真紅なる薔薇(マッドレッドローゼズ) 2014-11-24 20:17:12 |
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人が意識してそうせずとも、不安や恐怖があればそういうものが生まれるものです。
それは人類の持つ性質で、数々の歴史から証明されています。
どの世界の歴史上の文化、文明であろうと、それが無い社会はないのです。
原因はもちろん、誰もが専門家ではなく、あやふやな知識しか持ち合わせてはいないからです。
だからと言って、どんなに教育しようとしても限界があります。そういう制度もありませんし。また、誰もが理解できるような簡単なことでもありません。
日本人の半分は文系で、数字音痴も非常に多いですよね。理科音痴も非常に多い。
しかし、未だにピーピー騒ぐという感想を抱かれるようでは、質問者さんもデマを尾信じにはならなくとも、それなりに無知すぎます。
それだけ事故被害は巨大なのですよ。津波被災よりずっとね。
津波からの復興は5年程度で目処がつきます。10年たてばかなり復興します。
しかし、放射能汚染被害では、どの場所でも展望が見えません。
避難区域ではこの先10年、数十年以上帰還できるかどうかすら不明です。避難せずに済んだ中通りでさえ除染は居住区に留まり、周辺山林原野は高度に汚染されたままで、そこからの汚染の拡散浸透と戦わなければならず、それがいつまで続くかも定かではありません。
これまでは事故後の避難や緊急除染のおかげで、比較的被曝は小さくて済んでいます。
しかし今後どうなるかは誰にもわからないのです。つねに緊張して日常的に注意し、監視を続けなければなりません。
成人ならいざ知らず、胎児や幼児、子供の放射線影響はずっと大きく、どんな障害が出るかわからず常に不安を抱えて育てなければなりません。
ある割合で障害が出ることはすでにわかっている事実なのですからね。
それらがどれだけの心理的ストレスや、生活上の足かせになるか、ご想像がおつきになるでしょうか。
だからこそ今でも関連死は増え続け、人口流出が続いているのです。
これは現在進行形の事故被害なのですよ。すでに終わったことではないのです。
そしてそれは今後何十年以上も続くのです。
それに対して、国や地方は詳細な調査、健康調査をしているでしょうか。
健康医療体制を整えているでしょうか。
ほとんど何も無しです。
福島県民も周辺汚染地帯でも、満足な診療を受けられない状態が続いています。健康に不調を抱えても、診療を拒否されるのです。
医療体制が充分ではないどころか不足しているからです。しかし何も対策されません。
ボランティア医療関係者でさえ、ほとんどはじめからシャットアウトされています。
それどころか、他の地域、県で診察を受けようとしてもそうできないような通達がされていて、拒否されるのです。
つまり、汚染地住民は、医療診察制限を受けるという、ひどい非人道的な人権侵害を受けているのです。
その上、国連からもたびたび指摘されたように、公的な放射線量調査はみな実態より低く計測されてきました。
従って住民や避難民の被曝線量も低く見積もられてきたのです。
実態と異なる数字が公表され、後から訂正されてもそれは宣伝されません。全部ではない限られた新聞の片隅に載るだけです。
その繰り返しです。
それらは皆断片的にでも報道されていますし、福島や周辺自治体の新聞やマスコミでも報道されています。
困った住民の怨嗟の声があふれているのです。
しかし東京や他の地域では何も知らない人がほとんどでしょう。年に一回、大震災の日にしか特別に取り上げられることはありません。しかし汚染地ではそれは日常の問題なのです。
そうした実態を見て、なおもただのつまらないデマだけが情報操作で、そのほかに何も問題は無く、事故は終わったとでもお思いになるでしょうか。
大規模な情報操作は、むしろ正確な実態が全国に知られないようにされてきた、それどころか、正確な実態を調査しようともせず、単に無視してきた、というところにあるのです。
そしてそれがかえってデマをも生み出します。
それがこの国の政府の「復興の加速」の実態です。加速どころか、切り捨てられていると言ってよいでしょう。
そして住民帰還条件を年間20ミリシーベルトに引き上げてまで、無理やり帰還させようとしています。
それは単なる「暫定基準」であって、帰還民は年間1ミリシーベルトまで除染しなければ安心して暮らせるようにはなりません。しかもそれは住民自身が行わなければなりません。
周辺環境は中通りより高度な汚染ですから、拡散浸透は大きく、除染の効果が無いところがほとんどで、まずまともな生活は出来ません。家とその周辺に閉じ込められた牢獄のような生活となるでしょう。
ご自分でそこに住んでもよい、と思わない限り、住民が安心して暮らせるなどと思ってはいけません。
それでもそんなことを許すならば、それはその住民を見捨てたことと同じです。
国同様に、「経費削減のため」犠牲を強いるのです。
犠牲を強いたならば、今後の原発再稼動によって将来起こるであろう事故被害でもまったく同様になるでしょう。
それでもそれは安全で安心と言えるでしょうか。
知ろうともせずに無視するのも、まったく同じことです。
そうは思われませんか?
補足
例えば、「奇形児と問題多い妊娠多発!」の表題は少し大げさですが、奇形児の多発ではなく、問題のある妊娠の多発です。多発と書くには根拠薄弱ですが、そういう問題があるのは確かです。
受精卵や胎児は被曝に非常に敏感で、たいていは異常が生じると生まれることが出来ません。なので外見的な奇形を持って生まれることはむしろ少なくなります。しかし、脳神経系の内部奇形はある割合で発生し、知的障害が多くなりようです。ですから妊娠後のX線検査は自粛されています。
福島事故時は、セシウムなどより先に、それよりはるかに放出量の多い放射性希ガスが放射能雲として各地を襲いました。
希ガスは金属以外の物質を透過しやすいので、人体にも浸透し内部被曝をもたらします。放射能雲は何度かに分かれて各地を襲ったそうですが、ヨウ素やセシウムは地面に降下して残ったのでその経路や量が推測できますが、希ガスは何日か人体に留まり一時的に被曝をもたらした後、拡散して飛び去り痕跡を残しません。
そのため、希ガスによる被曝の大きさは未だにまったく不明で、いくつか推定はあるものの、公式にも国連でも大まかな放射能雲の推定はしていても、被曝量の確定には至っていません。
福島県の平野部居住区が高濃度の放射能雲の通り道になった事を考えれば、希ガスによる一時的な大きな被曝により、とくに胎児や少年以下の若年層が影響を被ったことは充分に考えられます。その影響が長続きするかどうかは別としてです。
汚染の大きかった福島県周辺自治体でも、少年の鼻血や心臓疾患などが増大したのは事実です。住民が自治体に要求して調査が行われたこともあるのです。
しかし汚染地での総合的な調査は、まったく行われていません。甲状腺検査という特定の疾患のみの調査が不充分に行われただけです。
全国のボランティア医療関係者がそれをやろうとしましたが、国の行政が通達を出してそれを禁じたことがわかっています。今でもボランティア医師による診療行為は禁止されています。
ゆえにボランティア医師は何も出来ずに帰るしかありませんでした。
しかし福島県をはじめとした汚染地では、心的障害治療も含めた医療者も機器も圧倒的に不足し、住民は満足に診療も受けられない状態です。
そのような事実を伝えることが、ウソを伝えて差別することになるのでしょうか。それらは断片的にでも全国報道されていますが、被災三県では盛んに報道されている現実の問題なのです。
質問者さんは、ウソと断定して目を瞑り、原発推進したがる国と政府の被災者切捨てに加担したいでしょうか。
「本当の除染のコストは、5000億USドル(42兆円)になる」も本当のことです。民主党政府の諮問会議でも、自民党政府の諮問会議でも、業者見積もりが複数提出され、50~60兆円規模になることが示されています。それは汚染の広大さから必然のものです。これまでの除染は「居住地だけ通り一遍のもの」で、避難区域はほぼ手付かずです。
その他のブログ記載事項は断片的な事実情報です。それはデマと呼べるものではありません。
質問者さんのように、現実の問題に目をつぶろうとする態度こそが、過去からのどの公害問題をも長引かせてきた元なのです。
自民党政府が過去から常に過小評価を繰り返し、不充分な医療支援と賠償にとどめ問題が解決されてこなかったのは国民誰もが知る事実です。
民主党が政権を握るようになって、はじめてその誤りを認め、支援と賠償を充実させて解決に向かおうとしているところです。
しかし原発事故汚染問題では、自民党政府が過去異常にひどい被害者切捨てを行っていることは、事実が示しています。
有権者の無知と無関心と異常な偏見がそれを支えるのです。
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