桜宮サーガ雑談

桜宮サーガ雑談

風人  2014-11-30 06:00:58 
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『チーム・バチスタの栄光』から始まる田口・白鳥シリーズに発端し架空都市桜宮市を中心に過去・現在・未来、東京霞ヶ関や北は北海道の極北市、ドイツのブリュッセルまで広大に広がる桜宮サーガを雑談し語る部屋

トピ主はまだ読んで一年と満たないですが桜宮サーガを語れる方がいてくれたら嬉しいです。男女年齢に関わらずお越しください。

『桜宮サーガ』のシリーズなら小説・映画・ドラマ・漫画などいずれでも話題は構いません

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  • No.333 by 風人  2016-10-13 06:27:04 

天城雪彦先生の考え方はおそらくいまの時代でも受け入れはむずかしいと思うけどバブル時代ならなおさらだろう。
だけど登場人物たちに影響はかなり残していると思われる。
高階先生は病院長になりバチスタスキャンダルなど苦難や難題を抱えながらもスリジエハートセンターを何らかの形で潰してしまったことを悔やみながらAiセンターに託す思いがあり厚労省や坂田局長、白鳥さんらに協力を求める姿勢はギャンブルができないしない姿勢の反動や裏返し、あるいは日本的な姿勢ともいえる。
なかなか人間は己の思考や姿勢を変えるのはむずかしい。なら自分なりの方法に落ち着いたかもしれない。
それは世良先生にも同じことがいえるかもしれない。
医療債権請負人として地域地方の病院を立て直そうとしながら失敗挫折を幾度も経験したであろうは『極北ラプソディ』で語られている。
だけど無駄を削ぎおとしちゃんとお金を払う患者には快く対応しお金を払わない患者は拒否する。
医者がボランティアではない、のは『桜宮サーガ』内でも語られている。
世良先生が徹底した姿勢で黒字を出しながらも黒字倒産してしまう可能性もまた示唆している。
市が医療に予算が取れないのもあるせいで。
『極北ラプソディ』で極北市民病院および市が疲弊してるのは描写から伝わる。
市長や市職員が不真面目ではないこともつけ加える。彼らとて自らが招いた事態なのは自覚している。
『極北ラプソディ』は物語内で問題が解決しないまま終わる問題。
他シリーズはある程度、解決したり解決への兆しや希望を示唆する終わり方する。だけど『極北ラプソディ』はそれがない。
むしろ世良先生の長い旅が終わりを告げる物語。

  • No.334 by 風人  2016-10-14 06:04:54 

雪見市救命救急センターには桃倉センター長を中心にふたつの指揮系統がある。
伊達先生を中心とした空飛ぶ指揮系統、そして速水先生を中心とした飛ばない指揮系統。
速水先生はドクターヘリがあれば患者がすぐに自分のもとにやってくるから自分は乗らないという。おそらく東城医大にドクターヘリがもしも導入されてもおなじことを言ったでしょう。
今中先生が雪見市救命救急センターで半月働いてる時に興味深いことがひとつある。
よそ者である速水先生に世良先生のやり方を問う場面。
今中先生は結果的に雪見市救命救急センターに出向したことで自分の立場を見つめなおしまた他病院や他の市の意向などを目にする視野を持てたことで疑問を持てた。
速水先生はぞんざいな接し方やちょっと備品を無駄遣いすることはあっても救急医として優秀。
多少、雪見市救命救急センターでよそ者扱いされてても“将軍(ジェネラル)“は健在。
破綻のない意見を今中先生に伝える。
世良先生ができない事態を考慮し彼ができないのであれば自分がおこなうという。
ただそれだけ。
たんに先輩後輩の間柄でないのを匂わす。『伝説』でほんの少し触れられていた。

  • No.335 by 風人  2016-10-15 04:32:03 

日本ではお金の話題はデリケートというのはむかしもいまもある。
それこそカジノ構想などは猥雑な印象を与える。『ブレイズメス』でも天城先生と高階先生たち東城医大側に経済思想や観念に解離がある。
いまの時代でも天城先生の考えは浸透しにくいと思われる。
バブル三部作は若き日の世良先生を主人公に据えて彼の視点を通して物語が動く。
『田口白鳥シリーズ』の田口先生が消極的なのに対して世良先生は悩みながらも積極的に動くあるいは動かざる得ない。
バブル時代といまの時代のちがいもあるしいろいろな読み方ができる。
高階先生にしたら過去の失敗や悔恨があるからなにかしら田口先生や島津先生、速水先生たちに何かを伝えたい思いがあると思う。
世良先生、田口先生、そして天馬大吉とそれぞれの世代のちがいが読むたびにちがう。
天馬くんが将来、東城医大にとってどんな存在や役割なのかもわからない。

  • No.336 by 風人  2016-10-15 09:55:37 

組織の上に立つ人物は佐伯清剛病院長、高階権太病院長、室町病院長、そして『極北ラプソディ』で病院長の座についた世良雅史。
室町病院長はややコミカルに書かれ人望がない人物ではあったけど今中先生を巧みにあやつることはしてた。
佐伯清剛病院長は東城医大に高階先生や天城雪彦先生という人物を入れることで火種をいれそこに刺激を生みおそらくいまに痛みがあっても未来への改革をなそうとする意志を感じられる。
渡海先生を失った痛みもあるからなおさらかもしれない。
病院長となった高階先生時代の変遷もあるだろうから佐伯前病院長とはまたちがう。
大学病院の片隅にいた田口先生を次期後継者にするという考え、バチスタ・スキャンダルをはじめとした難題や事件を白鳥さんと共にではあるが解決し少しずつ大学病院の在り方や少し先の東城医大についても考えてきている。
高階病院長がいつ田口先生を次期後継者にしようとしたかは謎。
『チーム・バチスタの栄光』のラストで田口先生が試験をすっぽかしながらも卒業をしたことがふたりの間の賃借関係ではあったけど『弾丸』以降はほぼ互いに口に出していない。
島津先生は画像診断に長け速水先生は救命救急手術に長けているが経済観念はなし。
沼田先生は自分のテリトリーからは出ない。
『田口白鳥シリーズ』において論文を書いて実績をおさめている先生は他にもいるだろうけど高階病院長から未来の東城医大、ひいては桜宮の未来をまかせる人材がそんなにはいなかったと考えられる。
田口先生は不定愁訴外来、リスクマネジメント委員会、Aiセンター長などを経験したことで視野や思考は広がっている。
一見、優柔不断にみえながらも決断や行動ができるということ。難題や事件解決時は白鳥さんのサポートはありましたけど。

  • No.337 by 風人  2016-10-16 05:01:08 

『極北ラプソディ』全般の世良先生の発言や行動は一見すると合点がいかないことが多い。
だけどある程度の背景を理解したら納得いく。
東城医大の血脈や過去の背景などを通していったら大方は筋が通っている。
だけど三枝先生への支援については東城医大、極北大、帝華大などライバル関係にある各大学が枠を越えて(?)連携をしているように思われる。
この辺りはまた謎。
三枝先生の一件は他作品では司法の暴走などみたいに揶揄されまた失敗に終わるみたいなことからも何らかの形で解決へ道筋がたどったと思われる。

  • No.338 by 風人  2016-10-17 05:13:13 

バブル三部作で分化してしまった教室が後の『田口白鳥シリーズ』での院内勢力分化にもなり各教室の教授の権威にもなったともいえる。
権威はあってもバブルがはじけた時代以降は生徒がつかない教室もいる。
佐伯前病院長から引き継いだ高階病院長はこれらは自らが招いた事態ではあったけどどうしようもできないんでしょう。
リスクマネジメント委員会や沼田先生のエシックスコミュニティなど時代に合わせた組織形態の変化などもある。
大学病院という白い巨塔の内にはいろいろな人々の思惑もあれば権威の低下、医学生の教育など目に見えないいろいろなものが存在する。
地方の医大も人材不足もあってぎりぎりのなかおこなっている。
小児科医療、大学を手放してしまった市あるいは断固として手放さない地元。
小児科医療がないと親は子どもを預けることもできないし大学がないと地元の人間がどんどん他地域他地方にいってしまう人材流出につながる。
一見、つながりがないことが実は地元に直結していることと気づきにくい。
大学病院の教室分化もあれやこれや手を出して分化してしまえば特化的な教育になるかもしれないけど結局、現場では関係ないことのようでありながら実は関係あることを再び実地で学ばないとならないことになる。
医療の世界には難題に終わりがないかもしれない。

  • No.339 by 風人  2016-10-17 06:19:35 

世良先生が天城雪彦先生から受け継いだものは医療改革の精神ではなくなにか別なものだったかもしれない。
世界中を敵にまわしてもあとになにも残らない虚しさ。
速水先生に花房さんをあずけたかふったかわからないけど彼女は長い時を経て自分のもとに戻ってきた。
『ブラックペアン』では「となりのトトロ」をふたりして見て『ブレイズメス』では花房さんは世良先生の奥さんに勘違いされてそれとなく伏線は張られているけど『スリジエセンター』でおそらく挫折し東城医大を離れ別れたんでしょう。
医療債権請負人になぜ世良先生がなったのか。神威島に来るまでの間に全国を放浪し神威島で久世先生に救われ医療債権請負人になる決意をしたのか。
市民病院を安住の地とした世良先生は東城医大をどう見つめているのか……。

  • No.340 by 風人  2016-10-17 13:56:00 

『ナニワ・モンスター』を基点としながら海堂尊他作品を読むと日本全国の架空のシミュレーションにもなってるおもむき。
『極北ラプソディ』の監察病院つぶしもそのうちのひとつでしょう。
益村市長と世良先生は彦根先生つながりどつながりがある。
おそらく世良先生は極北市民病院の病院長になる前後と市長選挙の前後でつながりを持ち世良先生は彦根先生の存在を彼に紹介した。
おそらく彦根先生の戦略でしょう。
『ナニワ・モンスター』の三部目で益村市長が顔を見せてたことから明らか。
『イノセント・ゲリラの祝祭』で医療庁という花火、そして医翼という存在を知らしめる。だけどこれは霞ヶ関と官僚に示唆をしただけではあるけど彼らに目をつけられることになる。
そして浪速共和国独立を打ち立てる村雨府知事。そして道州制を掲げる各知事たちとの連携。
『ナニワ・モンスター』でのインフルエンザウィルス・キャメルの発症が中央からの火花が地方に向けられる意味合い。
無関係に見える思えることが実は経済封鎖という中央対地方の戦争という事実。
日本三分計画、ドクタージェット構想の大部分は見えている。
都道府県単位では予算は少ないけど北海道、東北、四国、九州などの道州制の単位にすればヨーロッパの国々に匹敵する予算というのも『ナニワ・モンスター』を読んでて感激したところのひとつ。
考え方が海堂尊先生は二歩三歩と前を向いている。

  • No.341 by 風人  2016-10-17 18:33:55 

『極北ラプソディ』をあらためて読むと世良先生の心境が最初と最後でぜんぜん変わってることに気づく。
はじめは医療債権人として以前とおなじようにやってただろうけど最低限、今中先生を将来に傷をつけまいと救命救急センターに派遣する。
だけど今中先生はほんの半月ほどで市民病院に戻ってくる。将来ある若者の将来を救う意思はある。
しかし市民病院を救うという意思はあってもできることは限られる。たぶんそれゆえに極北市に来るまでの間にいくつかの地方病院がつぶれて挫折を味わったと思う。
だから極北市にはじめて来た時もそれまでと変わらないだろうというあきらめが本心がどこかにあったんでしょう。
だけど今中先生は戻ってきてしまった。
そしてドクタージェット構想のトライアルの際に運命の悪戯かかつての恋人であった花房さんとの再会してしまった。
花房さんとの過去をおそらく捨てたけど彼女は速水先生とは結局うまくいかず北海道でマスコミ通したり講演会を通して世良先生と出会う。
今中先生は戻ってきたし花房さんも極北市民病院付けの看護師になってしまう。
これではおそらく市民病院がつぶれるわけにはいかないと覚悟したんでしょう。

  • No.342 by 風人  2016-10-18 06:44:41 

『極北ラプソディ』の世良先生の対マスコミ戦略、対市役所戦略はやり方はともかく理にかなっていることもある。
マスコミが移り気なのは他作品でもたいがいは語られている。
東城医大は事件でたびたび作品世界で報道されているけどちゃんと誠意ある対応をマスコミや市民についておこなえばさらされることはない。
それは『極北ラプソディ』でもおなじ。ただし世良先生は新聞各社ではなくネットを通した訴え。
これもいまの時代の在り方。
市役所に対しては必要以外なことは口に出さないだけ。
黒字経営しても再び病院が破綻する原因が病院ではなく市役所の対応にあるということ。予算がなければ人員はおろか薬も買えない。レントゲン検査ができない。
だけど神威島の久世先生はいう。“世の中そんなに悲観したものではない“と。
世良先生のやり方が悲壮感あるものに久世先生にはマスコミを通してそう見えたんでしょう。
『極北ラプソディ』で彼なりに光りを見つけた世良先生、花房さんが一緒にいるからたぶんだいじょうぶと思う。
だけど今中先生は恋愛の要素がない。これは『田口白鳥シリーズ』の田口先生もだけど。
いつこのふたりが恋愛をしてくれるか気になるところだ。

  • No.343 by 風人  2016-10-18 08:55:10 

日本三分計画をたてる彦根先生、霞ヶ関の闇を掌握している斑鳩芳正。
どちらが悪人かといえばどちらも悪人でしょう。
彦根先生は巧みにひとを利用し操ることに長けて逃げることもうまい。
斑鳩芳正は不要となった人間はたとえ味方や内部の者でもその命さえ利用する。
彦根先生はひとの心や気持ちを多少は踏みにじることもある。だけど命はおそらく奪わない。
斑鳩芳正は命を奪う。
ある意味、このふたりも鏡のように表裏一体なようにも映らなくもない。
『輝天炎上』での彦根先生と斑鳩芳正の対比、これが『ナニワ・モンスター』そして続編『スカラムーシュ・ムーン』(未読)につながる。
『ナニワ・モンスター』で互いの目的が明らか、浪速府につくるであろうAiセンターの存在がふたりの勝敗を決するであろう。
その鍵は村雨府知事。臥竜たる彼が大きく左右するかもしれない。

  • No.344 by 風人  2016-10-19 09:27:29 

村雨府知事はどうしても橋下徹さんにかぶる。
浪速共和国、西日本連合これらは壮大。
だけど現実に置き換えたら無理そう。
天城雪彦に『桜宮サーガ』の人物たち何人かは影響を受けている。
高階病院長、黒崎教授、世良先生、垣谷先生、彦根先生、村雨府知事、『バチスタ』の桐生恭一先生、マリッツィアを通しての桜宮姉妹など。
天城雪彦、バブル三部作のなかで光彩を放つ。
『ブレイズメス』においてはまだスリジエハートセンターの前のセレモニーだから物語が中途になっている。
だけど天城先生を守れるのは世良先生だけと気になる一言。
後々の物語において天城先生を誰もが語りたがらない。
高階病院長は田口先生に、世良先生は今中先生に伝えている。
それぞれの形であまりいい形に終わらなかったと想像はできる。藤原看護師でさえ語らないのはスリジエハートセンターがつぶされなくなったのは当時の東城医大、あるいは桜宮市に大きな悔恨を残したと思われる。

  • No.345 by 風人  2016-10-20 05:50:22 

『桜宮サーガシリーズ』に時おり『ウルトラマン』『ゴジラ』『ガメラ』『ゲゲゲの鬼太郎』など他作品の名前が出てくることある。
おそらくウルトラシリーズなど未来が希望溢れる時代だった過去と21世紀をすぎてもフィクションに科学技術が追いついても人間(の中身)が意外にも技術発達をいいことに生かせないあるいは何かしらの虚しさが田口先生や今中先生を通して宿っている。
あるいは書き手である海堂尊先生の内にそんな思いが現実と離れたところにあるのかもしれない。
あえて他作品の名前を出すことフィクションの科学技術を通して医療に訴える何かがあるのかもしれない。虚しさも含めて。
『モルフェウスの領域』のコールドスリープ(冷凍睡眠)はまだまだ現実に出来ても海外でもたぶん法整備さえ追いついてないと思う。
実際におこなったら『モルフェウスの領域』同様にいろいろ法律の壁が被験者や医療従事者、あるいは被験者の保護者などを阻むでしょう。
そういえば世良先生と西野さんはいつ知り合ったのか?『極北ラプソディ』ではすでに互いを知ってたようだけど。
西野さんは一見するとややイヤな男性だけど、涼子さんについてはひとつの思いはあると思う。不眠症や少し屈折した部分はあると思うけど。
涼子さんや西野さんは孤独を知り理解している人物。その対比に如月翔子がいる。
そういう風にも『モルフェウスの領域』は読める作品。

  • No.346 by 風人  2016-10-20 07:23:22 

速水先生は孤独と表現するより孤高。
東城医大にいても雪見市救命救急センターにいても。
だけど『ケルベロスの肖像』のボーナストラックで直接は出てこないけど如月翔子が医大で待ってくれている。
速水先生は患者を救うためなら経済観念はないしヘリパイロットのルールさえ無視させる。ある意味、子どもではある。
だけど“ジェネラル(将軍)”には基本だれも逆らえない。そういうルールを東城医大でも雪見市救命救急センターでもつくってしまった。
したがう人たちは大変だけど命を救うために間違ったことをしてるわけではない。だけど、社会や会社にはある一定のルールがある。
それに逆らっている限りは速水先生は孤高なまま。
いずれ東城医大に帰った時に如月翔子さんが受け止めてくれるでしょう。その時に“大人”になってるかどうか(苦笑)。

  • No.347 by 匿名  2016-10-21 11:55:55 

本来なら『極北クレイマー』のラストで市民病院が破綻した時点で今中先生は大学に戻るのが現実の姿勢と思う。
だけど物語内の今中先生はあえて残った。出世が目的でもなく市民病院や市民病院に来る患者のためあるいは自身のためか。
『極北クレイマー』のラストは世良先生の登場で希望になったはずが、『極北ラプソディ』の冒頭では希望さえ潰えたような印象さえ与える。この落差は読んでて驚いた点。
だけど後半にほんの少しだけ黒字経営という兆しはみえる。兆しがあっても全体として微々たるもの。
ちゃんとお金を支払う患者には薬を減らす治療をして愚痴や世間話に耳を傾け不定愁訴外来をして患者を心身ともに治療してゆく。
そういうあたりまえなことをしていけば黒字にもなる。
だけど極北市にはそれが根づいてなかったし室町病院長や先々代の病院長が現代に残した負の遺産。
だけど一度は破綻した病院に残る姿勢の今中先生を描くのはフィクションならではだけど現実にそうあってほしいというのも海堂尊先生の願いのひとつと思われる。
ある程度、『極北ラプソディ』でも世良先生は今中先生を救命救急センターに派遣する形で彼の将来を傷つけまいと救済措置をぶっきらぼうながらにしている。
おそらく現実の医者に対しては“こういう判断もありうるんだ”と伝えてもいるかもしれない。

  • No.348 by 風人  2016-10-22 05:49:29 

『スリジエセンター』が未読だからわからないけどそこで世良先生は挫折したんでしょう。
本来なら桜宮に根ざすはずが挫折を経験し佐伯外科のキャリアを捨て放浪した。そして神威島と久世先生に救われた。
その後、何らかの経緯があって医療債権請負人になった。
佐伯外科のキャリアを捨てる覚悟ができるまで医療債権請負人になった後もおそらく苦い経験ばかりだったでしょう。
地域地方の病院が救えなかったから。世良先生は自然と世界を敵に回すような生き方しかできなくなった。
ひょっとしたら医療債権請負人という第二の生き方でさえもどこかで絶望や悲観があったと思われる。
花房さんと別れてまでというのも天城雪彦先生とスリジエハートセンターの存在はそれほど大きかった。
だけど花房さんは長い時を経ても世良先生を待っていた。女性にしたら十数年はさほどでもないのかわからないけど。

  • No.349 by 風人  2016-10-22 12:43:12 

『極北ラプソディ』の戸田整備士は目立つ人物ではないけどドクターヘリ側においては欠かせない。
越川さんほどではないけど作品内でドクターヘリについて説明したり越川さんや大月さんのフォローを影からしてくれる。
ほんの少し大月さんと五條さんのラブフライトを応援してくれる。
速水先生の活躍に目がいきがちだけど戸田整備士がいないとドクターヘリもまた飛べない。

  • No.350 by 風人  2016-10-23 10:57:56 

『輝天炎上』を読むと天馬大吉、冷泉深雪は平成生まれの世代の雰囲気。
昭和世代の田口先生たち大人とはやや世代の壁や境界があるともいえる。
それは大学病院という箱の中の世界も時代ごとにちがうのかもしれない。
天馬大吉をいちがいに不真面目とは思わない。彼なりに桜宮巌雄から託されたものは内にいきている。
ただ別宮葉子や冷泉深雪と異性に振り回され若い時間を謳歌し悩んでもいる。
基本的に『桜宮サーガ』は田口先生に対する白鳥さんのようにだいたい“対”で書かれている。
『輝天炎上』の天馬大吉の対は冷泉深雪ともいえる。かたや留年生、かたや優等生という対もあるけどそれ以外の意味も物語内に含まれている。
冷泉深雪のまっすぐさは『桜宮サーガ』の物語全体を考えたら『輝天炎上』においてはまだまだ彼女にとってはスタートでしかないと思われる。
医学生としてあるいはその先にあるのは前へと進む道かもしくは他の人物のように苦い挫折をするのか。それはわからない。
だけど天馬大吉という存在によって医療が必ずしも輝ける未来ではないという一面はおそらく理解はしてる。しかしそれを受け入れるかどうかでまたちがう歩みもあると思われる。
その辺ももしかしたら未来の東城医大、桜宮を左右することもあるかもしれない。

  • No.351 by 風人  2016-10-30 04:48:57 

医師が目の前の患者を救うことに必死になるというのはおそらく大半の医師がそうしているあるいはそうせざる得ない状況だからと思う。
日本的な思考としてはそこに経済観念もしくは金儲けの思想を持ち込むことは“医は仁術”の思想に反するから従来からタブーとされてたと思う。
だけど『ブレイズメス』の天城雪彦なる人物を海堂尊先生は生み出したのか。
そこにひとつの答えがあるように思われる。
現代の時代が医療破綻したことへの答えがバブル時代にあるのか天城雪彦にあるのか。
後々の『桜宮サーガ』の時代においては東城医大オレンジ病棟、極北市民病院が一時的に破綻、マリアクリニックも未来においては不透明。
この三例をとっても経営が行き届かなくなる。
だけど過疎である離島の神威島は高度な治療や手術はできなくても病気の早期発見はできまた患者を毎日診ることで医者と患者が共存している。
神威島に似た例は『ナニワ・モンスター』の舎人町(とねり)。
患者が何を求めているかということにある種の集約はされる。
東城医大においても病院長室よりもファミリーレストランが階上にあるというのも時代や病院の象徴と思う。
すべてに行き届いた治療やサービスは現実においてもまだまだと思う。
だけど東城医大に限らず日本の医療が破綻するのを『ブレイズメス』内で天城雪彦先生は予見をしている。
だけど彼は先鋭的にやり過ぎたんでしょうか。
海堂尊先生の書く人物は人となりがシャープかつ二歩三歩先をゆく人物が目立つ。
だけど反面敵をつくりやすい状況もつくる。
『ブレイズメス』においても高階先生はラストに天城雪彦先生のやり方は受け入れられない姿勢を見せる。

  • No.352 by 風人  2016-11-01 09:48:34 

『桜宮サーガ』のシリーズを読むとある程度、医療関係のニュースに耳を傾けることある。
いつもではありませんけど。
地元の医療センターがおそらく新棟を建てているみたいだし『桜宮サーガ』劇中の物語に重なる。
またドクターヘリや厚労省関係のニュースもなんとなくは気になる。
あと過疎地域の診療所の話題など。
医療が身近に思える。
それでもまだまだ読めてない作品が多々あるから作品世界は謎だらけ。
いまの医療従事者たちは経済観念に悩み苦しみながらあえいでいるんでしょうか。
『ブレイズメス』から他のシリーズから波及を考えたら現実に伝わることから多くあるように思われる。

  • No.353 by 風人  2016-11-02 04:14:39 

新装版の『螺鈿迷宮』を中古で買ったけど刷行のところを見たら第3刷だった。
海堂尊先生の作品は新装版になっても読まれているのが伝わる。
海堂作品は上下に分かれてるのが常だけど新装版になって出るのは読みやすくもたのしい。
『螺鈿迷宮』そのものに関しては時代は平成時代と同じ時の流れだけど作品の冒頭や舞台となる碧翠院に昭和時代の面影やおもむきがある。
桜宮巌雄先生が『ブレイズメス』の頃は東城医大もしくは佐伯清剛病院長と蜜月だったのはうかがえる。だけど高階病院長は欲張ったんでしょう。
光と闇は同時に取り込めない、とラストに言い残しそれは後の作品で東城医大は徐々に変えていかなくてはならない。
天城雪彦先生の理念や思想、桜宮巌雄先生の信念や遺したモノそれらは形を変え有形無形として人物たちの心や気持ち、もしくは“結界”という形で取り巻くものではないだろうか思われる。
天馬大吉、冷泉深雪などの若き医学生が如何なる道を選ぶのか、というのも未来の桜宮もしくは医療の在り方を問う。

  • No.354 by 風人  2016-11-02 17:29:24 

桜宮サーガ内で解剖が行われた場面があるのは、『螺鈿迷宮』と『極北クレイマー』だけだったかな。
どちらも食事時に読むと食欲をなくす場面でもある。
けど死に目を向けろ、というのも桜宮サーガの一貫した姿勢でありいまの医療が招いた現状のひとつでもある。
医者、警察とアプローチは違えどメッセージとして訴えているところはおなじ。
『玉村警部補の事件簿』の「青空迷宮」にせよ真犯人は殺害された被害者が知っておりそれを加納警視正と玉村警部補が突き止める。
バブル三部作の昭和時代の医療がよかった、というのはリアルにむかしのお話。
手術も高度化にもなるけど医者や医学生が育たない時代でもある。
『螺鈿迷宮』から『輝天炎上』の天馬大吉くんの成長は素晴らしい。本質は変わってない面もあるけど(苦笑)。
『ケルベロスの肖像』と対比したら『輝天炎上』互いの表裏はおもしろい。
田口先生は『肖像』においてはAiセンター会議で一番上の席に置くけど実際は高階病院長らのマリオネット。
だけど『輝天炎上』の天馬くんから見たら権威があり権力があり実は実力あるのでは?と疑われる(苦笑)。
どちらも見方は正しいと思う。本人や他人のちがいはあるけど物事の受け取り方はひとによる。
いちがいにどれが正しいかは絶対ではないと思う。
人間はなかなか自分を見ることはできないから。

  • No.355 by 風人  2016-11-03 10:34:52 

『螺鈿迷宮』をあらためて読むと碧翠院側がかならずしも悪い側には読めなくなる。
地域のサテライト病院として“闇”を背負い抱えてきた長い年月。
ひとの“死”を 背負ってきた地域病院。
それを己の利益優先のために潰そうとする高階病院長と東城医大、そして白鳥さんと姫宮香織。
もちろん自殺や安楽死はいけないと思うけどひとが次々と亡くなる碧翠院の怖さ。
だけど巌雄先生たちは最後まで抵抗する。そして娘に託す思い。
続編『輝天炎上』のラストに至るまで読んでも桜宮小百合・すみれがどちらとも実は生きているようにも思える。
桜宮巌雄先生の意思は清川司朗先生などに受け継がれているわけだし。
東城医大の血脈とはちがう形で彼の意思は天馬くんや清川司朗先生、そしてふたりの姉妹の内で生きている。
『輝天炎上』ですみれや小百合が亡くなったとは思えない。
あり得ないことが『桜宮サーガ』のシリーズでは起きるから。
まだ医療の未来はわからないものだし。

  • No.356 by 風人  2016-11-04 05:12:54 

『輝天炎上』での天馬くんと美智さんの再会は何を意味するのか。
たんに再会だけではないのは『肖像』での田口先生と美智さんの治療や愚痴を兼ねたいきさつからでもわかる。田口先生は美智さんの内にすみれを見ている。あるいは見ることができた。
なら天馬くんにとっては?
医学生として初めて触れた患者が高原美智であった。過去への邂逅ではない何かを彼に託すために高原美智さんは二年もの間生きていたと思われる。
『肖像』ではおおざっぱにしか描写されてないのを『輝天炎上』では天馬くんを通して事細かに描写されている。
田口先生が大人としてやらなければならないことが多くあり田口先生の物語にとっては美智さんは一患者。忙しいなか毎週のように治療の具合や愚痴を聞いてカルテに記す。
だけど天涯孤独の天馬くんには数少ない家族同然な人物。そのぶん情や気持ちがある。
しかし将来、医者になる上で何が必要かというのも美智さんが亡くなった直後に田口先生や田口先生が記したカルテを通して問われる。
患者が延命治療を望んでいないというのもある現実。
『輝天炎上』で天馬くんと美智さんの場面は決して長くはない。むしろ短いけど中身は濃い方。
涙を誘う場面のひとつ。

  • No.357 by 風人  2016-11-04 12:11:36 

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』は読み方を変えたら『スカラムーシュ・ムーン』の浪速の死後画像センターへの布石とも読めますね。
『ナニワ・モンスター』で作品世界の日本地図がだいたいあらわになった。そこからシミュレーション的に各人物が事細かに桜宮、霞ヶ関、浪速などから動いてるのがわかる。各人物は駒のようでもありまさに医者、官僚、政治家などが各々の思惑で動き動いている。
彦根先生を白鳥さんは本気で警戒してないまでも斑鳩芳正はどの作品に登場しても不気味さを醸し出す人物。
とはいえ“火喰い鳥”である白鳥さんは『弾丸』で怒りの表情は見せたものの『ナニワ・モンスター』では斑鳩室長らのルーレットの存在を知りながらも手を出す様子は一切なし。あくまで知り理解はしてる程度の理解に留めている。
若き官僚としては迂闊に官僚の闇に触れることを暗に知っていると考えた方が自然。
だけど斑鳩芳正が医療が主導になるのを許さない背景はたんに警察官僚ということでしょうか。
南雲忠義、桜宮小百合ほどに個人的感情や気持ちがはっきり見えない人物だから掴みどころがない。
『スカラムーシュ・ムーン』を読めばまた何かわかるとは思うけどなかなか中古書店で見かけない、(;´д`)。

  • No.358 by 風人  2016-11-06 18:00:05 

『ケルベロスの肖像』はややもするとおおざっぱ。
だけど田口先生が桜宮小百合の生存を知らないのは何かの伏線にも思える。
『輝天炎上』の表裏の関係。『輝天炎上』において小百合は東城医大に手紙を出しのちにAiセンター長が田口先生であるのを知る。
これがただ知ったというだけならともかく未来への伏線としたら物語に影響があるんじゃないだろうか?
真実、『輝天炎上』ですみれ小百合姉妹が亡くなってたとしてももしも小百合が誰かの子を身籠っていたら……とも考えられる。そしてその子が未来の桜宮や東城医大を守るとか……。
さすがにそれは想像力を拡大しすぎか(苦笑い)。

  • No.359 by 風人  2016-11-07 05:44:08 

自分の中で小百合とすみれが入れ替わっているのはドラマ『螺鈿迷宮』かあるいは『桜宮サーガ』全体の情報量の多さか(苦笑い)。
けど『ケルベロスの肖像』をあらためて読むと『ブラックペアン1988』からのバブル三部作は現在に至るも尾を引いてることが伝わる。
『肖像』『輝天炎上』については人物からの視点で読めるのはもちろんだけど過去(の作品)からも読めるという視点。
マリッツイアと小百合の関係も合点がいく。
天城雪彦の無念をどこかで晴らしたいという心情があるのか。
『スリジエセンター』で何があったかは私は未読なので知らないけど『肖像』の高階病院長は天城雪彦が植えるはずのスリジエ(桜)の樹を引っこ抜いたことを彼は後悔していた。
『ブレイズメス』のラストで敵意を露に燃やしていた高階先生、だけど時を経るにつれ後悔が何かしら芽生えてきた。
田口先生から見ても高階病院長は伝説多い人物。
黒崎教授は一見すると高階病院長に隠れがちだけど『田口白鳥シリーズ』における院内対立の必要悪でもあり時にコメディリリーフ、病院長代行、口では悪態をつくものの田口先生、速水先生ら次の世代に何かしらの期待とあえて対立する立場にいることで東城医大に必要不可欠な人物。
小物なように見えて意外にしたたかというか器用貧乏ではないだろうか。
『肖像』のラストで田口先生に悪態をつくのは信頼の裏返し。院内対立としていえば自分の配下が後継者にならないのは本音を口に出せば残念と思う。
だけど高階病院長が選んだ後継者なら使われてもいいという度量はある。
黒崎教授を主役に据えたコメディな物語を書いてほしいところでもある。

  • No.360 by 風人  2016-11-07 08:50:11 

冷泉深雪は『肖像』と『輝天炎上』といまのところ活躍が少ない。
『輝天炎上』で人となりは浮き彫りだけど。天馬くんにちょっと手を出されたりはにかんだり。
じゃじゃ馬な別宮葉子とは対照的であり桜宮姉妹ともまた異なる魅力。
若いぶん真っ直ぐを画に書いたような大人になりかけの美少女と言える。
天馬くんからみれば幼馴染みではないヒロインのポジションに位置する彼女。『輝天炎上』では碧翠院のことを知らないがゆえに天馬くんと接点を持ちながら知っていき関係が少しずつゆっくり進む。
だけど天馬くんと葉子さんから幼馴染みでないから時に仲間外れにされそうになるのが嫌なのか首を突っ込んでゆく。
天馬くんと同級生でなおかつ優等生、また融通が利かない。だけど先輩である天馬くんにはそこそこフォローしちいさくチクリと刺す可愛らしさもある。
『輝天炎上』ではAiセンター絡みや医療にとっての“死”については天馬くん同様に彼女なりに考えるけど優等生らしく自分の範疇を越えた考え方ややり方には納得しない一面や大人社会の医療としての壁に突き当たる。
ところどころに悩むところはあるのも特徴。
『輝天炎上』を彼女視点で読めば先輩である天馬くんにほのかな恋に近い感情や気持ちを抱いているのでは?と思わせる場面はある。
東城医大の医大生のなかで偏見なく見てる唯一の異性といえなくない存在。
反面、純粋かつまじめで正義のカタマリみたいなところがあるから逆に世の中のけがれや裏を知らなく知った時に対処できなく悩む一面があるのが彼女の魅力のひとつ。

  • No.361 by 風人  2016-11-07 17:12:50 

高階病院長がいつ田口先生を次期病院長候補にしようとしたかは謎だけど、『肖像』から遡って考えたら『凱旋』の速水先生の収賄の件を黒崎教授はウィーンから帰った直後に委員会を開いた場で目の当たりにしてる。
この時に田口先生が委員会を開いているのを知っている。見方を変えたら“高階が選んだ小僧がどう解決するか”を見定める機会でもあったと思う。
『凱旋』においては本来の目の上のたんこぶである速水先生に本音を吐き出しながらも彼が東城医大そして桜宮に必要であるのを認めている。
だけど速水先生と同期の田口先生、島津先生には特に言及していない。
田口先生には委員会をスムーズに進めるよううながしながら最後は疲れたからと退場している。
そして『凱旋』の顛末は後々、高階病院長から速水先生が極北に行ったぞくらいは伝えているはずなのは想像つく。
『弾丸』では高階病院長が逮捕され不在ななか誰が大学病院を一時的に任せられるかとなったらNo.2の黒崎教授しかいない。
白鳥さんに言いくるめられ田口先生と白鳥さんに事件解決を任す以外にはない。
テレビドラマにエキストラ出演したとあったけどたぶん本音は心労があったんじゃないのかと想像できる。
『弾丸』のラストでいつも面倒事をワシに押しつけての言葉は同じ時代を東城医大で過ごした者だから高階病院長に言える信頼の裏返しでもあったと思える。

  • No.362 by 風人  2016-11-08 05:03:47 

高階病院長にとっても渡海先生と天城先生は影響があったと思われる。
本来なら高階先生と渡海先生は真正面から戦わなければならないのを渡海先生の勇み足からふこうなすれ違いがあって戦わずして渡海先生は東城医大から去ってしまう。
渡海先生が海外に渡ったいきさつはいささか不明ながらノルガ共和国にいるらしい。『モルフェウスの領域』ヒロインの涼子の回想にて登場している。
そして天城先生については『ブレイズメス』にて他の医師同様に相容れない姿勢を見せて物語の流れから天城先生からみてライバルに位置する。
未読な『スリジエセンター』にて天城先生を何らかの形で失脚させ彼を失意のもとへ追いつめたと考えられる。
『ブレイズメス』で分化しすぎた教室、高階先生のもとで統制されていったことを佐伯病院長は満足しておらずあえて火種となる存在である天城先生を自ら招いている。
だけどそれがおそらく互いに悔恨を残す結果になったとも考えられる。
『ブレイズメス』の時点で天城先生は好き勝手にやっている。
それは助教授であった黒崎先生であった彼の目に余る行為。だけどそれは佐伯病院長の庇護下でもあるから何も言えない。
佐伯病院長は渡海先生が去り高階先生と黒崎助教授では満足がいくことはなかった。天城先生の招致であえて破壊を伴う創造をしてると思われる。
この辺の考え方は彦根先生に継承されるよう。

  • No.363 by 風人  2016-11-08 07:05:14 

書き手の海堂尊先生にしてもかんたんに国家は変えられないのはおそらく理解はされているでしょう。
あくまで架空の『桜宮サーガ』の世界を通してこういう考え方もあります、提示(プレゼン)してるとも考えられる。
『イノセント・ゲリラの祝祭』の医療庁、『極北ラプソディ』のドクタージェット構想、『ナニワ・モンスター』の日本三分計画などひとつひとつのパズルの組み合わせは壮大。
『祝祭』でしたか。医療あっての国家という発言。国家が疲弊するなか国家を支えるのは国民。
だけど国民を支えるのは医療という土台。それが崩壊した現代に何が医療にできるかという提唱。
Ai(オートプシー・イメージング)による画像診断、『ナニワ・モンスター』での解剖率百パーセント(実数は八十ではあるが)、市民が安心して健康に生きられる社会。
だけど現実には壁がいくつもある。
医療と司法の対立は続く。『スカラムーシュ・ムーン』で如何なる決着をつけたか私は知らない、未読だから。
だけど、各々の作品を読むといろいろな人物たちの思惑思想感情気持ちなどが複雑に絡む。
現実の社会とほとんど差がないくらいに詰まっている。

  • No.364 by 風人  2016-11-08 14:17:45 

彦根先生と斑鳩室長の間に勝ち負けがないというのも大人のものの考え方のひとつでしょう。
『肖像』を読んだ時にその文面があった時に意外に思えたけど後々、また読んだらああそういう関係でもありそんな見方が互いにあるんだと思う。
だけど『ナニワ・モンスター』の日本三分の計や『極北ラプソディ』の南雲監察病院潰しなど見たら日本地図の塗り替えにもみえる。
世良先生もほどよく彦根先生に使われている身。極北市の益村市長への体のいい伝言受け渡し人?
斑鳩芳正個人にはある特定の思想はないかもしれない。ただ医療から国家を守るために徹しているのかもしれない。
警察主導という思想はあるけど口に出すことは少ない、彼なりの司法の担い手とも解釈できる。
本当の本意はわからないけど。
『肖像』『輝天炎上』で双子の桜宮姉妹は炎に包まれた。仮にすみれが生きてたとしても表だって支援や支援者は募れないはず。
仮に生き延びていたら斑鳩・南雲親子のラインは残っているはず。
この辺も実情は謎ありき。
どの登場人物もすべてではないにせよ桜宮というひとつの都市もしくは結界に集約されてもいる。

  • No.365 by 風人  2016-11-10 06:15:06 

『ケルベロスの肖像』をあらためて読むと、Ai会議に総勢17名いるでしょうかね。
大半はオブザーバ参加だけど。
だけど会議にほとほと疲れる田口先生、かたや『輝天炎上』で素晴らしい会議と評しながらどこか空虚だった若い天馬くんたち。
大人と学生ではものごとの受け取り方がちがうのを端的に表現している点かもしれない。
空虚と評した冷泉深雪は本質的にAi会議に参加した真犯人が醸し出す雰囲気を無意識に嗅ぎ取ったかもしれないのではとも思う。
彼女が桜宮一族に縁がない、真っ白な無垢さゆえかもしれないのは深読みでしょうか。

  • No.366 by 風人  2016-11-10 10:21:14 

インフルエンザの注射は『ナニワ・モンスター』で触れられていたかな。
むかしは全国的に学校などで施行されていたけどいまはおこなわれていないという。
『桜宮サーガ』の物語を読むと現実とフィクションを通して現実にある思惑がみえ隠れする。
メタボやインフルエンザも国というよりは官僚にいいように操られる。
『ナニワ・モンスター』の徳衛医師みたいに国や官僚の思惑に疑問を持っても一市民は何も言えないのが現状。
だけどそこにメスを入れるのが彦根先生。
あの手この手の人脈を使い村雨府知事、検事鎌形、テレビメディアを使いインフルエンザウィルスキャメルのパニックから浪速府を救う。
『ナニワ・モンスター』においてはキャメルによる経済封鎖から国に無血クーデターを起こすであろう浪速府や他地方を救うことで物語は終わる。
だけど彦根先生は次に新たに処方される新薬をめぐっての利権争いが起こることを予見をしている。それが『スカラムーシュ・ムーン』にもなっているはず。
『ナニワ・モンスター』を基点に読むと『桜宮サーガ』が架空のシミュレーションに読めてしまう海堂尊先生の作風作品世界の見事さ。
『バチスタ』からの桜宮から日本地図へと広げてゆくスケールアップ。
『ブレイズメス』ではわずかながらほんの二章分ながらフランス・モンテカルロおよびモナコ公国が舞台になる。『イノセント・ゲリラの祝祭』でもわずかにドイツが描かれている。
あと『弾丸』で高階病院長がモデルガンにハマッていることからアメリカにいたことも断片的に書かれている。
これらのことから日本だけでなく世界に目を向けている節もある。
『肖像』のラストでAiセンターで小百合に破壊はされたが、Aiの理念や思想は世界に綿毛のように翔んでいく希望的思いからも伝わる。

  • No.367 by 風人  2016-11-13 06:14:46 

カジノ法案は現実の世界はようやく審議入り。
『桜宮サーガ』の世界では天城雪彦先生のなかでは確立されてはいるけど彼は政治家ではなく一医者。後に村雨府知事にカジノ構想は受け継がれる設定になっている。
現実の橋下徹府知事および市長時代の構想が『桜宮サーガ』にスピンオフされそれが医療にも繋がる形としてあらわれている。
『ブレイズメス』では“日本人は重い腰をなかなか上げない”みたいな台詞でカジノ構想が頓挫するのは外国人からそう見られている。
海堂尊先生の表現は先鋭的、だけど的確にとらえている一面もある。
とはいえ主人公側が相手側に勝ってハッピーエンドということもない。
ひとつの物語がそこで終わってないからでしょう。次へ次へとゆっくり大胆に人物や世界観を広げてゆく。
だけど必ずしもその物語にとっては過去のことでも風化させないようにあちこちの物語に散りばめられて存在している。
過去の事象は現代の世界や人物たちに影響を与え現代の人物たちの事象はほんの少し先の未来の世界や人物にまた影響させている。

  • No.368 by 風人  2016-11-13 15:25:00 

『輝天炎上』で別宮葉子はアグレッシヴに書かれているけど冷泉深雪は優等生ゆえにやや一部は融通が利かない。
ふたりの間に天馬くんはふたりの性格や内面に引っ張られるからある程度は柔軟にやってのける。
そのぶん異性に引っ張られて損をする。
甘いことを言ってもあるいは女難(?)をかわしてもまた別な形でやってくる。
異性にうかつなことは言えないやってはいけない、とつくづく感じながらも別宮葉子も冷泉深雪も天馬くんから離れない。
別宮葉子は天馬くんの“運”を変えた“幸運の女神”だからおそらく離れることはない。
なら冷泉深雪は?ということになる。
『輝天炎上』においては死因究明社会の問題をレポートの題材にし再び天馬くんはAi(画像診断)、解剖などを学ぶために東城医大内の各教室、浪速府、房総などをふたりしてすすむ。
冷泉深雪は立ち回りがそれなりにうまいけど融通が利かない、だけどそれは彼女の内のちいさな世界ということ。
物語が四部に移りAiセンター会議にオブザーバー参加の際には登場人物の誰とも深い因縁や過去がなかったためか彼女は自然な感想を述べている。
“素晴らしい会議だったけどどこか空虚”。
深読みしたらどこか存在感が空虚な人物があの場にいたことを示唆してたかあるいは犯人側の狙いを本質的にどこか感じていた女性の勘とも解釈できる。
『輝天炎上』ではまだその辺の能力?を自覚していないかもしれない。
西園寺すみれ(桜宮小百合)がどう彼女を見たかも作品内では語られていない。

  • No.369 by 風人  2016-11-14 07:55:18 

高階病院長は強欲であったのは否定できないでしょう。
佐伯前病院長時代は碧翠院と蜜月であったにも関わらずその関係を一方的に絶とうとした。
もちろん心情的に桜宮巌雄には個人的な尊敬もあったと思うがそれが裏腹になってしまった。
『ケルベロスの肖像』と『輝天炎上』を読めばまさにおもてとうらの存在。
小百合の憎しみ、小百合の憎しみは理解しながらもそれをとどめようするすみれ。
ここにも双子姉妹の表裏が書かれている。
本編においていえば田口先生と天馬大吉の出会い、対比もある。
『肖像』と『輝天炎上』はまさにいろいろな人物の表裏。
過去から引っ張られた因縁というのも物語の本質からいえば恐ろしいこと。
ただ高階病院長はブラックペアンを患者の体内に残したことも天城雪彦先生についても忘れてはならない過去として彼に残っている。
だけどそれがはたして公の場では通じないのが大人の社会でもある。
『肖像』から『モルフェウスの領域』などほんの少し先の未来で東城医大がどう経営難を越えたかはくわしくは謎。
いろいろ謎が含まれている。

  • No.370 by 風人  2016-11-14 11:50:35 

すみれは憎しみにとらわれているけど小百合は東城医大を憎む気持ちはあっても田口先生を憎む気持ちはさほどないみたい。
『輝天炎上』の二部三部それぞれすみれ、小百合の心情はわからなくはないけど彼女たちは医療の未来を見ていないのかもしれない。
小百合についていえば碧翠院で高原美智たち患者に働かせるトライアルをしてることで治療に励んでいたと言える。
患者に生きる希望や将来を与えようとしてた。
最後の患者となった高原美智、彼女にその思いは受け継がれ田口先生、天馬くんそれぞれに小百合の気持ちは託されたとみるべきでしょう。
だけど、小百合がひそかに生きていたのを知っていたのは兄であった城崎さんと天馬くんのふたりだけ。
田口先生は知ることもなく『肖像』は終わりを告げる。
天馬くんは小百合の生存を知っていて田口先生は知らないというニュアンス。
『田口白鳥シリーズ』は『肖像』で終わりを告げているけど東城医大の物語は終わっていない。
『領域』などにおいてなお続いている。
『肖像』から艱難辛苦あったであろう東城医大が如何なる再建の道のりだったか……。
『領域』でわずかながら語られているがそれとて全体の一端でしょうね。
その間にも高階病院長と飯沼さんとの裁判、白鳥さんが未来科学センター(コールドスリープセンター)を立ち上げるまであるいは加納警視正からの事件依頼などないとは限らない。無数ともいえる出来事はあったでしょう。
天馬くんや冷泉深雪たち医学生も一度は東城医大がなくなるかもしれないことで学生としては危機感をおぼえたかもしれない。彼らは情報網を意外なほど持っている(兵藤先生あたりが口を滑らしたりして(苦笑い))。
どちらにせよ再建まで茨の道は難くなかったと思われる。

  • No.371 by 風人  2016-11-17 07:38:18 

東城医大が災難に見舞われるのは碧翠院と対極にあった存在だから?
あるいは桜宮という土地時代がひとつの“結界”だからでしょうか。
主要人物である田口先生からさほど桜宮に縁がないはずの八神課長まで何かしら切っても切れない縁が薄くてもある。
『ナニワ・モンスター』では何故か八神課長は桜宮の名を思い出してもそこにあった縁はあたまから抜けていた。田口先生と彦根先生にしてやられた『イノセント・ゲリラ』、『ナニワ・モンスター』時点では『領域』の未来科学センターの話題はなかったと思うけど何かしら桜宮関係で苦渋を飲まされた可能性はある。たんに本人が忘れたか記憶からないだけで。
北は北海道極北市や雪見市、そして近畿は浪速府、彦根先生がいる房総など。
ありとあらやる都道府県に桜宮あるいは東城医大の人物が散らばっている。
海堂尊先生は意味なく人物を移動させることはしない。そこに意味を見出だす。
世良先生が極北に現れたのを桜宮小百合は過去の記憶から彼が東城医大の人間であるのを知っていた。
それを繋いだのはかつての天城雪彦先生。『ブレイズメス』で天城先生に連れられた世良先生は桜宮姉妹と出会っている。
現在に直接出会わなくても互いに(薄くても)縁は存在している。
これらが後々に意味がある場合も『桜宮サーガ』にはある。
浜田小夜にしても罪を償った後に『夢見る黄金地球儀』に出ている。
『夢見る黄金地球儀』以前に4Sエージェンシーにいかなる形で現れたかはまた謎でもあるが。
その辺の断片はパズルのピースのよう。
そういうところを探すのままたたのしみ。

  • No.372 by 風人  2016-11-17 16:27:29 

まだまだ物語内で語られていないところは多々ある。
バブル三部作以前をはたして海堂尊先生が書くかはわからないけど。
桜宮家からいつ城崎は出奔したかこれはある程度、『沈黙』あたりで彼の口を使って語られているけど具体的に詳細は不明。
田口先生が不定愁訴外来をつくるきっかけのひとつは『ブラックペアン』の渡海先生の言葉、『田口白鳥シリーズ』で不定愁訴外来の立ち上げのきっかけはたびたび語られているけどこれもまた細かな事柄は不明。
ドイツのクリフによるDMA(デジタルムービー・アナリシス)の開発の経緯。
渡海先生が日本を離れた具体的な理由。そしてノルガ共和国に身を置く真相←これは『領域』の涼子との触れあいで語られてたような雰囲気。
いくらでも謎は拾えるけど具体的に物語のなかで解決してる事例はあんがい少ないかもしれない。
読み落としして気づかぬ間に解決してたり作品内で時が過ぎてる場合もないとはいえない。
情報量が半端ないおもしろさ。
田口先生や白鳥さんをひとりひとり人物を取り上げても現実の人間とたいして変わらない奥深さ。

  • No.373 by 風人  2016-11-18 06:15:50 

田口先生がすみれたちと親しかった頃は彼が警察関係者と接触はなかったんでしょう。
まだ若かったし不定愁訴外来もなかったからでしょう。
せいぜい速水先生や島津先生の旧友、兵藤先生ら同僚などから警察関係の話題を耳にすることはあったと思われる。
だけど不定愁訴外来を設けリスクマネジメント委員会、Aiセンター会議などの委員をつとめることで徐々に人間関係が広がりを見せてゆく。
『沈黙』においては牧村瑞人という少年が容疑者の疑いがあっても大学病院のひとりとして警察署長に意見する姿勢を見せる。ちゃんと地元警察にも東城医大は協力の関係を示しながらいざという時には真っ向から立ち向かう(ような)姿勢を見せる。
おそらくかつてのすみれたちと親しかった頃はそんな姿勢を見せる人物ではなかったと思う。
だけど高階病院長はどこかで田口先生の人物像や器を見極めたんでしょう。
『田口白鳥シリーズ』を全般的に見ても田口先生がヘタレなところや失敗につまずくこともある。
だけどどこかでチャンスを見いだしたり他人に操られながらも意見する姿勢を見せる。
医師あるいは医者としての境界線を守りながら個人の意思をあらわす言葉や表現力を持っている。
バチスタ事件で遺族に頭を下げる機会を生かしてもいる。
不定愁訴外来という立場や職業からいろいろな人間を知っている利点もある。
不器用ながらも空気を適度に読んで院内の立場や地盤を本人でさえ気づかぬ間に築いている。
高階病院長、藤原看護師、黒崎教授この三人という重鎮あってのところもある。

  • No.374 by 風人  2016-11-18 10:46:44 

桜宮小百合は東城医大を憎んでも田口先生には憎しみは抱いてないだろう。
『輝天炎上』では4Sエージェンシーの兄の城崎に頼んである程度は東城医大の事情を知る。
だけど、Aiセンター長が誰かをとりあえず知らないままだったが盗聴機を通じて知ることになる。
『輝天炎上』の顛末を考えたら田口先生を危険な目に遭わせたくない一面をあったかもしれない。
ふつうに中年と化した田口先生が火の中に飛び込んで桜宮姉妹と再会したら事の真相を知らないままよりさらに悲惨な目に遭わなくもないし物語としては格好よくない。
『肖像』で事の真相を知らないままの方がしあわせだったといえる。
『輝天炎上』で天馬くんに真相を知ってもらうことで逆に田口先生に余韻を残す綺麗な終わり方と表現できる。
『輝天炎上』から『領域』など先の時をゆく物語はまだまだ語られてないパズルのピースやミッシング・リンクもあるからそこをどう海堂先生がどう描くのか。

  • No.375 by 風人  2016-11-18 14:43:16 

病院経営者が建設関係に疎いのは『ブレイズメス』で天城先生以外は疎いことに触れられ『肖像』『輝天炎上』で再度、触れられている。
だけどAiセンターにもしマリッツアが関わってなかったら事なきを得ただろうに。
本来ならスリジエハートセンターが建って芽が出て桜の樹がなってたら高階病院長や東城医大は桜宮家とマリッツアから怨恨を買うこともなかったということ。
だけどそれだけ天城雪彦への思いがマリッツアは深く桜宮姉妹(すみれ、小百合)にも通じるものはなにかしらあったとするべきか。
桜宮市あるいは桜宮の土地そのものがひとの思いを具現化し創っては壊しの歴史を繰り返す土地なのかもしれない。
桜宮のAiセンターは後世に語り継がれることもないまま紅蓮の炎に消えた。
浪速府の死後画像センターの決着は如何なるものになるのか……。
『玉村警部補の災難』でも物語内のGoogleはいまだ過去のままの画像になっているというのも興味ある事例かもしれない。

  • No.376 by 風人  2016-11-19 07:19:04 

斑鳩芳正と加納警視正がなぜふたりして桜宮にいるのかというのもまた謎。
玉村警部補みたいな平凡に近い刑事でさえ何かしらは感づいている。
警察が医療に主導権を握るための何かしらの案件があるということかもしくは何か異なる物事があるのか。
『肖像』では堂々と斑鳩は現れているけどこれは西園寺さやか(桜宮小百合)を隠すダミーであったと見るべき。
『肖像』『輝天炎上』には加納警視正は一切、登場していない。だけど、『ナニワ・モンスター』でのカマイタチ鎌形による検察のガサ入れがあったことは坂田局長や白鳥さんもある程度の警戒はしている。
鴨下局長の逮捕が厚労省全体を震わしているおそれがある。
斑鳩の人間関係が広い。加納警視正ともカマイタチ鎌形とも交流がある。そして霞ヶ関内にある非合法暴力的組織を束ねておりなおかつルーレットを用いて霞ヶ関にあるネタをマスコミに売ることでめくらましにもしている。
おそらく『桜宮サーガ』内の登場人物でもっとも権力を有している人物にちがいない。彼より上もいるとは示唆はされているけどおもてに出てきてはいない。

  • No.377 by 風人  2016-11-20 06:11:47 

『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』の城崎さんの活躍はまさに裏方。
『アリアドネの弾丸』でも裏方でしたが。
『肖像』と『輝天炎上』では城崎さんは桜宮すみれにこき使われながらも東城医大防衛に専念する。どこまでが本音かはわからない。
『弾丸』では白鳥さんを通じて再び東城医大あるいは田口先生と縁ができる。そして『肖像』『輝天炎上』で陰から活躍する。
彦根先生が『肖像』で活躍できたわけもうなずける。裏ですみれがあれこれ考えておもてで城崎さんが動くことで彼女は隠れた存在になる。
小百合の方がある意味、狡猾ではあるけど暗躍という意味では『輝天炎上』ではすみれの方が上回るかもしれない。

  • No.378 by 風人  2016-11-20 14:35:37 

『ナイチンゲールの沈黙』で小児科病棟で子どもの患者に不定愁訴外来を受けさせてみようかという案が持ち上がった際に子どもでも打算や競争があるみたいなことは書かれていた。
だけど『桜宮サーガ』のシリーズが進むたびに大人社会の打算は凄まじいものがある。
『ブラックペアン』では渡海先生が佐伯病院長の失態を露にしようとし、『ブレイズメス』では天城雪彦先生のやり方に高階先生以下誰もが反発を抱く。
『極北シリーズ』で今中先生の苦労を室町院長は鼻で笑い世良先生は台無しにしていく。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』はやや母性に溢れた作品だから打算そのものは少ない。このふたつの作品は母性を問いかけるニュアンスもある。また生まれてくる子どもにたいして。
東城医大もだけど白鳥さんらがいる霞ヶ関は伏魔殿、打算のカタマリとも表現できる。
『イノセント・ゲリラ』『ナニワ・モンスター』では如実に顕れている。
善悪はともかくとしてあの斑鳩室長にしても何かしらの信念はあるように見受けられる。彼は医療が主導権を持つことはままならないんだと思う。
『肖像』では桜宮小百合に活躍の場を譲っただけ。大人として分をわきまえた。それは『肖像』のエピローグで語っている。
大人も子どもも本質はもしかしたら変わらないのかもしれない。表現や方法が異なるだけ。
そんななかで田口先生や今中先生みたいに出世を求めない人物いれば白鳥さんや彦根先生みたいにギリギリ綱渡りしながら高みを目指す人物もいる。そのなかで己の目的や目標に辿り着こうとする。
斑鳩室長は本意がわからない人物。高階病院長の方がわかりやすいくらい。

  • No.379 by 風人  2016-11-20 16:42:16 

『ナニワ・モンスター』のカマイタチ鎌形さんみたいな人物が検事や検察にとっては国民の理想かもしれない。
二部の検事や検察の描写は医療が主題の『桜宮サーガ』からしたら異質にはじめは見える。だけど厚労省にガサ入れをして少しずつ事の真相が見えてくる。
『桜宮サーガ』によくあることのひとつだけど無関係な事象や事柄が後々、物語の種明かしになる。
検事や検察が鎌形みたいな人物なら汚職や賄賂などは必要悪程度にしか社会に残らないのかもしれない。社会を完全に清廉潔白にするのは現実的に不可能。
社会には必要悪は必要不可欠。
鎌形はそれをよく理解してる人物に思われる。だけどこの人物もまた彦根先生と因縁ある。
『ナニワ・モンスター』二部の霞ヶ関の描写は『イノセント・ゲリラ』とはまた様相がちがうのも興味深い。
活躍する鎌形たち、ルーレットする斑鳩たち、『イノセント・ゲリラ』がまだ社会のおもてに出ている一面とするなら『ナニワ・モンスター』二部は霞ヶ関の裏もしくは闇の一片でしかないかもしれない。
Aiセンターもしくは死後画像センター、正しくはどちらも同じ機能を施設ではあるが医療か警察主体で名称が変わることが示唆されている。
これらも霞ヶ関の国民が知らない一面かもしれない。フィクションではあるけど。

  • No.380 by 風人  2016-11-22 07:08:04 

『輝天炎上』のラストにおいてすみれは死なないと天馬くんに言い残しているから死んでない可能性もある。
だけど『ブレイズメス』『螺鈿迷宮』を経ての桜宮姉妹、双子のDNAもしくは遺伝子の因縁。
『輝天炎上』のすみれ視点の物語はまさに憎しみに満ちている。マリアクリニックの曽根崎理恵先生、茉莉亜先生も桜宮一族と血脈や因縁があるのも驚き。
だけど三枝先生が罪に追いやられたのは小百合からの因縁ともいえる。

反面、すみれは『輝天炎上』で一見こちらは空虚に書かれてるようで鶴岡師長との縁、兄である城崎との接点からかろうじて実存を得ている。
小百合もすみれも戸籍という現実からは亡くなっていて存在はしてないことは同じ。
同じだけど似て非なる。
小百合は憎しみにとらわれながら斑鳩や南雲父娘という社会組織にいる者たちのバックボーンが存在する。
たいしてすみれはやや社会から離れた鶴岡師長や兄城崎という社会の枠組みから離れた協力者や親しい者。
たぶんに愛情や人間的な面からしたらすみれに分がある。
権力組織を背景に持つ小百合はそこがやや欠けているかもしれない。
だけど、双子ゆえに鏡合わせかもしれない。
マリツィアも真実を知りながら小百合には多く語らない。

  • No.381 by 風人  2016-11-23 13:58:29 

『輝天炎上』での実存がないまま生きているすみれや小百合の気持ちはいかがなものか。
死亡届は出され戸籍は存在してないだろう。
だけど生身の身体を持ち生きてはいる。
その一方で東城医大に憎しみに駆られる思い。
『輝天炎上』で桜宮家を再興しようとする動きは皮肉なことにふたりにそれは見られない。
小百合は復讐に燃えすみれは阻止しようとする。
巌雄先生や華緒さんにしたら生きている道があるならしあわせに生きて欲しかったのではないでしょうか?
なにぶん巌雄先生は『螺鈿迷宮』で亡くなっているのでその真意は謎のまま。
巌雄先生はいずれ白鳥さんが“出る杭は打たれる”みたいな形である種の予見はしている。
誰が白鳥さんに刃を向けるかは『桜宮サーガ』は登場人物が多いためにわかりにくい。
もしもすみれや小百合が『輝天炎上』後に生きていたらその可能性はないとはいえない。
『桜宮サーガ』の世界では死者が生き返ることがあり得る世界であるかもしれないから。
ひとつひとつの本やシリーズ全体に謎や伏線が散らばっているからどこかでその線を辿って人物や物事が生きているあるいは息を吹き返すことがある。
だからすみれや小百合が『輝天炎上』で亡くなったという風に思えないのかもしれない。

  • No.382 by 風人  2016-11-23 15:06:10 

巌雄先生は「すみれが戻れば桜宮家は安泰だ」みたいな表現を残してもいましたね。
もしかしたらこれが桜宮家再興の言葉かもしれない。
ただあくまで亡くなる直前の言葉だから嘘はないと思われる。
それにすみれにしても『輝天炎上』に「わたしは死なないわ」と言葉を残している。
すみれの心から田口先生への気持ちが消えていないのは『輝天炎上』で彼がAiセンター長をつとめたことへの驚きから理解できる。
小百合は東城医大も田口先生もおなじにしか見えていない。
だけどすみれは東城医大と田口先生を組織とかつての恋人(?)ということかろうじて分けてみている。
『螺鈿迷宮』『輝天炎上』をとおして読むと小百合は憎しみにとらわれているけどすみれはいざとなると不器用なぶん人間らしくもあると思われる。
実際に過去の田口先生とのいきさつは物語のいくつかで田口先生をとおして邂逅として語られ『肖像』で彼は人知れずその過去に涙する。
『輝天炎上』でのすみれの驚きとはまた対照的ともとれる。
田口先生、桜宮すみれのつながりは『肖像』『輝天炎上』を読む限りは絶たれたようにも思えない。
この辺もいずれは回収されるのか。

  • No.383 by 風人  2016-11-24 16:34:19 

『輝天炎上』は基本的に天馬くん、冷泉深雪、桜宮小百合、桜宮すみれの視点で物語が語られる。
同時に『ケルベロスの肖像』の裏側でもあるため天馬大吉が事実上は物語の中心に位置する。
『肖像』『輝天炎上』共にクライマックスの場面では西園寺さやかに化けた桜宮小百合に一蹴されるもののすみれから託されたことを担う。
だけど『肖像』『輝天炎上』においてはいちおうの勝利をおさめたのは小百合自身の情念でしょう。
桜宮のAiセンターを崩壊させた事実。それは幽霊でも何でもないそこにある現実。
『肖像』においても斑鳩室長はそれを認める度量。だけど彦根先生はこれを敗北とする潔さもある。
高階病院長や田口先生は徒労に終わるむなしさ。
天馬くんは城崎さんを通じて知るすみれの生存とクライマックスの別れ。
これらがおそらくまた天馬くんの人生を左右することはあるでしょう。

  • No.384 by 風人  2016-11-26 12:16:27 

速水先生を一度は東城医大に復帰させようと『ケルベロスの肖像』でありこの時は高階病院長の判断で留意された。
時期尚早と判断された旨はあったよう。
しかし『モルフェウスの領域』でもまだ東城医大に戻っていなかった。
速水先生が東城医大に戻っていない意味はなんだろうか思う。
東城医大の倒産は免れたが『領域』においても経営が順調かは不透明。明らかにわかるのは医療が先細りしてる現状は『領域』でも伝わる。
おそらくその辺の懸念もあるんでしょう。
速水先生が“大人になる”のを高階病院長は見守りおそらく桃倉センター長や世良先生に彼の成長を見守らせているのかもしれない。
『極北ラプソディ』を速水先生の視点で読むととてもよそ者の雰囲気はしない。だけどある程度の境界線は保ちながらいずれは雪見市の救急センターを去るよそ者という自覚はあると思われる。
桃倉センター長や伊達先生たちに時ににらまれながらも地道に成長や反省の兆しはある。
桃倉センター長はともかくとしても若い伊達先生や五條さんたちにしたら速水先生は苦労の種でも救急センターに患者を呼ぶ存在。
花房さんと別れたことでもひとつの成長はあったと思われる。
だけどまだまだ東城医大に復帰させるにはまだ何か足りないものがあるんでしょう。
速水先生不在のなか佐藤先生や如月さんたちの成長を促す意味も当然あるでしょう。
桜宮に速水先生が復帰された時に何かが成されるのか?と考えるのは読者としては深読みでしょうね(苦笑い)。

  • No.385 by 風人  2016-11-27 05:56:33 

『スリジエセンター』は未読だけど『肖像』や『輝天炎上』の人物たちが天城雪彦を語る様子をかんがみたら彼が失意のもと亡くなった可能性を否めない。
そもそも20年以上の時が経ったうえでのタンピング。
陣内教授やマリッツアの語る天城先生への思いや邂逅。
高階先生側からしたら『肖像』で陣内教授から代理店のメアドを聞く描写はあったけど最終的にAiセンターが小百合により崩壊したために代理店を通してマリッツアまでたどりつくことをしたかは不明。
Aiセンターそのものが崩壊したことで建築家まで確かめようとする気持ちがあったかどうか。高階病院長の『肖像』のラストの様子ではその気持ちさえなかったようにも思う。

  • No.386 by 風人  2016-11-28 06:23:41 

シリーズ全体を通して斑鳩芳正室長は実体が見えないような存在。
登場人物の誰もが印象をはっきりさせないというのもひとつの印象。
だけど医療に対しての姿勢ははっきり敵意を示している。
『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』『ナニワ・モンスター』などどの作品にあらわれても不気味な存在。
なにかの作品で田口先生が自然の作る闇よりも人間が作る闇の方が怖いのでは?と示唆する思いがあったと思うけど斑鳩室長はまさにそれを具現化した人物かもしれない。
霞ヶ関の闇もしくは暗部と表現すべきか。

  • No.387 by 風人  2016-11-28 13:38:32 

『螺鈿迷宮』を読むたびに碧翠院つぶしは正しくなかったように思われる。
安楽死などの行為はたしかに犯罪だけど、桜宮の闇を一手に引き受けた存在でもあった。
天馬くんはすみれと小百合を通して碧翠院を学び巌雄先生から短い間ながらも医者として必要な心や信念を教わる。
だけど患者が次々に亡くなる碧翠院はホラーでありミステリー。
描写のいくつかが都市伝説ぽいところも相まって不気味。
読んでるとバブル三部作(『スリジエ』は未読)をのぞけば『螺鈿迷宮』は平成や21世紀の時代なのになぜか昭和の雰囲気を醸し出すシリーズ。
この時点の天馬くん若いけど続編『輝天炎上』でもまだまだ若さを残す。
『輝天炎上』の高原美智さんとの別れはちいさな一歩のように見えて実は大きな一歩であると思う。
『輝天炎上』ではAiと死因不明社会について彼と冷泉深雪がいろいろな先生方に出会い学ぶことで社会の見えない壁や問題に突き当たり向き合うというのがひとつの姿勢。
清川司郎先生はたしかに臆病なところはあるけどそうせざる得ない姿勢は社会もしくは組織に属する人間には本人の意思に関係なくあること。
妥協や臆病、あるいは他人に意思を委ねるのもやむを得ない。

  • No.388 by 風人  2016-11-29 06:45:29 

田口先生みたいにいっこうに女っ気がないのと天馬くんみたいにふたりの異性に挟まれるのはどちらがしあわせだろう。
田口先生とてスケベ心程度は備えているのは『ケルベロスの肖像』でようやく姫宮香織と会う口実ないし理由を利用してることから必ずしも女っ気を意識してないわけではない。
だけど職場たる不定愁訴外来には東城医大の生き字引がひとり藤原真琴看護師がいて目を光らせている。
『バチスタ』では大友看護師といい仲になりそうだったのを阻まれ『沈黙』では浜田小夜に知らないこととはいえ父親に重ねられたり『凱旋』では如月翔子と親しくはなるが恋愛関係には当然のようにいたらない。
田口先生が双子の桜宮姉妹とある一定の関係を絶ってから彼のまわりに際立った異性はいないみたい。
基本的に東城医大から出ることは少ない。

片や天馬くんは幼馴染みでも別宮葉子がなんだかんだで時に彼をこき使いねぎらいながらのつかず離れずの間柄。
『輝天炎上』での冷泉深雪との出逢い。落第留年生と優等生とこれまたラノベやアニメみたいなありえないシチュエーション。
死因不明社会とAiについての問題を東城医大、浪速府や房総とあちこちをふたりしてまわりながら距離が近くなる。
『輝天炎上』は『螺鈿迷宮』同様に天馬くんを主役に置いているから物語の内容が若く描写されてる。
医学生や留年落第生徒という天馬くんの立場や位置。一方では深く刻み込まれた桜宮家との因縁、一方では冷泉深雪との異性への恋心に近い感情や思い。
若いけどだからといって感情や気持ちのおもむくままに行動や発言はしない。多少の医療社会や田口先生をはじめとした大人たちへの感情はあるけど。
だけどそこから学び取れるなにかを得ている。
冷泉深雪という優等生な異性がいることで際立つ一面。
だけど恋愛関係として考えると三角関係はふつうに苦労ありそう。

  • No.389 by 風人  2016-12-02 13:44:36 

『外科医 須磨久善(ひさよし)』があった。
中古書店で280円。ちょっと安かった。
本来なら『スリジエセンター』や『スカラムーシュ・ムーン』から再び読むところだけどあいにくこの二冊は見当たらないorz。
著者である海堂尊先生もまたこの本の須磨久善もどちらも医者であり作家であるという共通点。
医者であり作家でもある海堂尊先生が同じ職業の実在の人物を書くという。
『伝説』で解説は読んだはずだけどいまはあたまから抜けているorz。
だけど『外科医 須磨久善』の冒頭とあとがきちらっと見たら海堂尊先生からの言葉、そして『ブレイズメス』で書かれた“公開手術”という言葉が真っ先に現れている衝撃。そしてあとがきには再び著者で海堂尊先生から、さらにドラマ『相棒』の杉下右京を長く演じている水谷豊からのあとがき。
『ブレイズメス』のあとがきでも作家西尾維新さんが書いてましたが『外科医 須磨久善』も劣らない雰囲気。
『ブレイズメス』で天城雪彦がおこなった公開手術を須磨久善先生なる人物は現実におこなったということか。
ノンフィクションということだから海堂尊先生を通した現実が伝わることになりそうな一冊。

  • No.390 by 風人  2016-12-02 15:39:10 

『外科医 須磨久善』ちょっとだけ読んだら須磨久善なる人物が『ブレイズメス』の天城雪彦先生のもとになった人物ぽい雰囲気を醸し出している。
“公開手術”そして海堂尊先生は須磨久善先生の公開手術をギャンブルと表現しているこのふたつ。
海堂尊先生の表現力などもあると思うけど。
だけど須磨久善先生が公開手術したのは1992年というこの年月の古さというのも衝撃な事実。
バブルがはじけた日本の時代。
ノンフィクションという本だから無意識に自分が生きた時代を重ねたかもしれない思い。
しかしみごとに海堂尊先生の『桜宮サーガ』の『ブレイズメス』とも重なる時代。
明らかに天城雪彦先生は現実の須磨久善先生からの思いやイメージから出てきた人物と考えた方が妥当だろうか。

  • No.391 by 風人  2016-12-03 06:25:16 

『外科医 須磨久善』を読むと海堂尊先生が須磨久善先生をもとに『桜宮サーガ』のいろいろな人物に投影させている雰囲気ある。
だけど医療社会の現在も書かれている。“日本人は新しいことに拒否反応を示す”のくだりは医療に限らずほぼすべての世界や分野にあることと思われる。
『ブレイズメス1990』の天城先生の公開手術とギャンブル、『田口白鳥シリーズ』の白鳥さんによるAi提唱、彦根先生の医翼宣言、医療庁など。いくつかはフィクションの物語を通しての現実への呼びかけであると思う。
『伝説』を読むと海堂尊先生が書かれたことのいくつかは現実に追いつかれているらしい。
架空の『桜宮サーガ』世界とこちらの現実世界が重なっているところもないわけではない。
もしかしたら『外科医 須磨久善』などいくつの本を通してあちらの世界とつなげているのかも(笑)。
だけど『桜宮サーガ』な世界でも田口先生たち登場人物たちは医療が誰のためなんのためにあるのか日々を悩み葛藤する。
答えを見出だそうとしながら答えは見つからない。
海堂尊先生の本を読むと医者が日々悩みながら病気や患者あるいは地域地元に接しているのが伝わる。

  • No.392 by 風人  2016-12-03 11:25:03 

『外科医 須磨久善』はノンフィクションだから海堂尊先生が須磨久善先生を取材したことを追っていってる点が架空の『桜宮サーガ』シリーズとは異なる。
過去からおそらく現在への須磨久善先生を追っていって書いてたはず。
1992年と冒頭に出てきた時にふつうに驚いた。90年代なんてつい最近までそんなむかしではないと思ったけど現実の自分が歳を取ったことへの現実も見えるから自分に重ねあわせたらむかしなんだということ。。
だけどそんな古い時代に公開手術という場を設けるだけでも本の中でも現実に例は少ない。
なおかつ衆人監視のもとで手術をしながら質問者に的確に答えあまつさえ当然、ミスは許されない。
この辺の描写はまんま『ブレイズメス』の天城雪彦先生を彷彿させる。だけど『ブレイズメス』は架空世界の出来事、『外科医 須磨久善』は現実にあった出来事。
読んでた『桜宮サーガ』の世界そのものが現実に一部であれ起きてたといいこと。
また須磨久善先生の奥さんが出てきたところも現実味ある。旦那さんの活躍を心配なさってたと思われる。
こういうところも『桜宮サーガ』の人物たちに重ならなくもない。
医療従事者の家族というのも『伝説』で医者ではないけど三船事務長を通して語られた場面があった。
いろいろ重なって読めるのはすごい一冊かもしれないと感じ始めているかもしれない。

  • No.393 by 風人  2016-12-06 05:37:51 

『外科医 須磨久善』を読むと須磨久善先生の半生はバラエティに富んでる。
バチスタ手術をOKした院長もさりげなく凄い。もしも失敗すればおこなった病院の信用にも関わることなのに須磨久善先生に承諾する。
だけど『外科医』にいくつか書かれている事柄、阪神大震災の出来事などや『プロジェクトX』に取り上げられたこととか現実の重みが伝わる。
須磨久善夫妻には子どもはいないけど犬を買っていたらしい。
だけど犬が病気になった時はいくら本人が医者であっても獣医ではないからうまく伝えられなかったり獣医とのコミュニケーションのむずかしさもあったよう。
おそらくそんなところも医者としてのコミュニケーションに考えたり役に立てようとしてた節もあったんじゃないでしょうか。
外国で安住の地を持っても飼い犬が道を示してくれたというのも運命的。
世の中にはなにかしら人間関係や天運に恵まれた人物がいるかもしれない。
人生に選択肢はあってもいちばんむずかしい選択することは大抵の人間はしない。
だけど須磨久善先生はそれができる人生のよう。

  • No.394 by 風人  2016-12-08 09:43:44 

『ブラックペアン1988』『ブレイズメス1990』あと未読の『スリジエセンター』が『桜宮サーガ』の世界ではバブル時代にあたる。
『ブラックペアン』には花房さんとデートする若き日の世良先生が「となりのトトロ」を見に行くという描写があったり『ブレイズメス』の時代には医療従事者たちが病院の食堂で食事をする場面があったり21世紀の今日(こんにち)からしたらあきらかにちがうのが伝わる。
バブル時代で浮かれる日本人の姿を海堂尊先生は医療については荒波の時代として書いてる節はあるかもしれない。
作品内の高階先生と天城先生の対比を見る世良先生が客観的にふたりを見つめることにも時代の息吹きがあるかもしれない。
またノンフィクションである『外科医 須磨久善』は冒頭からいきなりバブル時代の現実のなか須磨久善先生の活躍が語られる。
以前にも書いたけど『ブレイズメス』の天城先生と現実の須磨久善先生は重なる。
フィクションあるいは現実にせよ高度成長期とはちがう意味で日本人が輝いていた時代かもしれない。虚飾であった可能性も否めないが。

  • No.395 by 風人  2016-12-08 19:53:07 

『外科医 須磨久善』のあとがきになぜ水谷豊さんのあとがきがあったのか謎だったけど読んだらなぞでもなかった。
ドラマ『外科医 須磨久善』で須磨久善先生を演じられたようですね。
それにしても須磨久善先生の半生にしても人生の選択に迷うことはあるだろうしつまずきということもあるだろうけどすべてや完璧、完全というのは読んだら求めていない雰囲気。
失敗も成功もあるだろうけど大半が自分にとって前向きでありわがままを言わなければたいていはうまくいくみたいな感じ。
以前に読んだ『ゲゲゲの女房』の水木しげるさん武良布枝さんにも近いところはある雰囲気。
なにをしあわせとするか?というところは共通している。

  • No.396 by 風人  2016-12-15 16:01:47 

今年は『ブレイズメス1990』『ナニワ・モンスター』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』『玉村警部補の災難』『モルフェウスの領域』『外科医須磨久善』と海堂作品を七冊読めた、例年にない本に出会えた年。

個人的に名作だったのは『ブレイズメス1990』『ナニワ・モンスター』『外科医須磨久善』の三冊。
『ブレイズメス』では謎の人物だった天城雪彦の鮮烈な魅力や人物像。
ギャンブルと人の命をおなじように扱ってみえるように誤解されがちだけど人生がかかっているとしたら全財産を投げ出すくらいの覚悟や手術も必要ではないだろうかと思う。
『外科医 須磨久善』を読むと天城雪彦先生のモチーフは現実の須磨久善先生なのが伝わる。生き方、思想、行動力、運などすべてではないだろうけど。天城雪彦先生にいくぶんフィクションとしての魅力はあるから。
天城雪彦先生も須磨久善先生も医療の現実や社会に立ち向かう姿勢は重なる。『ブレイズメス』『外科医』どちらも読めば伝わるはず。
『ナニワ・モンスター』はまさに日本国内の架空のウィルスに経済戦争シミュレーションモノ。
多くの物語のなかであれこれ謎の動きをしていた彦根新吾先生の謎が明らかになる。
『イノセント・ゲリラの祝祭』『アリアドネの弾丸』『極北ラプソディ』などで何をやってるんだと思いながら追いかけていたら浪速府村雨府知事と一緒になって地方独立を謳い浪速府に医療庁の創設をたくらんでいたとは。読んでて吹っ飛んだくらいに天城雪彦先生とは違う意味で衝撃あった。
来年は『スリジエセンター』と『スカラムーシュ・ムーン』は読んでみたい。

  • No.397 by 風人  2016-12-26 15:28:15 

『カレイドスコープの箱庭』を冒頭を少し読んだら相変わらずいろいろな人物が出てくるけど高階病院長と田口先生の立場の入れ替わりや妙に意気消沈な彦根先生など少しだけ時代は未来になってる。
『肖像』からほんの三ヶ月程度なのに。
彦根先生が落ち込んでおとなしいのは『スカラムーシュ・ムーン』で司法か斑鳩室長に負けたんでしょうか。『肖像』のラストでは意気があったのにまるで可愛い後輩のようにおとなしい。
だけど『肖像』からほんの三ヶ月しか経ってないから東城医大の経営や患者からの信頼がいささか頼りない印象があるようにも映る。
幾多の事件や難題を抱えていた病院なだけに現実ならなおさらと思う。
しかし藤堂文昭、この人はアメリカがよく似合う(笑)。
『桜宮サーガ』内ではノーベル賞に近い人物とされるだけにインパクトある。

  • No.398 by 風人  2016-12-27 16:25:29 

『カレイドスコープの箱庭』のアメリカの一場面。
よもや曽根崎伸一郎の登場もあったのは驚き。ネットだけでなく直に本人が足を運び議論するのは好感ある。
あの藤堂文昭を唸らせるのはたいした存在。
『箱庭』でのアメリカへのAi標準化国際会議は無駄足ではなかったのは明らか。『肖像』で桜宮のAiセンターは破壊はされたが、ひとの思想までは消せなかったとうかがえる。
『祝祭』においてもひととのつながりは広いようで狭いと表現されてたけど海堂作品はそういうの多々ある。人物たちがさほど自覚してないだけ。現実にも通じるところ。
田口先生は『バチスタ』以降、人脈を広げているのは事実。おそらく『箱庭』や『領域』などの経験が未来の東城医大ひいては桜宮に通じている雰囲気ある。
上昇志向がないのは変わらないけどさすが次期病院長に就くというのは難色を示す。
明らかに佐伯前病院長や高階病院長とタイプが異なるのもあるし田口先生が権威を振るうひとではない。
だけど『箱庭』『領域』ともに白鳥さんや如月翔子などは着実に田口先生を次期病院長に、という雰囲気もある。高階病院長に似てきたとあるし(苦笑)。
ある意味誉め言葉ある意味ちょっとした嫌みも含んで。

  • No.399 by 風人  2016-12-28 06:24:25 

田口先生は成長してないようで成長や進歩はあるでしょう。
物語の時系列がほんの三、四年程度ですからね(苦笑)。
『箱庭』での高階病院長とのやりとりを読むと『バチスタ』『凱旋』『沈黙』『弾丸』からとかなりちがう。のらりくらりとやり過ごそうとしてたのに比べたら『肖像』『箱庭』は意外なくらいにあっさり依頼を受けている。
不定愁訴外来だけやってるよりははるかにアクティブに動いているということ。院内業務としては不定愁訴外来、リスクマネジメント委員会、Aiセンター長。
Aiセンター長の肩書きはてっきり『肖像』でのAiセンター爆破事件からなくなったと思ったら存在したままなのは少し驚いた。
組織に属す限りは肩書きはかんたんに消えるものではないということか。
だけどもし『肖像』でもし病院が破綻してたら『箱庭』での同窓会はなかった可能性もある。
そういう意味では『肖像』のラストで高階病院長の言い分をひっくり返したのは田口先生たちにとってはプラスだったかもしれない。
桐生先生は一時は医者は廃業かと悩んでたのは気の毒だったけど子どもを助けたいという一心が『ブレイズメス』でもわずかに語られてたけど『バチスタ』から『箱庭』へとようやくつながる。
ある程度の登場人物への救いある措置はしてある。

  • No.400 by 風人  2016-12-31 04:32:00 

『相棒』シーズン6の白い声のノベライズを読んだけど海堂尊作品にそっくり。
だけど死体が画像診断は現実には数えるほどしかされてなく事件性がないまま扱われる。
海堂尊作品はそこに切り込んでいくことで作品を通して社会に問題提議をしてゆく姿勢。
『相棒』の「白い声」については犠牲となる人物が重たい。
死ぬ必要があって訴えるのはドラマだからかあるいはあえてテーマを伝えるためにやむない演出なのか。
さりげなく舞台が城南大学というのは『仮面ライダー』ぽい点は面白かった。

『桜宮サーガ』と『相棒』シリーズは違う。
『桜宮サーガ』はほとんどの作品は医療や医療従事者があってそこに日々の難題や事件あってなにかを訴える。
Aiを伝えるのは“死者に耳を傾けろ”と『バチスタ』から唱えたり訴える人物は作品により異なるけど一貫している。
だけど『極北クレイマー』の三枝先生みたいになまじAiをしてなかったばかりに証拠を不十分とされ逮捕に至ることもある。つねに世の中に悪意がどこかに潜んでいたり闇に手を伸ばす者もいる。
『相棒』シリーズも共通してるのはどんな地位ある人でも犯罪に手を染める者がいること。
なりゆきから犯罪に手を染める者たちもいるが中には加害者でもあり被害者もいる。
右京が許せないのは何者であっても犯罪行為に手を染める者に彼は憤る。

とはいえ『桜宮サーガ』の白鳥さんは『螺鈿迷宮』で桜宮巌雄先生から警告を受けている。
いずれは白鳥さんが誰かの標的にされる、と。
これは『相棒』における右京ら特命係が常に警察上層部から疎まれたりまたは別な第三者から狙われていることに似る。

  • No.401 by 風人  2017-01-02 07:53:52 

『チーム・バチスタの栄光』から『カレイドスコープの箱庭』までおおよそ三年経っているけど、電子カルテに嫌いを示す医療従事者もいるということ。
以前に母が地元の医療センターにお世話になった時も母を診たお医者さまが電子カルテよりは紙のカルテの方が書いているというようなことをおっしゃってたかな。
だけど時代やハイテクの流れがある。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むとハイテクとローテクの両方が生きているところもある。
必ずしも最先端やアメリカ諸外国の医療が正しいと思うわけでもないという風潮やむかしながらの堅い意識を持つ医療従事者などもいる。
どこかでそういうのが時に時代の妨げにもなるしまた逆にむかしながらだから信頼あるというのもある。
どう何を受けとるかでそのものの印象は異なる。

  • No.402 by 風人  2017-01-04 18:55:38 

『カレイドスコープの箱庭』で速水先生と彦根先生の会話から察するに彦根先生は今中先生が極北市民病院に不在の時に訪れているような雰囲気。
実際、『極北ラプソディ』で今中先生と彦根先生は一切出会っていない。
今中先生を雪見市救命救急センターに派遣した時にも目に見えない日本三分構想やドクタージェット構想などを話し合ってた可能性はある。
だけど速水先生はどこで世良先生が彦根先生と会ってるのを耳にしたのか。
医療の人間関係は広いようでせまいとあるから何かしら風のうわさは流れてきたかもしれない。

  • No.403 by 風人  2017-01-05 09:00:03 

白鳥さんがなぜ官僚を志した(?)というのも興味あるところ。
『ナニワ・モンスター』での描写からかなりAiに早い時期からこだわっていたのがうかがえる。
基本的に東城医大が舞台になることが多くライバル帝華大についてはまだまだ語られていないのではない。
ある程度は各作品の描写や台詞から拾えるけどイコール具体的に語ってるわけでもないから読者にしたらいささかなぞになる。

  • No.404 by 風人  2017-01-06 16:14:03 

『カレイドスコープの箱庭』において田口先生ほど特異な存在な准教授は現実にはいないでしょう。
だけどいくつかの作品では海堂尊先生は論文ありきな医療界にある種の警鐘を鳴らしてもいる。
かといって論文警視ではないとも思う。『極北ラプソディ』で世良先生の口を借りて論文批判はするけど研究が滞っていた今中先生にひとつのチャンスを与えてもいる。
今中先生の方が平凡な医師として書かれている。田口先生が特殊なだけ(苦笑)。
論文は書いてもいないAiに理解はしてても放射線科医でもないのにAiセンター長を東城医大でつとめAi標準化会議に出席し出席者を束ねないとならない。
Aiの在り方を『箱庭』であらためて説いているともいえる。
もし高階病院長が本当に引退したら次期病院長は田口先生なんでしょうか。『箱庭』では田口先生と不定愁訴外来に口を出す者はいなくなってしまう現状。唯一は兵藤先生だけが犬のようにしっぽを振るだけ。
だけど『箱庭』で白鳥さんと兵藤先生がある程度どのような情報交換をしてるか明らかになったのもおもしろい。鬼の居ぬ間、というのをふたりは巧みに利用してたみたい。
だけど藤原看護師は不定愁訴外来に予期せぬ来客があるたびに出勤しては珈琲を淹れては先生たちの世話をするのも大変な労苦かもしれない一面もまたうかがえる。
大学病院の人間模様がうかがえるのも魅力。

  • No.405 by 風人  2017-01-07 09:21:24 

とりあえず文庫化になってる本から読んでいきたいけどもうかなり読んでるから実質は少ないはず。
『モルフェウスの領域』の続編『アクアマリンの神殿』からでしょうか。
『領域』はある意味SFであり複雑な恋愛モノとも取れる、やや視点が違った作品だった。
西野さんは嫌みな人ではあるけど決して不誠実ではないと思う。頭いいぶん嫌みさがおもてに出てしまうもしくは誤解を生む人物ともいえる。
仕事そのものについては『極北ラプソディ』や『領域』においても真剣そのものがうかがえる。ちゃんと己のテーマを具現化しさらに追求する。
恋愛するとやや厄介にも思える人物ではあるかもしれない。
西野さん涼子さんの関係が輪廻の輪のようになるのか。
『領域』のコールドスリーブ(冷凍睡眠)は人類の夢ではあるけど一方では被験者の人生や権利を奪うものでもある。
それを田口先生や如月翔子、高階病院長東城医大は守らないといけない側面もある。
医療が社会により成り立つ一面はあるけど逆に社会がその進歩を止めたり阻む一面も『桜宮サーガ』にある。

『極北シリーズ』はそのなかでも端的かつわかりやすく描写してた。
市民病院の破綻、地域地方の首長の政(まつりごと)しだいで町や市の運命が左右にふられる。

『領域』のようにコールドスリーブがもしも未来において日常的になれば問題は無数にあふれ出る可能性は否めない。
『桜宮サーガ』は過去、現在、未来の時間を紡いでいる。
無関係な事象はないということ。

  • No.406 by 風人  2017-01-09 05:46:41 

桜宮市に人物が来るのは土地や結界に招かれるからでしょうか。
田口先生をはじめ白鳥さん、桜宮姉妹、斑鳩芳正、加納警視正、幾多の人物が桜宮を訪れては難題や事件あったり。
不定愁訴外来を結界と呼んだのは田口先生、藤原看護師、加納警視正くらいでしょうか。
もとは田口先生が医学生時代にサボりの時にたまたま見つけた東城医大で設計ミスからできた物置部屋。
それを田口先生は自らの職場にして不定愁訴外来にした。

だけど桜宮市にはまだまだ結界がいくつも存在する。
碧翠院桜宮病院があった土地もそう。『輝天炎上』ですみれ・小百合姉妹が潜伏してた場所は殺人事件があったアパートとされる。
『伝説』の城東デパート火災も加納警視正たちによると桜宮の負の遺産。

これらが意味してるものは何なのか。
意味なんてないかもしれないけど。

  • No.407 by 風人  2017-01-10 14:49:00 

『ブレイズメス』で触れられていた富士見の診療所を舞台にした話も見てみたいもの。
不定愁訴外来ができる人は根気ある人やひとの話を聞くことをよろこびに変えないとできないと思われる。
『ブレイズメス』から『極北ラプソディ』の世良先生の患者の対応や接し方あるいは治療ということへの考え方など考えたらまるで別人。
『ラプソディ』では長々と話す患者のおばあちゃんに対して親身に接してはお土産を手にして感謝を示す。
『ブレイズメス』では手術や治療をしたいと意気込みはあるけど患者に向き合ってるかはいささか疑問の余地はあるように思われる。

不定愁訴外来で愚痴や不満を聞くのもひとつの治療行為。患者の精神的ケアは結果的には病院内の精神的ケアにもつながる。
『ナニワ・モンスター』でも浪速府のちいさな町の診療所でもいちおうの効果は示していることからもあらわれていた。

富士見の診療所はどんなところでどんなお医者さまがいて患者にどんな治療をしているのかというのか興味深い。
不定愁訴外来は『田口白鳥シリーズ』でさんざん書かれてるけど他のお医者さんの治療も見てみたい。白鳥さんが『螺鈿迷宮』で患者と話ながらおこない『極北クレイマー』でも姫宮香織も若干はしてたけど。
不定愁訴外来が必要な時代なんでしょうね。

  • No.408 by 風人  2017-01-11 06:55:38 

『カレイドスコープの箱庭』で桐生先生、彦根先生、速水先生のそれぞれの立場でAiをどうとらえエシックスとどう接するかで各々の考え方がわかるのもおもしろい。
彦根先生が年下なのもありある意味、わずかながら本来の性格が彼はあらわれてるみたいでもある。
対して速水先生は救急の立場から物事をとらえるあまりにスピードスターではあるけど世界観に欠けるというところでしょうか。
桐生先生ほどに医療の世界や現実を理解するにいたらない。
桐生先生は一度挫折してることもあるしある種の領域に達しているから語れる。挫折しないと学べないこともある体現者。
手術できない医者が哲学者になるという表現にひとつの挫折と苦労が感じられる。
まだまだ彦根先生や速水先生は島国の医者というとらえかたもできる。
『ブレイズメス』での発表会での帝華大の面々にかぶらなくもない。
いろいろ人物たちの意見に医療の在り方やAiの未来などが見えてくる。
ただ前向きな未来あれば医療の現実が狭くなっている現実も目の前にあるように迫る物事もある。
常に医療が誰のためにあるか、というのを医療従事者は問われ向かうのもひとつの姿勢。

高階病院長は『ケルベロスの肖像』で一度は病院長の地位から退いたものの田口先生にやりこめられ『箱庭』『領域』においても病院長の立場にいる。そして田口先生たちをはじめとしてイヤイヤながらも彼らを導く立場にいる。
『箱庭』においても市民の要望から東城医大がなくなるのを望まなかった市民たちがいるというのもひとつの展望。
だけどなぜ田口先生が次期病院長なのか?という謎は明らかではない。
佐伯前病院長や高階病院長のように手術畑でもないのに。
ひとつ言えるのは出世欲にまみれてないことや病院内をある程度、把握できる立場にいたということ。不定愁訴外来やリスクマネジメント委員会のポジションから適切だったとうかがえる。

  • No.409 by 風人  2017-01-11 07:44:25 

海堂尊先生、『伝説』の自身の半生でチャンスを得てもいるけど逃してもいるが『箱庭』の半生を綴っていますが逃してますね。
『笑っていいとも!』に出演できる機会があったのに逃してしまったというorz。
ただこの時期はテレビ出演を控えてたとあったから出演しなかったのは天啓ではなかったでしょうか。
『伝説』でもだったけどなにかを逃したらまた別なチャンスや機会はおとずれると思われる。
これらの経験は結果的に作品や作品内の表現に生かされているように思う。
田口先生はAiセンター自体は小百合により崩壊したはずなのにセンター長の肩書きは残るみたいになる(苦笑)。
それと似たり寄ったりに思う。

医療ミステリーとして『桜宮サーガ』は作品世界が構築されているから医療関係者や医療に興味ある読者が手にする作品。
注目の度合いがちがうと思われる。
だけどけっして日の目を見ないわけではない。
ちゃんと社会に根ざし問題提議をしてると思うし架空の『桜宮サーガ』世界とこちら側の現実がいくつか重なってると思う。

  • No.410 by 風人  2017-01-11 18:20:19 

加納警視正と玉村刑事のお遍路いくいかないのやり取りは海堂先生のお遍路ミステリーへの憧れでもあり布石みたいですね。
『玉村警部補の災難』に収録されている「エナメルの証言」でわずかに四国が数行書かれるだけで終わっている。
だけどお忙しい合間に日本各地で講演してるから四国にもお越しになってたんですね。
しかし遍路参りは短時間でそうまわれないのも切ないはなし。

  • No.411 by 風人  2017-01-12 05:43:16 

組織の上にひとを使うのと組織の中や下にあって使われる者。
『桜宮サーガ』では田口先生が物語では『バチスタ』から『肖像』までは前者であったけどやや『箱庭』では立場が異なる。
表向きな立場は高階病院長が上司であるが『肖像』のラストに引退を決めてたのに部下である田口先生に言い括られ結局、立場として変わらないまま。その心情は別として……。
だけど『箱庭』では田口先生が助言を求めたことから経験者としてそれなりに適切なアドバイスをせざる得ないし実際にアドバイスをしている。
『モルフェウスの領域』で被験者であるアツシ少年の人生を守るためやこれからの医療のためにも田口先生に論文を書きなさいと指示している。

心情としての立場は逆転していても病院長や以前の経験もあって高階病院長は部下たちをしっかり束ねている。
『肖像』や『箱庭』においては部下に一任するプレッシャーや責任の重さについてはやや吐露した心情から組織の上に立つ者の苦労がうかがえる。
だけど『箱庭』では田口先生から助言を求め『領域』ではこれからの医療のためやアツシ少年のために指示や示唆ができるおこなうのは人の上に立つ資質があったのではと思われる。
バブル三部作の過去の悔やみや省みたことのあらわれでしょう。
勝者なだけでは人の上に立てないことの具現ともいえる。
ただの腹黒タヌキではない。底が深い、と思う。

  • No.412 by 風人  2017-01-13 18:58:04 

『桜宮サーガ』シリーズはあらためて読むと謎が解けるところもあるけど謎が深まります。
『玉村警部補の災難』に収録されている「四兆七千億分の一」に出てくるネットゲームの話題で被疑者の馬場利一がバンバン、ヘンロは玉村警部補。
ユナちんはもしかしたら『極北クレイマー』に登場した布崎夕奈の可能性あり。モズクは不明。
ドミンゴは『箱庭』で名前だけ出たドミンゴ教授でしょうか?
海堂作品特有の符号や他作品への伏線はあると思う。

  • No.413 by 風人  2017-01-14 07:44:18 

『箱庭』で田口先生の肩書きにリスクマネジメント委員会はともかくAiセンター長と電子カルテ委員会の肩書きを残したのはいざという時のための措置なんでしょう。
もしその肩書きを必要とする難題や事件があった時のために慣れた人物が組織内で動きやすいのもあるし反感を持つ人物がいたとしても反発が少なくスムーズでもある。
肩書きを置いておくことで長く組織内の環境に抑止力にもなる利点があるともいえる。
新たに肩書きをもらった人だと事情を聞くのさえ厄介だろうし余計に手間がかかることもある。
『桜宮サーガ』はけっこう組織内に良くも悪くも組織ね利点と悪癖どちらも等しく描写されている。肩書きある人物はそれなりに本人が厄介に思えばこそまわりからも面倒だけど結果的には組織を守ることにもなる。

  • No.414 by 風人  2017-01-14 10:03:49 

組織において肩書きが必要不可欠は否めない。
Aiセンター長の肩書きを『肖像』の時点で消していたらまた一から行わなくてはいけない。あるいは引き継ぎにしても同様。
電子カルテ委員会の肩書きは『バチスタ』の時点では生きてたでしょうしほぼ電子カルテに移行した時点で役目自体はその時に一度は終えた。
だけどニ、三年の間に電子カルテの目に見えない問題が『箱庭』で浮き彫りにされた。
高階病院長が田口先生からその肩書きを消さなかったのもひとつのリスクマネジメントや組織の上に立つ者の判断。
不可避とされない事態への予見であり保険。

もうひとつは田口先生が肩書きによる権力を無駄に行使しない人物というのもある。
職権乱用にいたることはしない人物だからこそ肩書きを温存し生かすことができる人物ともいえる。白鳥さんがいることで悪評がついてしまうのはおまけみたいではあるが。

田口先生は兵藤先生が適任と思ってるらしいけど彼みたいに組織内を廊下トンビが如くうろうろされたら情報漏洩になるおそれもあると思う。
知らないですむ情報があるなら越したことはないしよけいな軋轢を生むことはない。
田口先生がAiセンターやリスクマネジメント委員会、電子カルテ委員会の長が適任なのは彼ひとりが背負うことで組織が安全に運営できる。
よけいなことを漏らさないだけそれは組織内にとっては信用に代わる大きなこと。目には見えてあらわれるわけではないけど地道に長い目ということでしょう。

  • No.415 by 風人  2017-01-16 14:50:54 

『バチスタ』以降、海堂尊先生の『桜宮サーガ』シリーズよく読むようになったけど医療の世界にもいろいろな事情があるということ。
個人的に勉強になったのは『イノセント・ゲリラの祝祭』の悪辣な官僚の骨抜き政策や案など。
『祝祭』では白鳥さんと彦根先生が打破しますけど(苦笑)。『祝祭』の霞ヶ関、厚労省の描写や八神課長と白鳥さんの駆け引きが面白い。
『祝祭』から『ナニワ・モンスター』へとつながる医療庁の旗揚げ、日本三分計画。『極北ラプソディ』にもつながるいろいろな伏線。
『ナニワ・モンスター』のインフルエンザウィルス“キャメル”による中央と地方の経済戦争。
『極北』シリーズ(『極北クレイマー』『極北ラプソディ』)は地域地方の市民病院の経営がいかに大変か伝わるシリーズ。一市民としては『極北シリーズ』がもっとも共感した作品。
バブル三部作のうち読めたのは『ブラックペアン』『ブレイズメス』だけど昭和と現在では医療の形態やニーズがちがうというのもある。
『極北ラプソディ』であったけど科学技術は未来にむけ飛躍的に進んでるけど実際に使う人間はさほど技術ほどに精神的に進歩していない寒々とした現実や現状。
医療という存在がせまくなっているかもしれない現実。
いちがいに“患者のため”という定義にしても医者も患者もそれぞれ求めるものはちがう。
不定愁訴外来みたいな存在はまた必要と思われる。

  • No.416 by 風人  2017-01-18 18:14:59 

『カレイドスコープの箱庭』の冒頭はいくつか触れられている。
かつての桐生先生に思いを巡らしまた『肖像』で失墜したはずの東城医大が市民の声という形の要望で存続していること。
桐生先生がドミンゴ教授の代理という形で一時的に来日というのも『田口白鳥シリーズ』が終わっていることの証し。
高階先生が引退したいというのも組織のトップの重責もあるでしょう。大学病院の職員八百名の人生を背負い病院という職業から患者の命は当然とし医療ミスから患者の遺族から訴えられる危険もある。
だけど前病院長である佐伯清剛から引き継いだ目に見えない理念や信念、教えなどあるでしょう。

しかし『肖像』のラストや『箱庭』での様子を見たら田口先生が病院長になると表向きはガラリと変わる雰囲気はありそう。だけど藤原看護師や黒崎教授などバブル三部作からの人生が引退しない限りはそう変わらないともいえる。
『箱庭』では論文をろくに書いてない田口先生を本来なら黒崎教授が叱るなりしないといけないけど『肖像』のラストで田口先生の背中を推したことで面と向かって言えなくなったのも悲喜劇。
結果的に論文を書くのは『モルフェウスの領域』までおあずけ。
大学病院の時代ごとの環境や人材不足などいろいろな要因があるというのも背景でしょうね。
田口先生みたいな人物は現実にはいないでしょうけど海堂先生は一部の本で論文ありきの在り方をまた批判もしている。

  • No.417 by 風人  2017-01-22 10:37:45 

『カレイドスコープの箱庭』はいろいろなことが書かれているけど白鳥さんのAi標準化会議のよけいな人物や組織外しは半ば確信的でしょう。
あるいは書き手の海堂先生が今回の物語に関係ない司法対医療の図式から外したかった思惑もある。
だけどAiを医療主導でおこなうには半ば確信犯的な骨子や構築もあるでしょうね(苦笑)。
ただエシックスにおいては日本のような島国的論理ではなく世界的に拡大的な論理を用いることで世界から日本にぐうの音を言わせることもひとつの方法。
前夜祭的に行われた田口先生、白鳥さん、速水先生、彦根先生、桐生先生の飲み会でもあった前会議がそれを物語る。
手術ができなくなった桐生先生ではあるけど東城医大を離れてから挫折を経験したことで葛藤や悩みを経てひとつひとつのステップを踏んだことは難くない。
桐生先生だけが世界的視野や経験を持つ医者として書かれている視点もある。
論理は上手に用いれば神にも匹敵しうる力でもあるけど日本はちいさな社会や世界での論理でしか答えられない現実社会もまた存在する。
だけどシリーズを読んでいくと田口先生の頭のなかではエシックスの沼田先生は誰かと競わせたいようで引っ張り出される。直接は出てこないけど。
エシックスという論理を如何に使うか、というのも社会が抱える問題のひとつでしょう。

  • No.418 by 風人  2017-01-22 14:15:20 

Aiとてなんでもわかる万能でないことは『玉村警部補の災難』収録の「エナメルの証言」にある。
“CTで三割、MRIで六割しか死因はわからない”とある。
ただ『祝祭』や『輝天炎上』などにあるように解剖と共存する手を取り合うやり方が望ましいと言えるでしょう。
だけどそこに既得権益なり利益が関わろうとするのが大人社会の複雑さ。
Aiをするとお金をかかるようになっているAi以前の社会の問題もある。
社会のゆがみやひずみと言うのはかんたんだけど一方でそんな目に見えない存在が闇をうむこともあれば光りをうむこともあるのが現実社会。
『桜宮サーガ』シリーズのひとつひとつを組み合わせていけば社会や世界の見えない存在がフィクションであるのを通して見えてくる。

  • No.419 by 風人  2017-01-26 09:02:57 

『スカラムーシュ・ムーン』『スリジエセンター』などはまだ文庫化に至ってないみたい。
それだけある程度は追いついた感じ。
文庫で手に入れてないのは『アクアマリンの神殿』などごく数冊。
『カレイドスコープの箱庭』であらためて海堂尊先生のトピックスや作品内の歴史年表や時系列などが整理されてることで各作品間のつながりがわかりやすい。
『箱庭』で速水先生がちらっと彦根先生に睨みを利かせるのは彦根先生が後輩にあるまじき行動をしてるからでしょう。
彦根先生が救急センターをたずねでもしたら手足の如くこき使われるのをわかってるから近寄らない。
すずめ四天王が揃ったのは現時点では『箱庭』だけでしょうか。
また過去の物語に触れられる作品があったら海堂先生が書かないとも限らない。『輝天炎上』で天馬くんはすずめ四天王については興味ありそうだったから医療サスペンスとは違う形で関わる形も考えられる。
『輝天炎上』で天馬くんは島津先生、彦根先生そして田口先生と三人とは出会ってるわけだし。
Ai絡みでなくとも大学病院に在籍してる間あるいは卒業後の進路如何によってはいくらでも縁はあるはず。

個人的には田口先生、今中先生の恋愛モノを書いてほしいところ。
というか天馬くんは別宮葉子に冷泉深雪と囲まれすぎ。

  • No.420 by 風人  2017-01-26 14:39:21 

『桜宮サーガ』のシリーズを読むと医者や看護師などにいろいろな人物がいて医療に従事してそれらを含めて病院という存在に社会が支えられていること。
速水先生みたいに救急医療をする者もいれば田口先生みたいに手術とはほぼ無縁の不定愁訴外来を生業とする者もいる。
彦根先生はネットを通しながら病理医をする先生もいる。
桐生先生や天城先生のように心臓手術をする先生もいる。桐生先生は『バチスタ』で挫折を余儀なくされたのもある。
『箱庭』では以前と変わらないままでありながら手術できなくなったことからの挫折からの脱却と成長、ある種の本人なりの哲学を構築された雰囲気はある。
救急病院に市民病院が対応できない『極北ラプソディ』のような医療の先細りもある。
世良先生の判断は市にすればたしかに厄介かも知れないが市から予算が出ないことには人員をつけられない背景もある。
世良先生は過去の出来事からいかなる経緯かは不明だけど医療債権請負人となった身。
『極北ラプソディ』で察した範囲内でも神威島に至る経緯や医療債権請負人と活躍するなかでも紆余曲折があったように思われる。花房さんを振ったことからもうかがえる。
高階病院長にしても過去の悔やみある。『田口白鳥シリーズ』で『弾丸』以降振り返っていることからスリジエセンターを潰したことがよほど後悔になってると思われる。
天城先生の撒いた種?は高階病院長、世良先生、桐生先生、村雨府知事、彦根先生、藤原看護師のなかで生きている。
天城先生の人物像は『ブレイズメス』を読んだだけでも伝わる。

  • No.421 by 風人  2017-01-30 15:04:16 

スリジエセンターは何らかの形で高階先生に潰されはしたけど、いろいろな形で高階先生たちの内に心残りや後悔として残った……。
スリジエ(さくら)がオレンジ病棟に変わったのもひとつの継承なんでしょう。
速水先生の内に何らかの形で考えはあったと思われる。
世良先生が医療債権請負人になったのもおそらく『ブレイズメス』での過去のやり取りそして東城医大になんらかの限界を感じたからでしょう。現に『ブレイズメス』において高階先生たちは議論とはいえ天城先生に納得できる答えを返していないのを世良先生は直に見ている。

  • No.422 by 風人  2017-02-17 08:20:58 

他の本ばかり読んでるので海堂先生の本は今年まだ読んでない。
『外科医 須磨久善』は去年一度読んだくらい。
『カレイドスコープの箱庭』でいったん完結した感があったのかもしれない。
まだ文庫化にいたってない本もあるからゆっくりじっくり読まないとならない。
『スカラムーシュ・ムーン』『スリジエセンター』を早く文庫化してほしいもの。

  • No.423 by 風人  2017-02-18 06:38:11 

『ケルベロスの肖像』の物足りなさを『輝天炎上』がフォローしているが『肖像』はもう少し踏み込んで欲しかった。
田口先生がなにも知らないまま物語を終えているのはある種の切なさ。
小百合・すみれ姉妹は本当に亡くなったのか。謎のまま。
城崎さんは妹ふたりの生死は気にならないのか。『夢見る黄金地球儀』ではまだ4Sエージェンシーは続けたと思うがいずれは4Sエージェンシーを城崎さんは離れるつもりか。
『桜宮サーガ』の大半の登場人物は社会や病院などの組織の内にいる人間が主役をつとめる。
ただ城崎さんに限っていえばその枠から出ようとしてる感はある。自由でもあるし自分勝手とも取れるが、『輝天炎上』でのすみれとの会話から察するに父である巌雄先生との間になんらかの確執があったと思われる。
とはいえ習った医療関係は彼が芸能界に身を置いた際に皮肉にも歌手育成に役に立つことになる。
城崎さんもたぶんに医療から逃れられない運命にあるとも取れる。本意ではないかもしれない技術や知識だろうけど役に立つのはなにかのひとつの証明。

  • No.424 by 風人  2017-03-12 15:12:23 

今年は他の本に目移りしている。
肝心の『桜宮サーガ』シリーズにはまだ手を出してないことに気づく。まだ三月だけど。
『特Aランク病院の愉悦』でしょうか。田口先生を主役にしてる本を読みたいですね。

  • No.425 by 風人  2017-03-13 12:58:56 

ようやく『ランクA病院の愉悦』を手に入れた。
『玉村警部補の災難』同様に短編集なので読みやすい。
はじめの『健康推進モデル事業』で厚労省の小太りの上司は明らかに白鳥さんですね。
だけど『夢見る黄金地球儀』の久光譲治でしょうか。彼が出てきてる。

  • No.426 by 風人  2017-03-13 17:29:46 

『ランクA病院の愉悦』に収録されている「緑剥樹の下で」に登場しているセイは渡海征四郎なんですね。
『モルフェウスの領域』でヒロイン涼子に大きな影響を与えた人物と思うけどノルガ共和国で一匹狼的に活躍するのがこの人物の在り方なんでしょう。
なにものにも縛られず己の信念のまま生きていく。それを考えたら『ブラックペアン1988』のラストで東城医大という組織を出たことは正しかったように思われる。
基本的に組織や縦社会に縛られるとなにもできない反骨精神のあらわれとも渡海先生はそんな風にいえる人物。
だけど佐伯清剛病院長はおそらくそんな一面さえも認めた上で若き高階先生と競わせることで東城医大の未来を担いたかったんだろう。
だけど渡海先生には東城医大はおろか日本が狭かったのかもしれない。
いずれどこかで他の人物と渡海先生は出会う未来があるかもしれない。

  • No.427 by 風人  2017-03-14 05:03:55 

渡海先生は『モルフェウスの領域』『緑剥樹の下で』では謎の人物扱いなのは格好いい反面、いささかもったいない使われ方してるともいえる。
おそらく海堂尊先生の頭のなかではいろいろ活躍されるアイデアはいくらかはあるでしょうけど。
「被災地の空へ」は自衛隊との連携や縦割り社会が被災地への行き来を困難にしてる描写や救急医の在り方などがリアル。
速水先生と似た者同士の満島、この人物もまた深いことを考えている人物。
速水先生がまだ若いというのもあるんでしょうけど広い視野や思考というのが救急医やドクターヘリを扱うフライトドクターには必要なんだと思う。
それに被災地に同類の人間がふたりいる必要はないというのは理解する。
ひとりいれば事足りる。
短編ではあるけど必要なことを書かれてある。
『ガンコロリン』には八神所長と別宮葉子が出てる。ちゃんとそこかしこに『桜宮サーガ』のシリーズの一端と伝わる。

  • No.428 by 風人  2017-03-14 05:30:36 

「ガンコロリン」はコメディ色が強い話。
癌を治す特効薬の末路は癌手術を出来る医者が育たないままになりさらに新たな癌が生まれるという始末。
雰囲気としては『世にも奇妙な物語』ぽい。『世にも奇妙な物語』に似た物語があったでしょうか。

  • No.429 by 風人  2017-03-15 06:23:18 

『ランクA病院の愉悦』に収録されている「被災地の空へ」で速水先生が死体検案書にサインをする時の気持ちは複雑だったでしょう。
救うべき命を救えず相手の魂はすでに天に返り肉体は死と化している。
だけど死者を看とりひとがが現世から還ったことを現実に示すこともひとつのおこない。
ただサインをするのではなく検案書を記すことでひとが生きていた証を本人やその遺族に届け伝わることにもなる。
『桜宮サーガ』シリーズではたびたびひとが亡くなる描写は少なくない。
患者を救えなかったことに後悔もある地方病院の医者の気持ち。
また虐待を見過ごさないために死者の声に耳を傾ける気持ちなど。
“死者に耳を傾けろ”は『桜宮サーガ』の一貫したテーマのひとつでもある。
死体検案書にサインを記すというのも救急医としては報われないし満足いかない行為ではあるだろうけど誰かがおこなわなくてはならない。
現実に東北が震災に遭った当時に速水先生のような気持ちを抱えた救急医がいたとも思われる。
だけどそれが無駄な行為でもない。命が失われるのは悲しいことだが誰かがサインし示さなくてはならない。

  • No.430 by 風人  2017-03-15 12:49:44 

『ランクA病院の愉悦』収録の「被災地の空へ」で速水先生の勘が働かなかったことは素直にいい兆候ではなかったでしょうか。
『伝説』や『凱旋』の時みたいに救急患者で被災地があふれていたら速水先生のチームだけでなく満島先生たち他のチームもつぶれてたのではないでしょうか。
マンパワーにも限りはある。これはボランティアにも同じことがいえる。
軽症患者といえど患者。物語内ではそれでおさまりドクターヘリで重症患者は各々の病院に運ぶ。
行政や自衛隊の不便な縦割り社会の一面が読み取れるのも複雑なところ。
とはいえ行政や自衛隊がいなければ情報や現場が統制が取れない一面も生まれる。
まだまだこの辺りの連携はむずかしいんでしょうね。
だけど救急医にも速水先生や満島先生などいろいろあり風の噂もある。
だけどしっかり現場指揮を取れる人物が取ることは現場に混乱を少なくさせる利点もある。
短編ではあるけど情報量がかなりある物語。

  • No.431 by 風人  2017-03-20 06:33:42 

『ランクA病院の愉悦』の「健康推進モデル事業」はある意味厚労省など役所がおこなうことはわからないことへのブラックユーモアでしょう。
『桜宮サーガ』全体でもなにかとメタボをところどころに挙げながら登場人物たちは疑問を持ち吐息を漏らすのにあらわれている。
「健康推進モデル事業」もそのひとつ。仮にいくら快適に健康的に過ごせたとしても職場で生きられなかったらメンタル面から不健康になってしまう。ある意味現代社会のストレスの源である会社という誰もが直面する現状にもスポットをあてていると取れる。
肉体的健康か精神的健康かどちらを取るかを聞かれたらみな両方取りたいでしょう。それで会社で出世できたら万々歳でしょうけど。
現実はそんなうまくいかない。
物語内の主人公は結果的に会社を辞するものの愛する人を得て田舎に帰り健康に生きるという顛末。
だけど厚労省に限らず役人のやることはわからない。既得権益や天下りの一環がおおもとだからタチが悪い。『桜宮サーガ』では時にコメディとリアルさを交ぜて書かれてる。

  • No.432 by 風人  2017-04-02 18:43:43 

『ランクA病院の愉悦』収録の「ガンコロリン」のエピローグ部分はおそらくパラレルワールド的解釈でしょう。
作品自体が半ばコメディですし『桜宮サーガ』本筋の路線を考えたら癌治療が治療できることになってしまったら癌をテーマに作品は書けなくなるでしょう(苦笑)。
「ガンコロリン」に『モルフェウスの領域』の未来科学センターと八神所長に触れられているけど『領域』にはガンコロリンそのものには触れられていなかったから。
後半はパラレルワールド的解釈でいいと思う(笑)。

だけど癌を仮に治療できたとしても新たな耐性を身に付けた癌が現れるのは癌そのものもある意味、生命進化のひとつなんだと思う。
薬が毒というのも『桜宮サーガ』ではたびたび触れられている。薬自体も人間にとっては治療する良薬でもあるが一方では本来は身体が摂取しない成分も含まれるからそんな意味では害悪ないし身体における必要善であり必要悪。
人間の身体はむずかしい。

  • No.433 by 風人  2017-04-03 07:10:48 

『ランクA病院の愉悦』に収録の「ランクA病院の愉悦」にしっかり東城医大不定愁訴外来が出てくる。
これは田口先生の意向に関係なく医療関係者たちが宣伝したり自分の手に負えない患者が現れた際の措置でしょうか。
見方を変えたらほぼ宣伝にしか思えない(笑)。
良心的に解釈したら不定愁訴外来を積極的に取り入れる旨とも受け取れる。『ナニワ・モンスター』でも徳間先生は父親に伝えてたこともあるから『桜宮サーガ』の世界では不定愁訴外来は重宝されてると考えた方がいい。
現実に不定愁訴外来が浸透してるかはわかりませんが。

  • No.434 by 風人  2017-04-03 11:05:35 

「ランクA病院の愉悦」で東城医大の不定愁訴外来が取材を拒否したのは笑えた。
主人公はヤバいことを隠してるのではと揶揄や邪険な考えを一瞬持ったけど実際は不定愁訴外来からランクC病院に紹介できる患者はいないということだけ。
これは田口先生なりの誠意ある返答でしょう。
世の中にはこういうこともあるというひとつの答え。
それにしても『桜宮サーガ』世界では田口先生の存在が徐々に重宝されている雰囲気ある。

  • No.435 by 風人  2017-04-03 14:34:26 

『桜宮サーガ』は医療小説にちがいない。
だけどそのジャンルを確立や認知されるまでは長い道程でしょう。
とはいえ本筋の『田口白鳥シリーズ』、地域地方に焦点をあてた『極北シリーズ』、女性に視点をあてた『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』、バブル時代を舞台にした『バブル三部作シリーズ』。
『ひかりの剣』と『夢見る黄金地球儀』は『桜宮サーガ』シリーズのひとつではあるが医療小説ではないが組み込まれている。
『玉村警部補の災難』『ランクA病院の愉悦』それぞれの短編集ながら内容が充実してる。
『スカラムーシュ・ムーン』『スリジエセンター』を早く文庫化してほしいと共に中古書店に並ばないと買えないorz。

  • No.437 by 風人  2017-04-04 06:25:24 

医療において治療法やあるいは制度などにおいても絶対的な答えはないかもしれませんね。
手術や治療、薬などもあくまで効率や医師、患者などの精神的負担の軽減もあるだろうし制度においても医者と患者双方が納得するシステムの確立。とは医療費が高くなる現実もある。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むと医者、患者、官僚、地方行政、薬剤師、あるいは医療関係業者など様々な職業の人たちが携わり成り立つ。
一個人や患者から見える範囲はごくわずか。薬の適用や副作用などは懸念する患者はどこにでもいるのも現実。
基本的に『桜宮サーガ』の世界に官僚は利権や既得権益を頑なに守ろうとする。
例外は白鳥さんや姫宮香織、坂田局長など特殊な人たちくらい。官僚ではあるけど彼らは組織を内側から打破してゆく人物として書かれている。
現実に白鳥さんみたいなことしてたら左遷されっぱなしでしょう。
だけど『領域』や「ガンコロリン」では八神さんは出世コースから外れ白鳥さんにこき使われてるみたいでなんだか不憫。
その布石はたぶん『イノセント・ゲリラの祝祭』のハシゴ外しがきっかけでしょう。あれがたぶんふたりの立場を変えたはず。
白鳥さんはなんだかんだで東城医大に思い入れがあるわけだし救済措置を『肖像』で示し未来科学センターで具現化してる。
再びAiセンターができるか否かはわからないけど。
医療に限らずだけど技術の進歩イコール人間の心や精神、中身がまだまだ伴わない時代なんでしょう。
飛躍的に科学技術が進んでも人間の心や精神はいろいろ善悪、画策などがありそこに利益を求める人間もいる。

  • No.438 by 風人  2017-04-04 17:52:38 

『イノセント・ゲリラの祝祭』(上巻)で白鳥さんが彦根先生に苦言を呈した一件は医師会クーデターの件ですね。
だけど彦根先生はクーデターを起こした張本人にも関わらずとある地位を得て仲間から反感を買ってしまった。
『祝祭』の前半をあらためて読むといろいろな輪郭がみえてくる。

  • No.439 by 風人  2017-04-05 05:07:33 

『イノセント・ゲリラの祝祭』と『カレイドスコープの箱庭』の彦根先生の人物を見るといくぶん雰囲気変わった感じ。
“スカラムーシュ(大ボラ吹き)”という一面はたぶんに変わりないけど未読にあたる『スカラムーシュ・ムーン』で敗北(?)から何かを学んだ可能性があると思われる。
先輩として田口先輩は『箱庭』で心配する一面は見せながらもコイツは立ち直るだろうくらいは予見してるから。
『スカラムーシュ・ムーン』で斑鳩室長にやられたんだと思う。
警察か医療か主導になる組織で民間に伝わる内容も異なると思う。それがまた社会にどう作用し影響するかというのも考えるべき内容なんでしょうね。

  • No.440 by 風人  2017-04-05 09:31:57 

『桜宮サーガ』のシリーズを読んで気づかされるの主人公や主体が誰もしくは所属する組織などによって視点が変わるということ。
『田口白鳥シリーズ』は窓際医者だった田口先生が火喰い鳥の官僚の白鳥さんと共に難題や事件を解決してゆく。
『極北シリーズ』は地域地方の病院が舞台。
今中先生もまた田口先生同様に一見、平凡な医者ではあるが現状現場あるいは自分の居場所から病院や地域を考えて見る目や思考を彼は持っている。
おそらく今中先生みたいに個人や組織に属する者もしくは医者としては医師や看護師などはそれくらいの見識はあるでしょう。
『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』は産婦人科が舞台。
女性の出産や代理出産などを扱いながらすこしずつ問題をひも解き解決してゆく。
『ブラックペアン』に始まるバブル三部作は物語としていえば『田口白鳥シリーズ』の過去の時代にあたる作品。
かわりゆく時代と共に高階先生や世良先生、天城先生たちが挑む。
昭和の頃の医療の現状がよくわかる。
シリーズ総じていえるのは立場や立ち位置で異なる意見や意思があるということ。そこに利権や個人的思惑もあるがそれが遠回りして結局は良かれ悪かれ我々市民に伝わり提供サービスにもなるし医療費負担にもなるということ。
無関係とは思えない実感が読むたびに伝わる。

  • No.441 by 風人  2017-04-06 17:25:07 

黒崎教授は読むたびに愛されるキャラだな思う。
いい意味悪い意味含めて東城医大のナンバー2。
藤原看護師も裏という意味ではナンバー2かもしれませんが。
『アリアドネの弾丸』では高階病院長が逮捕されたことにより病院長代行を兼任する器。
白鳥さんから見てもものわかりの悪さは多少あるものの黒崎教授がいなかったら病院運営は成り立たないのもある。
バブル三部作時代においても佐伯病院長から気概がないと言われる存在ではあるが高階先生、世良先生を当時は従える立場にもある。
よくも悪くも等身大かつ典型的な権威を振るうタイプの人物ではあり無用小器用型。
だけど組織においては必要不可欠な存在なのも否めない。
組織は天才肌や才能ある者だけでは仲間意識や集団意識あるいは組織に帰属意識なども芽生えない。
ある程度は無用小器用な存在がどこかにいて組織を見守り監督指導するのも組織内から暴走や離反者を最低限なくすこともできる。
黒崎教授がある程度、権威を振るうというのも必要に見えてくる。
『箱庭』では『肖像』のラストの件があったから田口先生に自ら口を挟めなくなったのは自業自得と表現せざる得ない(笑)。

  • No.442 by 風人  2017-04-07 06:16:44 

『アリアドネの弾丸』で宇佐見警視が使ったトリック自体は意外に単純かつわかりやすい。
だけどそこにいくつもワナが仕掛けられてもいる。
不自然なところはよくよく読めばいくらでもあるけど逆に考えたらそこに嵌めようとする策略も見える。
『弾丸』は桧山シオンによる活躍がひそかに大きいこと。彼女の画像解析技術がなければ解決には至らない。
白鳥さんは直接的に面識がない友野さんを事件の概要や顛末から間接的に理解する洞察力もしくは想像力というべきか。
一見、関わりのない友野さん殺害事件と高階病院長の冤罪事件。
ふたつの事件をうまい具合に重ねている。
城崎さん率いる4Sエージェンシーの活躍もないと東城医大は救われない。
『弾丸』においては間接的ながらサンタモニカにいる加納警視正のバックアップがなかった東城医大は世間に批判され醜聞の嵐。
結果的には医療と司法の対立が『祝祭』より明確化されるのもひとつ。

  • No.443 by 風人  2017-04-08 07:46:12 

『アクアマリンの神殿』を購入するはずが別な本を購入してしまう。
ちらっと図書館で『神殿』見たけど『輝天炎上』のようにラノベぽい雰囲気だった。
天馬くんやアツシ少年(正しくは少年という年齢ではないが)が主人公になると田口先生や白鳥さんよりは作品が若返る雰囲気がある。

  • No.444 by 風人  2017-04-09 11:32:38 

『アリアドネの弾丸』で海堂先生は自らが書く登場人物の白鳥さんに“出来の悪いミステリー小説”と揶揄させる表現はまたおもしろい。
『弾丸』はよく読むとけっこう宇佐見警視たちが放った事件は矛盾だらけ。
これは事件に使われたコロンブスエッグという機器にいろいろな制約があるからと気づく。
医療機器が安全かつ精密機械であるということ。
CTなどもそうだけど医療機器は金属を引き寄せる磁場を持っていたり些細なことでも機器を壊したりエラーをもたらすこともあるから。
だけど『弾丸』においての斑鳩室長は圧倒的に存在感を放つ。
目に見えている相手や存在なのにまるで(司法の)闇そのもの。
作品中にもあるけど“自然にある闇より人がつくった闇の方がおそろしい”くだりはまさに斑鳩室長であるといえる。
この人物の将来を著者である海堂先生はどうするのか?
白鳥さんとて全面対決をしたら厚労省を巻き込む巻き込まないに関わらずただでは済まないのは自覚してる。
だからうかつに敵にまわせないまわしたくない存在。
『螺鈿迷宮』で巌雄先生が鳥さんが光りを浴びればそのぶん誰かが彼を敵に回し出る杭は打たれると仰ってたがそれが“誰”なのか?
すでに既出な人物なのかまだ見ぬ未知の人物なのか?
なぞ。

  • No.445 by 風人  2017-04-10 15:54:58 

『極北シリーズ』に地方の医者不足は書かれてましたね。
読むと痛切なくらいに研修医の実状が記されている。
『極北シリーズ』は『ランクA病院の愉悦』に収録されている短編でもわずかに触れられていたしこの辺は上手に海堂先生が巧みにリンクさせてる。
大学を地元からなくすと若者がいなくなる。
『輝天炎上』では浪速府が大学を地元から逃さないようにおこなっていた。地域地方によって特徴特色が出る。

  • No.446 by 風人  2017-04-11 06:21:33 

医療は立場によって異なるというのもある。
不定愁訴外来のような部署も必要な時代でもありドクターヘリが必要とされる地域や地方もいる。
厚労省など政府の思惑も現実に必要有無に関わらず政府や役所の意向も現実にはある。
どの立場になるかでまったく異なる。
大半は当然、一般市民は患者として診られるのが主。
だけどその患者にしても大学病院のような大きな病院かあるいは地方地域の市民病院や町病院、診療所など様々。
『桜宮サーガ』のシリーズを読んで気づくのは厚労省役人を含めて医療に携わる人たちが種々様々であるということ。
現実に白鳥さんみたいな役所を内部から潰そうという人物は現実にはおそらくはいないでしょうけど役所にもいちおうは改革の意思がある人物は少数ながらはいるでしょう。だけど世間の目にはおそらく触れない。
『桜宮サーガ』で白鳥さんが脚光を浴びてるのはフィクションだから。
『極北シリーズ』の市役所みたいに大半は地方と中央の狭間であえぐ者もいる。
お上には逆らえない現実もある。
むずかしいとしか言えない。

  • No.447 by 風人  2017-04-12 12:19:04 

白鳥さんが医者としてではなく官僚として医療改革(?)をする意図がいまだ明確ではない。
映画『ケルベロスの肖像』では小百合によって過去の医療ミスとされる事件が暴かれるけどこれは映画による改変だから原作と直接結びつくかは疑問の余地がある。
だけど東城医大には高階病院長、坂田局長を通じてシンパシーや意思の交流がある。
高階病院長と坂田局長のこの繋がりもあるから。
白鳥圭輔という人物は本人より本人を知る田口先生のように事件を通して関わる人物やもしく加納警視正やプリンス高嶺など同期の人物たちの口を借りた方がある意味理解しやすい。
『ナニワ・モンスター』でも“Aiバカ”と称される、なぜそう表現される云われがあるのか。
ただやはり『桜宮サーガ』全般にほぼ近いのは天城雪彦の影響が彼を知る者は節々に見られる。
良い悪いに関係なく。
逆に田口先生や今中先生などのように知らない人物は又聞きする以外ないという。
この辺にも人物の情報の解離もまたある。
速水先生は少なくても天城雪彦先生の言葉を聞いた人物であろうと思われる節がある。
白鳥さんも原作『ケルベロスの肖像』で“さくらの樹”を言ってることからなにかしら影響はあったのだろうくらいしかわからない。

  • No.448 by 風人  2017-04-13 16:19:30 

『アリアドネの弾丸』で興味深いのは警察庁に非合法犯罪組織があるくだり。
彦根先生がいかなる経緯で知ったかは不明だけど白鳥さんでさえ黙りすることからおそらく存在する組織なんでしょう。
『弾丸』ではそれ以上触れられてなかったけど他作品で触れられてるでしょう。
まさに自然の闇よりも人間がつくりだした闇のひとつともいえる。

  • No.449 by 風人  2017-04-14 04:49:48 

『桜宮サーガ』シリーズを読みなれると“Ai”の言葉が人工知能ではなくオートプシー・イメージングと勘違いする。
たぶんに現実に報道されるとしたらCTか画像解析など別な表現に変換されてるでしょう。

  • No.450 by 風人  2017-04-15 05:11:25 

『ランクA病院の愉悦』収録の「健康増進モデル事業」。
ほぼコメディとしてつくられてるけどなにげにこの作品のヒロインが可愛らしい。
一回関係を主人公を持っただけでその後は停滞気味なのに主人公を同僚(?)として気遣いながらなんだかんだ最後は主人公とケッコンそして主人公と田舎暮らし。
さりげなく女性のしたたかさもあるかもしれないけど『田口白鳥シリーズ』の田口先生、『極北シリーズ』の今中先生など結婚していない人物がいるなか「健康増進モデル事業」の主人公は結婚できてる。短編なのもあるからでしょうけど。
「健康増進モデル事業」ではなく「結婚推進モデル事業」なのではとうかがってしまう(笑)。

  • No.451 by 風人  2017-04-16 08:25:46 

『ランクA病院の愉悦』収録の「剥葉樹の下で」の物語も医療ですが国家間の交流も大切ということ。
国家の意地のために王の肉親だけでなく国民が犠牲になる理不尽さ。
渡海先生は人格にやや問題はある人物かもしれませんが筋は通している。
だけど彼は“先生”ではないし“医者”ではあるが本人自体が医者という型にハマッていない生き方をしている人物。
ノルガ共和国という架空の国ではあるがそこに生きている。
東城医大においても高階病院長や田口先生にも印象を大きく残している。
『モルフェウスの領域』のヒロイン涼子の幼少期には先生として彼女の人生に影響もおそらくしている。

  • No.452 by 風人  2017-04-17 09:32:06 

海堂先生の作品を読んでて思うのは主人公側に立った人物たちを絶対的な正義にはしてないのも魅力。
『螺鈿迷宮』や『アリアドネの弾丸』では白鳥さんは結局は相手側に負けにされている一面がある。
『迷宮』では桜宮巌雄先生からいずれはお前を討つ者が出てくるかもしれないと揶揄し『弾丸』では宇佐美警視の背後にいた斑鳩室長に釘を刺される。
『弾丸』において田口先生が斑鳩室長と白鳥さんの関係についてはなにもできないが故に自分の気持ちを吐露する呟きしかもたされない立場にいてなおかつ客観的に書かれている。
司法と医療の対立は『ナニワ・モンスター』に引き継がれ舞台は浪速府へ。
地域地方の独立を謳うのは日本ではまだまだ夢のまた夢でもあると思う面もある。
『ナニワ・モンスター』を読むとリアルな架空シミュレーション。
インフルエンザウィルス「キャメル」ひとつで地方が中央から分断される恐怖。
患者の隔離とはわけがちがうとも言いたいがある意味においては患者の隔離と地方の孤立分断は似てるところもあることに気づかされる。
『ナニワ・モンスター』で徳衛医師は患者は病気にかかっただけにも関わらず住み慣れた地を離れなくてはいけなく隣近所から追い出された形に終わることに複雑な気持ちを抱く。
このことをマクロにして別角度から見たら地域地方の孤立分断にもなるとも言える。
『ナニワ・モンスター』はミクロとマクロなことが場面場面はちがうけどかなり事細かに書かれてることに気づく。
そしてそれは市民ひとりひとりに無関係ではないことのあらわれ。

  • No.453 by 風人  2017-04-17 14:52:39 

新装版で『ブラックペアン1988』はあったけどまだ買うには早い。
先に『アクアマリンの神殿』を読みたいが行った先にはなかったorz。
海堂作品でラノベに近い雰囲気あるのは『輝天炎上』でしょうか。
万年落第生から一応の脱出を果たしつつある天馬大吉、幼馴染みの新聞記者の別宮葉子、東城医大で同じ班として勉強することになった優等生かつ合気道ができる美少女冷泉深雪。
この三角関係の先も気になるところ。
だけど天馬くんがすみれに惹かれているのもまた事実。
幼馴染みや勉強を共にする美少女、そして以前に邂逅を交わした桜宮姉妹の双子。
天馬くんの立場からしたらセピア色の思い出。
少なくても『肖像』での田口先生にとってもすみれの魂や志、彼女が残したモノは中年である田口先生にしても少なくても軽くないモノなのはたしか。
すみれが『輝天炎上』でAiセンター長が田口先生だったのを知った時は少なからず多少の動揺があったのもまた事実。
この辺が物語としてはまた絶妙。複雑に人間関係が交錯する。
『桜宮サーガ』は人間関係を逐一整理してないといつ誰がどこでどんな結果をもたらしたかというのがあちこちに大なり小なり波及するシリーズ。
無関係の事象がいろいろな人物に後々関わる。

  • No.454 by 風人  2017-04-18 14:35:43 

斑鳩室長はシリーズを通して不気味な印象を与えるが「四兆七千億分の一」では東城大医学部エシックスの沼田先生にDNA情報のマスターキーを渡したとされるけどこれは斑鳩室長の策にも思える。
何らかの形で斑鳩室長が沼田先生にぐうの音を言わして預けた形になったと考えるのが自然と思う。
沼田先生のエシックスは倫理を振るっているだけだからそれ自体はたいしたことはない。
斑鳩室長が何らかの形で納得させたとしか思えない。
DNA情報を警察側が持っていたらいざという時に権力側が暴走する怖れがあるから東城大医学部に託したとすべきでしょう。
逆に言えばいざ何らかの形でDNA情報が間違えていたら、東城大に責任を負わせる?というのは考えすぎでしょうか?
捜査をするのは警察、DNA情報を持つのは医大。
自然に思えるようだけど『桜宮サーガ』シリーズを読みなれるとその世界観にいる警察側を疑うようになってしまう(苦笑い)。

  • No.455 by 風人  2017-04-19 08:54:39 

白鳥さんと加納警視正の関係は互いに憎からず相手はたしかでしょうけどそれぞれ厚労省、警察庁という場や同じ世代ということもかりプリンス高嶺などと結託しながら彼らなりに霞ヶ関の古いやり方を変えていきたいのもおそらく共通の信念としてありそう。
『弾丸』で加納警視正が斑鳩室長に口を挟まなかったら東城医大は桜宮の地から消えていたでしょう。
間接的ながら北海道での三枝医師逮捕の件で少なからず警察庁は恥をかいた側面があったのも関係している。
『弾丸』を読むと司法の勇み足が怖い。冤罪事件が生まれるわけだ。
『弾丸』のラストで司法にはマスコミが甘いという田口先生の姿を借りての作家海堂先生の言葉や現実の重み。
つくづくこわい。

  • No.456 by 風人  2017-04-19 14:43:46 

加納警視正は警察庁の方に忠誠心あるでしょう。
あくまで東城医大については個人的行為や利用価値、利用頻度があるからややひいき目もないとはいえない。
だけど『弾丸』においての三日間の猶予を与えた功績は東城医大にとっては意義ある行為。
『玉村警部補の災難』の短編集でも田口先生を困らせる始末。
だけど見方を素直に考えたら事件の早期解決にもつながる。
医療が持つ患者の個人情報は警察捜査にも必要不可欠な存在。
医療、警察どちらの立場になって考えるかで考え方は変わる。
『桜宮サーガ』のシリーズ自体がいろいろな人物の立場や気持ちになって読める醍醐味。

  • No.457 by 風人  2017-04-22 06:08:03 

『肖像』で勝利をおさめたのは小百合の意思そのもの。
ただしくは司法の勝利ではない。
『弾丸』のように意図した司法側の意思は少ない。
ただ『桜宮サーガ』全体を読むと個人の意思で思想や制度を実現や具現化している人物は少ないように思われる。
現実に近い社会や世界観を書いてるから高階病院長のように病院長というトップにいるからといって大学病院や地域のすべてを担っているわけではない。
高階病院長は医療の手術畑を営んできた人物だから経済観念にはやや疎い。
これは病院関係者で経済に携わっていない人物のほとんどにいえるかもしれない。
司法側においては斑鳩室長は実像が見えにくい。
明らかに彼より組織の上の人物は存在はしてるでしょう。だけど私が読んだ限りは彼より上の人物はほぼ明確にあらわれていない。
Aiという思想が綿毛のように広がっているなかでは思想は無形かついずれ芽を出す思想だから止められない。
『箱庭』で田口先生が講演で語ったのも芽が出たひとつのあらわれ。
現実にAiやドクターヘリなどは海堂先生が『桜宮サーガ』という作品を書き伝えた実存のあらわれ。
なかにはこころよく思わない人間もいるでしょうね。これは現実もフィクションもおなじ。
権力に物事を訴えるむずかしさもある。

  • No.458 by 風人  2017-04-23 15:47:17 

『アリアドネの弾丸』をあらためて読むと斑鳩室長の不気味さ。
白鳥さんがでっち上げたデータを斑鳩室長は事実を知ってたのに自分に飛び火する恐れもあったからあえて黙っていた。
架空のデータということを宇佐見警視が知ってたら死ぬことはなかったかもしれないが警察庁上層部や斑鳩室長が裁判の場に立たないとなる恐れある。
『桜宮サーガ』の世界においていえば警察庁の存在はなりゆきしだい。
何らかの会議をおこなうにしてもひとや相手は選べないむずかしさ。
『箱庭』で白鳥さんは警察庁側の人選を加納警視正にしたいところを斑鳩室長と踏んでたのもある。
まだまだ白鳥さんや加納警視正、高嶺氏など若い世代というのは否めない。これは田口先生たちすずめ四天王などもですが。

  • No.459 by 風人  2017-04-24 10:44:42 

医療が敵にするのは時代ごとによる諸問題すべてでしょう。
明確な答えはいかなる立場でもおそらく存在はしてないと思う。
医者と患者というふたつの対極の立場も医者が一般的に社会的に陥れられるのは医療ミスという行為。
患者の側にしても医者を信じないと治療や手術などの受ける側の関係は成り立たない。
だけど医者からの情報をどこまで信じるか個人的や患者としての気持ち。
これに不具合が生じた場合に『桜宮サーガ』シリーズの不定愁訴外来のような存在が必要となる。
あるいは裁判となった場合に医者と患者側家族遺族などの橋渡しの存在が必要不可欠となる。
田口先生のような立場だと誰のための会議あるいは誰のためのAiかと問う必要は出てくる。
Aiを司法か医療かの主導権争いも物語内では医療に主軸を置くむきで書かれている。
とはいえいちおうは桜宮科学捜査研究所も置かれているからこの点は斑鳩室長たち警察庁が抜け目がない。
科学捜査研究所などもないと犯罪を見逃すおそれがある。
だけど利権なり利益が絡むのが社会。
『輝天炎上』の天馬くんと冷泉深雪のふたりが辿る物語はそれを明確にしている。

  • No.460 by 風人  2017-04-24 17:59:14 

『ナニワ・モンスター』久しぶりに読むと菊間徳衛医師の半生が深い。
冒頭ほんの数頁だけど年配の人物なので書いてあることは少ないけど内容が深い。
旦那や医師として亡き奥さんにできたことの少なさからの反省や悔やみ。
近隣の住人に慕われる町の診療所のありがたさ。
息子の祥一くんを親としてあたたかく見守る父としての瞳、祥一くんの奥さんには亡き奥さんに言えなかったことを伝える優しさ。
物語の本筋に一見、無関係なようでインフルエンザウィルスキャメルが子どもに感染した際には祥一くんの奥さんが役に立つという。
医者や看護師ではない人物だけど影から支えている雰囲気がさりげなく感動するかな。

  • No.461 by 風人  2017-04-24 19:43:37 

『ナニワ・モンスター』の第一部を読むとインフルエンザウィルスへの空港などでの水際防疫というのが如何ほどに役に立ってるか疑問。
たんなる国や厚労省の気休めにも思える。
インフルエンザウィルスなどは潜伏期間があるからその間はおそらくはわかるわけない。
国に戻って日常生活しているなかで潜伏期間から覚醒期間になり気づいた時には患者はあちこちへ移動した後。
基本的に意味を成してないと思う。
また別な言い方をしたら空港などで水際防疫をする以外にパフォーマンス的な方法しかないと言える。
患者となりうる人間あるいは感染の可能性あるだけでは旅行者を隔離はできない現状。
たぶんに人口が少なく行き来が少ない社会ならそれはできるかもしれないけど現実の現代社会ではどだい無理。
『ナニワ・モンスター』の菊間徳衛医者の視点はミクロからマクロを見ている思考。
町医者だから物語内でできることは少ないけど対応は迅速。

  • No.462 by 風人  2017-04-25 07:54:49 

『ナニワ・モンスター』で徳衛先生は警察とマスコミのつながりについて違和感を感じることに気づくのは『弾丸』『肖像』で田口先生がマスコミが報道を抑制なり警察にコントロールされていることと重なる。
権力による報道抑制やコントロールのこわさ。
『ナニワ・モンスター』は一種の仮想シミュレーション的な作品ではあるけど中央と地方の対立をミクロからマクロへと描いている本でもある。
徳衛先生は多少は気むずかしい人物ではあるけど歳を重ねている人物でもある。
『極北ラプソディ』の神威島の診療所もまた歳を重ねた人物と後藤先生が営んでるけど時間の積み重ねがある。
年配者の言うことに耳を傾けることは日常において大切。
だけど市井の人からの発信はむずかしい。
『ナニワ・モンスター』ではネットから伝えるという方法は用いられてない。また診療所という舞台であるから町医者は国の権力には逆らえないむきもある。
どう対処すればいいのかで苦悩する。

  • No.463 by 風人  2017-04-25 10:43:29 

『ナニワ・モンスター』で海外に渡航経験がない人物が特定のインフルエンザウィルスに通常は感染するわけがない。
おそらく政府の手による者の実行で少年はどこかで感染した。
テレビ出演している本田講師がインフルエンザウィルス『キャメル』が弱毒性なのを語らないのは斑鳩室長たち政府の方針。
現実に報道が偏った内容しか伝えない時はないとはいえない。
これは実にこわい。
情報の精査をする目と耳、思考は必要。

  • No.464 by 風人  2017-04-26 04:46:29 

『ナニワ・モンスター』の鎌形のガサ入れはある種の気持ちいい痛快感や爽快感ある。
村雨府知事との対面、交渉を経ての厚労省へとガサ入れする。
しかし府知事のそばにいる彦根先生への警戒。
彦根先生は鎌形をさほど意識してるかはさだかではないが鎌形は意識してるのはストライキの件で警戒感を抱いてた雰囲気。
一介の医者が常識的に考えて府知事と知り合いとは思わない。
高階病院長にしても厚労省のパイプは坂田局長白鳥さん姫宮さんくらいだろうから。
一見、無関係に見える事象が後々人物たちに深く関わるおもしろさ。
インフルエンザウィルス“キャメル”による浪速府の経済封鎖をどう解いていくかを各々の視点。
菊間徳衛先生は一介の町医者だしマスコミとのパイプはほぼないだろうから何も言えないもどかしさと町という存在を通しての町医者の役割。
彦根先生側の立場になるというのは悪い表現をすれば政府にマークされる側になる危うさ。
田口先生はなんだかんだで八神にマークはされたけど彼は白鳥さんがいるから何もできないに等しい。
斑鳩室長にしても田口先生はマークの対象の枠に入れるべきか否かのぎりぎりの範囲ではないだろうか。あくまで田口先生はそれなりに意見を発し誰かに操られ耳を傾けてる。
彦根先生ほど能動的ではないだけに外部からは動きが見えにくいといえる。

  • No.465 by 風人  2017-04-26 09:51:09 

『ナニワ・モンスター』の二部にある霞ヶ関の“ルーレット”。
ある意味ひとの作り出した闇。
八神室長を通して書かれ見ることで霞ヶ関の闇の恐ろしさが伝わる。
斑鳩室長のどの作品に出ても不気味な存在感。決して他の意見を耳に貸さないわけでなく暴君でも独裁者でもない人物ではあるが底無し沼のように深い……。
霞ヶ関の裏側の権力のいくつかは彼が持ってると考えるべき。
だけど権力という力を制御している。宇佐美警視なような暴発はしないくらいの適度なコントロール。
権力を制御する理性というのは奥深いものがあるかもしれない。
ふつうの市井の人々は権力に酔うもの。
高階病院長にしてもあくまで大学病院内や坂田局長などの力を借りるだけ。むしろそれが社会的にはほどほどと思う。
斑鳩室長の底が見えないのがこわい。
桜宮市や東城医大に起きたこともほんの一端でありすべてではない。

  • No.466 by 風人  2017-04-26 12:57:59 

『ナニワ・モンスター』を斑鳩室長や国、政府の立場側に立てば国を守ることは彼らなりの正義にも読める。
ある意味それは正しいとも思える。
『桜宮サーガ』は立場によって正義や倫理観が変わるおもしろさ。
何を主軸に置き主題にするかということ。
村雨府知事と鎌形検事を警戒する斑鳩室長。ふたりの背後に彦根先生がいることを感じているようにも思える。
文面だけではなかなかそのニュアンスはわからない。
再読やちがう物語を読む度に印象がちがうというのも特徴。
斑鳩室長は個人的には悪役な印象は拭えないですが彼の立場に司法を正義とするおもむきも理解しないではない。

  • No.467 by 風人  2017-04-26 14:52:24 

『ナニワ・モンスター』でわかるのはフィクションの物語を通して日本地図がよく見え理解できること。
浪速府のさほど大きくない町からインフルエンザウィルスキャメルに端を発し霞ヶ関官僚の闇、現実の社会においての無血革命と独立にむけての布石、斑鳩室長らは国を守る立場にいること。
だけど彦根先生による地域地方の経済レクチャー。虚実を使いわけながら実行に移す行動力。
首長の先端と末端の繋がり、発想を一歩も二歩ゆく飛躍した発想。
飛躍した発想にやや現実感はないかもしれないが良心的に考えれば時代の先を歩むこと。現実的にはどうしても否定的なニュアンスが混じるのあるからその辺の境はむずかしい。
だけど『ナニワ・モンスター』は改めて読んだら日本地図がちがって見える。

  • No.468 by 風人  2017-04-27 05:41:09 

彦根先生のように飛躍した発想した自体は悪くないと思う。
ただ現実にはできるできないの境界線があるのも事実。
日本三分の計にしてもいきなり日本を三つに分けるというの無理からぬこと。
興味深いのは経済的数値に置き換え各地方がどの程度の予算があるかということ。
四国でさえも欧州の国ひとつに匹敵するという事実。
思想と経済的数値が議論の場に値するか否かというのもある。
物語は基本的に相反する者や組織の片側でしか語られないというのもある。
『ナニワ・モンスター』の二部で斑鳩室長と本田先生との会話でも本田先生は斑鳩室長の本意が当初はわからないため思考にすれ違いがある。
日本三分の計にしても白鳥さんは『輝天炎上』で国家転覆を狙う彦根先生と明確に発言している。
この辺もまた思想が絡み合う。
彦根先生の発想自体が飛躍しすぎてる点もまたある。
現実にそれを受け止める土壌や土台の基盤や足固めが必要。
彦根先生のスカラムーシュ(大ボラ吹き)は若さもあるでしょうが固定した組織を持たない浅さもまたある。
田口先生が東城医大に、今中先生が市民病院にのように本人の複雑な気持ちを含めながらこのふたりの人物は組織に身を置いている。それはある意味日常在るべき姿。
彦根先生はその辺が微妙に欠けてる点はあるかもしれない。共感もあるが。

  • No.469 by 風人  2017-05-03 05:21:55 

国家か医療かというのも『桜宮サーガ』のテーマのひとつ。
国家が滅んでも医療は滅びない。
『祝祭』から彦根先生が医療庁提言、これは『ナニワ・モンスター』に引き継がれる。
ただしすでに形づくられた霞ヶ関ではなく浪速府に作ろうという構想。
ふと思ったけど浪速府にこだわる必要もないのでは?と思ってしまった。
医療庁という看板がどこにでもあればひとつの旗揚げや意思にならないのかなと思った。たぶんそれでも国や政府に一度はつぶされると思う。
ただ『極北ラプソディ』を読むと離島だからこそ医療が成り立つ側面がある。治療はできないが早期発見ができる。
離島ではないが瀬戸内海を周航するドクターシップ、テレビ番組で知ったけどあのような一面もある。
国や政府から予算おりないとならないところもあるが自治体負担でできなくないところもある。
医療が誰のためにあるかということ。
考えれば考えるほどどん底に落ちそうになるくらいこわい。
読んだことから考える習慣は必要。

  • No.470 by 風人  2017-05-05 15:07:45 

『桜宮サーガ』で四国遍路が舞台になる時が来るでしょうか。
『玉村警部補の災難』に収録されている短編がたぶん布石のように思われなくもない。

  • No.471 by 風人  2017-05-07 15:20:46 

『アクアマリンの神殿』は読めないままもう五月。
他の本ばかり読んでるせいもある。
『ナニワ・モンスター』はざっと再読したけど村雨府知事、彦根先生を中心に多くの人物が絡む。
日本三分の計は魅力あるし飛躍もした発想ではあるが現実という存在を考えた場合においては無理からぬことかなと思うところもある。
国家が滅びても医療は滅ばないあるいは滅ばせていけないというのが海堂先生のひとつの思想と思う。
田舎もだけど離島は医療が困難。
早期発見し治療するというのが最優先。
『輝天炎上』での患者が亡くなるという描写は死を考えさせられる。
延命処置を望まない患者の生きざま。延命が必ずしもしあわせでないう考え方。
相反する何かは医療に存在するかもしれないが『桜宮サーガ』全般を読んでも明確な答えは得られない。

  • No.472 by 風人  2017-05-10 12:57:20 

コールドスリープ(冷凍睡眠)をしてる者とそれを見守る者の気持ち。
どちらが切ないだろうか。
別作品ではあるが佐藤茂氏と福井晴敏氏それぞれの『∀ガンダム』では切なかったり痛切な痛みを味わったり小太刀右京氏の『ガンダムAGE』後半でもゼハートを中心にコールドスリープを行った者たちの生きざま。
『モルフェウスの領域』は恋愛ものとして読めたが『アクアマリンの神殿』の結末は如何なるものか……。

  • No.473 by 風人  2017-05-10 14:38:30 

『モルフェウスの領域』で睡眠学習の結果あたまが良くなってるはずなのに平凡に生きたいと願う『アクアマリンの神殿』で高校生となったアツシ少年いやアツシくん。
平凡というのがまたむずかしいと思うんだが。
『田口白鳥シリーズ』の田口先生だって組織の片隅でひっそり生きるはずがなんの因果か高階先生に白羽の矢を当てられ論文ひとつ書いてないのに次期病院長指名。
『領域』ではアツシ少年や如月翔子の協力を経て論文をいくつか書く羽目になったが。
“平凡”という生き方はかんたんなようで意外にむずかしいと思われる。
『極北シリーズ』の今中先生も『ラプソディ』で週一とはいえ大学に戻れるきっかけを世良先生がつくってくれたのに断る始末。
今中先生の場合は市民病院の現場に理解を示す一面があるから現場を大切に思う気持ちはわからなくもない。
だけど論文や研究が滞るのは私なら考えると思う。
しかしさらにそこに“平凡”というひとつの尺なりメーターを置いたらまた考えは異なる可能性はいくらでもある。
『桜宮サーガ』のこのふたりの人物を基準にしても平凡という枠を越えてる一線はあると思う。
極端に表現すればこのふたりの人物と玉村警部補を除けばほぼ平凡と表現できる人物はいないかもしれない(苦笑)。

  • No.474 by 風人  2017-05-10 17:07:57 

『モルフェウスの領域』のヒロインのひとり村田桂菜、『アクアマリンの神殿』で哀しく切ない最期を迎えたのは残念。
胸が痛い場面。
いかにふつうに平凡に生きる生きられることがぜいたくなのかわかる一冊。
ひとを死に招くのは癌だけではなくもっと多くの病がある。
医者や看護師は常にそれと向き合わないとならない患者と親しい者も向き合わないとならない。
『桜宮サーガ』シリーズのひとが亡くなる場面は何か大切なものが欠け失われる瞬間に似る。

  • No.475 by 風人  2017-05-10 18:01:11 

『アクアマリンの神殿』を読むまでに五ヶ月近くかかったけどこれはすぐに読むなという天からの啓示のように思う。
天がヒロイン村田桂菜との別れを先送りにしてくれた。
『モルフェウスの領域』のままの彼女が胸にいる感じ。
『モルフェウス』と『アクアマリン』との間にミッシングリンクの物語があるかどうかは著者である海堂尊先生の意思によるものだから先がわかるわけなし。

  • No.476 by 風人  2017-05-11 04:51:46 

オレンジ病棟のヒロインは『沈黙』といい『神殿』といい何かしらみな主人公に思いを託し亡くなる。
瑞人少年、アツシくんにそれぞれ思いを託してゆく。
『神殿』でアツシくんもなんだかんだで迷い葛藤し答えを見出だそうとするが答えは断片的ながらすべてに近い形でそれはぼやけながら見えてはいるが背けてもいた。
答えはそこにあるけど手を伸ばしにくいもの。
それにしても田口先生と高階先生いつ登場するのかと思っていたら見事に後半出てきた。
田口先生は教授に、高階先生は学長に出世を受け入れる度量を身につけた雰囲気。
アツシくんも何かしらふたりのやり取りに見覚えがあるのはなぜ?
『沈黙』の時代に大人の会話を何かしら聞いてたのか。なぞ?

  • No.477 by 風人  2017-05-11 09:03:15 

『アクアマリンの神殿』で実際はふたつ年上なのに学年をやり直して生きている佐々木アツシ。
また本当は冷凍睡眠中の睡眠学習により頭がよく成績も本来いいはずなのに平凡に生きたいと願う。
癌治療のためだったとはいえふつうの人生を歩むには悩みや葛藤が多すぎる。
西野さんや如月翔子さんそして桜宮学園で知り合い友達になった者たちの協力あって人生の道を決めることができる。
桂菜については悲しい顛末だったのは否めないけど物語自体は『モルフェウスの領域』同様に未来へ展望を照らす形となっている。
物語の大半は学生小説、ただし『輝天炎上』が医学生である天馬大吉と冷泉深雪が軸に対してあくまで佐々木アツシくんが桜宮学園という場やクラスメートたちに囲まれて青春を一方で俯瞰しながら体験しあらためて冷凍睡眠中に得られなかった物事を再認識し西野さんがいちおうは親代わりとして彼を監督し指導し叱咤している。
何かを得たら何かを失うのがやや物語の展開上つらいところ。
オレンジ病棟に悲劇のヒロインが召されるのはこれもまた桜宮の結界のひとつなんでしょう。

  • No.478 by 風人  2017-05-11 14:53:18 

テトラカンタス症候群。
いわゆる早老症。
身体の歳だけが早まる奇病とされる。
たまに『世界まる見え!』などの番組でも取り上げられてたと思うけど『アクアマリンの神殿』で村田桂菜の病名が明らかになった時に声が出なかった。
さらに『神殿』に登場する北原野麦と同級生だったという過去にも驚愕。
野麦は桂菜の病名を知らされていないことがしあわせなのか不幸なのか。
知らないことがしあわせということもあるからなんとも言えない。
それでもアツシくんにとっては大切な存在だったと思う。

  • No.479 by 風人  2017-05-11 18:16:13 

『領域』で桂菜の病気については触れられてはいるものの具体的な症状には記されてなかった。
よくわからないわけだ。
だけど『領域』『神殿』を経てアツシと桂菜が仲がよかったのは救われる。

  • No.480 by 風人  2017-05-12 04:35:52 

『アクアマリンの神殿』ではすでに藤原看護師は退職され彼女が持つナースネットは如月翔子が受け継いだんでしょうか。
だけど高階先生は学長として健在。
『神殿』で東城医大の顛末はアツシくんと如月翔子によって語られているので大筋はわかるが細かなところは『領域』同様にぼかされている。
Aiセンターは『肖像』『輝天炎上』で破壊されたがセンター長という地位からは逃れられずに結果的に白鳥さんによる未来科学センターを設けることとなる。
『肖像』→『領域』→『神殿』の田口先生側の物語はなぞ。
顛末だけが先に語られているのみ。

  • No.481 by 風人  2017-05-12 05:31:33 

『アクアマリンの神殿』の桂菜の顛末は悲しいこと。
おそらく如月翔子たち現場の看護師あるいは高階先生、そして白鳥さんたち厚労省も尽力はしたが薬の認可が下りなかったんでしょう。
『領域』においても佐々木アツシのために尽力する姿が書かれていて彼は救われた。
だけど桂菜はそれがかなわなかった。
医療の現場で命が失われる描写は表現しづらいものがある。
『輝天炎上』での田口先生と天馬くんの受け取り方のちがいに明確にあらわれている。
『凱旋』の救急現場などでも痛切なくらいにあらわれてたし。
だけど桂菜ちゃんを救うために尽力をした人たちの物語を書いてほしいもの。

  • No.482 by 風人  2017-05-12 09:57:49 

天馬大吉も牧村瑞人も佐々木アツシも海堂先生が書く十代の主人公は何かしらひねくれている。
天馬くんの場合は『螺鈿迷宮』の経験を経て一応は真面目な素振りを見せておりなおかつ三角関係に悩むという意味では健全。
牧村瑞人も『沈黙』『弾丸』『夢見る黄金地球儀』を読む限りは健やかに生きているという雰囲気。
佐々木アツシが皮肉にもひねくれた考え方を持ったのはちょっと意外な感もあったけど冷凍睡眠を経て両親にも見捨てられ頭は良くなったがこころや精神が伴わないとひねくれるのもある種当然なところもある。
だけど『神殿』を読む限りには素の自分を出せる西野さん如月翔子さんそして桂菜の存在。
麻生夏美の存在が彼を照らしてくれる。
『ひかりの剣』の若き日の速水先生たちをみつめるヒロインが如くのように。
海堂先生の書く十代はひねくれてはいるけど根っこから芯は一応通っている。だけど十代という年齢から若さ輝きもあるけどその裏に脆さや繊細さを持っている。
清川司郎は『ひかりの剣』から『輝天炎上』まで一気にふけているけどなんでしょうね。彼なりの若さと挫折はあるのはうかがえた。
東城医大で苦い経験をしたかあるいはまた別に……。
佐々木アツシもその点は似ている。
冷凍睡眠し治療をしたけどこころと身体が伴わない青春。
頭いいをどう本当に世の中に使うか考えたら実際むずかしいと思う。
科学や科学者などがたまにテレビでピックアップされるけど科学者の良心が垣間見えなくもない。
佐々木アツシはそんな意味では彼らと同列かもしれない。

  • No.483 by 風人  2017-05-12 10:39:33 

『神殿』で桂菜がアツシに別れを告げる場面は涙出る。
十代の少年に女心を理解しなさいというのはむりあるけど彼女の言葉や思いが切ない。

  • No.484 by 風人  2017-05-12 15:33:37 

“あたまがいい”ということは何かしら平凡な生き方はのぞめないのか。
『アクアマリンの神殿』はあくまで無数にある内のひとつの答え。
佐々木アツシが冷凍睡眠する以前、冷凍睡眠中、そして冷凍睡眠から覚醒後の人生。
『領域』では記憶を無くして新たな人間として生まれ変わる選択肢もあったが彼はそれを選ばず『神殿』へと繋がる。
だけど彼があたまいいのでは?と気づく者もいる。
世の中はおいそれと誤魔化すことができないということ。
夏美や野麦は魅力的な十代として書かれている。
夏美は美少女、野麦は平々凡々だけど。野麦という子なりに女の子なりの打算や計算もある。
『沈黙』で書かれた子どもなりの打算が学生にもあるということのあらわれのひとつ。
女の子を振ると何かしら痛い目に遭う。
『輝天炎上』でも天馬くんは冷泉深雪を振ったわけではないが微妙な関係になったがために痛い目に遭う。
『桜宮サーガ』の男性主人公は田口先生、今中先生、速水先生、彦根先生、天馬大吉、佐々木アツシなどみな程度や衝撃のちがいはあれど痛い目に遭ってる感がある。

  • No.485 by 風人  2017-05-13 04:54:47 

『神殿』の頃には田口先生は高階先生への抵抗と諦めを含めながら出世を受け入れた感じと風格は兼ね備えている雰囲気。
おそらくそこに至るまで悩みや葛藤など無数にあると思う。
おそらく佐々木アツシが十代にも関わらず冷凍睡眠、睡眠学習や癌治療を経ながら悩んだように。
もちろん人生の色や密度はひとそれぞれだからいちがいには言えない。
だけど『神殿』を読む限りは佐々木アツシは普通の人生は歩めない道に冷凍睡眠を決断した時点で戻れないところもある。
選択肢としては普通の人生もあるという。
だけど西野昌孝はあえて彼に選択肢をいくつか提示しながら涼子さんを救うために如何なる考えを導き答えを出すか求めてきたと思う。
『神殿』では西野昌孝側の描写が『領域』よりは少ないからわかりづらいところもある。
『領域』では日比野涼子、西野昌孝の関係が明確になり恋愛関係に近いところもある。
だけど『神殿』では涼子は眠りについたまま。出てくるのはアツシの思いや冷凍睡眠前の僅かな映像だけ。

  • No.486 by 風人  2017-05-14 07:17:13 

『アクアマリンの神殿』でゲタと呼ばれる先生が生徒に思い上がってほしくないというのは海堂尊先生なりのメッセージと思う。
本来は学生に解けない問題が解けた佐々木アツシ。睡眠学習による効果と世間に慣れてないことが裏目に出たことのひとつ。
多少は尖るのは構わないけど思い上がると結局は普通に見えることさえ見えなくなってしまうあやうさ。
『桜宮サーガ』シリーズを読みなれるといい悪いどちらも含め世の中を疑うようになる。
すべてではないけど報道が必ずしも事実とは限らない。
十代である天馬大吉や佐々木アツシはまだまだ純粋。
田口先生たちはなんだかんだで大人社会に揉まれ溶け込み社会のひずみを受け入れながらも矛盾と戦っている。
白鳥さんみたいにある程度ひねくれ割り切れたまた別な意味ではいいでしょうけどそんな生き方はなかなかできない。
彦根先生も『箱庭』ではおそらく本来の大きさの自分を認識したのがうかがえる。

  • No.487 by 風人  2017-05-14 13:14:42 

『アクアマリンの神殿』で委員長を二年努めた日比野という生徒が自ら辞退し代わりに夏美が挙手し立候補。
こういう展開は『桜宮サーガ』にあんがい多い。
『凱旋』の速水先生、『祝祭』の彦根先生などある程度を演出を人物が受け持つ。
日比野という生徒の心情や考えはわかりにくいが二年努めて三年目もとなったら考えることができる人間なら何かしら考えるのが当然。
あたりまえをあたりまえにしてたらそれは堕落を呼ぶことになり自堕落にも繋がる。
立候補もだが辞退による一石を投じるのは悪いことではない。
学校やクラスなどはちいさな社会。
そこで目立つもよし頭いい人イケメンや美人な子など目立つ生徒もいればまたその逆もいる。
田口先生は『ひかりの剣』やバブル三部作時代においては本当目立ってない。端役もいいところ。
あくまで親友である速水先生や島津先生が気にかける程度。
『輝天炎上』における天馬くんも冷泉深雪の目に止まらなければ“真面目(も備えた)なふりしてる落第生”のまま一生徒であったと思われる。
だけど佐々木アツシはそれよりさらに下の多感な学生として書かれている。
頭は睡眠学習により良くなってる一面や西野昌孝により鍛えられているものの読む内に彼本来の本質は変わってないようにも感じる。
ハイパーマン・バッカス好きの子どもらしさや面影は少し残しそれが優秀さとはちがう形で表現されている。
女心に鈍感なのは十代なのは理解するが桂菜についてはもう少し顔を向けて欲しかったところ。

  • No.488 by 風人  2017-05-14 16:44:42 

『神殿』の日々原奈々は少し気の毒な人物。
だけど麻生夏美の方が口が立つ。
だけど『桜宮サーガ』は人物が多い。すべての人物は把握できてないorz。舞台となる桜宮市だけでなく日本全国南北に連なり海外アメリカやドイツにまで人物たちが行き交う。
『箱庭』では『バチスタ』の桐生先生と再会できたのは喜ばしかった。『ブレイズメス』でも再会できましたが(苦笑)。

  • No.489 by 風人  2017-05-15 05:15:46 

天馬くんの場合は必然的に留年生ということでいやでも目立つことになるがアツシくんの場合は極力目立たないように努力はするが実らない。
天馬くんもアツシくんもどちらも美少女に慕われる。
天馬くんは『螺鈿迷宮』の経験から逃げることはしなくなったがアツシくんはまだまだ精神が多感な思春期といびつな睡眠学習、失われた家庭などにより屈折感は否めない。
それでも佐々木アツシがまっすぐでけがれがないのは西野さんの距離感を持った付き合い、如月翔子の親身ある接し方なにより自らのために冷凍睡眠した涼子さんの思いを真摯に受け止めてるから芯までは腐らない。
同時に桜宮学園でのふつうの学生生活というのもある。
アツシくんがやや教師をバカにするところはいただけないけど教師は教師なりに生徒を心配するもの。
『神殿』は『輝天炎上』よりラノベに近い雰囲気で書かれている。
年齢層を下げてる。
だけど桂菜についてはもし十代の頃に読んでたらショックあると思う。

  • No.490 by 風人  2017-05-15 08:02:59 

『桜宮サーガ』シリーズに登場するヒロインは恋愛に強いのか免疫あるのか。
バブル時代から現代までずっと世良先生を想っていた花房さんも何年耐えてたんだか思うが。
『神殿』の北原野麦、この子もまた強いもの。
絵に書いたような地味なヒロインのひとりではあるが果敢にもアツシくんの前で泣かない一面を見せる。実際の真意は不明としても。
田口先生は結果的に『肖像』の裏側『輝天炎上』でのすみれと城崎さんの活躍によって救われているが真相は知らずじまい。
『極北ラプソディ』の五條看護師もまた恵まれない恋愛関係(?)ではあるけど結果的にはいちおうフライトラブを物語をわずかな中に得ている。
その後は不明だが。
田口先生は『神殿』の時代においても独身なんだろうか?触れられてはなかったけど。
高階先生は部下の恋愛や結婚については気にかけないわけ……ではなかった。
『肖像』の文庫ボーナストラックでは速水先生と如月翔子を引き合わせているから無関心ではなかったと思われる。

  • No.491 by 風人  2017-05-15 09:01:26 

高階先生がいくら病院長もしくは学長であっても東城医大の医師や看護師までの人間関係はすべて把握してないでしょう。
ある程度はそれぞれの教授や教室、各科などの上司に任ずる者たちに任せているでしょうね。
『箱庭』において田口先生に調査を任しながら結局は白鳥さんに言いくるめられなりゆきに任せる以外にない。
事象の予測はできても未来はわからない。ならある程度はなりゆきに任せて事態がゆっくり動くの見守るしかない。
病院長や学長などの立場で上に上り詰めても“孤独”はあるんでしょう。
なにより部下に任せた仕事は極力手を出さないように上から見守るしかない。
『栄光』から『箱庭』に至るまでの経緯を高階先生視点で読んだらまた異なるでしょう。
組織のトップは必ずしも光りだけではなく影もある。
『ブラックペアン』『ブレイズメス』の佐伯病院長もそんな気持ちがあったかも知れない。

  • No.492 by 風人  2017-05-15 17:09:00 

『桜宮サーガ』シリーズの人物をよく読むと取り柄のない人物は書かれてない。
何かしら鈍感ではあるが別な何かには敏感や優秀だったり。
白鳥さんにしても悪評はあるが時に自らの評価を覆す。
こういう逆転劇は大小に関わらず物語内のあちこちで起きている。
だけど人物本人が自覚してるか否かはまた別。
出世に興味ない田口先生が『栄光』から『神殿』まであれよあれよと出世していくのも妙な話(笑)。
天馬くんにしても『輝天炎上』では大人である田口先生に敵わずAiセンター会議に出席することになる。
『神殿』の佐々木アツシにしても自らのあずかり知らぬところの人間関係で運命が動き左右されていく。
西野昌孝の本心は如何なるものか。もしかしたら孤独や未来に不安をおぼえている人物かもしれない。
『桜宮サーガ』シリーズの人物は表裏や虚実を使い分ける人物もまたいる。

  • No.493 by 風人  2017-05-16 06:00:59 

冷凍睡眠による睡眠学習の効果はおそらくあるんでしょう。
だけど『モルフェウスの領域』で時を巻き戻す佐々木アツシ少年の気持ちを考えたら脳と心、精神がアンバランス。そのアンバランスさは『神殿』でも尾を引いている。
頭いい人が必ずしもしあわせが否かというのもある。
『神殿』はひとつの問いかけ。『桜宮サーガ』シリーズは物語内にいろいろな複数の問いかけがあると思う。
こたえが必ずしもひとつではない。
『弾丸』のオチみたいに本来はAiセンター長は田口先生ではなく白鳥さんなのではみたいに(笑)。

  • No.494 by 風人  2017-05-16 09:49:34 

世の中の事象をすべてに近いほどに理解するのはほぼ不可能。
物事はあとになってから知ることの方が多い。失敗や間違いを教訓にしてから。
『桜宮サーガ』はひとつの架空の世界観。だけど現実と医療を通して密接に繋がっている。
Ai(オートプシー・イメージング)やドクターヘリなどは海堂尊先生や医師たちの貢献によるところもある。
数年前に耳鳴りなった時は子どもの時以来、CTを受けたからあらためて驚きあった。
なにごともなかったのはさいわいしたが。
海堂尊先生の作品を通じての現実へのメッセージは現実とこれからの未来に必要なことと思われる。

  • No.495 by 風人  2017-05-16 15:01:55 

『アクアマリンの神殿』が何かに似てると思ったら漫画の『タッチ』で主人公達也がボクシング部に在籍してた時期に似る。
『ひかりの剣』では海堂尊先生は自身で経験ある剣道だったのに『神殿』ではなぜボクシング部に視点をあてたのか。
ちがうものを書いてみたい作家心でしょうか。
だけど冷凍睡眠をしてる被験者を覚醒させるのを十代の少年におこなわせるのは一般的な常識からいえば酷なこと。
しかし睡眠学習でふつうの人よりは佐々木アツシくんは知識を得ている。
ただ知識はあっても知恵の使い方を西野昌孝や曽根崎伸一郎、如月翔子そしてドロン同盟の夏美たち仲間と付き合うことで考えていく。
知識だけあってあたまでっかちになることを危険視している。
知識ある者は知恵を使って世のため人のために成すことを成さないとならないといけない。
『神殿』を読むと科学者の貢献と良心が垣間見えてしまう。そういう啓示か訓話なのか。
あえて西野昌孝が適度に悪役かつ悪い大人を演じてるようにしか感じない。裏を返せば彼は善人ということになるが真意はわからないままの方がおもしろく読める。

  • No.496 by 風人  2017-05-16 16:05:59 

読書をすることで書かれている物語に憧れることを『神殿』では“人生を食われる”と表現している。
わからなくもない。
佐々木アツシのような思春期の年頃なら多感で繊細で若くもあれば脆いため憧れに精神をあずけやすい年頃。
モラトリアムから抜け出し脱皮する必要はある。
けどこれから脱皮するには傷つかない限りは一皮も剥けなくなる。
『神殿』では桜宮高校で学校、部活、クラス、ドロン同盟という同じ場でありながら四つの異なる空間(時間)を演出している。
これは『螺鈿迷宮』や『輝天炎上』の天馬大吉や冷泉深雪あるいは『ひかりの剣』の速水先生たちではできなかったことでしょう。
中学高校というふつうの学校という場、学校というちいさい社会の中で自分のポジションを探りながら生きていく。
クラスはさらにちいさい社会、さらにまたポジションを自覚していく。
部活に関してはこれはするしないのちがいは私は多くは言える立場にないのでコメントなし。
ドロン同盟みたいなのはクラスにおけるグループ。グループのなかで互いに仲良きことは美しきことでもあるがそのちいさいグループの中にも適度に打算や策謀などあるが互いにつきあいでおのおの空気を読んでいく。
『神殿』で新鮮なのは海堂尊先生が学園小説を書くとこうなるのかと受け止めができる。

  • No.497 by 風人  2017-05-16 18:29:24 

通常の医療なら患者が日常生活を送れるように治療しなくてはならない。
だけどコールド・スリープ(冷凍睡眠)なら被験者が日常生活を差し支えなく送れるようにしなくてはならない。
この問題の提示は『桜宮サーガ』のすべての起点、『チーム・バチスタの栄光』で不定愁訴外来で田口先生によりおこなわれていること。
医療の問題は多々あるけどおおもとの問題は医者と患者の信頼関係の崩壊からはじまること。それゆえに医療ミスなど多くの問題も起きる。
ただし『桜宮サーガ』世界では舎人町においては医療ミス裁判は起きていない事象が存在している。
『神殿』における佐々木アツシ問題はアツシくんがいささかいびつな十代になったのは否めないが根っこや彼のおおもととなっている心や精神はけがれなく存在してること。多少は素直ではないが。
佐々木アツシ問題については解決してるというのは『神殿』の物語の大半が示している。
ふつうに(?)青春してますものね(苦笑)。
適度に友人関係をつくりそこそこ恋愛関係は破綻しながら再び関係を構築していく。
ふつうの人間がしてることを佐々木アツシは充分にこなしている。
『神殿』における涼子さんを覚醒させることは西野さんの不定愁訴外来ということとも解釈できる。
アツシくん涼子さんともに解決をさせることをしなくては結局は解決には至らない。

  • No.498 by 風人  2017-05-16 20:02:35 

物語自体に発想の飛躍はあるけどひとつひとつ物語は順を追っていってることが伝わる。
『モルフェウスの領域』『アクアマリンの神殿』共にちゃんと地盤を磐石にしてゆく。
西野昌孝のおこなうことは一見こそは悪意だが殻を破って真実を見抜けば善意のひととなる。
日々野涼子、佐々木アツシ共によき解決を導いている。
あえて“悪いひと”の仮面をつけて生きてるんでしょう。それが彼の人生を一抹か寂しくさせているのかもしれない。
涼子さんとの大人の関係からもある程度はうかがうことできる。
結果的に『領域』『神殿』共に西野昌孝がちょうど物語や人物の真ん中というポジションにいるということ。
これによりふたつの物語や人間関係のバランスも決して崩されないという。物語のつくりとしては絶妙なバランス。
現実としていえば西野昌孝のポジションに位置するのはむずかしいと思う。物語のように自ら去らないといけなくなる。

  • No.499 by 風人  2017-05-17 04:54:02 

コールドスリープ(冷凍睡眠)の被験者を法的に守るためには覚悟が必要ということ。
『桜宮サーガ』は架空ではあるけど現実の未来に対して警告を与えている。
佐々木アツシの“レティノサウルスを倒したい”という思いはあらかじめ海堂先生が決めてたことでしょうか。
だけど時系列における矛盾が存在したために『モルフェウスの領域』が作品として誕生し存在したともされる。
海堂尊先生はあたまいい方ですからあらかじめ冷凍睡眠(コールドスリープ)を題材にしようとしてたのはないでしょうか。

その都度、『桜宮サーガ』シリーズは過去現在未来日本内外へと物語が飛ぶしある物語のちいさな話題が次の物語ではメインとなることがある。
だけど未来において西野昌孝氏は彼はどこへ行ったのか。
彼もまた城崎さん同様に定住の地を求める生き方をしてないように思われる。
『ラプソディ』の世良先生みたいに着地点はたぶんあると思いたい。

  • No.500 by 風人  2017-05-17 06:46:26 

麻生夏美の父親は誰?
麻生姓なのはたしかでしょうけどいままでの『桜宮サーガ』のシリーズに登場はあったでしょうか。
西野昌孝のライバルのひとりではあるらしく娘の夏美にいわせると西野さんにそっくりという人物。
要所要所にヒロイン麻生夏美の口を借りて出てくる彼女の父親。
いつかは明かされるんでしょう、たぶん?

  • No.501 by 風人  2017-05-17 07:00:41 

『アクアマリンの神殿』とまだ私は未読ですが『医学のたまご』はほんの少し先の未来が書かれた物語。
『領域』『神殿』のコールドスリープ(冷凍睡眠)は半分程度はSFの範囲だけど必ずしも架空の出来事ではない。
いつかはおとずれる未来でありいつかは法律や医学として現実に実行されるであろう物事。
その際に冷凍睡眠についての法律や被験者の現在や未来はどうなるのか?という問いかけは必要。
『領域』や『神殿』はその答えを出している。
SF小説の出来事が着実に現実に現在進行中でいつかは誰かが被験者になることもある。
話は横道にそれるが『世にも奇妙な物語』にも冷凍睡眠を題材にした物語はあったと思う。
それもまた現実に辿る未来のひとつかもしれない……。
『領域』や『神殿』を読むとそれもまた未来のひとつの姿。

  • No.502 by 風人  2017-05-17 10:53:49 

『アクアマリンの神殿』はいかにも学園小説というエンディングは好感。
謎めいた『輝天炎上』よりはよりラノベぽい。
学生時代の付き合いは永遠のセピア色。
佐々木アツシ、かつては癌患者であり冷凍睡眠のスリーパーそして冷凍睡眠の監視者。それでいてなおかつ学生という。
『桜宮サーガ』シリーズのなかで多難な人生を送っているひとり。
だけど困難を乗り越える術を西野さん如月翔子などまわりの人物が教え説く。西野さんのやり方は少々厳しいと思うが“平凡な人生”から外れたひとはふつうに生きられない宿命。
だけどあたまでっかちなままだと世界にいられなくなる。
『神殿』の物語内で書かれる学園生活がいかに大切な存在か知らされる。
夏美と野麦という対照的なヒロイン。
なにげに地味な野麦がアツシから見ればしたたかというのもおもしろい。人を見た目で判断してはならない教訓みたいな子。
むしろ野麦の方が化け物なのでは?というニュアンスがわずかにあるとしたらどうだろう。
野麦に近いヒロインといえば氷姫こと姫宮香織が近い感じする……。

  • No.503 by 風人  2017-05-17 21:17:00 

フィクションではあるが『肖像』『輝天炎上』の美智おばあさんは癌にも関わらず適切な治療法はなかったにせよ田口先生の不定愁訴外来で診てもらうことで愚痴を言い続けたことで物語のなかで天命をまっとうしたといえる。
不定愁訴外来の愚痴が長く命を長らえさせたといえる。
今夜の『ホンマでっか!?』のストレス解消法で愚痴を言うあるいは伝えるのは健全で身体にいい行為ということでしょう。

  • No.504 by 風人  2017-05-18 05:35:25 

頭が良くてもそこに現実や人間の感情や気持ちが伴わないと結局はひとりになりいずれは世界から受け入れられずに化け物になるということでしょう。
そんな危険を『沈黙』の牧村瑞人、『神殿』の佐々木アツシは内に持ってたということになる。
だけど両者ともに周囲の大人たちに支えられ守られてたことで道を踏み外すことはなかった。
だけど実際には『沈黙』においては牧村瑞人は自分で罪をひとり背負おうとしてた。
いま思うとこの場面は彼が化け物になろうとする瞬間だったんでしょう。浜田小夜が驚く場面はふつうの人間が持つ感情の瞬間。
だけどそれを白鳥さんと田口先生がふたりで事件を解明したことで彼が化け物になることはなかった。
『神殿』のアツシにしても涼子が眠る地下室でひとり悩み葛藤する姿はひとりの人間の在るべき姿。十代の少年にはあり得ない姿でもあるけど彼にはふつうのひとにはないモノを得ている。
同時にふつうのひとが持っている存在もまたある。
4Sエージェンシーの牧村瑞人、医学生として飛び級する佐々木アツシ。
それぞれ生きる道はちがっても世のため人のためという志、信念は変わらない。

  • No.505 by 風人  2017-05-18 07:12:32 

あたまがいいことも含めて人より先に大人になることが果たして本当にいいことか悪いことか。
田口先生は『輝天炎上』では城崎さんに知らないところでバカにされた表現はされてるけどそれはある意味においてふつうな証しと思う。
田口先生はふつうに他人のことがわかるからふつうでいられるし内面や本質が変わらない人物。
ふつうでいることで突出した“何か”は潜在的にはあるかもしれないがふつうだからこそ多くの患者や人物たちと接することができる。
白鳥さんは厚労省のはみ出し者ではあるけど官僚という枠組みから見れば若手官僚のひとりであることにかわりない。
ただ厚労省や霞ヶ関を内部から破壊するおそれがある危険人物とされる。だからある程度は厚労省という組織にいながらもいつ組織の外に出されても構わずまた戻ってくる可能性や処世術を得ているはず。
白鳥さんに限ってはふつうや常識の枠にとらわれないように作品中ではなっている。
速水先生や彦根先生にしても医療に関わる限りは組織からは離れない。それは他の先生や看護師などもおなじ。
だけど患者であった牧村瑞人、佐々木アツシは数奇な運命を辿ることになる。
またオレンジ病棟で亡くなったヒロインたちも。
あたまがいい人は多少は厳しくても相手にちゃんと適切に言葉を伝える義務はある。受け取った側は考える必要がある。

  • No.506 by 風人  2017-05-18 09:01:20 

『アクアマリンの神殿』は医療小説の一面はあるが大半は学園小説。
いかに学生の時期が大切だったか思い知る。
それでも多感な青春期に感じたことは大人になっても心は覚えている。
現実においても佐々木アツシほどにひねくれないまでもあの時期は世の中を斜めから見てしまう。
だけどそこで道を踏み外せば誰もが“化け物”になってしまうのではないかと思う。
『螺鈿迷宮』で自らの過去を知った天馬大吉。だけ彼には別宮葉子という幼馴染みがいて常に見守っていたおり『輝天炎上』では落第生から脱出しようととりあえずまじめになっている。
『神殿』の佐々木アツシも物語のどこかで間違えてたら東城医大や桜宮市を通して世界を恨むようになったかもしれない。
現代社会ではそういう危険を誰もがひそかに持っていて危ういところに立っているのかもしれない。
あたまがよくても知恵を使わない知識のかたまりにしてはいけないという警告はあるのかもしれない。
知識は知恵というあたまを使ってこそ生かされる。そこに良心が存在しないと暴走し“化け物”になってしまう。
けっこう『神殿』が凄い内容だったと伝わってる感じする。

  • No.507 by 風人  2017-05-18 13:50:27 

『桜宮サーガ』シリーズを読んで思うのはひととの別れはせつない。
『アクアマリンの神殿』で亡くなった桂奈だけどその後、お葬式などで北原野麦は別れを告げることができたんでしょうか。
『神殿』は涼子の覚醒を問うことはしながらも覚醒自体の場面は書かれてない。先に記した桂奈についても亡くなった直後の場面はあるがお葬式などはない。
海堂尊先生のことだからわざと書かなかった旨と思われる。
もしくは『神殿』そのものには要らなかったと判断される。
桂奈と野麦については別の物語で語ることができそうなくらい『神殿』では触れられていない。たぶん別の物語があると思う。
ただ涼子について覚醒してかつてのアツシ同様に不定愁訴外来かそれに近い環境で精神ケアをし再び生きていけるかはこれはなんともいえない。
『桜宮サーガ』はまだあちこち空白ないし余白がある物語だから人物が入る隙間はある作品。
解決してない諸問題についてはおそらく何らかの形で別世界で補填や補完されるはず。

  • No.508 by 風人  2017-05-19 05:15:58 

“個人情報保護法は死者には適用されない”
『アリアドネの弾丸』の白鳥さんの言葉。
『桜宮サーガ』のシリーズを読むといろいろ知らないことをわかりやすく書かれ伝わる。
だけどいまの時代は法律で守られている反面、法律でがんじがらめな点もある。
昭和時代やバブル時代と多くの面が異なる。
どちらがよかったかといえばむかしの方がよかったかもしれない。
現代みたいに情報過多ではないしストレスにしてもネットはない時代ですからネットなどによるストレスはない時代。
今週の『ホンマでっか!?』でも現代はむかしにはないストレスが多すぎると言われてた。
だけどいずれ冷凍睡眠(コールドスリープ)が実用化されれば法律は必要となり被験者の人権保護、精神ケアもまた必要。
『モルフェウスの領域』後半で書かれた佐々木アツシの覚醒後の治療やケアは作品中では比較的ゆるやかかつ一方では東城医大側が研究テーマとすることで被験者たるアツシを守るように先手を打った。
これからの時代は未知なることが多いようにもなにかしらのニュアンスは感じた。
冷凍睡眠(コールドスリープ)、これがひとりの人間あるいは人類にとって光りとなるか影になるか。それが疑問に思う。

  • No.509 by 風人  2017-05-19 13:40:20 

田口先生が次期病院長に選ばれたわけ。
単純に消去法をしていけば現代を描いていた『田口白鳥シリーズ』の東城医大の人物表や人間関係を見ていけば田口先生しか病院長になれる人物がいなかったのが正直なところでは。
黒崎教授、藤原看護師そして高階病院長(後に学長)はいずれ東城医大から去る人物なのは明らか。
エシックスの沼田先生を病院長にすると経営の一途は縮小していきいずれは袋小路に入り結局は東城医大が無くなる可能性がある。
速水先生は経済感覚がなし、島津先生はがんがん魔人のあだ名を持ちある程度は慕われる傾向はあるものの経済感覚や病院経営について如何なるほどか疑問の余地が残る。
『箱庭』においても調査された先生方にしてもいささか閉鎖的環境は否定できない。
『栄光』当時の不定愁訴外来がいささか目立たない存在にしても患者からは好評、もしかしたらある程度は経済的数字を上げ東城医大に利益を与えた可能性もある。
またなにより院内政治に物語当初は無関係であったというポジション。
上昇志向や大学病院への敬愛などはやや薄いものの組織に害悪をなすわけではない。
それらを考えていけば速水先生、島津先生、沼田先生よりは次期病院長として適任だったのではと頷けもしない。
大学病院が存続できある程度は市や街に貢献できる程度がささやかなしあわせとしたら田口先生が不定愁訴外来をやるように大学病院が経営できたらそれは人々や街のしあわせになるということ。
結論をいえばそんな感じ。
高階病院長の真意は不明ですが、他に真意はあるかもしれませんが表面はそんな感じに取れる。

  • No.510 by 風人  2017-05-20 11:17:45 

Ai(画像診断)でも間違いはあるということ。
いくら機械が優秀でも人間の側が精査しなくては患者の生命は救えない。
世の中がだんだんむずかしくなっていく。

  • No.511 by 風人  2017-05-21 05:07:22 

本当に西野昌孝は涼子さんの記憶除去をのぞんだとはいささか思えない。
なんだかんだでアツシと共に彼女の冷凍睡眠を見守り未来科学センターを東城医大にまかせていたわけだし。
どうでもいいなら冷凍睡眠の四年の間に何処かへいくこともできたと思う。だけど彼はそれをしなかった。
西野昌孝もこの人も彦根先生同様に虚実を巧みに使うことで真実の姿をぼかしてしまう。
それに後半ど西野昌孝があらためて記憶除去を問う場面。
これは被験者の人生を大きく左右するもの。
記憶を除去し別人になることは国に都合はいいし新たな戸籍を作れる。
が、冷凍睡眠前の人生を否定することができるかどうか。
アツシは冷凍睡眠をしたことでご両親に見放され孤独になってしまった。
冷凍睡眠前の人生を子どもは無くしたに等しい。治療に病気は治ったものの代償は大きく重たい。なおかつ心に傷を残す。
アツシが若干の歪みや世の中をひねくれた見方をするが彼が極端に世の中を恨まなかったのは西野昌孝の采配、如月翔子や桂奈の存在、田口先生の心のケアあってのこと。
それを真摯に受け止め自分で考え悩んでいたら化け物にならずに物語は終えた。
誰しもが“化け物”になる危険をはらんでいるのが世の中。

  • No.512 by 風人  2017-05-21 15:31:40 

地方や田舎でも高齢者の健康のためAi(画像診断)は導入されている。
『極北ラプソディ』の神威島のような状況が全国どこも過疎化や医師がいない現状があるからでしょう。
若い医者や医師は戸惑いはおぼえるだろうし土地に慣れないといけない苦労はあると思う。
だけどそれら時間や会話が解決してくれる。
感謝の言葉は時に土地の食材や土地の話題だったり田舎ならではの環境もある。
NHKでAi(画像診断)が田舎で役に立つのは治療への道。

  • No.513 by 風人  2017-05-22 15:51:37 

長寿社会がいまの時代にいいかどうかは疑問はある。
少子高齢化の時代。
また『桜宮サーガ』シリーズの物語を読むと患者の延命処置が是か非か。たまにドラマなどでも話題になる。
延命処置をのぞむひともいればのぞまないひともいる。
『輝天炎上』で患者が亡くなる場面においての田口先生と天馬大吉のそれぞれの言葉や感じ方はたぶん誰もが疑問に思ったり考えることと思う。
どちらも正しくどちらも何かしらの間違いに近いニュアンスはあると思う。

  • No.514 by 風人  2017-05-23 07:06:34 

医療に絶対的な思想はないのかもしれない。
あくまで海堂尊先生が作品を通して訴えていることは理想のひとつ。
物語のなかで主人公たちは難題や事件を解決しながら毎日を生きていく。
田口先生にしても高階先生に無理難題を押しつけられながら自らグチる始末。愚痴外来の先生自らぼやく(笑)。
Ai(オートプシー・イメージング)やドクターヘリなどはいくつかは『桜宮サーガ』世界と現実が重なっている。
だけどそれでもまだまだと思う。海堂先生の理想の到達点はおそらく我々には見えない。
断片的なパズルのピースは各作品に散らばっているはずだけど。
医療庁などにしてもひとつの理想であり思想。だからといって絶対的な存在かといえばそうでもないと思う。
大学病院という存在にしても白い巨塔のなかで多くのひとたちが行き交いみなそれぞれの理想の医療や未来を目指す。
『神殿』の時代において藤原看護師は去ったみたいだけど他の人物はどうされたのか。
速水先生は東城医大に復帰されたのか島津先生は相変わらず放射線科医かエシックスの沼田先生は相変わらず権力を振るっているのか。
その辺の内情はわからずじまい。
白鳥さんや彦根先生たち、桜宮市警との関係は?
なぞがのこる。

  • No.515 by 風人  2017-05-24 12:28:57 

『桜宮サーガ』シリーズを読むと癌患者であった人物たちは病のなか戦い悩み葛藤し日々生きてるのが伝わる。
現実も同じかそれ以上と思う。
私の叔父も癌になったと聞いて誰にでも起こりうることなんだと実感する。
いまの時代にはむかしにはないストレスや病が多くあると思う。
現代社会が複雑かつ生きにくい世の中。
『モルフェウス』や『アクアマリン』を読むと冷凍睡眠(コールドスリープ)によって未来に希望もあるが同時に冷凍睡眠後に法律をはじめとして目にみえない現実が無数にある。
病が治療できたとしてもその先がみえない世の中。見えるようにするために患者の心のケアや治療が必要でもある。

  • No.516 by 風人  2017-06-09 15:49:19 

薬に頼らないで風邪を治すのは実に至難。
とはいえ薬も必ずしも身体にいいモノではないというのは『桜宮サーガ』世界では半ば通例。
現代医療では薬は必須。幕末医療モノの『JIN-仁--』でもペニシリンがあるとないとではまたちがう。
『桜宮サーガ』では薬は半ば身体に良くないものとして伝えている点もある。
現代医療は何かと弊害もあるのも現実。

  • No.517 by 風人  2017-06-11 15:32:10 

ふつうに薬だってアレルギーや副作用がないわけでないのも現実。
現代になって医者も患者もアレルギー、副作用を気にしてしまう世の中になった。
『肖像』で田口先生と患者が薬についての話がありましたが物語流れそのものからいえばたぶんに無関係。
だけどおそらく著者である海堂尊先生からしたら無関係にしたくなかったのではないでしょうか。
あと一般人がネットからの知識を現実のお医者さまに向けないようにしてくださいと暗黙の配慮としてメッセージとして込めたと考えた方が気持ちいいと思う。
患者が(ネットからの)よけいな知識で物言いをすれば当然、医者としては不愉快。また医者と患者の信頼関係に齟齬をきたす。
患者が神経質やデリケートになり過ぎるのも現代医療の問題のひとつ。
『桜宮サーガ』のシリーズを読んで思うのはどの立場になって読むかそして現代にお医者さまの世話になる時に信頼関係が成り立つか否か。
けっこう『桜宮サーガ』のシリーズもいろいろなメッセージが込められている。

  • No.518 by 風人  2017-06-15 15:27:55 

『桜宮サーガ』シリーズは内容が豊富。
『モルフェウスの領域』『アクアマリンの神殿』のような冷凍睡眠(コールド・スリープ)がもし現実に実行されたらどうなるんでしょう。
被験者が病気を将来や未来に治療できるにしても時の流れは被験者を浦島太郎にしてしまう。
『領域』後半のアツシ少年はまさにそれ。
両親は親権を放棄し自分が知る人たちも限られる。
また睡眠学習により頭はよくなっていることは『領域』ではよきことのように描写されているが『神殿』では頭がよくなったことが普通の生活を送れない一部弊害になっている。
西野さんが厳しく接したのはアツシくんを社会の化け物や犯罪者にしないためにあえて厳しく言い諭したと思う。
頭よくなったのが睡眠学習の結果としてそれを含めて人生のなかで為さねばならないこと。
冷凍睡眠、睡眠学習は『領域』『神殿』ともにいずれは現実で使われた場合に被験者がいかなる人生を送るかという課題。
社会はその責任を担わなくてはならない。
アツシくんが『神殿』の時代には東城医大には足が遠のいてはいたけど彼にとっての人生の原点や布石でもあった。
頭がよくなっても『ハイパーマン・バッカス』が好きな少年の気持ちが原点でもあった。
この辺の描写は海堂先生の人物にたいしてのやさしさでしょう。

  • No.519 by 風人  2017-06-22 13:15:04 

母の知り合いのお見舞いで市内の病院をたずねたが近年の病院は綺麗。
『桜宮サーガ』内でも東城医大はシリーズが進むごとに設備や施設が整っていく。一部サリーと呼ばれる新棟やAiセンターなどは紆余曲折あり頓挫する。
かたや『極北シリーズ』は市長の意向によりトイレは様式に改修されるが『ラプソディ』時期は人員削減もあり閑散としている。
大学病院と地域病院の違いもある。
だけど母の知り合いは元気にしてたようでなにより。
病院内が明るいし若い職員さんが24時間いるのも心の負担にならないと思う。

  • No.520 by 風人  2017-06-23 13:52:39 

癌と戦うのは並大抵ではないと思う。
抗がん剤を用いたり他に転移しないように手術治療を繰り返したり。
『桜宮サーガ』内でもたびたび人物たちを苦しめる最大の病気のひとつ。
『ナイチンゲールの沈黙』で幼い子どもでも癌になるという物語。
癌となった主人公の牧村瑞人と彼を慕う佐々木アツシ少年。
それぞれ異なる手術や経緯で癌治療をおこない別の物語であらためて出てくるけどまたその後の人生に悩む。
大人でも癌に苦しむが幼い子どもだとまたなおさら苦しむ。
なぜこのような病が存在するのか。

  • No.521 by 風人  2017-06-24 05:42:26 

『ランクA病院の愉悦』収録の「ガンコロリン」はコメディとしても実際に癌を治す治療薬ができてもさらに強い癌が出てくるというオチはある種の警鐘にも思える。
人間がある病気を治す特効薬をつくっても時を経てある病気はまた強くなるイタチごっこ。
癌を治療したいのは人類の夢。だけど癌手術をする医者が将来いなくなってしまいのも弊害。
「ガンコロリン」は癌を取り上げているけどたぶん他の病気にも言えることと思う。
海堂先生はコメディに仕上げてるけどいろいろな警鐘が含まれてると思いたい。

  • No.522 by 風人  2017-06-26 15:44:57 

『ナニワ・モンスター』で官僚の不祥事や接待問題語られてました。
一部は創作フィクションでしょうけど少しリアルで読んでて怖かった。
斑鳩室長がほぼ裏で糸を引いている闇社会。不祥事をわざとマスコミに公表してよそに目を逸らす。ある種の情報操作。
ただし作品中では情報操作とまで明確にしてなかったでしょうか。
『イノセント・ゲリラの祝祭』での白鳥さんが田口先生を労うのは接待ではなくとりあえずの付き合い。

  • No.523 by 風人  2017-06-27 09:33:21 

『螺鈿迷宮』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』に登場した美智おばあさん、最後の最後まで癌と戦った人物。
『肖像』でこの人物の描写が田口先生の視点で語られるが世話する看護師さんたちがむしろつかれをおぼえるほど。
だけど逆に考えたらいかなる治療よりも本人が生きたいと思う意思がなせる業。
薬や手術はほとんど効果がないにしても生きる意思により自らを生かしている。
何かを誰かに伝えるために……。
実際作品内においては『肖像』では田口先生に、『輝天炎上』では天馬くんにそれぞれすみれについて伝えて亡くなる。
死にゆく人たちは生きてる人たちに伝える何かがあるからこそ生きている。

  • No.524 by 風人  2017-06-29 19:48:51 

青森でがん検診で四割見落とされていた報道は少々残念。
『ナニワ・モンスター』の舎人町(とねり)のように現実はうまくいかないことの証明。
青森の一件が人間の慢心かふつうに見落とされたのかそれはわからないけどせっかくある医療システムが生かされてなかったのは残念。
海堂尊先生はどんなお気持ちで報道を耳にされたか。あるいは医療関係者全般の方たち。

  • No.525 by 風人  2017-06-30 06:45:17 

システムや制度が確立されても傲りや慢心あればせっかくのがん検診も見落とされる。
青森の件は慢心や怠慢なのか疑問が残る。

  • No.526 by 風人  2017-06-30 13:22:08 

母の知り合いを見舞いに行った病院もすごかったけど自分がいざ病院にいくとたいへん。
だけど医療が一部(もしくはすべてに近い範囲?)でサービス業に近くなってる雰囲気。
多少の時間がかかるのはやむを得ない点もある。
大きい病院の方がレントゲンやCTもあるからいろいろ診られる点もある。

  • No.527 by 風人  2017-07-02 14:24:38 

幼い頃は病院は無機質なイメージあったけど最近の病院は綺麗。
若干システム的なところはあるかもしれないけど診療にも柔軟な対応している。
『桜宮サーガ』シリーズでも電子カルテの話題はひとつふたつはあったし大学病院や市民病院なども時代に対応していく。
売店やカフェテラス、食堂などは入院患者や医療従事者さんたちのスペースでもあるが綺麗になっている。
金曜日は朝食を抜いてエコーしないとならない。咳止めを飲んで咳はある程度ラクにはなった。
夏風邪に弱い。

  • No.528 by 風人  2017-12-15 08:15:09 

現代においては医療がなかばサービス業になる一面もありながら行き届いた治療が現場がしたくてもできない現実。
『伝説』に書かれている三編の短編はそれを克明に記している。
反面医療技術は進んでる。採血し診ることで患者の状態がわかるんだから。
とはいえいまだに癌などは克服できない病もある現実。
日本の未来が少子高齢化で先細りするように医療の未来もどうなるかわからない。
『桜宮サーガ』シリーズには「国家は滅んでも医療は滅ばない」という言葉がある。
『祝祭』以降ちょくちょく出てくる印象的な表現。

  • No.529 by 風人  2017-12-16 11:09:30 

『スカラムーシュ・ムーン』『スリジエセンター』を読みたいけど文庫化はまだなのかされたのかわからない。
『スカラムーシュ・ムーン』の後日談的に『カレイドスコープの箱庭』でわずかに語られてるだけ。
彦根先生の飄々し若い人物像は嫌いではない。ある意味若者らしさの挑戦と無謀さを合わせ持ちそこに虚実を巧みに操る手腕と行動力。
『田口白鳥シリーズ』の現代を舞台にしたシリーズのなかではある種のひねくれた大人ではあるが内に若さを秘めている人物。ただそのぶん斑鳩室長に目をつけられたのが不運でしょうか。
斑鳩室長の不鮮明さにくらべたら彦根先生のやることは鮮やか。

  • No.530 by 風人  2018-05-06 17:27:01 

スカパーで『アリアドネの弾丸』再放送。
地上波では『ブラックペアン』が放送中。
若干ドラマや映画などの改変はあるけどドラマ版などでも『桜宮サーガ』はそれとなくつながりあるみたいですね。

  • No.531 by 風人  2019-01-04 04:57:21 

『スカラムーシュ・ムーン』では再び政治的シミュレーションを書いてる雰囲気。
村雨府知事が市長になろうとするくだりは当時の橋下徹府知事と同じ。
斑鳩室長の秘密兵器(動物園)=zooが動き出す。

  • No.532 by 風人  2019-01-05 16:46:09 

ようやく『スリジエセンター』文庫版を購入。
まだ読めてないけど。
これで『ブラックペアン』から続く三部作に決着がつく。
どうなるのだろう天城雪彦先生はと気になるしだい。

  • No.533 by 風人  2019-01-09 08:53:10 

『スカラムーシュ・ムーン』を読んでいまは『スリジエセンター1991』を読書中。
『スリジエセンター』には村雨府知事が政治家秘書として登場してることから『スカラムーシュ・ムーン』と世界観がつながってることがわかる。
だけど『スリジエセンター』で天城雪彦はほぼ孤立無援ななか窮地に立たされる。毎回だけど。
読んでて今後どうなるか期待と不安がよぎる物語。

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