雲 2014-08-18 15:57:06 |
通報 |
気分転換に、ショート・ストーリーを書いてみました。
題材としましては、悩んでいるお母さん方が多いと言う事で
そのお母さんの、もしも○○だったら・・・。
と言うのがテーマで書いて見る事にしました。
こんな事とが本当に起きたら
貴方ならどうしますか?(笑
――― If ~ もしもシリーズ 弥生の場合
◆ 日常 ◆
私の名前は『河内 弥生』、48歳の主婦。
子供は二人いて、大学二年(20歳)になる息子と、高校三年生(17歳)の娘がいる。
小さな頃は、「お母さん、お母さん」と、私の事を呼び、少しでも姿が見えなくなると良く探していたものだったが、今ではその面影も無くなってしまった。
息子はほとんど大学にも行かず、部屋に閉じこもって出て来ない。
ゲームやパソコンをいじっている様だ。
娘も、昔は学校であった事や、友達の話などをよく私に聞かせてくれたものだったけど、今は一日中携帯をいじり、ラインとやらをしている。
いつからこうなってしまったのか。
私の育て方が悪かったのか。
時々昔を思い出し、懐かしくも感じる反面、虚しくも感じる。
私の存在っていったい何なんだろうと・・・。
子供たちに話しかけても、「今忙しいから後で」と言われてしまう。
それでも話しかけ続けると、『うっざ~』と言う表情をされる。
寂しい・・・。
子供が成長すると言う事は、こういう事なのだろうか。
最近私は、自分の存在価値に疑問を抱くようになった。
今日の晩御飯は、珍しく家族全員で食卓を囲んでいた。
そこで私はこんな質問をしてみた。
「もし、お母さんが死んじゃったらどうする?」
私としては、「お母さん死なないで」と言う言葉を期待していたのだったが、返ってきた言葉はこうだった。
まず、娘が開口一番にこう言う。
「ええぇ~!? お母さんが死んだら誰が家事するの!?」
続けて息子が言う。
「梨花だろ? 一応お前も女なんだしさ」
「ちょっとぉ!なんで私なのよ!いつも暇してるのは兄貴でしょ!?」
「俺は色々と忙しいんだよ」
何が忙しいんだか・・・。
毎日部屋に閉じこもってゲームしかしてないくせに。
そう思ったが、もう少し、みんなが私の存在をどう思っているのか、聞いている事にした。
「なら、お父さんがすればいいんじゃない?親だしw」
娘は『今私良い事言った!』と言う様な顔をして、笑いながらそう言った。
すると夫は、「父さんは仕事で忙しいんだからお前たちがやりなさい」と言うのだった。
この三人の会話で、私は全てを悟ったような気がした。
私の存在価値とは、家事全般をこなす『家政婦』だ。
それも無料の・・・。
ご飯を作ってもらって当たり前。
洗濯をしてもらって当たり前。
誰一人からの感謝の言葉さえも貰えない。
認めたくなかった事実を、いま目の前で突き立てられる。
これがみんなの本音だったのだと。
その夜、私は1人布団の中で泣いた。
声を噛み殺し、みんなに悟られないように泣いた。
頼みの夫までが、私の事を家政婦としてしか見ていなかったと言う事が、一番つらかった。
子供たちが独立した後、夫婦二人で過ごす、これからの時間全てが、妻ではなく家政婦扱いになるのかと思うと、悲しくてかまらなかった。
私も、もう直ぐ50歳に手が届こうとしている。
今更離婚をしても、安定した生活を送る様な収入も見込めない。
これからも我慢をして一緒にいなければならないのか。
いったい何処で選択を間違えたのだろうか・・・。
最近そんな事ばかり考えてしまい、自然に涙が零れてくる。
◆ 夢物語への逃避行 ◆
結婚して22年。
夫は変わった。
ここまで無口な人ではなかった。
付き合っていた頃は、普通に会話をしていたけど、いまでは殆ど喋らない。
一日の会話などこんなものだ。
「飯」「行ってくる」「風呂」、この三つで会話が成り立っている。
後は私に用事を言いつける時しか喋らない。
これで夫婦と言えるのだろうか。
結婚してからは、名前さえ呼んでくれない。
「おい」「おまえ」「お母さん」、それが私の名前の様だ。
私にも「弥生」と言う名前があるのにな・・・。
私も今年で48歳。
もう若くはない。
だから女扱いをしてくれないのだろうか。
それでも私は思う。
私は、貴方のお母さんじゃない!と。
でもそんな事は言えない。
言えば鼻で笑われ、「何バカな事を」と言われるのが関の山だ。
もし、もしも若返りの薬がこの世に存在すると言うなら、私はきっと飲むだろう。
昔の様に、ぷるんぷるんの肌を取り戻し、多少の疲れなど、一晩寝れば回復してしまう新陳代謝の良い身体を取り戻したい。
私の夢だ。
でも、もしそれが可能なら、それでも一緒に夫と暮らしていきたいだろうか。
応えは「NO」だ。
今までの事を考えれば、これからも一緒に暮らしていきたいとは思わない。
では子供達とは?
それも考えてしまう。
幼い子供なら一緒に連れて家を出て行くかもしれないけど、引きこもり同然の息子と自分の事しか考えない娘。
一緒に連れて行っても、いまと苦労は変わらない。
自由が欲しい・・・。
もし身体だけが若返ったのなら、何をしようか。
色々と考えてみる。
そうね、歳の頃は、箸が転げても可笑しいと感じる18歳位が良いかしら。
あの頃の私は、自慢じゃないけどモテたもの。
ナンパも良くされた。
徹夜をしても疲れなど感じなかった。
スタイルだって・・・余分な脂肪は付いていなかった。
戻れるものなら戻りたい・・・。
妻が若返ったら、夫は家に早く帰って来るだろうか。
いつも残業だ、接待だと言って午前様だ。
息子はどう思うだろう。
見た目が自分より若い母親は、やはり嫌だろうか。
娘は?
意外と娘の場合は、友達感覚でうまくいきそうな気がする。
そんな事を考え想像していると、なんだか少し可笑しくなってくる。
誰もいない平日のリビングで、1人クスクス笑う私は、誰かに見らでもしたら、頭がおかしくなったと思われるかもしれない。
そんな事を考えると、また可笑しくなる。
◆ 夢か幻か ◆
最近疲れが取れない。
ずっと体がだるい。
頭痛もする。
私の体、一体どうなっちゃったんだろう。
具合の悪そうな私を見ても、誰も心配してくれない。
息子から出てくるのは、ご飯の時とお風呂とトイレの時だけ。
娘は私より携帯を眺めている時間の方が長い。
夫は・・・私の顔さえろくに見ない・・・。
こんな生活もう嫌だ・・・。
私が生きている価値が無いかのように、私の事を素通りする。
私は何のために生きているのだろうか。
家政婦程度にしか価値が無いのなら、私なんて居なくなった方がましだ。
その方が自由になれる。
心の闇から解放され、自由に、好きな様に、生きられる。
でも私は弱い。
1人では生きていけない。
だから、この現状にしがみ付いてるんだと思う。
情けない・・・。
もっと強くなりたい・・・。
そんなネガティブな事を考えてると、頭痛が増々ひどくなった。
頭が割れそうに痛い。
こんなに痛いのは、普通の頭痛じゃないと思った私は、夫に病院に連れてって欲しいと言ってみたが、夫は、「大げさな。薬を飲めば治る」と断られた。
しかたがないので、薬箱から頭痛薬を出して飲み、その日は早々と寝る事にした。
頭痛のせいでなかなか寝付けなかったが、そのうち痛みが消えた。
やっと薬が効いてきたのかと思っていたら、何か様子がおかしい。
暗闇の中で私が寝ている姿が見える。
辺りをよく見ると、私は天井近くに浮かんでいた。
そして、下の方には、私の体が布団の中で眠っている。
これはもしかして・・・・幽体離脱?
『ちょっと!幽体離脱って、長い時間身体を離れてたら死んじゃうんじゃ
なかったっけ!?』
そう思った私は、慌てて自分の体に戻ろうとしたけど、何回やっても弾かれてしまう。
『・・・どうしよう。。。』
途方に暮れていると、白い光が現れ、その白い光の中から知らないお爺さんが現れた。
『何をしとる。お前さんは死んだんじゃ。早く儂の所に来なさい』
『嫌です。まだ死にたくありません。どうか元の体に戻してください』
私はそのお爺さんに頼んだ。
するとお爺さんは、何やら手帳を取りだして読み始めた。
『こりゃ儂としたことが間違ったわい』
『へっ?』
間違ったと言われ、思わず間抜けな声を出してしまった。
『死亡予定は、隣の家の「チヨ」さんじゃったわい。すまんすまん』
「すまん」と言われても、一度死んでしまった者をどうする気なのかと尋ねると、
『お前さんは、自分の人生に疑問を持っているようじゃな。
ならば、サプライズじゃ。
時間を戻し、過去に戻り人生をやり直すか?
この場合、今までの記憶も全部気謂えてしまうがのぅ』
私は考えていた。
どうするべきなのかと。
『それともう一つ、今の時代で、身体だけ若返らせるか?
この場合は、今までの記憶は全部残っておる』
『 !!!!!! 』
答えは決まった。
後者だ。
『身体だけ若返らせて下さい』
即答だった。
夢にまで見た若返りのチャンスを手に入れたのだ。
一度死んでみるのも悪くないかも・・・とさえ思ったのだ。
お爺さんに手渡された、変な色の薬を一気に飲み干すと、徐々に眠くなり、深い眠りに落ちてしまった。
◆ 誰? ◆
―――― ピピッ ピピピッ ピピピッ
目覚ましが鳴る。
もう朝かと、いつもの様に、いつもの時間に起きる。
ベッドから起き上がり、階段を下りて行く途中で私は気が付いた。
『身体が軽い・・・?』
昨日、いつもより早く寝たおかげで、疲れが抜けたのか、身体がとても軽く感じた。
疲れが取れてると言う事が、こんなにも清々しい気分にさせるものなのかと言うほど、心まで軽くなったような気がする。
私は服に着替え、鼻歌混じりで朝食の用意をするのだった。
朝食の準備も整った頃、いつもの時間に夫が起きてくる。
「ご飯出来たわよ」
夫に声を掛けると、夫は驚いた顔をして私を見ていた。
「なに?」
夫が何をそんなに驚いてるのか、私には分からなかった。
そして夫は、恐る恐る私に尋ねて来た。
「・・・どちら様?」
「何言ってるのよ。私よ!?まだ寝ぼけてるの?」
可笑しな事を言う夫だ。
「あぁ~・・優也の彼女か」
小声で夫は呟いた。
「やぁ~ねぇ~、優也に彼女なんて居るわけないじゃない。
一日中部屋に閉じこもってて彼女が出来たら奇跡だわよ」
なら、お前は誰だ。と言う様な顔をして、私の方をジッと見つめている。
そこに娘の梨花が起きて来た。
「おはよ~梨花」
「おは・・・・」
最後まで言葉を言わずに娘は目を丸くしている。
「どうしたのよ~、二人とも・・・朝から変よ?」
「誰?」
娘が夫に向かって聞いている。
「・・・知らん」
夫も知らないと答えた。
「ちょっと・・・何ふざけてるのよ。
あぁ~・・そう言う事?
もう、お母さんは用済みなのね。
いらないから出て行けって、そういう事なのね!?」
私は怒りながらそう言った。
「ちょっと待ってよ!誰がお母さんだっていうのよ!」
娘も何故か怒っていた。
「何その言い方!毎日毎日、携帯ばかり見てるから、お母さんの顔も忘れちゃった
っていうわけ!?
あなたもそうよ!私の顔なんかろくに見もしないで「飯」「風呂」って言うだけじゃない!
たまに真面に顔を見たと思ったら「誰だ!?」は無いんじゃないの!?
ほんと、失礼しちゃうわよね!!」
私の怒りは止まらなかった。
怒りながら洗面所に行き、顔を洗おうとした時、鏡に映った自分を見てギョッとする。
「・・・・うそ。。。」
あれは夢ではなかったのだ。
あのお爺さんが言った事は、本当の事だった。
鏡の中には、18歳の頃の私が映っていた・・・。
◆ 若いって素晴らしい ◆
鏡に映る自分の顔を見ながら、私は頬をつねってみる。
痛い・・・。
夢じゃない。
本当に若返っているのだ。
夫と娘に昨日の夜の事を話すが、信じてくれない。
しかし、直ぐに信じてもらえるような出来事が起こった。
隣の家に、親戚と思われる人が続々と来はじめたのだ。
程なくして玄関には『喪中』の張り紙が。
そして葬儀屋さんの出入り。
私の話しと符合した。
「ねっ?言った通りでしょ?」
2人は信じられないと言った表情で私を見る。
何が何だか分からないうちに、夫と娘が家を出る時間となり、慌てて出て行ってしまった。
1人になり、食事の後片付けなどをしている時、ふと、姿見に映った自分の姿を見た。
顔は若いのに服装がババ臭い・・・。
まったく似合っていない。
そうだ。せっかくだから、買い物ついでに洋服も買っちゃいましょ。
夫は毎晩のように飲んで歩いてお金を使ってるし、娘だって季節ごとに服を買ってる。
私なんか、この服を何年着てると思ってるのよ。
たまには自分の物を買ったって罰は当たらないわよね。
そう自分に言い聞かせ、今のスタイルに合う洋服を買い込んだ。
買い物をしてる最中にも、数回ナンパをされる。
私もまだまだ捨てたものじゃないと、少し嬉しくなってしまった。
こんなおばさんが着るような服を着てるにもかかわらず、ナンパをされた私は有頂天になり、そのまま美容院に行き、流行の髪型にしてみた。
思いのほか似合っていた事に、自分でもびっくりだ。
家に帰り、夕飯の準備をしていると、二階から息子が下りて来た。
そして、朝の2人同様に固まる。
思わず笑ってしまった。
「あははは。優也もお父さんや梨花と同じ反応するのね。やっぱり親子よねぇ~」
「・・・・で、誰?」
「お母さんよ。でも説明が面倒くさいからパスね」
「母さんがそんなに若いわけないだろ」
昔から頭の固い息子は、自分でもにわかには信じられない様な話を、信じるはずがない。
だから私は、私である確たる証拠を見せつけた。
洋服の前ボタンを外し、胸にある大きく赤い、バラの様な痣を見せた。
「どう?これで信じた?」
普段見慣れてるはずのこの痣を見た息子は、何故か顔を真っ赤にしていた。
いくら母親だと分かってはいても、目の前で下着を見せているのは、自分より若く綺麗な女の子だからだ。
どう接していいのか分からない様だ。
普段は部屋から出て来ない息子だったけど、今日に限って何故かずっとリビングに居る。
娘はいつも通りの帰宅時間で、帰ってくるなり「お腹空いた~」と言う。
どうせ今日も夫は帰りが遅いのだろうと、いつもの時間に食事をしていると、夫が帰って来た。
『はやっ!!』
思わず心の中で叫んでしまった。
ほんと、男って・・・・若い女が好きなんだから・・・。
でも、女だって、くたびれたおじさんより若い子の方が好きなんだから、お相子かしらね。
さて、明日は何をしようかしら。
子供達にも手がかからなくなったんだから、これからは好きな事をして、楽しく過ごさなきゃ損だと思うの。
みんなそれぞれに、好き勝手にやってるんだから、私だって好きな事をさせてもらうわよ。
手始めに仕事でもしようかしら。
先立つものがなきゃ何もできないしね。
明日からが楽しみだわぁ~♪
一応 ― 完 ― と言う事にしときますか。(笑
ハナミズキさんの書く
アップテンポな小説は、
明るい気分になれるから
大好きですw
別荘の方も毎回楽しく
拝読していますが、
呉々もアクセス禁止には
なりませんように..w
八代教授いつも感想をありがとうございます♪
今回はBランクの内容を別荘に置いて来ました!(笑
たぶん、この線がギリギリではないのかと思います(笑
どうぞ召し上がれ♪
とうとう最終回を迎えてしまいました。
読んで頂いてた皆さま
本当に有難うございましたm(__)m
この場を借りてお礼を申し上げます。
では、良いお年を~♪←まだ早いってw
最終回楽しみo(^∇^)o
でも..別荘の方..
実はまだ読めていません!;
使っている携帯の所為だと
思うのですが、文章が最後まで
表示されなくて..;
裏技を見つけてそちらを
先に拝読するまでは
最終回はおあずけに
しておきます^^
急ぎたいですw
八代教授
別荘の方を読まなくても
一応は話が分かるようにはなってます。
ですが、読んだ方がもっと
(*´д`*)ハァハァ 出来ます(笑
頑張って下さいね♪(。◕ ∀ ◕。)
当分小説はお休みしようかと思っています。
最近少し疲れが溜まってきたので
休憩です。
独り言を呟きながら
リフレッシュいたします(笑
>>234 頑張りましたw
Dr.リン、とても良かったですw
感想を述べるにあたり
自分のボギャブラリーの
貧しさが悲しい..w;
医療系の設定、
時代背景の描写、
ドキドキしましたv
急かすつもりは
毛頭ありませんが
あのラストなら..
いつか其のうち、
英気が養われ、
気が向いた時にでもの…
続編を期待していても
良いでしょうか!?w
その後が気になったので(^^)
ひとまず、今は執筆、
お疲れ様&有難う
ございました(__*)
何を書こうか色々と迷っての半年間でしたね
構想は、龍神の巫女とは別にもう一つあったんでよ
幕末タイムスリップものと言うやつが(笑
今回の小説は、ファンタジー&冒険で行こうと思っています
しかし難しいですね~
中々話が進みませんね~(涙
私に冒険ものはまだ早かったのかもしれません
が、試行錯誤をしながら頑張りたいと思います
トピック検索 |