在るべき姿。
彦根先生はその辺が微妙に欠けてる点はあるかもしれない。共感もあるが。

  • No.469 by 風人  2017-05-03 05:21:55 

国家か医療かというのも『桜宮サーガ』のテーマのひとつ。
国家が滅んでも医療は滅びない。
『祝祭』から彦根先生が医療庁提言、これは『ナニワ・モンスター』に引き継がれる。
ただしすでに形づくられた霞ヶ関ではなく浪速府に作ろうという構想。
ふと思ったけど浪速府にこだわる必要もないのでは?と思ってしまった。
医療庁という看板がどこにでもあればひとつの旗揚げや意思にならないのかなと思った。たぶんそれでも国や政府に一度はつぶされると思う。
ただ『極北ラプソディ』を読むと離島だからこそ医療が成り立つ側面がある。治療はできないが早期発見ができる。
離島ではないが瀬戸内海を周航するドクターシップ、テレビ番組で知ったけどあのような一面もある。
国や政府から予算おりないとならないところもあるが自治体負担でできなくないところもある。
医療が誰のためにあるかということ。
考えれば考えるほどどん底に落ちそうになるくらいこわい。
読んだことから考える習慣は必要。

  • No.470 by 風人  2017-05-05 15:07:45 

『桜宮サーガ』で四国遍路が舞台になる時が来るでしょうか。
『玉村警部補の災難』に収録されている短編がたぶん布石のように思われなくもない。

  • No.471 by 風人  2017-05-07 15:20:46 

『アクアマリンの神殿』は読めないままもう五月。
他の本ばかり読んでるせいもある。
『ナニワ・モンスター』はざっと再読したけど村雨府知事、彦根先生を中心に多くの人物が絡む。
日本三分の計は魅力あるし飛躍もした発想ではあるが現実という存在を考えた場合においては無理からぬことかなと思うところもある。
国家が滅びても医療は滅ばないあるいは滅ばせていけないというのが海堂先生のひとつの思想と思う。
田舎もだけど離島は医療が困難。
早期発見し治療するというのが最優先。
『輝天炎上』での患者が亡くなるという描写は死を考えさせられる。
延命処置を望まない患者の生きざま。延命が必ずしもしあわせでないう考え方。
相反する何かは医療に存在するかもしれないが『桜宮サーガ』全般を読んでも明確な答えは得られない。

  • No.472 by 風人  2017-05-10 12:57:20 

コールドスリープ(冷凍睡眠)をしてる者とそれを見守る者の気持ち。
どちらが切ないだろうか。
別作品ではあるが佐藤茂氏と福井晴敏氏それぞれの『∀ガンダム』では切なかったり痛切な痛みを味わったり小太刀右京氏の『ガンダムAGE』後半でもゼハートを中心にコールドスリープを行った者たちの生きざま。
『モルフェウスの領域』は恋愛ものとして読めたが『アクアマリンの神殿』の結末は如何なるものか……。

  • No.473 by 風人  2017-05-10 14:38:30 

『モルフェウスの領域』で睡眠学習の結果あたまが良くなってるはずなのに平凡に生きたいと願う『アクアマリンの神殿』で高校生となったアツシ少年いやアツシくん。
平凡というのがまたむずかしいと思うんだが。
『田口白鳥シリーズ』の田口先生だって組織の片隅でひっそり生きるはずがなんの因果か高階先生に白羽の矢を当てられ論文ひとつ書いてないのに次期病院長指名。
『領域』ではアツシ少年や如月翔子の協力を経て論文をいくつか書く羽目になったが。
“平凡”という生き方はかんたんなようで意外にむずかしいと思われる。
『極北シリーズ』の今中先生も『ラプソディ』で週一とはいえ大学に戻れるきっかけを世良先生がつくってくれたのに断る始末。
今中先生の場合は市民病院の現場に理解を示す一面があるから現場を大切に思う気持ちはわからなくもない。
だけど論文や研究が滞るのは私なら考えると思う。
しかしさらにそこに“平凡”というひとつの尺なりメーターを置いたらまた考えは異なる可能性はいくらでもある。
『桜宮サーガ』のこのふたりの人物を基準にしても平凡という枠を越えてる一線はあると思う。
極端に表現すればこのふたりの人物と玉村警部補を除けばほぼ平凡と表現できる人物はいないかもしれない(苦笑)。

  • No.474 by 風人  2017-05-10 17:07:57 

『モルフェウスの領域』のヒロインのひとり村田桂菜、『アクアマリンの神殿』で哀しく切ない最期を迎えたのは残念。
胸が痛い場面。
いかにふつうに平凡に生きる生きられることがぜいたくなのかわかる一冊。
ひとを死に招くのは癌だけではなくもっと多くの病がある。
医者や看護師は常にそれと向き合わないとならない患者と親しい者も向き合わないとならない。
『桜宮サーガ』シリーズのひとが亡くなる場面は何か大切なものが欠け失われる瞬間に似る。

  • No.475 by 風人  2017-05-10 18:01:11 

『アクアマリンの神殿』を読むまでに五ヶ月近くかかったけどこれはすぐに読むなという天からの啓示のように思う。
天がヒロイン村田桂菜との別れを先送りにしてくれた。
『モルフェウスの領域』のままの彼女が胸にいる感じ。
『モルフェウス』と『アクアマリン』との間にミッシングリンクの物語があるかどうかは著者である海堂尊先生の意思によるものだから先がわかるわけなし。

  • No.476 by 風人  2017-05-11 04:51:46 

オレンジ病棟のヒロインは『沈黙』といい『神殿』といい何かしらみな主人公に思いを託し亡くなる。
瑞人少年、アツシくんにそれぞれ思いを託してゆく。
『神殿』でアツシくんもなんだかんだで迷い葛藤し答えを見出だそうとするが答えは断片的ながらすべてに近い形でそれはぼやけながら見えてはいるが背けてもいた。
答えはそこにあるけど手を伸ばしにくいもの。
それにしても田口先生と高階先生いつ登場するのかと思っていたら見事に後半出てきた。
田口先生は教授に、高階先生は学長に出世を受け入れる度量を身につけた雰囲気。
アツシくんも何かしらふたりのやり取りに見覚えがあるのはなぜ?
『沈黙』の時代に大人の会話を何かしら聞いてたのか。なぞ?

  • No.477 by 風人  2017-05-11 09:03:15 

『アクアマリンの神殿』で実際はふたつ年上なのに学年をやり直して生きている佐々木アツシ。
また本当は冷凍睡眠中の睡眠学習により頭がよく成績も本来いいはずなのに平凡に生きたいと願う。
癌治療のためだったとはいえふつうの人生を歩むには悩みや葛藤が多すぎる。
西野さんや如月翔子さんそして桜宮学園で知り合い友達になった者たちの協力あって人生の道を決めることができる。
桂菜については悲しい顛末だったのは否めないけど物語自体は『モルフェウスの領域』同様に未来へ展望を照らす形となっている。
物語の大半は学生小説、ただし『輝天炎上』が医学生である天馬大吉と冷泉深雪が軸に対してあくまで佐々木アツシくんが桜宮学園という場やクラスメートたちに囲まれて青春を一方で俯瞰しながら体験しあらためて冷凍睡眠中に得られなかった物事を再認識し西野さんがいちおうは親代わりとして彼を監督し指導し叱咤している。
何かを得たら何かを失うのがやや物語の展開上つらいところ。
オレンジ病棟に悲劇のヒロインが召されるのはこれもまた桜宮の結界のひとつなんでしょう。

  • No.478 by 風人  2017-05-11 14:53:18 

テトラカンタス症候群。
いわゆる早老症。
身体の歳だけが早まる奇病とされる。
たまに『世界まる見え!』などの番組でも取り上げられてたと思うけど『アクアマリンの神殿』で村田桂菜の病名が明らかになった時に声が出なかった。
さらに『神殿』に登場する北原野麦と同級生だったという過去にも驚愕。
野麦は桂菜の病名を知らされていないことがしあわせなのか不幸なのか。
知らないことがしあわせということもあるからなんとも言えない。
それでもアツシくんにとっては大切な存在だったと思う。

  • No.479 by 風人  2017-05-11 18:16:13 

『領域』で桂菜の病気については触れられてはいるものの具体的な症状には記されてなかった。
よくわからないわけだ。
だけど『領域』『神殿』を経てアツシと桂菜が仲がよかったのは救われる。

  • No.480 by 風人  2017-05-12 04:35:52 

『アクアマリンの神殿』ではすでに藤原看護師は退職され彼女が持つナースネットは如月翔子が受け継いだんでしょうか。
だけど高階先生は学長として健在。
『神殿』で東城医大の顛末はアツシくんと如月翔子によって語られているので大筋はわかるが細かなところは『領域』同様にぼかされている。
Aiセンターは『肖像』『輝天炎上』で破壊されたがセンター長という地位からは逃れられずに結果的に白鳥さんによる未来科学センターを設けることとなる。
『肖像』→『領域』→『神殿』の田口先生側の物語はなぞ。
顛末だけが先に語られているのみ。

  • No.481 by 風人  2017-05-12 05:31:33 

『アクアマリンの神殿』の桂菜の顛末は悲しいこと。
おそらく如月翔子たち現場の看護師あるいは高階先生、そして白鳥さんたち厚労省も尽力はしたが薬の認可が下りなかったんでしょう。
『領域』においても佐々木アツシのために尽力する姿が書かれていて彼は救われた。
だけど桂菜はそれがかなわなかった。
医療の現場で命が失われる描写は表現しづらいものがある。
『輝天炎上』での田口先生と天馬くんの受け取り方のちがいに明確にあらわれている。
『凱旋』の救急現場などでも痛切なくらいにあらわれてたし。
だけど桂菜ちゃんを救うために尽力をした人たちの物語を書いてほしいもの。

  • No.482 by 風人  2017-05-12 09:57:49 

天馬大吉も牧村瑞人も佐々木アツシも海堂先生が書く十代の主人公は何かしらひねくれている。
天馬くんの場合は『螺鈿迷宮』の経験を経て一応は真面目な素振りを見せておりなおかつ三角関係に悩むという意味では健全。
牧村瑞人も『沈黙』『弾丸』『夢見る黄金地球儀』を読む限りは健やかに生きているという雰囲気。
佐々木アツシが皮肉にもひねくれた考え方を持ったのはちょっと意外な感もあったけど冷凍睡眠を経て両親にも見捨てられ頭は良くなったがこころや精神が伴わないとひねくれるのもある種当然なところもある。
だけど『神殿』を読む限りには素の自分を出せる西野さん如月翔子さんそして桂菜の存在。
麻生夏美の存在が彼を照らしてくれる。
『ひかりの剣』の若き日の速水先生たちをみつめるヒロインが如くのように。
海堂先生の書く十代はひねくれてはいるけど根っこから芯は一応通っている。だけど十代という年齢から若さ輝きもあるけどその裏に脆さや繊細さを持っている。
清川司郎は『ひかりの剣』から『輝天炎上』まで一気にふけているけどなんでしょうね。彼なりの若さと挫折はあるのはうかがえた。
東城医大で苦い経験をしたかあるいはまた別に……。
佐々木アツシもその点は似ている。
冷凍睡眠し治療をしたけどこころと身体が伴わない青春。
頭いいをどう本当に世の中に使うか考えたら実際むずかしいと思う。
科学や科学者などがたまにテレビでピックアップされるけど科学者の良心が垣間見えなくもない。
佐々木アツシはそんな意味では彼らと同列かもしれない。

  • No.483 by 風人  2017-05-12 10:39:33 

『神殿』で桂菜がアツシに別れを告げる場面は涙出る。
十代の少年に女心を理解しなさいというのはむりあるけど彼女の言葉や思いが切ない。

  • No.484 by 風人  2017-05-12 15:33:37 

“あたまがいい”ということは何かしら平凡な生き方はのぞめないのか。
『アクアマリンの神殿』はあくまで無数にある内のひとつの答え。
佐々木アツシが冷凍睡眠する以前、冷凍睡眠中、そして冷凍睡眠から覚醒後の人生。
『領域』では記憶を無くして新たな人間として生まれ変わる選択肢もあったが彼はそれを選ばず『神殿』へと繋がる。
だけど彼があたまいいのでは?と気づく者もいる。
世の中はおいそれと誤魔化すことができないということ。
夏美や野麦は魅力的な十代として書かれている。
夏美は美少女、野麦は平々凡々だけど。野麦という子なりに女の子なりの打算や計算もある。
『沈黙』で書かれた子どもなりの打算が学生にもあるということのあらわれのひとつ。
女の子を振ると何かしら痛い目に遭う。
『輝天炎上』でも天馬くんは冷泉深雪を振ったわけではないが微妙な関係になったがために痛い目に遭う。
『桜宮サーガ』の男性主人公は田口先生、今中先生、速水先生、彦根先生、天馬大吉、佐々木アツシなどみな程度や衝撃のちがいはあれど痛い目に遭ってる感がある。

  • No.485 by 風人  2017-05-13 04:54:47 

『神殿』の頃には田口先生は高階先生への抵抗と諦めを含めながら出世を受け入れた感じと風格は兼ね備えている雰囲気。
おそらくそこに至るまで悩みや葛藤など無数にあると思う。
おそらく佐々木アツシが十代にも関わらず冷凍睡眠、睡眠学習や癌治療を経ながら悩んだように。
もちろん人生の色や密度はひとそれぞれだからいちがいには言えない。
だけど『神殿』を読む限りは佐々木アツシは普通の人生は歩めない道に冷凍睡眠を決断した時点で戻れないところもある。
選択肢としては普通の人生もあるという。
だけど西野昌孝はあえて彼に選択肢をいくつか提示しながら涼子さんを救うために如何なる考えを導き答えを出すか求めてきたと思う。
『神殿』では西野昌孝側の描写が『領域』よりは少ないからわかりづらいところもある。
『領域』では日比野涼子、西野昌孝の関係が明確になり恋愛関係に近いところもある。
だけど『神殿』では涼子は眠りについたまま。出てくるのはアツシの思いや冷凍睡眠前の僅かな映像だけ。

  • No.486 by 風人  2017-05-14 07:17:13 

『アクアマリンの神殿』でゲタと呼ばれる先生が生徒に思い上がってほしくないというのは海堂尊先生なりのメッセージと思う。
本来は学生に解けない問題が解けた佐々木アツシ。睡眠学習による効果と世間に慣れてないことが裏目に出たことのひとつ。
多少は尖るのは構わないけど思い上がると結局は普通に見えることさえ見えなくなってしまうあやうさ。
『桜宮サーガ』シリーズを読みなれるといい悪いどちらも含め世の中を疑うようになる。
すべてではないけど報道が必ずしも事実とは限らない。
十代である天馬大吉や佐々木アツシはまだまだ純粋。
田口先生たちはなんだかんだで大人社会に揉まれ溶け込み社会のひずみを受け入れながらも矛盾と戦っている。
白鳥さんみたいにある程度ひねくれ割り切れたまた別な意味ではいいでしょうけどそんな生き方はなかなかできない。
彦根先生も『箱庭』ではおそらく本来の大きさの自分を認識したのがうかがえる。

  • No.487 by 風人  2017-05-14 13:14:42 

『アクアマリンの神殿』で委員長を二年努めた日比野という生徒が自ら辞退し代わりに夏美が挙手し立候補。
こういう展開は『桜宮サーガ』にあんがい多い。
『凱旋』の速水先生、『祝祭』の彦根先生などある程度を演出を人物が受け持つ。
日比野という生徒の心情や考えはわかりにくいが二年努めて三年目もとなったら考えることができる人間なら何かしら考えるのが当然。
あたりまえをあたりまえにしてたらそれは堕落を呼ぶことになり自堕落にも繋がる。
立候補もだが辞退による一石を投じるのは悪いことではない。
学校やクラスなどはちいさな社会。
そこで目立つもよし頭いい人イケメンや美人な子など目立つ生徒もいればまたその逆もいる。
田口先生は『ひかりの剣』やバブル三部作時代においては本当目立ってない。端役もいいところ。
あくまで親友である速水先生や島津先生が気にかける程度。
『輝天炎上』における天馬くんも冷泉深雪の目に止まらなければ“真面目(も備えた)なふりしてる落第生”のまま一生徒であったと思われる。
だけど佐々木アツシはそれよりさらに下の多感な学生として書かれている。
頭は睡眠学習により良くなってる一面や西野昌孝により鍛えられているものの読む内に彼本来の本質は変わってないようにも感じる。
ハイパーマン・バッカス好きの子どもらしさや面影は少し残しそれが優秀さとはちがう形で表現されている。
女心に鈍感なのは十代なのは理解するが桂菜についてはもう少し顔を向けて欲しかったところ。

  • No.488 by 風人  2017-05-14 16:44:42 

『神殿』の日々原奈々は少し気の毒な人物。
だけど麻生夏美の方が口が立つ。
だけど『桜宮サーガ』は人物が多い。すべての人物は把握できてないorz。舞台となる桜宮市だけでなく日本全国南北に連なり海外アメリカやドイツにまで人物たちが行き交う。
『箱庭』では『バチスタ』の桐生先生と再会できたのは喜ばしかった。『ブレイズメス』でも再会できましたが(苦笑)。

  • No.489 by 風人  2017-05-15 05:15:46 

天馬くんの場合は必然的に留年生ということでいやでも目立つことになるがアツシくんの場合は極力目立たないように努力はするが実らない。
天馬くんもアツシくんもどちらも美少女に慕われる。
天馬くんは『螺鈿迷宮』の経験から逃げることはしなくなったがアツシくんはまだまだ精神が多感な思春期といびつな睡眠学習、失われた家庭などにより屈折感は否めない。
それでも佐々木アツシがまっすぐでけがれがないのは西野さんの距離感を持った付き合い、如月翔子の親身ある接し方なにより自らのために冷凍睡眠した涼子さんの思いを真摯に受け止めてるから芯までは腐らない。
同時に桜宮学園でのふつうの学生生活というのもある。
アツシくんがやや教師をバカにするところはいただけないけど教師は教師なりに生徒を心配するもの。
『神殿』は『輝天炎上』よりラノベに近い雰囲気で書かれている。
年齢層を下げてる。
だけど桂菜についてはもし十代の頃に読んでたらショックあると思う。

  • No.490 by 風人  2017-05-15 08:02:59 

『桜宮サーガ』シリーズに登場するヒロインは恋愛に強いのか免疫あるのか。
バブル時代から現代までずっと世良先生を想っていた花房さんも何年耐えてたんだか思うが。
『神殿』の北原野麦、この子もまた強いもの。
絵に書いたような地味なヒロインのひとりではあるが果敢にもアツシくんの前で泣かない一面を見せる。実際の真意は不明としても。
田口先生は結果的に『肖像』の裏側『輝天炎上』でのすみれと城崎さんの活躍によって救われているが真相は知らずじまい。
『極北ラプソディ』の五條看護師もまた恵まれない恋愛関係(?)ではあるけど結果的にはいちおうフライトラブを物語をわずかな中に得ている。
その後は不明だが。
田口先生は『神殿』の時代においても独身なんだろうか?触れられてはなかったけど。
高階先生は部下の恋愛や結婚については気にかけないわけ……ではなかった。
『肖像』の文庫ボーナストラックでは速水先生と如月翔子を引き合わせているから無関心ではなかったと思われる。

  • No.491 by 風人  2017-05-15 09:01:26 

高階先生がいくら病院長もしくは学長であっても東城医大の医師や看護師までの人間関係はすべて把握してないでしょう。
ある程度はそれぞれの教授や教室、各科などの上司に任ずる者たちに任せているでしょうね。
『箱庭』において田口先生に調査を任しながら結局は白鳥さんに言いくるめられなりゆきに任せる以外にない。
事象の予測はできても未来はわからない。ならある程度はなりゆきに任せて事態がゆっくり動くの見守るしかない。
病院長や学長などの立場で上に上り詰めても“孤独”はあるんでしょう。
なにより部下に任せた仕事は極力手を出さないように上から見守るしかない。
『栄光』から『箱庭』に至るまでの経緯を高階先生視点で読んだらまた異なるでしょう。
組織のトップは必ずしも光りだけではなく影もある。
『ブラックペアン』『ブレイズメス』の佐伯病院長もそんな気持ちがあったかも知れない。

  • No.492 by 風人  2017-05-15 17:09:00 

『桜宮サーガ』シリーズの人物をよく読むと取り柄のない人物は書かれてない。
何かしら鈍感ではあるが別な何かには敏感や優秀だったり。
白鳥さんにしても悪評はあるが時に自らの評価を覆す。
こういう逆転劇は大小に関わらず物語内のあちこちで起きている。
だけど人物本人が自覚してるか否かはまた別。
出世に興味ない田口先生が『栄光』から『神殿』まであれよあれよと出世していくのも妙な話(笑)。
天馬くんにしても『輝天炎上』では大人である田口先生に敵わずAiセンター会議に出席することになる。
『神殿』の佐々木アツシにしても自らのあずかり知らぬところの人間関係で運命が動き左右されていく。
西野昌孝の本心は如何なるものか。もしかしたら孤独や未来に不安をおぼえている人物かもしれない。
『桜宮サーガ』シリーズの人物は表裏や虚実を使い分ける人物もまたいる。

  • No.493 by 風人  2017-05-16 06:00:59 

冷凍睡眠による睡眠学習の効果はおそらくあるんでしょう。
だけど『モルフェウスの領域』で時を巻き戻す佐々木アツシ少年の気持ちを考えたら脳と心、精神がアンバランス。そのアンバランスさは『神殿』でも尾を引いている。
頭いい人が必ずしもしあわせが否かというのもある。
『神殿』はひとつの問いかけ。『桜宮サーガ』シリーズは物語内にいろいろな複数の問いかけがあると思う。
こたえが必ずしもひとつではない。
『弾丸』のオチみたいに本来はAiセンター長は田口先生ではなく白鳥さんなのではみたいに(笑)。

  • No.494 by 風人  2017-05-16 09:49:34 

世の中の事象をすべてに近いほどに理解するのはほぼ不可能。
物事はあとになってから知ることの方が多い。失敗や間違いを教訓にしてから。
『桜宮サーガ』はひとつの架空の世界観。だけど現実と医療を通して密接に繋がっている。
Ai(オートプシー・イメージング)やドクターヘリなどは海堂尊先生や医師たちの貢献によるところもある。
数年前に耳鳴りなった時は子どもの時以来、CTを受けたからあらためて驚きあった。
なにごともなかったのはさいわいしたが。
海堂尊先生の作品を通じての現実へのメッセージは現実とこれからの未来に必要なことと思われる。

  • No.495 by 風人  2017-05-16 15:01:55 

『アクアマリンの神殿』が何かに似てると思ったら漫画の『タッチ』で主人公達也がボクシング部に在籍してた時期に似る。
『ひかりの剣』では海堂尊先生は自身で経験ある剣道だったのに『神殿』ではなぜボクシング部に視点をあてたのか。
ちがうものを書いてみたい作家心でしょうか。
だけど冷凍睡眠をしてる被験者を覚醒させるのを十代の少年におこなわせるのは一般的な常識からいえば酷なこと。
しかし睡眠学習でふつうの人よりは佐々木アツシくんは知識を得ている。
ただ知識はあっても知恵の使い方を西野昌孝や曽根崎伸一郎、如月翔子そしてドロン同盟の夏美たち仲間と付き合うことで考えていく。
知識だけあってあたまでっかちになることを危険視している。
知識ある者は知恵を使って世のため人のために成すことを成さないとならないといけない。
『神殿』を読むと科学者の貢献と良心が垣間見えてしまう。そういう啓示か訓話なのか。
あえて西野昌孝が適度に悪役かつ悪い大人を演じてるようにしか感じない。裏を返せば彼は善人ということになるが真意はわからないままの方がおもしろく読める。

  • No.496 by 風人  2017-05-16 16:05:59 

読書をすることで書かれている物語に憧れることを『神殿』では“人生を食われる”と表現している。
わからなくもない。
佐々木アツシのような思春期の年頃なら多感で繊細で若くもあれば脆いため憧れに精神をあずけやすい年頃。
モラトリアムから抜け出し脱皮する必要はある。
けどこれから脱皮するには傷つかない限りは一皮も剥けなくなる。
『神殿』では桜宮高校で学校、部活、クラス、ドロン同盟という同じ場でありながら四つの異なる空間(時間)を演出している。
これは『螺鈿迷宮』や『輝天炎上』の天馬大吉や冷泉深雪あるいは『ひかりの剣』の速水先生たちではできなかったことでしょう。
中学高校というふつうの学校という場、学校というちいさい社会の中で自分のポジションを探りながら生きていく。
クラスはさらにちいさい社会、さらにまたポジションを自覚していく。
部活に関してはこれはするしないのちがいは私は多くは言える立場にないのでコメントなし。
ドロン同盟みたいなのはクラスにおけるグループ。グループのなかで互いに仲良きことは美しきことでもあるがそのちいさいグループの中にも適度に打算や策謀などあるが互いにつきあいでおのおの空気を読んでいく。
『神殿』で新鮮なのは海堂尊先生が学園小説を書くとこうなるのかと受け止めができる。

  • No.497 by 風人  2017-05-16 18:29:24 

通常の医療なら患者が日常生活を送れるように治療しなくてはならない。
だけどコールド・スリープ(冷凍睡眠)なら被験者が日常生活を差し支えなく送れるようにしなくてはならない。
この問題の提示は『桜宮サーガ』のすべての起点、『チーム・バチスタの栄光』で不定愁訴外来で田口先生によりおこなわれていること。
医療の問題は多々あるけどおおもとの問題は医者と患者の信頼関係の崩壊からはじまること。それゆえに医療ミスなど多くの問題も起きる。
ただし『桜宮サーガ』世界では舎人町においては医療ミス裁判は起きていない事象が存在している。
『神殿』における佐々木アツシ問題はアツシくんがいささかいびつな十代になったのは否めないが根っこや彼のおおもととなっている心や精神はけがれなく存在してること。多少は素直ではないが。
佐々木アツシ問題については解決してるというのは『神殿』の物語の大半が示している。
ふつうに(?)青春してますものね(苦笑)。
適度に友人関係をつくりそこそこ恋愛関係は破綻しながら再び関係を構築していく。
ふつうの人間がしてることを佐々木アツシは充分にこなしている。
『神殿』における涼子さんを覚醒させることは西野さんの不定愁訴外来ということとも解釈できる。
アツシくん涼子さんともに解決をさせることをしなくては結局は解決には至らない。

  • No.498 by 風人  2017-05-16 20:02:35 

物語自体に発想の飛躍はあるけどひとつひとつ物語は順を追っていってることが伝わる。
『モルフェウスの領域』『アクアマリンの神殿』共にちゃんと地盤を磐石にしてゆく。
西野昌孝のおこなうことは一見こそは悪意だが殻を破って真実を見抜けば善意のひととなる。
日々野涼子、佐々木アツシ共によき解決を導いている。
あえて“悪いひと”の仮面をつけて生きてるんでしょう。それが彼の人生を一抹か寂しくさせているのかもしれない。
涼子さんとの大人の関係からもある程度はうかがうことできる。
結果的に『領域』『神殿』共に西野昌孝がちょうど物語や人物の真ん中というポジションにいるということ。
これによりふたつの物語や人間関係のバランスも決して崩されないという。物語のつくりとしては絶妙なバランス。
現実としていえば西野昌孝のポジションに位置するのはむずかしいと思う。物語のように自ら去らないといけなくなる。

  • No.499 by 風人  2017-05-17 04:54:02 

コールドスリープ(冷凍睡眠)の被験者を法的に守るためには覚悟が必要ということ。
『桜宮サーガ』は架空ではあるけど現実の未来に対して警告を与えている。
佐々木アツシの“レティノサウルスを倒したい”という思いはあらかじめ海堂先生が決めてたことでしょうか。
だけど時系列における矛盾が存在したために『モルフェウスの領域』が作品として誕生し存在したともされる。
海堂尊先生はあたまいい方ですからあらかじめ冷凍睡眠(コールドスリープ)を題材にしようとしてたのはないでしょうか。

その都度、『桜宮サーガ』シリーズは過去現在未来日本内外へと物語が飛ぶしある物語のちいさな話題が次の物語ではメインとなることがある。
だけど未来において西野昌孝氏は彼はどこへ行ったのか。
彼もまた城崎さん同様に定住の地を求める生き方をしてないように思われる。
『ラプソディ』の世良先生みたいに着地点はたぶんあると思いたい。

  • No.500 by 風人  2017-05-17 06:46:26 

麻生夏美の父親は誰?
麻生姓なのはたしかでしょうけどいままでの『桜宮サーガ』のシリーズに登場はあったでしょうか。
西野昌孝のライバルのひとりではあるらしく娘の夏美にいわせると西野さんにそっくりという人物。
要所要所にヒロイン麻生夏美の口を借りて出てくる彼女の父親。
いつかは明かされるんでしょう、たぶん?

  • No.501 by 風人  2017-05-17 07:00:41 

『アクアマリンの神殿』とまだ私は未読ですが『医学のたまご』はほんの少し先の未来が書かれた物語。
『領域』『神殿』のコールドスリープ(冷凍睡眠)は半分程度はSFの範囲だけど必ずしも架空の出来事ではない。
いつかはおとずれる未来でありいつかは法律や医学として現実に実行されるであろう物事。
その際に冷凍睡眠についての法律や被験者の現在や未来はどうなるのか?という問いかけは必要。
『領域』や『神殿』はその答えを出している。
SF小説の出来事が着実に現実に現在進行中でいつかは誰かが被験者になることもある。
話は横道にそれるが『世にも奇妙な物語』にも冷凍睡眠を題材にした物語はあったと思う。
それもまた現実に辿る未来のひとつかもしれない……。
『領域』や『神殿』を読むとそれもまた未来のひとつの姿。

  • No.502 by 風人  2017-05-17 10:53:49 

『アクアマリンの神殿』はいかにも学園小説というエンディングは好感。
謎めいた『輝天炎上』よりはよりラノベぽい。
学生時代の付き合いは永遠のセピア色。
佐々木アツシ、かつては癌患者であり冷凍睡眠のスリーパーそして冷凍睡眠の監視者。それでいてなおかつ学生という。
『桜宮サーガ』シリーズのなかで多難な人生を送っているひとり。
だけど困難を乗り越える術を西野さん如月翔子などまわりの人物が教え説く。西野さんのやり方は少々厳しいと思うが“平凡な人生”から外れたひとはふつうに生きられない宿命。
だけどあたまでっかちなままだと世界にいられなくなる。
『神殿』の物語内で書かれる学園生活がいかに大切な存在か知らされる。
夏美と野麦という対照的なヒロイン。
なにげに地味な野麦がアツシから見ればしたたかというのもおもしろい。人を見た目で判断してはならない教訓みたいな子。
むしろ野麦の方が化け物なのでは?というニュアンスがわずかにあるとしたらどうだろう。
野麦に近いヒロインといえば氷姫こと姫宮香織が近い感じする……。

  • No.503 by 風人  2017-05-17 21:17:00 

フィクションではあるが『肖像』『輝天炎上』の美智おばあさんは癌にも関わらず適切な治療法はなかったにせよ田口先生の不定愁訴外来で診てもらうことで愚痴を言い続けたことで物語のなかで天命をまっとうしたといえる。
不定愁訴外来の愚痴が長く命を長らえさせたといえる。
今夜の『ホンマでっか!?』のストレス解消法で愚痴を言うあるいは伝えるのは健全で身体にいい行為ということでしょう。

  • No.504 by 風人  2017-05-18 05:35:25 

頭が良くてもそこに現実や人間の感情や気持ちが伴わないと結局はひとりになりいずれは世界から受け入れられずに化け物になるということでしょう。
そんな危険を『沈黙』の牧村瑞人、『神殿』の佐々木アツシは内に持ってたということになる。
だけど両者ともに周囲の大人たちに支えられ守られてたことで道を踏み外すことはなかった。
だけど実際には『沈黙』においては牧村瑞人は自分で罪をひとり背負おうとしてた。
いま思うとこの場面は彼が化け物になろうとする瞬間だったんでしょう。浜田小夜が驚く場面はふつうの人間が持つ感情の瞬間。
だけどそれを白鳥さんと田口先生がふたりで事件を解明したことで彼が化け物になることはなかった。
『神殿』のアツシにしても涼子が眠る地下室でひとり悩み葛藤する姿はひとりの人間の在るべき姿。十代の少年にはあり得ない姿でもあるけど彼にはふつうのひとにはないモノを得ている。
同時にふつうのひとが持っている存在もまたある。
4Sエージェンシーの牧村瑞人、医学生として飛び級する佐々木アツシ。
それぞれ生きる道はちがっても世のため人のためという志、信念は変わらない。

  • No.505 by 風人  2017-05-18 07:12:32 

あたまがいいことも含めて人より先に大人になることが果たして本当にいいことか悪いことか。
田口先生は『輝天炎上』では城崎さんに知らないところでバカにされた表現はされてるけどそれはある意味においてふつうな証しと思う。
田口先生はふつうに他人のことがわかるからふつうでいられるし内面や本質が変わらない人物。
ふつうでいることで突出した“何か”は潜在的にはあるかもしれないがふつうだからこそ多くの患者や人物たちと接することができる。
白鳥さんは厚労省のはみ出し者ではあるけど官僚という枠組みから見れば若手官僚のひとりであることにかわりない。
ただ厚労省や霞ヶ関を内部から破壊するおそれがある危険人物とされる。だからある程度は厚労省という組織にいながらもいつ組織の外に出されても構わずまた戻ってくる可能性や処世術を得ているはず。
白鳥さんに限ってはふつうや常識の枠にとらわれないように作品中ではなっている。
速水先生や彦根先生にしても医療に関わる限りは組織からは離れない。それは他の先生や看護師などもおなじ。
だけど患者であった牧村瑞人、佐々木アツシは数奇な運命を辿ることになる。
またオレンジ病棟で亡くなったヒロインたちも。
あたまがいい人は多少は厳しくても相手にちゃんと適切に言葉を伝える義務はある。受け取った側は考える必要がある。

  • No.506 by 風人  2017-05-18 09:01:20 

『アクアマリンの神殿』は医療小説の一面はあるが大半は学園小説。
いかに学生の時期が大切だったか思い知る。
それでも多感な青春期に感じたことは大人になっても心は覚えている。
現実においても佐々木アツシほどにひねくれないまでもあの時期は世の中を斜めから見てしまう。
だけどそこで道を踏み外せば誰もが“化け物”になってしまうのではないかと思う。
『螺鈿迷宮』で自らの過去を知った天馬大吉。だけ彼には別宮葉子という幼馴染みがいて常に見守っていたおり『輝天炎上』では落第生から脱出しようととりあえずまじめになっている。
『神殿』の佐々木アツシも物語のどこかで間違えてたら東城医大や桜宮市を通して世界を恨むようになったかもしれない。
現代社会ではそういう危険を誰もがひそかに持っていて危ういところに立っているのかもしれない。
あたまがよくても知恵を使わない知識のかたまりにしてはいけないという警告はあるのかもしれない。
知識は知恵というあたまを使ってこそ生かされる。そこに良心が存在しないと暴走し“化け物”になってしまう。
けっこう『神殿』が凄い内容だったと伝わってる感じする。

  • No.507 by 風人  2017-05-18 13:50:27 

『桜宮サーガ』シリーズを読んで思うのはひととの別れはせつない。
『アクアマリンの神殿』で亡くなった桂奈だけどその後、お葬式などで北原野麦は別れを告げることができたんでしょうか。
『神殿』は涼子の覚醒を問うことはしながらも覚醒自体の場面は書かれてない。先に記した桂奈についても亡くなった直後の場面はあるがお葬式などはない。
海堂尊先生のことだからわざと書かなかった旨と思われる。
もしくは『神殿』そのものには要らなかったと判断される。
桂奈と野麦については別の物語で語ることができそうなくらい『神殿』では触れられていない。たぶん別の物語があると思う。
ただ涼子について覚醒してかつてのアツシ同様に不定愁訴外来かそれに近い環境で精神ケアをし再び生きていけるかはこれはなんともいえない。
『桜宮サーガ』はまだあちこち空白ないし余白がある物語だから人物が入る隙間はある作品。
解決してない諸問題についてはおそらく何らかの形で別世界で補填や補完されるはず。

  • No.508 by 風人  2017-05-19 05:15:58 

“個人情報保護法は死者には適用されない”
『アリアドネの弾丸』の白鳥さんの言葉。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むといろいろ知らないことをわかりやすく書かれ伝わる。
だけどいまの時代は法律で守られている反面、法律でがんじがらめな点もある。
昭和時代やバブル時代と多くの面が異なる。
どちらがよかったかといえばむかしの方がよかったかもしれない。
現代みたいに情報過多ではないしストレスにしてもネットはない時代ですからネットなどによるストレスはない時代。
今週の『ホンマでっか!?』でも現代はむかしにはないストレスが多すぎると言われてた。
だけどいずれ冷凍睡眠(コールドスリープ)が実用化されれば法律は必要となり被験者の人権保護、精神ケアもまた必要。
『モルフェウスの領域』後半で書かれた佐々木アツシの覚醒後の治療やケアは作品中では比較的ゆるやかかつ一方では東城医大側が研究テーマとすることで被験者たるアツシを守るように先手を打った。
これからの時代は未知なることが多いようにもなにかしらのニュアンスは感じた。
冷凍睡眠(コールドスリープ)、これがひとりの人間あるいは人類にとって光りとなるか影になるか。それが疑問に思う。

  • No.509 by 風人  2017-05-19 13:40:20 

田口先生が次期病院長に選ばれたわけ。
単純に消去法をしていけば現代を描いていた『田口白鳥シリーズ』の東城医大の人物表や人間関係を見ていけば田口先生しか病院長になれる人物がいなかったのが正直なところでは。
黒崎教授、藤原看護師そして高階病院長(後に学長)はいずれ東城医大から去る人物なのは明らか。
エシックスの沼田先生を病院長にすると経営の一途は縮小していきいずれは袋小路に入り結局は東城医大が無くなる可能性がある。
速水先生は経済感覚がなし、島津先生はがんがん魔人のあだ名を持ちある程度は慕われる傾向はあるものの経済感覚や病院経営について如何なるほどか疑問の余地が残る。
『箱庭』においても調査された先生方にしてもいささか閉鎖的環境は否定できない。
『栄光』当時の不定愁訴外来がいささか目立たない存在にしても患者からは好評、もしかしたらある程度は経済的数字を上げ東城医大に利益を与えた可能性もある。
またなにより院内政治に物語当初は無関係であったというポジション。
上昇志向や大学病院への敬愛などはやや薄いものの組織に害悪をなすわけではない。
それらを考えていけば速水先生、島津先生、沼田先生よりは次期病院長として適任だったのではと頷けもしない。
大学病院が存続できある程度は市や街に貢献できる程度がささやかなしあわせとしたら田口先生が不定愁訴外来をやるように大学病院が経営できたらそれは人々や街のしあわせになるということ。
結論をいえばそんな感じ。
高階病院長の真意は不明ですが、他に真意はあるかもしれませんが表面はそんな感じに取れる。

  • No.510 by 風人  2017-05-20 11:17:45 

Ai(画像診断)でも間違いはあるということ。
いくら機械が優秀でも人間の側が精査しなくては患者の生命は救えない。
世の中がだんだんむずかしくなっていく。

  • No.511 by 風人  2017-05-21 05:07:22 

本当に西野昌孝は涼子さんの記憶除去をのぞんだとはいささか思えない。
なんだかんだでアツシと共に彼女の冷凍睡眠を見守り未来科学センターを東城医大にまかせていたわけだし。
どうでもいいなら冷凍睡眠の四年の間に何処かへいくこともできたと思う。だけど彼はそれをしなかった。
西野昌孝もこの人も彦根先生同様に虚実を巧みに使うことで真実の姿をぼかしてしまう。
それに後半ど西野昌孝があらためて記憶除去を問う場面。
これは被験者の人生を大きく左右するもの。
記憶を除去し別人になることは国に都合はいいし新たな戸籍を作れる。
が、冷凍睡眠前の人生を否定することができるかどうか。
アツシは冷凍睡眠をしたことでご両親に見放され孤独になってしまった。
冷凍睡眠前の人生を子どもは無くしたに等しい。治療に病気は治ったものの代償は大きく重たい。なおかつ心に傷を残す。
アツシが若干の歪みや世の中をひねくれた見方をするが彼が極端に世の中を恨まなかったのは西野昌孝の采配、如月翔子や桂奈の存在、田口先生の心のケアあってのこと。
それを真摯に受け止め自分で考え悩んでいたら化け物にならずに物語は終えた。
誰しもが“化け物”になる危険をはらんでいるのが世の中。

  • No.512 by 風人  2017-05-21 15:31:40 

地方や田舎でも高齢者の健康のためAi(画像診断)は導入されている。
『極北ラプソディ』の神威島のような状況が全国どこも過疎化や医師がいない現状があるからでしょう。
若い医者や医師は戸惑いはおぼえるだろうし土地に慣れないといけない苦労はあると思う。
だけどそれら時間や会話が解決してくれる。
感謝の言葉は時に土地の食材や土地の話題だったり田舎ならではの環境もある。
NHKでAi(画像診断)が田舎で役に立つのは治療への道。

  • No.513 by 風人  2017-05-22 15:51:37 

長寿社会がいまの時代にいいかどうかは疑問はある。
少子高齢化の時代。
また『桜宮サーガ』シリーズの物語を読むと患者の延命処置が是か非か。たまにドラマなどでも話題になる。
延命処置をのぞむひともいればのぞまないひともいる。
『輝天炎上』で患者が亡くなる場面においての田口先生と天馬大吉のそれぞれの言葉や感じ方はたぶん誰もが疑問に思ったり考えることと思う。
どちらも正しくどちらも何かしらの間違いに近いニュアンスはあると思う。

  • No.514 by 風人  2017-05-23 07:06:34 

医療に絶対的な思想はないのかもしれない。
あくまで海堂尊先生が作品を通して訴えていることは理想のひとつ。
物語のなかで主人公たちは難題や事件を解決しながら毎日を生きていく。
田口先生にしても高階先生に無理難題を押しつけられながら自らグチる始末。愚痴外来の先生自らぼやく(笑)。
Ai(オートプシー・イメージング)やドクターヘリなどはいくつかは『桜宮サーガ』世界と現実が重なっている。
だけどそれでもまだまだと思う。海堂先生の理想の到達点はおそらく我々には見えない。
断片的なパズルのピースは各作品に散らばっているはずだけど。
医療庁などにしてもひとつの理想であり思想。だからといって絶対的な存在かといえばそうでもないと思う。
大学病院という存在にしても白い巨塔のなかで多くのひとたちが行き交いみなそれぞれの理想の医療や未来を目指す。
『神殿』の時代において藤原看護師は去ったみたいだけど他の人物はどうされたのか。
速水先生は東城医大に復帰されたのか島津先生は相変わらず放射線科医かエシックスの沼田先生は相変わらず権力を振るっているのか。
その辺の内情はわからずじまい。
白鳥さんや彦根先生たち、桜宮市警との関係は?
なぞがのこる。

  • No.515 by 風人  2017-05-24 12:28:57 

『桜宮サーガ』シリーズを読むと癌患者であった人物たちは病のなか戦い悩み葛藤し日々生きてるのが伝わる。
現実も同じかそれ以上と思う。
私の叔父も癌になったと聞いて誰にでも起こりうることなんだと実感する。
いまの時代にはむかしにはないストレスや病が多くあると思う。
現代社会が複雑かつ生きにくい世の中。
『モルフェウス』や『アクアマリン』を読むと冷凍睡眠(コールドスリープ)によって未来に希望もあるが同時に冷凍睡眠後に法律をはじめとして目にみえない現実が無数にある。
病が治療できたとしてもその先がみえない世の中。見えるようにするために患者の心のケアや治療が必要でもある。

  • No.516 by 風人  2017-06-09 15:49:19 

薬に頼らないで風邪を治すのは実に至難。
とはいえ薬も必ずしも身体にいいモノではないというのは『桜宮サーガ』世界では半ば通例。
現代医療では薬は必須。幕末医療モノの『JIN-仁--』でもペニシリンがあるとないとではまたちがう。
『桜宮サーガ』では薬は半ば身体に良くないものとして伝えている点もある。
現代医療は何かと弊害もあるのも現実。

  • No.517 by 風人  2017-06-11 15:32:10 

ふつうに薬だってアレルギーや副作用がないわけでないのも現実。
現代になって医者も患者もアレルギー、副作用を気にしてしまう世の中になった。
『肖像』で田口先生と患者が薬についての話がありましたが物語流れそのものからいえばたぶんに無関係。
だけどおそらく著者である海堂尊先生からしたら無関係にしたくなかったのではないでしょうか。
あと一般人がネットからの知識を現実のお医者さまに向けないようにしてくださいと暗黙の配慮としてメッセージとして込めたと考えた方が気持ちいいと思う。
患者が(ネットからの)よけいな知識で物言いをすれば当然、医者としては不愉快。また医者と患者の信頼関係に齟齬をきたす。
患者が神経質やデリケートになり過ぎるのも現代医療の問題のひとつ。
『桜宮サーガ』のシリーズを読んで思うのはどの立場になって読むかそして現代にお医者さまの世話になる時に信頼関係が成り立つか否か。
けっこう『桜宮サーガ』のシリーズもいろいろなメッセージが込められている。

  • No.518 by 風人  2017-06-15 15:27:55 

『桜宮サーガ』シリーズは内容が豊富。
『モルフェウスの領域』『アクアマリンの神殿』のような冷凍睡眠(コールド・スリープ)がもし現実に実行されたらどうなるんでしょう。
被験者が病気を将来や未来に治療できるにしても時の流れは被験者を浦島太郎にしてしまう。
『領域』後半のアツシ少年はまさにそれ。
両親は親権を放棄し自分が知る人たちも限られる。
また睡眠学習により頭はよくなっていることは『領域』ではよきことのように描写されているが『神殿』では頭がよくなったことが普通の生活を送れない一部弊害になっている。
西野さんが厳しく接したのはアツシくんを社会の化け物や犯罪者にしないためにあえて厳しく言い諭したと思う。
頭よくなったのが睡眠学習の結果としてそれを含めて人生のなかで為さねばならないこと。
冷凍睡眠、睡眠学習は『領域』『神殿』ともにいずれは現実で使われた場合に被験者がいかなる人生を送るかという課題。
社会はその責任を担わなくてはならない。
アツシくんが『神殿』の時代には東城医大には足が遠のいてはいたけど彼にとっての人生の原点や布石でもあった。
頭がよくなっても『ハイパーマン・バッカス』が好きな少年の気持ちが原点でもあった。
この辺の描写は海堂先生の人物にたいしてのやさしさでしょう。

  • No.519 by 風人  2017-06-22 13:15:04 

母の知り合いのお見舞いで市内の病院をたずねたが近年の病院は綺麗。
『桜宮サーガ』内でも東城医大はシリーズが進むごとに設備や施設が整っていく。一部サリーと呼ばれる新棟やAiセンターなどは紆余曲折あり頓挫する。
かたや『極北シリーズ』は市長の意向によりトイレは様式に改修されるが『ラプソディ』時期は人員削減もあり閑散としている。
大学病院と地域病院の違いもある。
だけど母の知り合いは元気にしてたようでなにより。
病院内が明るいし若い職員さんが24時間いるのも心の負担にならないと思う。

  • No.520 by 風人  2017-06-23 13:52:39 

癌と戦うのは並大抵ではないと思う。
抗がん剤を用いたり他に転移しないように手術治療を繰り返したり。
『桜宮サーガ』内でもたびたび人物たちを苦しめる最大の病気のひとつ。
『ナイチンゲールの沈黙』で幼い子どもでも癌になるという物語。
癌となった主人公の牧村瑞人と彼を慕う佐々木アツシ少年。
それぞれ異なる手術や経緯で癌治療をおこない別の物語であらためて出てくるけどまたその後の人生に悩む。
大人でも癌に苦しむが幼い子どもだとまたなおさら苦しむ。
なぜこのような病が存在するのか。

  • No.521 by 風人  2017-06-24 05:42:26 

『ランクA病院の愉悦』収録の「ガンコロリン」はコメディとしても実際に癌を治す治療薬ができてもさらに強い癌が出てくるというオチはある種の警鐘にも思える。
人間がある病気を治す特効薬をつくっても時を経てある病気はまた強くなるイタチごっこ。
癌を治療したいのは人類の夢。だけど癌手術をする医者が将来いなくなってしまいのも弊害。
「ガンコロリン」は癌を取り上げているけどたぶん他の病気にも言えることと思う。
海堂先生はコメディに仕上げてるけどいろいろな警鐘が含まれてると思いたい。

  • No.522 by 風人  2017-06-26 15:44:57 

『ナニワ・モンスター』で官僚の不祥事や接待問題語られてました。
一部は創作フィクションでしょうけど少しリアルで読んでて怖かった。
斑鳩室長がほぼ裏で糸を引いている闇社会。不祥事をわざとマスコミに公表してよそに目を逸らす。ある種の情報操作。
ただし作品中では情報操作とまで明確にしてなかったでしょうか。
『イノセント・ゲリラの祝祭』での白鳥さんが田口先生を労うのは接待ではなくとりあえずの付き合い。

  • No.523 by 風人  2017-06-27 09:33:21 

『螺鈿迷宮』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』に登場した美智おばあさん、最後の最後まで癌と戦った人物。
『肖像』でこの人物の描写が田口先生の視点で語られるが世話する看護師さんたちがむしろつかれをおぼえるほど。
だけど逆に考えたらいかなる治療よりも本人が生きたいと思う意思がなせる業。
薬や手術はほとんど効果がないにしても生きる意思により自らを生かしている。
何かを誰かに伝えるために……。
実際作品内においては『肖像』では田口先生に、『輝天炎上』では天馬くんにそれぞれすみれについて伝えて亡くなる。
死にゆく人たちは生きてる人たちに伝える何かがあるからこそ生きている。

  • No.524 by 風人  2017-06-29 19:48:51 

青森でがん検診で四割見落とされていた報道は少々残念。
『ナニワ・モンスター』の舎人町(とねり)のように現実はうまくいかないことの証明。
青森の一件が人間の慢心かふつうに見落とされたのかそれはわからないけどせっかくある医療システムが生かされてなかったのは残念。
海堂尊先生はどんなお気持ちで報道を耳にされたか。あるいは医療関係者全般の方たち。

  • No.525 by 風人  2017-06-30 06:45:17 

システムや制度が確立されても傲りや慢心あればせっかくのがん検診も見落とされる。
青森の件は慢心や怠慢なのか疑問が残る。

  • No.526 by 風人  2017-06-30 13:22:08 

母の知り合いを見舞いに行った病院もすごかったけど自分がいざ病院にいくとたいへん。
だけど医療が一部(もしくはすべてに近い範囲?)でサービス業に近くなってる雰囲気。
多少の時間がかかるのはやむを得ない点もある。
大きい病院の方がレントゲンやCTもあるからいろいろ診られる点もある。

  • No.527 by 風人  2017-07-02 14:24:38 

幼い頃は病院は無機質なイメージあったけど最近の病院は綺麗。
若干システム的なところはあるかもしれないけど診療にも柔軟な対応している。
『桜宮サーガ』シリーズでも電子カルテの話題はひとつふたつはあったし大学病院や市民病院なども時代に対応していく。
売店やカフェテラス、食堂などは入院患者や医療従事者さんたちのスペースでもあるが綺麗になっている。
金曜日は朝食を抜いてエコーしないとならない。咳止めを飲んで咳はある程度ラクにはなった。
夏風邪に弱い。

  • No.528 by 風人  2017-12-15 08:15:09 

現代においては医療がなかばサービス業になる一面もありながら行き届いた治療が現場がしたくてもできない現実。
『伝説』に書かれている三編の短編はそれを克明に記している。
反面医療技術は進んでる。採血し診ることで患者の状態がわかるんだから。
とはいえいまだに癌などは克服できない病もある現実。
日本の未来が少子高齢化で先細りするように医療の未来もどうなるかわからない。
『桜宮サーガ』シリーズには「国家は滅んでも医療は滅ばない」という言葉がある。
『祝祭』以降ちょくちょく出てくる印象的な表現。

  • No.529 by 風人  2017-12-16 11:09:30 

『スカラムーシュ・ムーン』『スリジエセンター』を読みたいけど文庫化はまだなのかされたのかわからない。
『スカラムーシュ・ムーン』の後日談的に『カレイドスコープの箱庭』でわずかに語られてるだけ。
彦根先生の飄々し若い人物像は嫌いではない。ある意味若者らしさの挑戦と無謀さを合わせ持ちそこに虚実を巧みに操る手腕と行動力。
『田口白鳥シリーズ』の現代を舞台にしたシリーズのなかではある種のひねくれた大人ではあるが内に若さを秘めている人物。ただそのぶん斑鳩室長に目をつけられたのが不運でしょうか。
斑鳩室長の不鮮明さにくらべたら彦根先生のやることは鮮やか。

  • No.530 by 風人  2018-05-06 17:27:01 

スカパーで『アリアドネの弾丸』再放送。
地上波では『ブラックペアン』が放送中。
若干ドラマや映画などの改変はあるけどドラマ版などでも『桜宮サーガ』はそれとなくつながりあるみたいですね。

  • No.531 by 風人  2019-01-04 04:57:21 

『スカラムーシュ・ムーン』では再び政治的シミュレーションを書いてる雰囲気。
村雨府知事が市長になろうとするくだりは当時の橋下徹府知事と同じ。
斑鳩室長の秘密兵器(動物園)=zooが動き出す。

  • No.532 by 風人  2019-01-05 16:46:09 

ようやく『スリジエセンター』文庫版を購入。
まだ読めてないけど。
これで『ブラックペアン』から続く三部作に決着がつく。
どうなるのだろう天城雪彦先生はと気になるしだい。

  • No.533 by 風人  2019-01-09 08:53:10 

『スカラムーシュ・ムーン』を読んでいまは『スリジエセンター1991』を読書中。
『スリジエセンター』には村雨府知事が政治家秘書として登場してることから『スカラムーシュ・ムーン』と世界観がつながってることがわかる。
だけど『スリジエセンター』で天城雪彦はほぼ孤立無援ななか窮地に立たされる。毎回だけど。
読んでて今後どうなるか期待と不安がよぎる物語。

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