ももか(๑→‿ฺ←๑) I Lᵒᵛᵉᵧₒᵤ宿題 2014-08-03 19:56:59 |
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「文化祭。しの、午後からずっと放送室にいるんでしょ?」
『うん。』
「うんって…
あんたは納得できてもね、私は納得いかないのよ!
たしかに、放送係は一番めんどうだけど…
不幸体質のしのとじゃんけんして、負ける人なんているわけないじゃない!」
たしかに…
私の記憶が正しければ、私はじゃんけんで勝ったことがないけど…
『そんなあからさまに言わなくても…』
「あ、ゴメン…」
まぁ、私の不幸体質は折り紙つきだし
『じゃんけんで決めるって言われた時点で、結果はわかってたよ。』
「もう。そのあきらめ癖、よくないよ?」
『はいはい。』
ちょうど会話が終わった頃、学校についた
そして私は、そんなどこにでもありそうな高校の、どこにでもいそうな女子高生
美人じゃないけど、ブスでもない。
地味じゃないけど、目立ってるわけでもない。
みんなより、ちょっと勉強ができて、ちょっと童顔なくらい。
ホントどこにでもいる高校生
「しのっ! シャツのボタンかけ違えてる!」
『あ…』
少しドジなのは許容範囲内
「まったく…」
『いやー。朝急いでて。』
ボタンをなおしていると、
「しのー!」
そんな声が廊下から聞こえた
目をやると、廊下にいたのは違うクラスの男子
『なにー!?』
小走りで廊下まで向かう
「借りてたCD。」
『あー!わざわざありがとう。』
「また借りていい?」
『うん!ぜんぜんいいよ!』
「ありがとう。」
そう言って颯爽と去っていく男子
あの人モテるだろうな…
私はかなり友達が多いほうだと思う
さっきも廊下ですれ違った先輩に
「しのちゃん、1-Dって何の模擬店だすの?」
ってきかれた
けど…
『私、あの先輩知らないんだよね。』
「しの、有名だから。お人好しも大変だね。」
『たこ焼きですって言ったら、しのちゃんのたこ焼き食べに行くねって。私、ほとんどいないんだけど…』
「先輩ガッカリするね。」
そう言うのは、クラスメイトの中では一番仲のいい静香
『なんで?』
「しのはモテるから。」
『美人じゃないし。ちんちくりんだし。』
「そうゆうことじゃないのよ。女は見た目じゃないんだから。」
『うそー。』
「本当。うちの学校で“しの”って名前、知らない人はいないよ?」
『“しの”は名前じゃないよ。』
“しの”はあくまでニックネーム
本名は篠原美夜
篠原の“しの”なのに、みんな“しの”って名前だと思ってる
『名前知ってる人だけでも、“みや”ってよんでくれたらいいのに。』
「それだけ、“しの”が有名で“みや”が知られてないの。」
『まぁいいけど。』
自分でさえ、みや”って呼ばれても振り向かない気がする
「まぁ、しのはやっぱりしのだよ。」
『うん。』
「じゃあ、また明日ね!」
『じゃあね!』
ホームルームもおわって静香と別れ、亜由美のクラスへ向かった
亜由美のクラスは1-B
2つ隣の教室に入ると、そこには亜由美のほかにもたくさん人がいて、みんなで何か話してる
「あ、しの!こっちこっち!」
亜由美に手招きされ、向かった先にあったのは一枚の写真
みんなそれを囲むように立っていた
『なにこれ。』
写ってるのは男の人が4人
それもみんな派手な
「やっぱりしのは知らないか。」
どうやら、私以外のみんなは知ってるらしい
「黎明(れいめい)の幹部の人たち。」
『黎明?』
「暴走族。」
ぼ、暴走族…
『亜由美、暴走族好きなの?』
「そんなわけないでしょ。アイドルみたいなもんよ、この人たちは。」
たしかに、整った顔ばっかりだけど
「でも、かっけーよな!」
そう言ったのは確か…浜野君
「暴走も喧嘩も、この辺じゃ敵なしだ。全国クラスだよ。」
そんな暴走族がこの辺で活動してる…
背筋がゾッとした
『亜由美。行こう。』
「うん。」
もう聞きたくない
早足で校門まできていた
「しの、そんなに暴走族嫌なの?」
『大嫌い。』
暴走族って言葉すら聞きたくない
「しの、怖い人とかチャラい人嫌いだよね。」
『嫌い。』
「人は見た目じゃないよ?」
『でも、嫌い。』
「…相当ね。」
亜由美がなんといおうと、嫌いなものは嫌いだ
『そっちのクラス、カフェでしょ?』
話題を変えようと、そう話をふった
「うん。今日の買い物は食器とか。そっちは?」
『うちは、パックと爪楊枝と持ちかえりの袋とか。』
材料は直前に買いに行くことになってる
「そしたら、少し遠いけど大きい100均まで行こうか。」
『そうだね。』
そう決めて、電車に乗り込んだ
けど…
『なんか、怖い人多くない?』
「多いね。」
電車の中が妙に張りつめてる
それに、金髪率がすごい
これは…
「黎明の人達だ。」
『げっ…』
「誰かつけてるのかもね。静かにしてよう。」
『え、違う車両に…』
「どこも同じよ。」
そんなぁ…
「大丈夫。黎明は一般の人には何にもしないから。」
『うん…』
今はその言葉を信じるしかない
はやく降りてと願ながら、亜由美の隣で縮こまっていた
「あ…」
亜由美の声に顔をあげると、黎明の人たちぞろぞろと電車を降りていた
『げっ…』
この駅、私たちが通学にいつも使う駅だ
私と亜由美の家はこの駅から歩いて10分くらい
いつもこの駅から電車に乗って高校に行ってる
でも、よりによってなんでこの駅で…
「最近この辺治安悪いからね。」
『あんな人が来るから治安悪くなるんじゃないの?』
「私もそう思う。」
沈んだ気持ちのまま、電車はまた走り出した
そこから2駅行ったところで、私達は電車を降りた
私の気持ちとは裏腹に、街の中は賑やか
『行くのって100均だけ?』
「私のクラスのは100均だけでそろうよ?」
『うちのクラスも。』
「じゃあ100均行って、帰りにファミレスにでも入るか。」
『そうだね。』
行き先も決まったところで、私達は100均へ向かった
が…
「食器重っ!」
『誰か荷物持ちつれてくればよかったね。』
「はやくファミレス行こう。疲れた、のど乾いた。」
『はいはい。』
ヘロヘロの亜由美を連れて、駅に近いファミレスにはいった
「まったく。こうゆうのは男が行くんじゃないの?」
『男たちはみんな外のステージつくってる。』
うちの高校は公立高校のくせに、かなり大がかりな文化祭をする
「私、これ持って家まで帰れる自信、まったくないんだけど。」
さすがの亜由美も無理か…
『そうだ!彼氏さん、呼んだら?』
「…あぁ。」
そう呟くと、亜由美はおもむろにスマホを取り出し、電話をかけた
亜由美には入学してすぐ付き合いはじめた彼氏さんがいる
でも、あまり詳しいことは教えてくれない
知ってることといえば、一つ年上でうちの高校じゃないってことぐらい
「わかった。じゃあね。」
『なんて?』
「駅に迎えに来てくれるって。」
『よかったじゃん。じゃあ行こうか。』
会計をして店を出た
「ごめんね、一人で帰らせることになっちゃって。どうする?あっちの駅で待ってようか?」
亜由美はバイクで帰るから私は一人で帰るしかない
かといって、わざわざ待っててもらわなくても帰れるし…
「それに多分……黎明の人たち…」
その言葉でさっきの考えは吹っ飛んだ
『…まだいると思う?』
「一時間半くらいしか経ってないからね。
…あ。」
亜由美の目線の先には、こちらへ向かってくる一台のバイク
『私。目瞑ってたほうがいい?』
「なんでよ。」
亜由美が小さく笑ったとほぼ同時に、目の前にバイクがとまった
「大荷物だな。」
そう言ってその人はヘルメットをとった
初めて見る亜由美の彼氏さん…
第一印象はとりあえず……イケメン
まぁイケメン
「…カイ、荷物だけ持ってって?」
『え?』
「わかった。家の前に置いておくから。」
「うん。」
『そんな。悪いよ。』
せっかく彼氏さんが迎えに来てくれたのに…
「いいから。さっき見たでしょ?」
『そうだけど…』
「何か見たのか?」
不思議そうに亜由美の顔を見る彼氏さん
「…黎明の…」
「あぁ。それならやっぱり2人で帰りな。万が一があるから。」
「ほらね?じゃあ、これよろしく。」
「あぁ。家の前に置いとく。」
それだけ言い残し、彼氏さんは行ってしまった
『本当によかったの?』
「いいって。滅多に会えないわけじゃないし、昨日も会ったし。」
『そうなの…』
ならいいか。
「それに、海が……あ、カイって彼**?
海が前に、いくら黎明っていっても、危ない人はいるって言ってたし。」
『私は全員が危ない人だと思うんだけど…』
「アハハッ!そんなことないよ。」
亜由美の笑い声とともに、電車に乗り込んだ
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