ぬし 2014-11-13 21:27:09 |
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ほら、先生来たでー
(前向きや、とあたかも田中が悪いかのように横目で冗談を言うと前を向いた彼女にまたすぐに話すであろうに「またな、」となんとも短時間な別れを。
…ふあ、
(担任のHR、体育祭の開会式、卒業式のスピーチetc…これらのことに共通することはただ一つ。つまらんなぁ…。頬杖を突きあくびを一つ。あまりにも暇過ぎるので前の席を見るとピョンと跳ねた髪を見つけ。それがまた可愛らしくフッ、と笑ってしまう。すると、不幸にもその姿が見つかり何笑ってんだと注意されたので「すんません、」ととりあえず謝り
(短い別れを惜しみながらも退屈な先生の話を聞き始め、長い話が苦手なのか俯きウトウトしていれば前から先生の注意の声がし、ビクっと自身の事 だと目を冷し目線を上げて見るも、此方を見ているが視線が合うことなく、若干後ろを見ているようで...ん? と疑問符を浮かべていれば彼の謝る声。椅子を引き彼の机につけると「どーしたの?」と尋ねてみて)
…髪、ぴょーん言うて跳ねとるで
(ちょいちょい、と人差し指でもう少し近くに来るようジェスチャーし相手に小さな声で寝癖のことを教えると手を伸ばし跳ねた髪を直そうとし。何度か撫でる様に押さえると「お、直った」フ、と柔らかく笑み。すると相手越しに''またか''と言わんばかりに不機嫌そうな担任がいたので「もうすぐ終わりみたいや。あいつ見とるから前向き、」と知らせ。
え!? ...嘘。は、恥ずかしっ
(彼の仕草で近づくと寝癖を指摘され、全く気付いていなかった自分が恥ずかしく顔を赤らめると小さく俯き直して貰うと照れくさそうに ありがと...とお礼を述べ、彼の言うように此方を見ている先生の顔を見れば「あ、うん。わかった」と素直に前を向き話を聞いてる振り?をして)
(楓が前を向くと担任は締めの言葉に入り朝のHRは無事に終わった。この僅かな時間でも身体は窮屈で終わった途端、椅子ごと後ろに下がり盛大な伸びをしこれまた盛大なあくびを一つ。かと思えば「なー、楓?…次の授業なんやったっけ」と鞄の中からペンケースを出し。
(話が終わった途端にくるりと後ろを向き、彼の伸びをする姿を笑みを浮かべながら見ていて、彼からの問い掛けに、一気に表情を曇らせて「それがさー、残念な事に体育だよ。しかも持久走...」と答えながら寒空の下の校庭を指差し、深い溜め息をついて)
今から…
(ペンケースから消しゴムを取り出したその時、残念そうに体育だと告げられ思わずピタリと動きが止まり。朝は朝でもせめて4時限目だと思っていたがまさか本当に朝っぱらとは。スポーツは好きだがまさか寒い朝っぱらとは…、とは。「…朝は朝でもほんまに朝やったんかい、」と小さくツッコミを入れ、寒ぅてやってられんわー、と再び机に項垂れ。しかしサボるわけにもいかないので顔だけバッと上げ「ほんなら面倒やけど着替えに行くか…」寒そうに木枯らしの吹く校庭を横目で見て椅子からのそりと立ち上がり。
(思っていた通り、体育と聞いた途端に動きが止まり固まった彼を見つめ苦笑し 「うん、朝から。ヤダよねー」と眉を寄せ寒そうに胸元で腕を組んで。嫌々ながらもすぐに切り替える彼の姿に、さすが私の彼氏。格好いいなーなんて頬を緩ませて、彼の言葉にふと思い出したかのように「あ、そうだ。着替えなきゃ...」と立ち上がるとじゃ、後で と教室を後にして)
(ひらひらと手を振り再び僅かな別れ。廊下に出ると更にヒヤリと冷え「寒…」と肩をすくめポケットに手を突っ込んだ。朝からとかさ、あかんと思う。着替え中に冷えで血圧上がったらどないすんねん。ばったーん倒れますよ先生達。…いや俺若いから大丈夫やけどな。寒さからかこれ見よがしに不満が出てくるが正直体育は好きなのでどっこいどっこいと言ったところ。
それ俺に貸してぇな、寒ぅてよう耐えられへん
(着替えを済まし外靴に履き替えているとクラスメートからしきりに''何それー''やら''寒くねぇのかよ''やら、とにかく己の服装を指摘され。それもそのはず何を言おうこの寒空の下短パンで体育を受ける奴などいないからだろう。更衣室に入り寒さに耐えながら着替える途中、寒いのでジャージの下も履かねばと鞄を探すもその姿は無くこのまま出てきた、というわけで。聞かれる度に、貸してくれと冗談を言い。
あれ?ジャージ忘れたの?寒そう...
(寒空の中、風が吹く度ブルッと震え、思いきり袖を伸ばし指先まで中にいれ、小刻みに体を揺らしながら、外へ出れば直ぐ様彼の元へ駆け寄り彼の姿に心配気に上記を、近寄ると彼の後ろに回り暖めるように両腕を擦り撫でていれば周りのクラスメートから、“お熱いねー。や、はー熱い、
熱い。” と冷やかしの声がし恥ずかしさと冷やかされ、彼に悪い事をしたと思い「ごめん...」てと離れて)
せやで、お前ら火傷せえへんように気を付けやー、
(相手が離れようとすると腕を掴みこちらに引き寄せどうだとでも言う様に腕の中へ後ろから抱き着くように納め。抱き寄せると相手の体温が思ったよりも温かいことに気付きそのまま顔を肩に乗せ「あったかいなぁ、」と暖を取り始める。周りは相変わらず囃し立てているがそれでも特に気にすることなく淡々と抱き着いたままで。
(離れようとする私を後ろから優しく抱き寄せてくれた彼の優しさに、心がほんわかと暖かくなり、顔を綻ばせると腕の中でくるりと反転し、恥ずかしいながらも軽く腕を巻き付け抱き返しながら小さく「ありがと...稜くん、大好き」と 呟いていれば、“はいはーい、仲良しなのは良いことだけど、今から持久走だぞー覚悟しろー。」と体育教師が手を叩きながらやって来て、女子は2㌔男子は3㌔と長いのか短いのかわからないがスタート位置につかされて)
ん、わかっとるよ
(まるで我が子を愛しくみるように見つめ、よしよしと頭を撫で。しかし時というのは残酷で離れなくてはならず名残惜しいのか、最後にぎゅうっと強めに抱き締め相手とついでに暖を充電すると「よっしゃ、さっさと終わらせるで。」とスタートラインに立ち。身体を慣らす様にピョンピョンと跳ね、スタートと同時に走り始める。
(彼から撫でられると、少し照れた様にはにかみ、此方も名残惜しそうに抱き返し、スタート位置について合図と同時に短距離走の様に勢いよく走り出し、内心“遅いから少しでもリードしとかなきゃ”と思いトップを独走するも、やはり体力の無さから、急にスピードが落ちどんどん抜かされて直ぐに最下位になり、泣きそうになって)
(3kmなんぞ軽いわ、と軽快に最後の周に差し掛かると必死に走る楓の姿が見えた。相手に追い付きペースを落として並走をすると、励ます様に背中をポンと叩き「マイペースに頑張り、あっちで待っとる」と一言告げ。走りを自分のペースに戻すと3kmを走り終え一息付き。
(ヘトヘトでふらふらと泣きそうになりながらも走っていれば、愛おしい彼の声がしそちらに顔を向け、励ましのように背中を叩かれるもふらふらの状態故に転びそうになりながら「ん、うん。頑張る...」と笑顔を作り背中を眺め見送って、「もうヤダ...もう無理。」と歩き始めてしまい)
…いつ、誰が、何処でお前のことライバル言うたんですかー
(大会では無いので順位などは着かないが軽やかに1位ゴールを決め「まだまだ余裕やでー、」と教師に。すると2位でゴールした負けん気の強い奴が横で息を切らしながら''さすが俺のライバルだな''と訳のわからないことを抜かしてきたので呆れ半分でその場を離れ。
ふとグラウンドに視線を移すと数人の女子がちらほら。その中には歩く楓の姿もあった。優しい奴なら''もういいよ''とでも優しく迎えに行くであろう。だがしかし!自分は極端なフェミニストタイプでは無くどちらかと言えばオカンタイプ。甘やかしは本人のためにならない。口の横に声を届かせる様手を添え「楓ぇー、もうちょっとやでー!」と見守ることに。後、何十mやしね。
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