猫柳 2014-10-31 22:41:03 |
通報 |
不思議な夢を見た。
平凡に毎日を過ごしていると、突然俺の目の前に天使が現れた、そんな夢を。
「…テレビの見すぎかな」
俺は深くは考えなかった。
日常生活の中で何かしら強い印象を受けたものが夢に出てくる、ということはよくあることだ。
俺、平塚海里は、今年の春に大学一年生になった。
高校卒業を機に一人暮らしをし始め、今は少し小さなアパートを借りて住んでいる。
一人で住む分には充分の広さなのだが、日当たりが悪いのが此処の唯一の悪いところ。今日の天気も、窓を開けてみないと解らないのだ。
「やべ、洗濯物干しっぱなしだったわ。雨降ってねぇと良いんだけど…」
天気を確認するべく、ブツブツと呟きながらドアを開ける。
「…あ、人来た、おいお前、僕を助けろ」
「……え?」
外を見ると、ベランダに一人の男が引っかかっていた。
>八代目やしろさん
早くも…!
コメント有り難う御座います!取り合えず【1】【2】【3】を此処にも書かなきゃなので4は明日までに更新できるかは不安ですが、頑張ります!
【2】
「…」
俺は黙って窓を閉め、カーテンをした。
見てない。俺はベランダに引っかかった男なんて見てない。まだ寝ぼけてるだけだ、きっとそう。
数回深呼吸をし、再度窓を開けてみる。
「お前馬鹿なの?助けてってこの僕が言ってんじゃん地獄見たいの?さっさと助けろよクソかお前クソだな」
窓を開けるやいなや、ベランダの男は怒った様子で俺を罵倒した。
何こいつ口悪。
「…助けてやるけど、お前口悪いな」
「高潔な僕が絶体絶命の危機にさらされているというのに無視するからだ」
「いや高潔の欠片もねぇよ。寝ぼけてんの?」
「うるっせぇな早く助けろよ【バキューン】があぁ!」
「んだとコラアァ!」
取り合えず【バキューン】とか言われてムカついたから殴って助けてやった。
【3】
「いって…殴ることないだろ」
「…で、どうしてベランダに引っかかってたんだ?」
「また無視か!」
取り合えず家に上げてやり、一番の疑問を投げかけた。
男はうーん、と難しそうに唸ると、首を横に振りながら
「解らない、覚えてないんだ…」
「はぁ?意味解んね。つかお前何者?変質者か?」
「失礼な!僕は大天使様の第三補佐、アレン・ベレスフォード様だ」
「なんだただの厨二か」
「本当だ、嘘じゃない」
そう言うと男…アレンはすくりと立ち上がり、俺に背を向けた。
するとどうだろう、アレンの背中から真っ白な翼が生えてきた。
「な…何だよこれ…」
「翼」
「いやそれは解るけども。…つかなんであっさりカミングアウトしちまったのに、今まで翼出してなかったんだよ」
「決まっているだろう、僕が変質者と見られないためだ」
ベランダに引っかかってる時点で変質者だろう。つか俺に見せて変質者って思われないとでも思ったのかよ。
そんな疑問をそっと飲み込む、優しい俺であった。
【4】
「取り合えずさ、お前も僕に敬意を払った方が良いよ?」
得意気に胸を張ってはバサバサと翼をはためかせるアレン。
あぁ馬鹿やめろよ、ただでさえこの部屋で二人は狭いんだから。
「…あ」
そのとき俺は、今朝の夢を思い出した。
こいつはさっき、大天使の第三補佐とか言ってたよな。ってことはこいつは天使。
じゃああの夢は、正夢になったのか…?
俺はすぐに首を横に振った。
いやいや、俺が見た夢の天使はもっとこう…聖人的なものだった。
なのにこいつは何と言うか…これじゃない感と言うべきか、何かが違う気がする。
来るなら美女の天使とか、紳士的な天使とか、そんなものだろう。やっぱりこれじゃない、こんな筈じゃなかった。
俺はがっくりと肩を落とした。
するとアレンは心配そうに近寄り
「…落ち込むことはないだろう?いくら僕がイケメンで性格も良くて羨ましいからって」
「そうじゃねぇよ」
【5】
「つか、お前何で帰らねぇんだよ」
「それは無理だ。…そうだ、今日から僕は此処に住むよ!」
「はぁ!?」
しっしっ、と追い払うような仕草をとる俺を鼻で笑いいながら、突然の思いつきを平然と言ってのけたアレンに俺は目を丸くした。
いやだって…おかしいじゃないか。こいつがもし美少女天使なら、俺は快く受け入れる。だがこいつは男で、その上態度が物凄く悪い。こんな奴を家に置いてたら、俺の胃に穴が開いちまう。
「馬鹿かお前。良いから天界へ帰れ」
「む、別に良いじゃないか。僕が住んであげると言ってるんだ」
「知るかよ帰れ!」
「っ、……お願いだから、頼むよ!!」
アレンの突然の大声に、俺の肩がビクリと跳ねた。
「僕、もう何処にも居場所がないんだ…帰る場所なんてもうないんだ…お願いだよ!!」
アレンは俯きながら、俺に叫ぶ。
その声は、語尾が微かに震えていた。
【6】
「アレン……」
俺は少し、反省した。
そういえばさっきから、俺はこいつに冷たかったし。さっきも強く言い過ぎた気がする。
「…すまなかったアレン、お前の事情はよく解んねぇけど、居場所がねぇのなら此処にいろよ」
「!い、良いのか!?」
「あぁ、こんな狭いところで良ければな」
安心させるように優しく微笑みかけると、アレンは眩しいくらいの満面の笑みで大きく頷いた。
なんだ、こいつも可愛いとこあんじゃねぇか。
とおもったのも束の間。
用を足し、居間へ戻ろうとすると、中からアレンの独り言が聞こえてきた。
「彼奴馬鹿だなぁ、泣き真似に騙されるなんてよ。大天使様から追放喰らっただけであって、居場所なら探せば沢山あったっての。いや彼奴は使えそうだなぁ」
ブツンッ
そのとき、俺の何かが切れた。
「…アレエエェェェェェェン!!」
「っ、聞いてたのか!?卑怯だぞ…ってちょっと待ってごめんって謝る謝るからぎゃああああぁぁぁぁ」
こうして、変梃天使と普通の大学生の俺の、騒がしい非日常が始まったのであった。
【5】を読み終えて、
最初はうざったいキャラwと
思っちゃったけど、、
実は何か、深刻な事情が
あるのかな(´・ω・`)
って…
自分も心配したのにっw
なんかラノベみたいで読みやすくていいね
ただ、一つだけ指摘をさせてもらうと、
「?」とか、「!」のあとに文章が続く場合は
後ろに一マス、あけたほうがいいんじゃないかな
例:「これは本当にペンか?形状をよく見てみろ、こいつはきっとジョンだ」
「これは本当にペンか? 形状をよく見てみろ、こいつはきっとジョンだ」
こんな風に
まあ、「破竹の勢いの、怒涛の早口言葉」って感じを出したいなら
あけなくてもいいかもしれないけど
>八代目やしろさん
アレンに深刻な事情などありません!
きっと追放ってのも大天使様にイタズラして怒られたからじゃないですかね←
…でも根は良い奴なんですよ、多分(目逸らし←
>悠哉さん
お褒めの言葉とご指摘有り難う御座います!
なるほど…確かにそちらのほうが読みやすいですね。そうさせて頂きます*
あと例文で笑ってしまいました←
【7 * 「昔話をしようか」】
「なぁ、海里」
「ん、なんだ?」
「昔話って、何だ?」
「…え?」
テレビを見ている相手の突然の質問に、俺は目を瞬かせた。
「さっきテレビでやってたんだよ」
あぁ、子供向けアニメか。
「昔話ってのは…民話、って言うのかな。ほら、『むかしむかし あるところに~』みたいな始まりの。天界にはないのか?」
「あぁ、なるほど! そういうのなら天界にもあったぞ、昔から代々語り継がれているものがな」
「ほう、どんな話だ?」
やっぱり、天使と悪魔の話とかなのかな。と考える俺。
アレンはふふんと鼻を鳴らし、得意気な様子で
「その名も『Peach Boy(ピーチボーイ)』だ!」
「ちょっと待ったなんか聞いたことあるぞそれ」
【8】
アレンは話を続けた。
「むかーしむかし、あるところにベリアルという者がいました。ベリアルは傍若無人で薄情な、とんでもない下衆野郎です」
「なんだそのブッ飛んだ設定」
「ベリアルには両親がおらず、祖母と祖父に育ててもらっていました。しかしベリアルが14歳のときに、祖父母はベリアルによるストレスのせいで、遂に胃に穴が開いてしまいました」
…俺も、開きそうだぜ。
「祖父母が胃の痛みとベリアルのことで悩んでいると、ある噂が流れてきました。なんと、鬼が来て暴れ回っていると言うのです! それを聞いた祖父母は、馬鹿にするような笑みを浮かべました『ベリアルと比べたら可愛いものじゃろう』と」
ベリアル…一体何者なんだ。
「すると祖父は、ある名案を思いつきました。『婆さんや、ベリアルに鬼退治をしに行ってもらおう』祖母は賛成しました。『そうだね。あんな子途中で鬼に食われれば良いのさ』」
お婆さあああぁぁぁぁぁん!!!
久々に上げようと来てみたらコメが…!
>悠哉さん
今から書きますよっ
読んでくれていたのですね、嬉しいです!
>やしろさん
気まぐれマイペースな奴ですみません;今書きます!
【9】
「そしてベリアルは、村人たちから満面の笑みで見送られ、村を旅立ちました。ベリアルはどんどん歩く。先へ、先へ、ずっと先へ。…そして鬼が住む島へと辿り着いた。」
「……え、犬・猿・雉は?」
「えっ、ベリアルにそんなものが寄りつく訳ないだろう。彼のお供はよう解らん虫三匹だ。」
まさかの虫。
「因みに、ベリアルはジェレミー・サンタナ・小梅と名付けたらしい。」
最後の虫、何故和名。
「まぁそんなこんなで鬼を退治しようと真正面から切りかかるんだが…まぁなんやかんやあってフルボッコにされたんだ。」
「説明雑だな!」
何だかさっきから突っ込んでばっかりだ。
もう俺は突っ込まないぞ…。
「殴られ蹴られで立てないくらいボロボロになったベリアルは泣いて鬼に縋りつき悲願した。『お願いします、もう悪いことはしませんから! この通り許して下さい! 命だけは!!』それを聞いた鬼は鼻で笑い、最後の一撃を喰らわせ、ベリアルの息の根を止めた。」
「鬼いいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
こればっかりは、突っ込まずにはいられなかった。
トピック検索 |