昔、よく行っていた駄菓子屋のおばさんの息子とよく遊んでいた。俺が住んでいたのはとても小さな町で、同年代の子供はとても少なかった。俺はそこの息子さんの事は「兄さん」と呼んで慕っていた。
兄さんとは年の差はあったけれど良くしてもらって、秘密の遊び場所や川での遊び方とか、たくさんの事を教えて貰った。
暇さえあれば、いつも遊んでいた。
◇
中学生に入って、経験したことのない感情に捕らわれた。
俺が中学生だった時、大学生になったばかりの兄さんに彼女が出来た。
俺の住んでいる町は小さいからもちろん大学なんて無くて、免許を取得して隣の大きい町にある大学に車で通っているみたいだった。
ある日中学から下校途中、駄菓子屋の前で車から降りてくる兄さんと可愛らしい小柄な女を見た。
俺は何故か気になって立ち止まって、二人から視線を外せないでいた。──すると、二人はキスを交わした。
もやもやした。
もちろん兄さんは彼女なんて出来てもおかしくない年齢だし、すごく格好良くなった。
────あれ? いつも兄さんの隣に居るのは、俺だと思ってたのに。
走って帰って、布団にくるまって一晩中泣いた気がする。
次の日は目が腫れ過ぎて、学校を休んだ。兄さんの事ばかり、考えてた。気付けば俺の初恋だったと思う。
高校生になっても、大学を卒業した兄さんはその彼女と付き合っていた。
俺はまだ兄さんの事が好きだから、二人で居る所は見たくなかった。そして、死んでも結婚の報告は聞きたくなかった。
だから極力兄さんとは話さないようにしてるつもりだったけれど、何を察したのか兄さんは何かと過保護になって俺を気にかけてくるようになった。
優しくされると、─…止まらなくなるの、に。
頭、撫でるなよ。
────涙が出そうだ。
「 兄さん、愛してる。 」
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