キョウシロウ 2014-08-14 21:53:29 |
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《約束》
遊郭からの帰り道、キョウシロウは林の奥へと歩を進めていた。林の奥には土の上に木の枝をクロスさせて紐で結んだ物を突き刺していただけだったのは、昔のお話。
「ケンジ、お前はこれが好きだったよな。」
今はちゃんと石で作られた立派な墓がそこにあった。彼が金をある程度貯めて、数年前に建てたものである。墓前にチョコレートを置き胡座をかいて座る。隣へと置かれた真新しい花を一瞥する。
「そっか…あいつも…。にしてもあれだな、お前はデカくなってたら、酒や煙草が好きになってたと思うぜ。一口吸ってみろよ。」
口に煙管を咥えて着火し煙を吹かす。それを墓前へと置き笑いかける。墓前へと置いた煙管の煙が、一瞬だけ強い風に吹かれて勢い良く空へと消えて行く。
最後に彼が好きだった飲み物、酒の代わりにオレンジジュースを墓へと注ぐようにかけて立ち上がる。
「さて、俺はそろそろ行くぜ。嫉妬して化けて出てくんなよ?」
大きな袋を担ぎ直して背を向けて片手を振りながらその場を去る。
「さて…行くか。」
夜遅く、家と呼ぶには広過ぎる屋敷という形容が似合う建物の門を見上げる。建物の電気は消えて、住民は寝てるようである。門を見上げると背中の荷物を担ぎ直しては、地面を蹴って駆け出す。壁を走って跳躍すると敷地内へと侵入を果たす。
相変わらず、こんなに簡単に侵入出来るようじゃ考え物だな、と内心苦笑いをもらす。そこから敷地内を回る警備の目を掻い潜り、屋敷の側面へと到着する。彼のいつもの潜入経路、そこから木へと登り三階の窓にガムテープを貼り、鞘で叩いて音を押さえて割り中へと侵入。
テーブルの上に背負っていた金貨の袋を置く。そのまま帰ろうとした所で。
「キョウ…?」
扉がガラリと開く。キョウシロウが侵入した所はキッチンで、扉の奥は階段の筈だった。階段の踊り場に布団を敷きそこに寝ていたようで、腰まである長い髪の毛をサイドテールにした女性がそこにはいた。眠たそうな目を擦り立ち上がり声をかけてくる。キョウシロウは直ぐに逃げようとするも女性はバランスを崩して背中から階段に落下してしまうだろう。
「行かないで…あ…」
「ちっ…バカ!」
彼は咄嗟に床を蹴り片手を腰へと伸ばして引き寄せる。そして胸元で笑顔で笑う女性を見下ろす。
「怖かった…ふふ、ありがとう、キョウ。今はキョウシロウなんだっけ?」
「キョウでいい。何でこんな所に寝てんだよ、サユリ。」
腰から手を離して一歩引きサユリから離れる。
「何でって一つしかないじゃない。半年に一度くらいに、この孤児院に寄付してくれる、名前も顔も知らない足長おじさんを捕まえて、物申す為だよ。久し振り、キョウ。」
サユリは現在この孤児院に勤めていた。勤めて5年になるが、一昨年この孤児院の院長が亡くなり、代わりに院長に就任したのである。もっともこの孤児院は働く職員も少なく、設備の割には次々と孤児が入って来て、経営不振に陥っていたのだ。
「久し振り。ククッ…さて知らねえな、俺は偶々この家に泥棒に入っただけだ。髭面の足長おじさんとやらはさっきすれ違ったぜ。」
「またまたぁー…。危ない事やってるんだって…?心配よ。それに何で、今まで顔見せてくれなかったの?」
吉岡狂四郎の名前は悪名高い。剣客の賞金稼ぎとして、狙った獲物は逃さない孤高の人斬り。また、金稼ぎの為に幾つもの裏の仕事に流通しているらしいと。
「…はんっ、俺は利用出来る人間としか会わねえ。無駄な事は避けてるだけだ。」
鼻で笑って、吐き捨てるように言いながらテーブルに腰掛けて煙管の煙を吹かす。本当は合わせる顔がない。子供の頃、彼女と一緒にいたいい子なキョウはもういないのだ。今は金の為に何でもやる、普通の人とは生きる世界が違う、血に塗れた人斬り。こんな自分が、立派に胸を張って生きる彼女を邪魔してはならない。他人でいなければいないのだ。
「クククッ…お前が知ってるキョウはもういねえよ。ここにいるのは、悪名高い吉岡狂四郎さんだ。もうお前に会う事もねえから…」
「嘘!知ってる、人斬りだって事も悪い事をしてるって事も!でも、キョウはあの頃のまま、優しいままだよ。弱い人や普通の人、女の人や子供には手を出さないし、いくら悪ぶっても変わらないよ。」
相手へと煙を吹きかけたあとに煙管をとんとん叩くが、それを遮ってサユリがキョウの腕を掴み見上げて来て真っ直ぐの瞳で見つめてくる。
「言ってろ。ケンジとの約束だ、お前を守る奴が見つかるまで、俺は自由にはなれねえんだよ、早く身を固めろよ…」
「頼んでない。別に守ってくれなんて言ってないよ。」
キョウははぁ、とため息をついて頭をかく。むすっとしたサユリの表情は真剣だ。
「私が待ってるのはただ一人だけ。ずっと、待ってるから…」
胸に両手を重ねて置き目を瞑り心が籠った言葉を紡ぐ。
「そうか…、俺は好きな女がいるんだよ。」
ふーんと頷くと不意に好意を寄せている女性がいると言うキョウにサユリは明らかに動揺して身体を震わせて問う。
「嘘…!?誰…?」
「この国のお姫様。」
ぶっきらぼうに答えるキョウシロウ、ホッとした表情を浮かべるサユリ。
「何ホッとしてんだよ。マジだからな、俺は行く…ガキどもの相手してねえで、さっさと結婚しろよ。行き遅れてもしらねえからな。」
眉を寄せるキョウ、最後に軽口を叩くと侵入してきた窓から飛び降りる。こちらへと駆けて来ようとする彼女の気配を感じながら屋敷を後にするのであった。
「行き遅れても…私はずっと待ってるからね、キョウ…。」
屋敷から去って行く彼の後ろ姿を見送り表情を緩めて、彼の姿が見えなくなっても見送り続けた。
《約束・あとがき》
何で孤児院でサユリが働いてるかなんでキョウが寄付してるかは、8歳〜12歳編で明らかに。ちょっと、キョウシロウがいい人だなんて聞いてないよー!とがっかりした人はご安心を。これからは外道な事でいっぱいです←
次回は一息ついて、勇者一行の皆さんの中で、ある人物に焦点を当てたキョウシロウ視点のお話になります。皆さんのキャラが似非になってしまったら申し訳ありません。
《忍び》
この集団と行動して結構経つが…今一良く解らない奴がいる。他の奴らの行動や目的、理念は良く分かるって言っちゃ嘘になるかも知れない、元々そんな興味もねえんだがな。そう言っちゃ話はお終いだ。この話は俺、吉岡狂四郎から見た、仲間の一人シュウ・ラウドと言う人物の観察の記録になる。
「メガネメガネ…あれ、どこに行ったんでしょう?」
何時ものように宿屋を丸々借り切って各自其々の部屋に寝食をしている時、とある部屋からそんな声が聞こえて来る。
部屋の扉は少し開いていて、中には長髪の三つ編み、俺と同じ三白眼の目の男、だが見た目と違って性格は温厚なようだ。服装は忍装束で、口元を覆うマフラーが特徴的である。
「あれは…ツッコミ待ちか?」
俺は考える。どうやらメガネを探しているようではあるもののその頭にはメガネが、しかも一つだけじゃない頭の真上にもう一個、そして後頭部にもう一個と計三つのメガネを装着しているのだ。
「いや、ただのバカかもしれん。」
こいつの事は本当に良く解らない。勇者への忠誠心は本物で偵察やスパイの仕事もこなす優秀な忍者なのは知っているが、性格が一番読めないのだ。
「おい、何探してるんだ?」
真意を少し探って見るか、部屋の扉を開けて中へと足を踏み入れる。
「これはキョウシロウ様。実はメガネを探していまして…」
「はーん、どっか身近にあるんじゃねえか?」
「身近にですか…うーん…あ、ありました!」
シュウはやっとメガネに気付いたようだ。頭にある三つのメガネを手に取りそのうちの一つを装着する。
俺はこれでも、人間を見る目は一流だと自負してるんだがな…バカなのか天然なのか、それとも普段バカな事を演じるピエロなのか…。
「これで本が読めます。あれ今度は本が…」
椅子とケツの間にあるじゃねえか、お前今まで本の上に座ってたんだぞ。やっぱりこいつはただのバカな可能性が大きいが…結論、こいつの事は良く解らない。俺はそのまま、シュウの部屋を後にした。
《忍び・あとがき》
予告にもあった通り、今回は仲間の一人シュウ・ラウドくんのとある一日のちょっとしたお話になります。実際本編でのやり取りを文にしてみたものです。オチは改変していますが笑。今回、誰のお話になるか予想していた方々に一言、予想は当たりましたかね?← ネタばらしをすると許可頂いた順になっております。
シュウさんはパルプンテを使う面白いキャラクターです。本来なら自分が思いつかないような、凄い出来事をやってのける愉快痛快な方です。次の仲間の話は…皆さんご存知、末長く爆発して欲しいあの方々!←
ここで次回予告、キョウくんの過去編に戻ります。時代は8歳〜12歳編、彼の人物形成がされる多感なお年頃…注意事項としては、ギャグが一番ない話で、悲惨なんで苦手な方は見ないように。では次の回に。
シュウ君は…バカを演じている天才と見せかけてバカを演じている謎の男ですね←
次のキャラ紹介謎ですね…爆発してほしい仲間なんて居ませんのd←←←
次の回も楽しみにしてます!
>ブレイヴ
シュウくんはキョウくんにとっては本当に理解出来ない人なようです←
シュウくんの次に、丁度許可を下さったお二方があんな事になるとは…話はギャグになりますのd←←
はい、ありがとうございます!
《外道》
遊郭がある色街から一番近い街、徒歩で三時間程の街。街並みは煉瓦作りで、賑わっているようで行き交う人々は忙しそうに足並みは早い。
「うわぁー、沢山人がいるね、キョウ。」
「ああ、あの町とは人の服も雰囲気も違うよね。」
二人の少年少女は人々の格好や街並みを眺めて感動したようにボーッと首を左右に振り続ける。
いつまでも街並みを眺めている場合にも行かずに、ハッとして自らの頬を両手で挟むように叩く。
「あ、サユリ、取り敢えず働く場所を探さないとな…。」
「そうだね。住む場所がないと始まらないもん。」
彼らはそれから、働かせて貰う場所を探すべく街中を歩き回る。
「働きたい?君達まだ子供だろ?親御さんとこに帰りなさい。」
最初の店は家出だと思われて断られた。
「こっちはガキを雇ってる余裕なんざねえんだよ。帰れ帰れ。」
次の店は厄介者のように追い払われた。
「ああ、孤児か君達。いい事教えてあげるよ、君達みたいな孤児を雇ってくれる場所なんて何処にもないよ。みんな自分が生きる事に必死なんだ。」
丁寧な言葉ながらも追い出される。それからも目につく店に入っては帰らされた。殆どの店を回ったのだろうか、空は既に暗くなっている。
「…………」
「…………」
二人とも既に言葉を失っている。歩き疲れてるのもあるが、朝から何も口にしていない、喉もからからだし、空腹でもある。働いていた頃は食べ残しで早く食べなければいけなかったものの、ちゃんとした物を昼過ぎに食べる事が出来た。
「お腹…空いたね。」
「ああ…」
サユリが小さく呟く。それに頷き答えるキョウは頭の中で考えを巡らしている。働く場所は望めない、住む場所もない、食べ物はない…。一体どうすれば…。
「…ここは?」
「キョウ、何だか怖いよ。」
やがて街外れへと到着する。活気のある背後の街並みとは違い薄暗く、廃墟と化した今にも崩れ落ちそうな建物が建ち並ぶ。人の住む気配もない。サユリがキョウの腕を掴む。それに答えるようにして、ごくりと唾を飲み込み口にする。
「今夜はここで野宿しよう。」
本気なの?というような目で見てくるサユリに頷いて見せる。
後になって知る話だが、街外れにあるこの荒んだ場所は以前はちゃんとした街だったも、戦争によって破壊され蹂躙されたゴーストタウン、現在はゴミの廃棄場で立ち入る住民もいない、特区と呼ばれる場所である。
廃墟街へと足を踏み入れる二人、前方には人が倒れている。汚れた服に体からは異臭が漂っている。
「大丈夫ですか?」
「大変だ。医者…」
慌てて近寄って行く二人、男は衰弱していて体が骨と皮になっていて痩せ痩けている。キョウは医者という言葉を口に出しかけて言葉を紡ぐ。医者は金がなければ治療しないのだ。サユリは男の肩を揺する。最初は弱っていた男も急ににやりと笑ってサユリに抱き着くようにして、覆い被さる。
「げほっ…ガキ共か…女ぁ!すーはー、女ぁ女ぁ、いい匂いだ、たまんねえよ。久々の女だ、やらせろぉお!」
激しい息で舌を出して興奮する目の焦点が合っていない男。サユリは驚いて悲鳴を上げる。
「いやっ…きゃー!」
「……!何してんだぁお前ー!」
身を捩って嫌がるサユリに、男は押し倒して服に手を掛け引き千切る。キョウは咄嗟に落ちていた木の棒を拾って男の頭を後ろから思い切り殴りつける。すると男は呻き声を発して頭部を抱える。
「うごぉ…。」
「キョ、キョウー!」
その隙に必死に男から離れキョウの後ろに隠れるサユリ、キョウは両手に棒を持ち震える体で床に這いつくばる男と対峙する。
「くっ…痛ぇ……ちっ…そういや二人居たなぁ、失敗失敗…。安心しろよガキ。俺は見ての通り、自分で歩く力すらねえ。」
持っている棒をからんと落とす。なんで、と言ったような表情を送られ男はおかしそうに歪んだ笑みを浮かべて言葉を綴る。
「ここに来たばかりだろうから、おじさんが優しいアドバイスをしてやるよ。世の中金だ…金がなけりゃなーんも出来ない。働けなけりゃ食ってもいけない。住む場所がなければ人間の最低限の生活も出来ない。こっちの世界は金のねえ人間の住処だ…」
「……違う街に」
「ここから近くにあるのは、色街だな。あの街も金がなけりゃ何も出来ない。他の街に行くには森を通り抜けるか、砂漠を越えなきゃならねえ…でも無駄だぜ。どこに行こうにもヤバイ魔物がうじゃうじゃいる危険地帯を抜けなきゃならねえからな。」
男の言う通り、ここから先の街へと旅立つにはそれなりの腕を持った護衛を共にしなければ自殺行為だ。魔物達はRPGで例えると物語の中盤の街周辺のフィールドに出て来るモンスターばかり、子供だけでこの街から出て行けば、瞬く間に魔物の餌になってしまうだろう。
「……………。」
キョウはごくりと唾を飲み込む。
「でもここから先は地獄だぜ。騙し合い、奪い合い、殺し合う。弱者は生きていけない、弱肉強食の世界だ。お前ら2人はいつまで生きられるかなあ?ククッ…ハハハハ…」
男の笑い声が木霊する。キョウはサユリの手を引き笑い声を続ける男の声が聞こえなくなるまで、廃墟街の奥へと歩いて行く。
それから三日後、キョウは一つの廃墟を根城にして、外へと出ていた。
「取った!」
彼の手に握られているのは生きたネズミだ。両手でネズミを捕まえて喜びの声を上げる。これで一匹目、ネズミ一匹を捕まえるのも一苦労だ。食べる物が無ければ捕まえるしかない、彼はネズミを食べる事にしたのだ。二日間の間、雑草を食べて生活してきたが腹は膨れずに腹を壊した、雑草も食べられる物と食べられない物がある。サユリは廃墟で留守番をしている。
「お…ガキ、いいもん持ってんじゃねえか、へっへっへ…」
手に鉄のパイプを持つ男が歩いて来る。
「寄越しな。」
「嫌だ…」
片手を差し出して来る男、キョウはそれを無視しネズミを懐に抱き締めるように抱える、がその瞬間頬に重い衝撃を受ける。
「ぐっ…」
今までに感じる事がなかった痛み。善十郎には殴られてはいたもののあくまでも素手、男は手に持つ鉄パイプで彼の頬を思い切り殴りつけたのだ。キョウの体は地面へと何回転もする、そして血と共に折れた歯をぺっと吐き出す。
「おらおらおらぁ!寄越せやぁああ!グハハハッ!」
倒れたキョウの腹を背中を頭を容赦なく蹴り続ける男。キョウは痛みでネズミを手放してしまう。蹴りで圧迫されて死んだネズミを男は取りそのまま口へと運ぶ。
「うぅ…」
「あむあむ…うめえ…最初から素直に寄越してればいいんだよ、ガキ!余計な体力使わせやがって。」
ネズミを食いながら倒れるキョウの腹を思い切り蹴って満足したのか男はヘラヘラ笑いながら去って行く。
「ぐぅ…げほっ…」
血反吐を吐きながらここに来て最初に会った男の言葉を思い返す。
『ここから先は地獄だぜ。騙し合い、奪い合い、殺し合う。弱者は生きていけない、弱肉強食の世界だ。お前ら2人はいつまで生きられるかなあ?』
キョウは学んだ。奪うと言う事を、奪われたら何も残らない。なら奪うしかないと…地面に染みる自分の血反吐を薄くなる意識の中でぼんやりと眺めながら拳を握り締める。
それからは盗みを繰り返す日々、体のサイズに合った鉄パイプを片手に物陰から襲い掛かり不意打ちで倒す、石で違う場所に目を向かせて隙をついて襲うなどの小細工も身に付けた、この戦法なら大人が相手だろうと簡単に食料を奪う事に成功する。時には老人や同い年位の子供を襲って食料を持つ相手から強奪をして行った。サユリにはこの事は言っていない、後ろめたかったのだろう。彼女にはこんな自分を見られたくなかったのだ。いつも食料は拾ったものや捕まえたものとして一緒に食べていた。
このゴミダメに来てから1年が経過しただろうか、この界隈では悪童と呼ばれる者へと名が広がっていた。
そんなある日の事、何時ものように狩りに出掛けていた。
「…お、今度のはいい獲物だ。」
物陰へと隠れて道を見ると長いポニーテールを靡かせ歩く和服の男、肩には大きな包みを背負う、お誂え向きに足は剥き出しになった銀色の義足のようで走る事も出来なそうである。この距離だと遠いか?でも義足だし逃げられる事はないだろう、幸い足には自信があったし、狩りも数をこなして失敗も最初の頃に比べて格段に減って行った。
だが、何かが彼の頭で警鐘を鳴らしている。危険だ、退け、行っては行けない。
「何を今更…」
胸元の服を握って気持ちを落ち着かせる。すると物陰から男へと襲い掛かる三人組が走り出す。
「ちくしょう…!」
グズグズしていた内に先を越されてしまった。三人組が和服の男を襲い打ち倒し、油断した隙を狙って食料を強奪する作戦へと変更しよう。男達から少し遅れて走り出す。
「え…?」
だが、彼の予想とは裏腹に思いもよらない結果になる。
和服の男を襲うべく走り出して行った三人組は瞬く間に首や胴体などの体が切断されて、細切れの肉塊へと変貌したのである。走り出していたキョウの足取りは段々と遅くなり、いずれその場に佇むようにして立ち止まる。一体何が起こった…?風のような銀色の煌めく物が見えが目をぱちくりして考える。腰へと何かを戻すのが見える、あれは剣か。
「あん?なんだ、まだ居たのか…俺に気配を感じさせないとは、ここの住人達は大したもんだな。」
男が振り返り目と目が合う、同じ三白眼の鋭い目付き。二人とも一斉に驚いた表情を浮かべる。
「「……!」」
「ガキ、お前…名前は?」
ゆっくりと義足を引きずりながらキョウとの距離を近付ける。足取りは重く、その体は鈍い事が伺える。
「キョウ…吉岡 恭。…吉岡香澄の息子だ。」
足が竦んで動かない。体も震えが止まらない、目の前の男からは死の匂いがして堪らないのだ。それは圧倒的強者を目の前にした状態、蛇に睨まれた蛙とはこういう事を言うのであろうか。それでも震える唇に喉から何とか声を振り絞りしっかりと答える。
それを聞いた男は、彼の目の前に来た時に立ち止まり、額に片手を上げて大きく笑う。
「ククッ…クククッ…クハハハハッ!なんて、偶然だよ。こんなゴミダメみてえな腐った街で、まさかの拾いもんと来た!するってーとなんだ、香澄はくたばっちまったかおい?」
瞬間、男の物言いに怒りが湧き上がる。先程の恐怖心に打ち勝つ怒りで手に持つ鉄パイプを握り締めて襲い掛かり男の顔面へと向けて振りかぶる。
「そう、怒んなよクソガキ。図星か、あの野郎…死んでからも余計なお荷物俺に預けようとしやがって。」
男が手に持つ刀、鞘に入ったままのそれがキョウの鳩尾に突き刺さる。手に持つ鉄パイプを地面へとからんと落とし、一瞬呼吸が止まりながらも刀を鞘の上から握る。
「かはっ…」
「お…意外にも打たれ強いな。俺の刀に触るんじゃねえよ、っと!」
刀を掴まれると意外そうな表情でキョウを見下ろしながらも容赦なく彼の顔面に蹴りを入れる。子供の体でもあるので容易くキョウは宙へと吹っ飛び地面へと背中を打ち付ける。
それが、父である鷺沢狂四郎との初対面だった。
どこだここは。目が覚めると見知らぬ天井が視界に広がる。周囲を見渡して状況を確認するもここは、いつものサユリと一緒に暮らす廃墟とは違うようだ。
「くっ…」
意識が覚醒すると忘れていたように体の痛覚が蘇る。そうだ、俺は父親と会って…。
「…っ。」
はっきりと思考が出来るように意識が目覚める。父親にもし会えたら、頼りに出来ると心のどこかで希望に思っていた。俺をボコボコにするだけじゃなく母さんの事も愚弄した…あんな最低な父親の事は忘れよう。涙を堪えて歯を食い縛る。それよりもサユリを早く迎えに行かなければならない。今も寂しく廃墟の薄暗い部屋で待っている筈だ。
「くっ…はっ…」
痛みを主張する体に鞭打ち、壁に寄り添いつつも立ち上がる。そして壁に体を預けながらドアに向かってゆっくり歩く。すると外側から誰か帰って来たのかドアが開き鷺沢狂四郎が姿を現す。
「起きたか、痛みに少しは耐性があるみたいだな。」
何やらご機嫌な様子。口元には笑みが浮かんでいる。
「あんたには関係ないだろ。帰る…あんたには迷惑かけない。」
現れた父親を睨み付けながらも、もう他人だと宣言してドアへと向けて歩き出すが、彼が口にした事に言葉を失う。
「帰るって、あのガキの事か?サユリって言ったか…」
こいつにはサユリの事は話していない、何故それを知ってるんだ。キョウは直ぐに声を張り上げる。
「サユリに何をしたー!」
おかしそうに笑いながら鷺沢は懐から板チョコを取り出して見せ付けてくる。
「俺は何もしちゃいねえよ。ただ、こいつに化けただけだ。分かんねえか?取引きだよ取引き、ここのルールで、人間らしく物々交換するのさ。あれは変わり者の変態だな、今頃どうなってるか。」
人身売買という奴だ。鷺沢の口振りから察するに、サユリを売ったのだ、板チョコ一枚と引き換えに。最初は信じられないと言った表情で口元をぱくぱくと開閉させていたが、激昂しながら拳を握り、殴りかかる。
「っ…さま…貴様ぁぁあああ!」
瞬間、どごんと鈍い音が響く。勿論キョウが男を殴った音ではない。刀の鞘で顔面を横殴りにされて床を転がる。
「…してやる…殺してやる…!」
床に転がり痛みよりも怒りがキョウを支配していた。子供ながら殺気の篭った尋常じゃない目付きで鷺沢を睥睨する。
「ククッ…そんな体で、まして弱いお前がどうやって俺を殺すって言うんだよ。だがその殺気は大したもんだ。流石は俺のガキ。俺に勝てる剣士は世界中探しても見当たらないと来た、お前に俺を殺せるか…ちょっとした、人生の暇潰しでもするとしよう。」
煙管を咥えて煙を吹かししゃがむ。鷺沢は床に倒れる息子をまるで玩具を見つけた子供のように、前髪を掴んで眺めた後に投げるようにして離す。と再びドアから外へと出て行った。そんな外道の後ろ姿を見送りながらも涙に零れる目元を俯かせて地面を何度も叩く。
「クソ……ちくしょう…クソがぁあああ!」
マモレナカッタ…オレハ、マタマモレナカッタ…オレハヨワイ…ヨワスギルカラ…。
その日一日中廃墟街で少年の嗚咽が鳴り響いた。
二日後、倒れているキョウの目の前に何かの鳥の、焼き鳥が地面へと投げ落とされる。キョウは睨み付けながらも焼き鳥を一心不乱に貪り食う。
「食ったな、んじゃ先ずは左手で片手で素振り五千回、右手で素振り五千回だ。」
投げ落とされるのは、今度は食料ではなく一際分厚く重い木刀だ。
「何言って…」
否定しようとした所で腹部を突くようにどごんと殴られる。
「ぐっ…」
苦痛に表情を歪めるが、構わずにまたもや殴られる。
「痛がるな。表情に出すな。声に出すな。敵に悟られるな。実力では劣っていようが、心だけは屈するな。今のお前には、勝機はそこしかないんだからな。」
散々にいたぶられる、遊びのようにキョウの体を殴り蹴りを繰り返す。体中は痛みにより動かずに地べたに這いつくばって、鷺沢のにやけたツラを睨み付ける。
「絶対、殺…やる…いつか…かならず…」
「おーおー、やってみろ。無理だろうがな。」
翌日から、スパルタとも言える訓練が始まった。小さな体に見合わない大きく重い木刀で素振りを強要させられる。
言われた回数をこなせずに木刀を落とすと執拗なまでに殴り蹴るの暴行を受ける。痛がる限り意識を失う事も許されずに水をぶっかけられて、暴力に襲われる。
「使えないガキだな。俺はちゃんと出来る数を言ってるんだぜ?腕が上がらなくなるのは、お前の頭が意識的にストップをかけてるからだ。人間は自分の力の3割程度しか使ってねえ…リミッターを外せ。限界を超えろ。」
理不尽な言葉が注がれる。もう殴られるのは嫌だ。でも腕が重いし…痛いのは嫌だ…。素振りに暴力は暫くの日々まで続いた。最初は片方五千回ずつだった物がやがてその倍近くは軽くこなせるくらいに成長する。
毎朝起床後、素振りが片方三万回ずつまで出来るようになると、新しい訓練が追加される。鷺沢がどこからか持って来た剣術指南の本や戦略戦術書の数々を読まされる読書の時間だ。読めない漢字や意味が分からない物がある等苦労したが鷺沢は思いの外優しくキョウに教えてくれた。読書の時間は好きだった、痛くもないし辛くもない、彼の安らぎの時間だった。寝る前に本を読み、朝の素振りの時間に前日の夜の本の内容を復習のように問題を出される。正解出来なければまた過剰な暴力を受ける。この頃から暴力も殴る蹴るだけでなく、水の入った桶の中へと顔面を突っ込まさせられる。火で熱せられた鉄を体中に押し付けられる。刃物で体を傷つけられる。特殊なアイテムなのか電撃を体に浴びせられる等、暴力も拷問と呼べる物に多種多様になって行った。苦しんだり痛がる素振りを見せると殴る蹴るを受けるのは変わらなかったが。
過剰な訓練も一年が経過する。いつの間にか10歳になっていた。
「やったな、ガキ。初の実戦だ。」
廃墟街をうろつくさなか、鷺沢はこんな事を言う。こいつはいつだって突然だ。黙って頷く。
「あいつだ。」
指差された先にいる男は、異常な殺気を放っていた。まるで獣さながらの雰囲気。それもその筈、キョウには知る由もないが、その男は高額賞金首で世間を騒がす悪党だった。首狩りジョニー、元王国騎士の凄腕の剣士で人間の首を狩る事に性的興奮を覚える異常者。
ここ特区は人間が住む環境ではないので、世間からならず者達が逃げ込む場所としても、絶好の隠れ家なのだ。
「っ…」
キョウは一瞬で理解する、指差された先の男と自分を比べて無表情ながら体が身震いをする。絶対的な力の差、今の俺では勝てない…と。
「おー、感じたか。今のお前には勝てない、当然だ。」
そんなキョウの様子を横目に見て口元を歪める鷺沢、ちょっと待ってろとの言葉と共に鷺沢はジョニーの元へと向かう。
「よう、首狩りジョニー。」
「なんだて…鷺沢狂四郎!?なんでこんな所に…クソ、見逃してくれねえか。へへへ…」
どうやら鷺沢は有名人のようだ。彼の姿を見てへりくだるように後ずさるジョニーに煙管を揺らしながら笑って答える鷺沢。
「おう、構わねえよ。逃がしてやる…ただ条件が一つ。あそこにいるガキを殺せ。」
指差されて会話の内容を聞き、キョウはギョッとするも表情には出さない。腰には今日住処から出て来る時に何故か渡された一本の日本刀がある。鷺沢に襲いかかりはしなかった、今の自分では不意をつこうが鷺沢に一太刀入れるイメージすら湧かなかったからだ。そういう事か…出来なければ死ぬ…。今日から訓練もグレードアップする、本格的に訓練開始なのだ。
「あんたのガキか?本当に殺っちまっても構わねえんだろうな。」
「ああ、構わねえよ。死んだらそこまでの奴だったって事だ。」
「約束は守れよ。」
「勿論だ。っとその前に…」
キョウの元へと向かおうとするジョニーの片足の膝を、刀を振るって鞘で砕く。
「ぐわぁ!てめ、何しやがる!逃がしてくれるって…」
「うるせえ、黙れ。お前が簡単に殺しちゃ、狩りの練習にならねえだろ。これで五分五分、いや…まだお前の方が強いか。もうお前には手は出さねえよ。」
「っ…忘れるなよ、さっきの言葉。…坊主、悪いな…恨むならてめぇのクソ親父を恨むんだな。」
背中越しに鷺沢を見た後にジョニーは片足を引きずりながらキョウに向かって舌舐めずりして言葉をかける。
「おーい、ガキ。ぼーっと突っ立ってんな、殺らなきゃ殺られんぞー。」
足が竦むキョウに呑気に間延びした声で呼び掛ける鷺沢。
「ちっ…」
クソ…冗談じゃねえ。近寄って来る男から逃げるようにバックステップする。片足しか動かない男だ。半日もすりゃいずれ疲れて倒す機会もあるだろう。
「何逃げてんだ。条件追加だ、ガキ。一時間以内にそいつを殺せなきゃ。俺がお前を殺す。」
そう言って懐から懐中時計を取り出す鷺沢。ふざけろ…こんな化け物相手に一時間の時間制限だと?だが、鷺沢は容赦のない男だ。この言葉に嘘はないだろう。キョウは腰の刀を抜き両手で正眼の構えでじりじりと男と距離を詰めて行く。
「「……!」」
キンキンキィンッ!間合いに入った途端剣撃が繰り返される。男は片足ながらも片手に力を入れて剣を振るう。キョウも負けじと刀を振るうも二回剣を交えてその圧倒的な実力差は明らかだと証明される。
キョウは腕を斬られ血飛沫が舞う。表情には痛みを感じさせないが剣で斬り負けた事は理解する。首を狙って放たれたそれを咄嗟に躱して刀で防ぎ切っ先を腕が掠めたのだ。それから間合いを詰めては退き、円を描くように移動しては隙を伺いと色々手を尽くすも打開策は浮かばない。元々圧倒的な実力差があるのだ。例え片足が使えずとも大人と子供、力の差は歴然だった。
「あと1分だぞー?」
鷺沢の呑気な声が響く。他人事だと思ってこの野郎。生殺与奪は目の前の男と鷺沢にあるのだ。
「ククッ…」
ジョニーにも余裕の表情が浮かぶ。後一分、何もせずともガキは鷺沢に殺され自分は逃がして貰える、余裕が生まれるのも無理はない。
「あと45秒…」
鷺沢がカウントを始める。何かしてくるならもう時間がない、ガキは突っ込んで来るだけだと高を括る。
「……!」
キョウが動く。ジョニーに向かって突っ込むように下段の構えで走って距離を近付けて行く。
「馬鹿め!」
男は歓喜の声を上げる。思った通り捨て身の特攻だ。これだからガキは分かり易い。が男の考えとは裏腹にキョウはただ突っ込んで来るだけではなかった。
「邪剣…竜尾返し…。」
下段に構えた刀を斜め上に向け斬り上げるようにして発生させた砂埃で敵に目潰しをする技。
「このガキ!小癪な真似を!」
男は目の前にいるであろうキョウへと向け剣を横薙ぎに振るうが、空を掠める。
「どこ行きやがったガキ!」
「暗殺剣…虎ノ眼…。」
咄嗟に普通の構えとは違う、下段に右手に刀を持ち、超低空に伏せて、獲物を狩る前の虎のような体勢。片足を軸に回転して男の両足を切断。
「ぐぁああああ!」
瞬間男は絶叫する。キョウはそこから飛び上がり右腕を思い切り振るう。スパスパッと音がして男の両腕と一緒に首を切断しシャワーのように血飛沫を体中に浴びる。
「残り30秒…ぎりぎりだったなおい。」
呑気にあぐらをかいて座り酒を飲む鷺沢。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
キョウに答える余裕はない。体中血塗れで手に持つ刀を地面へと落とす。息は乱れて男の亡骸を見下ろす。
「ごほっ、げえー…」
その場に膝をついて口を押さえながらも嘔吐をする。初めての人殺し。追い詰められていたとは言え、こうも酷く人を殺したのだ。
「おう、ガキ。童貞卒業おめでとう。これでお前も人斬りの仲間入りだ。ちょっと遅いくらいだがな、俺は五歳で卒業してる。」
キョウの傍へと寄り嬉しそうに珍しく過去を語る鷺沢。
「はぁ…ふぅ…ごほっ…げほっ…。」
そんな父親を背中越しに睨み付ける。口元を押さえながら食べた物をこれ以上無駄にしないように再び口の中に飲み込む。
「いずれ慣れる。何も考えずに殺せるようになったら一人前だ。」
そんな様子のキョウを見下ろして手に持つ酒を頭からかけてやる。人斬りになった祝い、元服の証だろう。
それからは日課の素振りに読書。技の練習をさせられ上手く出来ないと拷問。時たま廃墟街を連れられ、人斬りの死合いの日々が続く。
《外道・あとがき》
当初は8歳〜12歳の間を書こうとしていましたが、物凄く長くなりそうなので分割させて頂きまして、8歳〜10歳編となります。今回の見所はタイトルにある外道な父親との出会いと、居ると長文が増すばかりなのでサユリの退場←、そしてショタなキョウが痛めつけられまくるスパルタ教育に、力を入れて見た戦闘シーンです。外道のキョウシロウはこんな過酷な少年期を過ごしていたので、現在の人類最強クラスになったのも納得頂けたと思います←。
今回出た二つの技の補足を。技の名前は全て某時代劇が元となっています、技の中身は違いますが。
邪剣竜尾返しについて。目潰しに使った卑怯な技ですが…下段の構えから斬り上げる逆袈裟斬りで、更に跳躍する事で技の出も早くなり、カウンターも狙える有能な剣技です。ドラゴンの尾を刀に見立ててる訳になります。
次に、暗殺剣虎ノ眼。虎伏絶○勢?←。いや、知ってる方は戰嵐○勢じゃん?順手だしと突っ込んで頂ける筈。地に伏せる虎を意識した技です、虎になれ虎に←。本来武士は卑怯だからと足元を狙わないのですが、それを無視した実戦的な物。かっこいいですが、先述の目潰しをやったり隙を作らないと実際には成功しません。ボクシングのカエルパンチよろしく跳ね上がって斬りかかれるので単純な威力は物凄く高いです、随一の破壊力を持つ技かもしれません。
長くなってしまいましたが、最後に次回予告を。外道の過去なんてどうでも良い、と言う方に朗報!←。次回は某末爆組(略した←)のお話になります。実は早く書きたくて外道編を分割したと言っても過言で(ry←)長文失礼致しました。では次回に。
名前がゴールデンボンバーみたいな(*´▽`*)←
カエルパンチですか、別名輪島斬りでどうでしょう←
次も期待してますね!
《末永爆発組/前編》
「おいおい、大丈夫なのかよブレイヴ。激しく嫌な予感がするんだが」
全身をプレートアーマーで覆う身の丈190cmを越える大男が横を向いて二人の人物へと意見を申し立てる。
「心配するなよダグ。そこら辺は徹底してるっつーかお前ら二人と飲みに行ってくるって許可貰って出てるから。でキョウシロウ、異変はないだろう?」
真ん中の席の金髪碧眼の垂れ目で容姿端麗な見た目をした青年が答えダグとは逆の左隣へと目を向けると扉が開き黒髪のポニーテールの青年が丁度席へと着く所。
「ああ、お前らと待ち合わせしたこの場所は入り組んでいて分かりにくい。周辺には尾行してる奴も居なかったぜ」
煌びやかながら薄暗い店内には給仕に際どい服装のバニーガール姿の女性達が狭い通路を行き交っている。それぞれの席には円形になるような配置でソファが置かれ、店内は空席が見られない程賑わいを見せている。その座席の一つに三人の男達が座っていた。
「これだよこれ。旅をして新たな街へ着く時の楽しみは!世界には様々な人がいる…ご当地の女も地域によって変わって来るからな!良い店を教えてくれたねキョウちゃん」
「この街には昔来た事があってな。風俗系を取り仕切る裏ギルドの頭との取り引き先がここだったんだ」
「ほー、意外とこう言う店ばっかり入ってんのかと思ったぞ」
「なわけねェだろ、鎧野郎。金の無駄だ」
運ばれて来た酒をそれぞれ煽りながら和気藹々と話す三人。この時は楽しそうにしていたのである。
「で勇者君、お前の奢りとは珍し過ぎる話なんだが一体どうした?」
「よりによって女がいる飲み屋と来た事だ。金もかかる…お前一人だけなら兎も角、俺ら二人にも奢るっつーのは相当だろう」
「ふっふっふっ!いやね、彼女の一人も居ない君ら二人は女っ気が無くて可哀想だと思ったから、せめてもの配慮さ!」
そう、今日の飲み代は勇者の奢りなのだ。女と金が命と豪語するゲスの一角の勇者が、だ。みんなの兄貴分事ダグと銭ゲバゲス仲間キョウシロウの二人が聞くのも無理も無い話である。二人の疑問に気分良く勇者(笑)のブレイヴは嘘か本当か答える。
「幸せほやほや真っ只中の勇者君は言う事が違うな。彼女…彼女ねぇー」
「ああ、余計なお世話だ。女なんざ金がかかるだけだろう。こう言う場所で働いてる奴はアウトもアウトだ。最低限金がかからない奴、又はヒモで生きてけるような富豪の女が理想だぞ」
名目上は慰めを受けた二人。片や彼女が欲しいのかどうか分からない陽気な兄貴分、片やどこまでも金な命で女性からしたらゲスな都合の良過ぎる理想像を述べる守銭奴。
「ほう、金のかからないと言えばルシア、ヒモになれると言えばルイ。仲間にいるってのもどうなんだ、ってルイはやらんぞ!」
「いや、いらねェよ。」
「ルイはブレイヴにメロメロだからなー。見てるだけで微笑ましくなってくんぜ」
該当する人物を思い浮かべ仲間内にいる事実にしみじみしたと思えば直ぐ腕をバッテンにして威嚇するブレイヴに、肩を竦めて直ぐに断るキョウシロウ、恋バナが好きなのかニヤニヤして僧侶の勇者への思いを口に出すダグ。冒頭で嫌な予感がするとか言って置いて酒も入り楽しいお話にすっかり忘れてるようだ。
「おほん、本題に入ろうか。今日二人を呼んだのは他でも無い頼みたい事があってだな__」
咳払いをして佇まいを直し目的を果たす為に奢るとまで言った大事な要件を二人に告げようとするブレイヴだったが、静かとは言えない室内に扉が開く音がやけに響いた。
「「「……!?」」」
ゾクリ!肌寒さのない今の季節。扉が開き来客が訪れた途端に三人の頭に警鐘が鳴り響く。言いようのない不安に三人はゆっくりとギギギと音が鳴るような動きで扉へと目を向ける。
「ふふふ…」
そこには素敵な笑顔を浮かべる長い金髪の白いローブを着た僧侶の女性。鉄球であるモーニングスターが地面へと付き引きずって来たのか鎖がジャラジャラと音を立てる。彼女の背後にはゴゴゴゴと大きな文字が見え、更にゆらゆらと炎のように揺らめく黒い炎が幻視出来る程に空間が謎に歪んでいた。勇者の愛しのルイちゃんのご登場である。
「あ、えっと…」
「はは、いやー」
「ふぅ…」
それまでの賑やかムードは一転。ブレイヴは表情が固まり笑顔が引き攣り片手を上げて言葉につまり、ダグは頭を掻いて隣の勇者と扉の前のルイを交互に見比べ、キョウシロウは現実逃避か煙管を加えて煙を吐き明後日の方向へと目を向けている。一気に酒が抜けた三人。冒頭の三人の会話、大丈夫かと心配するダグ徹底してると余裕ぶったブレイヴ抜かりはないと確認したキョウシロウ。見事と言うしか他に無いフラグを建設していたのであった。
《末永爆発組/前編・あとがき》
ルイちゃんのリクエストにお答えしまして2年ちょいぶりに執筆です。外出中と休憩時間に即興で執筆なので粗があるやも←
前編中編後編を予定しております。時間軸は2年前になります。この後はちょっとしたバトルが始まります、はい←最後はハッピーエンドになりますのでご安心を!
《末永爆発組/中編》
「何か、言う事はあるでしょうか?」
こつりこつりと靴音を響かせてゆっくり歩いて来るルイ。相変わらずの笑顔で、美しい唇から紡がれる言葉は銃口を突き付ける冷たさを錯覚させ、三人は処刑台で実行を待つ囚人の気分を味合わされていた。
「さて、トイレに…」
「行かせねえよ!待てやぁぁあキョウシロウ!トイレなら刀置いてけー!そして何故さり気なく自分の分を支払いしてく!」
「バカ!お前。刀は侍の魂だから!いや、そもそも俺はたまたま、たまたま!お前らに会っただけだし!」
「いや、ルイ、これには事情があってだな。ブレイヴも浮気とかじゃなくてだよ。取り敢えず話を聞いてくれるか?」
すっと三分割で割り勘にした時の請求額を置き立ち上がるキョウシロウの服の裾を掴む勇者。逃げようとするキョウシロウに止めるブレイヴ。わちゃわちゃと騒ぐ二人と違い流石は年上で頼れる兄貴、片手の掌をルイへと向けて落ち着いて冷静な態度で先ずは話し合いをしようと提案する。
「そもそもこの店選んだのキョウシロウだろ!」
「それを言ったら『女のいる店よろしく』って注文したのはお前だ!」
「俺はこんなえっち衣装の女がいる店とは言ってませーん。取り敢えず潔く死.ぬのが尊いのが侍だろ!死ぬが華と心得るんだし、頼む俺の代わりに逝.ってくれ!仲間(盾)だろ!?」
「何でお前の為に殺られなきゃいけねェ!亡くなるとしても札束に埋もれるか金銀財宝に囲まれてなきゃ死.ぬに死.ねねェよ!つかお前の女だしお前が何とかしろ!」
原因をお互いになすりつけようとして我先に逃げようとしてお互いにそれを邪魔するゲスコンビ。何故かそれまで満席に近かった室内もいつの間にか煙のように人々が消え、現在男三人と女一人だけになっていた。
「分かってくれ…たわけじゃねぇよなぁ。ふぅ…お前ら下らねぇ言い争いしてんじゃないよ。時間稼ぎしてやるから、それまでに冷静になれ」
一定の距離へと近付き立ち止まるルイを見て安心しかけるダグだっだが、雰囲気が一切代わりない事で諦めにも似た溜め息を零す。背中越しに騒がしい二人に注意をしてから年上の威厳を見せ、二人に広い背中を見せるダグのその姿は逞しくも頼りになるの一言であった。
「先に外に行ってろ…なっ!」
ほぼノーモーションで放たれた飛来する鉄球。ダグはドッジボールの球をキャッチするようにして鉄球を受ける。ドゴン!と鈍い音がするが見事に鉄球を胸に抱えるようにして受け止めたかのように見えた。
がしかし、鉄球は勢いを止めずにダグを吹っ飛ばし店の壁に減り込むどころか破壊し瓦礫へと埋まり暫し時間が経っても姿を見せないダグ。
「あの鉄壁の鎧野郎が…」
「一撃…だと…?」
勇者メンバーの中でも随一の守備力を誇るダグ。本来ならば鉄球の一投如きでやられる筈が無い。特殊条件下でのパッシブスキル乙女の愛憎を発動させている僧侶さんは全能力が愛の強さ分累乗させ過剰なパワーアップを果たしているのだ。それまでの言い争いをしていた二人はピタリと動きを止め、瓦礫へと消えたダグを信じられない物を目にしたように瞠目させる。
「まずは邪魔者一匹目…ふふふ」
怪しく笑い片腕を振るって鉄球を引き摺り戻すルイ。
「「…!?」」
隙を付きお互い示し合わせたように左右へと飛び外へ向かうべく走り出すブレイヴとキョウシロウ。
「う、お…!?」
鉄球が飛んだ方向に居たのはブレイヴ。ギリギリスライディングをして窮地を脱するブレイヴは無事に外へと避難に成功する。
「わざと逃したんです、ブレイヴ」
勇者が避難したと同時にキョウシロウに向かって跳ねたルイは鉤爪を振るうも、難なく刀で受け止められる。
「おいおい、俺相手に接近戦とか舐めすぎじゃねェか?」
「貴方が、です」
「床が!…はや…!」
ルイが地面を踏み抜く事で地震に足をぐらつかせ地割れが発生しキョウシロウは後方へ飛び退く。直ぐに空中戦が展開、再び振るわれた鉤爪の一振りを刀で受け流すも続けて放たれた回転裏拳を躱す事はならず、肩を上げ守りに移るが衝撃にキョウシロウは横回転しながら宙を吹っ飛び背中から天井へと激しく衝突、落下途中に吊るされたシャンデリアへと引っかかり沈黙する。
「二匹目…最後は貴方ですよ、ブレイヴ。待ってて下さいね…うふふふ」
恋する乙女のパワーは無限大。勇者の運命はいかに!?鬼神、否…鬼嫁と化したルイを止める事が出来るのか。
《末永爆発組/後編》
「ダグ、キョウシロウ…俺はお前らの事を忘れない、明日までは。安らかな眠りを」
酒場から脱した勇者。一度立ち止まると振り返ってからそこらにある石を拾って『ダグとキョウシロウの墓』とマジックペンで書いてそこらに放り投げる。因みに直ぐ消える水性ペンだ。勇者は仲間の死.を悼める男なのだ。
「崇高な俺の為に犠牲になれた事は光栄だっただろ?誇っていいぞ、お前らは英雄の礎になったんだからな」
そして泣いたように笑う勇者。手を合わせて黙祷をする、三秒程。
ゴーンと二度目の破壊音。キョウシロウが殺られた音だ。
「お呼びでしょうか?」
「良く来たマイシールド!ちょっとこれ着て突っ立っててくれ」
「分かりましたが…」
現れた仲間の一人の忍者に勇者は自分の甲冑とマントを脱いで忍者に着させる。シュウは不可解な命令に思いながらもいそいそと着替える。
「じゃ!頼んだぞ」
「これがご命令とあらば。貴方様の下知を立派に果たして見せましょう」
気軽に片手を上げて颯爽と去るブレイヴを見送るシュウ。
「ブーレーイーヴ〜」
勇者が去った後にタイミング良く崩壊を始める酒場から現れる鬼神、もとい鬼嫁。地の底から響くような声色。
「へ…?」
丁度勇者を見送る為に背中を向けていたシュウの体にモーニングスターの鎖が絡み付く。
「違う…お邪魔虫」
引き寄せられたシュウの顔を見て勇者とは別人と気付いたルイちゃんはシュウの顎にアッパーカットを決める。
「ぐ、わぁぁああ!」
キラーン。シュウは空のお星様と化した。
「こっち、ですね」
鼻をすんすんとさせて匂いを嗅ぎ勇者の匂いを探すルイ。今の彼女の嗅覚は犬をも超える。勇者には逃げ場はどこにもないのだ。
「振り切った…か?」
街中をジグザグに逃げ回ったブレイヴはしきりに後ろを振り返り追っ手がない事を確認する。勇者はフラグを口にしてしまった。
「…!」
立ち止まりなんと無しに建物の屋上に立つ人影を見つけてしまう。くーる、きっと来る。
「ふふ…ふふふ。どこに行くつもりで?」
「くぁwせdrftgyふじこlp」
下弦の月を思わせる口元の影を落とした顔で笑顔を浮かべるルイちゃんを見て声にならない悲鳴を上げるブレイヴ。
「俺は…まだ死.ぬわけには行かないんだ、俺の為に死.んだあいつらの為になぁぁああ!」
拳を握り締めて精悍な顔つきで咆哮を上げるブレイヴ。奴ら(忍者を除き)は別に勇者の為に死.にたかったわけてはないが、それは言ってはいけない約束だ。そして決意をしてかっこいい事を言うがあっさりと逃げる勇者は路地裏へと入る
「ぶは…」
「って、なんだァ…勇者じゃねェかァ。どうしたこんなとこで」
路地裏の角で誰かとぶつかる。長身の男は紺色のローブを纏っていた。
「ははは!神は我に生きろと言っている!」
「あ"ん?」
大声で笑い出す勇者はエドの肩を叩いて不敵に笑顔を浮かべる。怪訝な顔のエド。
「マイシールドよ、ファイト!」
「ってなんだ…うぉ!」
ぐっと親指を立てて意味深な事を言う勇者の去る方向を見て何だったんだと首を傾げるエド。しかし顔面に向けて飛んで来た鉄球を首を動かすだけで躱す。
「また邪魔者…」
「ルイじゃねェかァ…」
「排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除!」
「ぐふ…ぉお!」
鉄球を躱した事で顔の横を素通りした鎖を掴み引き寄せるエドであったが、襲撃者が良く知る僧侶であると気づく。しかし懐に飛んで来たルイの左右の拳による連打は音速を超えていた。一発打つたびに鈍い音を響かせる強打に腹部を滅多打ちにされて血反吐を吐くエドは地面へと沈む。いかに魔王と言えどルイちゃんの愛のパワーの前には無情にも殺られるしかないのだ。
「探したぞ、ラインディ」
走り回る勇者の前にやって来る人物。ハーフエルフのルシアさん。
「ルシア!丁度良かった!約束の物は!?」
「あるぞ。ほら…僕も狩りにあの山に行く予定だったからついでに取って来た」
神は勇者を見捨てて居なかった。ブレイヴはルシアへと詰め寄ると彼女はローブの中のシーツからゴソゴソと一本の花を取り出す。シーツのどこにしまっていたのか?男性読者のご想像にお任せしよう。
「鬼ごっこはもうお終いでしょうか?ご覚悟はよろしいですね」
服を返り血に染めた僧侶様(恐)がゆらりと影のように路地裏から姿を現わす。
「俺は逃げも隠れもしねえよ、ルイ」
さっきまで逃げたり隠れたりしていたのは誰だったでしょうか。不敵な笑顔で斜め45度のかっこいい決めポーズを取る勇者。
「神に祈りなさい」
「悪いが俺は無心論者なんでね」
ぶんぶんと鎖を振り回し鉄球の回転力がどんどんと速まる中、ブレイヴはダッと踏み込んでルイへと接近する。
「…これ、は?」
ルイの拳が振るわれる前に彼女の眼前には、ブレイヴの持つ一輪の花。勇者は片膝をついて花を差し出していた。
「アイリスネーション。花言葉は無垢で深い愛で貴女を愛します」
深い色の赤と青の葉が折り重なる花の名。近くの山に群生地がある事で、狩りに行くルシアについでに取って来てくれるように頼んだ物だ。
「ブレ、イヴ…貴方って人は…」
濁った色目から光を取り戻すルイちゃん。花を受け取り顔をどんどん真っ赤に染めて行く。
「で、でもあんなお店に…!」
「あれは寂しい人生を送るダグとキョウシロウへのサービスだ。そもそも二人に頼み事をしようとしてたんだしな。」
騙されないぞと言及しようとするルイの声に被せるように発言して照れ臭そうに頬をかくブレイヴ。
「次行く街の途中に夜景が綺麗なベストスポットな丘があるんだ。奴らにそれとなく二人っきりにして貰うように頼みつつ。サプライズでこれを渡そうとしたんだよ」
「ブレイヴ…」
「ルイ…」
見つめ合う勇者と僧侶。お互いの手を握り顔が徐々に近付いて行く。
「いやー、暑いな暑いぜ。鎧越しに受けた打撲が熱を持ってるみたいだ」
「全くだァ…で、俺達はなんでこんな怪我負わなきゃいけねェんだろォなァ」
「俺も大破された店の信頼を失って取引先を一つ失い、沈んだ気持ちにその暑さを分けて欲しいぜ」
三つの影。勇者に盾にされた被害者の会が集まった。みんな顔や体中に包帯を巻き素敵な笑顔を浮かべている。
「お前ら!お亡くなりになったわけじゃ」
「え…え?皆様その怪我は…?」
バッと勇者と僧侶の距離が離れる。乙女の愛憎状態の記憶はなくわたわたするルイ。
「転がってたから持ってきたぞ」
「ふいはへん…ひへんはひほひい(すみません、地面が気持ち良い)」
ルシアさんは星になって道端に落ちたシュウを引きずって来た。シュウは顎が外れて上手く喋れないよう。被害者の四人はここに集結した。
「だァれがァ、マイシールドだってェエ?」
「この石ころ、なんだと思うブレイヴ?」
「まさか墓とか言わねェよなァ?しかも鎧野郎と一纏めにしやがって」
「ふいはへん…ほはほりひはいほへふは、はらはばふほははふて(すみません…お守りしたいのですが、体が動かなくて)」
腹にぐるぐる巻きにされまくった包帯を巻くエドは地面を思い切り踏んで破壊する。傷だらけでボコボコに凹ませている鎧を着たダグは『ダグとキョウシロウの墓』と書かれた石を片手で握り潰す。キョウシロウは片腕を添え木で固定されながらも刀を抜いて近くの建物を斬り、建物は横へとズレて崩壊。
「愛の逃避行だ、ルイ」
「え?えぇ!?」
ひょいとルイをお姫様だっこする勇者に頬を染めて視線を逸らしながらも心音が跳ね上がるルイ。
「「「「逃がすと思うか(ァ)?往生せいや!」」」」
「だが断る!」
ルイを姫様抱きをしたまま駆け出す勇者に追う四匹の復讐者三人。騒がしくも愉快、わりと美女とイケメンで構成されている最近の勇者ご一行。
「ほうふうほほへほうは?(どういう事でしょうか?)」
「いや、バカばっか、だな」
残された二人。何が何やら分からず疑問符を浮かべるシュウと、はふとため息をつくルシアさん。しかし二人は楽しそうに口元が緩んでいた。遠くから聞こえる三つの怒号と破壊音、茶化すような嘲りの声を上げる笑い声。
彼らの旅はこの後唐突に2年の空白が訪れるもまた誰ともなく自然と集い続いて行く事になる。
《末永爆発組/あとがき》
後編は少し長くなってしまいましたが、末永爆発組完結です!忍者と魔王にも犠牲となって頂きました。ギャグテイストのお話でしたが、一番の見所はルイちゃん無双と被害者達のやられっぷりでしょうか←
ルイちゃん2年ぶりの約束を果たしましたぜ(予告に末永く爆発しろの小説を書くの約束←)
勇者と僧侶爆発しろ!との思いでキス…やらせねェよ!←精神のシメでした((
皆様方を書く場合は口調やキャラやらを表現するのが難しい…似非になってしまっていたら申し訳ありませぬ(;´д`)
次はどなたのお話を書こうn←
お疲れ様でしたー!!
いやぁ…うん、ギャグっぽい大団円はすごくいいんじゃないでしょうか!!!!←
次は…キョウシロウ君の空白の2年間なんていかがでしょー??
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