新谷 2014-07-27 22:40:27 |
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《駅の中はどうなっていたか》
「記憶が断片的で思い出せない。この前の水曜日、朝7時半くらいの大久保駅だ」
「次のうち、どれかであった気がするのだが、覚えている人は教えてほしい」
1)平常通りであった
2)いつもより空いていた
3)猫がいた
4)誰もいなかった
5)いいや、どれも違う
大まかなことについては最初の頁参照です.あと,補足事項を>12に掲載しました.
引き続き,ボードの後に協力者が現れなかった場合は更新しません.
P-9
駅には猫がいた。駅の近くに病院があるのだが、そこの患者が餌をやっているらしい。駐輪場のあたりでは、度々野良猫を見掛ける。
はっきり言って、僕は猫が好きだ。でも、ここにいる猫は餌をくれない人には近付かない。僕は、猫は好きだけど、彼等が寿命を迎えるまで世話を焼いてやるつもりもないのに、気まぐれで見掛けたときに餌だけやるのは無責任に思えて好きではない。そのため、餌をやったことも一度もない。だから、ここにいる猫たちが僕に寄ってきてくれたことも身体を触らせてくれたこともない。
仕方がないから、いつも距離を置いた場所を歩きながら、横目でその様子を眺めるだけだ。
P-10
そうして通り過ぎようとしたら、不可解なことが起こった。一匹の猫が真っ直ぐこちらに向かってくるのだ。
予期せぬ事態と思わぬ期待に、僕は立ち止まった。しかし、1分と経たないうちに急ぎ足で駆け出した。むしろ、逃げ出した。寄ってきた猫は明らかにおかしかったからだ。というよりも、近付くにつれておかしくなっていっていた。
歩くごとに足が増えていっていた。
P-11
幸い駅の中はまだまともだったので、僕は背景が溶けださないうちに券売機で乗車券を買った。そして、すぐに改札を通過し、たまたま来た電車に乗り込んだ。行き先は確認しなかった。方向さえ間違わなければ、大抵の電車は停まる街に行くつもりだったからだ。
車内で僕は扉に寄り掛かり、俯き加減になっていた。なるべく、何も見ないようにしたかったので、目のあたりに軽く手も当てておいた。早く目的地に着いてほしいと願っていたが、ダイヤはいつも正確で、早いも遅いもないのだった。
その一方で、不正確な僕の耳は、祭り囃子を捉えてしまった。笛の音が聞こえ、次第に大きくなっていく。嫌だと思ったが、橙色の明かりが近くにあることが分かってしまう。人々の喧騒をすぐ隣に感じる。ここは電車の中のはずなのに。
P-12
子供たちがはしゃいでいる。盆踊りの会場のようだ。いや、違う。ここは電車の中だ。大人たちの話し声も聞こえる。上機嫌だ。酒臭い気配を感じる。でも、違う。ここは昼間の電車の中だ。
幻想を断ち切るように、駅名のアナウンスが流れた。扉に寄り掛かっていた僕は、扉が動いたことでバランスを崩しかけた。降車しようとする人と目が合う。不機嫌そうな瞳だった。邪魔になっていたのかもしれない。
よろめきつつも僕は降車した。降りた駅は実に普通だったが、窓から見える景色を除いてだった。
窓ごとに映し出された景色は全て違っていた。隣り合った窓が、全く別々の「外」を映し出している。美術館に飾られた複数の絵画のようだった。それなのに、他の人は何も気にしていない。
あるいは、そのように見えただけかもしれない。とにかく、僕はぞっとして階段を降り、改札をくぐって外に出た。
P-13
今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。今日こそは「探し物」を見つけたいんだ。
ウ-5
私は急に、今、ドルドル君が困っているような気がしました。近くの保育園から、元気な子供たちの声が聞こえてくる、穏やかな昼のことでした。
P-14
そう思っていたはずなのに、駅を出たら僕は赤いレンガの建物の上にいた。
確かに街並みは目的地のそれだったが、ここは駅の出口ではないはずだ。だって、一歩踏み出したら落ちる場所だもの。建物の上というよりは、建物の壁のふちと言った方が正しかったかもしれない。下をみると、街の中を歩いている人たちが見える。
ファンがいたとかw
え?いやいやいや…?ええ!?
HNは..ジョークでしょ..
言い訳しておくと,この先に記憶が曖昧な箇所がぼちぼちあったので,件の知人に確認をしてから,続きを更新しようと思っているうちに..こんなに日が開いてしまいました!;
明日か明後日あたりにはまた更新をしたいです;
P-16
いや、万が一ということもある。ここで死んでしまうというのも一興かもしれないが、自宅に1つだけ、どうしても他人には見られたくないものがあった。だから、飛び降りるのはやめておこうと僕は思い直した。
しかし、飛び降りないのなら、どうやってここから移動すれば良いのだろう。下を歩いている人たちに助けを求めるべきか。でも、僕は事を大きくしたくはなかった。
落ちないように、壁に沿うようにして立ったまま、周囲を確認すると、窓が目についた。あそこから建物の中に入れば、少なくともここから飛び降りるよりは安全に、下に降りられるだろう。
P-17
蟹のように、壁に沿って横歩きをし、窓の方へと向かおうとしたら、どこからか蜻蛉が飛んできた。蜻蛉は僕の左目付近にぶつかり、僕は一瞬たじろいだが、すぐに首を振ってそれを振り払った。
気を取り直して、窓に向かおうとすると、窓の横にいつのまにか現れていた人の顔と目が合った。肌は建物の壁のままの煉瓦で、目だけがくりくりとした中年の男の顔だった。男は、
P-20
客観的には須臾のうちに起こったことだったのかもしれないが、主観では何もかもがスローモーションに感じられた。
リスは確かにそう言っていた、ような気がする。選択権は僕にある、と暗に言われたような気がした。
落ちていく僕が見た空は、さっきまで淡い昼間の色だったのに、この時には一定していなくて、黒や紫やら緑色やらと目まぐるしく切り替わっていっていた。笑っているような白い月だけが、その中にあって、落ち着いていた。
ウ-7
犯人は同僚の村井さんでした。1人2種類当たるはずだったのに、村井さんがショコラを2つ食べてしまったので、私にはカスタードしか当たりませんでした。
《次に視界が戻ったとき僕は》
「ここも1つの分岐点だったと思う」
「重要なことだったのだけれど、どうであったのか、知っている人は教えてほしい」
1)目的地の街の駅に立っていた
2)自宅の椅子に座っていた
3)どこか屋外で横になっていた
4)
5)それ以外
大まかなことは最初の頁参照です.あと,補足事項が>12に掲載してあります.
引き続き,ボードの後に協力者が現れなかった場合は更新しません.
因みに先の選択肢4)は,細工文字です.遊び心(笑)から、マーカーを引かないと読めないようにしてみましたv.
P-23
顎ががくんとなり、鈍い痛みが身体中を覆う。熱を帯びたアスファルトの感触が生々しかった。
通りすがったサラリーマン風の男性が、心配そうな顔を向け、大丈夫かと言いながら歩き去っていった。
足首も痛い。駅の出口にある僅か数段の階段。そこで足を踏み外して、転んだというのが今の僕の状況らしかった。正面から突き飛ばされて、背中から落ちたはずなのに、今の僕は俯せになっている。
P-24
恥ずかしいとも思ったが、それ以上に、さっきサラリーマン風の男性が歩いていたことに気付き、僕はすぐに立ち上がった。膝と手の平がじんわりと痛む。服には砂が少しついていたが、ほろえば素直に落ちた。
周りを見ると、間違いなくここは僕が目指していた街で、しかも僕が立っている場所は駅の出入口という実に普通の場所だった。
ウ-8
昼休み、事情を聞いた係長がどことなく不機嫌になっている私の様子を見て笑いました。怒ったら、コンビニのお菓子をくれました。パッケージに可愛い猫のイラストが描かれていました。
P-25
ここしばらく、それがないために僕はとても苦労してきた。その探し物を、今なら見つけ出せるような気がした。
街はどこに行っても普通だった。怪しいものや不自然なものは何もなく、道を行き交う人々も、ビルの間を飛び交う鳩も、所々に残された意味不明な落書きも、何もかもが自然に存在していた。僕はそれが嬉しくてたまらず、それでも冷静を保とうと自省しながら、あちこちを回った。
ウ-9
外の様子に気付き、通りで急に湿っぽくなったような気がした、と思いました。
日は既に傾いており、近くの保育園からも誰の声も響いてこなくなっていました。
P-28
雨の中でも、僕はしばらく探し物を続けていた。でも、あちこちの店で買い物をして回ったため、荷物が重く、傘を持っていないため、雨は直接、僕に当たる。濡れた髪が肌について気色悪く、僕は段々と疲れてきた。そして、そのうち、帰りたいとしか思えなくなった。
P-29
疲れた身体を、帰りたいという願望で引きずるように動かし、僕は帰路についた。探し物は見つからなかったが、ヒントになりそうなものを集めることはできた。僕はそのことを考えて、自分を慰めるようにした。
そんな僕を烏が嘲笑うような鳴き声で見送っていた。
P-30
また電車に乗って、来た道を戻る。下車駅で缶ジュースを買い、それを飲みながら外に出た。歩いていると、塀の上に行儀よく座っている猫と目が合った。
猫は口を開きかけたが、僕はそれよりも早く、猫が6本足であることに気付いて、その場を離れた。荷物が重たく、急ぎ足をするのもしんどかった。
P-31
僕は隣の部屋に住む新谷さんに挨拶をした。そして、一緒に階段を上り、鍵をあけ、ドアノブを回して自分の部屋に入った。
荷物を置いて、鞄を投げ出し、脱衣所に行って濡れた服を着替え、タオルで髪を拭った。座椅子に座り込み、煙草に火をつける。今日も探し物は見つけられなかった。次の新月は段々と近付いてきている。
P-32
真夜中、不審な音で目が覚めた。いつのまにか布団で眠っていたらしかった。不審な音は玄関の方から響いている。
背後からは複数の視線を感じた。壁から、かけられた能面のように沢山の顔が浮き出ており、僕のことを見ている様子だった。昼間、目の合った男の顔とは違い、今、僕を見ている人面たちは、人間と同じ肌の色をしているようだったし、それが窓から差し込む月の光で青白く照らし出されているようだった。それを僕は直視はしないで、視界の端で確認したのだった。
薄暗い室内で、僕はそのまま、状況を正しく把握しようとじっとしていた。玄関の方から響いてくる音は、止む気配がない。
P-33
そのうち、箪笥からも微かな音が響いてくるようになった。目覚まし時計の音だ。こちらの正体は分かってる。以前、そこに隠したネジが鳴っているのだろう。止めようもないはずだし、微かな音だから、放っておこうと思った。
しかし、玄関から聞こえてくる音はそうもいかない。何せ、正体が分からない。幻だろうか、それとも別の何かなのだろうか、時間が経てば、収まってくれるのだろうか。
扉を箸か何かで擦りながら叩いているような、針金か何かで引っ掻いているような、そういう音がしつこく耳に届いてくる。
《そこで僕は何をしたのか》
「元々記憶力は良くないが、この時は寝起きだったから、尚のこと記憶が怪しいんだよな」
「どうした所為で、ああいうことになってしまったのか。結果から推測できる人は予想を述べてほしい」
1)音を無視して寝たのでは
2)玄関に様子を見に行ったのでは
3)壁の人面に話しかけたのでは
4)夜が明けるまで起きたまま
じっとしていたのでは
5)いいや、どれも違う
大まかなことは最初の頁参照です.あと,補足事項が>12に掲載してあります.
引き続き,ボードの後に協力者が現れなかった場合は更新しません.
この一文…,うっかり当スレッドを覗いてしまった初見さん向けの解説なのですが,そろそろ諄いかなーと心の声(--;)
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